JP4578626B2 - 硬化性樹脂組成物、接着剤組成物、接合体及び接着方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、接着剤組成物、接合体及び接着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低臭気でアルミニウムや鉄への剥離強度といった接着性、貯蔵安定性及び硬化性及び耐湿性に優れた硬化性樹脂組成物や接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
常温下短時間で硬化する常温速硬化型接着剤の要求は、省力化、省資源及び省エネルギー等のために年々増大する傾向にある。従来、常温速硬化型接着剤としては、二液型速硬化エポキシ系接着剤、嫌気性接着剤、瞬間接着剤及び第二世代のアクリル系接着剤(SGA) が知られている。
【0003】
二液型速硬化エポキシ系接着剤は、主剤と硬化剤を計量、混合して被着体に塗布し、主剤と硬化剤の反応により硬化するものである。しかし、二液型速硬化エポキシ系接着剤は主剤と硬化剤の計量と混合が不充分な場合、著しい強度の低下を起こすことがあり、又、計量と混合を充分に行った場合でも剥離強度と衝撃強度が低いという欠点があった。
【0004】
嫌気性接着剤は、被着体間において接着剤組成物を圧着して空気を遮断することにより硬化する。しかし、圧着する際に接着剤組成物の一部が被着体からハミ出した場合、ハミ出した部分は空気に接触するために硬化しないという欠点があった。又、被着体間のクリアランスが大きい場合も硬化しないという欠点があった。
【0005】
瞬間接着剤は通常シアノアクリレートを主成分とし、作業性に優れている。しかし、剥離強度や衝撃強度が低いという欠点があった。又、耐湿性と耐水性も劣るために使用範囲が著しく限定されるという欠点があった。
【0006】
SGAは二液性であるが、二液の正確な計量を必要とせず、不完全な計量や混合、時には二液の接触だけでも、常温で数分又は数十分で硬化するため、作業性に優れ、しかもSGAは剥離強度や衝撃強度が高く、ハミ出し部分の硬化も良好であるために広く用いられている。しかし、このようなSGAには、化合物としてメタクリル酸メチルのような高揮発性で臭気の強い(メタ)アクリル酸アルキルエステルが使用されているため、臭気や引火性が強く、作業環境的にも大きな問題となっていた。
【0007】
これらのSGAの欠点を解決するために、特開平10−7753号には、高沸点の化合物を含有する接着剤組成物が開示されている。これらの接着剤組成物により、揮発性や引火性の問題は解決されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近、さらに、低臭気、低揮発性、弱引火性に加えて、長期間大きな荷重に耐えられることが要求されるようになってきた。そのためには、剥離強度が大きいことが必要である。さらに、飛行機等では軽量化のためにアルミニウムが使用されるので、鉄以外にもアルミニウムに対する接着性も大きいことも必要である。これらの高い要求水準を満たすことにより、構造部材間の接合に用いる構造用接着剤として、色々な使用環境条件において高い強度特性を具備できるようになる。
【0009】
本発明は、これらの要求を満たすために、特定の化合物を組み合わせることにより得られた、低臭気で、剥離強度といった接着性(アルミニウムに対する接着性を含む)の良好な硬化性樹脂組成物が本目的を達成するとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(1)一般式(A)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、20〜80重量部
一般式(A) Z−O−(RO)−H
〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、Rは−C−、−C−、−CHCH(CH)−、−C−又は−C12−を示し、pは1〜10の整数を表す。〕
(2)一般式(B)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、1〜30重量部
【化3】
(3)一般式(C)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、10〜60重量部
一般式(C) Z−O−R
〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、Rは炭素数5〜16個のアルキル基を表す。〕
(4)有機過酸化物からなる重合開始剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部
(5)還元剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部
(6)エラストマー成分を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、5〜35重量部
及び
(7)リン酸塩の添加量を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部
を含有してなる硬化性樹脂組成物であり、(5)還元剤が
【数4】
β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルである該硬化性樹脂組成物であり、(5)還元剤が
【数5】
β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルと
【数6】
芳香族アミン及び/又はピリジン誘導体を併用してなる該硬化性樹脂組成物であり、β−ジケトンキレートがバナジルアセチルアセトネートである該硬化性樹脂組成物であり、芳香族アミンがN,N−ジメチルアニリンである該硬化性樹脂組成物であり、(7)リン酸塩が一般式(D)の酸性リン酸化合物である該硬化性樹脂組成物であり、
【化4】
さらに、パラフィン類を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部含有してなる該硬化性樹脂組成物であり、さらに、酸化防止剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.001〜3重量部含有してなる該硬化性樹脂組成物であり、第一剤が、(1)一般式(A)の化合物、(2)一般式(B)の化合物、(3)一般式(C)の化合物、(4)重合開始剤、(6)エラストマー成分を含有してなり、第二剤が、(1)一般式(A)の化合物、(2)一般式(B)の化合物、(3)一般式(C)の化合物、(5)還元剤、(6)エラストマー成分、(7)リン酸塩を含有してなる二剤型の該硬化性樹脂組成物であり、該硬化性樹脂組成物を含有してなる接着剤組成物であり、該硬化性樹脂組成物を含有してなる金属用接着剤組成物であり、金属が鉄及び/又はアルミニウムである該金属用接着剤組成物であり、該金属用接着剤組成物を介して鋼板の塗布面同士を接合してなる接合体であり、該接着剤組成物を使用して被着体を接着してなることを特徴とする接着方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明で使用する(1)一般式(A)の化合物とは以下の構造をいう。
【0013】
一般式(A) Z−O−(R1O) p −H
〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R1は−C24−、−C36−、−CH2CH(CH3)−、−C48−又は−C612−を示し、pは1〜10の整数を表す。〕
【0014】
(1)一般式(A)の化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、接着性の点で、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0015】
(1)一般式(A)の化合物の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、20〜80重量部が好ましく、40〜60重量部がより好ましい。20重量部未満だと接着性が低下するおそれがあり、80重量部を越えても接着性が低下するおそれがある。
【0016】
本発明で使用する(2)一般式(B)の化合物とは以下の構造をいう。
【0017】
【化5】
【0018】
このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中では、接着性の点で、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0019】
又、qは0〜8であり、5が好ましい。8を越えると接着性が低下するおそれがある。
【0020】
(2)一般式(B)の化合物の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。1重量部未満だと接着性が低下するおそれがあり、30重量部を越えても接着性が低下するおそれがある。
【0021】
本発明で使用する(3)一般式(C)の化合物とは以下の構造をいう。
【0022】
一般式(C) Z−O−R3
〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、R3 は炭素数5〜16個のアルキル基を表す。〕
【0023】
(3)一般式(C)の化合物としては、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート及びトリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、接着性の点で、2−エチルへキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0024】
式中、R3 の炭素数は5〜16個が好ましく、6〜13個がより好ましい。5個未満だと接着性が低下するおそれがあり、16個を越えても接着性が低下するおそれがある。
【0025】
(3)一般式(C)の化合物の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、10〜60重量部が好ましく、20〜50重量部がより好ましい。10重量部未満だと接着性、特にアルミニウムに対する剥離強度が低下するおそれがあり、60重量部を越えても接着性、特にアルミニウムに対する剥離強度が低下するおそれがある。
【0026】
本発明で使用する(4)重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、反応性の点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0027】
(4)重合開始剤の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、1〜7重量部がより好ましい。0.5重量部未満だと硬化速度が遅いおそれがあり、10重量部を越えると貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
【0028】
本発明で使用する(5)還元剤は、前記(4)重合開始剤と反応し、ラジカルを発生する公知の還元剤であればよい。還元剤としては、▲1▼β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステル、▲2▼芳香族アミン及び/又はピリジン誘導体、▲3▼第3級アルキルアミン及び▲4▼チオ尿素誘導体等が挙げられる。
【0029】
▲1▼β−ジケトンキレートとしては、バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート及び銅アセチルアセトネート等が挙げられる。β−ケトエステルとしては、ナフテン酸バナジル銅、ナフテン酸バナジル及びステアリン酸バナジル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、(4)重合開始剤との反応性の点で、β−ジケトンキレートが好ましく、バナジルアセチルアセトネートがより好ましい。
▲2▼芳香族アミンとしては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン及びN,N−ジオキシエチル−p−トルイジン等が挙げられる。ピリジン誘導体としては、2,4−ピリジンジアミン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、(4)重合開始剤との反応性の点で、芳香族アミンが好ましく、N,N−ジメチルアニリンがより好ましい。
▲3▼第3級アルキルアミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
▲4▼チオ尿素誘導体としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、シブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素及びエチレンチオ尿素等が挙げられる。
【0030】
これらの中では、接着性や硬化速度の点で、▲1▼β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルが好ましく、▲1▼β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルと▲2▼芳香族アミン及び/又はピリジン誘導体を併用することがより好ましい。
【0031】
(5)還元剤の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜1重量部がより好ましい。0.01重量部未満だと硬化速度が遅く、接着性が低下するおそれがあり、1重量部を越えると未反応の還元剤が残り、接着性が低下し、貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
【0032】
さらに、本発明では、剥離強度と衝撃強度を向上させるために、(6)エラストマー成分を使用することが好ましい。エラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、(メタ)アクリル系モノマーに溶解又は分散できるものが好ましい。
【0033】
このような(6)エラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS) 、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上が使用できる。
【0034】
又、末端メタクリル変性したポリブタジエンも使用できる。
【0035】
これらの中では、化合物に対する溶解性及び接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、アクリロニトリル−ブタジエンゴムがより好ましい。
【0036】
(6)エラストマー成分の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、5〜35重量部が好ましく、10〜30重量部がより好ましい。5重量部未満だと粘度及び接着性が低下するおそれがあり、35重量部を越えると粘度が高すぎて作業上不都合が生じるおそれがある。
【0037】
さらに、本発明では接着性を向上させ、硬化速度を速くするために、(7)リン酸塩を使用することが好ましい。
【0038】
リン酸塩の中では、接着性や硬化速度の点で、一般式(D)の酸性リン酸化合物が好ましい。
【0039】
【化6】
【0040】
この一般式(D)の酸性リン酸化合物としては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等が挙げられる。これらの中では、接着性や硬化速度の点で、アシッドホスホオキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0041】
(7)リン酸塩の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜7重量部がより好ましい。
0.05重量部未満だと硬化速度が遅く、接着性、特にアルミニウムへの接着性が低下するおそれがあり、10重量部を越えても接着性が低下するおそれがある。
【0042】
又、本発明の硬化性樹脂組成物は、空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を使用することができる。パラフィン類としては、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン及びカンデリラろう等が挙げられる。
【0043】
パラフィン類の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜2.5重量部がより好ましい。0.1重量部未満だと空気に接している部分の硬化が悪くなるおそれがあり、5重量部を越えると接着性が低下するおそれがある。
【0044】
更に、貯蔵安定性を改良する目的で、重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及びN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0045】
酸化防止剤の添加量は、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.001〜3重量部が好ましく、0.01〜1重量部がより好ましい。0.001重量部未満だと効果がないおそれがあり、3重量部を越えると接着性が低下するおそれがある。
【0046】
なお、これらの他にも所望により可塑剤、充填剤、着色剤及び防錆剤等の既に知られている物質を使用することもできる。
【0047】
以上、本発明で使用する成分について説明したが、本発明の硬化性樹脂組成物には更に上記(1)、(2)及び(3)以外の臭気の少ない化合物を使用してもよい。
【0048】
本発明の実施態様としては、接着剤組成物として使用することが好ましい。この場合には例えば、二剤型の接着剤組成物として使用することが挙げられる。二剤型については、本発明の接着剤組成物の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、接着剤組成物を第一剤及び第二剤に分け、第一剤に少なくとも(4)重合開始剤を、第二剤に少なくとも(5)還元剤と必要に応じて(7)リン酸塩を含有させ、別々に貯蔵する。この場合、両剤を同時に又は別々に塗布して接触、硬化することによって、二剤型の接着剤組成物として使用できる。
【0049】
別の実施態様としては、第一剤及び第二剤のいずれか一方又は両方に重合性ビニルモノマー及びその他の任意の成分を予め含有せしめ、硬化時に両者を混合することによって、一剤型の接着剤組成物として使用できる。
【0050】
これらの実施態様の中では、貯蔵安定性に優れる点で、二剤型の接着剤組成物として使用することが好ましい。
【0051】
本発明では、硬化性樹脂組成物の硬化体により、被着体を接合して接合体を作製する。被着体の各種材料については、紙、木材、セラミック、ガラス、陶磁器、ゴム、プラスチック、モルタル、コンクリート及び金属等制限はないが、被着体が金属の場合、特に鉄やアルミニウムの場合により優れた接着性を示す。
【0052】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
なお、各物質の使用量の単位は重量部で示す。なお、各物質について2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンはq=5のものを用い、パラフィン類としてはパラフィンを用い、酸化防止剤としてはハイドロキノンモノメチルエーテルを用いた。
各種物性については、次のようにして測定した。
【0053】
〔引張剪断強度〕
試験片として100×25×1.6mmのSPCC−Dのサンドブラスト処理鋼板を用いた。
温度23℃、湿度50%の環境下でJIS K−6850に従い、一枚の試験片の片面に第一剤を塗布し、もう一枚の試験片に第二剤を塗布した。その後直ちに塗布面同士を重ね合わせて貼り合わせた。
こののち、室温で24時間養生し、これを引張剪断強度測定用試料とした。
試料の引張剪断強度(単位:MPa)は、温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度10mm/分で測定した。
【0054】
〔剥離強度〕
試験片として100×25×0.3mmのSPCC−Dのサンドブラスト処理鋼板又は100×25×0.5mmのアルミニウムA−5052のサンドブラスト処理鋼板を用いた。
温度23℃、湿度50%の環境下でJIS K−6854に従い、一枚の試験片の片面に第一剤を塗布し、もう一枚の試験片に第二剤を塗布した。その後直ちに塗布面同士を重ね合わせて貼り合わせた。
こののち、室温で24時間養生し、これを剥離強度測定用試料とした。なお、硬化性樹脂組成物層の厚さを均一化するため、SPCC−Dのサンドブラスト処理鋼板では粒径100μmのガラスビーズを、アルミニウムA−5052のサンドブラスト処理鋼板では400μmのガラスビーズをそれぞれ微量添加した。試料の剥離強度(単位:kN/m)は、温度23℃、湿度50%の環境下で、SPCC−Dのサンドブラスト処理鋼板は引張速度50mm/分で、アルミニウムA−5052のサンドブラスト処理鋼板では引張速度250mm/分でそれぞれT剥離強度を測定した。
【0055】
〔臭気〕
各硬化性樹脂組成物の臭気の強さを次のようにした。
○:ほとんど臭気が無い。
×:明らかに臭気がある。
【0056】
〔固着時間〕
JISK−6856に従い、試験片(100mm×25mm×1.6mmt、SPCC−Dのサンドブラスト処理鋼板)の片方に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布し、その後、直ちにもう片方の試験片を重ね合わせて貼り合わせたものを試料とした。
試料の固着時間(単位:分)は、温度23℃、湿度50%の環境下で、プッシュプルゲージ(ModelS、Komura社製)で引っ張り、貼り合わせ直後から、0.4MPa以上の強度が測定されるまでの時間を測定した。
【0057】
〔粘度〕
JIS K−7117に従い、第一剤と第二剤を500mlずつ取り、25℃の恒温槽に24時間放置したものを試料とした。粘度の測定は、25℃で単一円筒型回転粘度計で2分間連続して測定した。
【0058】
(実験例1)
表1の添加量で各物質を混合して第一剤と第二剤からなる硬化性樹脂組成物を調製し、各種物性を測定した。測定結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
(実験例2)
実験No.1−1の硬化性樹脂組成物につき、各種物性を測定した。測定結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】
(実験例3)
表3〜4の添加量で各物質を混合して第一剤と第二剤からなる硬化性樹脂組成物を調製し、各種物性を測定した。測定結果を表3〜4に示した。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂組成物によって、低臭気、低揮発性、弱引火性に加えて、剥離強度が大きく、鉄以外も軽量金属であるアルミニウムに対する接着性が大きいという、色々な使用環境条件において高い強度特性を具備し、かつ、長期間大きな荷重に耐えられる低臭気型の構造用接着剤が得られる。
又、本発明の接着剤組成物は、耐久性、硬化性及び貯蔵安定性にも優れている。
従って、その産業上の有益性は極めて大きい。

Claims (14)

  1. (1)一般式(A)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、20〜80重量部
    一般式(A) Z−O−(RO)−H
    〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、Rは−C−、−C−、−CHCH(CH)−、−C−又は−C12−を示し、pは1〜10の整数を表す。〕
    (2)一般式(B)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、1〜30重量部
    (3)一般式(C)の化合物を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部中、10〜60重量部
    一般式(C) Z−O−R
    〔式中、Zは(メタ)アクリロイル基を示し、Rは炭素数5〜16個のアルキル基を表す。〕
    (4)有機過酸化物からなる重合開始剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.5〜10重量部
    (5)還元剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部
    (6)エラストマー成分を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、5〜35重量部
    及び
    (7)リン酸塩の添加量を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部
    を含有してなる硬化性樹脂組成物。
  2. (5)還元剤が
    β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. (5)還元剤が
    β−ジケトンキレート及び/又はβ−ケトエステルと
    芳香族アミン及び/又はピリジン誘導体を併用してなる請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  4. β−ジケトンキレートがバナジルアセチルアセトネートである請求項2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 芳香族アミンがN,N−ジメチルアニリンである請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
  6. (7)リン酸塩が一般式(D)の酸性リン酸化合物である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  7. さらに、パラフィン類を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部含有してなる請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  8. さらに、酸化防止剤を、(1)、(2)及び(3)の合計100重量部に対して、0.001〜3重量部含有してなる請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 第一剤が、(1)一般式(A)の化合物、(2)一般式(B)の化合物、(3)一般式(C)の化合物、(4)重合開始剤、(6)エラストマー成分を含有してなり、第二剤が、(1)一般式(A)の化合物、(2)一般式(B)の化合物、(3)一般式(C)の化合物、(5)還元剤、(6)エラストマー成分、(7)リン酸塩を含有してなる二剤型の請求項1〜8のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含有してなる接着剤組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物を含有してなる金属用接着剤組成物。
  12. 金属が鉄及び/又はアルミニウムである請求項11記載の金属用接着剤組成物。
  13. 請求項11又は12記載の金属用接着剤組成物を介して鋼板の塗布面同士を接合してなる接合体。
  14. 請求項11又は12記載の接着剤組成物を使用して被着体を接着してなることを特徴とする接着方法。
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