JP4596233B2 - メソ多孔体、空気浄化材料、及びメソ多孔体の製造方法 - Google Patents

メソ多孔体、空気浄化材料、及びメソ多孔体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メソ多孔体、それを用いた空気浄化材料、並びにそのメソ多孔体の製造方法に関する。
従来、様々な物質の吸着、貯蔵等のためにメソ多孔体についての研究がなされており、吸着材、分離材、触媒担体等の用途への適用が検討されている。かかるメソ多孔体として、例えば、界面活性剤の濃厚溶液中でシリカを重合して得られるシリカメソ多孔体MCM−41(C. T. Kresge et al., J. Am. Chem. Soc.,
114, 10834(1992):非特許文献1)や、層状粘土鉱物の一種であるカネマイトに界面活性剤を作用させて得られるシリカメソ多孔体FSM−16(特開平10−68719号公報:特許文献1)の合成例が報告されているが、これらのメソ多孔体は一次元チャンネル構造を有する細孔が六方構造に配列したものであった。このような一次元チャンネル構造を有するメソ多孔体は、その細孔構造から吸着物質や反応基質が細孔内に拡散しにくく、得られる吸着性能や触媒性能が未だ十分なものではなかった。
また、米国特許第5098684号公報(特許文献2)には、MCM−41と共に3次元チャンネル構造を有するシリカメソ多孔体であるMCM−48が開示されている。しかしながら、MCM−48は、3次元チャンネル構造を有しているものの、トンネル構造の細孔同士が相互に連結しない3D−Cubic Ia3d構造であるため、その細孔内における吸着物質等の拡散速度は必ずしも十分なものではなかった。
さらに、特開2003−221209号公報(特許文献3)には、3次元チャンネル構造である3D−Cubic Fm3m構造を有する金属酸化物からなるメソ多孔体が開示されている。しかしながら、Fm3m構造を有する金属酸化物からなるメソ多孔体であっても、現実には細孔径の拡大に限界があり、特に建築資材等から空気中に発散されるアルデヒド類、ベンゼン、トルエン、塩化ビニル等のVOCのような有害物質に対してその細孔内における吸着物質等の拡散速度は必ずしも十分なものではなかった。
特開平10−68719号公報 米国特許第5098684号公報 特開2003−221209号公報 C.T.Kresge et al.,J.Am.Chem.Soc.,114,10834(1992)
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、吸着物質や反応基質を細孔内に速やかに拡散することができ、吸着材、分離材、触媒担体等として有用であり、特に空気中のVOC等の有害物質を除去する空気浄化材料として優れているメソ多孔体及びその製造方法、並びにそのメソ多孔体を用いた空気浄化材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、水分含有量が低い非水溶媒中に特定のブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイド界面活性剤と特定の金属塩とを添加して多孔体の前駆体を生成させることにより、従来は得ることができなかった中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している金属酸化物からなるメソ多孔体が得られるようになり、そのようなメソ多孔体によれば前記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のメソ多孔体は、金属酸化物からなるメソ多孔体であって、中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成しており、
前記金属酸化物が、コバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であること特徴とするものである。
また、本発明の空気浄化材料は、前記本発明のメソ多孔体からなることを特徴とするものである。
なお、前記本発明のメソ多孔体が吸着材、分離材、触媒担体等として優れた性能を発揮し、また、前記本発明の空気浄化材料が空気中のVOC等の有害物質に対する除去性能に優れたものとなる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のメソ多孔体においては、中心細孔直径2〜10nmの細孔相互の連結により3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されており、細孔構造が比較的シンプルでかつ細孔径の拡大も可能であるため、吸着物質や反応基質が細孔構造による制限を受けずに細孔内に速やかに拡散することができ、しかも細孔構造がケージ(Cage)構造を有しているため吸着物質や反応基質が再放出され難くなっているためと本発明者らは推察する。
また、本発明のメソ多孔体の製造方法は、
水分含有量が1重量%以下である非水溶媒中に、下記一般式(1):
HO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCHO)H (1)
[式(1)中、aは20〜150、bは20〜100、cは20〜150の整数をそれぞれ表す]
及び/又は下記一般式(2):
HO(CHCHO)(CHCHCH(CH)O)H (2)
[式(2)中、xは30〜60、yは50〜150の整数をそれぞれ表す]
で表されるブロックコポリマー型の界面活性剤と、コバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物及び酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩とを添加し、多孔体前駆体を生成させる第一の工程と、
前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去してメソ多孔体を得る第二の工程と、
を含むことを特徴とする、上記本発明のメソ多孔体の製造方法である。
かかる本発明のメソ多孔体の製造方法により、従来は得ることができなかった前記本発明のメソ多孔体、すなわち中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している金属酸化物からなるメソ多孔体が得られるようになる。なお、前記本発明のメソ多孔体の製造方法により3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成するメソ多孔体が得られるようになる理由は定かではないが、界面活性剤である特定のブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドと特定の金属塩に由来する金属酸化物前駆体との共同的な組織化が重要であると本発明者らは推察する。
なお、本発明でいう「3D−Cubic Im3m」とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものであり、細孔構造の対称性を表すものである。そして、このような3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルはX線回折分析法によるX線回折パターンの測定により確認することができ、本発明のメソ多孔体においては、2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められることが好ましい。すなわち、このような5つの回折ピークはdスペース比が√2:√4:√6:√10:√12であることを示すことから、3D−Cubic Im3m構造であることが確認されることとなる。
本発明によれば、吸着物質や反応基質を細孔内に速やかに拡散することができ、吸着材、分離材、触媒担体等として優れた性能を発揮するメソ多孔体、並びに、空気中のVOC等の有害物質に対する除去性能に優れた空気浄化材料を提供することが可能となる。
また、本発明のメソ多孔体の製造方法によれば、従来は得ることができなかった前記本発明のメソ多孔体、すなわち中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している金属酸化物からなるメソ多孔体を得ることが可能となる。さらに、本発明のメソ多孔体の製造方法においては、界面活性剤として環境に対して安全なノニオン系界面活性剤である特定のブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いているため、環境負荷物質の排出が十分に防止される。
以下、本発明のメソ多孔体、その製造方法、並びにそれを用いた空気浄化材料について、それらの好適な実施形態に即して詳細に説明する。
(メソ多孔体)
本発明のメソ多孔体は、金属酸化物からなるメソ多孔体であって、中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成しているものである。本発明のメソ多孔体は、このような細孔構造を有しているため、細孔内に吸着物質や反応基質を拡散させる際における拡散抵抗が非常に小さいものとなり、チャンネル同士が相互に交差していないMCM−48やチャンネルの細孔径が実際には小さい従来の3次元チャンネルを有するメソ多孔体に比べて、吸着物質や反応基質の拡散速度が著しく向上する。
発明にかかる金属酸化物に含まれる金属元素としては、コバルト、銅、クロム及びセリウムが挙げられる。
また、このような金属元素として遷移金属を用いると、本発明のメソ多孔体の骨格(フレームワーク)が触媒能を有する金属の酸化物で構成されることによって特異な吸着特性や触媒活性が奏され易くなる傾向にあることから好ましく、中でも、コバルト、銅、クロム及びセリウムを用いることがより好ましい。なお、本発明にかかる金属酸化物は、上記の金属元素のうちの1種のみを含有するものであってもよく、2種以上の金属元素を含む複合酸化物であってもよい。
本発明のメソ多孔体は、前述の金属酸化物からなり、いわゆるメソサイズの細孔(メソ孔)を有するものであり、その中心細孔直径は2〜10nmであり、より好ましくは4〜10nmである。本発明のメソ多孔体において、中心細孔直径が2nm未満の場合は、吸着物質や反応基質が細孔内に十分な速度で拡散せず、十分な吸着特性や触媒活性が発揮されない。他方、中心細孔直径が10nmを超える場合は、比表面積が低下して、吸着特性や触媒活性が低下してしまう。
前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、メソ多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
このような本発明のメソ多孔体においては、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。ここで、「細孔径分布曲線における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。この条件を満たすメソ多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。
また、本発明のメソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、50m2/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、本発明のメソ多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、本発明のメソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。そして、本発明のメソ多孔体においては前記の細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している。このような3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルは、前述の通り、X線回折分析法によるX線回折パターンの測定により確認することができ、2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められれば、このような5つの回折ピークはdスペース比が√2:√4:√6:√10:√12であることを示すことから、3D−Cubic Im3m構造であることが確認される。
なお、本発明のメソ多孔体における細孔の全てが3D−Cubic Im3m構造である必要はなく、全ての細孔のうち70%以上が3D−Cubic Im3m構造となっていることが好ましい。
本発明のメソ多孔体の形状は特に限定されないが、粉末、顆粒、支持膜、自立膜、透明膜、配向膜、球状、繊維状、基板上のバーニング、μmサイズの明瞭な形態をもつ粒子などを挙げることができる。また、必要に応じて、成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIPなどが好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、たとえば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
(メソ多孔体の製造方法)
本発明のメソ多孔体の製造方法においては、先ず、水分含有量が1重量%以下である非水溶媒中に、下記一般式(1):
HO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCHO)H (1)
[式(1)中、aは20〜150、bは20〜100、cは20〜150の整数をそれぞれ表す]
及び/又は下記一般式(2):
HO(CHCHO)(CHCHCH(CH)O)H (2)
[式(2)中、xは30〜60、yは50〜150の整数をそれぞれ表す]
で表されるブロックコポリマー型の界面活性剤と、コバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物及び酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩とを添加し、多孔体前駆体を生成させる(第一の工程)。
本発明において用いられる非水溶媒は、水分含有量が1重量%以下である非水溶媒であればよく、特に制限されないが、プロパノール、エチレングリコール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、中でも取り扱い易さ、安全性並びにコストという観点からプロパノール、エチレングリコール、エタノールが好ましい。なお、上記非水溶媒は、単独で用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
また、本発明で用いる非水溶媒中の水分含有量は1重量%以下であることが必要であり、0.5重量%以下であることが特に好ましい。非水溶媒中の水分含有量が1重量%を超えている場合は、界面活性剤と金属酸化物前駆体との共同組織化が不安定となって、3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されない。
また、本発明において用いられる金属塩は、前述の金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物(弗化物、塩化物等)及び酢酸塩の中から目的のメソ多孔体を構成する金属酸化物の種類に応じて選択され、中でも焼成時にアニオンが加熱分解されやすいという観点からコバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩が特に好ましい。なお、上記金属塩は、単独で用いることもできるが、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
さらに、本発明においてテンプレートとして用いられるブロックコポリマー型の界面活性剤は、下記一般式(1):
HO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCHO)H (1)
[式(1)中、aは20〜150、bは20〜100、cは20〜150の整数をそれぞれ表す]
で表される酸化エチレン/酸化プロピレン/酸化エチレン(EO−PO−EO)トリブロックコポリマー、及び/又は、下記一般式(2):
HO(CHCHO)(CHCHCH(CH)O)H (2)
[式(2)中、xは30〜60、yは50〜150の整数をそれぞれ表す]
で表される酸化エチレン/酸化ブチレン(EO−BO)ジブロックコポリマーである。
なお、これらのブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイド界面活性剤以外の界面活性剤をテンプレートとして用いても、得られるメソ多孔体の結晶構造の規則性が低下して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されない。また、前記一般式(1)中のa、b、c又は前記一般式(2)中のx、yが前記下限未満である界面活性剤をテンプレートとして用いても、得られるメソ多孔体の結晶構造の規則性が低下して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されない。さらに、前記一般式(1)中のa、b、c又は前記一般式(2)中のx、yが前記上限を超える界面活性剤は入手が困難である。
本発明のメソ多孔体の製造方法においては、前記非水溶媒中に出発物質としての前記金属塩とテンプレートとしての前記ブロックコポリマー型界面活性剤とを共存させて多孔体前駆体を生成せしめるが、その際、先ず有機/無機複合体のゲルが生成し、次いで有機/無機複合体を熟成せしめて多孔体前駆体を得る方法が一般的である。
すなわち、先ず、テンプレートとしての前記ブロックコポリマー型界面活性剤を前記非水溶媒に溶かし、ミセルを形成させる。このような界面活性剤のミセルは規則正しく配列し、界面活性剤の周囲に金属塩が集合することによって有機/無機複合体のゲルが生成される。このときの界面活性剤溶液の温度は10〜80℃が好ましく、室温程度がより好ましい。
次に、前記の界面活性剤溶液に金属先駆物質である前記金属塩を添加し、攪拌する。こうすると、有機/無機複合体の加水分解が促進して熟成され、三次元的に配列された界面活性剤の周囲に金属酸化物が3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している多孔体前駆体が得られる。
このような熟成過程における温度は、15℃〜200℃が好ましく、30℃〜80℃がより好ましい。この温度が上記下限未満では加水分解が十分に促進されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると耐圧性に優れた反応容器が必要になりコスト高となる傾向にある。また、熟成過程における時間は、1分〜14日間が好ましく、1時間〜14日間がより好ましく、3日間〜7日間が特に好ましい。この時間が上記下限未満では加水分解が十分に促進されない傾向にあり、他方、上記上限を超えると加水分解は飽和に達し、無意味な時間を費やすこととなる。さらに、熟成過程における溶液のpHは1〜14が好ましく、3〜8がより好ましい。このpHが上記下限未満では金属の溶媒への溶解が進み目的の多孔体の収率が悪くなる傾向にあり、他方、上記上限を超えると金属が水酸化物として沈殿する割合が多くなり目的の多孔体の収率が悪くなる傾向にある。なお、熟成過程における溶液のpHは目的とするメソ多孔体を構成する金属酸化物に応じて好適範囲が更に選択され、例えば、酸化銅から成るメソ多孔体を得る場合は4〜7が好ましい。
前記本発明のメソ多孔体の製造方法の第一の工程において、前記金属塩と前記非水溶媒と前記ブロックコポリマー型界面活性剤との比率(モル比)は、ブロックコポリマー型界面活性剤のモル数を1とした場合に、金属塩:非水溶媒:ブロックコポリマー型界面活性=50〜150:1000〜2500:1の範囲(モル比)であることが好ましい。前記金属塩の比率が前記下限未満では、金属塩に対する界面活性剤の量が過度に多くなり、未反応の界面活性剤が増大して細孔の均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、金属塩に対する界面活性剤の量が過度に少なくなり、細孔の形成が不完全となる傾向にある。また、非水溶媒の比率が前記下限未満では、界面活性剤の金属塩中への導入量が飽和し、未反応で非水溶媒中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、界面活性剤が金属塩中に十分に導入されず細孔の形成が不完全となる傾向にある。
さらに、前記本発明のメソ多孔体の製造方法の第一の工程においては、前記有機/無機複合体の熟成を加速するため、更なる金属塩を添加してもよい。このような更なる金属塩としては、IUPACが提唱する長周期型周期表における1族元素の金属塩(アルカリ金属塩)及び2族元素の金属塩(アルカリ土類金属塩)が好適なものとして挙げられ、中でもアルカリ金属のハロゲン化物(例えば、塩化カリウム)が特に好ましい。このような更なる金属塩の添加量は、メソ多孔体を構成する金属酸化物の先駆物質である前記金属塩に対し、0.1〜20.0等量程度であることが好ましく、0.5〜2.0等量程度であることがより好ましい。
次に、本発明のメソ多孔体の製造方法においては、前記第二の工程において得られた多孔体前駆体から前記ブロックコポリマー型界面活性剤を除去してメソ多孔体を得る(第二の工程)。
このように界面活性剤を除去する方法としては、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトン、水)中に前記多孔体前駆体を浸漬して界面活性剤を除去する方法、(ii)前記多孔体前駆体を空気中又は不活性ガス中において400〜700℃で4〜6時間焼成して界面活性剤を除去する方法を挙げることができる。このような第二の工程によって、中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している金属酸化物からなる本発明のメソ多孔体が得られる。
なお、本発明の製造方法において前記ブロックコポリマー型界面活性剤を焼成除去した際に発生する分解生成物の主成分は水と二酸化炭素であり、他のカチオン系又はアニオン系界面活性剤を焼成除去した際に発生する分解生成物に比べて環境に与える影響が小さい。このように、本発明のメソ多孔体の製造方法は、環境負荷物質の排出が十分に防止されるという点においても利点がある。
(空気浄化材料)
本発明の空気浄化材料は、前記本発明のメソ多孔体を備えるものであればよく、本発明のメソ多孔体そのものが本発明の空気浄化材料を構成していても、或いは本発明のメソ多孔体を他の基材に担持せしめて本発明の空気浄化材料が構成されていてもよい。また、本発明の空気浄化材料においては、前記本発明のメソ多孔体に貴金属等の触媒微粒子を担持せしめたものを用いてもよい。
本発明の空気浄化材料の形状も特に限定されず、粉末、顆粒、支持膜、自立膜、透明膜、配向膜、球状、繊維状、基板上のバーニング、μmサイズの明瞭な形態をもつ粒子などを挙げることができる。また、円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等に成形したものであってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において有機テンプレートとして用いたF−127ブロック共重合体及びP−123ブロック共重合体は、いずれもアルドリッチ社製のブロックコポリマー型界面活性剤であり、それぞれ以下の化学式:
(F−127)
HO(CHCHO)106(CHCH(CH)O)70(CHCHO)106
(P−123)
HO(CHCHO)20(CHCH(CH)O)70(CHCHO)20
で表わされるものである。
(実施例1)
F−127ブロック共重合体1gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Cu(NO・3HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Cu):2230(プロパノール):1(F−127)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちF−127ブロック共重合体をエタノールで抽出することにより、酸化銅からなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
Cu(NO・3HOの添加量を0.005molとし、ゲル組成をモル比で67(Cu):2230(プロパノール):1(F−127)とした以外は実施例1と同様にして酸化銅からなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例3)
プロパノール10gに代えてエチレングリコール5gとプロパノール5gとの混合溶媒を用い、ゲル組成をモル比で134(Cu):1115(プロパノール):1080(エチレングリコール):1(F−127)とした以外は実施例1と同様にして酸化銅からなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、図1に示すように、本実施例で得られたメソ多孔体には2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められ、これらの5つの回折ピークはdスペース比が√2:√4:√6:√10:√12であることを示すことから、3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
ゾルの熟成温度を60℃とした以外は実施例3と同様にして酸化銅からなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体を透過型電子顕微鏡により撮影したところ、図2に示すように、明るく見えるスポットの規則正しい配列と秩序ある大きなチャンネルが観察され、このメソ多孔体が3次元ケージ構造を有していることが確認された。また、本実施例で得られたメソ多孔体について得られたN吸着等温線を図3に、SJK法により求めた細孔分布曲線を図4にそれぞれ示す。
(実施例5)
ゾルの熟成時間を3日間とした以外は実施例3と同様にして酸化銅からなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
F−127ブロック共重合体1gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Co(NO・3HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Co):2230(プロパノール):1(F−127)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちF−127ブロック共重合体をエタノールで抽出することにより、酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
Co(NO・3HOの添加量を0.005molとし、ゲル組成をモル比で67(Co):2230(プロパノール):1(F−127)とした以外は実施例6と同様にして酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例8)
プロパノール10gに代えてエチレングリコール5gとプロパノール5gとの混合溶媒を用い、ゲル組成をモル比で134(Co):1115(プロパノール):1080(エチレングリコール):1(F−127)とした以外は実施例6と同様にして酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、図5に示すように、本実施例で得られたメソ多孔体には2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められ、これらの5つの回折ピークはdスペース比が√2:√4:√6:√10:√12であることを示すことから、3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例9)
ゾルの熟成温度を60℃とした以外は実施例8と同様にして酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例10)
ゾルの熟成時間を3日間とした以外は実施例8と同様にして酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例11)
ゾルを熟成した後に毎分1℃の昇温速度で400℃まで加熱するようにした以外は実施例6と同様にして酸化コバルトからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例12)
F−127ブロック共重合体1gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Ce(NO・3HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Ce):2230(プロパノール):1(F−127)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちF−127ブロック共重合体をエタノールで抽出することにより、酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例13)
Ce(NO・3HOの添加量を0.005molとし、ゲル組成をモル比で67(Ce):2230(プロパノール):1(F−127)とした以外は実施例12と同様にして酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例14)
ゾルを熟成した後に毎分1℃の昇温速度で400℃まで加熱するようにした以外は実施例12と同様にして酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例15)
プロパノール10gに代えてエチレングリコール5gとプロパノール5gとの混合溶媒を用い、ゲル組成をモル比で134(Ce):1115(プロパノール):1080(エチレングリコール):1(F−127)とした以外は実施例12と同様にして酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例16)
ゾルの熟成温度を60℃とした以外は実施例15と同様にして酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。
(実施例17)
ゾルの熟成時間を3日間とした以外は実施例15と同様にして酸化セリウムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、図6に示すように、本実施例で得られたメソ多孔体には2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められ、これらの5つの回折ピークはdスペース比が√2:√4:√6:√10:√12であることを示すことから、3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(実施例18)
F−127ブロック共重合体1gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Cr(NO・9HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Cr):2230(プロパノール):1(F−127)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちF−127ブロック共重合体をエタノールで抽出することにより、酸化クロムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本実施例で得られたメソ多孔体には3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルが形成されていることが確認された。また、得られたメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
以下の手順により3D−Cubic Ia3d構造を有するシリカメソ多孔体を作製し、比較試料として用いた。すなわち、先ず、テフロン容器中にP−123ブロック共重合体1.92g及びヨウ化ナトリウム11.24gを入れ、更に水45g及び4M HCl30gとを加えて溶解した。得られた溶液の温度を55℃に保ち、次いでシリカ前駆体としてテトラエチルオルソシリケート(TEOS)4gを加えて攪拌したところ、TEOSを添加した直後に結晶が析出し始めた。更に24時間攪拌した後、80℃の恒温槽に移して更に24時間熟成させた。このようにして得られた有機/無機複合体をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、空気中において500℃で6時間焼成することによって、有機/無機複合体中の有機テンプレート、すなわちP−123ブロック共重合体を除去することにより、シリカメソ多孔体を得た。得られたシリカメソ多孔体のd値、中心細孔直径及び比表面積を求め、得られた結果を表1に示す。
(吸着性能評価)
実施例18及び比較例1で得られたメソ多孔体について、以下の手順に従って吸着性能を評価した。すなわち、先ず、実施例18で得られたメソ多孔体1.0g及び比較例1で得られたメソ多孔体1.0gをそれぞれ、80ppmのトルエンを含む空気5リットルを封入したガス非透過性の袋に入れて密封し、それぞれの袋を25℃に保った恒温槽内に静置した。その後、所定時間毎に各袋内のトルエン濃度を測定し、袋にメソ多孔体を入れないで同様に測定したブランク濃度との差に基づいて、実施例18で得られたメソ多孔体及び比較例1で得られたメソ多孔体によるトルエン除去率を求めた。
得られたトルエン除去率を経過時間に対してプロットした結果を図7に示す。図7に示した結果から明らかな通り、実施例18で得られたメソ多孔体は比較例1で得られたメソ多孔体に比べてトルエン除去性能が非常に優れていることが確認された。
(比較例2)
有機テンプレートとして、HO(CHCHO)13(CHCH(CH)O)13(CHCHO)13H〔以下、EO13PO13EO13と略記する〕で表わされるブロック共重合体を用いて酸化クロムからなるメソ多孔体を得た。
すなわち、EO13PO13EO131gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Cr(NO・9HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Cr):2230(プロパノール):1(EO13PO13EO13)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちEO13PO13EO13をエタノールで抽出することにより、酸化クロムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本比較例で得られたメソ多孔体には2Θ=0.5〜2°の低角度領域にブロードなピークのみを示し、構造に規則性を持たないメソ多孔体であることが確認された。
(比較例3)
有機テンプレートとして、臭化セチルトリメチルアンモニウム(以下、CTABと略記する)で表わされる界面活性剤を用いて酸化クロムからなるメソ多孔体を得た。
すなわち、CTAB1gをプロパノール10gに加えて攪拌し、溶解した。得られた溶液に、Cr(NO・9HO(0.01mol)を加えて30分間激しく攪拌した。このときのゲル組成は、モル比で134(Cr):2230(プロパノール):10(CTAB)であった。その後、得られたゾルを40℃で7日間熟成し、次いで毎分1℃の昇温速度で200℃まで加熱した。そして最後に、有機テンプレート、すなわちCTABをエタノールで抽出することにより、酸化クロムからなるメソ多孔体を得た。
X線回折パターンを測定したところ、本比較例で得られたメソ多孔体には2Θ=1〜2°の低角度領域にブロードなピークのみを示し、構造に規則性を持たないメソ多孔体であることが確認された。
以上説明したように、本発明のメソ多孔体は、吸着物質や反応基質を細孔内に速やかに拡散することができ、優れた吸着特性及び触媒活性を示すことから、吸着材、分離材、触媒担体等として有用なものである。また、このような本発明のメソ多孔体を用いた本発明の空気浄化材料は、空気中のVOC等の有害物質に対する除去性能に優れているため、空気中の有害物質を除去するための空気浄化材料として非常に有用性が高い。
また、本発明のメソ多孔体の製造方法によれば、従来は得ることができなかった前記本発明のメソ多孔体、すなわち中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成している金属酸化物からなるメソ多孔体を得ることが可能となるため、本発明のメソ多孔体の製造方法は吸着材、分離材、触媒担体等を製造するために有用な方法である。
実施例3で得られたメソ多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例4で得られたメソ多孔体の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られたメソ多孔体のN2吸着等温線を示すグラフである。 実施例4で得られたメソ多孔体の細孔分布曲線を示すグラフである。 実施例8で得られたメソ多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例17で得られたメソ多孔体のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例18で得られたメソ多孔体及び比較例1で得られたメソ多孔体によるトルエン除去率の試験結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 金属酸化物からなるメソ多孔体であって、中心細孔直径2〜10nmの細孔が相互に連結して3D−Cubic Im3m構造の3次元チャンネルを形成しており、
    前記金属酸化物が、コバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることを特徴とするメソ多孔体。
  2. X線回折分析法において、2Θ=0.5〜3°の領域に(110)、(200)、(211)、(310)、(222)に指数付けされる5つの回折ピークが認められることを特徴とする、請求項1に記載のメソ多孔体。
  3. 請求項1又は2に記載のメソ多孔体からなることを特徴とする空気浄化材料。
  4. 水分含有量が1重量%以下である非水溶媒中に、下記一般式(1):
    HO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCHO)H (1)
    [式(1)中、aは20〜150、bは20〜100、cは20〜150の整数をそれぞれ表す]
    及び/又は下記一般式(2):
    HO(CHCHO)(CHCHCH(CH)O)H (2)
    [式(2)中、xは30〜60、yは50〜150の整数をそれぞれ表す]
    で表されるブロックコポリマー型の界面活性剤と、コバルト、銅、クロム及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物及び酢酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩とを添加し、多孔体前駆体を生成させる第一の工程と、
    前記多孔体前駆体から前記界面活性剤を除去してメソ多孔体を得る第二の工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のメソ多孔体の製造方法。
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