JP4606897B2 - 流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリロニトリル等の製造に用いられる流動層アンモ酸化プロセスにおいて使用される複合酸化物触媒の製造方法に関する。
アンモ酸化プロセスは、プロピレン等のオレフィンや、パラフィン、アルキル置換芳香族化合物等をアンモニアおよび分子状酸素(空気)とともに触媒と接触(気相接触)させ、反応させる方法で、現在、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類の工業的合成に広く用いられている。
アンモ酸化プロセスに用いる触媒としては、これまで数多くの提案がされており、主に、2種以上の元素の酸化物を含む複合酸化物触媒が用いられている。たとえば特許文献1〜6等には、モリブデンおよびビスマスを主成分とする複合酸化物触媒が開示されている。これらの提案は、主に活性、選択性等のいわゆる触媒特性を向上させるための技術に関するものであり、主にアクリロニトリル収率の高い触媒を得るために、複合酸化物触媒の構成元素および組成比を規定したものである。
アンモ酸化プロセスの1つとして、装置内で粒子状の触媒(触媒粒子)を流動化状態として反応を行う流動層(流動床)アンモ酸化プロセスが知られている。
流動層アンモ酸化プロセスでは、反応中の触媒ロスを抑制するために、または触媒粒子の良好な流動化状態を実現するために、触媒粒子の粒径について様々な提案がなされている。たとえば特許文献7には、アンチモンを主成分とする流動層アンモ酸化反応用触媒の製造方法において、20μm未満の粒径を有する粒子を5質量%以下に、また200μm以上の粒径を有する粒子を15質量%以下に調整する方法が開示されている。また、特許文献8には、目的とするニトリル類を高い収率で得ることができ、かつ触媒ロスを小さくできる方法として、5〜150μmの粒径を有する粒子の含有率が95質量%以上であり、かつ20〜30μmの粒径を有する粒子の含有率が3〜30質量%である触媒が開示されている。また、特許文献9には、触媒粒子の粒径を調整する際に発生する所望粒径範囲以外の粒子を無駄なく再利用できる方法として、モリブデン−ビスマス−鉄含有金属酸化物流動層触媒の製法において、触媒成分を含有するスラリーを噴霧乾燥して触媒粒子を得る工程で発生した所望粒径範囲以外の乾燥品を粉砕し、噴霧乾燥前のスラリーに混合したのち、再度噴霧乾燥する方法が提案されている。
これらの提案は、粒径の小さな触媒粒子、特に20μm未満の粒径を有する粒子はその質量が小さいため、反応ガスに同伴されて反応器外へ飛散し易く、触媒反応に有効に使われ難いこと、および粒径の大きな触媒粒子、特に150μm以上または200μm以上の粒径を有する粒子はその質量が大きいため、反応器内で流動し難く、触媒反応に有効に使われ難いという知見に基づいたものである。
これらの提案においては、後工程において、分級等により粒径調整して所望の粒径範囲以外の粒子を分離することにより、所望の粒径範囲を有する触媒粒子を得ている。
特公昭61−13701号公報 特開昭59−204163号公報 特開平1−228950号公報 特開平10−43595号公報 特開平10−156185号公報 米国特許第5688739号明細書 特開昭52−140490号公報 特開2002−233768号公報 特開2001−29788号公報
流動床アンモ酸化プロセスにおける触媒粒子の流動化状態に着目した場合には、これらの方法は確かに有効である。しかし、触媒製造時に発生する所望粒径範囲以外の触媒粒子、特に20μm未満の粒径を有する触媒粒子を分離する工程や、分離した触媒粒子を再利用する工程を必要とすることは、触媒製造における歩留まりの悪化や工程数の増加により触媒製造コストの増加を招くことから、経済性の面から改善が求められている。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、アクリロニトリル製造等に用いられている流動層アンモ酸化プロセスにおいて使用される複合酸化物触媒を、流動層アンモ酸化プロセス用として好ましい粒径分布で、特に粒径20μm未満の粒子の含有率を低減させて製造することができ、かつ経済的にも有利な流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、まず、触媒成分のすべての原料を含有するスラリーを噴霧乾燥して得られる粒子の粒径分布をレーザー回折法により測定したときに、40〜100μmの範囲に頂点を有する大きな粒径分布のピークとは別に、20μm未満の範囲に頂点を有する小さな粒径分布のピークが存在することに着目した。理論的には、後者のピークの出現は不自然であることから、噴霧乾燥工程において噴霧口から噴霧されたスラリー液滴が乾燥するまでにたどる履歴(接触、衝突等)により、液滴が一部微細化され、後者のピークを出現させているものと考察した。この考察に基づき、さらに検討を行った結果、噴霧乾燥の際に用いる各種条件のうち、前記スラリーを噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧吐出する際の噴霧吐出速度と、該噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量とを特定範囲内に調節することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、流動層アンモ酸化プロセスにおいて使用される複合酸化物触媒の製造方法であって、触媒成分のすべての原料を含有するスラリーを噴霧乾燥する工程を有し、前記スラリーを噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧吐出する噴霧吐出速度が50〜110m/sであり、かつ該噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が400〜600m/hであることを特徴とする流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、流動層アンモ酸化プロセス用として好ましい粒径分布を有する複合酸化物触媒、すなわち20〜120μmの粒径を有する粒子の割合が85質量%以上であり、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が25〜40質量%であり、かつ20μm未満の粒径を有する粒子の割合が5質量%以下である複合酸化物触媒を、容易に製造できる。
そのため、改めて分級等による粒径調整操作を行う必要がなく、工業用流動層反応装置にて、触媒ロスの少ない安定運転が実現できる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、流動層アンモ酸化プロセスにおいて使用される複合酸化物触媒の製造方法であって、触媒成分のすべての原料を含有するスラリーを噴霧乾燥する工程を有し、前記スラリーを噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧吐出する噴霧吐出速度が50〜110m/sであり、かつ該噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が400〜600m/hであることを要件とし、これらの構成要因のうちのいずれかが欠けた場合には本発明の目的を達成することはできない。
上記本発明の効果が発現する機構については未だ明らかではないが、噴霧乾燥工程において、噴霧口から噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧されたスラリー液滴のうち、乾燥するまでにたどる接触や衝突等の履歴によって微細化される割合が、スラリーの噴霧吐出速度および噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量を特定範囲に調節することにより、著しく低減されたことに起因していると考えられる。
本発明の製造方法は、たとえば以下のようにして行うことができる。
まず、触媒成分のすべての原料を含有するスラリーを調製するスラリー調製工程を行う。
ここで、「触媒成分」とは、当該複合酸化物触媒を構成する酸素以外の元素を意味し、本発明において製造される流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒は、触媒成分として、少なくとも2種の元素を含有するものである。触媒成分としては、特に限定されず、従来流動層アンモ酸化プロセス用の触媒に含有されている元素から任意に選択できる。
スラリーの調製に用いる触媒成分の原料としては、特に限定はなく、一般的に複合酸化物触媒の製造に用いられている原料の中から、製造しようとする流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒の組成に応じて適宜選択すればよい。
このような触媒成分の原料としては、触媒成分の酸化物、および強熱することにより酸化物となり得る化合物が挙げられ、該化合物としては、触媒成分の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、炭酸塩、水酸化物、有機酸塩、酸素酸、酸素酸塩、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩またはそれらの混合物等が挙げられる。
本発明においては、流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒が、触媒成分として、少なくともモリブデン、ビスマス、鉄および珪素を含む組成を有するか、または少なくともアンチモン、鉄および珪素を含む組成を有することが好ましく、特に、下記一般式(1)または(2)のいずれかで表される組成を有することが好ましい。
Mo12BiFe(SiO (1)
(式中、Aはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し;Bはコバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、タングステン、銀、アルミニウム、リン、ホウ素、スズ、鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウムおよびイッテルビウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表し;a、b、c、d、eおよびfは各元素の原子比を表し、aは0.1〜5、bは0.1〜10、cは0.01〜3、dは0〜20、fは10〜200の範囲内であり、eは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
Fe10SbTe(SiO (2)
(式中、Cはバナジウム、モリブデン、およびタングステンからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を表し;Dはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、リン、ヒ素、およびビスマスからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を表し;Eはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を表し;g、h、k、m、n、xおよびyは各元素の原子比を表し、gは3〜100、hは0.1〜12、kは0.1〜15、mは0〜50、nは0〜5、yは10〜200の範囲内であり、xは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
一般式(1)で表される組成を有する複合酸化物触媒は、モリブデン、ビスマス、鉄、Aで表される少なくとも1種の元素、およびシリカの形で珪素を必須の触媒成分として含有する複合酸化物であって、任意にBで表される少なくとも1種の元素を含有していてもよい。
式(1)中、Aとしては、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが好ましい。
Bとしては、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジムおよびサマリウムが好ましい。
Aとして2種以上の元素を含む場合、cは、各元素の原子比の合計を表す。
Bとして2種以上の元素を含む場合、dは、各元素の原子比の合計を表す。
一般式(2)で表される組成を有する複合酸化物触媒は、鉄、アンチモン、テルル、Cで表される少なくとも1種の元素、およびシリカの形で珪素を必須の触媒成分として含有する複合酸化物であって、任意にDで表される少なくとも1種の元素および/またはEで表される少なくとも1種の元素を含有していてもよい。
式(2)中、Dとしては、マグネシウム、ニオブ、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ホウ素およびリンが好ましい。
Cとして2種以上の元素を含む場合、kは、各元素の原子比の合計を表す。
Dとして2種以上の元素を含む場合、mは、各元素の原子比の合計を表す。
Eとして2種以上の元素を含む場合、nは、各元素の原子比の合計を表す。
たとえば、モリブデン原料としては、三酸化モリブデン等の酸化物、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム、メタモリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸またはその塩、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸等の、モリブデンを含むヘテロポリ酸またはその塩等を用いることができる。
ビスマス原料としては、たとえば硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマス等のビスマス塩、三酸化ビスマス、金属ビスマス等を用いることができる。ビスマスの原料は固体のままあるいは水溶液や硝酸水溶液、それらの水溶液から生じるビスマス化合物のスラリーとして用いることができるが、硝酸塩、或いはその溶液、またはその溶液から生じるスラリーを用いることが好ましい。
鉄原料としては、たとえば酸化第一鉄、酸化第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、硫酸鉄、塩化鉄、鉄有機酸塩および水酸化鉄等を用いることができるほか、金属鉄を加熱した硝酸に溶解して用いてもよい。鉄原料を含む溶液を用いる場合は、該溶液をアンモニア水等でpH調整して用いてもよい。
珪素原料としては、シリカ(SiO)が挙げられ、コロイダルシリカが好ましく用いられる。コロイダルシリカとしては、市販のものから適宜選択して用いることができる。コロイダルシリカは、コロイド粒径が5〜80nmであることが好ましく、10〜40nmがより好ましい。また、コロイダルシリカにおけるシリカ含量は、特に限定はなく、10〜50質量%が特に好ましい。また、コロイド粒径および/またはシリカ含量の異なる複数種のコロイダルシリカを混合したものを用いてもよい。
スラリーは、これらの触媒成分のすべての原料から公知の任意の方法により調製できる。
スラリーの固形分濃度としては10〜40質量%、好ましくは15〜30質量%が用いられる。なお、ここで言うスラリーの固形分濃度とは、「スラリー全体の質量」に対する「該スラリーを構成する成分を触媒の最終形態である安定な酸化物に換算した質量」の割合のことを言う。
本発明においては、スラリーに対し、必要に応じて、pH調整してもよい。また、スラリーに対し、必要に応じて、70〜105℃の範囲において熟成、濃縮等のための加熱処理を施してもよい。
次に、得られたスラリーを噴霧乾燥機で乾燥する噴霧乾燥工程を行う。
スラリーの乾燥方法としては、一般的に噴霧乾燥に用いられている噴霧乾燥機を用いることができ、たとえば回転円盤型噴霧乾燥機、ノズル式噴霧乾燥機等を用いることができる。特に、回転円盤型噴霧乾燥機を用いることが好ましい。
図1に、噴霧乾燥機の一例の概略構成図を示す。この噴霧乾燥機10は、噴霧乾燥機乾燥室(以下、乾燥室ということがある。)11と、乾燥室11内にスラリーを噴霧吐出するアトマイザー(回転円盤式噴霧乾燥機のディスク、ノズル式噴霧乾燥機のノズル等)12と、ガス状流体を加熱する加熱器13とを備えている。乾燥室11は、その上部にガス状流体が供給される入口21、底部にガス状流体および乾燥物が排出される出口22を有している。加熱器13には、加熱器13にガス状流体を供給する配管31、32および33が接合されており、入口21には、加熱器13で加熱されたガス状流体を乾燥室11内に送り込む配管34が接合されており、出口22には、乾燥室11内のガス状流体および乾燥物を排出する配管35が接合されている。
アトマイザー12には、アトマイザー12にスラリーを供給する配管36が接合されており、該配管36には、スラリー供給弁37および送液ポンプ38が設けられている。
また、配管31には風量計41が設けられ、配管32には風量計42が設けられ、配管33には風量計または流量計43が設けられ、配管34にはガス供給弁44および噴霧乾燥機乾燥室入口温度計45が設けられ、配管35には噴霧乾燥機乾燥室出口温度計46が設けられている。
本発明においては、噴霧乾燥の際、スラリーを噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧吐出する噴霧吐出速度を50〜110m/sとし、かつ該噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量を400〜600m/hとする必要がある。該スラリーの噴霧吐出速度が50m/sより小さい場合、あるいは噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が600m/hより多い場合は、20μm未満の粒径を有する粒子は少ないものの、20〜44μmの粒径を有する粒子が少なくなり、工業的な使用に際して20〜44μmの粒径を有する粒子を増加されるために分級する作業が必要となり、好ましくない。また、該スラリーの噴霧吐出速度が110m/sより大きい場合、あるいは噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が400m/hより少ない場合は、20μm未満の粒径を有する粒子が多くなり、工業的な使用に際して20μm未満の粒径を有する粒子を分級除去する作業が必要となり、好ましくない。
噴霧吐出速度の下限は60m/s以上であることが好ましく、上限は90m/s以下であることが好ましい。
噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量の下限は440m/hであることが好ましく、上限は560m/h以下であることが好ましい。
ここで言う噴霧吐出速度とは、回転円盤式噴霧乾燥機を用いてスラリーを噴霧する場合は下式(A)より算出した値のことであり、ノズル式噴霧乾燥機を用いてスラリーを噴霧する場合は下式(B)により算出した値のことであり、単位はm/sを用いる。
式(A):スラリー噴霧吐出速度(m/s)=円周率×ディスク直径(m)×{回転数(rpm)/60}
式(B):スラリー噴霧吐出速度(m/s)=スラリー供給速度(m/s)/{円周率×ノズル半径(m)×ノズル半径(m)×ノズル数}
また、ここで言う噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量とは、該乾燥室内の水平方向の有効断面積1m当たりを、該乾燥室入口温度下で、1時間あたりに通過するガス状流体の量のことを言い、単位はm/hを用いる。
ここで言うガス状流体には、噴霧乾燥機乾燥室内に導入されるすべてのガス状流体が含まれる。具体的には、乾燥用加熱空気、燃料燃焼用空気、アトマイザー冷却用空気等のすべての空気、および燃料燃焼ガス等が例示できる。
さらに、ここで言う噴霧乾燥機乾燥室入口温度とは、該乾燥室内にガス状流体を導入する配管の該乾燥室への接合部分において計測した温度のことを言う。なお、該温度の計測箇所は、好ましくは当該配管と噴霧乾燥機乾燥室の接合部分であるが、その部分での計測が難しい場合は、当該配管と噴霧乾燥機乾燥室との接合部分から配管側へ0〜50cmの範囲内にある配管に接する箇所で計測すればよい。
風量は、噴霧乾燥機乾燥室内に導入されるガス状流体が乾燥用加熱空気や燃料燃焼用空気などの空気の場合においては、加熱する前に計測した当該空気の風量を、別途計測した噴霧乾燥機乾燥室入口温度における風量に温度補正することにより算出(X)し、噴霧乾燥機乾燥室内に導入されるガス状流体が燃料燃焼ガスの場合においては、燃焼する前に当該燃料の形態に応じて当該燃料の風量または流量を計測し、当該燃料が完全燃焼したと仮定して算出された風量を、別途計測した噴霧乾燥機乾燥室入口温度における風量に温度補正することにより算出(Y)し、それらの算出された値を合算することにより算出(X+Y)できる。
噴霧乾燥は、噴霧乾燥機乾燥室内に熱したガス状流体を流通させることにより行うことができ、該ガス状流体の温度は、乾燥室内への導入口付近における温度が130〜450℃であることが好ましく、140〜400℃がさらに好ましい。さらに、乾燥室出口付近における温度は100〜250℃が好ましく、110〜230℃がさらに好ましい。
本発明においては、噴霧乾燥工程に続いて、該工程で得られた乾燥物を450〜1000℃の範囲の温度で焼成することにより、望ましい触媒活性構造が形成される。焼成温度は、より好ましくは500〜900℃である。
焼成の時間については特に限定はないが、良好な活性を有する触媒が得られることから、少なくとも1時間以上焼成することが好ましい。焼成時間の上限としては、特に限定はないが、必要以上に長時間処理しても、得られる効果は同程度であるので、20時間以内が好ましい。
焼成の方法についても特に制限はなく、汎用の焼成炉を用いることができる。工業的にはロータリーキルン、流動焼成炉等が好ましく用いられる。
また、焼成に際しては、乾燥物をそのまま450〜1000℃に加熱して焼成してもよいが、250〜450℃程度の温度で焼成する1〜2段の予備焼成を行ってから、450〜1000℃で焼成する方法がより好ましい。
上述した本発明の製造方法により、以下の要件1〜3を満たす粒径分布を有する複合酸化物触媒を製造できる。
(要件1)20〜120μmの粒径を有する粒子の割合が85質量%以上であり、かつ20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が25〜40質量%である。
(要件2)20μm未満の粒径を有する粒子の割合が5質量%以下である。
(要件3)120μmを超える粒径を有する粒子の割合が10質量%以下である。
すなわち、一般に、複合酸化物触媒を流動層アンモ酸化プロセス用として工業的に使用する場合、触媒粒子の大きさとしては、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合が85質量%以上であり、かつ20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が25〜40%であることが重要である。
そして、20μm未満の粒径を有する粒子は、その質量が小さいため、反応中に反応ガスに同伴されて反応器外に飛散し易く、いわゆる触媒ロスを招き、触媒ロスは、プロピレン等の原料の反応率(転化率)の低下につながるため、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は少ないほど好ましく、5質量%以下、さらには3質量%以下がより好ましい。
また、120μmを超える粒径を有する粒子は、その質量が大きいため、流動層反応器内で良好に流動化し難い。そのため、120μmを超える粒径を有する粒子の割合が多すぎると、流動化状態の悪化を招き、それがアクリロニトリル等の目的生成物の収率の低下を招く。したがって、120μmを超える粒径を有する粒子の割合は少ないほど好ましく、10質量%以下、さらには5質量%以下がより好ましい。
さらには、触媒ロスを抑えつつ良好な流動化状態を実現するためには、20〜120μmの粒径を有する粒子が有効であるが、このうち特に20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が重要であり、この割合が25〜40質量%、さらには28〜38質量%がより好ましい。
これらの要件1〜3を満たす複合酸化物触媒は、流動層アンモ酸化プロセス用として好適に用いることができる。
アンモ酸化の具体例としては、プロピレンからのアクリロニトリルの合成、イソブテンやターシャリーブタノールからのメタクリロニトリルの合成、トルエンからのベンゾニトリルの合成、メタノールからの青酸の合成等が挙げられる。
本発明の製造方法により製造される流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒を用いた流動層アンモ酸化プロセスは、流動層反応器を用いて行うことができる。
具体的には、たとえばプロピレンを分子状酸素およびアンモニアにより気相接触アンモ酸化してアクリロニトリルを合成する場合、流動層反応器に複合酸化物触媒を充填し、プロピレンを酸素およびアンモニアを含む原料ガスを流動層反応器内に供給して気固接触させることにより行うことができる。
原料ガス中のプロピレンの濃度は広い範囲で変えることができ、1〜20容量%が適当であり、特に3〜15容量%が好ましい。
気相接触アンモ酸化を行う際の酸素源としては、空気を用いるのが工業的には有利であるが、必要に応じて純酸素で富化した空気も使用できる。
原料ガス中のプロピレン対酸素のモル比は1:1.5〜1:3、プロピレン対アンモニアのモル比は1:1〜1:1.5が好ましい。
また、原料ガスは不活性ガス、水蒸気等で希釈して用いることができる。
気相接触アンモ酸化を行う際の反応圧力は、常圧ないし数気圧まで用いることができる。反応温度は400〜500℃の範囲が好ましい。
以下、本発明について、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本特許の趣旨を超えない限り、この範囲に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において製造される複合酸化物触媒(以下、単に触媒ということがある)の代表サンプルは、二分割器を用いて採取した。また、触媒の粒径分布の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて行った。
また、ここでは、噴霧乾燥機乾燥室入口温度の計測箇所を、当該配管と噴霧乾燥機乾燥室との接合部分から配管側へ10cmの位置の配管に接する箇所とした。
[実施例1]
シリカ含量30質量%のコロイダルシリカ4956.7質量部および純水3000質量部の混合液に、パラモリブデン酸アンモニウム1248.3質量部を溶解した(A液)。
別に、17質量%硝酸水溶液1300質量部に、硝酸鉄(III)476.1質量部、硝酸ニッケル685.2質量部、硝酸マグネシウム226.6質量部、硝酸コバルト171.4質量部、硝酸クロム94.3質量部、硝酸セリウム127.9質量部、硝酸ビスマス142.9質量部、硝酸ルビジウム5.2質量部および硝酸カリウム4.2質量部を溶解させた(B液)。
A液をよく撹拌しながら、そこにB液を混合し、水性スラリーを得た。このときの水性スラリーの固形分濃度は24.1質量%であった。
得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数14,000rpm、入口温度250℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量495m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。
このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、下記算出式より88m/sと算出された。
[算出式]スラリー噴霧吐出速度(m/s)=円周率×ディスク直径(m)×{回転数(rpm)/60}
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒1を得た。
得られた触媒1の組成は、原料仕込み量から以下のように算出される。
Mo12Bi0.5FeCe0.5Cr0.4NiMg1.5Co0.07Rb0.06(SiO42
(ここで、eは、上記組成中の他の各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
触媒1の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は1.6質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の粒子の割合は36.0質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.4質量%であった。
[実施例2]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数12,000rpm、入口温度230℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量442m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1で示した算出式により75m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒2を得た。
触媒2の粒径分布を調べた結果、20μm以下の粒径を有する粒子の割合は1.9質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は34.4質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.0質量%であった。
[実施例3]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数15,000rpm、入口温度300℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量552m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1で示した算出式により94m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒3を得た。
触媒3の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は2.5質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は39.8質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.5質量%であった。
[実施例4]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数10,000rpm、入口温度300℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量586m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1で示した算出式により63m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒4を得た。
触媒4の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は0.8質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は27.9質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.7質量%であった。
[実施例5]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数9,000rpm、入口温度270℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量420m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1で示した算出式により57m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒5を得た。
触媒5の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は3.6質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は29.9質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は95.4質量%であった。
[実施例6]
63質量%硝酸761質量部に銅粉末13.6質量部を溶解した。この溶液に純水740質量部を添加してから該溶液を60℃に加熱し、電解鉄粉59.8質量部およびテルル粉末20.5質量部を少量ずつ添加し、溶解した。溶解確認後、ホウ酸3.3質量部、および硝酸コバルト62.3質量部を順次添加し、溶解した(C液)。
別途、純水680質量部にパラタングステン酸アンモニウム14.0質量部を溶解した(D液)。
別途、純水130質量部にパラモリブデン酸アンモニウム22.7質量部とテルル粉末20.5質量部とを縣濁させ、80℃に加熱した後、35質量%過酸化水素水62質量部を滴下し、溶解した(E液)。
攪拌しながら、C液に、シリカ含量20質量%のシリカゾル1929.5質量部、三酸化アンチモン粉末390.1質量部、およびD液を順次添加した。このスラリーに15質量%アンモニア水を滴下し、pHを2.0に調整した。pH調整後のスラリーに対して、還流下99℃で3時間加熱処理を行った。加熱処理後のスラリーを80℃まで冷却し、E液を添加した。このときの水性スラリーの固形分濃度は18.2質量%であった。
得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数14,000rpm、入口温度300℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量553m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。
このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、下記算出式より73m/sと算出された。
[算出式]スラリー噴霧吐出速度(m/s)=円周率×ディスク直径(m)×{回転数(rpm)/60}
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で2時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒6を得た。
得られた触媒6の組成は、原料仕込み量から以下のように算出される。
Fe10Sb25Te0.5Mo1.2CoCu0.5(SiO60
(ここで、xは、上記組成中の他の各元素の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
触媒6の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は1.2質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は30.8質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.6質量%であった。
[実施例7]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数16,000rpm、入口温度230℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量448m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により84m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で3時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒7を得た。
触媒7の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は2.0質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は37.8質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は98.0質量%であった。
[実施例8]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数18,000rpm、入口温度270℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量490m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉8を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により94m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で3時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒8を得た。
触媒8の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は2.8質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は39.5質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は97.2質量%であった。
[実施例9]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数12,000rpm、入口温度250℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量414m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により63m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で3時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒9を得た。
触媒9の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は3.1質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は31.2質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は96.3質量%であった。
[実施例10]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数10,000rpm、入口温度350℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量577m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により52m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で3時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒10を得た。
触媒10の粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は1.2質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は25.9質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は96.9質量%であった。
[比較例1]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数14,000rpm、入口温度230℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量383m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1に示した算出式により88m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒Aを得た。
触媒Aの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は7.7質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は35.6質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は92.3質量%であった。
[比較例2]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数7,000rpm、入口温度270℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量453m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1に示した算出式により44m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒Bを得た。
触媒Bの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は2.6質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は20.3質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は92.8質量%であった。
[比較例3]
実施例1と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径120mmφ、回転数18,000rpm、入口温度250℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量464m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例1に示した算出式により113m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで450℃で3時間静置焼成した後、590℃で5時間静置焼成し、触媒Cを得た。
触媒Cの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は5.6質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は51.5質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は94.4質量%であった。
[比較例4]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数10,000rpm、入口温度250℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量608m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により52m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で2時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒Dを得た。
触媒Dの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は0.8質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は23.6質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は96.3質量%であった。
[比較例5]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数8,000rpm、入口温度320℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量639m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により42m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で2時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒Eを得た。
触媒Eの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は0.0質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は18.0質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は93.0質量%であった。
[比較例6]
実施例6と同様に調製して得られた水性スラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機を用いて、ディスク直径100mmφ、回転数20,000rpm、入口温度250℃、噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量358m/hの条件にて噴霧乾燥し、乾燥粉を得た。このときの該スラリーの噴霧吐出速度は、実施例6に示した算出式により105m/sと算出された。
得られた乾燥粉を250℃で2時間、次いで400℃で2時間静置焼成した後、700℃で3時間流動焼成し、触媒Fを得た。
触媒Fの粒径分布を調べた結果、20μm未満の粒径を有する粒子の割合は8.3質量%、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合は45.5質量%、20〜120μmの粒径を有する粒子の割合は91.7質量%であった。
上記実施例および比較例で用いた製造条件および得られた触媒の粒径分布を表1に示す。
Figure 0004606897
上記結果から明らかなように、噴霧吐出速度が50〜110m/sであり、かつ噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が400〜600m/hであった実施例1〜10で得られた触媒は、上記に示した要件1〜3を満たす粒径分布を有していた。中でも、噴霧吐出速度が60〜90m/sの範囲内である実施例1,2,4,6,7,9、および風量が440〜560m/hの範囲内である実施例1〜3,6〜8は良好な粒径分布を有しており、特にこれらの条件を両方満たす実施例1,2,6,7は、20μm未満の粒径を有する粒子の割合が3質量%以下であり、かつ20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が28〜38質量%の範囲内であり、非常に優れていた。
一方、上記噴霧吐出速度および風量の範囲を、一方または両方とも満たさなかった比較例1〜6で得られた触媒は、20μm未満の粒径を有する粒子の割合が5質量%を越えていたり、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が25〜40質量%の範囲をはずれていた。たとえば風量が少なかったり噴霧吐出速度が速かった比較例1,3,6は、20μm未満の粒径を有する粒子の割合が高かった。また、風量が多かったり噴霧吐出速度が遅かった比較例2,4,5は、20〜44μmの粒径を有する粒子の割合が低かった。
噴霧乾燥機の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
10…噴霧乾燥機、11…乾燥室、12…アトマイザー、13…加熱器、21…入口、22…出口、31…配管、32…配管、33…配管、34…配管、35…配管、36…配管、37…スラリー供給弁、38…送液ポンプ、41…風量計、42…風量計、43…風量計、44…ガス供給弁、45…噴霧乾燥機乾燥室入口温度計、46…噴霧乾燥機乾燥室出口温度計

Claims (1)

  1. 流動層アンモ酸化プロセスにおいて使用される複合酸化物触媒の製造方法であって、
    触媒成分のすべての原料を含有するスラリーを噴霧乾燥する工程を有し、
    前記スラリーを噴霧乾燥機乾燥室内に噴霧吐出する噴霧吐出速度が50〜110m/sであり、かつ該噴霧乾燥機乾燥室内の有効断面積1m当たりの風量が400〜600m/hであることを特徴とする流動層アンモ酸化プロセス用複合酸化物触媒の製造方法。

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