JP4586855B2 - 配管部材の製造方法 - Google Patents
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Description
図1に、本実施形態に係る配管部材(管座)を使用した貯湯式給湯機の外観斜視図を、図2に、貯湯式給湯機の構成図を示す。図1おいて、貯湯式給湯機1は、ヒートポンプユニット2と貯湯装置3とによって構成され、ヒートポンプユニット2のケーシング内には、蒸気圧縮式の冷凍回路が収納され、貯湯装置3のケーシング内には、貯湯タンク31が収納されている。
図3は、貯湯式給湯機1の貯湯装置3と負荷とを連絡する配管の回路図である。なお、ここで述べる負荷とは、給湯と風呂を指す。給湯管71は、貯湯タンク31の頭部と給湯混合弁73とを連絡する。給湯管71は給湯分岐管71a,71bを有しており、給湯分岐管71aは、給湯管71と湯はり混合弁74とを連絡し、給湯分岐管71bは、給湯管71と逃し弁75とを連絡している。
上述のように、貯湯タンク31には、給湯管71、給水管72、湯循環配管77、水循環配管35などの、水や湯が通る多数の配管が接続されている。これらの各配管(これ以降、配管180と呼ぶ)と貯湯タンク31とを結ぶために、管座と呼ばれる配管部材60が使用されている。配管部材60は、図5に示すように、主として、円筒部61と、その円筒部61よりも外径が小さく且つ薄肉の先端薄肉円筒部62と、円筒部61を挟んで先端薄肉円筒部62とは反対側に配置される鍔部63とから成る。鍔部63は、円筒部61の一端から径方向外方に延びる環状の部分である。
上記の配管部材60は、図5における下部が貯湯タンク31に溶接される先端薄肉円筒部62となり、図5における上部が配管181との接続部となる鍔部63となり、先端薄肉円筒部62と円筒部61との間に段差66があり、鍔部63と円筒部61との間に段差67がある配管部材60と言うことができる。この配管部材60は、図7〜図9に示すように、多数のプレス成形工程を含む10の工程(S1〜S10)によって製造される。しかし、数秒以内で1つの工程が完了し、次々と横に流れていくため、配管部材60の製造に要する延べ時間は、従来の機械加工を用いた製造方法に較べてかなり短くなっている。
図7及び図8に示すように、一部を除いて周囲が切断された円形の板状素材50に、まずは最初のプレス成形工程である第1絞り工程S1が実施される。ここでは、板状素材50が上下の金型に挟まれ、円筒状の第1部(51a)及び円盤状の第2部(52a)から成るグラス状の形状になるように、板状素材50がプレス成形される。これにより、板状素材50は、図8に示すような断面が凹状(グラス状)の初期形状に成形される。
次に、複数のプレス成形工程(工程S2〜S6)によって、第1部(51a)のうち第2部(52a)とは反対側の端部近傍部分を湾曲させて径方向外方に延ばすとともに、第2部(52a)の板厚を薄くする。
第3絞り工程S3では、第3部(53b)がより水平方向に近づくようにプレス成形するとともに、第2部(52b)を、それよりも少し板厚が薄い第2部(52c)とする。
第4絞り工程S4では、第3部(53c)が途中で上に向くように、第3部(53c)の先端側の略半分を、これまでとは逆側に湾曲させる。このプレス成形を受けた第3部(53c)には、段差が生じる。
第5絞り工程S5では、上を向いた第3部(53d)の先端側の略半分のうち先端部分について、先端が水平方向に近づくように、さらにプレス成形を行って先端を外方に曲げる。これにより、第5絞り工程S5を経た第3部(53e)には、軸方向(上下方向)にも径方向(水平方向)にも段がある段差(57e)が生じてくる。
第6絞り工程S6では、第3部(53e)については段差(57e)の湾曲部の角度がより小さくなるようにプレス成形をかける。これにより、第3部(53e)は、より最終形状に近い第3部(53f)となる。
第6絞り工程S6の次に行われる穴あけ工程S7では、グラス状の中間成形材の底部になっている第2部(52f)の中央部分を切り離す。具体的には、第1部(51f)の内径よりも少し小さい径の丸い穴を第2部(52f)に開ける。これにより、第2部(52f)は、円形の中央部分(54g)が切り抜かれた環状の第2部(52g)となる。
第1仕上絞り工程S8では、環状の第2部(52g)が下方に向くようにプレス成形を施す。これにより、環状の第2部(52g)は、第1部(51g)との境界近傍部分から先が、鉛直方向に延びるようになる。これにより、環状の第2部(52g)は、円筒状の第2部(52h)となる。また、これに伴い、第2部(52h)と第1部(51h)との境界部分に、段差(56h)が生じる。
第2仕上絞り工程S9は、先端薄肉円筒部62の外径と貯湯タンク31の平面部31aの孔の内径とを一致させること、及び、先端薄肉円筒部62の先端と貯湯タンク31の円筒部31bの先端とを同じ高さ位置にすることを目的として行われる工程である。
外径抜き工程S10では、成形中間材の第3部(53i)の径方向外側部分(55j)を切断し、第3部(53i)を、鍔部63と同じ外形寸法である第3部(53j)とする。この工程S10における切断は、鍔部63の段差67の最終段差形状となっている段差(57j)よりも径方向外側において行われる。
(1)
通常、円筒部と鍔部とから成る部材をプレス成形を使って製造する場合、鍔部を含む最終形状或いはその最終形状に近い形状になるように素材に対してプレス成形を施すが、そのような製造方法の場合、素材が硬かったり分厚かったりすると、うまくプレス成形を行うことが難しい。たとえプレス成形の設備を大型化しても、プレス成形をかけた素材が損傷する割合が大きくなる。このため、従来は、図10に示すような、3.5mmの板厚の厚肉円筒状素材に切削加工を施して、先端薄肉円筒部260eの板厚を1.0mm以下まで落とすという、機械加工による製造方法で配管部材260を製造しているが、その製造(加工)には長い時間とコストがかかる。
また、上述の製造方法では、多数のプレス成形工程(S2〜)によって、円筒状の第1部(51a)を第1部(51b・・・51j)及び第3部(53b・・・53j)にして円筒部61及び鍔部63に成形していくため、鍔部63が複雑な段差形状を含んでいても、損傷を回避しながら鍔部63を精度よく成形することができている。
上述の配管部材60の製造方法では、第1絞り工程S1において、断面が凹状の、すなわち、グラス状の初期形状になるように板状素材50をプレス成形し、その後の鍔部成形工程群(S2〜)で、第3部(53b)を径方向外方に延ばし、穴あけ工程S7で第2部(52f)の中央部分(54g)を切り離すことで、配管部材60を製造している。このように、第1絞り工程S1で成形する初期形状が円盤状の第2部(52a)を含むグラス状であることから、第1絞り工程S1における板状素材50からのプレス成形が、無理なく良好に行われ、板状素材50の損傷が殆どなくなって高い歩留まり率になっている。
上述の配管部材60では、段差を含む断面形状を持つ鍔部63を採用することで、板状素材50の厚み(t1)よりも大きい鍔部63の厚み(L3)を確保するようにしている。このため、板状素材50をプレス成形することによって所望の厚み(L3)の鍔部63を得ることができている。
上述の配管部材60の製造方法では、鍔部63の詳細形状成形前の準備工程群(S1〜S3)において第3部(53b,53c)を生じさせ、鍔部63の詳細形状成形の工程群(S4〜S6)において第3部(53c)に段差を形成し、段差ができた第3部(53d・・・53f)を穴あけ工程S7及び穴あけ後の工程群(S8〜S10)によって最終段差形状を含む形状に仕上げている。これにより、板状素材50の板厚(t1)を2mm以下(ここでは1.5mm)に抑えてプレス成形の設備にかかる費用を低減しつつ、鍔部63の所望の厚み(L3)を確保することができている。
上述の配管部材60の製造方法では、約90°に曲がる湾曲部の表面の曲率半径r4が0.5mm以下になるように多数のプレス成形を行う。このため、鍔部63のうち円筒部61の上端から径方向外方に長さL2だけ延びる部分の表面63aの径方向に沿った長さを大きく確保できるようになる。ここでは、その表面63aの径方向に沿った長さが、クイックファスナー190の厚みである1mm以上確保されている。したがって、配管180と接続させるために鍔部63にクイックファスナー190を掛ければ、その後にクイックファスナー190が勝手に外れてしまうことがない。
上述の配管部材60の製造方法では、外径抜き工程S10において第3部(53j)の外周縁近傍の部分である径方向外側部分(55j)を切断しているため、鍔部63の外周縁の形状の精度が高くなっている。
上述の配管部材60の製造方法では、外径抜き工程S10において、段差(57j)の部分で切断すると切断厚みが大きくなることに鑑み、段差(57j)よりも径方向外側において切断を行っている。これにより、板状素材50の板厚(t1)の分だけ外径抜き工程S10において切断をすればよくなっており、切断装置の大型化や設備費用の増大が抑えられている。
上述の配管部材60の製造方法では、従来のように溶接部となる先端薄肉円筒部262(図10参照)を機械加工により成形するのではなく、第1仕上絞り工程S8において第1部(51h)と第2部(52h)との境界に段差(56h)が生じるようにプレス成形することによって配管部材60を製造している。このため、従来の機械加工による配管部材に較べ、より安価により早く配管部材60を製造することができるようになっている。
上述の配管部材60の製造方法では、円筒状の厚肉の第1部(51f)と、その第1部(51f)と交差するように隣接する薄肉の第2部(52f)とを、穴あけ前の工程群(S1〜S6)のプレス成形によって板状素材50から成形し、その後の穴あけ工程S7及び穴あけ後の工程群(S8〜S10)において、第2部(52g)を円筒状に成形するとともに、第1部(51h)と第2部(52h)との境界に段差(56h)を生じさせている。
上述の配管部材60の製造方法では、第1絞り工程S1によって、板状素材50を、円筒状の第1部(51a)及びその第1部(51a)の一端を塞ぐ円盤状の第2部(52a)とから成るグラス状の形状に成形し、その後の薄肉化工程群(S2〜S6)によって、第2部(52a)の厚みを薄くしている。このため、薄肉化工程群(S2〜S6)では、円盤状の第2部(52a・・・52e)の上下両面に金型が接触して第2部(52a・・・52e)の板厚方向に力を作用させることができる。このため、最初から円筒状に第2部を成形してから薄肉化するような方法に較べて、第2部(52a・・・52e)の薄肉化が容易に且つ早く行われる。
上述の配管部材60の製造方法では、穴あけ工程S7において第2部(52f)の中央部分を抜き取り、その後に環状になった第2部(52g)を円筒状に成形していくため、円盤状の第2部を円筒状に成形してから不要な部分を切断するような方法に較べて、早く且つ精度よく薄肉円筒状の先端薄肉円筒部62を形成することができている。
50 板状素材
51a・・・51j 第1部
52a・・・52j 第2部
56h 段差
60 配管部材
61 円筒部
62 先端薄肉円筒部(溶接部)
S1 第1絞り工程(第1ステップ;第1プレス成形工程)
S2 第2絞り工程(第1ステップ;第2プレス成形工程)
S3 第3絞り工程(第1ステップ;第2プレス成形工程)
S4 第4絞り工程(第1ステップ;第2プレス成形工程)
S5 第5絞り工程(第1ステップ;第2プレス成形工程)
S6 第6絞り工程(第1ステップ;第2プレス成形工程)
S7 穴あけ工程(第2ステップ)
S8 第1仕上絞り工程(第2ステップ;第3プレス成形工程)
S9 第2仕上絞り工程(第3ステップ)
Claims (2)
- 一端が他の部材(31)に溶接される溶接部(62)となる円筒状の配管部材(60)の製造方法であって、
板状素材(50)を、絞り加工によって、円筒状の厚肉の第1部(51f)と、前記第1部に隣接し前記第1部と交差し前記溶接部となる薄肉の第2部(52f)とを含む形状に成形する、第1ステップ(S1〜S6)と、
前記第1ステップ後に、前記第2部をプレス成形によって円筒状に成形し、前記第1部と前記第2部との境界に段差(56h)を生じさせる、第2ステップ(S8)と、
を備え、
前記第1ステップは、
前記第2部が円筒状の前記第1部の一端を塞ぐ円盤形状になるように、前記板状素材を成形する、第1絞り工程(S1)と、
前記円盤形状の第2部の厚みを薄くする、複数の第2絞り工程(S2〜S6)と
を含み、
前記第2ステップは、
前記円盤形状の第2部(52f)の中央部分(54g)を抜き取る穴あけ工程(S7)と、
前記第1部との境界近傍部分から先の前記穴あけ工程を経た環状の前記第2部(52g)を円筒状に成形して、前記第1部と前記第2部との境界に前記段差(56h)を生じさせる、第3絞り工程(S8)と、
を含む、配管部材の製造方法。 - 前記第2ステップの第3絞り工程の後に、円筒状となった前記第2部(52h)に対して軸方向に圧縮する力を作用させ、前記第2部を前記溶接部の最終形状に成形する第3ステップ(S9)
をさらに備えた、請求項1に記載の配管部材の製造方法。
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