JP4588945B2 - 2チャネル・ステレオ・フォーマットの左及び右のチャネル入力信号を左及び右のチャネル出力信号に変換する方法及び信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2チャネル・ステレオ・フォーマットの信号を、ヘッドホンを用いて再生するのに適するように変換する、上記請求項1の前提部に示す方法に関する。本発明は、前記方法を実行するための、上記請求項7の前提部に示す信号処理装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】
既に数十年間にわたって、音楽及びその他のオーディオ録音及び公共放送を作るための広く使われていたフォーマットは、周知の2チャネル・ステレオ・フォーマットであった。2チャネル・ステレオ・フォーマットは2つの独立したトラック或いはチャネル、即ち左(L)及び右(R)のチャネル、から成っており、それらは2つの別々のスピーカ・ユニットを用いて再生されるように意図されている。前記チャネルは、所望の空間的印象を聴取者に与えるために混合及び/又は記録され及び/又はその他の方法で処理されるが、聴取者は、聴取者に関して理想的には60°を張る2つのスピーカ・ユニットの正面中央に位置する。前述したように配置された左右のスピーカを通して2チャネル・ステレオ録音が聴取されるとき、聴取者は元の音響風景に似た空間的印象を体験する。この空間的印象で、聴取者はいろいろな音源の方向に気づくことができ、聴取者はいろいろな音源の距離の感覚も得る。換言すると、2チャネル・ステレオ録音が聴取されるとき、音源は、聴取者の前の、実質的に左右のスピーカ・ユニットの間のどこかに位置すると思われる。
【0003】
他のオーディオ記録フォーマットも知られていて、それらは、ただ2つのスピーカ・ユニットの代わりに、再生のために3つ以上のスピーカ・ユニットを使用する。例えば、4チャネル・ステレオ・システムでは、2つのスピーカ・ユニットが聴取者の前に置かれ、そのうちの1つは左側に、1つは右側に置かれ、他の2つのスピーカ・ユニットは聴取者の後方に置かれ、そのうちの1つは後ろ左側に、1つは後ろ右側に、それぞれ置かれる。これは音響風景のより詳細な空間的印象を作ることを可能にし、聴取者の前に位置する領域のどこかから来る音響だけではなくて、後ろから、或いは聴取者の直ぐ横から来る音響も聞くことができる。この様な多重チャネル再生システムは、今日では例えば映画館で広く使用されている。これらの多重チャネル・システムのための録音は、別々の各チャネルのために独立のトラックを有するように調製され、或いは、標準の2チャネル・ステレオ・フォーマット以外のチャネルの情報を2チャネル・ステレオ・フォーマット録音の左側チャネル及び右側チャネルに符号化することもできる。後者の場合には、例えば左後方及び右後方チャネルのための信号を抽出するために再生時に特殊な復号器が必要である。
【0004】
さらに、録音をするための特殊な方法が知られており、それは特にヘッドホンを通して聴取されるように意図されている。それらは、例えば、現実の聴取状態で人間の聴取者の鼓膜により捉えられる圧力信号に対応する記録信号からなる両耳録音を含んでいる。例えば、人間の2つの耳に取って代わる2つのマイクロホンを備えた人口の頭であるダミーヘッドを用いて、その様な録音をすることができる。高品質両耳録音がヘッドホンを通して聞かれるときには、聴取者は録音場所の元の、詳細な3次元音響イメージを体験する。
【0005】
しかし、本発明は、主としてその様な2チャネル・ステレオ録音、放送又は同様のオーディオ源に関するものであり、それは2つのスピーカ・ユニットを通して聴取されるように混合され且つ/又は他の方法で調製され、前記ユニットは聴取者に対して前述した態様で配置されるように意図されている。以下、何か別のものが個々に述べられていなければ、”ステレオ”という略語は前述の種類の2チャネル・ステレオ・フォーマットを指す。この様なステレオ・フォーマットで2つのスピーカを通してオーディオ源を聴取することは、以下では手短に”自然聴取”と称す。
【0006】
最近の10年間の間に、例えば携帯用テープ・プレーヤ及びCDプレーヤなどの携帯可能な個人用ステレオ装置がますます普及してきている。この発展は、特に、音楽録音、無線放送等の聴取におけるヘッドホンの使用を大いに増大させた。しかし、商業的に利用可能な音楽録音及びその他のオーディオ源は殆どもっぱら2チャネル・ステレオ・フォーマットであり、かくして、ヘッドホンではなくてスピーカで再生されるように意図されている。この事実にも拘わらず、携帯用のステレオ装置、及びその他の再生システムにとっては、ステレオ録音がヘッドホンではなくてスピーカで再生されるように意図されているという事実を補償しようとする試みを全くしていないというのが普通である。
【0007】
ステレオ録音が自然聴取状態でスピーカにて再生される場合には、左側のスピーカから放出された音響は聴取者の左耳だけではなくて右耳によっても聴取され、これに対応して、右側のスピーカから放出された音響は左右の両耳によって聴取される。この条件は、正しい空間感覚で聴取印象を生成するために根本的に重要である。換言すると、このことは、音響が戸外の空間或いはステージから発するように思われる聴取印象を生成するために重要である。ヘッドホンでステレオ録音を聴く場合には、左チャネルは左耳だけで聞かれ、右チャネルは右耳だけで聞かれる。このことは、聴取印象が不自然で且つ聞きにくくなる原因となり、音響風景或いはステージは完全に聴取者の頭の中に包含される。つまり音響は意図されたようには客観化されない。
【0008】
ヘッドホンで提供されるときに、2チャネル・ステレオ録音の音質を改善すべく意図されている従来技術の方法は、主として次の2つの種類に属する。
【0009】
第1の種類の方法は自然聴取状態の模倣に基づいており、その状態では音響は普通はスピーカを通して再生される。換言すると、ヘッドホンを通して再生されるステレオ信号は、1対の“仮想スピーカ”から到来する音響の印象を聴取者の耳に作り出し、さらに現実のオリジナル音源を聞くのに似るようにするために処理される。この範疇に属する方法は、以下、本明細書において“仮想スピーカ方法”(virtual loudspeaker method)と称される。
【0010】
第2の種類の方法は、正確な自然聴取或いは自然音響風景を作り出そうとする試みには全く基づかず、残響を付け加え、ある周波数を増大(boost)し、或いは単にチャネル差信号(LマイナスR)を増大するなどの方法による。これらの方法は、聴取印象をある程度改善することが経験的に見いだされている。以下本明細書においては、この範疇に属する方法を“等化器”又は“高等等化器”(advanced equalizers)と称する。
【0011】
次に、仮想スピーカ方法と、いろいろな種類の等化器に基づく方法とをやや詳しく論じる。
【0012】
聴取者の例えば左側に位置するスピーカから音響が放出されるとすると、聴取者の左耳及び右耳で作られる音圧を測定することが可能である。スピーカ入力信号を、聴取者の左耳及び右耳で観測される音圧信号と比較すると、その音響を聴取者の耳へ伝搬する音響路の挙動をモデリングすることが可能である。これが左右のチャネルの両方について別々に行われるときには、前記音響路の挙動に従ってスピーカ入力信号を処理するために使うことのできる信号フィルタを実現することがさらに可能である。その様なフィルタを用いて元の信号を処理し、フィルタリングされた信号をヘッドホンを通して再生することにより、元の信号をスピーカを通して聞く場合と理想的には同じ音圧が聴取者の耳で再生される。従って、上記の仮想スピーカ方法は、少なくとも理論上は、自然聴取条件を模倣するのに科学的に正当と認められる信頼できる方法である。
【0013】
各音響路は、3つの主要な構成要素からなっている。すなわち、音源(1対のスピーカなど)の放射特性と、音響環境の影響(付近の面からの早い反射と遅い残響とを生じさせる)と、音場における受信装置(人の耳)の存在と、である。スピーカは、普通は明白にはモデリングされず、平坦な振幅応答と全方向放射パターンとを有するものと仮定される。音響環境からの反射は、周囲の印象を形成するために聴取者により使用され、早い反射(US 5,371,799; US 5,502,747; US 5,809,149)及び遅い残響(US 5,371,799; US 5,502,747; US 5,802,180; US 5,809,149; US 5,812,674)をモデリングすることにより、閉鎖された空間内にいるという印象を聴取者に与えることが可能である。しかし、与えられた従来技術の方法を使用するときは、これを、全体の音質に顕著且つネガティブな変化を生じさせることなく、達成することはできない。
【0014】
入ってくる音波に対する受信装置の効果特に人の頭及び耳介(外耳、耳たぶ)の効果、が数十年間にわたって研究コミュニティーによって徹底的に研究されてきている。聴取者の頭と、場合によっては聴取者の胴及び/又は耳介との現実的モデリングを含む音響路は、通常、頭部関連伝達関数HRTF(head-related transfer function)と称される。HRTFは、普通は無反響条件下でいわゆるダミーヘッドで測定され、生の測定データを等化する、即ち生の測定データをトランスデューサ・チェーンの応答のために修正するのが一般的な方法であるが、それは通常は増幅器と、スピーカと、マイクロホンと、データ獲得装置とから成っている。スピーカに最も近い耳に対するHRTFは同側(ipsilateral)HRTFと称され、該スピーカからさらに離れている他方の耳は対側(contralateral)HRTFと称される。
【0015】
人間の聴覚系は、音源の位置を特定する目的で、同側HRTF及び対側HRTFによりフィルタされた音響を合成しそして比較する。聴覚系が異なるメカニズムを使って、低周波及び高周波で音源の位置を特定するということは一般的に認められている事実である。約1kHzより低い周波数では、音響の波長は聴取者の頭のサイズと比べて比較的長く、そのことは、音源(スピーカ)から発して聴取者の2つの耳に到達する各音波の間に耳間位相差を生じさせる原因となる。前記耳間位相差は耳間時間差ITD(interaural time difference)に変換することができ、それは、換言すると、聴取者の最も近い耳と最も遠い耳とに到達する各音響間の時間遅延である。水平面内にある音源については、ITDが大きいということは音源が聴取者の横にあるということを意味し、ITDが小さいということは音源が聴取者の殆ど真正面、又は真後ろにあるということを意味する。
【0016】
約2kHzより高い周波数では、音響波長は人の頭より短く、従って、頭は、音源から発して聴取者の2つの耳に到達する各音波間に耳間レベル差ILD(interaural level difference)を生じさせる音響陰影(acoustic shadow)を、形成する。換言すると、聴取者の最も近い耳と最も遠い耳とに到達する各音圧は異なっている。5kHzより上の周波数では、音響波長が短いので、耳介は、音源の周波数及び位置の両方の関数として、耳間レベル差ILDを大きく変動させる原因となる。
【0017】
低周波数での音源の位置の特定は、主として耳間時間差ITDキュー(cue)による決定によりなされ、高周波数での音源の位置の特定は、主として耳間レベル差ILDキューによる決定によりなされる。
【0018】
ヘッドホンで仮想スピーカ方法を実現する従来技術のシステムは、少なくとも、3kHzより上ではILDが一定ではないという程度まで、低周波ITDキュー及び高周波ILDキューの両方を含めようと試みる。この高周波変動を抽出して実行することのできる多数の方法がある(US 3,970,787; US 5,596,644; US 5,659,619; US 5,802,180; US 5,809,149; US 5,371,799及びWO 97/25834)。あるシステムは、納得のいく空間的効果を達成するためにILDを強調している(EP 0966 179 A2)。
【0019】
実際上は、前述した仮想スピーカ型の方法の欠点は、音響路の正確なモデルに含まれる詳細の量と、所要の信号フィルタを正確に設計して実現し得ることの困難さと、に集中している。今日では、その様なフィルタはディジタル信号処理技術DSP(digital signal processing)を用いて最適に実現することができる。しかし、所要のディジタル・フィルタのダイナミック・レンジはむしろ大きく、これには該フィルタが再生される音響に望ましくない調子(colouration)を招く、という望ましくない副作用がある。この音響の調子は、特に高い周波数で生じ、それは特に高忠実度録音で顕著である。
【0020】
“等化器”又は“高等等化器”の範疇に属する方法は、音響風景のどの部分をも実際に客観化することに成功していないので、その厳密な定義でのいわゆる空間エンハンサー(spatial enhancer)であるとは考えられない。2チャネル・ステレオ・フォーマットのチャネル差信号(LマイナスRチャネル)を増大(boost)するという基本的アイデアは、該差信号がチャネル和信号(LプラスR)より多くの空間情報を含んでいると思われる、という見解に基づいている。ヘッドホンが使用される場合には、チャネル差信号のレベルを増大させることの効果は、左右にある音源をより聞き取りやすくするが、中央に近い音源は本質的に影響を受けない。音響風景或いはステージの一番左の端及び一番右の端にある音響成分は効果的に大きくされるけれども、空間的にはそれらは同じ場所にとどまっている。しかし、それがオンにされるときにその効果が音響レベル全体を数デシベルだけ増大させるならば、それは改良のように思われる。実際は、それを達成した方法に関わりなく、音響レベル全体の増大は普通は聴取者により音質の改良と解される。今日では例えばテープ・プレーヤ、CDプレーヤ或いはPCサウンド・カードに見いだされる“スペーシャライザー(spatializer)”或いは“エクスパンダー(expander)”の大部分はチャネル差信号のレベルに影響を及ぼす種類の高等等化器と考えられる(US 4,748,669)。
【0021】
既知の方法の一つは単純な低周波の増大を用いることであり、それは、特にヘッドホンと共に用いられる場合には有効な方法である。これは、ヘッドホンが低周波を再生するときにスピーカより遙かに効率が悪いからである。低周波の増大は、再生時に録音のスペクトル周波数バランスを復元させるのに役立つけれども、空間的な強調は達成できない。
【0022】
ステレオ信号に残響を付け加えることによって、部屋或いはその他の同様の閉鎖した空間で音楽を聴くときに体験するのに幾分似ている印象を聴取者に与えることが可能であることも知られている。直接音響と、反射し残響した音響との比が、音源がどの程度に離れて感じられるか、という人の感覚に影響を及ぼすことも良く知られている。残響が多いほど、音源は遠くにあると思われる。しかし、高品質、高忠実度録音は既に正しい量の残響を含んでいるので、さらに多くの残響を付け加えると結果が悪くなり、録音が地下室や浴室で実行されたという印象を与えてしまうのが普通である。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主な目的は、ヘッドホンを用いて再生されるのに適するように2チャネル・ステレオ・フォーマット信号を変換する新規で単純な方法を提供することである。本発明によれば、仮想スピーカ型アプローチに基づいており、自然聴取状態に近似するように聴取者の頭の外に置かれた音響風景或いはステージをその聴取者が体験するように音響を客観化することができる。本発明の方法を使用することにより達成される前述の効果は、本明細書においては、以下“ステレオ・ワイドニング”と称す。
【0024】
この目的を達成するために、本発明による方法の特徴は、独立請求項1の特徴部分において示されている。
【0025】
さらに、本発明による方法を実行する信号処理装置を実現することが本発明の目的である。本発明による信号処理装置の特徴は主として、独立請求項7の特徴部分において示されている。
【0026】
他の従属請求項は、本発明の好ましい実施態様を提示している。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の背後にある基本的思想は、耳間レベル差(ILD)キュー、特に高周波ILDキュー、の詳細なモデリングによらなくて、むしろ音質を保つべく過剰な細部を省略するということである。これは、高周波ILDにある周波数限界f-highより高い実質的に一定の値(両方のチャネルL及びRについて等しい)を関連づけると共に、低周波ILDにある周波数限界f-lowより低い他の実質的に一定の値を関連づけることによって達成される。
【0028】
さらに、本発明は、同側HRTFと対側HRTFの各振幅応答を、それらの合計が周波数の関数として実質的に一定にとどまるように設定する。以下、これを“バランシング”と称し、同側HRTFの実質的に平坦な振幅応答を周波数範囲全体にわたって保ちながら対側HRTFのみを操作するWO 98/20707及びUS 5,371,799に記載されているものを含む、従来技術の方法とは異なっている。
【0029】
本発明による方法及び装置は、高品質で高忠実度のオーディオ源の場合に再生される音響の望ましくない不快な調子(colouration)を避ける/最小にする点において、従来技術の方法及び装置より著しく有利である。さらに、本発明による方法は程々の計算能力だけしか必要としないので、いろいろな種類の携帯装置で実施されるのに特に適している。本発明によるステレオ・ワイドニング効果は、特定のフィルタ構造による固定小数点演算のディジタル信号処理を用いることにより効率よく実現される。
【0030】
本発明のかなり重要な利点は、それが今日例えばコンパクトディスク・プレーヤ、ミニ・ディスク・プレーヤ、MP3−プレーヤ及びディジタル放送技術としてのディジタル音源から利用できる優れた音質を低下させないことである。本発明の処理方式は、固定小数点演算を用いた程々の計算コストで実行され得るので、携帯装置において実時間で動作するのに十分な程度に単純である。
【0031】
本発明による方法と共に使用されるとき、スピーカを介する音響再生と比べ、ヘッドホン再生には音響環境の特性に、或いはその環境における聴取者の位置に、よらないという利点がある。例えば車の車室の音響効果は居間の音響効果とは非常に異なっており、スピーカに対する聴取者の相対的位置も異なっていて、これら2つの状況も必ずしも理想的ではない。しかし、ヘッドホンは、音響環境に拘わりなく一貫して同じ音を提供し、さらに、前もってヘッドホンの種類及び特性が知られているならば、あらゆる場合に良好な音響再生を与えるシステムを設計することが可能である。さらに、最新の高品質で高忠実度のディジタル録音及び再生設備の能力がこれらの実現を支援している。
【0032】
以下の説明と、上記の請求の範囲を通して、本発明の好ましい実施態様及びその利点が当業者に対してより明らかとなるだろう。
【0033】
次に、添付図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【0034】
図1は自然聴取状態を示しており、ここで聴取者は左右のスピーカL、Rの正面中央に位置している。左側のスピーカLから来る音は両方の耳で聞かれ、同様に右側のスピーカRから来る音も両耳で聞かれる。その結果として、2つのスピーカから2つの耳への4つの音響路がある。図1では、直接路は添字d(Ld及びRd)で示され、クロストーク路は添字x(Lx及びRx)で示されている。しかし、スピーカL、Rが聴取者に関して正確に対称的に位置しているときには、左のスピーカLから左耳への直接路Ldは右のスピーカRから右耳への直接路Rdと理想的には同じ長さと音響特性とを有し、同様に左のスピーカLから右耳へのクロストーク路Lxは右のスピーカRから左耳へのクロストーク路Rxと理想的には同じ長さと音響特性とを有する。従って、直接(同側)路及びクロストーク(対側)路との両方に周波数依存利得(frequency-dependent gain)Gd及びGxをそれぞれ関連づけると共に、周波数依存遅延(frequency-dependent delay)t及びt+ITDをそれぞれ関連づけることができる。直接路とクロストーク路との遅延の差は耳間時間差(interaural time difference)ITDに対応し、直接路とクロストーク路との利得の差は耳間レベル差(interaural level difference)ILDに対応する。
【0035】
図2は、本発明の基本的着想を概略的に示している。左右のステレオ信号Lin、Rinは、平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワーク(balanced stereo widening network)BSWNを用いることにより処理され、それは、単純化された頭関連音響伝達関数(head-related sound transfer function)HRTFを慎重に選択して仮想スピーカ型法を適用するが、前記関数は、直接利得Gd、クロストーク利得Gx、及び耳間時間差ITDで記述することができるものである。前述した処理はそれぞれ信号Lout及びRoutを生じさせ、音が聴取者の頭の外側で客観化される自然聴取状況に似せた空間的印象を作り出すために、それらの信号をヘッドホン聴取で使用することができる。
【0036】
図3は、平衡ステレオ・ネットワークBSWNの構造をいっそう詳しく示している。左右のチャネル信号Lin、Rinは共にそれぞれ直接路及びクロストーク路Ld、Lx及びRd、Rxに分割される。これは合計で4つの路(path)を作り、それらの路は、全て、左直接路Ld及び左クロストーク路Lxについてそれぞれ第1及び第2のフィルタリング手段1及び2を用いることにより、右直接路Rd及び右クロストーク路Rxについてはそれぞれ第3及び第4のフィルタリング手段3及び4を用いることにより、別々にフィルタリングされる。前記フィルタリング手段には、直接路及びクロストーク路についてそれぞれ利得Gd及びGxが関連づけられている。両方のクロストーク路Lx及びRxは、耳間時間差ITDをそれぞれ付加するための遅延付加手段5及び6も含んでいる。前記手段5及び6は、共に1に等しい利得を有する。左直接路Ldはさらに、左チャネル出力信号Loutを形成するために合成手段7を用いることにより右クロストーク路Rxと加算され、これと対応して、右直接路Rdは、右チャネル出力信号Routを形成するために合成手段8を用いることにより左クロストーク路Lxと加算される。さらに、ネットワークBSWNは各路Ld、Lx及びRd、Rxを別々にスケーリングするためのスケーリング手段9,10及び11,12を含んでいる。
【0037】
ヘッドホンを聞くときに自然な聴取印象を生じさせるために、フィルタリング手段1,2,3,4の特性(Gd、Gx)と遅延付加手段5,6の特性(ITD)とを適切に選択する必要がある。本発明では、この選択は、自然な聴取とその様な状態における一組の単純化HRTFの作用と、に基づいて行われる。
【0038】
Gd及びGxの値は、音の伝搬の物理的要因を考慮することにより導き出すことができる。自然聴取状態において、2つのスピーカにより作られるような入射音場内に人の聴取者の頭のような物体が位置しているときには、音波の波長がその物体のサイズに比べて十分に長ければ、該音場はその物体によってはあまり乱されない。人の頭のサイズが与えられたとすると、このことは、利得Gd及びGxを周波数の関数として一定であるとすることができることを意味し、さらに約1kHzより低い周波数では互いに実質的に等しいということを意味する。音波の波長が物体のサイズと比べて短くなるような高い周波数では、音波源に向いている物体の側に圧力の増大が生じ、物体の遠い側では圧力の減衰が生じる。後者の効果をシャドーイング(shadowing)と称することができる。もし物体が比較的単純な形状を有し、顕著には音場を集中させないならば、そして、もしそれが実質的に剛性を有するならば、高周波では該物体の近い側に圧力倍増(pressure doubling)が生じ、該物体の遠い側の影になっている領域には音波は到達しない。
【0039】
前述した事実に基づき、本発明に従って、f-lowと表示されるある低い周波数限界より低い周波数では1に等しい値をGd及びGxに与えることができ、ある高い周波数限界f-highより上では1よりかなり大きな実質的に一定の値をGdに与えることができ、1よりかなり小さな実質的に一定の値をGxに与えることができる。
【0040】
本発明の有利な実施態様では、f-lowより低い周波数ではGd及びGxは1にセットされ、f-highより高い周波数ではGdは2にセットされ、Gxはゼロにセットされる。周波数の関数としての利得Gd及びGxの前述した挙動は、フィルタリング手段1,2及び3,4に対応するブロックの中のグラフで図3に概略的に示されている。GxもGdもf-lowとf-highとの間の移行帯であまり急速には変化しないならば、和信号Ld+Lxの総利得、及び同様に和信号Rd+Rxの総利得は常に非常に2に近い。この場合、ネットワークBSWNは、その総利得に影響を及ぼさないことを保証すること、即ち、直接路Ld、Rd及びクロストーク路Lx、Rxをフィルタリング前に各々係数0.5でスケーリングすることにより、信号を増幅することを保証することができる。これは、スケーリング手段9,10,11,12を用いて信号をスケーリングすることにより、達成することができる。前述の効果を明らかにするために、入力Linに係る信号の挙動を観察することができる。f-lowより低い低周波では、前記信号は両方のフィルタリング手段1(Gd=1)及び2(Gx=1)を通過し、前述した0.5でのスケーリングにより、フィルタリング手段1及び2の出力の合計は、元の入力信号Linに対して増幅されていない。より高い周波数では、信号はフィルタリング手段1(Gd=2)だけを通過し、再度、0.5でのスケーリングにより、フィルタリング手段1及び2の出力の合計は、元の入力信号Linに対して増幅されていない。その結果として、純粋な正弦波信号が入力信号Linとして使われるときには、f-lowより低い低周波では、該信号は出力LoutとRoutとの間で等しく分割され、出力Lout及びRoutの振幅の合計は入力Linの振幅に等しい。f-highより上の高周波では、信号は左チャネル直接路Ldだけを通過し、出力Loutの振幅は元の入力Linの振幅に等しい。前述したスケーリングは同様にネットワークBSWNの右チャネルにも影響を及ぼし、それは、本発明によるステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNが、平衡ネットワークと称される理由である。換言すれば、同側HRTFと対側HRTFとに対応する各振幅応答の合計は、周波数の関数として一定にとどまり、信号の正味の増幅は生じない。
【0041】
フィルタリング手段1,2,3,4におけるフィルタリングのための周波数限界f-low及びf-highの値はあまり重要ではない。f-lowのための最適な値は、例えば、1kHzであり、f-highのための最適な値は2kHzである。これらの値に近い他の値を用いることもできるが、f-lowは常にf-highより幾分小さく、前記周波数限界間の移行周波数帯もあまり広くされるべきでない。
【0042】
本発明の有利な実施態様では、第2フィルタリング手段2(Lx)及び第4フィルタリング手段4(Rx)の低域通過特性は、それが現実の自然聴取状態を模倣する効果よりさらに劇的に設定される、即ち、f-lowより上の周波数範囲では対応する利得Gxはゼロにされる。これはモノラル成分、即ち高周波でLin及びRinの両方に共通する成分、の望ましくない櫛状フィルタリング(comb-filtering)を防止するが、これは重要であって、高品質、高忠実度の録音における再生音の調子付け(colouring)を避けることができる。所望ならば、各低周波でのモノラル成分の櫛状フィルタリングに対しては、(i)例えば相関解除(decorrelation)を適用することにより、(ii)或いは加算又は畳込みのいずれかを通して出力のモノラル部分を等化することを本質的に目的とする方法を適用することにより、別々に対処することができる。
【0043】
厳密に言えば、直接路及びクロストーク路の間の耳間時間差ITDも周波数に依存するが、当該方法の実行を単純化するために、そのITDを一定であると見なすことができる。聴取者の真正面にある音源についてはITDの値はゼロであるが、現実の音源を聞くときに生ずる最高値は約0.7msであって、これは音源が聴取者の真横にある状態に対応する。ITDの値は、聴取者が知覚するワイドニング(広がり)の量に影響を及ぼす。所望のワイドニング効果を得るために、ゼロよりは大きいが1msよりは小さい適切な値を有するように耳間時間差ITDを選択することができる。例えば0.8msの値は非常に高度のステレオ・ワイドニングのために良好であるけれども、もしITDが1msより大きくなるように選択されたならば、結果は聴取者にとって非常に不自然で、従って不快感を与える。しかし、本発明の実施態様は、周波数に依存しない一定値がITDに与えられているその様な場合だけに限定されるわけではない。例えば、周波数の関数としてITDの値を変化させるための全通過フィルタを使用することも可能である。
【0044】
図4は、単純なディジタル・フィルタ構造41のブロック図を示しており、これを効率的に且つ有利に使って実際に平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNを実現することができる。このフィルタ構造41は、結果が他の線形位相ディジタル・フィルタの出力に対応することとなるようにディジタル線形位相低域フィルタ42の出力を修正することができるという公知事実を利用しており、該他の線形位相ディジタル・フィルタは低周波をそのまま(即ち1に等しい利得で)通過させるが、高周波では異なる振幅応答を有する。図5に示す形態の振幅応答を、追加の処理を殆ど行うことなくディジタル線形位相低域フィルタ42の出力から実現することができる。その追加の処理は、別個のディジタル遅延線43の使用を必要とし、サンプル単位でのその長さlpは低域フィルタ42の群遅延に対応する。入力ディジタル信号ストリームSinは、同様に且つ同時に遅延線43及び低域フィルタ42の入力に向けられる。遅延線43の出力は乗算手段44によりGを乗じられ、このGの値はフィルタ構造41の所望の高周波振幅応答である。低域フィルタ42の出力には乗算手段45により1−Gが乗じられる。乗算手段45に接続されている低域フィルタ42と、乗算手段44に接続されている遅延線43とにより形成される2つの並列分岐出力は、加算手段46により互いに加算される。実際には、線形位相低域フィルタ42の群遅延は0.3ms程度であるが、これは44.1kHzのサンプリング周波数では13サンプルに相当する。
【0045】
図6は、左チャネル・ディジタル信号ストリームLinを同時に且つ並列に単一のディジタル線形位相低域フィルタ52とディジタル遅延線53とに向けることにより計算の節約を達成するために、図4に示すディジタル・フィルタ構造41をどの様に使用できるかを概略的に示している。この様にして、1つは直接路のため(図3の第1フィルタリング手段1)及びもう一つはクロストーク路のため(図3の第2フィルタリング手段2)の、合計2つのフィルタを実現することが可能であり、前述したディジタル低域フィルタ52及びディジタル遅延線53に加えて、乗算手段54,55,56,57と加算手段58,59だけの使用が必要である。従って、図6は、聴取者の左側の仮想スピーカLを模倣し、信号路Ld及びLxの生成を行う信号処理エレメントを示している。図6は、実質的に、図3に示す平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNの上半分に対応する。聴取者の右側にある仮想スピーカRを模倣するために必要な信号処理エレメントを対応的に実現し得ることは、当業者にとって自明の程度である。
【0046】
図7は、平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNのブロック図を示しており、これは、図4及び6に関して上述したディジタル・フィルタ構造41を用いることにより実現されると共に、さらに、Gdに値2が与えられ、Gxに値ゼロが与えられる特定の場合に対応する。さらに、左チャネルについて図6に示す利得Gd(手段54)、1−Gd(手段55)、Gx(手段56)、1−Gx(手段57)は、図7においては、各々、元の入力信号Lin、Rinのレベルに対し出力信号Lout、Rout全体のレベルを平衡させるために、左チャネル及び右チャネルの両方について0.5の係数でスケーリングされている。これにより、この特定の場合、及び本発明の有利な実施態様において、ステレオ平衡ワイドニング・ネットワークBSWNは図7に示す単純な構造とし、この構造では4つのフィルタリング手段1,2,3,4は、実際には、畳込みを2つだけ使うことにより実現することができる。前記畳込みは、それぞれ、線形低域フィルタ65及び66において行われる。図7に示す単純化ネットワーク構造は数値的に非常に強い(robust)ので、それは固定小数点演算で実現されるのに非常に適している。
【0047】
本発明による平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNは、単独の信号処理方法として使用され得るものであるけれども、実際には、それはある種の前処理及び/又は後処理と共に使用されるであろう。図8は、ある可能な前処理方法及び後処理方法の使用を概略的に示しており、この方法は、それ自体としては当該技術分野で公知であるけれども、聴取体感の質をさらに改善するために平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNと共に使用され得るものである。
【0048】
図8は、信号が平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNに入る前の信号前処理のための相関解除(decorrelation)の使用を示している。ソース信号Ls及びRsの相関解除は、たとえディジタル・ソースからの信号Ls及びRsが同一であっても、信号Lin及びRinが常にある程度だけ異なって平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNに入力されることを保証する。相関解除の効果は、左右のチャネルの両方に共通である、即ちモノラルである、音響成分が単一の点に置かれているものとしては聞かれなくて、むしろ僅かに広がっていて音響風景の中で有限の大きさを持っていると知覚されるということである。これにより、音響風景或いはステージが中心付近であまりにも“混み合ってしまう”ことが防止される。さらに、相関解除は、直接路とクロストーク路との間の干渉により生じる、f-low及びf-high間の移行帯域での、モノラル成分の減衰を、効率的に減少させる。相関解除は、図8に表すように2つの相補型櫛形フィルタを用いることにより実行することができる。この目的のためには、15ms程度の共通の遅延を伴う櫛形フィルタが適している。係数b0及びbNの値を、例えば、それぞれ1.0及び0.4にセットすることができる。2つのチャネルにおけるbNの異なる符号(図8では左チャネルでは+bN、右チャネルでは−bN)は、2つの伝達関数のそれぞれの大きさの合計が、周波数に拘わらず、一定にとどまることを保証する。その結果として、櫛形相関解除(comb decorrelation)は、平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNと同様に平衡している。
【0049】
図8は、さらに、ヘッドホンの理想的でない周波数応答を補償するために、例えば低周波増大(low-frequency boost)などの等化の使用を概略的に示している。好ましくは、ヘッドホンを使用した再生の時に録音のスペクトル周波数バランスを復元するために使用される等化は、後処理により実行され、平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNの優れたダイナミック特性には影響を及ぼさないようにする。
【0050】
本発明が前述した実施態様のみに限定されず、上述した請求項の範囲内で自由に修正され得ることは、当業者にとっては明白なことである。
【0051】
アナログ電子装置を用いて本発明による方法を実行することが可能であるけれども、好ましい実施態様がディジタル信号処理技術に基づいていることは当業者にとっては明白なことである。平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークBSWNのディジタル信号処理構造、例えばクロストーク路中の線形位相低域フィルタリングは、他の多くの方法でも実現することができる。そのためのいろいろな技術が文献にも記載されている。
【0052】
本発明による方法は、一般的な2チャネル・ステレオ・フォーマットの信号を有するオーディオ源を、ヘッドホン聴取用に変換するように意図されているものである。これは、全てのオーディオ源、例えばスピーチ、音楽又は効果音を含んでおり、それらは2つの別々のオーディオ・チャネルを作るために記録及び/又は混合され及び/又はその他の方法で処理され、前記チャネルはモノラル成分をさらに含むことができ、或いは該チャネルは、例えば相関解除方法により及び/又は残響を付け加えることにより、モノラルの単一チャネル・ソースから作られても良い。このことも、いろいろな種類のモノラル・オーディオ源を聞くときに空間的印象を改善するために本発明による方法を使用することを可能にする。
【0053】
処理のためにステレオ信号を提供する媒体は、例えば、コンパクトディスクTM、ミニディスクTM、MP3或いは公共TV、ラジオ又は他の放送、コンピュータ及びマルチメディア電話と言った電気通信装置を含むことができる。ステレオ信号はアナログ信号として供給されても良いが、それは、ディジタルBSWNネットワークにおいて処理される前に、始めにAD変換される。
【0054】
本発明による信号処理装置は、携帯用プレーヤ或いは通信装置といったいろいろな種類の携帯用装置に組み込むことができるだけではなく、家庭用ステレオ・システムやPCコンピュータといった非携帯用装置にも組み込まれ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2つのスピーカユニットを通して再生されるステレオ録音の自然聴取を示す図である。
【図2】本発明の基本着想、即ち平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークの使用、を示す図である。
【図3】平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークの構造をより詳細に示す図である。
【図4】平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークの好ましい実施態様で使用されるディジタル・フィルタ構造のブロック図である。
【図5】図4に示すディジタル・フィルタ構造の振幅応答を示す図である。
【図6】聴取者の左側の仮想スピーカを模倣する信号処理エレメントを実現するときの図4にすディジタル・フィルタ構造の使用を表す図である。
【図7】特定の場合(Gd=2,Gx=0)における図4及び6に示すディジタル・フィルタ構造を使用する平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークのブロック図である。
【図8】平衡ステレオ・ワイドニング・ネットワークと接続するオプションとしての前及び/又は後処理の使用を示す図である。
【符号の説明】
1…第1フィルタリング手段
2…第2フィルタリング手段
3…第3フィルタリング手段
4…第4フィルタリング手段
5,6…遅延付加手段
7,8…合成手段
9〜12…スケーリング手段
42…ディジタル線形位相低域フィルタ
43…ディジタル遅延線
44,45…乗算手段
46…加算手段
52…ディジタル線形位相低域フィルタ
53…ディジタル遅延線
54〜57…乗算手段
58,59…加算手段
ITD…耳間時間差
L,R…スピーカ
Ld、Rd…直接路
Lx、Rx…クロストーク路
Claims (16)
- 2チャネル・ステレオ・フォーマットの左(L)及び右(R)のチャネル入力信号(Lin、Rin)を左及び右のチャネル出力信号(Lout、Rout)に変換する方法において、
該左入力信号(Lin)から左直接路(Ld)信号及び左クロストーク路(Lx)信号とが形成され、
これに対応して、該右入力信号(Rin)から右直接路(Rd)信号及び右クロストーク路(Rx)信号とが形成され、
該左出力信号(Lout)は、前記左直接路(Ld)信号及び前記右クロストーク路(Rx)信号を合成することにより形成され、
これに対応して、該右出力信号(Rout)は、前記右直接路(Rd)信号及び前記左クロストーク路(Lx)信号を合成することにより形成され、
これにより前記の左及び右のチャネル出力信号(Lout、Rout)がヘッドホン聴取に適するようにする方法において、
該直接路信号(Ld、Rd)は、各々、第1周波数依存利得(Gd)に関連付けたフィルタリング(1,3)を用いて形成され、
該クロストーク路信号(Lx、Rx)は、各々、第2周波数依存利得(Gx)に関連付けたフィルタリング(2,4)を用い、且つ耳間時間差(ITD)(5,6)を加えることにより形成され、
前記の第1及び第2周波数依存利得(Gd、Gx)には、第1周波数限界(f-low)より低い共通の実質的に一定の基準値が与えられ、
第2周波数限界(f-high)より上で、前記第1周波数依存利得(Gd)には前記基準値より顕著に大きな実質的に一定の値が与えられ、前記第2周波数依存利得(Gx)には前記基準値より顕著に小さな実質的に一定の値が与えられ、
前記第2周波数限界(f-high)は前記第1周波数限界(f-low)より大きく、
前記耳間時間差(ITD)には、周波数依存しない一定値又は周波数に依存する値が与えられることを特徴とする方法。 - 前記第1周波数限界(f-low)より下で、前記第1及び第2周波数依存利得(Gd、Gx)の両方に1の値が与えられ、
前記第2周波数限界(f-high)より上で、前記第1周波数依存利得(Gd)には2の値が与えられ、前記第2周波数依存利得(Gx)にはゼロの値が与えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記出力信号(Lout、Rout)の合計振幅を前記入力信号(Lin、Rin)の合計振幅と実質的に一致させるために、前記直接路信号(Ld、Rd)は共に第1スケーリング係数(Sd)によりスケーリングされ、前記クロストーク路信号(Lx、Rx)は共に第2スケーリング係数(Sx)でスケーリングされることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 前記第1及び第2スケーリング係数(Sx、Sd)には共に0.5の値が与えられることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
- 前記第1周波数限界(f-low)には約1kHzの値が与えられ、前記第2周波数限界(f-high)には約2kHzの値が与えられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記耳間時間差(ITD)には約1msより小さい値が与えられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 2チャネル・ステレオ・フォーマットの左(L)及び右(R)のチャネル入力信号(Lin、Rin)をヘッドホンで聴取するのに適する左及び右のチャネル出力信号(Lout、Rout)に変換するための信号処理装置(BSWN)において、
前記左入力信号(Lin)から左直接路信号(Ld)を形成するための、第1周波数依存利得(Gd)と関連付けた第1フィルタリング手段(1)と、
前記左入力信号(Lin)から左クロストーク路信号(Lx)を形成するための手段であって、耳間時間差(ITD)と関連付けた第1遅延付加手段(5)に直列の、第2周波数依存利得(Gx)と関連付けた第2フィルタリング手段(2)と、
前記右入力信号(Rin)から右直接路信号(Rd)を形成するための、第1周波数依存利得(Gd)と関連付けた第3フィルタリング手段(3)と、
前記右入力信号(Rin)から右クロストーク路信号(Rx)を形成するための手段であって、耳間時間差(ITD)と関連付けた第2遅延付加手段(6)に直列の、第2周波数依存利得(Gx)と関連付けた第4フィルタリング手段(4)と、
前記左直接路(Ld)信号と前記右クロストーク路(Rx)信号とを合成することによって左出力信号(Lout)を形成する第1合成手段(7)と、
これに対応して、前記右直接路(Rd)信号と前記左クロストーク路(Lx)信号とを合成することによって該右出力信号(Rout)を形成する第2合成手段(8)と、を少なくとも備え、
第1周波数限界(f-low)より下で、前記第1及び第2周波数依存利得(Gd、Gx)は共通の一定基準値を有し、
第2周波数限界(f-high)より上で、前記第1周波数依存利得(Gd)は前記基準値より顕著に大きい実質的に一定の値を有し、前記第2周波数依存利得(Gx)は前記基準値より顕著に小さい実質的に一定の値を有し、
前記第2周波数限界(f-high)は前記第1周波数限界(f-low)より大きく、
前記耳間時間差(ITD)は、周波数に依存しない一定値又は周波数に依存する値を有することを特徴とする信号処理装置。 - 前記第1及び第2周波数依存利得(Gd、Gx)は、前記第1周波数限界(f-low)より下で、1の値を有し、
前記第2周波数限界(f-high)より上で、前記第1周波数依存利得(Gd)は2の値を有し、前記第2周波数依存利得(Gx)はゼロの値を有することを特徴とする請求項7に記載の信号処理装置。 - 前記出力信号(Lout、Rout)の合計振幅を前記入力信号(Lin、Rin)の合計振幅と実質的に一致させるように各路をスケーリングするために、前記直接路(Ld、Rd)は各々第1スケーリング係数(Sd)と関連付けた第1スケーリング手段(9,11)を備え、前記クロストーク路(Lx、Rx)は各々第2スケーリング係数(Sx)と関連付けた第2スケーリング手段(10,12)を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の信号処理装置。
- 前記第1及び第2スケーリング係数(Sd、Sx)は共に0.5の値を有することを特徴とする請求項8及び9に記載の信号処理装置。
- 前記第1周波数限界(f-low)は約1kHzの値を有し、前記第2周波数限界(f-high)は約2kHzの値を有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の信号処理装置。
- 前記耳間時間差(ITD)は1msより小さい値を有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の信号処理装置。
- 前記信号処理装置(BSWN)はディジタル信号処理装置及び/又はディジタル信号処理ネットワークであることを特徴とする請求項7〜12のいずれか一項に記載の信号処理装置。
- 前記第1及び第2フィルタリング手段(1,2)と、これと対応する前記第3及び第4のフィルタリング手段(3,4)とは、特定のディジタル・フィルタ構造(41)を用いて形成され、そのフィルタ構造では、線形位相低域フィルタ(42,52)の出力が、該低域フィルタ(42,53)の群遅延に等しい遅延を有する並列ディジタル遅延線(43,53)の出力と合成されることを特徴とする請求項13に記載の信号処理装置。
- 前記第1、第2、第3及び第4のフィルタリング手段(1,2,3,4)は、2つの畳込みを実行することに基づく単純化ネットワーク構造を用いて実現されることを特徴とする請求項14に記載の信号処理装置。
- 前記入力信号(Lin、Rin)は、相関解除を行う方法を用いて前処理されることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の信号処理装置。
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