JP4584724B2 - 隠蔽式葉書 - Google Patents

Description

本発明は、記載された内容の秘密保持を可能とした隠蔽式葉書に関し、特に金融機関等の口座振替依頼書に適する隠蔽式葉書に関する。

隠蔽式葉書は、情報を隠蔽した状態で郵送可能な葉書である。その構成としては、例えば、図４に示すように、表面１３０に宛名書き欄、裏面１３１に隠蔽情報記載欄１０５を備える葉書用紙１０３に、ミシン目１０１を介して切り離し可能に隠蔽用タック紙１０２を付設したものが挙げられる。隠蔽用タック紙１０２は、葉書用紙１０３とほぼ同等の坪量を有する剥離紙１２０の離型処理面１２０Ｘに、一方の面が剥離性粘着剤塗布面１４０とされている隠蔽シート１０４が貼付されて構成されている。この種の隠蔽式葉書Ｘ₁₀₀は、前記隠蔽用タック紙１０２の剥離紙１２０から隠蔽用シート１０４を完全に剥離して別体としたのち、前記情報記載欄１０５を被覆するように葉書用紙１０３に貼付し直して情報の隠蔽を行う。そして残存する隠蔽用タック紙１０２の剥離紙部分１２０を前記ミシン目１０１で切り離して、葉書用紙１０３のみを郵送して使用する。

しかし、この形式の隠蔽式葉書は、隠蔽シートを剥離するさいに隠蔽シートを破損することがあり、また、残存する隠蔽用紙部を切り離すさいにも葉書用紙を破損することがあった。

そこで、近年、葉書用紙と剥離性粘着剤を塗布した隠蔽用紙とを折り畳み可能に接合した葉書用紙が用いられるようになってきた。この種の隠蔽式葉書は、剥離紙を剥離して剥離性粘着剤面を露出させたのち折り畳むと、情報記入欄が前記隠蔽用紙の剥離性粘着剤面によって被覆されて隠蔽される。従って、葉書用紙と隠蔽用紙とを切り離すことがないので葉書用紙の破損等が防止される。
特許２９３７７３２

しかしながら、この種の隠蔽式葉書は、用いる剥離性粘着剤の情報記入欄面に対する粘着力の調整が難しく、再剥離時に情報記入欄に粘着剤が残るあるいは情報記入欄に記載した情報が粘着面に取られることによって、隠蔽情報が読み取り不能になることがあった。また、情報記入欄に粘着剤が残ることで、シートをＯＣＲ等の機械で読取る場合に、重なったシートが互いに接着して重送等のトラブルが発生していた。

そこで、本発明の主たる課題は、再剥離時に粘着剤が情報記入欄に残ることがなく、しかも、再剥離時に紙ムケによって情報記入欄に記載された情報が読み取り不良になることがない隠蔽式葉書を提供することにある。

上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
＜請求項１記載の発明＞
同サイズの葉書用紙と隠蔽用紙とが折り畳み可能に接合され、
前記葉書用紙の内面に所定事項を記入する情報記入欄が設けられ、
前記隠蔽用紙の内面全面に粘着剤が塗布され、
その粘着剤が塗布された隠蔽用紙の内面全面が、前記粘着剤に対して剥離性を示す離型剤が塗布された剥離紙によって被覆され、
前記剥離紙と隠蔽用紙の粘着剤が塗布された面とのＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定値が０．０４９〜４．９Ｎ／５０ｍｍとされ、
前記葉書用紙の内面に前記粘着剤に対して離型性を示す離型剤が塗布され、
前記剥離紙を剥離して粘着剤塗布面を露出させた状態で、前記葉書用紙の内面と粘着剤面とを重なり合わせることにより、前記葉書用紙の内面と隠蔽用紙とが剥離可能に接着され、
かつ、その接着後の葉書用紙の内面と隠蔽用紙との粘着力がＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定で３〜２５Ｎ／２５ｍｍとされていることを特徴とする隠蔽式葉書。

＜請求項２記載の発明＞
隠蔽式葉書が往復葉書であり、前記剥離紙表面が往信先記入部とされ、前記葉書用紙の前記情報記入欄の反対面が返信先記入部とされている請求項１記載の隠蔽式葉書。

本発明の隠蔽式葉書は、隠蔽情報記入欄を備える葉書用紙内面に離型剤が塗布されているので、葉書用紙内面と粘着剤塗布面の接着力が強くなりすぎることがなく、再剥離時に粘着剤が情報記入欄に残存したり、情報記入欄に記載された情報が粘着剤塗布面に取られることによって、記入された情報が読み取り不能になることがない。

また、前記剥離紙を、前記隠蔽用紙と折り畳み可能に接合したものとし、当該折り畳みによって前記隠蔽用紙の粘着剤塗布部を被覆するようにすると、一枚の紙を三つ折りにすることで、葉書用紙、隠蔽用紙、剥離紙を構成することができ、製造が容易となる。

さらに、葉書用紙の内面に対する離型剤の塗布量が部分的に相違させることによって、葉書用紙内面のなかでも接着力の強い部分と低い部分とが形成される。もって、情報記入欄の設計に応じた剥離剤塗布量分布とすることができる。

また、部分的に剥離剤の塗布量を少なく、あるいはなくすることにより、一旦剥離した場合に再接着しない部分を作ることができ、故意に開封したことが判るようにすることもできる。

他方、本発明では葉書用紙と隠蔽用紙との接着力の調整を葉書用紙内面に塗布した離型剤によって行うので、高い剥離性接着剤ではなく、安価で取り扱いの容易な非剥離性粘着剤を用いることができ、このようにすることによってコスト安な隠蔽式葉書となる。

他方、本発明の隠蔽式葉書は、剥離紙表面が往信先記入部とされ、前記葉書用紙の前記情報記入欄の反対面が返信先記入部とされている往復葉書に好適である。

次いで、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら以下に詳述する。
（第１の実施の形態）
図１は、本発明にかかる隠蔽式葉書の第１の実施の形態に係る図である。図示されるように、本実施の形態に係る隠蔽式葉書Ｘは、一枚の方形用紙の中央に折り線１が形成されたものであり、当該折り線１を挟んで一方が隠蔽用紙２、他方が葉書用紙３とされている。両用紙２、３は折り線によって容易に折り重ねることができる。この折り線１はミシン目や折り癖などによって形成することができる。なお、同サイズの方形の紙の端縁を粘着テープでつなぎあわせて隠蔽用紙と葉書用紙とを折り畳可能に接合することとしてもよい。

前記葉書用紙Ｘおよび隠蔽用紙２を構成する基紙は、古紙を原料とする再生紙あるいはバージンパルプ原料とする非再生紙のいずれをも用いることができる。また、基紙の抄紙方法は、特に限定されず、洋紙の一般的な抄紙技術により抄紙することができる。原料パルプをスラリー化したのち、長網抄紙機、丸網抄紙機、ツインワイヤータイプの抄紙機、多層抄の抄紙機等の抄紙機等を使用して抄紙すればよい。

前記隠蔽用紙２の内面には、粘着剤２０が塗布されている。この粘着剤２０としては、特開２００３−２７０２６、特開２００４−２１７８３８に開示されるようないわゆる剥離性粘着剤のほか、従来から用いられるアクリル酸アルキルエステルを含有したアクリル共重合水性エマルジョン等の剥離性接着剤を用いることもできるが、剥離性粘着剤以外のエマルジョン系強粘着剤、ゴム系粘着剤、溶剤系粘着剤等も使用可能である。特に本発明の隠蔽式葉書Ｘは、粘着剤自体の粘着力を調整しなくとも、後述の葉書用紙３の内面への離型剤の塗布量や塗布分布によって粘着力の調整をすることができるので、安価な非剥離性粘着剤を用いるのが望ましい。

粘着剤２０の塗布は、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工によって塗布することができる。粘着剤２０の塗布量は、用いる粘着剤２０の種類により適宜変更するが、葉書全体の総重量等を考慮すれば、好適には、５〜３０ｇ／ｃｍ²である。

粘着剤塗布面２１は、未使用の状態、すなわち情報を隠蔽する前の状態では、剥離紙４によって被覆された状態とされている。この剥離紙４は、粘着剤塗布面２１に対向する面４１が、シリコン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の離型剤が０．１〜２．０ｇ／ｍ²程度塗布された一般的な剥離紙を用いることができる。また、後述の葉書用紙の情報記載面に行うのと同様な離型処理を施した用紙も使用することが出来る。この場合は用紙の裏面（粘着剤接触面すなわち離型処理面）に印刷あるいはプリンターで情報記録も可能である。この剥離紙４と粘着剤塗布面２１との粘着力は、ＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定で０．０４９〜４．９Ｎ／５０ｍｍとなるようにするのが好適である。

一方、前記粘着剤塗布面２１に対する折り重ね面である前記葉書用紙３の内面３１には、所定事項、特に親展情報や金融機関に関する情報などの隠蔽情報を記載するための、情報記入欄５が設けられている。この情報記入欄５は、オフセット印刷、グラビア印刷等によって適宜の枠線、文字、図形などを印刷することによって設ける。

この情報記入欄５が設けられた葉書用紙３の内面３１は、離型剤３０が塗布されている。離型剤３０の塗布方法は、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工によって塗布することもできるが、特に、模様印刷あるいはベタ印刷によって離型剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易なオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、凹版印刷など各種印刷による印刷塗工が好適である。離型剤３０の塗布量および塗布分布によって、粘着剤塗布面２１に対する葉書用紙内面３１の粘着力を容易に調整することができる。

他方、葉書用紙３の外面３２には、郵送先等を記入する郵送先記入欄３３が設けられており、ここに郵送先を記入する。

以上説明の本形態の隠蔽式葉書Ｘは、前記情報記入欄５に情報を記入したのち、粘着剤塗布面２１を被覆する剥離紙４を剥離して粘着剤塗布面２１を露出させ、折り線１にて前記葉書用紙３の内面３１と粘着剤塗布面２１とが対面するように折り畳むと、前記葉書用紙３と隠蔽用紙２とが剥離可能に接着され、葉書用紙内面３１に設けた情報記入欄５に記入した情報が隠蔽される。

なお、このときの粘着剤塗布面２１と葉書用紙内面３１との粘着力は、ＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定で３〜２５Ｎ／２５ｍｍとなるようにし、好ましくは６〜１５Ｎ／２５ｍｍが望ましい。これは、葉書用紙内面３１へ塗布する離型剤３０の種類および塗布量によって容易に調整できる。

かくして、情報記入欄５に記入した情報が隠蔽された状態で郵送可能となり、当該隠蔽式葉書Ｘを受け取った受取人は前記隠蔽用紙２を葉書用紙内面３１から剥離することによって隠蔽情報を読み取ることが可能となる。

（第２の実施の形態）
次いで、本発明の第２の実施の形態を、図３を参照しながら説明する。第２の実施の形態Ｘ₂は、粘着剤塗布面２１を被覆する剥離紙４が、隠蔽用紙２と一体に形成されている例である。葉書用紙３の構成は上述の第１の実施の形態Ｘと同様である。内面３１には情報記入欄５が設けられているとともに離型剤３０が塗布されて離型処理がなされている。

本形態Ｘ₂では、図示されるように、隠蔽用紙２とほぼ同じサイズ剥離紙４がミシン目２４を介して隠蔽用紙２に折り畳み可能な状態で接合されている。この剥離紙４は、図示例の如く折り畳み時に前記隠蔽用紙２に設けられた粘着剤塗布面２１を被覆するように形成されている。この剥離紙４の折り畳み時における粘着剤塗布面２１と対向する面４１には、離型剤が塗布されており、粘着剤塗布面２１を剥離可能な状態で被覆する。

この形態においては、剥離紙４が隠蔽用紙２と一体化されており、従って剥離紙４が意図せずに剥離するおそれが極めて低いので、前記剥離紙４の離型処理面４１と反対の面４２に往信先記入欄を設け、情報記入欄５が設けられている葉書用紙３の内面３１の反対面に返信先を印刷等によって予め設けて、往復葉書として使用するのに適する。

例えば、金融機関（往信元）が顧客（返信元）に当該隠蔽式葉書Ｘ₂を郵送にて発送し、これを受け取った顧客（返信元）が情報記入欄５に必要事項を記載したのち、往信元が記載されている剥離紙４を隠蔽用紙２から剥離して隠蔽用紙２の粘着剤塗布面２１を露出させるとともに、ミシン目２４にて隠蔽用紙２から剥離紙４を切り離し、その後、隠蔽用紙２を葉書用紙内面（情報記入欄）３１に折り重ねて、情報記入欄５を隠蔽し金融機関（往信元）に返信するようにして使用する。

以上のとおり本発明は、金融機関等の口座振替依頼書など記載された内容の秘密保持を可能とした種々の隠蔽式葉書に用いることができる。

本発明の隠蔽式葉書の第１の実施の形態の斜視図である。 その反対方向からの斜視図である。 本発明の隠蔽式葉書の第２の実施の形態の斜視図である。 従来の他の隠蔽式葉書の斜視図である。

１…折り線、２…隠蔽用紙、３…葉書用紙、４…剥離紙、５…情報記入欄、２０…粘着剤、２１…粘着剤塗布面、２４…切り離し用ミシン目、３０…離型剤、３１…葉書用紙内面（離型剤塗布面）、３２…葉書用紙外面、４１…離型処理面、Ｘ，Ｘ₂，Ｘ₁₀₀…隠蔽式葉書。

Claims (2)

1. 同サイズの葉書用紙と隠蔽用紙とが折り畳み可能に接合され、
   前記葉書用紙の内面に所定事項を記入する情報記入欄が設けられ、
   前記隠蔽用紙の内面全面に粘着剤が塗布され、
   その粘着剤が塗布された隠蔽用紙の内面全面が、前記粘着剤に対して剥離性を示す離型剤が塗布された剥離紙によって被覆され、
   前記剥離紙と隠蔽用紙の粘着剤が塗布された面とのＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定値が０．０４９〜４．９Ｎ／５０ｍｍとされ、
   前記葉書用紙の内面に前記粘着剤に対して離型性を示す離型剤が塗布され、
   前記剥離紙を剥離して粘着剤塗布面を露出させた状態で、前記葉書用紙の内面と粘着剤面とを重なり合わせることにより、前記葉書用紙の内面と隠蔽用紙とが剥離可能に接着され、
   かつ、その接着後の葉書用紙の内面と隠蔽用紙との粘着力がＪＩＳ Ｚ ０２３７の１０にある１８０度引きはがし粘着力の測定で３〜２５Ｎ／２５ｍｍとされていることを特徴とする隠蔽式葉書。
2. 隠蔽式葉書が往復葉書であり、前記剥離紙表面が往信先記入部とされ、前記葉書用紙の前記情報記入欄の反対面が返信先記入部とされている請求項１記載の隠蔽式葉書。

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