JP4578401B2 - 固定化抗体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫学的測定法に使用する固定化抗体の製造方法に関する。
医学検査や食品検査、または環境測定において微生物検査は重要な検査項目となっている。
口腔内には多種多様な微生物が存在しており、これらの微生物の中に感染症を引き起こす微生物が存在する場合があることが知られている。例えば、齲蝕、歯周病の発生には齲蝕関連菌や歯周病関連菌が強く関与していることが知られている。近年、従来の感染症とは関係ないと思われていた疾患、例えば、心臓病、胃潰瘍、癌等の発症にも口腔内に存在する微生物が関与している場合があることが明らかとなり、口腔内の微生物検査は歯科領域のみならず、医科領域においても重要になっている。
被検体液中の微生物の測定は、従来培養法によって実施されており、結果が判明するまで長時間かかるという問題があったが、免疫学的測定方法が開発され検査時間が大幅に短縮された。免疫学的測定方法は微生物が有する特異的な抗原に対する抗体を利用して該微生物を高感度に検出するという方法である(非特許文献1)。
微生物から抗原を抽出し調製した抗原抽出液を免疫学的方法で測定することで、検出感度を更に高めることが可能である。その理由として、1)抗原が可溶化され低分子となるので、抗原抗体反応が進行しやすくなる、2)エピトープが露出する、等のことが考えられている。微生物抗原の抽出方法としては、界面活性剤処理、酵素処理、熱処理等多種多様な方法が実用化されているが、糖鎖抗原の抽出方法に適した方法として亜硝酸抽出法(非特許文献2)が知られている。該方法は、特に、A群レンサ球菌、口腔内レンサ球菌等ストレプトコッカス属に属する微生物の糖鎖抗原の抽出に有効である。該方法は亜硝酸水溶液を糖鎖に反応させ、糖鎖を切断し菌体から遊離させるという方法であり、一般的な亜硝酸抽出法は、亜硝酸塩水溶液(多くの場合は亜硝酸ナトリウム)と酸溶液(酢酸、塩酸、硝酸等)を混合することで亜硝酸を発生させ、微生物と亜硝酸を十分な時間反応させることにより実施される。
上記のようにして調製した糖鎖抗原抽出液中の糖鎖抗原量の測定に使用される免疫学的方法は、通常、抗体を不溶性の固定化用担体に固定化して得られる固定化抗体を使用して、抗原を検出する方法がとられる。固定化抗体は、一般的に、抗体が緩衝液等の水溶液に溶解している抗体溶液と固定化用担体を一定時間接触させることにより、抗体を該不溶性担体に結合させることにより製造される。被検体液中の抗原量の測定時に、抗原以外の物質の固定化用担体への非特異的な吸着が生じると、測定時のバックグラウンドが上昇するために正確な測定ができなくなるので、抗体を固定化用担体に結合させた後、さらにウシ血清アルブミン(以下BSAと略す場合がある)、カゼイン、ゼラチン、スキムミルク等のタンパク質でブロッキングすることが一般的に実施されている。
しかし、抗体を固定化した担体を上述したようにタンパク質でブロッキングしても、非特異的反応が完全に除去できない、または、非特異的反応の除去はできるが、測定の感度が低下してしまうという問題があり、従来のタンパク質によるブロッキングでは、満足できる結果が得られない場合があった。
タンパク質の代わりにアラニン、バリン等の非極性アミノ酸で凝集反応粒子(固定化抗体)をブロッキングする方法が提案されている(特許文献1)。該方法を採用することで、血清中の抗トレポネーマ・パリダム抗体量の測定、大便懸濁液中のヘモグロビン量の測定、血清中の抗成人T細胞白血病ウイルス抗体量の測定に際し、タンパク質によるブロッキング法に比べて、感度を低下させることなく非特異的反応を抑制できることが開示されているが、後述するが、本発明者等の検討により、微生物から亜硝酸抽出法により抽出した糖鎖抗原を測定対象とした場合には、効果が不十分であることが明らかとなった。
日本生化学会編集,新生化学実験講座12 分子免疫学III 抗原・抗体・捕体,東京化学同人,1992年 武井勉,阪大歯学誌,35巻,93−109頁,1990年 特開平5−288750号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、亜硝酸抽出法により抽出された糖鎖抗原の免疫学的測定に使用する固定化抗体の製造方法であって、免疫学的測定法の感度を下げることなく、非特異的反応を十分に抑えることが可能な固定化抗体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するために、鋭意検討してきた。その結果、固定化用担体に抗体を接触させる際に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと非極性アミノ酸を共存させることにより調製した固定化抗体を使用して、亜硝酸抽出法により抽出した糖鎖抗原を測定すると、感度、特異性ともに満足できる結果が得られることを見出した。そして更に検討を進め、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は糖鎖抗原を微生物より亜硝酸抽出法によって抽出した糖鎖抗原抽出液中の糖鎖抗原量を免疫学的方法により測定するに際して使用する固定化抗体の製造方法であって、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと非極性アミノ酸の共存下に、上記糖鎖抗原に対応した抗体と固定化用担体とを接触させることを特徴とする、固定化抗体の製造方法である。
本発明の固定化抗体の製造方法により調製した固定化抗体を使用することで、亜硝酸抽出法により抽出された糖鎖抗原を、感度良く、且つ正確に測定することが可能になった。
本発明の固定化抗体製造方法では、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(以下トリスと略す場合がある)と非極性アミノ酸の共存下に、後述する測定対象の糖鎖抗原に対応する抗体と固定化用担体とを接触させる。
本発明で使用できる上記抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、そして、該抗体の部分分解物(Fab、Fab’、Fab’2等)、および該抗体の活性フラグメント(抗体の抗原認識部位)が存在する部分構造等も含まれる。抗体のグロブリンクラスは限定されず、現在知られているどのようなグロブリンクラスのものも含まれる。
固定化用担体としては、形状は、例えば、膜、粒子、プレート、試験管等の従来公知のものが特に制限なく使用できる。材質は、例えば、ニトロセルロース、PVDF、ラテックス、ゼラチン、金属コロイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の従来公知のものが何ら制限なく使用できる。
本発明では、抗体と固定化用担体とを接触させ、抗体を固定化用担体へ結合させる反応をトリスと非極性アミノ酸の共存下で行う。これにより、得られた固定化抗体は、亜硝酸抽出法により抽出された糖鎖抗原を、感度良く、且つ正確に測定することが可能になる。その理由は定かではないが、上記トリスと非極性アミノ酸とが互いに作用しあって、そのブロッキング効果を大きく高めているものと推察される。
本発明で使用するトリスの好適な濃度を例示すると、5〜30mMである。
本発明において非極性アミノ酸とは、非極性側鎖を有する公知のアミノ酸が制限なく使用できるが、一般には、α−アミノ酸に属するものが好ましく、特に、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンから選ばれるたんぱく質を構成する非極性アミノ酸が好ましい。これら非極性アミノ酸の好適な濃度を例示すると、5〜50mM、更に好適には5〜30mMである。これら非極性アミノ酸は単独で用いても、複数を組合わせて用いても良い。複数の非極性アミノ酸を組合わせる場合には、合計のアミノ酸濃度が5〜30mMになるようにする。
トリスと非極性アミノ酸を共存させることにより、トリス、または非極性アミノ酸単独で使用した場合より低濃度で非特異的反応の抑制効果(バックブラウンドの低下)が得られる。トリス、または非極性アミノ酸単独でも非特異的反応抑制効果は得られるが、両成分を共存させる場合より高濃度にする必要があり、この場合、非特異的反応の抑制と同時に感度低下が観察される場合がある。
抗体と固定化用担体とを接触させる方法は、例えば、抗体が溶解した液体(抗体溶液)に、トリスと非極性アミノ酸を上記の好適な濃度になるように添加し、固定化用担体と一定時間接触させることにより実施できる。固定化抗体製造時の溶液のpHは一定の範囲内に(例えば、pH4〜9)保つことが好ましく、この目的のために、緩衝液中で抗体と固体化用担体とを接触させることが好ましい。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、GOODの緩衝液、炭酸緩衝液等が使用できる。具体的な抗体と固定化用担体を接触させる方法として、例えば、抗体及びトリスと非極性アミノ酸を含む抗体溶液(抗体濃度0.001〜5mg/ml)を調製し、該抗体溶液と固定化用担体を4〜56℃にて、2分以上接触させる、という方法を示すことができる。別の方法として、トリス、または非極性アミノ酸により緩衝液(例えばトリス塩酸緩衝液)を作製し、トリス、非極性アミノ酸以外の緩衝成分を含まない抗体溶液を作製し固定化抗体を製造することもできる。
抗体と固定化用担体とを接触させる際に、抗体の保存安定性等の観点から、上記の緩衝成分、トリス、非極性アミノ酸以外にも、界面活性剤、糖類、塩を混在させることもできる。界面活性剤としては、例えば、トリトンX−100、ツイーン20等が、糖類としては、例えば、グルコース、スクロース等が、塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が、それぞれ好適に利用できる。また、通常ブロッキング剤として有効な濃度以下の希薄な濃度で(例えば0.5%以下)でタンパク質を混在させることもできる。抗体によっては、特定のタンパク質を混在させることで保存安定性が極めて向上する場合があり、このような場合には低濃度でのタンパク質の添加は有効である。
上記のように作製した固定化抗体は、リン酸緩衝液等により1回以上洗浄することが好ましい。
このようにして製造した固定化抗体を使用して免疫学的測定法により微生物より亜硝酸抽出法によって抽出した糖鎖抗原抽出液中の糖鎖抗原量を測定する。
本発明において微生物とは、細菌、リケッチア属(Rickettsiae)、クラミジア属(Chlamydia)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)および単細胞真核生物を指す。これら微生物を含む被検体液を例示すると、微生物の培養液、微生物の懸濁液、食品およびその懸濁液、咽頭ぬぐい液、唾液、血漿、血清、尿等の体液、或いは歯垢の懸濁液等が挙げられる。口腔内に存在する微生物を測定するためには、唾液、歯垢、またはその混合物を含んでなる被検体液中を使用することが特に好適である。
唾液、歯垢またはその混合物を含んでなる被検体液中に含まれる感染症を引き起こす微生物を例示すると、齲蝕関連菌、歯周病関連菌、上気道感染起因菌、日和見感染菌等が挙げられる。それぞれについて具体例を表示すると、齲蝕関連菌としては、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)等のミュータンスレンサ球菌に属する細菌、ラクトバチルス属(Lactobacillus)に属する細菌、アクチノミセス属(Actinomyces)に属する細菌が、歯周病関連菌としては、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobatillus actinomycetemcomitans)、バクテロイデス・フォルシザス(Bacteroides forsythus)、トレポネマ・デンチコラ(Treponema denticola)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、プレボテラ・ニグレッセンス(Prevotella nigrescens)等が、上気道感染起因菌としては、A群レンサ球菌(Group A Streptococcus)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Micoplasma pneumoniae)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamidia pneumoniae)等が、日和見感染菌としては、カンジダ菌(Candida sp.)黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)等が挙げられる。
亜硝酸抽出法は公知の方法に従って実施すればよく、例えば、亜硝酸塩水溶液と酸水溶液を混合することで亜硝酸を発生させ、該亜硝酸水溶液中に糖鎖抗原を抽出するという方法により実施できる。亜硝酸塩水溶液としては、例えば、0.2〜8Mの亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等が、酸水溶液としては、0.5〜4Mの酢酸、硝酸、塩酸、クエン酸等が使用できる。亜硝酸抽出法の具体的な方法として、微生物を含む懸濁液を遠心分離して上清を廃棄し、沈殿に上記のような亜硝酸塩水溶液と酸水溶液を、それぞれ0.005〜0.5ml添加し、15〜50℃で1〜10分放置することで反応を行わせる、という方法を例示できる。
または、上記の亜硝酸塩水溶液と酸水溶液を予め混合して、0.2〜4Mの亜硝酸塩と0.5〜4Mの酸が含まれる亜硝酸水溶液を調製し、該亜硝酸水溶液を微生物を含む沈殿に0.01〜1ml添加し、15〜50℃で1〜10分放置することで亜硝酸抽出を実施することもできる。
反応後の糖鎖抗原抽出液は、強酸性であり、そのままでは免疫学的測定法に使用できないので、例えば1〜3M水酸化ナトリウム、0.5〜2Mトリス、0.5〜1M炭酸水素ナトリウム等の塩基性水溶液を添加し抽出液のpHを7.0〜8.5に調整するのが好ましい。
このようにして製造した糖鎖抗原抽出液中の糖鎖抗原を測定する免疫学的測定法の具体的手法は、免疫凝集法、光学免疫測定方法、標識免疫測定方法、およびこれらの組合わせ等の従来公知の方法が制限無く採用出来る。
以下、これら免疫学的測定方法について説明する。
[免疫凝集法]
該方法は、抗原抗体反応に基づく不溶性担体の凝集反応を利用して、糖鎖抗原抽出液中の抗原を検出、定量する方法である。半定量的方法としてはラテックス凝集法、マイクロタイター法等が、定量的測定方法としてはラテックス定量法等がある。
例えば、ラテックス凝集法を利用して糖鎖抗原抽出液中の抗原量を免疫学的に測定する場合には、ラテックスビーズに微生物の糖鎖抗原と結合する抗体(以下単に抗体ともいう)を固定化した抗体感作粒子からなる測定試薬を作製後、該測定試薬と糖鎖抗原抽出液を混合し、抗原抗体反応後における感作粒子の凝集の度合を、目視、或いは光学的測定方法等により検出することで測定することが出来る。
[光学免疫測定方法]
該方法は、抗体と糖鎖抗原抽出液とを接触させて抗原抗体反応を行った場合に、抗原抗体反応の結果生じる凝集物の濁度の変化を検出する方法、又は抗体を固定化した薄層(以下、抗体層ともいう。)に糖鎖抗原抽出液を接触させ、抗原抗体反応の結果生じる抗体層の屈折率の変化を透過光や表面プラズモン波等の変化として検出する方法等、抗原抗体反応の有無を光学的に検出する方法のことである。
[標識免疫測定方法]
該方法は、抗体に放射性物質、酵素、各種色素類、コロイド類、各種粒子等の各種標識物質を結合させて得た標識抗体を含む測定試薬と、糖鎖抗原抽出液とを接触させて抗原抗体反応を行った後に、糖鎖抗原抽出液中の抗原に結合した標識物質の量、すなわち標識物質に由来する放射活性、酵素活性、蛍光強度、着色等を測定することによって、糖鎖抗原抽出液中の抗原を検出、定量する方法である。
該方法では、例えば抗体を固定化した不溶性担体(粒子、メンブレン、イムノプレート等)からなる測定試薬と糖鎖抗原抽出液とを接触させて抗原抗体反応を行った後に、抗体を標識物質で標識した標識抗体を含む別の測定試薬を接触させて更に抗原抗体反応を行った後に、標識物質の量を測定することによって、又は糖鎖抗原抽出液と標識物質で標識した糖鎖抗原とを混合し、抗体を固定化した不溶性担体からなる測定試薬に接触させて抗原抗体反応を行った後に、抗体に結合した標識物質の量を測定することによって糖鎖抗原抽出液中の抗原を検出、定量することができる。
標識物質としては、放射性物質として放射性ヨード、放射性炭素等が、酵素としてペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ガラクトシダーゼ等が、各種色素類として、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミン等の蛍光色素類が、コロイドとして金コロイド、炭素コロイド等が、各種粒子としては着色ラテックス粒子等が使用出来る。なお、酵素標識を行う場合は、チオール基とマレイミド基、アミノ基とアルデヒド基等の共有結合により直接標識する、或いはビオチン−アビジン複合体を介し標識する等の方法が使用可能である。また、標識酵素としてアルカリホスファターゼ及びパーオキシダーゼを使用し、さらに前者の酵素の場合にはジオキセタン誘導体等の化学発光物質を、また後者の酵素の場合にはルミノール誘導体等の化学発光物質を酵素の基質として使用した場合には、該基質の発光を検出することも出来る。
これら各種標識免疫測定方法における操作、手順等は一般に採用されているそれらと特に異ならず、公知の非競合法や競合法、サンドイッチ法等に準じることが出来る。また、抗体と共に、上記の各標識物質で標識した二次抗体、プロテインA等の抗体に結合可能な物質を使用して糖鎖抗原の検出・定量に用いることもできる。
該標識免疫測定方法では、用いる標識に応じて従来使用されている方法が特に限定無く使用できるが、中でも放射性物質を標識として使用する放射免疫測定方法、酵素を標識として使用する酵素免疫測定方法、色素、特に蛍光色素を標識として利用する蛍光免疫測定方法、酵素の基質としての化学発光物質を標識として利用する化学発光免疫測定方法等は定量性が高いので、高精度の定量測定を行なう場合にはこれら測定方法を採用するのが好適である。また、コロイドまたは各種粒子を標識として使用するフロースルー免疫測定方法、免疫クロマト法、並びにラテックス凝集法は、操作が簡便であるという特徴がある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
製造例1[ストレプトコッカス・ミュータンスに対する精製ポリクローナル抗体の作製]
(1)[菌体試料懸濁液の調製]
ブレインハートインフュージョン(以下「BHI」と略すこともある)(DIFCO社)3.7gを100mlの純水に溶解後、オートクレーブ処理し、BHI液体培地を調製した。BHI液体培地2ml中でIngbritt(ストレプトコッカス・ミュータンス、血清型c)を37℃、5時間、嫌気条件下(N:H:CO=80:10:10)で培養した後、培養液を4000g、5分遠心処理し、上清の培地成分を除去し菌体沈殿を回収した。
次いで、沈殿物を5mlのリン酸生理食塩緩衝液(pH7.4)(以下PBSと略すこともある)に懸濁し、同様の遠心分離をする操作を3回行い、沈殿物を洗浄した。その後得られた菌体沈殿をPBSに懸濁し、A600=1.0に調整しIngbritt菌体試料懸濁液とした。なお、該菌体試料懸濁液を超音波処理後、適宜希釈した後にBHI培地プレート上に添加し、生じたコロニー数を計数し菌体試料懸濁液の希釈倍率を乗じることで該菌体試料懸濁液の菌体濃度を求めたところ、約1×10個/mlであった。
(2)〔ストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗血清の作製〕
免疫は以下のように実施した。即ち、第1週は0.5mlのIngbritt菌体試料懸濁液を、5日連続で5回ウサギに対し耳介静脈注射した。第2週は1.0mlの該菌体試料懸濁液を、5日連続で5回ウサギに対し耳介静脈注射した。第3週は2.0mlの該菌体試料懸濁液を、5日連続で5回ウサギに対し耳介静脈注射した。第4週は第3週と同様に免疫した。力価の上昇をスライドグラスを利用した菌体の凝集反応の程度により確認後、最終免疫より1週間後に、定法に従い採血しストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗血清を得た。
(3)〔ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の精製〕
オートクレーブ処理したBHI液体培地1L中でIngbrittを37℃、12時間、嫌気条件下で培養した。培養液を4000g、5分遠心処理し、上清の培地成分を除去し菌体沈殿を回収した。次いで、沈殿物を100mlのPBSに懸濁させて、同様の遠心分離をする操作を3回行い、沈殿物を洗浄した。
Ingbritt菌体を洗浄した後、0.1M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁しA600=15に調整した。ここにプロナーゼ(和光純薬社)を5mg/mlとなるように添加し、37℃で1時間保温した。反応終了後、遠心分離し菌体沈殿を回収した。次いで、沈殿物を20mlのPBSに懸濁して、同様の遠心分離をする操作を3回行い、沈殿物を洗浄した。次いで20mlの0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH2.0)で3回洗浄し、更に20mlのPBSで3回洗浄し、プロテアーゼ処理菌体懸濁液(A600=12.5)を調製した。
次いで、該プロテアーゼ処理菌体懸濁液と(2)で調製した抗血清0.5mlとを混合し、4℃、60分反応させた。混合液を4000g、5分遠心分離し、菌体を回収した。この菌体を10mlのPBSに懸濁し、同様の遠心分離をする操作を3回行い洗浄した。
次いで、0.5mlの0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH2.0)に菌体を懸濁し、吸着した抗体を溶出し、遠心分離により上清を回収し、1Mトリス−塩酸(pH9.0)を添加しpH7.4に調整した。同様の溶出操作を4回行い、各画分のタンパク質量を280nmの吸光度により測定した。
次いで、あらかじめPBSで平衡化した1mlのプロテインA−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテク社)を充填したカラムに上記溶出液を添加し、5ml洗浄後、5mlの0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)にて溶出し、直ちに1Mトリス−塩酸(pH9.0)を添加しpH7.4に調整した。IgGの溶出画分は、A280を測定することで確認した。IgG画分を回収し、0.01Mリン酸緩衝液に対して透析を行った(4℃、3日)。
以上により、抗血清(0.5ml)をプロテアーゼ処理菌体により精製したポリクローナル抗体を約1mg得た。
実施例1[トリスとグリシンを共存させて製造した抗体固定化ラテックス粒子によるストレプトコッカス・ミュータンスの測定]
製造例1で調製した抗ストレプトコッカス・ミュータンス抗体を使用し、トリスとグリシンを含む10mMリン酸緩衝液からなる抗体溶液(抗体濃度0.1mg/ml)を調製した。抗体溶液中のトリスとグリシンの濃度を表1に示す。次いで、この抗体溶液(1ml)に0.5%のポリスチレンラテックス粒子(JSR社)1mlを加え、室温で1時間放置した。次いで、遠心分離により抗体の結合したラテックス粒子を単離し、0.05Mの塩化ナトリウムを含む0.01Mリン酸緩衝液(以下緩衝液Aとよぶ場合がある)で1回洗浄し、抗体固定化ラテックス粒子が0.5%となるように緩衝液Aで懸濁した。
製造例1(1)で培養したIngbrittを緩衝液Aに懸濁し、10〜10CFU/mlの菌液を調製し、被検体液とした。被検体液(0.5ml)を10,000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。沈殿に0.02mlの2M 酢酸溶液と0.02mlの1M 亜硝酸ナトリウム塩水溶液を添加し良く混合後、室温で10分間放置した。0.09mlの1M トリス(pH未調製)を添加し、糖鎖抗原抽出液を調製した。糖鎖抗原液に等量の抗体固定化ラテックス懸濁液を添加、混合し、室温で30分放置後、ラテックス粒子の凝集を目視で観察した。結果を表1に示す。
Figure 0004578401
抗体と固定化用担体とを接触させる際にトリスとグリシンを共存させると、感度を低下させることなく非特異的反応を抑えることができることが分かった。トリス濃度は5〜30mMが適していた。グリシン濃度は5〜50mMの範囲で10CFU/mlのミュータンス菌を検出可能であったが、5〜30mMのほうが10CFU/mlの凝集の度合いは強かった。トリス単独の場合は100mM、グリシン単独の場合は500mMで非特異的反応抑制効果がみられたが、同時に測定感度も低下していた。
比較例1[タンパク質によるブロッキング処理を行った抗体固定化ラテックス粒子によるストレプトコッカス・ミュータンスの測定]
0.01Mリン酸緩衝液に製造例1で調製した抗ストレプトコッカス・ミュータンス抗体を0.1mg/mlとなるように懸濁した。次いで、この抗体溶液(1ml)に0.5%のポリスチレンラテックス粒子(JSR社)1mlを加え、室温で1時間放置した。次いで2mlの2%BSA溶液を添加し、室温で1時間放置し、抗体固定化ラテックス粒子を調製した。抗体固定化ラテックス粒子の洗浄、Ingbritt菌体からの亜硝酸抽出法による糖鎖抗原の抽出、ラテックス凝集法による測定は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。BSAでブロッキングを行うと、感度が低下した。
実施例2[グリシン以外の非極性アミノ酸とトリスを共存させて製造した抗体固定化ラテックス粒子によるストレプトコッカス・ミュータンスの測定]
10mMトリス共存下でグリシンの代わりに表2に示す非極性アミノ酸を使用した以外は実施例1と同様の方法によりストレプトコッカス・ミュータンスの測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004578401
グリシン以外の非極性アミノ酸もグリシンと同様の効果が認められた。しかし、検出下限は全てのアミノ酸で10CFU/mlであったが、凝集反応の強さはグリシンよりやや弱くなっていた。

Claims (2)

  1. 糖鎖抗原を微生物より亜硝酸抽出法によって抽出した糖鎖抗原抽出液中の糖鎖抗原量を免疫学的方法により測定するに際して使用する固定化抗体の製造方法であって、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと非極性アミノ酸の共存下に、上記糖鎖抗原に対応した抗体と固定化用担体とを接触させることを特徴とする、固定化抗体の製造方法。
  2. 非極性アミノ酸がグリシンであることを特徴とする請求項1記載の固定化抗体の製造方法。
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