JP4598784B2 - 導電性複合繊維 - Google Patents

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本発明は、導電性粒子を含有するポリ乳酸を導電性成分、非導電性成分がポリエステル樹脂である導電性複合繊維であって、制電作業着、ユニフォームなどの衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び産業資材用途のみならず、電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電ブラシ、クリーナーブラシとして好適に用いることができる導電性複合繊維に関するものである。
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の疎水性ポリマーからなる繊維は、機械特性、耐薬品性、耐候性等の多くの長所を有しており、衣料のみならず産業資材用途にも広く用いられている。しかしこれらの繊維は摩擦等による静電気の発生が著しいため、空気中の粉塵を吸引して美観を低下させたり、人体に電撃を与えて不快感を与えたり、さらにはスパークによる電子機器への障害や、引火性物質への引火爆発等の問題を引き起こす場合があり、これらの問題を解決すべく導電性を付与するための多くの研究がなされてきた。
特許文献1には、導電性カーボンブラックや金属粉等の導電性粒子を含有する導電性成分を非導電性ポリマーで包み込んだ芯鞘型の複合繊維が記載されている。このような芯鞘型の複合繊維であれば、導電性粒子は繊維の内部のみに存在するので、操業時のトラブルは生じにくく、操業性よく得ることが可能であった。しかしながら、導電性粒子が繊維内部のみに存在するため、導電性能は不十分であった。
一方、特許文献2には、導電性粒子を含有する導電性成分を鞘部に配した芯鞘型の導電性複合繊維が記載されている。このような導電性複合繊維は、特許文献1に記載の繊維と比較すると、導電性能はかなり満足できるものであったが、操業時のトラブルは生じやすいものであった。
しかしながら、このような芳香族系ポリエステル繊維を含め、ポリオレフィン、ポリアミド等の合成繊維は、使用した後、自然界に放置されても分解され難く、地球環境の保護の面からさまざまな問題を生じている。例えば、これらの生活衣料品等は分解され難いため、使用後に一部はリサイクルされるが、その大半は焼却等の処理が必要となるため、その廃棄に制限があった。
さらには、これら合成繊維は石油を原料とするものであり、大量消費により、化石資源の枯渇問題などを提起するに至っている。この様な状況に対し、自然環境中で分解するポリマー素材の開発が切望されており、脂肪族ポリエステル等、様々なポリマーの研究開発、実用化の試みが活発化している。そして、微生物により分解されるポリマー、すなわち生分解性ポリマーに注目が集まっている。
一方、従来のポリマーはその殆どが石油を原料とするものであるが、石油資源を大量消費することにより、地質時代より地中に蓄えられていた二酸化炭素が大気中に放出され、さらに地球温暖化が深刻化することが懸念されている。しかし、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料としてポリマーが合成できれば、二酸化炭素循環により地球温暖化を抑制できることが期待できるのみならず、資源枯渇の問題も同時に解決できる可能性がある。このため植物資源を原料とするポリマー、すなわちバイオマスポリマーに注目が集まっている。
上記のことより、バイオマス利用の生分解性ポリマーが大きな注目を集め、石油資源を原料とする従来のポリマーを代替していくことが期待されている。
特に、現在最も注目されているバイオマス利用のポリマーはポリ乳酸である。ポリ乳酸は植物から抽出したデンプンを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用のポリマーの中では力学特性、耐熱性、コストのバランスが最も優れており、一部の用途には使用されている。しかしながら、従来の合成繊維と比較すると力学特性や耐熱性に劣るという問題点がある。
特開平09−143821号公報 WO2002/075030号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するもので、ポリ乳酸を一部に用いているにも関わらず、十分な導電性能と強度を有しており、高温雰囲気下での強度の低下が少なく、クリーンルーム用や医療用の作業用ユニフォーム等の衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途に好適であり、さらには電子写真記録方式の乾式複写機やファクシミリ、プリンター等に用いられる帯電ブラシ、クリーナーブラシにも好適に用いることができる導電性複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一成分を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリ乳酸からなる導電性成分とで構成され、導電性成分の割合が繊維全体の10〜60質量%であり、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状を呈している導電性複合繊維であって、電気抵抗値が1×10Ω/cm〜9×1012Ω/cmであることを特徴とする導電性複合繊維を要旨とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の導電性複合繊維は、ポリエステル樹脂からなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリ乳酸からなる導電性成分とで構成されるものである。
本発明でいうポリ乳酸としては、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体を用いることができる。
そして、ポリ乳酸は、上記のようにL−乳酸とD−乳酸が単独で用いられているもの、もしくは併用されているものであるが、中でも融点が150℃以上であることが好ましい。
ポリ乳酸のホモポリマーであるL−乳酸やD−乳酸の融点は約180℃であるが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体の場合、いずれかの成分の割合を10モル%程度とすると、融点はおよそ130℃程度となる。
そこで、ポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが、90/10以上のものが好ましく、中でも95/5以上、さらには97/3以上とすることが好ましい。
また、ポリ乳酸の中でも、上記したようなポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)は、融点が200〜230℃と高く、高温雰囲気下での強度も高くなり、特に好ましい。
上記したポリ乳酸の数平均分子量(Mn)は特に限定されるものではないが、60000以上、90000以下が好ましい。ポリ乳酸のMnが60000より小さい場合、溶融時に低粘度で製糸性が悪くなりやすい。また、ポリ乳酸の数平均分子量が90000より大きいと溶融時に高粘度となり、製糸性が悪くなりやすい。
次に、非導電性成分のポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)等を用いることができ、これらを単独あるいはブレンドや共重合したものも用いることができる。
PETの場合、共重合成分として、イソフタル酸(IPA)、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)のうち少なくとも一成分を共重合したPETとすることが好ましい。
上記共重合成分を共重合したポリエステルとすることにより、導電性成分であるポリ乳酸との相溶性が向上するばかりでなく、重縮合反応時の反応温度を下げることができ、さらには、紡糸時の温度も下げることができる。このように、重縮合反応時、紡糸時のポリマーの熱分解反応を抑制することができるので、品位、耐熱性、耐湿熱性に優れた導電性複合繊維を得ることが可能となる。
中でも、IPA、CHDM、CHDAのうち少なくとも一成分を5〜20モル%共重合した共重合PETとすることが好ましい。共重合量が5モル%未満では、通常のポリエステルと比較して融点があまり下がらないので、重縮合反応温度、紡糸温度を低下させることができず、耐湿熱性の向上効果が不十分となりやすい。共重合量が20モル%を超えると、繊維中の非晶領域が多くなるため、操業性が悪くなるばかりでなく、加水分解反応を受けやすい構造となるため、耐湿熱性能が低下しやすくなる。
また、ポリエステルの中でもPBT又はPTTを用いることが好ましい。PBTやPTTは非常に結晶性の高い樹脂であることから、加水分解反応を受けにくく、耐湿熱性能が高くなり、高温雰囲気下での強度保持率が高いものとなる。
導電性成分であるポリ乳酸に含有される導電性粒子としては、カーボンブラックや金属粉末(銀、ニッケル、銅、鉄、錫あるいはこれらの合金等)、硫化銅、沃化銅、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属化合物が挙げられる。また、酸化錫に酸化アンチモンを少量添加したり、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを少量添加して導電性粒子としたものも挙げられる。
さらには、酸化チタンの表面に酸化錫をコーティングし、酸化アンチモンを混合焼成し、導電性粒子としたものも用いることができる。中でもカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)は、他の金属粒子と比較してポリマー流動性を阻害しにくいため好ましい。
また、導電性粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径が1μm以下のものとすることが好ましい。1μmを超えると、導電性粒子のポリマー中への分散性が悪くなりやすく、導電性能や強伸度特性の低下した繊維となりやすい。
導電性成分における導電性粒子の含有量については、導電性粒子の種類、導電性能、粒子径、粒子の連鎖形成能及び用いるポリマーの特質によって適宣選択すればよいが、導電性成分中の5〜70質量%とすることが好ましく、さらに好ましくは10〜30質量%である。含有量が5質量%未満では、導電性能が不十分になる場合があり、また、70質量%を超えると、導電性粒子のポリマー中への均一な分散が難しくなるので好ましくない。
さらに、導電性成分及び非導電性成分中には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分として、1,3−プロパンジオール、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸、キシリレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等を含有してもよい。
また、目的に応じて、ワックス類、ポリアルキレンオキシド類、各種界面活性剤、有機電解質等の分散剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、艶消剤、着色剤、顔料、流動性改善剤、その他の添加剤を加えることもできる。
導電性成分、非導電性成分ともに、耐湿熱性をさらに向上させるために末端封鎖剤を添加してもよい。末端封鎖剤の具体例としては、N,N'-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドなどのカルボジイミド化合物、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物などが挙げられる。
次に、本発明の導電性複合繊維の複合形態について図面を用いて説明する。図1〜3は、本発明の導電性複合繊維の繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面形状を示す模式図である。
本発明の導電性複合繊維は、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出しているものである。図1、2に示すような、導電性成分の一部が繊維表面に露出している形状のものや、図3に示すように、導電性成分が繊維表面の全体を覆っているもの、つまり、鞘部が導電性成分、芯部が非導電性成分の芯鞘形状のものが挙げられる。中でも耐熱性、耐湿熱性が要求される用途では、ポリ乳酸の導電性成分の露出面積の少ない図1、2の形状とすることが好ましい。また、これらの形状は、クラックの発生や脱落も生じにくいものである。
導電性成分の一部が繊維表面に露出し、繊維表面の一部を導電性成分が覆っている形状のものとしては、図1(a)〜(d)に示すように、略三角形状の導電性成分が非導電性成分中に存在しており、導電性成分の一部(略三角形状の一辺)が繊維表面に露出しているようなものが挙げられる。導電性成分の形状は特に限定されるものではなく、四角形や半円形状のものであってもよい。
図1(a)は、導電性成分の数が1個で繊維表面に露出している箇所が1箇所であるもの、(b)は導電性成分の数が2個で繊維表面に露出している箇所が2箇所、(c)は導電性成分の数が3個で繊維表面に露出している箇所が3箇所、(d)は導電性成分の数が4個で繊維表面に露出している箇所が4箇所であるものの例である。
導電性成分の繊維表面に露出している箇所は2〜20箇所が好ましく、中でも3〜8箇所であることが好ましい。導電性成分の繊維表面に露出している箇所が1箇所であると、ポリ乳酸が繊維表面に露出している部分が多く、耐熱性、耐湿熱処理に劣るばかりでなく、着用等による負荷を受けた時にクラックが生じたり、破損、脱落すると、導電性能が不十分となり、当初の導電性能を維持できなくなる場合がある。
一方、導電性成分の繊維表面に露出している箇所が20箇所を超える場合は、湿熱処理後のクラックや脱落が生じやすくなる。
さらに、本発明の導電性複合繊維の形状として、導電性成分の繊維表面に露出している部分が2箇所以上あり、かつ導電性成分が繊維中心部付近を連通する形状を呈していることが好ましい。その一例としては、図2(a)〜(c)に示すようなものが挙げられる。
図2(a)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って一直線状に配置されているものであり、繊維表面に露出している部分が2箇所のものである。(b)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って十字形状に配置されており、繊維表面に露出している部分が4箇所のものである。(c)は、導電性成分が繊維の中心部付近を通って三方に分かれた形状に配置されており、繊維表面に露出している部分が3箇所のものである。
このように、導電性成分が繊維中心部付近を連通し、かつ繊維表面に2箇所以上露出していることにより、繊維表面に多数の導電性の接点が存在し、かつそれらの接点間が中心部を介して導通することにより電気の流れが多方向で可能となるので、導電性に優れた繊維とすることができる。このため、中でも導電性成分の繊維表面に露出している部分が3箇所以上とすることが好ましい。
また、本発明の導電性複合繊維においては、導電性成分の割合は繊維全体の10〜60質量%であり、中でも30〜50質量%であることが好ましい。導電性成分の複合割合が10質量%未満では、導電性性能が十分でない場合があるばかりでなく、耐熱性、耐湿熱性が劣るものとなる。一方、導電性成分の複合割合が60質量%を超えると、強伸度特性等の糸質性能が劣ったり、操業時のトラブルや滅菌処理後のクラックが生じやすくなる。
そして、本発明の導電性複合繊維は、導電性能として、電気抵抗値が1×10Ω/cm〜9×1012Ω/cmであり、中でも1×10Ω/cm〜1×10Ω/cmであることが好ましい。複合繊維の電気抵抗値が9×1012Ω/cmを超えると、使用する用途によっては、導電性能が不十分となる。導電性複合繊維の電気抵抗値が9×1012Ω/cm以下であると、得られた織編物を通常の環境下で使用した場合に、織編物の帯電をほとんどなくすことが可能となる。
一方、1×10Ω/cm未満にしようとすると、導電性粒子をポリマーに多量に含有させることが必要となり、繊維物性に悪影響を及ぼすばかりか、紡糸、延伸時にトラブルが生じやすくなる。
なお、本発明における導電性複合繊維の電気抵抗値は、AATCC76法に準じて以下のようにして測定するものである。導電性複合繊維(マルチフィラメントもしくは単糸のいずれでもよい)を長さ方向に15cm程度にカットして、10サンプルを採取する。このサンプルの両端の表面にケラチンクリームを塗布し、この表面部分を金属端子に接続し、試料測定長10cmにて、50Vの直流電流を印加して電流値を測定し、下記式で電気抵抗値を算出する。算出した10個のサンプルの電気抵抗値の相加平均値とする。
電気抵抗値=E/(I×L)
E:電圧(V) I:測定電流(A) L:測定長(cm)
次に、本発明の導電性複合繊維の高温下での強度保持性能について説明する。
本発明では、25℃雰囲気下における強度を100%としたとき、120℃雰囲気下における強度が25℃雰囲気下における強度の40%以上であることが必要である。つまり、120℃雰囲気下での強度保持率が40%以上である。
導電性複合繊維の強度は、オリエンテック社製引っ張り試験機にて、糸長100mmとし、引っ張り試験機のサンプル把持部を囲うように設置された恒温層内にて25℃雰囲気下での強度を測定する。その後恒温層内の温度を120℃とした後、120℃雰囲気下での強度を測定する。なお、測定時には、恒温層内の温度が25℃又は120℃となった後、サンプルを1分間保持した後測定するものとする。
測定した強度より、以下の式を用いて強度保持率を算出する。
強度保持率(%)=〔(120℃雰囲気下での強度)/(25℃雰囲気下での強度)〕×100
本発明の導電性複合繊維は、ポリ乳酸とポリエステル樹脂からなる複合繊維とし、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状であることにより、高温下での強度保持率を40%以上とすることができ、さらには50%以上であることが好ましい。
強度保持率が40%未満であると、衣料用途であれば洗濯時、あるいはアイロン時、産業資材用途では、高温高湿下にさらされている間に、強度の低下が大きくなり、 繊維が切断したり、品位が悪くなる。さらにはそれに起因して導電性能も低下する。
なお、通常のポリ乳酸のみからなる繊維では、高温雰囲気下での強度保持率は10%以下となる。
さらに、本発明の導電性複合繊維においては、非導電性成分、導電性成分ともに末端封鎖剤を添加して、カルボキシル末端基を25グラム等量/トン以下とすることが好ましい。
カルボキシル末端基が25グラム等量/トン以下の樹脂を用いることで、高温高湿化に曝された場合に加水分解が抑制され、その結果、繊維の強度を十分に保持でき、強度保持率を向上させることができる。
なお、カルボキシル末端基を25グラム等量/トン以下とする手法については、末端封鎖剤の添加、固相重合法や溶融重合法の最適化などが挙げられる。
本発明の導電性複合繊維は、複数本からなるマルチフィラメントとしても、単糸のみで用いるモノフィラメントとしてもよく、また、長繊維でも短繊維としてもよい。
次に、本発明の導電性複合繊維の製造方法について説明する。
導電性成分にはポリ乳酸を使用し、非導電性成分には通常の重縮合反応を行うことにより得られたポリエステル樹脂を用いる。両ポリマーをそれぞれ乾燥等の処理を行ってチップ化し、通常の二成分系の複合溶融紡糸装置を用いて複合紡糸する。このとき、非導電性成分や導電性成分の形状や配置位置については、紡糸口金形状を種々変更することにより、所望の断面形状の複合繊維とする。そして、得られた糸条を延伸、熱処理することによって、本発明の導電性複合繊維を得ることができる。
なお、導電性成分を得る方法としては、ベースとなるポリマーの重合段階で導電性粒子を添加する方法や、ポリマーの溶融混練時に導電性粒子を添加する方法があるが、溶融混練時に添加する方法が好ましい。
本発明の導電性複合繊維は、電気抵抗値が低く、十分な導電性能と強度を有しており、かつ高温雰囲気下での強度の低下が少ない。このため、制電効果を求められ、かつ滅菌処理等の湿熱処理を繰り返し行う必要のあるクリーンルーム用や医療用の作業用ユニフォーム等の衣料用途や、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途に好適に用いることができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の値の測定及び評価は以下のように行った。
1.導電性複合繊維の電気抵抗値
前記した方法に従って、測定、算出した。
2.25℃雰囲気下及び120℃雰囲気下での強度及び強度保持率
前記した方法に従って、測定、算出した。
3.紡糸操業性
24時間連続して紡糸を行い、この間の切れ糸回数により以下の3段階で評価した。
○:切糸なし
△:切糸回数1〜2回
×:切糸回数3回以上
実施例1
非導電性成分として、IPAが10モル%共重合された相対粘度(フェノールと四塩化エタンとの等質量混合液を溶媒とし、温度20℃で測定した)1.48、融点230℃のPETを用い、常法によりチップ化した。導電性成分として、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.7/1.3であり、数平均分子量88200、相対粘度1.87、融点170℃のポリ乳酸に、導電性粒子として、平均粒径0.2 μm のカーボンブラック(導電性成分中の20質量%となる量)を溶融混練したものを用いた。通常の複合紡糸装置に導電性成分と非導電性成分を供給し、繊維の横断面形状が図1(c)となるように設計された紡糸口金を用いて、紡糸温度250℃、導電性成分の複合割合が20質量%となるようにして溶融紡糸した。紡出した糸条を冷却し、オイリングしながら3000m/分の速度で巻き取り、42dtex/2fの未延伸糸を得た。
この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.50倍に延伸し、さらに、140℃のヒートプレートで熱処理を行った後に巻き取り、図1(c)の断面形状を呈する28dtex/2fの導電性複合繊維を得た。
参考例1
非導電性成分として、相対粘度1.58、融点230℃のPBT(実質的にブチレンテレフタレート繰り返し単位が100モル%のもの)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
参考例2
非導電性成分として、相対粘度1.58、融点225℃のPPT(実質的にプロピレンテレフタレート繰り返し単位が100モル%のもの)を使用した以外は実施例1と同様に行った。
実施例5〜6、比較例3〜4
導電性成分のカーボンブラックの含有量、導電性成分の複合割合及び横断面形状を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に行った。
比較例1
非導電性成分として、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/Dが98.7/1.3であり、数平均分子量88200、相対粘度1.87、融点170℃のポリ乳酸を用いて溶融紡糸し、紡出した糸条を冷却し、オイリングしながら3000m/分の速度で巻き取り、36dtex/2fの未延伸糸を得、この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.3倍に延伸した以外は、実施例1と同様に行った。
比較例2
非導電性成分として、CHDMが30モル%共重合された相対粘度1.35、流動開始温度135℃のPETを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1、5〜6、参考例1〜2、比較例1〜4で得られた導電性複合繊維の特性値と操業性の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1、5〜6の導電性複合繊維は、電気抵抗値が低く、高温雰囲気下での強度保持率も良好なものであった。
一方、比較例1の導電性複合繊維は、導電性成分、非導電性成分ともにポリ乳酸であっため、比較例2の導電性複合繊維は、非導電性成分がCHDMの共重合量の多いものであったため、比較例4の導電性複合繊維は、導電性成分の複合割合が多すぎたため、いずれも高温雰囲気下での強度の低下が大きくなりすぎ、測定することができなかった。また、紡糸操業性にも劣るものであった。比較例3の導電性複合繊維は、導電性成分の導電性粒子の含有量が少なかったため、電気抵抗値が高いものとなった。
本発明の導電性複合繊維の一実施態様を示す、繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面模式図である。 本発明の導電性複合繊維の他の実施態様を示す、繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面模式図である。 本発明の導電性複合繊維の他の実施態様を示す、繊維の長手方向に対して垂直に切断した横断面模式図である。

Claims (2)

  1. イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一成分を5〜20モル%共重合したポリエチレンテレフタレートからなる非導電性成分と、導電性粒子を含有するポリ乳酸からなる導電性成分とで構成され、導電性成分の割合が繊維全体の10〜60質量%であり、導電性成分の少なくとも一部が繊維表面に露出している形状を呈している導電性複合繊維であって、電気抵抗値が1×10Ω/cm〜9×1012Ω/cmであることを特徴とする導電性複合繊維。
  2. 120℃雰囲気下で測定した強度が、25℃雰囲気下で測定した強度の40%以上(強度保持率40%以上)である請求項1記載の導電性複合繊維。
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