JP4603336B2 - データ転送システム、画像形成システム及びデータ転送方法 - Google Patents
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Description
まず、本実施の形態は高速シリアルバスの一つであるPCI Express(登録商標)を利用するものであり、本実施の形態の前提として当該PCI Express規格の概要について、非特許文献1の一部抜粋により説明する。ここに、高速シリアルバスとは、1本の伝送路を用いてシリアル(直列)伝送により高速(100Mbps程度以上)にデータをやり取りすることができるインタフェースを意味する。
A.ポート(Port)/レーン(Lane)/リンク(Link)
図4に物理層の構造を示す。ポートは、物理的には同一半導体内にあり、リンクを形成するトランスミッタ/レシーバの集合で、論理的にはコンポーネント間を1対1で接続(ポイント・ツー・ポイント)するインタフェースを意味する。転送レートは、例えば片方向2.5Gbpsとされている。レーンは、例えば0.8Vの差動信号ペアのセットで、送信側の信号ペア(2本)、受信側の信号ペア(2本)からなる。リンクは、2つのポートとその間を結ぶレーンの集まりであり、コンポーネント間のデュアルシンプレックス通信バスである。「xNリンク」はN本のレーンから構成され、現在の規格では、N=1,2,4,8,16,32が定義されている。図示例は、x4リンク例である。例えば、図5に示すように、デバイスA,B間を結ぶこのレーン幅Nを可変することにより、スケーラブルなバンド幅を構成することが可能となる。
ルートコンプレックス112は、I/O構造の最上位に位置し、CPUやメモリサブシステムをI/Oに接続する。ブロック図などでは、図3に示すように、「メモリハブ」と記述されることが多い。ルートコンプレックス112(又は、124)は、1つ以上のPCI Expressポート(ルートポート)(図2中では、ルートコンプレックス112中の四角で示す)を持ち、各々のポートは独立したI/O階層ドメインを形成する。I/O階層ドメインは、単純なエンドポイントである場合(例えば、図2中のエンドポイント115a側の例)や、多数のスイッチやエンドポイントから形成される場合(例えば、図2中のエンドポイント115bやスイッチ117b,115c側の例)がある。
エンドポイント115は、タイプ00hのコンフィグレーション空間ヘッダを持つデバイス(具体的には、ブリッジ以外のデバイス)で、レガシーエンドポイントとPCI Expressエンドポイントとに分けられる。両者の大きな違いは、PCI ExpressエンドポイントはBAR(ベースアドレスレジスタ)で基本的にI/Oポートリソースを要求せず、このためI/Oリクエストを要求しない。また、PCI Expressエンドポイントは、ロックリクエストもサポートしていない。
スイッチ117(又は、134)は、2つ以上のポートを結合し、ポート間でのパケットルーティングを行う。コンフィグレーションソフトウェアからは、当該スイッチは、図6に示すように、仮想PCI-PCIブリッジ141の集合体として認識される。図中、両矢印はPCI Expressリンク114(又は、126)を示し、142a〜142dはポートを示す。このうち、ポート142aはルートコンプレックスに近い方のアップストリームポートであり、ポート142b〜142dはルートコンプレックスから遠い方のダウンストリームポートである。
PCI ExpressからPCI/PCI-Xへの接続を提供する。これにより、既存のPCI/PCI-XデバイスをPCI Expressシステム上で使用することができる。
従来のPCIのアーキテクチャは、図7(a)に示すように、プロトコルとシグナリングが密接に関連する構造であり階層という考え方はなかったが、PCI Expressでは、図7(b)に示すように、一般的な通信プロトコルやInfiniBandのように、独立した階層構造とされ、各層に分けて仕様が定義されている。即ち、最上位のソフトウェア151、最下位の機構(メカニカル)部152間に、トランザクション層153、データリンク層154、物理層155を持つ構造とされている。これにより、各層のモジュール性が確保され、スケーラビリティを持たせることやモジュールの再利用が可能となる。例えば、新たな信号コーディング方式や伝送媒体を採用する場合、物理層を変更するだけでデータリンク層やトランザクション層は変更せずに対応できる。
トランザクション層153は、最上位に位置し、トランザクションレイヤパケット(TLP)の組み立て、分解機能を持つ。トランザクションレイヤパケット(TLP)は、リード/ライト、各種イベントといったトランザクションの伝達に用いられる。また、トランザクション層153は、トランザクションレイヤパケット(TLP)のためのクレジットを用いたフロー制御を行う。各層153〜155におけるトランザクションレイヤパケット(TLP)の概要を図9に示す(詳細は、後述する)。
データリンク層154の主な役割は、エラー検出/訂正(再送)によりトランザクションレイヤパケット(TLP)のデータ完全性を保証することと、リンク管理である。データリンク層154間では、リンク管理やフロー制御のためのパケットのやり取りを行う。このパケットは、トランザクションレイヤパケット(TLP)と区別するために、データリンクレイヤパケット(DLLP)と呼ばれる。
物理層155は、ドライバ、入力バッファ、パラレル−シリアル/シリアル−パラレル変換器、PLL、インピーダンス整合回路といったインタフェース動作に必要な回路を含んでいる。また、論理的な機能としてインタフェースの初期化・保守の機能を持つ。物理層155は、データリンク層154/トランザクション層153を実際のリンクで使用される信号技術から独立させる役目も持っている。
PCI Expressは、従来のPCIと同様にコンフィグレーション空間を持つが、その大きさは従来のPCIが256バイトであるのに対して、図10に示すように、4096バイトへと拡張されている。これにより、多数のデバイス固有レジスタセットを必要とするデバイス(ホストブリッジなど)に対しても、将来的に十分な空間が確保されている。PCI Expressでは、コンフィグレーション空間へのアクセスは、フラットなメモリ空間へのアクセス(コンフィグレーションリード/ライト)で行われ、バス/デバイス/機能/レジスタ番号はメモリアドレスにマップされている。
PCI Express のアーキテクチャの中心となっているトランザクション層153、データリンク層154、物理層155について、各々詳細に説明する。
トランザクション層153の主な役割は、前述したように、上位のソフトウェア層151と下位のデータリンク層154との間でトランザクションレイヤパケット(TLP)の組み立てと分解を行うことである。
PCI Expressでは、従来のPCIでサポートされていたメモリ空間(メモリ空間とのデータ転送用)、I/O空間(I/O空間とのデータ転送用)、コンフィグレーション空間(デバイスのコンフィグレーションとセットアップ用)に加えて、メッセージ空間(PCI Expressデバイス間のインバンドでのイベント通知や一般的なメッセージ送信(交換)用…割り込み要求や確認は、メッセージを「仮想ワイヤ」として使用することにより伝達される)が追加され、4つのアドレス空間が定義されている。各々の空間に対してトランザクションタイプが定義されている(メモリ空間、I/O空間、コンフィグレーション空間は、リード/ライト、メッセージ空間は基本(ベンダ定義含む))。
PCI Expressは、パケット単位で通信を行う。図9に示したトランザクションレイヤパケット(TLP)のフォーマットにおいて、ヘッダのヘッダ長は3DW(DWはダブルワードの略;合計12バイト)又は4DW(16バイト)で、トランザクションレイヤパケット(TLP)のフォーマット(ヘッダ長とペイロードの有無)、トランザクションタイプ、トラフィッククラス(TC)、アトリビュートやペイロード長などの情報が含まれる。パケット内の最大ペイロード長は1024DW(4096バイト)である。
上位のソフトウェアは、トラフィッククラス(TC)を使用することによりトラフィックの差別化(優先度をつける)を行うことができる。例えば、映像データをネットワークのデータよりも優先して転送する、といったことが可能となる。トラフィッククラス(TC)はTC0からTC7まで8つある。
受信バッファのオーバフローを避け、伝送順序を確立するためにフロー制御(FC:Flow Control)が行われる。フロー制御は、リンク間のポイントツーポイントで行われ、エンドツーエンドではない。従って、フロー制御により最終的な相手(コンプリータ)にパケットが届いたことを確認することはできない。
データリンク層154の主な役割は、前述したように、リンク上の2つのコンポーネント間での信頼性の高いトランザクションレイヤパケット(TLP)交換機能を提供することである。
トランザクション層153から受け取ったトランザクションレイヤパケット(TLP)に対しては、先頭に2バイトのシーケンス番号、末尾に4バイトのリンクCRC(LCRC)を付加して、物理層155に渡す(図9参照)。トランザクションレイヤパケット(TLP)は、リトライバッファに保管され、相手から受信確認(ACK)が届くまで再送される。トランザクションレイヤパケット(TLP)の送信に失敗が続いた場合は、リンク異常であると判断して物理層155に対してリンクの再トレーニングを要求する。リンクのトレーニングが失敗した場合、データリンク層154の状態はインアクティブに遷移する。
データリンク層154が生成するパケットは、データリンクレイヤパケット(DLLP)と呼ばれ、データリンク層154間でやり取りされる。データリンクレイヤパケット(DLLP)には、
・Ack/Nak:TLPの受信確認、リトライ(再送)
・InitFC1/InitFC2/UpdateFC:フロー制御の初期化とアップデート
・電源管理のためのDLLP
なる種類がある。
図8中に示す物理層155の論理サブブロック156での主な役割は、データリンク層154から受け取ったパケットを電気サブブロック157で送信できる形式に変換することである。また、物理層155を制御/管理する機能も有する。
PCI Expressは、連続した“0”や“1”が続かないように(長い期間、クロス・ポイントが存在しない状態が続かないようにするため)、データ符号化に8B/10B変換を用いる。変換されたデータは、図13中に示すように、シリアル変換され、LSBからレーン上に送信される。ここに、レーンが複数ある場合は(図13はx4リンクの場合を例示している)、符号化の前にデータがバイト単位で各レーンに割り振られる。この場合、一見パラレル・バスのようにみえるが、レーン毎に独立した転送を行うので、パラレル・バスで問題となるスキューが大幅に緩和される。
リンクの消費電力を低く抑えるために、表1に示すように、L0/L0s/L1/L2というリンクステートが定義されている。
物理層155の電気サブブロック157での主な役割は、論理サブブロック156でシリアル化されたデータをレーン上に送信することと、レーン上のデータを受信して論理サブブロック156に渡すことである。
リンクの送信側では、ACカップリング用のコンデンサが実装される。これにより、送信側と受信側のDCコモンモード電圧が同一である必要がなくなる。このため、送信側と受信側で異なる設計、半導体プロセス、電源電圧を使用することが可能となる。
PCI Expressでは、前述したように、8B/10Bエンコーディングによってできるだけ連続した“0”や“1”が続かないように処理されるが、連続した“0”や“1”が続くこともある(最大5回)。この場合、送信側はデエンファシス転送を行わなければならないことが規定されている。同一極性のビットが連続する場合は、2つ目のビットからは差動電圧レベル(振幅)を3.5±0.5dB落とすことで、受信側で受け取る信号のノイズ・マージンを稼ぐ必要がある。これを、デエンファシスという。伝送路の周波数依存性減衰のため、変化するビットの場合は高周波成分が多く、減衰により受信側の波形が小さくなるが、変化しないビットの場合は高周波成分が少なく、相対的に受信側の波形が大きくなる。このため、受信側での波形を一定とするためにデエンファシスを行う。
本実施の形態のデータ転送システムは、前述したようなPCI Expressシステムを利用する上で、特に、その木構造について改良を加えて利用するようにしたものである。
ところで、上述したような各デバイスA〜Dのアービタ2A〜2DによるエンドポイントA1〜A4,…,D1〜D4の調停(他のデバイスへアクセスする際に使用するエンドポイントの決定)は、ホストCPU5により各々のデバイスA〜D中に書き込み設定された経路情報を参照することにより実行されるものであり、このような経路情報の設定は、主に、ホストCPU5にインストールされたデータ転送用プログラムに従い実行される。
まず、スイッチの出力ポート競合の影響について考察する。PCI Expressスイッチにおいて出力ポートに競合が生ずると、データ転送レートが低下する。図21は、PCI Expressスイッチにおいて4つの入力ポートに対して出力ポートが1つで競合が生ずる条件下で、種類の異なる4つのトラフィックを同時に開始させ、転送速度に応じてデータ転送が順に終了していく場合の特性を示したグラフである。図において、横軸は転送時間、縦軸は各ポートのデータ転送量(積算値)であり、各グラフの傾きが転送レートを示している。なお、ペイロードサイズ(パケットデータ全体のサイズのうち、ヘッダ情報以外のデータ部分のサイズを意味する)は、4種類とも64byte固定の条件での測定例とする。また、データ転送のアルゴリズムは、PCI Express規格におけるウエイテッドラウンドロビン(WRR)であり、4種類に関して1:2:4:8の比率でデータ転送させるように設定した場合の特性例を示し、1つのトラフィッククラスのデータ転送が終了すると、残りのトラフィッククラスについて8:4:2、さらには、8:4の如く、比率を変遷させながらデータ転送させるアルゴリズムである。
2A〜2D アービタ
A〜D デバイス
A1〜A4,〜,D1〜D4 エンドポイント
Claims (6)
- 木構造によるデータ通信網として送受信独立の通信チャネルが確立されるデータ転送システムであって、
前記木構造における下流側に位置する第1のデバイスは上流側に位置する第1のスイッチと通信可能な第1のエンドポイントおよび上流側に位置する第2のスイッチと通信可能な第2のエンドポイントを含む複数のエンドポイントを有するとともに、当該木構造における下流側に位置する第2のデバイスは上流側に位置する前記第1のスイッチと通信可能な第3のエンドポイントおよび上流側に位置する前記第2のスイッチと通信可能な第4のエンドポイントを含む複数のエンドポイントを有し、
前記第1のデバイスは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのそれぞれに独立したデータ転送を実行する動作モードの場合に、前記第1のエンドポイントおよび前記第2のエンドポイントを使用するように、当該第1のデバイスが有する前記複数のエンドポイントのうちで使用するエンドポイントを調停する第1のアービタを有し、前記第2のデバイスは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのそれぞれに独立したデータ転送を実行する動作モードの場合に、前記第3のエンドポイントおよび前記第4のエンドポイントを使用するように、当該第2のデバイスが有する前記複数のエンドポイントのうちで使用するエンドポイントを調整する第2のアービタを有することを特徴とするデータ転送システム。 - 当該データ転送システムがPCI Expressシステムである、ことを特徴とする請求項1記載のデータ転送システム。
- 請求項1又は2記載のデータ転送システムは、前記第1のデバイスおよび前記第2のデバイスを画像形成に関与するデバイスとすることを特徴とする画像形成システム。
- 前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスとして、少なくとも、画像入力用デバイスと画像出力用デバイスと画像処理用デバイスとストレージ用デバイスとを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
- 木構造によるデータ通信網として送受信独立の通信チャネルが確立され、前記木構造における下流側に位置する第1のデバイスが上流側に位置する第1のスイッチと通信可能な第1のエンドポイントおよび上流側に位置する第2のスイッチと通信可能な第2のエンドポイントを含む複数のエンドポイントを有するとともに、当該木構造における下流側に位置する第2のエンドポイントが上流側に位置する前記第1のスイッチと通信可能な第3のエンドポイントおよび上流側に位置する前記第2のスイッチと通信可能な第4のエンドポイントを含む複数のエンドポイントを有するデータ転送システムを利用するデータ転送方法であって、
前記第1のデバイスが、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのそれぞれに独立したデータ転送を実行する動作モードの場合に、前記第1のエンドポイントおよび前記第2のエンドポイントを使用するように、当該第1のデバイスが有する前記複数のエンドポイントのうちで使用するエンドポイントを調停し、前記第2のデバイスが、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチのそれぞれに独立したデータ転送を実行する動作モードの場合に、前記第3のエンドポイントおよび前記第4のエンドポイントを使用するように、当該第2のデバイスが有する前記複数のエンドポイントのうちで使用するエンドポイントを調停する、
ことを特徴とするデータ転送方法。 - 前記データ転送システムがPCI Expressシステムである、ことを特徴とする請求項5記載のデータ転送方法。
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