JP4593952B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質被覆層を表面に被着形成した表面被覆切削工具に関し、鋼の加工や、特に鋳鉄の断続切削等の大きな衝撃が切刃にかかるような切削に際しても、優れた耐剥離性および耐チッピング性を有する表面被覆切削工具に関する。
従来より、金属の切削加工に広く用いられている切削工具は、超硬合金やサーメット、セラミックス等の基体の表面に、炭化チタン(TiC)層、窒化チタン(TiN)層、炭窒化チタン(TiCN)層および酸化アルミニウム(Al)層等の硬質被覆層を複数層被着形成した表面被覆切削工具が多用されている。
表面被覆切削工具においては、最近の切削加工の高能率化に従って金属の重断続切削等の大きな衝撃が切刃にかかるような過酷な切削条件で使われるようになっており、従来の工具では硬質被覆層が突発的に発生する大きな衝撃に耐えきれず、硬質被覆層が剥離にて基体が露出してしまい、これが引き金となって切刃にチッピングや異常摩耗が発生して工具寿命の長寿命化ができないという問題があった。
そこで、特許文献1には、酸化アルミニウム層からなる酸化物層とその下層として存在する炭窒化チタン層との界面に、凹凸形状の炭化チタン層や炭酸化チタン層等からなる強化層を形成し、かつ前記酸化物層と前記強化層との界面を所定の凹凸状として接触面積を増すことにより、炭窒化チタン層と酸化アルミニウム層との密着性を高めて被覆層の耐剥離性が向上すると記載されている。
特開平11−229144号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された酸化物層と強化層との界面を凹凸状とした層構成によっても付着力向上には限界があり、重断続切削等の突発的に大きな衝撃がかかるような切削においては依然として酸化アルミニウム層の膜剥離等が発生し、工具寿命が短くなっていた。また、鋼等の切削においても更なる耐チッピング性および耐摩耗性の向上が求められていた。
また、酸化物層と強化層との間を単純な凹凸形状としても、酸化物層と強化層との間を上下方向に引き剥がすような、すなわち両者間を璧開するような剥離が生じる場合、付着力が小さくなることで、膜剥離やチッピングの発生による異常摩耗が発生したり、摩耗が進行しやすい等の問題が発生して硬質被覆層全体の最適化がうまくいかず工具寿命には限界があった。
従って、本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、鋼の切削や、特に断続切削等の突発的に工具切刃に強い衝撃がかかるような過酷な切削条件においても、膜剥離が発生することなく、優れた耐剥離性および耐チッピング性を有するとともに、耐摩耗性にも優れる長寿命の切削工具を提供することにある。
本発明者は、上記課題に対して検討した結果、炭窒化チタンと酸化アルミニウムの界面において、前記酸化アルミニウム層の界面に球状のチタン化合物粒子が埋め込まれた構成とすることによって、前記特許文献1のように強化層と酸化アルミニウム層との間が単純な凹凸形状であるよりも、より強固なくさび効果を発揮させることができて炭窒化チタン層と上層の酸化アルミニウム層との付着力が向上し、断続切削時において例え突発的に大きな衝撃が硬質被覆層にかかったときであっても酸化アルミニウム層が剥離することなく、膜剥離やチッピングを防止できるため、突発欠損や異常摩耗を防ぐことができることを発明した。
すなわち、本発明の表面被覆切削工具は、基体の表面に少なくとも筋状結晶からなる炭窒化チタン層が1層以上と、その上層として酸化アルミニウム層を被覆した表面被覆切削工具において、該表面被覆切削工具の断面を観察した際に前記酸化アルミニウム層中の前記炭窒化チタン層との界面にチタン化合物粒子が埋め込まれており、前記チタン化合物粒子の平均粒径が前記筋状結晶からなる炭窒化チタン層のうちの前記酸化アルミニウム層に最も近い炭窒化チタン層中の炭窒化チタン粒子の平均粒子幅の1.3〜3倍の範囲にあることを特徴とするものである。
また、前記チタン化合物粒子の平均粒径が、前記炭窒化チタン層の粒径の1.3〜3倍
の範囲にあることが、前記酸化アルミニウム層と前記炭窒化チタン層との層間剥離を抑え、チッピングや異常摩耗を防ぐことができるため重要である
さらに、前記酸化アルミニウム層の直下に粒状結晶をなしてチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物の群から選ばれる1種からなるチタン化合物層が少なくとも1層存在することが、前記チタン化合物粒子の生成を促して前記炭窒化チタン層と前記酸化アルミニウム層との付着力を高め、チッピングや膜剥離による異常摩耗を防止することができる点で望ましい。
また、前記チタン化合物層の膜厚が0.01〜1μmの範囲にあることが、膜の強度の低下を抑え、かつ、前記炭窒化チタン層と前記酸化アルミニウム層との付着力を高めることができる点で望ましい。
本発明の表面被覆切削工具は、基体の表面に少なくとも筋状結晶からなる炭窒化チタン層と、その上層として酸化アルミニウム層を被覆した表面被覆切削工具において、該表面被覆切削工具の断面を観察した際に前記酸化アルミニウム層中の前記炭窒化チタン層との界面に球状のチタン化合物粒子が埋め込まれていることによって、炭窒化チタン層と上層の酸化アルミニウム層との間の付着力をより向上させることができる。
その結果、特にねずみ鋳鉄(FC材)やダクタイル鋳鉄(FCD材)のような高硬度黒鉛粒子が分散した鋳鉄等の金属の重断続切削等のような工具切刃に強い衝撃がかかる過酷な切削条件や、連続切削条件、さらにはこれら断続切削と連続切削とを組み合わせた複合切削条件において、例え突発的に大きな衝撃が硬質被覆層にかかったときであっても球状の炭窒化チタンが酸化アルミニウムに埋め込まれているために、酸化アルミニウム膜が膜剥離させず、硬質被覆層全体のチッピングや剥離を防止できるとともに、硬質被覆層全体の耐摩耗性が維持され、優れた耐剥離性および耐チッピング性を有する切削工具が得られる。もちろん、鋼の切削においても従来工具に対して耐剥離性および耐チッピング性に優れた工具となる。
本発明の表面被覆切削工具の一例について、硬質被覆層を含む破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である図1を基に説明する。
図1によれば、表面被覆切削工具(以下、単に工具と略す。)1は、基体2の表面に硬質被覆層3を化学蒸着法(CVD)にて被着形成したものである。
なお、本発明によれば、基体2としては、炭化タングステン(WC)と、所望により周期律表第4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種からなる硬質相をコバルト(Co)および/またはニッケル(Ni)等の鉄属金属からなる結合相にて結合させた超硬合金や、Ti基サーメット、または窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素等のセラミックスのいずれかからなることが望ましい。
本実施態様によれば、図1に示すように、硬質被覆層3として少なくとも柱状粒子をなす炭窒化チタン層4およびその上層として酸化アルミニウム層6を有している。なお、柱状炭窒化チタン粒子は例えば中温化学蒸着(MT−CVD)法にて成膜することにより作製できる。
本発明によれば、図1のような工具1の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察において、酸化アルミニウム層6中の炭窒化チタン層4との界面付近にチタン化合物粒子7が埋め込まれていることが大きな特徴である。
上記構成によって、酸化アルミニウム層6と、炭窒化チタン層4を含む下層との接触面積が増えるとともに、酸化アルミニウム層6の中にチタン化合物粒子7が埋め込まれるような形になり、炭窒化チタン層4を含む下層とつながったチタン化合物粒子7がカギのような引っ掛けて止める役目をなすため、両者間を璧開するような剥離についてもより強固な密着力を発揮できる結果、断続切削時において例え突発的に大きな衝撃が硬質被覆層3にかかったときであっても酸化アルミニウム層6が剥離することなく、硬質被覆層3全体の膜剥離やチッピングを防止できるとともに、硬質被覆層3全体の耐摩耗性が向上する。
すなわち、酸化アルミニウム層6と炭窒化チタン層4を含む下層との間が平滑もしくは単純な凹凸形状であって球状のチタン化合物粒子7が酸化アルミニウム層6中の炭窒化チタン層4側の界面付近に埋め込まれていない形態では、酸化アルミニウム層6の付着力が十分ではなくなり、断続切削時において突発的に大きな衝撃がかかると酸化アルミニウム層6が剥離してしまい、異常摩耗やチッピング等の工具損傷が発生してしまう。
なお、本発明によれば、チタン化合物粒子7の存在を確認するために工具1の断面を観察する際は工具1の破面または断面を鏡面加工したものを走査型電子顕微鏡(SEM)にて1000〜10000倍で観察するのがよい。また、鏡面加工したものを観察する際は二次電子像(BEI)で観察するとより明確にチタン化合物粒子が酸化アルミニウム層6中に埋め込まれている様子が観察できる。また、本発明においてチタン化合物粒子7が酸化アルミニウム層6中に埋め込まれている状態とは、酸化アルミニウム層6中にチタン化合物粒子7が点在するとともに酸化アルミニウム層6の下層との界面においてチタン化合物粒子7が縮径している状態を指し、特にチタン化合物粒子7が粒状、さらには略球状をなすことが望ましい。
ここで、チタン化合物粒子7の平均粒径が前記炭窒化チタン層の平均結晶幅wの1.3〜3倍の範囲であることが酸化アルミニウム層6の付着力を向上させ、膜剥離による異常摩耗やチッピングを防ぐことができるため重要である。さらに、チタン化合物粒子7の存在比率は、酸化アルミニウム層6の下層との界面長さ5μmに対して3個以上、特に5個以上の割合で存在することが望ましい。
また、酸化アルミニウム層6の直下にチタン化合物層8としてチタンの窒化物、炭化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、窒酸化物、炭窒酸化物から選ばれる1種の単層、または2種以上からなる複層が粒状結晶をなして存在することが、上述した酸化アルミニウム層の界面に球状のチタン化合物が埋め込まれた組織を作製できて酸化アルミニウム層6の付着力を高め、チッピングや膜剥離による異常摩耗を防止することができる点で望ましい。チタン化合物層8の構成としては、特に、炭化チタン層と、炭窒化チタンおよび/または炭窒酸化チタン層との複層構造であることが、球状のチタン化合物粒子を容易に作製することができて、耐摩耗性、耐欠損性に優れた硬質被覆層3を形成するために望ましい。
ここで、チタン化合物層8の膜厚が0.01〜1μm、特に0.01〜0.5μm、さらには0.01〜0.1μmの範囲であることが、硬質被覆層3の強度の低下を防ぎ、酸化アルミニウム層6の付着力を向上することができるため望ましい。
また、炭窒化チタン層4と基体2の間に、付着力向上のおよび基体2成分の拡散による耐摩耗性の低下を防ぐため窒化チタン(TiN)層からなる最下層9を被覆することが望ましい。また、最下層9の層厚は0.1〜2μmの範囲であることが付着力の低下を防ぐ点で望ましい。
また、硬質被覆層3の最表面層10として窒化チタン層を形成することによって、工具1が金色を呈するため、工具1を使用したときに変色して使用済みかどうかの判別がつきやすく、また、摩耗の進行を容易に確認できるため望ましい。
(製造方法)
また、上述した表面被覆切削工具を製造するには、まず、上述した硬質合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加、混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定の工具形状に成形した後、真空中または非酸化性雰囲気中にて焼成することによって上述した硬質合金からなる基体2を作製する。
次に、上記基体2の表面を所望によって研磨加工した後、その表面に例えば化学気相蒸着(CVD)法によって硬質被覆層3を成膜する。炭窒化チタン層4を成膜する際の成膜条件は、例えば、反応ガス組成として、体積%で塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを0〜60体積%、メタン(CH)ガスを0〜0.1体積%、アセトニトリル(CHCN)ガスを0.1〜3体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜1100℃、5〜85kPaにて成膜する。
本発明によれば、炭窒化チタン層4の上にチタン化合物層8として炭化チタン層をごくわずかの厚みで成膜し、その表面の酸化アルミニウム層6を成膜する際に、炉内温度を酸化アルミニウム層6の実際の成膜温度よりも15〜40℃高い温度に一旦1〜10分の時間だけ昇温させた後、実際の成膜温度に戻すことによって球状のチタン化合物粒子を安定して作製することができる。また、チタン化合物層8の成膜時における炉内圧力を50〜100kPaと高くすることでより安定して球状のチタン化合物粒子7を作製することができる。
ここで、チタン化合物層8として炭化チタン(TiC)を成膜するには、反応ガス組成としてTiClガスを0.1〜30体積%、CHガスを0.1〜20体積%、残りがHガスからなる混合ガスを順次調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜1100℃として粒状のTiC膜を成膜する。また、チタン化合物層8として炭窒化チタン(TiCN)を成膜するには、反応ガス組成としてTiClガスを0.1〜10体積vol%、Nガスを0〜60体積%、CHガスを0.1〜10体積%、残りがHガスからなる混合ガスを順次調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜1100℃として粒状のTiCN膜を成膜する。また、チタン化合物層8としてTiCN膜を成膜する際に、上記筋状TiCN膜の条件をチャンバ内圧力50〜100kPaとして成膜してもよい。
さらに、チタン化合物層8として炭窒酸化チタン(TiCNO)層を成膜するには、塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜3体積%、メタン(CH)ガスを0.1〜10体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.01〜5体積%、窒素(N)ガスを0〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを順次調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜1100℃、5〜85kPaとすればよい。
そして、本発明によれば、引き続き、酸化アルミニウム層6を成膜する。酸化アルミニウム層6の成膜方法としては、塩化アルミニウム(AlCl)ガスを3〜20体積%、塩化水素(HCl)ガスを0.5〜3.5体積%、二酸化炭素(CO)ガスを0.01〜5.0体積%、硫化水素(HS)ガスを0〜0.01体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを用い、900〜1100℃、5〜10kPaとすることが望ましい。
また、窒化チタン(TiN)層を成膜するには、反応ガス組成として塩化チタン(TiCl)ガスを0.1〜10体積%、窒素(N)ガスを0〜60体積%、残りが水素(H)ガスからなる混合ガスを順次調整して反応チャンバ内に導入し、チャンバ内を800〜1100℃、5〜85kPaとすればよい。
平均粒径1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末に対して、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末を6質量%、平均粒径2.0μmの炭化チタン(TiC)粉末を0.5質量%、TaC粉末を5質量%の割合で添加、混合して、プレス成形により切削工具形状(CNMA120412)に成形した後、脱バインダ処理を施し、0.01Paの真空中、1500℃で1時間焼成して超硬合金を作製した。さらに、作製した超硬合金にブラシ加工にて刃先処理(ホーニングR)を施した。
そして、上記超硬合金に対して、CVD法により各種の硬質被覆層を表1に示す条件で表2に示す構成の多層膜からなる硬質被覆層を成膜した試料No.1〜6の表面被覆切削工具を作製した。なお、チタン化合物層成膜時後期5分間も表2中に記載した酸化アルミニウム(Al)層成膜初期の炉内温度(℃)にて成膜しており、また、同欄の括弧表記は通常の成膜温度に対する成膜初期温度の温度差を指す。さらに、Ti化合物粒子とは酸化アルミニウム層中に埋め込まれたチタン化合物粒子を意味する。
Figure 0004593952
得られた工具について、硬質被覆層の断面を含む任意破断面5ヵ所について走査型電子顕微鏡(SEM)写真(5000倍)を撮り、各写真において硬質被覆層の組織を観察した。このとき、炭窒化チタン層の総膜厚に対して基体側より総膜厚の1/2の高さ位置に図1に示すような線Aを引いて、それぞれの線分上を横切る粒界数を測定して、線分の長さをその粒界数で割ることで炭窒化チタン結晶の結晶幅に換算した値を算出し、写真5ヶ所についてそれぞれ算出した結晶幅の平均値を平均結晶幅wとして算出した。結果は表2に示した。
また、各写真において酸化アルミニウム層中に球状のチタン化合物粒子の存在しているかどうかを観察した。このとき、5000倍のSEM写真上にあるチタン化合物粒子の粒径を測定し、その平均値をチタン化合物粒子の平均粒径とした。結果は表2に示した。
さらに、硬質被覆層の付着力を、下記条件のスクラッチ試験によって測定した。結果は表2に示した。
装置:ナノテック社製CSEM−REVETEST
測定条件
テーブルスピード:0.17mm/sec
荷重スピード100N/min
圧子
円錐形ダイヤモンド圧子(東京ダイヤモンド工具製作所社製ダイヤモンド接触子:N2−1487)
曲率半径:0.2mm
稜線角度:120°
Figure 0004593952
そして、この切削工具を用いて下記の条件により、連続切削試験および断続切削試験を行い、耐摩耗性および耐欠損性を評価した。
(連続切削試験)
被削材 :ダクタイル鋳鉄スリーブ材(FCD700)
工具形状:CNMA120412
切削速度:250m/分
送り速度:0.4mm/rev
切り込み:2mm
切削時間:20分
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:顕微鏡にて切刃を観察し、フランク摩耗量・先端摩耗量を測定
(断続試験)
被削材 :ダクタイル鋳鉄4本溝付スリーブ材(FCD700)
工具形状:CNMA120412
切削速度:200m/分
送り速度:0.3〜0.5mm/rev
切り込み:2mm
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:欠損に至る衝撃回数
衝撃回数1000回時点で顕微鏡にて切刃の硬質被覆層の剥離状態を観察
Figure 0004593952
表1〜3より、酸化アルミニウム層中にチタン化合物粒子が存在していない試料No.5,6では、酸化アルミニウム層の付着力が弱く、耐摩耗試験では早期に酸化アルミニウム層の剥離が発生してしまい、摩耗の進行が早まり、耐摩耗性が低下してしまった。また、耐欠損性試験では早期に刃先のチッピングが発生し、そこを起点として欠損が生じてしまった。
これに対して、本発明に従い、酸化アルミニウム層中に球状のチタン化合物粒子を存在させた構成とした試料No.1〜4では、いずれも硬質被覆層の剥離が発生せず、連続切削においても断続切削においても長寿命であり、耐欠損性および耐チッピング性とも優れた切削性能を有するものであった。
本発明の表面被覆切削工具の破断面における硬質被覆層領域についての走査型電子顕微鏡像である。
符号の説明
1: 表面被覆切削工具
2: 基体
3: 硬質被覆層
4: 炭窒化チタン層
6: 酸化アルミニウム層
7: 球状のチタン化合物粒子
8: チタン化合物層
9: 最下層
10: 最表面層
w : 炭窒化チタン層の平均結晶幅

Claims (2)

  1. 基体の表面に少なくとも筋状結晶からなる炭窒化チタン層が1層以上と、その上層として酸化アルミニウム層を被覆した表面被覆切削工具において、該表面被覆切削工具の断面を観察した際に前記酸化アルミニウム層中の前記炭窒化チタン層との界面にチタン化合物粒子が埋め込まれており、前記チタン化合物粒子の平均粒径が前記筋状結晶からなる炭窒化チタン層のうちの前記酸化アルミニウム層に最も近い炭窒化チタン層中の炭窒化チタン粒子の平均粒子幅の1.3〜3倍の範囲にあることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記酸化アルミニウム層の直下に粒状結晶をなしてチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、炭酸化物、酸窒化物、炭酸窒化物の群から選ばれる1種からなるチタン化合物層が膜厚0.01〜1μmの範囲で少なくとも1層存在することを特徴とする請求項に記載の表面被覆切削工具。
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