JP4596657B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素系の原燃料を改質した改質ガスを燃料ガスとして燃料電池に供給して発電を行う燃料改質型の燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車の動力源などとして、クリーンでエネルギ効率の優れた燃料電池(固体高分子型燃料電池)が注目されている。この燃料電池は、燃料ガス(水素)及び酸化剤ガス(空気)が供給されると電気化学的に発電する一種の発電機である。
【0003】
燃料電池を搭載した燃料電池電気自動車は、1回の燃料補給で走行することのできる距離を長くする必要がある。このため、燃料電池電気自動車には、水素容器を備える代わりにメタノールなどの液体原燃料の容器を備え、炭化水素系の液体原燃料を改質して水素を含む改質ガスを生成させ、これを燃料ガスとして発電を行う燃料電池システムを搭載したものがある。
【0004】
以下、図12を参照して改質器103を搭載した従来の燃料電池システムの構成及び動作を説明する。
液体原燃料タンクTに貯蔵された水・メタノール混合液(以下「液体原燃料」という)は、ポンプPにより蒸発器102に送出される。蒸発器102では、液体原燃料が図示しない原燃料噴射装置から蒸発器102に噴射され、燃料電池101のオフガスを触媒燃焼した燃焼熱を利用して蒸発される。また、蒸発器102には空気圧縮機104から改質用の空気(以下「改質空気」という)が供給される。液体原燃料の蒸気及び改質空気は、蒸発器102の内部で加熱混合されて原燃料ガスとなり、改質器103に供給される。
【0005】
改質器103の内部にはオートサーマル反応(ATR)用の触媒が充填されており、改質器103に供給された原燃料ガスを改質し、水素を含む改質ガスを生成する。なお、改質器103で生成した改質ガスには少量(1%程度)の一酸化炭素が含まれるので、燃料電池101の触媒保護のため、生成した改質ガスは図示しないCO除去器に供給され、一酸化炭素を二酸化炭素に転換することで一酸化炭素が除去される。一酸化炭素を除去した改質ガス(燃料ガス)は、燃料電池101に供給される。
【0006】
次に、燃料電池101には、アノード極(水素極)に改質器103からの改質ガスが供給され、カソード極(酸素極)に空気圧縮機104からの空気が供給される。そして、燃料電池1は、その内部で改質ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させて発電する。なお、燃料電池101のアノード極から排出された未反応の水素を含むオフガスと、カソード極から排出された未反応の酸素を含むオフガスは、混合されて蒸発器102における熱源とされる。
【0007】
ところで、このような燃料改質型の燃料電池システムが出力増加要求に応じて発電量を増して出力増加する場合は、燃料電池101へ供給される改質ガスの増加に遅れが発生する。つまり、改質ガスが燃料電池101に供給されるまでには、蒸発器102による液体原燃料の蒸発、改質器103による原燃料ガスの改質、図示しないCO除去器によるCOの除去というような複数の工程を経るため、蒸発や改質などの遅れ及びシステム体積などの関係から、直ちに出力増加要求にマッチした量の改質ガスを生成することができない。このため、燃料電池101がいわゆるガス欠にならないように、改質ガスの増加の遅れに見合った発電遅れ量(レート、無駄時間、1次遅れなどという)を固定して、発電量の増加に遅れを生じさせる制御を行っている。
【0008】
一方、出力減少要求に応じて発電量を減じて出力減少する場合は、燃料電池へ供給される改質ガスの減少に遅れが発生する。つまり改質ガスを増加する場合と同様に改質ガスを減少する場合も、直ちに出力減少要求にマッチした量の改質ガスを生成することができない。このため、余剰な改質ガス(余剰水素)が発生する。したがって、改質ガスの減少の遅れに見合った発電遅れ量(レート、無駄時間、1次遅れなどという)を固定して、発電量の減少に遅れを生じさせる制御を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発電遅れ量を設定すると、それが燃料電池システムの出力増加時における応答性や効率を低下させる。また、出力減少時にも、発電遅れ量により要求出力に対する応答性及び効率を低下させる。
また、発電遅れ量を設定せざるを得ない場合、従来は、発電遅れ量を改質ガスの供給遅れが最大になるポイント(燃料電池の最大出力)に合わせて、一定に設定していた。このため、出力増減幅が小さくても大きくてもどのような状況でも、要求出力に対する応答性及び効率が低いまま一定である。
【0010】
そこで、本発明は、出力増加時には応答性及び効率を向上し、出力減少時には余剰水素の有効利用を図りつつ応答性を向上する燃料電池システムを提供することを主たる課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料ガスである改質ガスと酸化剤ガスとを供給されて発電する燃料電池と、燃料電池の排気ガスを燃焼させ、この熱により前記改質ガスの原料を蒸発させる蒸発手段と、蒸気化した原料を改質して前記改質ガスを生成する改質手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記燃料電池から取り出す電流を目標発電電流値に基づいて制御する電力調整器と、当該燃料電池システムへの負荷要求に応じた前記目標発電電流値を設定するとともに、前記設定した目標発電電流値により前記電力調整器を介して前記燃料電池から取り出す電流の制御を行う制御装置と、を更に備える。
そして、前記制御装置は、前記目標発電電流値の変化量から発電遅れ量を設定する発電遅れ量設定情報、又は前記目標発電電流値から発電遅れ量を設定する発電遅れ量設定情報に基づいて、前記発電遅れ量設定情報による発電遅れ量分の発電の遅れが生じるように前記目標発電電流値を補正し、前記補正後の目標発電電流値を用いて、前記電力調整器による前記燃料電池の発電を制御することを特徴とする。
【0012】
この構成では、目標発電電流値の変化量や目標発電電流値から発電遅れ量が設定され、この発電遅れ量により、目標発電電流値が補正されて発電が制御される。
【0013】
なお、燃料電池システムに対する要求出力とは、改質手段(蒸発手段)に対する要求出力や燃料電池に対する要求出力などを含んで意味する。例えば、後記する発明の実施の形態における燃料電池システムでは、ドライバがスロットルペダルを踏み込むことにより生成されるスロットル開度信号が、燃料電池システムに対する要求出力に該当する。また、スロットル開度信号を入力することにより派生する種々の信号類、例えば、目標発電電流値や目標原燃料噴射量なども燃料電池システムに対する要求出力に該当する。
【0014】
また、前記課題を解決した本発明の請求項2に記載の燃料電池システムは、前記発電遅れ量設定情報は、前記燃料電池の出力増加時の方が前記燃料電池の出力減少時よりも、前記発電遅れ量が大きな値となるように設定されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記課題を解決した本発明の請求項3に記載の燃料電池システムは、前記燃料電池と前記改質手段との間に前記改質ガスの流量調整用のバルブを更に備え、前記制御装置は、前記目標発電電流値から前記バルブの背圧の目標値である目標背圧を設定する背圧設定情報に基づいて、前記背圧設定情報による背圧の目標値となるように前記バルブを制御することを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決した本発明の請求項4に記載の燃料電池システムは、前記発電遅れ量設定情報は、前記目標発電電流値の変化量の増減にかかわらず、前記発電遅れ量が略一定となるように設定され、前記背圧設定情報は、前記目標発電電流値に反比例して前記目標背圧が低減するように設定されていることを特徴とする。
【0017】
前記課題を解決した本発明の請求項5に記載の燃料電池システムは、前記発電遅れ量設定情報は、前記目標発電電流値の変化量に比例して前記発電電遅れ量が増加するように設定され、前記背圧設定情報は、前記目標発電電流値の増減にかかわらず、前記目標背圧が略一定となるように設定されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池システムの実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1、蒸発器2、改質器3aとCO除去器3bから構成される改質器3、空気圧縮機4、液体原燃料タンクT、改質空気量制御弁V1,CO除去空気量制御弁V2、背圧制御弁BPV及び制御装置6を含んで構成される。なお、この燃料電池システムは燃料電池電気自動車に搭載され、走行モータ5(図2参照)や補機類に電力を供給する。
【0020】
本実施形態での燃料電池1は、固体高分子型であるPEM型の燃料電池であり、電解膜を挟んで酸素極及び水素極などから構成される膜電極構造体(MEA)をセパレータでさらに挟み込んだ単セルを、300枚程度積層した積層構造を有している。この燃料電池1は、水素極(アノード極)に水素を含んだ改質ガスを供給し、酸素極(カソード極)に空気を供給すると、水素と酸素を電気化学的に反応して発電する。ここで、PEMとは、Proton Exchange Membraneの略であり、MEAとは、Membrane Electrode Assemblyの略である。
【0021】
なお、燃料電池1から取り出される電流の量は、VCU(リミッタ機能付き電力調整器、図2参照)により制御される。VCUを介して燃料電池1から取り出された電流は、図示しないキャパシタと走行モータ5に供給される。キャパシタは、電力の生成と消費におけるエネルギーバッファの役割を有する。ちなみに、燃料電池1は、改質ガス及び空気が充分供給されても、燃料電池1から電流を取り出さなければ発電しない。その一方、供給される改質ガス及び空気の量が少ないにもかかわらず、多くの電流を燃料電池1から抜き出そうとすると、いわゆるガス欠になり、燃料電池1を破損する原因になる。
【0022】
蒸発器2は、液体原燃料タンクTからの液体原燃料(水・メタノール混合液)を加熱蒸発させ、改質器3aに供給する。
このため、蒸発器2は、液体原燃料を蒸発する蒸発器2a、液体原燃料を蒸発器2aに所定量噴射する原燃料噴射装置2b、及び液体原燃料を蒸発させる熱源となる触媒燃焼器2cを備える。蒸発器2aは、図示しない熱媒チューブをその内部に多数有する。熱媒チューブ内には、触媒燃焼器2cで触媒燃焼された高温ガスが通流し、噴射された液体原燃料を蒸発させるようになっている。原燃料噴射装置2bは、送液ポンプPにより圧送された液体原燃料タンクTからの液体原燃料を図示しないインジェクタから噴射するものである。インジェクタは、制御装置6からの噴射制御信号により間欠的に弁を開閉駆動するものである。触媒燃焼器2cは、燃料電池1のオフガス(水素極から排出される未利用の水素を含むガスと酸素極から排出される未利用の酸素を含むガスを混合したもの)を触媒燃焼する燃焼器である。
【0023】
また、蒸発器2aは、空気導入口を有し、空気圧縮機4から供給される空気が蒸発器2a内に導入されるようになっている。この蒸発器2aに導入された空気は、改質空気として原燃料蒸気に混合され、原燃料ガスとして改質器3aに供給されるようになっている。なお、空気圧縮機4から供給される空気の量は、図示しない調圧弁と改質空気量制御弁V1により調節されるようになっている。この改質空気量制御弁V1はゲート弁であり、制御装置6からの弁開度信号により弁の開度が制御される。このように、改質空気を蒸発器2aに供給するのは、原燃料蒸気と空気を良好に混合して、均質な原燃料ガスを得るためである。
【0024】
改質器3aは、内部にオートサーマル反応(ATR)用の改質触媒を保持した薄型プレート形状のハニカム状触媒層を有しており、このハニカム状触媒層に原燃料ガスを通流することで、下記〔1〕〜〔4〕の反応により水素を含む改質ガスを生成する。
【0025】
CO除去器3bは、内部に選択酸化反応用の触媒が充填されており、改質ガスに1%程度含まれる一酸化炭素を選択酸化して二酸化炭素に転換し、一酸化炭素を除去する(100ppm以下)。なお、選択酸化反応には酸素を必要とする。このため、空気圧縮機4から図示しない調圧弁とCO除去空気量制御弁V2により選択酸化用の空気が供給されるようになっている。CO除去空気量制御弁V2は、例えばゲート弁であり、制御装置6からの弁開度信号により弁の開度が制御される。これら改質空気量及びCO除去空気量の制御は、弁以外に、例えばインジェクタを使用してもよい。
ちなみに、CO除去器3bにおける不要な反応(逆シフト反応、メタネーション反応)により水素を消耗するのを防止するため、図示しない熱交換器が改質器3aとCO除去器3bの間に設けられ、CO除去器3bに供給される原燃料ガスの温度は250℃以下(100℃程度)に冷却される。また、CO除去器3bにおける選択酸化反応は発熱反応であり、燃料ガスの温度が150℃以上に上昇する。一方、燃料電池1の作動温度は100℃以下である。このため、CO除去器3bと燃料電池1(アノード極側)の間に図示しない熱交換器が設けられ、燃料電池1に供給される燃料ガスの温度を燃料電池1が好適に作動できるような温度(例えば80℃)に調節している。
【0026】
本実施形態での背圧制御弁BPVは、CO除去器3bの後段側(かつ図示しない熱交換器の後段側)に設けられる。背圧制御弁BPVは、例えばゲート弁であり、制御装置6からの弁開度信号により弁の開度が制御される。なお、液体原燃料が蒸発している状況、つまり改質ガスが生成されている状況で背圧制御弁BPVの開度を閉じる方向に調整すると、燃料電池1に供給される改質ガスの流量は減少する。同時に、背圧制御弁BPVの上流側は圧力が高くなり、改質ガスが蓄えられる(蓄圧される)。この状況から背圧制御弁BPVの開度を開く方向に調整すると、燃料電池1に供給される改質ガスの流量は増加する。
【0027】
なお、背圧制御弁BPVの上流側の圧力(背圧)や燃料電池1に供給される改質ガスの流量は、圧力センサや流量センサにより測定され、測定信号が制御装置6に出力されるようになっている。
【0028】
空気圧縮機4は、図示しないモータにより駆動するスーパーチャージャなどであり、図示しないエアフィルタを介して外気から空気を取り込んで燃料電池1(カソード極)に供給する。この空気圧縮機4は、燃料電池1の要求出力が増加したときは、制御装置6からの制御信号に基づいてモータの回転速度を速くし、要求出力に応じた空気を燃料電池1に供給するようになっている。なお、燃料電池1と空気圧縮機4の間には図示しない加湿器及び熱交換器が設けられ、空気を加湿すると共に温度調節して燃料電池1に供給するようにしている。ちなみに、空気を加湿するのは、燃料電池1の電解膜が乾燥しプロトン導電率が低下するのを防止するためである。
【0029】
制御装置6は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス、A/D変換器、バスなどから構成され、燃料電池1に供給する改質ガス及びカソード空気の量、並びに改質空気及びCO除去空気の量を制御する。また、燃料電池1から抜き出す電流値(発電量)の制御を行う。
【0030】
なお、燃料電池電気自動車は、走行モータ5(図2参照)として、三相ブラシレスモータを備える。燃料電池1が発電した電力は、インバータを備えるPDU(Power Drive Unit)を介して走行モータ5に供給される。なお、走行モータ5は、回生発電も行う。回生電流は、キャパシタに充電される。
【0031】
以下、図2及び図3を参照して制御装置6の構成を説明する。
図2は、制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0032】
図2に示すように、制御装置6は、走行モータ目標出力設定手段61、走行モータ制御手段62、補機電力演算手段63、加算手段64、目標発電電流値設定手段65、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68、原燃料噴射装置制御手段69、改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71などから構成される。
【0033】
走行モータ目標出力設定手段61は、スロットル開度信号θthと車速信号VSPを入力し、マップに基づいて走行モータ目標出力信号を設定する。マップは、スロットル開度信号θthが大きくなれば走行モータ目標出力信号が大きくなるようになっている。また、車速信号VSPが大きくなれば走行モータ目標出力信号は小さくなるように補正されている。走行モータ目標出力信号は、走行モータ制御手段62と加算手段64に出力される。
【0034】
走行モータ制御手段62は、走行モータ目標出力信号を入力して該走行モータ目標出力に応じた走行モータ制御信号を生成し、PDUに出力する。これにより、走行モータ5の駆動は、スロットル開度信号θthと車速信号VSPに応じたものになる。
【0035】
補機電力演算手段63は、補機に供給される電流Isubと電圧Vsubから補機の消費電力を演算する。演算結果は補機消費電力信号として、加算手段64に出力される。なお、補機とは、走行モータ5を除いた電力を消費する機器類の総称である。
【0036】
加算手段64は、走行モータ目標出力信号及び補機消費電力を加算し、加算値をシステム電力信号として目標発電電流値設定手段に出力する。なお、システム電力信号は、燃料電池システム及び走行モータ5を含む燃料電池電気自動車で消費される全電力を示す。
【0037】
目標発電電流値設定手段65は、システム電力信号とキャパシタの開放電圧Vcapoを入力し、マップに基づいて燃料電池1から取り出す電流値である目標発電電流値を設定する。マップは、システム電力信号が大きくなれば目標発電電流値が大きくなるようになっている。その一方、キャパシタ開放電圧Vcapoが大きくなれば、目標発電電流値は小さくなるように補正されている。なお、キャパシタ開放電圧Vcapoはキャパシタの充電量(充電残量)を示し、これが大きいとキャパシタには沢山の電力が蓄えられている。
【0038】
発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流値を入力してその増減幅(変化量)からマップに基づいて発電遅れ量を設定する。そして、発電遅れ量に基づいて補正した目標発電電流値をVCUに出力する。VCUは、目標発電電流値に基づいて燃料電池1から取り出す電流を制御する。これにより、燃料電池から取り出される電流は、走行モータ5に供給される電力及び補機類が消費する電力に応じたもの、つまり燃料電池電気自動車が消費する全電力に応じたものになる。なお、発電遅れ量の制御を、目標発電電流値の増減幅ではなく、目標発電電流値(出力値)に基づいて行う場合もある。
この発電遅れ量制御の詳細については後記する。
【0039】
背圧制御弁制御手段67は、目標発電電流値を入力し、マップに基づいて目標背圧を設定する。そして、目標背圧に応じた弁開度信号を生成し、背圧制御弁BPVの駆動回路に出力する。なお、背圧制御弁制御手段67は、実際の背圧Pbkを入力してフィードバック制御を行う。
この背圧制御の詳細については後記する。
【0040】
空気圧縮機制御手段68は、目標発電電流値とカソード利用率から燃料電池1に供給すべき空気の量を演算する。この演算結果に基づいてマップにより目標空気供給量を設定する。そして、目標空気供給量にマッチした空気圧縮機4の回転速度信号を生成し、空気圧縮機4の駆動回路に出力する。なお、目標空気供給量は、改質空気量及びCO除去空気量を加味するように補正される。これにより、空気圧縮機4は、目標発電電流値並びに改質空気量及びCO除去空気量にマッチした量の空気を燃料電池1に供給する。結果として、目標発電電流値が大きくなれば目標空気供給量も多くなるように設定される。ここで、カソード利用率は、燃料電池1のカソード極(酸素極)で消費された空気の量/カソード極に供給された空気の量で定義される。
【0041】
原燃料噴射装置制御手段69は、目標発電電流値とアノード利用率から燃料電池1に供給すべき改質ガスの量(改質器に対する要求負荷)を演算する。この演算結果に基づいてマップにより目標原燃料噴射量を設定する。そして、目標原燃料噴射量に応じた噴射制御信号を生成し、原燃料噴射装置2bの駆動回路に出力する。これにより、原燃料噴射装置2bは、目標発電電流値にマッチした液体原燃料を蒸発器2aに噴射する。結果として、目標発電電流値が大きくなれば目標原燃料噴射量も多くなるように設定される。ここで、アノード利用率は、燃料電池1のアノード極(水素極)で消費された改質ガスの量/アノード極に供給された改質ガスの量で定義される。なお、目標原燃料噴射量は、改質空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力される。
【0042】
改質空気制御弁制御手段70は、目標原燃料噴射量を入力し、マップに基づいて目標改質空気量を設定する。そして、目標改質空気量に応じた弁開度信号を生成し、改質空気制御弁V1の駆動回路に出力する。これにより、目標原燃料噴射量にマッチした量の改質空気が改質器3aに供給される。なお、マップは、目標原燃料噴射量が大きくなると改質空気量も多くなるように設定されている。
【0043】
CO除去空気制御弁制御手段71は、目標原燃料噴射量を入力し、マップに基づいて目標CO除去空気量を設定する。そして、目標CO除去空気量に応じた弁開度信号を生成し、CO除去空気制御弁V2の駆動回路に出力する。これにより、目標原燃料噴射量にマッチした量のCO除去空気がCO除去器3bに供給される。なお、マップは、目標原燃料噴射量が大きくなるとCO除去空気量も多くなるように設定されている。
【0044】
次に、前記した構成の燃料電池システムにおける背圧制御及び発電遅れ量制御を説明する。
【0045】
≪第1実施形態≫
第1実施形態を説明する。
第1実施形態の燃料電池システムは、燃料電池1の出力が大きくなると背圧を小さくする背圧制御を行う。かつ、燃料電池1の出力の増減幅にかかわらず発電遅れ量を一定にする発電遅れ量制御を行う。
図3は、第1実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。図4の(a)は制御装置に入力されるスロットル開度信号、(b)は目標発電電流値(発電遅れ量制御前)、(c)は燃料電池に供給される実際の改質ガス量、(d)は目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示す。
【0046】
図3(a)に示すように、背圧制御マップは、目標発電電流値が大きくなると目標背圧を小さくするように設定されている。また、図3(b)に示すように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値の増減幅にかかわらず発電遅れ量が一定になるように設定されている。
【0047】
この第1実施形態の燃料電池システムの動作を、図1〜図4を参照して説明する。
【0048】
〔出力増加時〕
ドライバが燃料電池電気自動車のスロットルペダルを踏み込むと、スロットル開度信号θthが増加する。すると走行モータ目標出力設定手段61が、該増分に見合った大きな走行モータ目標出力を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段65が大きな目標発電電流値を設定する。目標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手段69に出力される。また、原燃料噴射量制御手段69で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力される。
【0049】
これにより、燃料電池1に供給される空気の量が増加する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及びCO除去空気量が増加し、改質ガスの生成量が増す。第1実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制御手段67により目標発電電流値が大きくなると背圧が小さくなる(図3(a)参照)。このため、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が大きくなると弁開度は大きくなる(背圧を一定にする場合よりも弁開度は大きくなる)。
【0050】
なお、第1実施形態では、発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流値の増加幅(増減幅)にかかわらず発電遅れ量を一定にしている。
【0051】
これを、図4を参照して説明する(一点鎖線で囲った出力増加時参照)。
例えば、ドライバがスロットルペダルを急激に踏み込むと、制御手段6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に増加する(図4(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目標発電電流値も大きく設定される(図4(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標原燃料噴射量及び目標空気量が大きく設定される。また、目標原燃料噴射量に基づいて目標改質空気量及び目標CO除去空気量も大きく設定される。さらに、目標発電電流値に基づいて図3のように背圧及び発電遅れ量(図4(d))が設定される。
【0052】
ところで、燃料電池1に供給される改質ガスの量は目標原燃料噴射量通りにはならず、通常目標値に対して遅れが生じる(図4(c))。しかし、第1実施形態によれば、急激に目標発電電流値が増加しても、背圧制御弁BPVにより蓄えられていた分の改質ガス(図3(a)のΔP参照)が応答性よく燃料電池1に供給される。したがって、燃料電池1に供給される改質ガスの量が不足することがない(ガス欠になることがない、図4(c))。
【0053】
〔出力減少時〕
一方、ドライバが燃料電池電気自動車のスロットルペダルの踏み込みを開放すると、スロットル開度信号θthが減少する。すると走行モータ目標出力設定手段61が、該減少に見合った小さな走行モータ目標出力を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段65が小さな目標発電電流値を設定する。目標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手段69に出力される。また、原燃料噴射量制御手段69で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力される。
【0054】
これにより、燃料電池1に供給される空気の量が減少する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及びCO除去空気量が減少し、改質ガスの生成量が減る。第1実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制御手段67により目標発電電流が小さくなると背圧が大きくなる(図3(a)参照)。このため、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が小さくなると弁開度は小さくなる(背圧を一定にする場合よりも弁開度は小さくなる)。
【0055】
なお、第1実施形態では、発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流値の減少幅(増減幅)にかかわらず発電遅れ量を一定に設定する。
【0056】
これを、図4を参照して説明する(一点鎖線で囲った出力減少時参照)。
例えば、ドライバがスロットルペダルの踏み込みを急激に開放すると、制御手段6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に減少する(図4(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目標発電電流値も小さく設定される(図4(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標原燃料噴射量及び目標空気量が小さく設定される。また、目標原燃料噴射量に基づいて目標改質空気量及び目標CO除去空気量も小さく設定される。さらに、目標発電電流値に基づいて図3のように背圧及び発電遅れ量(図4(d))が設定される。
【0057】
ところで、燃料電池1に供給される改質ガスの量は目標原燃料噴射量通りにはならず、通常目標値に対して遅れが生じる。しかし、第1実施形態によれば、急激に目標発電電流値が減少しても、背圧制御弁BPVにより生成した改質ガスを迅速に蓄えることが可能である。このため、燃料電池1に供給される改質ガスを適切な量にすることができる。よって、余剰な改質ガスが発生することがない。
【0058】
したがって、第1実施形態の燃料電池システムによれば、適切な状態で燃料電池1を運転することができると共に、改質ガスに無駄を生じさせることがない。このため、燃料電池1を長時間安定して運転することができると共に、燃費を向上させることができる。
【0059】
≪第2実施形態≫
第2実施形態を説明する。
第2実施形態の燃料電池システムは、燃料電池1の出力にかかわらず、背圧を一定にする背圧制御を行う。かつ、燃料電池1の出力の増減幅が大きくなれば発電遅れ量を大きくする発電遅れ量制御を行う。
図5は、第2実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。図6は、(a)が制御装置に入力されるスロットル開度信号、(b)が目標発電電流値(発電遅れ量制御前)、(c)が燃料電池に供給される実際の空気量、(d)が燃料電池に供給される実際の改質ガス量、(e)が目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示す。
【0060】
図5(a)に示すように、背圧制御マップは、目標発電電流値にかかわらず目標背圧が一定になるように設定されている。また、図5(b)に示すように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値の増減幅が大きくなると発電遅れ量も大きくなるように設定されている。なお、発電遅れ量は、目標発電電流値が増加するときの方が、減少するときよりも大きな値になるように設定されている。
【0061】
このような背圧制御マップと発電遅れ量マップを用いるのは、背圧が一定の場合、燃料電池1に供給される改質ガスの量は、目標発電電流値の増減幅が大きいほど遅れが大きくなるからである。
【0062】
この第2実施形態の燃料電池システムの動作を、図1、図2、図5及び図6を参照して説明する。
【0063】
〔出力増加時〕
ドライバが燃料電池電気自動車のスロットルペダルを踏み込むと、スロットル開度信号θthが増加する。すると走行モータ目標出力設定手段61が、該増分に見合った大きな走行モータ目標出力を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段65が大きな目標発電電流値を設定する。目標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手段69に出力される。また、原燃料噴射量設定手段69で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力される。
【0064】
これにより、燃料電池1に供給される空気の量が増加する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及びCO除去空気量が増加し、改質ガスの生成量が増す。第2実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制御手段67により背圧が一定になるように制御されつつ燃料電池1に供給される(図5(a)参照)。このため、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が大きくなると弁開度も大きくなる。
【0065】
発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流値の増加幅が大きいほど発電遅れ量を大きく設定する。これは、燃料電池1に供給される改質ガス及び空気の量の遅れを考慮したものである。
【0066】
これを、図6を参照して説明する(一点鎖線で囲った出力増加時参照)。
例えば、ドライバがスロットルペダルを急激に踏み込むと、制御手段6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に増加する(図6(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目標発電電流値も大きく設定される(図6(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標原燃料噴射量及び目標空気量が大きく設定される。また、目標原燃料噴射量に基づいて目標改質空気量及び目標CO除去空気量も大きく設定される。さらに、目標発電電流値に基づいて図5のように背圧及び発電遅れ量(図6(d))が設定される。
【0067】
しかし、実際に空気圧縮機4から燃料電池1に供給される空気量は、目標空気量通りにはならず、目標値に対して遅れが生じる。同様に、燃料電池1に供給される改質ガスの量も目標原燃料噴射量通りにはならず、目標値に対して遅れが生じる。その結果、燃料電池1には、図6(c)及び(d)に示すような空気量及び改質ガス量で供給される。
この状況で、目標発電電流値設定手段65が設定する目標発電電流通りに燃料電池1から電流を取り出すと、燃料電池1が発電できる電力以上の電力を取り出すことになってしまう。
【0068】
そこで、第2実施形態では、発電遅れ量制御手段66により、目標発電電流値の増減幅に応じて発電遅れ量を設定する(図6(e))。これにより、出力増加時、燃料電池1から適切な量だけ電流を抜き出すことができる。
【0069】
〔出力減少時〕
ドライバが燃料電池電気自動車のスロットルペダルの踏み込みを開放すると、スロットル開度信号θthが減少する。すると走行モータ目標出力設定手段61が、該減少に見合った小さな走行モータ目標出力を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段65が小さな目標発電電流値を設定する。目標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手段69に出力される。また、原燃料噴射量制御手段69で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力される。
【0070】
これにより、燃料電池1に供給される空気の量が減少する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及びCO除去空気量が減少し、改質ガスの生成量が減る。第2実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制御手段67により背圧が一定になるように制御されつつ燃料電池1に供給される(図5(a)参照)。このため、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が小さくなると弁開度も小さくなる。
【0071】
発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流値の増加幅が大きいほど発電遅れ量を大きく設定する。これは、燃料電池1に供給される改質ガス及び空気の量の遅れを考慮したものである。但し、出力増加時よりも発電遅れ量は小さく設定されている。
【0072】
これを、図6を参照して説明する(一点鎖線で囲った出力減少時参照)。
例えば、ドライバがスロットルペダルの踏み込みを急激に開放すると、制御手段6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に減少する(図6(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目標発電電流値も小さく設定される(図6(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標空気量及び目標改質ガス量が設定される。
【0073】
しかし、実際に空気圧縮機4から燃料電池1に供給される空気量は、目標空気量通りにはならず、目標値に対して遅れが生じる。同様に、燃料電池1に供給される改質ガスの量も目標原燃料噴射量通りにはならず、目標値に対して遅れが生じる。その結果、燃料電池1には、図6(c)及び(d)に示すような空気量及び改質ガス量で供給される。
この状況で、目標発電電流設定手段65が設定する目標発電電流通りに燃料電池1から取り出す電流を減らすと、余剰水素(余剰な改質ガス)が発生してしまう。
【0074】
そこで、第2実施形態では、発電遅れ量制御手段66により、目標発電電流値の増減幅に応じて発電遅れ量を設定する(図6(e))。これにより、出力減少時の余剰な改質ガスが消費される。なお、余剰な改質ガスを消費して発電した電力は、キャパシタに蓄電される。
【0075】
したがって、第2実施形態の燃料電池システムによれば、適切な状態で燃料電池1を運転することができると共に、改質ガスに無駄を生じさせることがない。このため、燃料電池1を長時間安定して運転することができると共に、燃費を向上させることができる。
【0076】
≪第3実施形態≫
第3実施形態を説明する。
第3実施形態の燃料電池システムは、背圧を、燃料電池1の低出力側では燃料電池1の出力が大きくなると小さくなるようにし、燃料電池1の高出力側では燃料電池1の出力にかかわらず一定になるようにする背圧制御を行う。かつ、燃料電池1の出力値(目標発電電流値)が大きくなると発電遅れ量を大きくする発電遅れ量制御を行う。
ここで、図7は、第3実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【0077】
図7(a)に示すように、背圧制御マップは、目標発電電流値が小さい低出力側では、目標発電電流値が大きくなると目標背圧が小さくなるように設定されている。かつ、目標発電電流値が大きい高出力側では、目標発電電流値の大きさにかかわらず目標背圧が一定になるように設定されている。また、図7(b)に示すように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値が大きくなると発電遅れ量も大きくなるように設定されている。なお、発電遅れ量は、目標発電電流値が増加する出力増加時の方が、減少する出力減少時よりも大きな値になるように設定されている。ここで、発電遅れ量制御マップが目標発電電流値(出力値)に基づいたものになっているのは、低出力側と高出力側で制御状態を切り分けるためである。
【0078】
この第3実施形態の燃料電池システムの動作を、図1、図2、図7を参照して説明する。また、適宜図3〜図6を参照する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分については、その説明を省略する。
【0079】
〔低出力側〕
第3実施形態の燃料電池システムは、低出力側での背圧制御は、第1実施形態のように動作する(動作の詳細については説明を省略する)。したがって、低出力側で急激にスロットルペダルが踏み込まれても、蓄えられた改質ガスを、背圧を低減することで燃料電池1に応答性よく供給することができる。逆に、急激にスロットルペダルの踏み込みが開放されても、背圧を増すことで供給量を制限し、適切な量の改質ガスを燃料電池1に供給することができる。よって、低出力側では、出力増加時及び出力減少時とも適切な改質ガスが燃料電池に供給されるので(図4(c)参照)、燃料電池システムにおける応答性を高めることができる。
なお、低出力側での発電遅れ量制御は、図7(a)に示す発電遅れ量制御マップに基づいて、小さな発電遅れ量になっている。
【0080】
〔高出力側〕
一方、高出力側の背圧制御は、第2実施形態のように動作する(動作の詳細については説明を省略する)。したがって、高出力側では、図5(d)に示すように改質ガス供給量の遅れが生じる。しかし、この改質ガス供給量の遅れは、図5(e)に示すように発電遅れ量制御により手当てされる。しかも、発電遅れ量は、図7(b)に示すように高出力側で大きくなっている。したがって、燃料電池1がガス欠になることがない。
【0081】
ちなみに、この第3実施形態の燃料電池システムは、次のようにして燃料電池電気自動車に適用することができる。
【0082】
例えば、出力60KWの燃料電池1の出力30KWを境にして、低出力側と高出力側に分け、アイドリング状態における背圧を100kPe(PeはPaゲージである)、そこから出力30KWまで出力に応じて背圧を50kPeにまで減少し、出力30KW以上を背圧50kPeで一定にする背圧制御パターンを設定する(図7(a)の背圧マップに相当)。
【0083】
すると、出力30KW以下の低出力側は、背圧の増減により、燃料電池1に応答性よく改質ガスを供給することができる。この場合、アイドリング状態における背圧を100kPe、そこから出力60KWまで出力に応じて背圧を50kPeにまで減少するのと異なり、低出力側での改質ガス供給の応答性をより高めることができる。
つまり、第3実施形態は、低出力側における応答性を重視して燃料電池システムを運転することができる。
【0084】
≪第4実施形態≫
第4実施形態を説明する。
第4実施形態の燃料電池システムは、背圧を、燃料電池1の低出力側では燃料電池1の出力にかかわらず一定になるようにし、燃料電池1の高出力側では燃料電池1の出力が大きくなると小さくなるようにする背圧制御を行う。かつ、燃料電池1の出力値(目標発電電流値)が大きくなると発電遅れ量を小さくする発電遅れ量制御を行う。
ここで、図8は、第4実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【0085】
図8(a)に示すように、背圧制御マップは、目標発電電流値が小さい低出力側では、目標発電電流値の大きさにかかわらず目標背圧が一定になるように設定されている。かつ、目標発電電流値が大きい高出力側では、目標発電電流値が大きくなると目標背圧が小さくなるように設定されている。また、図8(b)に示すように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値が大きくなると発電遅れ量が小さくなる設定されている。この点、第3実施形態における図7(b)とは逆の発電遅れ量になっている。また、発電遅れ量は、目標発電電流値が増加する出力増加時の方が、減少する出力減少時よりも大きな値になるように設定されている。ここで、発電遅れ量制御マップが目標発電電流値(出力値)に基づいたものになっているのは、第3実施形態と同様に、低出力側と高出力側で制御状態を切り分けるためである。
【0086】
この第4実施形態の燃料電池システムの動作を、図1、図2、図8を参照して説明する。また、適宜図3〜図6を参照する。なお、第1実施形態〜第3実施形態と共通する部分については、その説明を省略する。
【0087】
〔低出力側〕
第4実施形態の燃料電池システムは、低出力側での背圧制御は、第2実施形態のように動作する(動作の詳細については説明を省略する)。したがって、低出力側では、図5(d)に示すように改質ガス供給量の遅れが生じる。しかし、この改質ガス供給量の遅れは、図5(e)に示すように発電遅れ量制御により手当てされる。しかも、発電遅れ量は、図8(b)に示すように低出力側で大きくなっている。したがって、燃料電池1がガス欠になることがない。
【0088】
〔高出力側〕
一方、高出力側の背圧制御は、第1実施形態のように動作する(動作の詳細については説明を省略する)。したがって、高出力側で急激にスロットルペダルが踏み込まれると、蓄えられた改質ガスを、背圧を低減することで燃料電池1に応答性よく供給することができる。逆に、急激にスロットルペダルの踏み込みが開放されても、背圧を増すことで供給量を制限し、適切な量の改質ガスを燃料電池1に供給することができる。よって、高出力側では、出力増加時及び出力減少時とも適切な改質ガスが燃料電池に供給されるので(図4(c)参照)、燃料電池システムにおける応答性を高めることができる。
なお、高出力側での発電遅れ量制御は、図8(a)に示す発電遅れ量制御マップに基づいて、小さな発電遅れ量になっている。
【0089】
ちなみに、この第4実施形態の燃料電池システムは、次のようにして燃料電池電気自動車に適用することができる。
【0090】
例えば、出力60KWの燃料電池1の出力30KWを境にして、低出力側と高出力側に分け、アイドリング状態から出力30KWまでの背圧を100kPe(PeはPa単位のゲージ圧である)で一定にする。そして、出力30KWから出力60KWまでの背圧を、出力に応じて背圧が50kPeにまで減少する背圧制御パターンを設定する(図8(a)の背圧マップに相当)。
【0091】
すると、出力60KW以上の高出力側は、背圧の増減により、燃料電池1に応答性よく改質ガスを供給することができる。この場合、アイドリング状態における背圧を100kPe、そこから出力60KWまで出力に応じて背圧を50kPeにまで減少するのと異なり、高出力側での改質ガス供給の応答性をより高めることができる。
つまり、第4実施形態は、第3実施形態とは異なり、高出力側における応答性を重視して燃料電池システムを運転することができる。
【0092】
なお、第3実施形態の制御と第4実施形態の制御を、ドライバ側がスイッチで切り替えるようにすることができる。例えば、第3実施形態の制御を、低出力側を重視したノーマルモードとし、第4実施形態の制御を、高出力側を重視したスポーツモードとし、これをドライバが適宜スイッチで切り替えるような実施形態とすることができる。
また、第3実施形態の制御と第4実施形態の制御を、自動的に判断し装置側で切り替えるようにすることができる。例えば、通常第3実施形態の制御を行い、高出力(30KW以上)になったとき、自動的に第4実施径形態の制御に切り替えることができる。
【0093】
≪第5実施形態≫
第5実施形態を説明する。
第5実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態の変形例である。第1実施形態では、燃料電池1の出力が大きくなると背圧を小さくする背圧制御を行ったが、第5実施形態では、出力の急激な変化があった場合に一時的に新たな背圧を設定する。
ここで、図9は、第5実施形態の(a)背圧制御マップと(b)背圧の変化を示すタイムチャートである。
【0094】
第5実施形態では、スロットル開度信号θthの変化量(変化の絶対値又は変化速度)が所定の閾値以上になるような出力急増時、一時的に小さな新たな目標背圧を設定し、この小さな目標背圧に基づいて背圧制御を行う。背圧は、図9(b)のように変化する。これにより、通常よりも多くの改質ガスが燃料電池1に供給される。したがって、出力急増時における改質ガス供給量の応答性を高めることができる。
【0095】
一方、出力急増時とは逆の出力急減時は、一時的に大きな新たな目標背圧を設定し、この大きな目標背圧に基づいて背圧制御を行う。これにより、通常よりも燃料電池1に供給される改質ガスの量が少なくなる。したがって、出力急減時における改質ガス供給量の応答性を高めることができる。
なお、スロットル開度信号θthの変化量は、θthから派生した目標発電電流値の変化量であってもよい。
【0096】
≪第6実施形態≫
第6実施形態を説明する。
第6実施形態の燃料電池システムは、背圧を可変制御することで、発電遅れ量が最小になるようにする実施形態である。
ここで、図10は、第6実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップである。
【0097】
図10(a)に示す背圧制御マップは、目標発電電流値が大きく、かつその増減幅が大きいほど実線と破線で囲まれた範囲内で目標背圧変化線が右側に移行する。つまり、低速走行から急激にスロットルペダルを踏み込んだ際には、燃料電池システムは高い目標背圧をスロットルペダルの踏込み量から求まる目標発電電流値などの大きさに応じて維持した後に、所定の変化率である目標背圧変化線に従って背圧を減少させ、その後低い目標背圧を維持するように働く。逆に、目標発電電流値が小さく、かつその増減幅が小さいほど実線と破線で囲まれた範囲内で目標背圧変化線が左側に移行する。
【0098】
図10(b)に示す発電遅れ量マップは、第2実施形態などよりも発電遅れ量が小さくなっている。これは、以下の理由による。すなわち、例えば、第2実施形態などでは、燃料電池1の出力にかかわらず背圧を一定にする背圧制御を行っているが、この場合必ずしも発電遅れ量が最小になる制御ではない。一方、この第6実施形態では、目標発電電流値や目標発電電流値の増減幅を変えるごとに、発電遅れ量が都度最小になる目標背圧値及び目標背圧カーブを実験から求め決定することにより、結果として得られたマップに応じて背圧を可変制御することで発電遅れ量が最小になる形態を得ているからである。
【0099】
この第6実施形態によれば、目標発電電流値(出力値)やその増減幅に応じて、発電遅れ量を最小にすることができる。
【0100】
≪第7実施形態≫
第7実施形態を説明する。
第7実施形態は、燃料電池1への要求出力(目標発電電流値)に応じて、その増減幅に対して積極的に背圧制御を行い、発電遅れ量が最小になるようにする実施形態である。
ここで、図11は目標背圧及び発電遅れ量を設定する構成を説明する機能ブロック図であり、(a)は出力増加時に係る部分で、(b)は出力減少時に係る部分である。なお、この図11の構成は、図2の発電遅れ量設定手段66における発電遅れ量の設定及び背圧制御弁制御手段67における目標背圧の設定に関するものである。
【0101】
〔出力増加時〕
まず、図11(a)を参照して、出力増加時における目標背圧及び発電遅れ量の設定を説明する。
【0102】
図11(a)に示すように、要求出力としての目標発電電流値が入力されると、出力増加幅が求められる(S0)。この出力増加幅に基づいて圧力減少ポイントがマップから設定される(S1)。このマップは、過渡時の燃料電池1のガス入力に対する出力の特性を実験から把握し、例えば、出力増加幅が大きいほど顕著に見られる出力増加終了時のセル電圧低下を抑制できるように、出力増加幅が大きくなると圧力減少ポイントも大きくなるように設定しておく。これにより、前記出力増加終了時に改質ガスが充分に供給されるようになり、セル電圧低下が回避される。なお、圧力減少ポイントは、目標発電電流値から目標背圧を設定するS4のマップのA点に該当する。
【0103】
また、出力増加幅に基づいて背圧減少幅がマップから設定される。背圧減少幅は、S4のマップにおけるBの幅に該当する。この圧力減少ポイント及び背圧減少幅から、どのポイントから背圧をどの程度落とせばよいかが決定される。なお、S1及びS2におけるマップは、どのような特性を燃料電池システムに持たせるかのコンセプトにより設定される。
【0104】
また、燃料電池1の性能などを考慮して、背圧下限及び背圧減少レートリミットによる制限が加えられる(S3)。これは、S4のマップにおけるCの傾斜に該当するものである。これにより、目標発電電流値から目標背圧を設定するマップが完成する。したがって、目標発電電流値が入力されれば、目標背圧が設定される。
【0105】
一方、発電遅れ量を設定する構成として、出力増加幅に基づいて発電遅れ量(基本値)がマップにより設定される(S5)。このマップは、出力増加幅が大きくなると発電遅れ量(基本値)も大きくなるようになっている。
【0106】
S6では、背圧減少幅に基づいて係数がマップにより設定される。そして、この係数は、発電遅れ量(基本値)に乗じられる(S7)。これにより、出力増加時における発電遅れ量が設定される。
【0107】
〔出力減少時〕
次に、図11(b)を参照して、出力減少時における目標背圧及び発電遅れ量の設定を説明する。
【0108】
図11(b)に示すように、要求出力としての目標発電電流値が入力されると、出力減少幅が求められる(S10)。この出力減少幅に基づいて背圧上限リミット及び背圧増加レートリミットによる制限が加えられる(S11)。これにより、目標背圧が設定される。
【0109】
一方、発電遅れ量を設定する構成として、出力減少幅に基づいて発電遅れ量(基本値)がマップにより設定される(S12)。このマップは、出力増加幅が大きくなると発電遅れ量(基本値)も大きくなるようになっている。
【0110】
S13では、背圧増加幅に基づいて係数がマップにより設定される。そして、この係数は、発電遅れ量(基本値)に乗じられる(S14)。これにより、出力減少時における発電遅れ量が設定される。
【0111】
この第7実施形態によれば、第3実施形態、第4実施形態、第6実施形態のような制御状態を容易に作り出すことができる。しかも、出力増減幅に対して積極的に背圧制御を行い、発電遅れ量を最小化することができる。もちろん、改質ガスを応答性よく燃料電池1に供給することができる。
【0112】
なお、本発明は前記した発明の実施の形態(第1実施形態〜第7実施形態)に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
例えば、原燃料はメタノールに限定されるものではなく、液化石油ガスやガソリンなど炭化水素系の原燃料にも適用することができる。また、オートサーマル反応ばかりでなく、部分酸化反応による改質にも適用することができる。また、キャパシタ(あるいはバッテリなど)は、必ずしも必要ではない。
【0113】
【発明の効果】
以上説明した本発明の燃料電池システムによれば、出力増加時には応答性及び効率を向上し、出力減少時には余剰水素の有効利用を図りつつ応答性を向上する燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の燃料料電池システムにおける制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【図4】(a)は制御装置に入力されるスロットル開度信号、(b)は目標発電電流値(発電遅れ量制御前)、(c)は燃料電池に供給される実際の改質ガス量、(d)は目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示す。
【図5】本発明に係る第2実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【図6】(a)は制御装置に入力されるスロットル開度信号、(b)は目標発電電流値(発電遅れ量制御前)、(c)は燃料電池に供給される実際の空気量、(d)は燃料電池に供給される実際の改質ガス量、(e)は目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示す。
【図7】本発明に係る第3実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態の(a)背圧制御マップ(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【図9】本発明に係る第5実施形態の(a)背圧制御マップと(b)背圧の変化を示すタイムチャートである。
【図10】本発明に係る第6実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップである。
【図11】本発明に係る第7実施形態の目標背圧及び発電遅れ量を設定する構成を説明する機能ブロック図であり、(a)は出力増加時に係る部分で、(b)は出力減少時に係る部分である。なお、この図11の構成は、図2の発電遅れ量設定手段66における発電遅れ量の設定及び背圧制御弁制御手段67における目標背圧の設定に関するものである。
【図12】従来例の燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…燃料電池
2…蒸発器(蒸発手段)
3a…改質器
BPV…背圧制御弁
Claims (9)
- 燃料ガスである改質ガスと酸化剤ガスとを供給されて発電する燃料電池と、燃料電池の排気ガスを燃焼させ、この熱により前記改質ガスの原料を蒸発させる蒸発手段と、蒸気化した原料を改質して前記改質ガスを生成する改質手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池から取り出す電流を目標発電電流値に基づいて制御する電力調整器と、
当該燃料電池システムへの負荷要求に応じた前記目標発電電流値を設定するとともに、前記設定した目標発電電流値により前記電力調整器を介して前記燃料電池から取り出す電流の制御を行う制御装置と、を更に備え、
前記制御装置は、
前記目標発電電流値の変化量から発電遅れ量を設定する発電遅れ量設定情報、又は前記目標発電電流値から発電遅れ量を設定する発電遅れ量設定情報に基づいて、前記発電遅れ量設定情報による発電遅れ量分の発電の遅れが生じるように前記目標発電電流値を補正し、前記補正後の目標発電電流値を用いて、前記電力調整器による前記燃料電池の発電を制御する
ことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記発電遅れ量設定情報は、前記燃料電池の出力増加時の方が前記燃料電池の出力減少時よりも、前記発電遅れ量が大きな値となるように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池と前記改質手段との間に前記改質ガスの流量調整用のバルブを更に備え、
前記制御装置は、
前記目標発電電流値から前記バルブの背圧の目標値である目標背圧を設定する背圧設定情報に基づいて、前記背圧設定情報による背圧の目標値となるように前記バルブを制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。 - 前記発電遅れ量設定情報は、
前記目標発電電流値の変化量の増減にかかわらず、前記発電遅れ量が略一定となるように設定され、
前記背圧設定情報は、
前記目標発電電流値に反比例して前記目標背圧が低減するように設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記発電遅れ量設定情報は、
前記目標発電電流値の変化量に比例して前記発電電遅れ量が増加するように設定され、
前記背圧設定情報は、
前記目標発電電流値の増減にかかわらず、前記目標背圧が略一定となるように設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記発電遅れ量設定情報は、
前記目標発電電流値に比例して前記発電電遅れ量が増加するように設定され、
前記背圧設定情報は、
前記目標発電電流値が所定値よりも小さい低出力側では、前記目標背圧が目標発電電流値に反比例して低減するように設定され、
前記目標発電電流値が所定値より大きい高出力側では、低減した前記目標背圧が前記目標発電電流値にかかわらず略一定となるように設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記発電遅れ量設定情報は、
前記目標発電電流値に反比例して前記発電遅れ量が低減するように設定され、
前記背圧設定情報は、
前記目標発電電流値が所定値よりも小さい低出力側では、前記目標背圧が前記目標発電電流値にかかわらず略一定となるように設定され、
前記目標発電電流値が所定値より大きい高出力側では、略一定であった前記目標背圧が前記目標発電電流値に反比例して低減するように設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記制御装置は、
前記目標発電電流値が急増と判断したときは、前記目標背圧を一時的に低く設定する
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。 - 前記制御装置は、
前記目標発電電流値が増加する場合において、その変化量が大きいほど、前記背圧設定情報における前記所定値を前記高出力側にシフトするように制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
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