JP4582920B2 - タイヤの摩耗状態検知装置および方法、ならびにタイヤの摩耗判断プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤの摩耗状態検知装置および方法、ならびにタイヤの摩耗判断プログラムに関する。さらに詳しくは、タイヤの回転情報を用いて、タイヤの摩耗状態を検知することにより、車両の性能や安全性能を高めることができるタイヤ摩耗状態検知装置および方法、ならびにタイヤの摩耗判断プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤには、排水性などを考えて、縦溝と横溝が彫ってあるため、これらの溝に囲まれたゴムブロックが形成されている。このゴムブロックが大きいと、前後左右にせん断変形しにくく、剛性も大きいため、一般に大きなブロックからなるトレッドパターンをもったタイヤをパターン剛性の大きなタイヤという。
【0003】
パターン剛性の大小は、コーナリングパワーやコーナリングフォースのほか、スリップ率に大きな影響を及ぼすため、タイヤの回転情報をもとにして車両の性能や安全性能を高める装置、たとえばABS(アンチブロックブレーキングシステム)、TCS(トラクションコントロールシステム)またはタイヤ空気圧低下警報装置などにおいて、タイヤの回転情報をもとにして車両の挙動を推定するには、タイヤのパターン剛性を把握しておくことが重要である。
【0004】
また、タイヤが摩耗すると、タイヤのトレッドゴムの厚さが薄くなるため、パターンの前後剛性が大きくなる。タイヤが摩耗すると冬用タイヤにおいては、雪上性能に影響を与えるとともに、夏用タイヤにおいては、ハイドロプレーニング性能に影響を与える。したがって、摩耗を検知することは有用であるが、これらの装置では、タイヤの摩耗状態を検知する機能が備えられていない。したがって、タイヤの摩耗を識別するには、溝深さを測定するデプスゲージを用いたり、タイヤに設けられている摩耗限界を示すスリップサインを確認するなどの目視による識別だけである。かかる目視による識別は、熟練を要するため、タイヤのメンテナンスが煩雑になりやすいとともに、タイヤのメンテナンスにおける始業点検時にタイヤの摩耗を見過ごしてしまう惧れがある。
【0005】
そこで、特開平11−78442号公報では、タイヤの摩耗状態を定期的に測定する方法が示されている。
【0006】
かかる方法によると、4輪のタイヤの回転速度を定期的に測定し、その測定された回転速度から、前輪タイヤと後輪タイヤの回転速度の比を演算し、該回転速度の比と車両の加速度との関係式の傾きを求め、この傾きと予め判っているタイヤの回転速度の比と加速度との関係式の傾きとを比較することによりタイヤの摩耗状態を検知している。すなわちスリップ率の小さい範囲(10%以下)では、タイヤと路面のあいだでほとんど滑りがなく、μ−s曲線の勾配は、トレッドゴムの前後剛性で決まっているので、この傾きの経時変化を測定していればタイヤの摩耗が検知できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
事実、μ−s曲線の勾配は、トレッドゴムの前後剛性が大きくなるにしたがい大きくなるが、路面の摩擦係数にも大きく影響を受けており、図7に示すように路面(高μ路R1、中μ路R2、低μ路R3)の摩擦係数が小さくなるにしたがい、μ−s曲線の勾配、たとえばR3のμ−s曲線の勾配θも小さくなる傾向にある。したがって、単にμ−s曲線の勾配のみの経時変化を測定していても、同じ摩擦係数の路面で測定したものを比較しないと、たとえばμ−s曲線の勾配が初期に比べて大きくなったからといって、それはタイヤが摩耗したためなのか、前に測定した路面よりも摩擦係数が高い路面で測定したためなのかの判断ができない。
【0008】
本発明は、叙上の事情に鑑み、タイヤの摩耗状態をより正確に検知できるタイヤの摩耗状態検知装置および方法、ならびにタイヤの摩耗判断プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤの摩耗状態検知装置は、車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段と、前後輪のスリップ比を演算する第2の演算手段と、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段と、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段と、該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
また本発明のタイヤの摩耗状態検知方法は、車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する工程と、前後輪のスリップ比を演算する工程と、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める工程と、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める工程と、該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知する工程とを備えていることを特徴とする。
【0011】
また本発明のタイヤの摩耗判断プログラムは、タイヤの摩耗状態を判断するためにコンピュータを、回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段、前後輪のスリップ比を演算する第2の演算手段、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段、および該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤの摩耗状態検知装置および方法、ならびにタイヤの摩耗判断プログラムを説明する。
【0013】
図1は本発明のタイヤの摩耗状態検知装置の一実施の形態を示すブロック図、図2は図1におけるタイヤの摩耗状態検知装置の電気的構成を示すブロック図、図3〜4は本発明のフローチャートの一例、図5は前輪駆動車に装着された新品タイヤFF1、約40%摩耗タイヤFF2、約80%摩耗タイヤFF3におけるタイヤ摩耗指数の経時変化を示す図、図6は後輪駆動車に装着された新品タイヤFR1、約40%摩耗タイヤFR2、約80%摩耗タイヤFR3におけるタイヤ摩耗指数の経時変化を示す図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤの摩耗状態検知装置は、4輪車両のタイヤFL、FR、RLおよびRRにそれぞれ設けられた車輪タイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段を備えており、この回転速度検出手段の出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に伝達される。なお、3はタイヤの摩耗状態により警報を発する摩耗警報器である。
【0015】
前記回転速度検出手段としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転速度を測定する車輪速センサ1、またはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転速度を測定するものを含む角速度センサなどを用いることができる。
【0016】
前記制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU1bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0017】
本実施の形態では、回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段と、前後輪のスリップ比を演算する第2の演算手段と、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段と、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段と、該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段とを備えている。そして、本実施の形態におけるタイヤの摩耗判断プログラムは、制御ユニット2を、前記車輪速センサ1による測定値から車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段、前後輪のスリップ比(前輪タイヤの車輪速度と後輪タイヤとの車輪速度の比)を演算する第2の演算手段、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段、および該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段として機能させる。
【0018】
前記平均値に駆動軸の重量/車両の重量を掛けて、タイヤの摩耗度合いを示すタイヤ摩耗指数を求める第5の演算手段を備えているのが好ましい。
【0019】
本実施の形態では、前記4輪のタイヤの回転速度を1秒以下で検出する。前記車両の加減速度はGセンサで測定することもできるが、4輪または従動輪の平均車輪速度から演算するのがコスト面から好ましい。
【0020】
ついで前記車両の加減速度およびスリップ比を一定時間分のデータ、たとえば2秒分以上のデータの平均値として、サンプリング時間ごとに移動平均化して求め、この移動平均された値(一定個数の車両の加減速度とスリップ比)を求める。
【0021】
さらに前記移動平均された車両の加減速度およびスリップ比のデータを、たとえば走行距離が500mになるまで蓄積する。なお、本発明においては、走行距離ではなくデータを一定時間、たとえば30秒間蓄積してもよいし、データ数が100個になるまで蓄積してもよい。この蓄積した車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める。ここで、相関係数が所定値、たとえば0.9以上の場合の1次の回帰係数が所定の個数、たとえば100個蓄積されるごとに、当該1次の回帰係数の平均値を求める。つぎにこの平均値に車両係数(駆動軸の重量/車両の重量)Md/Mを掛けてタイヤ摩耗指数Wを求める。このタイヤ摩耗指数が所定の値Wo以下(W<Wo)であれば、タイヤが摩耗状態であると判断し、警報としてドライバーに知らせる。
【0022】
以下、本実施の形態のタイヤの摩耗状態検知装置の動作を手順(1)〜(10)に沿って説明する。
【0023】
(1)車両の4輪タイヤFL、FR、RLおよびRRのそれぞれの回転速度から車輪速度(V1n、V2n、V3n、V4n)を算出する。
たとえば、ABSセンサなどのセンサから得られた車両の各車輪タイヤFL、FR、RL、RRのある時点の車輪速データを車輪速度V1n、V2n、V3n、V4nとする。
【0024】
(2)ついで従動輪および駆動輪の平均車輪速度(Vfn、Vdn)を演算する。
前輪駆動の場合、ある時点の従動輪および駆動輪の平均車輪速度Vfn、
Vdnをつぎの式(1)、(2)により求められる。
Vfn=(V3n+V4n)/2 ・・・(1)
Vdn=(V1n+V2n)/2 ・・・(2)
【0025】
(3)ついで前記従動輪の平均車輪加減速度(すなわち車両の加減速度)Afnを演算する。
前記従動輪の平均車輪速度Vfnより1つ前の車輪速データから、平均車輪速度Vfn−1とすると、従動輪の平均車輪加減速度Afnはそれぞれつぎの式(3)で求められる。
Afn=(Vfn−Vfn−1)/Δt/g ・・・(3)
ここで、Δtは車輪速データから算出される車輪速度VfnとVfn−1の時間間隔(サンプリング時間)であり、gは重力加速度である。前記サンプルング時間としては、データのばらつきを小さくするためにも、0.1秒以下が好ましい。
【0026】
(4)ついで前記車両の加減速度Afnの値に応じて、スリップ比を演算する。
まず、加速状態で、駆動輪がロック状態で車両が滑っているとき(Vdn=0、Vfn≠0)や、減速状態で、車両が停止状態で駆動輪がホイールスピンを起こしているとき(Vfn=0、Vdn≠0)は、起こり得ないものとして、スリップ比Snをつぎの式(4)、(5)から演算する。
Afn≧0およびVdn≠0である場合、Sn=(Vfn−Vdn)/Vdn・・・(4)
Afn<0およびVfn≠0である場合、Sn=(Vfn−Vdn)/Vfn・・・(5)
前記以外の場合は、Sn=1とする。
【0027】
(5)ついで車両の加減速度およびスリップ比のデータをサンプリング時間ごとに移動平均化処理する。
直線回帰をする場合、一定以上のデータ数がなければ、得られた1次の回帰係数の信頼性が劣る。そこで、たとえば数十msごとにデータをサンプリングし、このサンプリング時間で得られたばらつきの大きいデータを移動平均することにより、データの数を減らさずに、データのばらつきを小さくすることができる。
スリップ比については、
MSn=(S1+S2+・・・+Sn)/N ・・・(6)
MSn+1=(S2+S3+・・・+Sn+1)/N ・・・(7)
MSn+2=(S3+S4+・・・+Sn+2)/N ・・・(8)
車両の加減速度については、
MAfn=(Af1+Af2+・・・+Afn)/N ・・・(9)
MAfn+1=(Af2+Af3+・・・+Afn+1)/N ・・・(10)
MAfn+2=(Af3+Af4+・・・+Afn+2)/N ・・・(11)
【0028】
(6)ついで車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数、すなわちスリップ比の車両の加減速度に対する1次の回帰係数K1と車両の加減速度のスリップ比に対する1次の回帰係数K2をそれぞれつぎの式(12)、(13)から求める。
【0029】
【数1】
【0030】
【表1】
【0031】
また、相関係数Rは、
R=K1×K2 ・・・(14)
となる。
【0032】
(7)前記手順(6)により求めた1次の回帰係数K1(またはK2)の値を所定の時間または所定の個数蓄積する。以下、1次の回帰係数K1について説明する。このとき、相関係数Rの値に応じて1次の回帰係数K1のデータを蓄積するか否かをを決定する。このデータ蓄積のしきい値となる相関係数Rの値については、とくに限定されるものではないが、小さすぎると測定精度が劣ったデータも蓄積されてしまうため、0.5以上が好ましいが、0.9以上ではデータがほとんど蓄積されないため、0.7前後が好ましい。
なお、データの蓄積量については、前述したように走行距離、測定時間または蓄積個数で決定する。この蓄積量についてはとくに限定されるものではないが、たとえば一定の測定時間、たとえば30秒間蓄積してもよい。また、タイヤの摩耗状態を評価する場合、摩耗が数分や数時間といった時間単位で急激に進むことはほとんどありえないので、測定時間を30分や1時間と長くする分にはとくに問題はない。しかし、データ容量の都合もあるので、現実的な範囲で設定するのが好ましい。また、たとえば数分間の測定を数回程度繰り返し、その平均で評価したり、ばらつきの大きなデータは削除して評価することもできる。
【0033】
(8)ついで相関係数Rが所定値以上の場合の1次の回帰係数K1を所定の個数蓄積し、その平均値を求める。
たとえば0.9以上の場合の1次の回帰係数K1が所定の個数、たとえば100個蓄積されるごとに、当該1次の回帰係数K1の平均値K1mを求める。
【0034】
(9)ついでこの平均値K1mに車両係数(駆動軸の重量/車両の重量)Md/Mを掛けてタイヤ摩耗指数Wを求める。
【0035】
(10)ついでこのタイヤ摩耗指数が所定の値Wo以下(W<Wo)であれば、タイヤが摩耗状態であると判断する。なお、この所定の値Woは、タイヤの種類により異なるが、タイヤの摩耗状態、たとえばタイヤの摩耗度合いが約70%摩耗でタイヤ交換が望ましい状態を考えると、タイヤ摩耗指数WがWo=0.015以下である場合に、タイヤが摩耗状態であると判断する。
そして、タイヤが摩耗状態であると判断されると、前記摩耗警報器3によりドライバーに知らせる。
【0036】
【実施例】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0037】
実施例1〜2
まず車両として前輪駆動車に新品タイヤ、約40%摩耗したタイヤまたは約80%摩耗したタイヤを装着した。このときのタイヤは、住友ゴム工業(株)製 FM901である。そして、各タイヤについて、乾燥アスファルト路を4時間走行した(実施例1)。また、前記前輪駆動車に代えて後輪駆動車に前記新品タイヤ、約40%摩耗したタイヤまたは約80%摩耗したタイヤを装着させて、実施例1と同様の走行試験を行なった(実施例2)。
【0038】
この走行に際し、図3に示されるように車輪速センサから出力される車輪速パルスに基づいて、0.1秒ごとの車輪速を取り込み(ステップS1)、従動輪の平均車輪速を車両速度Fsとして演算するとともに、走行時間Tと走行距離Dを計算する(ステップS2)。ついで0.1秒ごとの車両の加減速度Facとスリップ比SRを計算した(ステップS3、S4)。この車両の加減速度Facとスリップ比SRについては、それぞれ2秒間のデータをサンプリング時間ごとに、移動平均処理した値FacMおよびSRMを求めた(ステップS5、S6)。
【0039】
ついで前記走行距離DがD1=500mごとのFacMとSRMを蓄積し(ステップS7、S8)、スリップ比に対する車両加速度の1次の回帰係数K1と相関係数Rを求めた(ステップS9)。相関係数RがR1=0.9以上であるか否かを判断し(ステップS10、S11)、R1=0.9以上のときの1次の回帰係数K1がX=100個蓄積されるごとに、その平均値K1mを求める(ステップS11〜S14)。
【0040】
つぎに平均値K1mに車両係数Md/M(実施例1の前輪駆動車は0.651であり、実施例2の後輪駆動車は0.462である)を掛けてタイヤ摩耗指数Wを求め(ステップS15)、このタイヤ摩耗係数Wの値により警報を発するか否かを判断し、タイヤ摩耗係数WがWo=0.015以下となった時点でタイヤ摩耗警報を発するようにした(ステップS16〜S18)。
【0041】
その結果、実施例1の場合、図5に示されるタイヤ摩耗指数の経時変化から、新品タイヤFF1ではタイヤ摩耗指数は絶えず0.024〜0.025で推移しているのに対し、約40%摩耗タイヤFF2では絶えず0.016〜0.017で推移している。また約80%摩耗タイヤFF3では絶えず0.011〜0.012である。
【0042】
また、実施例2の場合、図6に示されるタイヤ摩耗指数の経時変化から、新品タイヤFR1ではタイヤ摩耗指数は絶えず0.025〜0.027で推移しているのに対し、約40%摩耗タイヤFR2では絶えず0.017〜0.018で推移している。また約80%摩耗タイヤFR3では絶えず0.012〜0.013である。
【0043】
したがって、実施例1、2とも精度良くタイヤの摩耗度合いを識別していることがわかる。また、実施例1と実施例2は、車両が変わってもほぼ同じタイヤ摩耗指数を示していることから、別途車両ごとの識別などを盛り込む必要がないことがわかる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、タイヤの摩耗状態を精度よく検知することができるため、車両の性能や安全性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤの摩耗状態検知装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1におけるタイヤの摩耗状態検知装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のフローチャートの一例である。
【図4】本発明のフローチャートの一例である。
【図5】前輪駆動車に装着された新品タイヤFF1、約40%摩耗タイヤFF2、約80%摩耗タイヤFF3におけるタイヤ摩耗指数の経時変化を示す図である。
【図6】後輪駆動車に装着された新品タイヤFR1、約40%摩耗タイヤFR2、約80%摩耗タイヤFR3におけるタイヤ摩耗指数の経時変化を示す図である。
【図7】路面μとスリップ比sとの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 車輪速センサ(回転速度検出手段)
2 制御ユニット
3 摩耗警報器
FL、FR、RL、RR タイヤ
Claims (5)
- 車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段と、前後輪のスリップ比を演算する第2の演算手段と、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段と、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段と、該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段とを備えてなるタイヤの摩耗状態検知装置。
- 前記平均値に駆動軸の重量/車両の重量を掛けて、タイヤの摩耗度合いを示すタイヤ摩耗指数を求める第5の演算手段を備えており、前記タイヤ摩耗検知手段が、該タイヤ摩耗指数が所定の値以下であるときにタイヤの摩耗を判断する請求項1記載の摩耗状態検知装置。
- 車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する工程と、前後輪のスリップ比を演算する工程と、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める工程と、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める工程と、該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知する工程とを備えているタイヤの摩耗状態検知方法。
- 前記平均値に駆動軸の重量/車両の重量を掛けて、タイヤの摩耗度合いを示すタイヤ摩耗指数を求め、該タイヤ摩耗指数が所定の値以下であるときにタイヤの摩耗を判断する請求項3記載の摩耗状態検知方法。
- タイヤの摩耗状態を判断するためにコンピュータを、回転速度検出手段による測定値から、車両の速度および車両の加減速度を演算する第1の演算手段、前後輪のスリップ比を演算する第2の演算手段、前記車両の加減速度とスリップ比との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める第3の演算手段、該得られた相関係数が所定値以上の場合の当該1次の回帰係数を所定の個数蓄積し、該1次の回帰係数の平均値を求める第4の演算手段、および該平均値に応じてタイヤの摩耗状態を検知するタイヤ摩耗検知手段として機能させるためのタイヤの摩耗判断プログラム。
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