JP4312085B2 - イオン性薬剤投与用の貼付材 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン性の薬剤を経皮投与する際に用いられる貼付材に関する。本貼付材は電圧を印加することなく生体に薬剤を浸透できる。
人間等の生体への薬剤の投与方法としては、経口投与方法や注射による投与方法が広く知られている。これらの方法に続く投与方法として、経皮投与方法に注目が集められている。経皮投与方法は、無痛状態で所望の患部に長時間に亘り薬剤を投与することが可能な方法である。また、経皮投与方法に用いる経皮投与剤は小型で、携帯が容易であるなどの様々な利点がある。このため、近年、様々な経皮投与剤の開発が行われている。
従来、これら経皮投与剤は、薬剤溶液が親水性高分子や綿布などの薬剤保持材に含浸された薬剤層を有する。経皮投与剤の使用時には、この薬剤層が生体の皮膚に密着される。これにより、薬剤が皮膚を通過して生体に浸透される。
この投与方法においては、一般に、薬剤の濃度差が駆動力となって、生体内に薬剤が浸透される。しかしながら、通常の薬剤の皮膚や粘膜などの生体表面に対する浸透速度は小さい。このため、多量の薬剤を一度に生体へ投与できない問題がある。また、投与効率を高めるために経皮投与剤中の薬剤濃度を高めることが行われている。しかし、この方法による場合は、高価な薬剤を必要な投与量以上に薬剤層に含浸させる必要があるので、投与必要量を超える薬剤は無駄になる。更に、薬剤は溶液状態で生体に投与されるので、薬剤の溶解度が低い場合は、必要な投与量の薬剤溶液が得られない問題がある。
イオン性薬剤の経皮投与の場合には、これらの欠点を解消するものとして、電気泳動を利用して薬剤イオンを生体内に浸透させるイオントフォレーシス法が知られている。さらに、薬剤の投与量を増すことを目的として、生体表面にイオン交換膜を置き、該イオン交換膜を通して薬剤イオンを生体に浸透させるイオントフォレーシスの新しい手法も提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これらの提案において使用されるイオン交換膜は、製塩や、食品化合物の透析に用いられる織布を基材に用いた市販品である。
特開平3−94771号公報 特公表3−504343号公報 特開平4−297277号公報 特開2000−229128号公報
このように、薬剤の経皮投与方法においては、薬剤の生体への投与量が低いという問題があった。また、イオントフォレーシス法では、薬剤の投与に際して、電圧を印加するための電極や電源を備えた複雑な構造の投与装置が必要である。このため、上記イオン交換膜を用いるイオントフォレーシスは、経皮投与法の重要な利点である携帯性、小型性に劣り、また装置が高価なものになる問題がある。
本発明者等は、上記問題を解決するために鋭意研究を行ってきた。その結果、表面が平滑なイオン交換膜を生体表面に密着させて薬剤を経皮投与することで、電圧を印加しなくとも目的薬剤の投与量を著しく高めることができる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、電圧を印加することなく、生体表面から生体内にイオン性薬剤を浸透させることにより、生体にイオン性薬剤を投与するために用いる貼付材であって、該貼付材は、生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜と、該イオン交換膜内に含浸せしめられたイオン性薬剤とを有し、かつ該イオン交換膜が、熱可塑性樹脂からなる多孔質膜を基材とし、該基材内の空隙にイオン交換樹脂を含有してなるイオン交換膜であることを特徴とする、生体に対するイオン性薬剤投与用の貼付材である。
本発明のイオン性薬剤投与用の貼付材は、生体表面にイオン交換膜を密着させることにより、これまでの貼付材に比べて薬剤の高い投与量を達成できる。作用機構の詳細は不明であるが、イオン交換作用によりイオン交換膜内で薬剤が局部的に濃縮されることで生体内との濃度差が大きくなり、高い投与量が達成されるものと思われる。
これらの高い投与量は、表面粗さが7μm以下のイオン交換膜を使用した場合にのみ達成される。このイオン交換膜は多孔質膜を基材として容易に製造できるが、織布を基材とするイオン交換膜に比べて表面が平滑なことで生体表面との密着性が高まって、大きい投与量が達成されるものと思われる。
表面粗さが7μm以下のイオン交換膜を用いる本発明のイオン性薬剤投与用の貼付材は、薬剤の経皮投与方法における各種特長に加え、これまでの経皮投与方法では得られなかった薬剤の極めて大きな投与量が達成可能となる。従って、本発明の貼付材は、美容用途、医療用途、サプリメント類を投与する健康増進用途など、これまで経皮投与方法の適用が検討されてきた全ての用途において極めて優れた効果を発揮する貼付材として好適に使用可能である。
本発明の貼付材は、生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜と、該イオン交換膜内に含浸せしめられたイオン性薬剤と有すればよい。さらに必要に応じて、イオン交換膜の生体表面と接触する部位を有する側とは反対側にイオン性薬剤含有層が存在していたり、あるいは、イオン性薬剤の漏れ等を防ぐための各種部材を有していても良い。またイオン性薬剤はそれ単独で存在していても良いし、該薬剤を溶解させるための水、アルコール等の溶剤を含んでいてもよい。
本発明の貼付材は、生体に対して有用なイオン性薬剤を経口投与や注射による投与によらず、経皮的に生体内へ投与するために用いられるものである。
該イオン性薬剤は正イオンと負イオンとからなるものであって、この正イオン又は負イオンが生体内に入ることにより薬理効果を発揮する物質であれば特に制限されるものではない。例えば、正イオン側が薬理効果を有するイオン性薬剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン、塩酸ジブカインなどの麻酔剤、マイトマイシン、塩酸ブレオマイシンなどの抗悪性腫瘍剤、塩酸モルフィネなどの鎮痛剤、酢酸メドロキシプロゲステロンなどのステロイド類、ヒスタミンなどが挙げられる。
一方、負イオン側が効果を発揮するイオン性薬剤としては、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸などのビタミン剤、アスピリン、イブプロフェンなどの抗炎症剤、デキサメタゾン系水溶性製剤などの副腎皮質ホルモン、ベンジルペニシリンカリウムなどの抗生物質、インスリンなどが挙げられる。
本発明の貼付材は、これらのイオン性薬剤が、生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜に含浸させられたものである。表面粗さが7μmを超えるイオン交換膜を用いたり、あるいは、イオン交換膜を全く用いない場合には、(電圧付与を行わないと)イオン性薬剤の生体内への浸透がほとんどない。換言すれば、表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜を用いることにより、電圧を印加せずとも生体内へイオン性薬剤が浸透する。
従来の電圧を印加するタイプの薬剤投与装置(イオントフォレーシス用装置)とは異なり、電圧を付与しなくともイオン性薬剤を生体内へと浸透させることができる原理は明らかではないが、表面粗さが小さい、即ち、表面が平滑であることにより、実効接触面積が極めて大きなものとなることに理由があるのではないかと推測している。
なお、当該表面粗さ(Rz)は、JIS―B0601−1994に規定される十点平均粗さである。
本発明のイオン性薬剤投与用の貼付材で用いるイオン交換膜は生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のものであれば公知の如何なるイオン交換膜であっても特に制限されず使用できる。より好ましくは表面粗さ(Rz)が5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、特に好ましくは1μm以下のイオン交換膜の使用である。なお、本発明において、該イオン交換膜は、生体と接触する部位の表面粗さが上記範囲内にあれば良く、それ以外の、生体と接触する部位以外の部分の表面形状は特に制限されず、表面粗さ(Rz)が7μmより大きくても構わない(以下では、生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜を、表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜、あるいは単にイオン交換膜と称する場合がある)。
本発明の貼付材に用いる、上記イオン交換膜の有するイオン交換基の極性は、目的とするイオン性薬剤の極性により選択され、イオン性薬剤の薬効イオンの荷電と同荷電のイオンを交換する膜が用いられる。即ち、目的薬剤の薬効イオンが正に荷電している場合にはカチオン交換基を有する膜(カチオン交換膜)が、また、目的薬剤の薬効イオンが負に荷電している場合にはアニオン交換基を有する膜(アニオン交換膜)が使用される。
当該イオン交換基としては、水溶液中で負又は正に荷電し得る官能基であれば特に限定されない。このようなイオン交換基となり得る官能基を具体的に例示すれば、カチオン(陽イオン)交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が特に好ましい。また、アニオン(陰イオン)交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適に用いられる。
本発明における上記イオン交換膜としては、イオン性薬剤の含浸量を多くして生体への投与量を増すために、固定イオン濃度が0.3〜15.0mmol/g−水であることが好ましく、0.6〜12.0mmol/g−水であることがより好ましい。
このような固定イオン濃度のイオン交換膜を得るためには、イオン交換容量及び含水率を調整すればよい。固定イオン濃度は、イオン交換容量/含水率であるから、イオン交換容量が大きいほど固定イオン濃度も大きくなる。イオン交換容量は一般に、イオン交換基の量を多くするほど大きくなる。上記固定イオン濃度を得るためには、イオン交換容量で0.1〜6.0mmol/g−乾燥膜、特に0.3〜4.0mmol/g−乾燥膜であるものを用いることが好ましい。また、含水率が低いほど、固定イオン濃度は高くなる。しかし、含水率があまりに低いとイオン性薬剤のイオン交換膜内での移動抵抗が増大する傾向がある。イオン交換膜の含水率は、イオン交換膜の乾燥質量に対して5質量%以上、好適には10質量%以上であるのが好ましい。一般的には含水率が5〜90質量%、好ましくは10〜50質量%のイオン交換膜を用いることが好適である。このような範囲の含水率を得るためには、イオン交換基の種類、イオン交換容量及び架橋度等を適宜選択することにより制御することができる。
さらに、本発明におけるイオン交換膜としては、ある程度以上の厚さがあった方が、物理的な強度が高く好ましいが、一方で、膜厚が薄い方が生体への追随性が良好であるため、膜厚が5〜150μmのものを用いることが好ましく、10〜120μmのものを用いることがより好ましい。また、この膜厚範囲のものは、製造も容易である。
このようなイオン交換膜としては、生体に対して有害な不純物を含まない限り、如何なる製造方法で得られたものでも良いが、表面粗さが7μm以下のものを容易に製造できる点で、多孔質フィルムや不織布等の表面が平滑な多孔質膜を基材(補強材、支持材とも呼ばれる)とし、該多孔質膜の空隙内にイオン交換樹脂を充填することによって得られるものであることが好ましい。多孔質膜を基材とすることにより、織布を基材とするよりも遙かに容易に表面が平滑なものを製造することができ、また基材を用いない(キャスト法など)場合よりも極めて容易な製造工程で膜の製造が可能で、また強度に優れたイオン交換膜の製造が可能である。またこのようなイオン交換膜におけるイオン交換樹脂の充填率は、後述の多孔質膜の空孔率とも関係するが、一般的には5〜95重量%であり、薬剤イオンの透過を容易にして、かつイオン交換膜の強度を高めるために10〜90重量%であることが好ましい。
当該多孔質膜を基材とするイオン交換膜の最も代表的な製造方法を具体的に述べると以下の通りである。即ち、表面の平滑な多孔質膜に、スチレン等のイオン交換基を導入可能な重合性単量体を浸透させた後、表面をポリエステルフィルム等の平滑な材料で覆った状態で重合させて重合体とし、さらにそこへイオン交換基を導入する方法で製造ができる。
当該多孔質膜は、表裏を連通する細孔を多数有するフィルムもしくはシート状のものであれば特に制限されるものではないが、上記のような物性のイオン交換膜とし易く、また物理的強度に優れたものとすることが容易な点で、孔の平均孔径は0.005〜5.0μm、特に0.01〜2.0μmであることが好ましく、空隙率(気孔率とも呼ばれる)は20〜95%、特に30〜90%であるのが好ましく、透気度(JIS P−8117)は1000秒以下、特に500秒以下であるのが好ましい。また、用いる多孔質膜の厚みは、イオン交換膜が前記した厚さとなるように5〜150μmであるものが好ましく、10〜120μmがより好ましい。
また、当該多孔質膜の材質は特に制限されるものではないが、その製造が容易であるばかりでなく、本発明の貼付材を後述する袋状物の形態とする際に、該袋状物を融着により簡単に製造ができる点で、熱可塑性樹脂からなる多孔質フィルムであるのが好ましい。
当該多孔質フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフロオロエチレン−ペルフロオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂等からなるものが制限なく採用できるが、機械的強度、化学的安定性、耐薬品性に優れ、後述するポリスチレン系のイオン交換樹脂との馴染みがよいことからポリオレフィン樹脂を用いるのが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましく、ポリエチレンが最も好ましい。
このような多孔質フィルムは、一般に、熱可塑性樹脂組成物及び有機液体よりなる樹脂組成物をシート若しくはフィルム状に成形した後に有機液体を溶剤によって抽出すること、或いは無機フィラー及び/又は有機フィラーを充填したシートを延伸すること等により容易に得ることができる。さらには、例えば特開2002−338721号公報等に記載の方法によって得ることもできるし、あるいは、市販品(例えば、旭化成「ハイポア」、宇部興産「ユーポア」、東燃タピルス「セテラ」、日東電工「エクセポール」、三井化学「ハイレット」等)として入手することも可能である。
また、多孔質膜内に充填されているイオン交換樹脂は特に限定されず、スチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の芳香族ビニル化合物を重合させた重合体(以下、これらをポリスチレン系(の樹脂)とも称す)や、ポリ(メタ)アクリル酸系のもの、あるいはNafion(デュポン社)に代表されるパーフルオロスルホン酸樹脂や、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミドなどのいわゆるエンジニアリングプラスチック類、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体などのエラストマー類に前記のイオン交換基を導入した樹脂が使用できる。
より高い薬剤投与効率を得るためには、このようなイオン交換樹脂としては、架橋型のイオン交換樹脂を採用することが好ましい。さらに、製造工程の簡便さや、化学的安定性、各種イオン交換基の導入が簡単である等の点から、ポリスチレン系の架橋型イオン交換樹脂であることが好ましい。
当該ポリスチレン系のイオン交換樹脂は、一般的には、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の陽イオン交換基の導入可能な官能基を有する芳香族ビニル化合物、あるいはスチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の陰イオン交換基が導入可能な官能基を有する芳香族ビニル化合物を重合させ、ついで公知の方法でイオン交換基を導入することにより製造することができる。
また、上記イオン交換樹脂は架橋型のものであることが好ましく、上記イオン交換基の導入可能な官能基を有する芳香族ビニル化合物を重合させる際に、架橋性単量体を用いることが好ましい。当該架橋性単量体としては特に制限されるものではなく、例えば、ジビニルベンゼン類、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物、トリメチロールメタントリメタクリル酸エステル、メチレンビスアクリルアミド、ヘキサメチレンジメタクリルアミド等の多官能性メタクリル酸誘導体が用いられる。
また、上記各成分の他に、必要に応じて上記イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体や架橋性単量体と共重合可能な他の炭化水素系単量体や可塑剤類が添加されたものでよい。こうした他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、アクロレイン、メチルビニルケトン等が用いられる。また、可塑剤類としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジメチルイソフタレート、ジブチルアジペート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート等が用いられる。
これら単量体を重合させる際に用いる重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限なく使用できる。こうした重合開始剤の具体例としては、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。またその他、イオン交換膜(樹脂)を製造するために用いられる公知の添加剤を配合してもよい。
これら単量体組成物を構成する各成分の配合割合は、一般には、イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体100重量部に対して、架橋性単量体を0.1〜50重量部、好適には1〜40重量部、これらの単量体と共重合可能な他の単量体を0〜100重量部使用するのが好適である。また、重合開始剤は、イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部、好適には0.5〜10重量部配合するのが好ましい。
当該重合、およびイオン交換基の導入は、前記多孔質フィルム内に充填する前に行っても良いが、高性能の膜を効率よく製造できるという観点から、上記イオン交換基が導入可能な官能基を有する単量体、架橋性単量体、重合開始剤および必要に応じて配合される他の成分からなる単量体組成物(以下、単量体組成物)を、前記多孔質フィルムの有する空隙内に含浸させた後、単量体組成物を重合し、次いで生成した重合体に陽イオン交換基や陰イオン交換基を導入する方法が好ましい。
多孔質フィルムの有する空隙内への上記単量体組成物の含浸(充填)方法は特に限定されず、例えば、単量体組成物を多孔質フィルムに塗布したり、スプレーしたり、あるいは単量体組成物中に多孔質フィルムを浸漬したりすることによって行なうことができる。上記単量体組成物の塗布等に際しては、多孔質フィルムの空隙に該単量体組成物が良好に充填されるように減圧下で両者を接触さたり、接触後に加圧処理を行なうなどの方法を採用してもよい。また、基材となる多孔質フィルムに充填された単量体組成物を重合する場合には、ポリエステル等のフィルムに挟んで加圧しながら常温から昇温して重合することにより、得られる膜の表面粗さを7μm以下とすることが容易にできる。加圧条件は0.01〜1.0MPaが好適である。その他の重合条件は、使用した重合開始剤の種類や単量体組成物の組成等に応じて適宜決定すればよい。
ついでこの多孔質フィルムに充填、重合せしめられて得た重合体に対して、公知のイオン交換基導入処理を施してイオン交換膜とする。イオン交換基導入処理の方法は公知の方法を適宜選択して採用すればよく、例えば、陽イオン交換膜を得る場合にはスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理を行なえばよく、また陰イオン交換膜を得る場合にはアミノ化、アルキル化等の処理を行なえばよい。
むろん本発明の貼付材におけるイオン交換膜としては、表面粗さが7μm以下であれば、上記以外の製造方法によって製造されたイオン交換膜を用いても良く、多孔質膜にイオン交換基を有する重合体を浸透させたり、イオン交換基を有する重合性単量体を浸透させ、該重合性単量体を重合させる方法等で製造されたもの等でもなんら問題はない。
本発明の貼付材は上記表面粗さが7μm以下のイオン交換膜と、該イオン交換膜に含浸せしめられた前記イオン性薬剤とを必須とするが、その製造方法は特に制限されるものではない。一般的には、用いるイオン性薬剤を、該薬剤を溶解することの可能な溶剤、例えば水やエタノール等のアルコール類に溶解させて溶液とし、この溶液をイオン交換膜に浸透させることで製造ができる。また、必要であれば、用いた溶剤をこの浸透の後に揮発除去するなどして、イオン性薬剤濃度を調整しても良い。浸透させる方法としては、イオン交換膜を上記のようなイオン性薬剤の溶液に浸漬させる方法や、イオン交換膜に対し、イオン性薬剤溶液を塗布、スプレー等する方法が挙げられる。また、後述するイオン性薬剤含有層を設けることにより、該イオン性薬剤含有層とイオン交換膜との界面を通してイオン性薬剤がイオン交換膜内に供給され、これにより本発明の貼付材が形成される。
本発明の貼付材においては、上記表面粗さが7μm以下のイオン交換膜と、該イオン交換膜に含浸せしめられた前記イオン性薬剤のみからなる、換言すれば、イオン性薬剤を含浸させたイオン交換膜単独で構成することも可能である。しかし、薬剤の投与を経時的に持続させるために、該イオン交換膜の生体と接触する部位を有する側とは反対側に、イオン性薬剤含有層を設けることが好適である。上記したように、この場合には、予めイオン性薬剤を含浸させたイオン交換膜を用いなくとも、貼付材作成後、使用待機時あるいは使用時にイオン性薬剤はイオン交換膜内に浸透する。
このイオン性薬剤含有層には、通常の経皮投与に用いられる薬剤含有層が何ら制限されることなく使用可能である。即ち、上記したイオン性の薬剤を水、エタノールなどの溶剤に溶解させた溶液そのもの、該溶液をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどのゲル、多孔質フィルム、ガーゼ、紙などに含浸させたものが使用可能である。
さらに、本発明の貼付材は、イオン交換膜やイオン性薬剤含有層の乾燥を防ぐ目的で最外層に溶剤難透過性の外装材を設けたり、生体表面との密着力を増すために貼付材の周縁部に粘着層を設けることも可能である。
上記溶剤難透過性の外装材としては、熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系のフィルムであることが好ましい。このようなものを用いることにより、イオン交換膜として前記熱可塑性樹脂を基材としたイオン交換膜と、接着剤等の接合用材料を用いずとも熱融着等による接合が容易となり、接着剤等の使用による不純物の混入を防止することができる。このようなフィルム状の外装材を用いる場合、その厚さは特に制限されるものではなく、一般的な厚さのフィルムを採用すれば良く、通常は5〜150μm程度である。
ポリオレフィン系のフィルム等からなる外装材を有する貼着材の代表的な構造を図1に示す。即ち、貼付材100は、生体の表面1と接触する側の表面粗さが7μm以下のイオン交換膜2と、フィルム状外装材4とからなり、これらの周縁部6を互いに接合することにより内部に密閉された中空部を有する袋状物の形態をしている。該袋状物内の中空部には、イオン性薬剤含有層3が設けられている。イオン交換膜2には、イオン性薬剤含有層3が含有するイオン性薬剤と同じイオン性薬剤が含浸されている。該フィルム状外装材4とイオン交換膜2との周縁部6は融着等により接合、密封されている。
この貼付材100のイオン交換膜2を生体の表面1に貼着することにより、該イオン性薬剤が生体との接触面から、生体内へと迅速に浸透していく。
フィルム状外装材4は、イオン性薬剤含有層3に含まれるイオン性薬剤やその他の成分が、保管時に貼付材を収納している包装材料や、貼付材の使用時の衣類へ付着したり、あるいは揮散したりすることを防止する。
なお、図1は、イオン性薬剤含有層3が存在した場合を示しているが、前述したように、この層3は存在していなくても良い。更に、該貼付材は、周縁部の生体と接する側の表面に粘着層等を有していても良く、また、その他、図示した以外の各種部材を有していても良い。
図1に示す袋状の貼付材100を製造する方法は特に制限されず、如何なる方法によって製造しても良い。例えば、イオン交換膜とフィルム状外装材との周縁部の一部を残して互いに接合することにより、周縁部の一部が開口した袋状物を製造する。次いで開口部から袋状物の内部にイオン性薬剤含有物質を充填する。その後、該開口部をさらに接合して袋状物を密封する。または、イオン交換膜とフィルム状外装材とを用いてイオン性薬剤含有層を挟む。その後、イオン交換膜とフィルム状外装材との周縁部を一度に接合して密封しても良い。
前記したように、接合、密封する方法としては、製造が容易で、密封状態の保持性も高く、さらにはイオン性薬剤含有層に対する不純物混入の危険性が少ない点で、融着により接合、密封する方法が好ましい。該融着の方法は特に制限されるものではなく、熱可塑性樹脂からなるフィルムを融着するために用いられる公知の如何なる方法も採用できる。一般には、接合する部分に対して、外装材およびイオン交換膜の基材となっている熱可塑性樹脂の溶融温度より0〜100℃高い温度を付与できる材料を押当てたり、あるいは50〜300Hzの振動や10〜50kHzの高周波を印加して融着する。
貼付材の製造後、使用するまでの保管時に、内部のイオン性薬剤や溶剤等が貼付材の外部に漏出したり、あるいはイオン性薬剤に対して有害な環境(酸素、紫外線等)から遮断する目的で、イオン交換膜の生体と接触する部位が存在する面に脱離可能に保護フィルムを設けたり、貼付材全体をさらに袋状の包装材で密封しても良い。
本発明の貼付材の大きさは特に限定されるものではなく、目的や用途によって適宜決定すればよい。一般には、直径もしくは一辺の長さは、0.5〜50cm程度、厚さは40〜2300μm程度である。この場合には、イオン交換膜及び必要に応じて用いられる外装材の厚さを前記のように5〜150μmとし、イオン性薬剤又はイオン性薬剤含有層の厚さを30〜2000μmとすればよい。また、上記フィルム状外装材を用いる場合、融着する周縁部の大きさも特に制限がなく、簡単に破断等して内部のイオン性薬剤又はイオン性薬剤含有層が漏れ出すことを防止するに足りる周縁部の大きさにすればよい。一般には、周縁部の幅は0.1〜5mm程度でよい。
本発明の貼付材の使用方法は、通常、以下に示すものである。即ち、投与するイオン性薬剤を含浸したイオン交換膜が生体表面に直接密着するように、貼付材を生体表面へ貼り付ける(該イオン交換膜の接触面は表面粗さ(Rz)が7μm以下である)。貼付材の生体表面への貼り付け方法は、前記のように貼付材に粘着層を設けておいてこの粘着層を介して貼着ても良い。または、医療用絆創膏等を利用して貼着しても良い。また、貼付場所や貼付時間等は、用いるイオン性薬剤の種類や濃度、所望の投与量等により適宜決定される。
本発明を更に具体的に説明するため、以下、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例および比較例で用いたイオン交換膜の特性値は、以下の方法により測定した。
(1)イオン交換容量および含水率;
イオン交換膜を1mol/LのHCl水溶液に10時間以上浸漬した。
その後、陽イオン交換膜の場合には、1mol/LのNaCl水溶液で水素イオン型をナトリウムイオン型に置換させ、遊離した水素イオンを水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。
一方、陰イオン交換膜の場合には、1mol/LのNaNO水溶液で塩化物イオン型を硝酸イオン型に置換させ、遊離した塩化物イオンを硝酸銀水溶液を用いて電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。
次に、同じイオン交換膜を1mol/LのHCl水溶液に4時間以上浸漬し、イオン交換水で十分水洗した後、その膜を取り出しティッシュぺーパー等で表面の水分を拭き取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。次に膜を60℃で5時間減圧乾燥させその重量を測定した(Dg)。上記測定値に基づいて、イオン交換容量及び固定イオン濃度を次式により求めた。
イオン交換容量=A×1000/D[mmol/g−乾燥重量]
含水率=100×(W−D)/D[%]
固定イオン濃度=100×イオン交換容量/含水率[mmol/g−水]
(2)膜抵抗;
セルの内部をイオン交換膜で仕切って形成した2室のそれぞれに白金黒電極を設けた構造の2室セルを用意した。イオン交換膜の両側の各室に3mol/lの硫酸水溶液を満たした。交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定した。該電極間の抵抗値とイオン交換膜を設置しない場合の該電極間の抵抗値の差抵抗値を膜抵抗値とした。なお、上記測定に使用する膜は、あらかじめ3mol/lの硫酸水溶液中で平衡にしたものを用いた。
(3)表面粗さ;
三次元粗さ測定器(小坂研究所製TDF−3A型)を用いて、イオン交換膜表面の表面粗さを測定した。得られた粗さ曲線において、評価長さを11mmとして測定した十点平均粗さ(Rz)をもってイオン交換膜の表面粗さとした。
(4)仮想皮膚系での薬剤透過量;
10質量%のポリビニルアルコール(日本合成製NH−20)の水溶液をろ紙(アドバンテック製化学分析用ろ紙5C)上に塗布した。塗布量は、溶媒除去後にポリビニルアルコールが2mg/cmとなるようにした。その後、室温で24時間以上放置して水を揮散させて仮想皮膚を得た。次いで、図2に示すように、該仮想皮膚20と測定対象とする被検膜(イオン交換膜等)21とを密着させてセルの中央に設置した。薬液室22に所定濃度の薬剤の水溶液を、仮想皮膚室23には0.9質量%の塩化ナトリウム水溶液を満たした。次いで、薬液室22内と仮想皮膚室23内とを攪拌しながら、25℃で所定時間透過試験を行った。試験終了後、直ちに仮想皮膚室23内の液を抜き取り、これを測定試料とした。測定試料中の薬剤量を高速液体クロマトグラフを用いて測定した。
(5)生体系での薬剤透過量;
仮想皮膚(ポリビニルアルコールを塗布したろ紙)の代わりに、生体皮膚としてミニブタ(Yucatane Micropig、5ヶ月齢、メス)の背部皮膚を用い、仮想皮膚系と同じ方法で薬剤透過量を測定した。
製造例1
クロロメチルスチレン380g、ジビニルベンゼン20g、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート20gからなる単量体組成物を調整し、この単量体組成物420gを500mlのガラス容器に入れた。この単量体組成物中に20cm×20cmの多孔質膜(質量平均分子量25万のポリエチレン製、膜厚25μm、平均孔径0.03μm、空隙率37%)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、この多孔質膜に単量体組成物を含浸させた。続いて、上記多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、厚さ100μmのポリエステルフィルムでこの多孔質膜の両側を被覆した後、平滑なステンレス板2枚の間に挟み込み、0.29MPa(3kg/cm)の窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物をトリメチルアミン15質量%、水60質量%、アセトン25質量%よりなるアミノ化浴に浸漬し、室温で5時間反応せしめ4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。
得られた陰イオン交換膜のイオン交換容量、含水率、固定イオン濃度、膜抵抗、膜厚、表面粗さを測定した。結果を表1に示す。
製造例2〜5
単量体組成物、及び多孔質膜を表1に示した組成に代えた以外は製造例1と同様にして陰イオン交換膜を製造した。得られた膜の物性を表1に示す。
製造例6
製造例1と同様にして、表1に示す単量体組成物を多孔質膜に含浸させ、続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出した。100μmのポリエステルフィルムで多孔質膜の両側を被覆した後、これをステンレス製の平板2枚の間に挟み込み、0.29MPa(3kg/cm)の窒素加圧下、45℃で3時間、ついで75℃で5時間加熱重合した。次いで、得られた膜状物をヨウ化メチルとn−ヘキサンの1:3(質量比)の混合液中に30℃で24時間浸漬し、4級ピリジニウム型陰イオン交換膜を得た。
得られた陰イオン交換膜のイオン交換容量、含水率、固定イオン濃度、膜抵抗、膜厚、表面粗さを測定した結果を表1に示す。
Figure 0004312085
実施例1〜6
陰イオン性の薬剤であるアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の10mmol/L溶液を用いて仮想皮膚系での薬剤透過量を測定した。用いたイオン交換膜と薬剤透過量とを表2に示す。
比較例1
織布を基材とする陰イオン交換膜であるネオセプタAMX(トクヤマ製;膜物性は表1に記載)を用いた以外は、実施例1と同様にして薬剤透過量を測定した。結果を表2に示す。
比較例2
測定対象イオン交換膜を使用せず、仮想皮膚のみを用いて実施例1と同様にして薬剤透過量を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004312085
実施例7
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩の10mmol/L溶液に代えて、アスコルビン酸ナトリウム塩の10mmol/L溶液を用いて製造例1で得た膜の仮想皮膚系での薬剤透過量を測定した。結果を表3に示す。
比較例3
織布を基材とするイオン交換膜として、陰イオン交換膜であるネオセプタAMX(トクヤマ製;膜物性は表1に記載)を用いた以外は、実施例7と同様にして薬剤透過量を測定した。結果を表3に示す。
比較例4
測定対象イオン交換膜を使用せず、仮想皮膚のみを用いて実施例7と同様にして薬剤透過量を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004312085
実施例8〜13、比較例5、6
陽イオン性の薬剤である、ヒスタミン二塩酸塩の10mmol/L溶液を用いて仮想皮膚系での薬剤透過量を測定した。用いたイオン交換膜と薬剤透過量の結果を表4に示す。なお、実施例13で用いたNafion112(デュポン社製;膜物性は表1に記載)は非架橋の陽イオン交換膜である。
Figure 0004312085
実施例14、比較例7、8
陰イオン性の薬剤であるアスコルビン酸ナトリウムの10mmol/L溶液を用いて生体皮膚系での薬剤透過量を測定した。用いたイオン交換膜と薬剤透過量の結果を表5に示す。
Figure 0004312085
実施例15、比較例9
陰イオン性の薬剤であるアスコルビン酸りん酸エステルマグネシウム塩の10mmol/L溶液を用いて生体皮膚系での薬剤透過量を測定した。用いたイオン交換膜と薬剤透過量の結果を表6に示す。
Figure 0004312085
本発明の貼付材の代表的な構造を示す模式図。 実施例において、薬剤透過量を測定するために用いた装置の模式図。
符号の説明
1:生体面
2:生体との接触面の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜
3:イオン性薬剤含有層
4:フィルム状外装材
5:貼付材周縁部の接合部
6:周縁部
20:仮想皮膚または生体皮膚
21:被検膜
22:薬液室
23:仮想皮膚室
100:貼付材

Claims (3)

  1. 電圧を印加することなく、生体表面から生体内にイオン性薬剤を浸透させることにより、生体にイオン性薬剤を投与するために用いる貼付材であって、該貼付材は、生体表面と接触させる部位の表面粗さ(Rz)が7μm以下のイオン交換膜と、該イオン交換膜内に含浸せしめられたイオン性薬剤とを有し、かつ該イオン交換膜が、熱可塑性樹脂からなる多孔質膜を基材とし、該基材内の空隙にイオン交換樹脂を含有してなるイオン交換膜であることを特徴とする、生体に対するイオン性薬剤投与用の貼付材。
  2. イオン交換樹脂が、架橋されたイオン交換樹脂である請求項1に記載の貼付剤。
  3. イオン交換膜の生体表面と接触する部位を有する側とは反対側に、イオン性薬剤含有層がさらに設けられてなる請求項1又は2に記載の貼付材。
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