JP4606118B2 - イオントフォレーシス装置用作用極構造体の製造方法 - Google Patents

イオントフォレーシス装置用作用極構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体に有用なイオン性の薬剤を電気泳動を利用して生体に浸透させるイオントフォレーシス(イオン浸透療法)において使用されるイオントフォレーシス用装置に用いる作用極構造体の製造方法に関する。
生体に有用なイオン性の薬剤を電気泳動を利用して生体に浸透させるイオントフォレーシスは、イオン浸透療法、イオン導入法、などとも呼ばれ、無痛状態で所望の患部に所望量の薬剤を投与する方法として広く知られている。
従来、イオントフォレーシスにおいては、イオン性の薬剤を含浸させた薬剤層(イオン性薬剤溶液保持部)を生体上に置き、薬剤層を挟んで生体と反対側に作用極を配し、薬剤層と離れた生体上に対極を置き、電源により作用極と対極の間に電流を流すことでイオン性の薬剤を生体に浸透させた。この方法においては、イオン性薬剤のみを、皮膚や粘膜などの生体界面を通して生体内に浸透させることを目的とする。しかしながら、このような電極においては、必ずしもイオン性薬剤が生体界面を通過するとは限らず、逆に、生体側からナトリウムカチオン、カリウムカチオン、塩化物アニオンなどが生体界面から薬剤層側に浸透する場合も少なくない。特に、生体に有用とされるイオン性薬剤は、上記のような生体内に存在するイオンに比べ、移動度が小さいため、通電した電気量に対し目的とする薬剤の投与効率(生体への浸透効率)が低いという問題があった。
これらの欠点を解消するため、生体界面上にイオン交換膜を置き、該イオン交換膜を通して薬効イオンを生体に浸透させるイオントフォレーシスの新しい手法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照)。ここで提案されている新方式では、生体界面上に目的とする薬効イオンと同符号のイオンのみを透過させるイオン交換膜が配される。このため目的薬剤と反対符号を持つイオンが生体から滲出することを防ぐことができ、イオン交換膜を配さない場合に比して薬剤の高い投与効率が得られる。
また、電極部分において、イオン性薬剤が分解されてしまったり、あるいはイオン性薬剤の溶剤として用いられている水が電気分解してHイオンやOHイオンが生成して、これが生体に作用して炎症などを起こすといった問題を解決するために、薬剤含有層と電極の間にイオン交換膜を配し、薬剤含有層に含まれるイオン性薬剤が電極と直接接しないようにしたり、あるいは電極で発生したHイオンやOHイオンが生体側に移動しないようにする手法も提案されている(例えば、特許文献3〜5、8参照)。
さらに上記HイオンやOHイオンによる炎症を防止するために、対極側にもイオン交換膜を配置する手法が提案されている(例えば、特許文献6、7参照)。
特開平03−94771号公報 特表昭03−504343号公報 特開平04−297277号公報 特開2004−188188号公報 特開2004−202057号公報 特開2000−229128号公報 国際公開第03/037425号パンフレット 特表昭63−502404号公報
上記のような、イオン交換膜を用いるイオントフォレーシスにおいては、薬剤投与効率を良好なものとするために、イオン交換膜と生体界面との接触効率、即ち密着性が良好な必要がある。
ところが本発明者等の検討によれば、乾燥させたイオン交換膜を固定し、この上にイオン性薬剤溶液保持部を積層すると、薬剤投与のための通電中にイオン交換膜に皺や歪み(以下、変形)が生じてしまうことが明らかとなった。イオン交換膜にこのような変形が生じると、生体界面との密着性が低下してしまい、薬剤投与効率が低下してしまう。また、このような変形に起因してイオン交換膜が破れやすくなるなどの問題も生じる。
従って本発明は、上記のような変形が発生せず、よって薬剤投与効率が良好で、また信頼性に優れるイオントフォレーシス装置用の作用極構造体の提供を目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、イオン交換膜を事前に薬剤溶液により湿潤させ、ついでこれと薬剤溶液を含有する物質とを接触させる順で作用極構造体を製造することにより上記通電時の変形の発生がなくなることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、電極、イオン性薬剤溶液保持部及び厚さ5〜150μmのイオン交換膜がこの順に積層されており、該イオン性薬剤溶液保持部に含まれる薬効イオンを、イオン交換膜を介した電気泳動により生体に投与するために用いるイオントフォレーシス装置用作用極構造体の製造方法において、前記イオン性薬剤溶液保持部とイオン交換膜とを積層するに先立ち、該イオン交換膜の有するイオン交換基の対イオンを前記薬効イオンにより置換しておく工程を含むことを特徴とするイオントフォレーシス装置用の作用極構造体の製造方法である。

また他の発明は、上記作用極構造体の製造方法を用いたイオントフォレーシス装置の製造方法である。
本発明の製造方法により得られるイオントフォレーシス装置用の作用極構造体を用いたイオントフォレーシス装置は、通電中のイオン交換膜の変形に伴う投与効率の低下を防止することができる。これにより、目的とする薬剤の安定投与が可能となり、また信頼性にも優れたイオントフォレーシス装置とでき極めて有用である。
以下、本発明を図面を参照して説明する。本発明におけるイオントフォレーシス装置は、代表的には図1に示すように、作用極構造体1、対極構造体2、およびこれらの構造体と電気的に結線された電源部3とから構成される。
作用極構造体1は、作用極となる電極4、イオン性の薬剤を含有するイオン性薬剤溶液保持部5、およびイオン交換膜6を含む構造体であり、当該イオン交換膜6は、投与する薬効イオンと同符号のイオンを選択的に透過させるイオン交換膜である。これらが図に示すように、電極、イオン性薬剤溶液保持部、イオン交換膜の順番に配置される。通常、これらは一つの外装材料(図示しない)の中に積層されてなり、イオン交換膜を生体界面上に配する向きにて使用される。また、投与する薬剤の分解を防ぎ、電極反応で薬剤含有層のpHが変化するのを防ぐため、電極と薬剤含有層の間にさらにイオン交換膜8が配置される場合もある。この場合、当該イオン交換膜8としては、一般に薬効イオンと反対符号のイオンを選択的に透過させるイオン交換膜が用いられる。
本発明の作用極構造体の製造方法においては、上記イオン交換膜6とイオン性薬剤溶液保持部5とを積層するに先立って、該イオン交換膜6の有するイオン交換基の対イオンを、イオン性薬剤溶液保持部5に含まれる薬効イオンで置換しておく。
本発明において、上記のような工程を経ることにより通電中のイオン交換膜の変形が防止できる理由は、イオン交換膜中のイオン交換基の対イオン(例えば、H、Na、あるいはOH、Cl等)と比べて薬効イオンのサイズが遥かに大きいため、通電を行なうとイオン交換によって膜が膨張してしまうのに対して、予めイオン交換を行っておくことにより、膜の膨張が抑制されるためであると推測される。
イオン交換膜6の有するイオン交換基の対イオンを、薬効イオンで置換する方法は特に限定されるものではないが、好適には、該薬効イオンを含む溶液にイオン交換膜を浸漬する方法が挙げられる。薬効イオンを含む溶液中の薬効イオンの対イオンは、生体に対する為害性のないイオンであれば特に制限されるものではないが、イオン性薬剤溶液保持部に含有させるイオン性薬剤における対イオンと同種とすることが好ましい。また溶媒も生体に対する為害性がなく、薬効イオンを含む溶液を得ることができる溶媒であれば特に制限されるものではなく、通常は、水、エタノール等が使用される。
上記のように、浸漬により対イオンの置換を行う場合には、薬効イオン濃度が高いほど置換が早く、また確実に進む。イオン交換膜の厚さ、イオン性薬剤の種類等により異なるが、通常は、0.1〜300mmol/L、好ましくは1〜100mmol/L程度の溶液に、10分〜24時間程度浸漬しておけば充分である。また用いる溶液の量は、薬効イオンの絶対量(濃度×溶液量)が、浸漬を行うイオン交換膜の有するイオン交換基の量、即ち、浸漬したイオン交換膜の質量×イオン交換容量から算出される値の2倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上となるようにすればよい。
対イオンの交換割合は、上記の如き所定の条件下でイオン交換させた膜から強酸又は強塩基により再度溶出させた薬効イオンの量を測定し、これとイオン交換膜の有するイオン交換基の量とを対比させることにより求めることができる。対イオンの交換割合はより高い方が好ましいが、必ずしも100%交換させる必要はなく、平均的な使用条件での通電中に変形が起こらないようにするためには、70%程度以上とすればよく、80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることが特に好ましい。対イオンの交換割合が低い場合には、より高濃度の溶液を用いたり、より長時間浸漬するように浸漬条件を変更するとよい。
また上記浸漬に限らず、薬効イオンを含有する溶液を、筆やスプレーで塗布したり、イオン交換膜上に滴下したりして接触させてもよい。
本発明の製造方法では、上記のようにして得た、対イオンが薬効イオンに置換されたイオン交換膜をイオン性薬剤溶液保持部と接触させて積層する。なお該イオン交換膜は、対イオンの置換後に一旦乾燥させて用いてもよいが、乾燥させずに湿潤したままの状態でイオン性薬剤溶液保持部と積層させる工程に供することが好ましい。
本発明における上記イオン性薬剤は、イオントフォレーシスによって投与可能な薬剤であれば特に限定されない。このような薬剤を具体的に例示すると、薬効イオンが正に帯電するイオン性薬剤では、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカインなどの麻酔剤、マイトマイシン、塩酸ブレオマイシンなどの抗悪性腫瘍剤、塩酸モルフィネなどの鎮痛剤、酢酸メドロキシプロゲステロンなどのステロイド類、ヒスタミンなどが挙げられ、一方、負に帯電するイオン性薬剤では、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸などのビタミン剤、アスピリン、イブプロフェンなどの抗炎症剤、デキサメタゾン系水溶性製剤などの副腎皮質ホルモン、ベンジルペニシリンカリウムなどの抗生物質などが挙げられる。
このようなイオン性薬剤は固体であるため、生体への投与を可能とするために該薬剤が溶解可能な溶媒に溶解させる必要がある。該溶媒としては水が代表的であるが、必要に応じてエタノール等の有機溶媒を用いても良い。
上記イオン性薬剤溶液を含むイオン性薬剤溶液保持部を製造する方法としては、イオントフォレーシス用薬剤における当該方法として公知の方法が何ら制限なく採用できる。例えば、該薬剤溶液にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の非電離性の親水性高分子やコロイダルシリカ等の微粒子充填剤などを添加してペースト状やゲル状にする方法が挙げられる。また、他の方法としては、紙や綿布等の親水性のシート状あるいはフィルム状物質にイオン性薬剤溶液を染み込ませる方法も好適に採用できる。
対イオンが薬効イオンに置換されたイオン交換膜をイオン性薬剤保持部と積層する方法は特に限定されず、例えば、平面状に固定したイオン交換膜上に、上記のようなイオン性薬剤溶液を染み込ませたシートや板状に形成したゲルを配設したり、イオン性薬剤溶液を含むペーストを塗布したりする方法が挙げられる。このようにして得られるイオン交換膜とイオン性薬剤溶液保持部との積層体は、さらにその上に逆極性のイオン交換膜を設置して周縁部を封止、固定したり、電極等を配設した外装材料と積層させてこの外装材料に固定したりすればよい。
また、電極等を配設した外装材料等の内部にイオン性薬剤溶液を含むペーストやゲルを充填しておき、その上からイオン交換膜が該ゲルやペーストに密着するように設置し、その後、固定する方法も好適である。
このようにして得られる作用極構造体は、通常のイオントフォレーシス用の作用極構造体と同様にして使用でき、代表的には、前述した図1に示したようなイオントフォレーシス装置の一部として使用できる。
本発明の製造方法は、対イオンを前記薬効イオンにより置換されるイオン交換膜の厚さが薄いものを用いるほどその効果が大きい。即ち、膜厚の薄いイオン交換膜は、膜抵抗が低く、また薬効イオンの透過性も優れるが、一方で薄いために変形がおきやすいためである。
このような膜厚が薄く、よって膜抵抗が低く、また薬効イオンの透過性にも優れるイオン交換膜としては、その機械的強度にも優れる点で、多孔質フィルムを基材としたものが特に有用である。このような多孔質フィルムを基材とするイオン交換膜は、特開2004−188188号公報、特開2004−202057号公報等に開示されている。
即ち、厚さ5〜150μm、好ましくは10〜120μm、より好ましくは10〜70μmの熱可塑性樹脂製の多孔質フィルムの有する空隙部に、架橋型のイオン交換樹脂を充填した構造のイオン交換膜である。上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂が好ましい。また該多孔質フィルムとしては、薄くかつ強度に優れ、さらに電気抵抗も低いイオン交換膜としやすい点でバブルポイント法(JIS K 3832-1990)に準拠して測定される平均流孔径が、好ましくは0.005〜5.0μm、より好ましくは0.01〜2.0μm、最も好ましくは0.02〜0.2μmであるのがよい。同様に、多孔質フィルムの空隙率は、好ましくは20〜95%、より好ましくは30〜90%、最も好ましくは30〜60%であるのがよい
このような多孔質フィルムを基材とするイオン交換膜の製造方法を簡単に述べると、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の陽イオン交換基が導入可能な単量体、又はスチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体と、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の架橋剤、及びオクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の重合開始剤との混合物からなる重合性組成物を調製し、この重合性組成物中に前記多孔質フィルムを浸漬させて、多孔質フィルムの有する空隙内に該重合性組成物を浸入させ、ついで、ポリエステルフィルム等の表面平滑なフィルムで両面を覆った状態で加熱等により重合させる。このようにして得られるイオン交換膜は、充分な強度と柔軟性の双方を有し、かつ薬剤投与効率も高い。
むろん本発明の製造方法は、上記のような方法で得られるイオン交換膜に限らず、他のイオントフォレーシス用として使用可能な如何なるイオン交換膜を用いたイオトンフォレーシス装置の製造方法に適用してもよい。
また本発明の製造方法は、イオン交換膜の面積が大きい場合ほど有効性が高く、薬剤投与における有効面積が3cm以上の膜を用いる場合に適用することが好適であり、4cm以上の膜に適用することがより好適であり、5cm以上の膜に適用することが特に好適である。
本発明を更に具体的に説明するため、以下、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、試験に用いるイオン交換膜1〜7を以下の方法で作製した。
製造例1
イオン交換膜1の作製
クロロメチルスチレン380g、ジビニルベンゼン20g、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート20gからなる単量体組成物を調製し、この単量体組成物420gを500mlのガラス容器に入れ、これに各20cm×20cmの多孔質フィルム(重量平均分子量25万のポリエチレン製、膜厚25μm、平均孔経0.03μm、空隙率37%)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、この多孔質フィルムに単量体組成物を含浸させた。続いて、上記多孔質フィルムを単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムでこの多孔質フィルムの両側を被覆した後、3kg/cmの窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物を30重量%トリメチルアミン10重量部、水5重量部、アセトン5重量部よりなるアミノ化浴中、室温で5時間反応せしめ4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。得られたイオン交換膜は、3cm×4cmの大きさに切断(乾燥重量約0.03g)し、使用直前まで生理食塩水に浸漬し、乾燥を防止しておいた。
製造例2〜5
イオン交換膜2〜5の作製
単量体組成物、及び多孔質フィルムを表1に示した組成に代えた以外は製造例1の場合と同様の方法で陰イオン交換膜を作製した。
製造例6
イオン交換膜6の作製
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート・メチルクロライド塩244g、ノナエチレングリコールジメタクリレート28g、ヒドロキシエチルメタクリレート128g、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート12gからなる単量体組成物を調製し、この単量体組成物400gを500mlのガラス容器に入れ、これに各12cm×13cmの多孔質フィルム(重量平均分子量25万のポリエチレン製、膜厚25μm、平均孔径0.03μm、空隙率37%)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、この多孔質フィルムに単量体組成物を含浸させた。続いて、上記多孔質フィルムを単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムでこの多孔質フィルムの両側を被覆した後、3kg/cmの窒素加圧下、70℃で2時間、次いで90℃で3時間加熱重合して4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。
得られた陰イオン交換膜のイオン交換容量、含水率、膜抵抗、膜厚を測定した。結果を表1に示した。
製造例7
イオン交換膜7の作製
スチレン360g、ジビニルベンゼン40g、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート20gからなる単量体組成物を調製し、イオン交換膜1の場合と同様にして多孔質フィルムに含浸させた。続いて、上記多孔質フィルムを単量体組成物中から取り出し、100μmのポリエステルフィルムで多孔質フィルムの両側を被覆した後、3kg/cmの窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1混合物中に40℃で45分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換膜を得た。
製造例8
イオン交換膜8の作製
単量体組成物を表1に示した組成に代えた以外はイオン交換膜7と同様の方法で陽イオン交換膜を作製した。
得られたイオン交換膜の膜物性を以下の方法で測定した。結果は表1に併せて示した。
Figure 0004606118
(1)イオン交換容量および含水率;
イオン交換膜を1mol/LのHCl水溶液に10時間以上浸漬する。
その後、陽イオン交換膜の場合には、1mol/LのNaCl水溶液で水素イオン型をナトリウムイオン型に置換させ、遊離した水素イオンを水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。一方、陰イオン交換膜の場合には、1mol/LのNaNO水溶液で塩化物イオン型を硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩化物イオンを硝酸銀水溶液を用いて電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。
次に、同じイオン交換膜を1mol/LのHCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗した後膜を取り出しティッシュぺーパー等で表面の水分を拭き取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。次に膜を60℃で5時間減圧乾燥させその重量を測定した(Dg)。上記測定値に基づいて、イオン交換容量は次式により求めた。
イオン交換容量=A×1000/W[mmol/g−乾燥重量]
含水率=100×(W−D)/D[%]
(2)膜抵抗;
白金黒電極を備えた2室セル中にイオン交換膜を挟み、イオン交換膜の両側に3mol/L硫酸水溶液を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間の抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の該電極間の抵抗の差により求めた。上記測定に使用する膜は、あらかじめ3mol/L硫酸水溶液中で平衡にしたものを用いた。
実施例1
生理食塩水中から取り出した3cm×4cmのイオン交換膜1の表面をティッシュペーパーでぬぐって水気を軽く除いた。これを25mlのアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の100mmol/L水溶液に25℃で24時間浸漬し、イオン交換膜に薬剤イオン(アスコルビン酸リン酸エステルイオン)を含浸させた。この膜と薬剤の電極への到達を防ぐイオン交換膜(イオン交換膜7)を用いて図2に示す作用極構造体を作製した。なお皮膚とイオン交換膜との接触面積が6cm(2cm×3cm)となるように規定した。薬液室にアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の10mmol/Lの水溶液、電極室には0.1mol/L乳酸ナトリウム水溶液を満たした。この作用極構造体と電源および対極構造体を図2に示すように接続し、ミニブタ(Yucatan Micropig、5ヶ月齢、メス)の背部皮膚に固定した。仮想皮膚室には、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液を満たした。次いで、仮想皮膚室を攪拌しながら、25℃で0.5mA/cmの定電流密度で1時間通電し、通電終了後、直ちに仮想皮膚室の液を抜き取って液体クロマトグラフィーにて薬剤量を測定した。同様の操作を通電を行わずに実施してブランク値を測定し、通電した場合の薬剤量との差を計算して薬剤透過量とした。また、通電終了後、作用極構造体をミニブタ皮膚から外し、イオン交換膜の変形の様子を目視で評価した。結果を表2に示した。
比較例1
実施例1において、イオン交換膜1をアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩水溶液に24時間浸漬して薬剤イオンを含浸させる工程を行わなかった以外は、同様の操作を行い評価を行った。結果を表2に示した。
Figure 0004606118
実施例2
実施例1と同様にして、アスコルビン酸リン酸エステルイオン)を含浸させたイオン交換膜1を得た。
この膜とミニブタの背部皮膚、保護イオン交換膜(イオン交換膜7)を用いて図3に示すようなセルを組んだ。なおイオン交換膜の有効面積は6cm(2cm×3cm)となるように規定した。薬液室にアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の10mmol/Lの水溶液を満たし、仮想皮膚室には、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液、2つの電極室には0.1mol/L乳酸ナトリウム水溶液を満たした。次いで、薬液室と仮想皮膚室を攪拌しながら、25℃で0.5mA/cmの定電流密度で1時間通電し、通電終了後、直ちに仮想皮膚室の液を抜き取って液体クロマトグラフィーにて薬剤量を測定した。同様の操作を通電を行わずに実施してブランク値を測定し、通電した場合の薬剤量との差を計算して薬剤透過量とした。また、通電終了時の膜とミニブタ皮膚との接触の様子を目視で評価した。結果を表3に示した。
比較例2
実施例2において、イオン交換膜1をアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩水溶液に24時間浸漬して薬剤イオンを含浸させる工程を行わなかった以外は、同様の操作を行い評価を行った。結果を表3に示した。
実施例3〜7
イオン交換膜1に代えてイオン交換膜2〜6を用いた以外は、実施例2と同様にして薬剤透過量を測定し、膜とミニブタ皮膚の接触の様子を評価した。結果を表3に示した。
比較例3〜7
イオン交換膜1に代えてイオン交換膜2〜6を用いた以外は、比較例2と同様にして薬剤透過量を測定し、膜とミニブタ皮膚の接触の様子を評価した。結果を表3に示した。
Figure 0004606118
実施例8
皮膚と接触させるイオン交換膜として、イオン交換膜1に代えてイオン交換膜7を用い、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩水溶液に代えてリドカイン塩酸塩水溶液を用い、さらに保護イオン交換膜としてイオン交換膜1を用いた以外は、実施例2と同様にして薬剤透過量を測定し、膜とミニブタ皮膚の接触の様子を評価した。結果を表4に示した。なお、リドカイン塩酸塩水溶液の濃度も、実施例2と同様、セルを組む前のイオン交換膜浸漬時には100mmol/L、薬剤透過試験時には10mmol/Lである。
実施例9
皮膚と接触させるイオン交換膜として、イオン交換膜7に代えてイオン交換膜8を用いた以外は、実施例8と同様にして、同様にして薬剤透過量を測定し、膜とミニブタ皮膚の接触の様子を評価した。結果を表4に示した。
比較例8
実施例8において、イオン交換膜7をリドカイン塩酸塩の100mmol/L水溶液に24時間浸漬して薬剤イオンを含浸させる工程を行わなかった以外は、同様の操作を行い評価を行った。結果を表4に示した。
比較例9
イオン交換膜7に代えてイオン交換膜8を用いた以外は、比較例8と同様にして薬剤透過量を測定し、膜とミニブタ皮膚の接触の様子を評価した。結果を表4に示した。
Figure 0004606118
実施例10〜12、比較例10〜12
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩に代えて表5に示すイオン性薬剤を用いた以外は、実施例2(各実施例)又は比較例2(各比較例)と同様に評価を行った。結果を表5に併せて示す。
Figure 0004606118
以上のように、皮膚と接触させるイオン交換膜を予め薬剤溶液に浸漬してイオン交換を行わせなかったイオントフォレーシスでは、通電中に膜に皺が発生するなど変形し、薬剤透過量が少ないのに対し、本発明の方法で製造した場合には通電中の変形が無く、高い薬剤透過量を得ることができる。
本発明のイオントフォレーシス用装置の代表的な構成を示す模式図。 実施例1、比較例1において、作用極構造体のイオン交換膜の変形と薬剤透過量を評価するために用いた装置の模式図。 実施例2〜12、比較例2〜12において、イオン交換膜の変形と薬剤透過量とを評価するために用いた他の装置の模式図。
符号の説明
1:作用極構造体
2:対極構造体
3:電源部
4,4’:電極
5:イオン性薬剤溶液保持部
6:イオン交換膜
7:生体表面(界面)
8:イオン交換膜
9:電解質含有部
10:イオン交換膜

Claims (2)

  1. 電極、イオン性薬剤溶液保持部及び厚さ5〜150μmのイオン交換膜がこの順に積層されており、該イオン性薬剤溶液保持部に含まれる薬効イオンを、イオン交換膜を介した電気泳動により生体に投与するために用いるイオントフォレーシス装置用作用極構造体の製造方法において、前記イオン性薬剤溶液保持部とイオン交換膜とを積層するに先立ち、該イオン交換膜の有するイオン交換基の対イオンを前記薬効イオンにより置換する工程を含むことを特徴とするイオントフォレーシス装置用の作用極構造体の製造方法。
  2. 請求項1記載のイオントフォレーシス装置用作用極構造体の製造方法をその工程に含む、イオントフォレーシス装置の製造方法。
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