JP4576023B2 - 木質系素材の成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙パルプ、木質繊維、木質粉体等の水素結合を生ずる木質系素材を乾式で成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙パルプ、木質繊維、木質粉体等の木質系素材を水に分散させて、スラリー状としたものを機械的に脱水成形し、その後に加熱乾燥して成形品を得る方法が行われている。この方法は、紙のように薄いものは能率よく製作できるが、厚くて比重の小さいものは能率よく成形できない。それは、スラリー状に分散させるので、木質系素材の繊維同士あるいは粉体同士の摩擦が低減することにより、緻密に集合してしまうからである。又、脱水成形においては、水分をできるかぎり少なくするのが乾燥効率が高く、かつ乾燥収縮が少なくなるということもあって、パルプ成形では、厚み3mm以下、比重0.5以上のものが一般的に製造されている。また、エネルギー消費に関しては、水分を蒸発させるために大きなエネルギーを必要とする。機械的な脱水では、高圧で脱水成形したとしても含水率を40%未満にすることが非常に困難であることに起因する。
【0003】
以上の方法は、比重の高いものしか製造できない。このため、以上の方法で、たとえば、梱包材を製造する場合、クッション性を持たせるためには、形状で対応するしかない。しかしながら、表面がデリケートな物、例えばイチゴ、モモ、ナシ等の傷みやすい青果物の梱包材には使用できない。このことが、以上の方法で製作された成形品の用途を少なく制限している。
【0004】
また、木質系素材を乾式で成形する方法も開発されているが、この方法は、木質系素材を結合するために接着剤等のバインダーを添加する必要がある。この方法で製造された成形品は、廃棄するときには混合素材廃棄物となり、再資源化が困難になってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
木質系素材の乾式で成形して緩衝材を製造する方法は以下の公報に記載される。
(1) 特開平5−246465号公報
(2) 特開平6−285890号公報
(3) 特開平6−293360号公報
(4) 特開平7−304012号公報
【0006】
(1)の公報には、古紙を解繊して綿状物とし、この綿状物に水分を供給して湿潤状態部と、非低湿潤状態部とし、湿潤状態部で非低湿潤状態部を覆う粒状部を備えた海面状部とし、綿状物または海面状部に糊材を添加して、成形・乾燥させる緩衝材の製造方法が記載される。
【0007】
この方法で緩衝材を製造する方法は、綿状物を独特の手法で粒状部を含む海面状に加工して成形するので、製造工程が複雑で能率よく安価に緩衝材を製造できない。また、綿状物を糊材で結合するので、簡単に廃棄できなくなる欠点もある。
【0008】
(2)の公報には、古紙を乾式で解繊したパルプ繊維を空気移送管に供給し、古紙を解繊するとき、あるいは、パルプ繊維を空気移送する途中で合成樹脂を混合し、空気輸送管の下流端のノズルで成形母型に吹き付けて成形し、その後に加熱圧縮して成形する方法が記載される。
【0009】
この公報に記載される方法は、ノズルからパルプ繊維を成形母型に吹き付けて成形するので、短時間に能率よく成形することが難しい。また、成形できる形状にも制約を受けて、種々の用途に最適な形状には成形できないことがある。さらに、この方法も、パルプ繊維を合成樹脂で結合するので、簡単には廃棄できなくなる欠点がある。
【0010】
(3)の公報には、古紙を解繊して綿状物とし、この綿状物を機械的に圧縮して成型すると共に、水を噴霧した後、乾燥してパルプ繊維を接着結合する緩衝材の製造方法が記載される。この製造方法は、図1に示すように、水を添加した綿状物をフォーミングマシン14のベルトコンベアに供給し、ベルトコンベアの途中に設けている挟圧ローラー15で圧縮成型して緩衝材を製作する。
【0011】
この方法は、水の噴霧量を調整して、表面と内部の密度を調整することができる。すなわち、ベルトコンベアの上方に配設しているノズル16から多量の水を噴霧すると、水はパルプ繊維の内部まで浸透し、少量の水を噴霧すると表面のみに水が浸透する。パルプ繊維は、水が浸透される部分が密に集合されるので、水を多量に噴霧すると、内部まで密に集合して緩衝材が製造され、少量の水を噴霧すると、表面のみを密に集合している緩衝材を製造できる。しかしながら、この製造方法も、成型できる形状に制約を受け、種々の用途に最適な形状に成型することができない欠点がある。また、この方法は、フォーミングマシンで水を添加して加圧成型したものを、加熱乾燥トンネル等で乾燥する必要があり、乾燥に手間がかかると共に、乾燥トンネルが長くなって、設備コストも高価になる欠点がある。
【0012】
さらに、(4)の公報には、図2の装置を使用して緩衝材を製造する方法が記載される。この図の装置は、水蒸気を噴射する噴射板18に熱板19を積層している一対のプレス板17を備えている水蒸気噴射プレスである。この水蒸気噴射プレスは、一対のプレス板17の間に、紙を乾湿で解繊した綿状物を供給して成型する。プレス板17の間に供給された綿状物は、噴射板18から水蒸気が噴射される。噴射される水蒸気は、綿状物の内部まで浸透して、綿状物に含まれる填料を湿潤、乾燥させて綿状物を接着する。
【0013】
この方法は、水蒸気を噴射して綿状物に含まれる填料を綿状物を接着できるので、バインダーを添加することなく、あるいはバインダーの添加量を少なくして、綿状物を結合できる特長がある。しかしながら、この方法も、水蒸気を添加した後に、速やかに乾燥することができず、乾燥に時間がかかる欠点がある。さらに、乾燥している途中に成型品が型くずれする欠点もある。
【0014】
本発明は、従来の以上の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、木質系素材を能率よく種々の形状に成型できると共に、バインダーの添加量を少なく、あるいは皆無にして、しかも高い精度で決められた形状に成型でき、さらに内部まで理想的な状態で速やかに乾燥できる木質系素材の成形方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の木質系素材の成形方法は、紙パルプ、木質繊維、木質粉体等の水分を揮発して水素結合を生ずる木質系素材を加熱して成形する。本発明の成形方法は、木質系素材Wを加熱型1の成形室2に充填して、閉鎖状態の成形室2に加熱、加圧水蒸気を噴射して、木質系素材Wを加熱、加湿して成形する成形工程と、成形室2を減圧して真空脱気し、木質系素材Wに含まれる高温水を蒸発して除去する圧力低下工程とからなる。
【0016】
さらに、本発明の木質系素材の成形方法は、水分が添加された木質系素材Wを閉鎖された加熱型1の成形室2に充填し、あるいは、成形室2に充填された木質系素材Wに水分を添加した後、成形室2を閉鎖して、閉鎖された成形室2の圧力を上昇して、成形室2における水の沸点を100℃よりも高くして、加熱型1で木質系素材Wを加熱する加熱加湿工程とすることもできる。
【0017】
さらに、本発明の木質系素材の成形方法は、成形工程において、好ましくは、成形室2の圧力を0.2〜2Mpa、好ましくは0.3〜1.5Mpa、さらに好ましくは0.4〜1.2Mpaとする。
【0018】
さらに、本発明の木質系素材の成形方法は、圧力低下工程において、好ましくは、成形室2を大気に開放した後、成形室2を大気圧以下に減圧して木質系素材Wに含まれる水分を除去する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための木質系素材の成形方法を例示するものであって、本発明は成形方法を下記のものに特定しない。
【0020】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図3は、本発明の木質系素材の成形方法に使用する装置を示す。この成形装置は、木質系素材Wを成形室2でもって気密に密閉する状態で成形する加熱型1と、加熱型1を木質系素材Wに押圧する押圧機構3と、成形室2に充填している木質系素材Wを湿潤状態で加熱するボイラー4とを備える。
【0022】
図において下側の加熱型1Bは、成形室2を形成する周壁5を有する。周壁5は、成形室2の周囲を囲む形状、たとえば、方形状をしている。さらに、周壁5は上面を平面状として、降下した上側の加熱型1Aの側面から外側に突出する突出部6の下面に密着するようにしている。周壁5の上面には、パッキン7の嵌着溝を設け、ここにパッキン7を入れて固定している。嵌着溝のパッキン7は、降下した上側の加熱型1Aの突出部6の下面に密着して、成形室2をガス漏れしない状態で、気密に閉塞する。
【0023】
成形室2を形成する周壁5は、下側の加熱型1Bに一体成形され、あるいは、加熱型と別の部材とすることができる。加熱型と別部材の周壁は、加熱型の間にガス漏れしない状態で密着するように、上下両面に嵌着溝を設けて、この嵌着溝にパッキンを嵌着する。周壁5の高さは、圧縮される木質系素材Wの厚さを決定する。木質系素材Wを圧縮する状態で、周壁5が上側の加熱型1Aに気密に密着して、成形室2を形成するからである。
【0024】
図の成形装置は、ボイラー4を連結する多数の貫通孔8を上下の加熱型1に設けている。図の装置は、貫通孔8に、配管9を介して、ボイラー4と真空ポンプ10を連結している。ボイラー4は、加圧加熱された水蒸気を成形室2に供給して、成形室2の木質系素材Wを湿潤な状態として加熱、加圧する。
【0025】
ボイラー4は、加圧された水蒸気を成形室2に圧入する。ボイラー4から成形室2に供給された水蒸気は、木質系素材Wに水分を添加すると共に、木質系素材Wを加熱、加圧して所定の形状に成形する。
【0026】
ボイラー4は、0.2〜2MPa、好ましくは0.3〜1.5Mpa、さらに好ましくは0.4〜1.2Mpaに加圧された水蒸気を供給する。水蒸気の温度と圧力が低すぎると、短時間で木質系素材の全体に均一に水分を補給して、加熱状態で成形できなくなる。それは、水蒸気の圧力が低いと、木質系素材の内部まで均一に水分を補給できなくなるからである。水の沸点は、1MPaにおいて183℃でである。したがって、圧力を1MPaとする水蒸気は、木質系素材を約180℃に加熱できる。成形室2に加圧、加熱された水蒸気を供給すると、木質系素材は水蒸気の熱量により昇温するが、原料を昇温するために熱量を奪われた水蒸気は、覆水して、この水を木質系素材に加湿する。このとき、成形室2の内部圧力を1.0MPa/cmまで昇圧させると、水は180℃の高温で水の状態になって木質系素材を加湿しながら加温する。木質系素材が水蒸気に加熱されて、約183℃よりも高くなると、水蒸気は覆水にならずに、木質系素材を透過して内部まで均一に浸透する。木質系素材の内部に向かって浸透する水蒸気は、木質系素材に冷却されて高温の覆水となり、覆水と水蒸気で沸点よりも高温に加熱されると水蒸気はさらに内部まで浸透して、加湿しながら木質系素材を加熱する。水蒸気で加熱された木質系素材は、内部のセルロース繊維を湿潤な状態で高温高圧処理して、結晶構造の変化によって形状記憶機能を賦与される。
【0027】
真空ポンプ10は、成形室2を減圧して、木質系素材Wを冷却しながら乾燥する。真空ポンプ10で成形室2を減圧する装置は、成形室2から取り出した木質系素材Wを、より少ない水分率に乾燥できると共に、冷却して取り出しできる特長がある。
【0028】
図3に示す装置は、成形室2に、大気開放弁11と圧力制御弁12も連結している。大気開放弁11は、成形室2を加圧するときと減圧するときに閉弁される。加圧している成形室2の気体を排気するとき、あるいは、減圧された成形室2に外気を吸入させるときに開弁される。圧力制御弁12は、成形室2の圧力が設定圧力よりも高くなったときに開弁して、成形室2の圧力を設定圧力に調整する。
【0029】
加熱型1の押圧機構3は、上側の加熱型1Aに連結している油圧シリンダーである。油圧シリンダーは、上側の加熱型1Aを押し下げて、成形室2の木質系素材Wをプレスすると共に、成形室2を気密に閉塞する。下側の加熱型1Bは、水平に固定している。押圧機構は、上下の加熱型を油圧シリンダーに連結して、木質系素材をプレスして成形室を閉塞し、あるいは、下側の加熱型を油圧シリンダーで押し上げて、木質系素材をプレスすることもできる。さらに、押圧機構は、必ずしも油圧シリンダーを使用する必要はない。押圧機構は、たとえば、カムやクランク機構で加熱型を押圧することもできる。
【0030】
さらに、図に示す装置は、加熱型1をプレス状態に保持するクランプ装置13を備える。図に示すクランプ装置13は、押圧機構3で押し下げられた上側の加熱型1Aを所定の位置に保持している。このクランプ装置13は、上側の加熱型1Aの突出部6の上面に当接するロック部が出入りして、加熱型1をプレス状態に保持し、あるいは、プレス状態を解除する。加熱型1がプレス状態にあるとき、クランプ装置13は、ロック部を内側に突出させて、上側の加熱型1Aの突出部6をロック状態に保持する。加熱型1のプレス状態を解除するときには、クランプ装置13がロック部を互いに離れる方向に収納して、ロック状態を解除する。このようにクランプ装置13で加熱型1をプレス状態に保持する成形装置は、押圧機構で加圧プレス状態に保持する必要がないので、押圧機構を簡素化して低コストにできる特長がある。
【0031】
木質系素材は、水蒸気によらずに加熱型で加熱し、あるいは水蒸気と加熱型の両方で加熱することもできる。加熱型で加熱される木質系素材は、成形室2に充填する前工程で、あるいは、成形室に充填する状態で水分を添加する。加熱型は、たとえば、蒸気やヒータで所定の温度に加熱できる。蒸気で加熱される加熱型は、蒸気を通過させる通路を内部に設けている。ヒータで加熱される加熱型は、内部に電気で加熱されるヒータを内蔵させている。
【0032】
【実施例】
[実施例1]
以上の成形装置は、以下のようにして木質系素材を成形する。
[木質系素材を成形室に充填する工程]
木質系素材Wとして、雑誌や新聞紙等の古紙を乾式で粉砕した後、解繊して綿状にした物を使用する。木質系素材Wは、機械的に分散させながら予備成形型で予備成形した後、成形室2に充填する。予備成形とは、成形型に入れやすくするために、乾式で圧縮してあらかじめ成形することである。ただし、本発明の方法は、木質系素材を必ずしも予備成形して成形室に充填する必要はない。予備成形され、あるいは予備成形しない木質系素材を、加熱している加熱型に充填して、加熱型を型閉めして成形室を閉鎖する。加熱型は約180℃に加熱している。
【0033】
[成形工程]
閉鎖された成形室2に水蒸気を供給して木質系素材を成形する。このとき、成形室2の圧力を制御することにより、木質系素材Wへの均一な加湿をすることができる。成形室2の圧力は、供給する水蒸気の圧力を調整し、あるいは成形室2に連結している圧力制御弁12で調整する。成形室2に投入された木質系素材Wは、あらかじめ加熱された加熱型1の成形室2に充填されるが、熱伝導が悪いので、加熱型1では表面のみが加熱される。したがって、成形室2に充填した直後において、木質系素材Wの中心部の温度は、型投入前とほぼ同じ温度である。その後、成形室2に水蒸気が供給されると、木質系素材Wは水蒸気の熱量により昇温する。木質系素材Wに供給された水蒸気は、木質系素材Wを昇温するために熱が奪われて覆水する。液化した覆水は木質系素材Wを加湿する。成形室2の内部圧力を1.0MPa/cmまで昇圧させると、水分は180℃の高温水の状態になり、木質系素材Wの温度がこの温度まで上昇した後は覆水せず、木質系素材Wの内部に浸透する。内部に浸透する水蒸気は、木質系素材Wを加熱しながら覆水となって、木質系素材Wを均一に加湿しながら加熱する。
【0034】
[圧力低下工程]
次に、成形室2の内部圧力を開放して常圧にし、その後、真空吸引して内部圧力を負圧に保持する。この状態で、含水状態で180℃に加熱されていた木質系素材Wは、内部圧力が低下することよって水分が沸騰して蒸発する。これは水の沸点が1.0Mpaの時は183℃であるが、−90Kpaでは45℃であることに起因する。
【0035】
これにより木質系素材Wの中心部に含まれていた水分も均一に蒸発して除去される。含水率の高い木質系素材Wは、例え180℃まで加熱されても、加熱された熱量で水を蒸発させる熱量をすべて補えないこともある。しかしながら、この状態において、木質系素材Wは加熱型1で加熱されて、表面から加熱し続けられて含有する水分を蒸発させる。木質系素材Wは、含有される水分が蒸発して除去されることにより、水素結合して所定の形状に成形してその形状に保形される。
【0036】
その後、加熱型1を開いて、成形された木質系素材Wを加熱型1から取り出す。
【0037】
[実施例2]
成形工程を、(1)の加熱加湿工程と(2)の形状記憶成形工程の2工程として木質系素材を成形する以外、実施例1と同様にして木質系素材を成形する。
(1)加熱加湿工程…実施例1の成形工程と同じ
(2)形状記憶成形工程
木質系素材Wの全体を180℃まで昇温した直後に、実施例1のように、成形室2を減圧することもできるが、木質系素材Wに含まれるセルロース繊維は、水分を有する状態で高温高圧処理を行うと結晶構造の変化により形状記憶機能を賦与できるので、一定時間は高温高圧状態を保持させることにより、型くずれしないように成形する。
【0038】
[実施例3]
以上の成形方法は、成形室2に水蒸気を充填して木質系素材Wを加熱するが、木質系素材Wに水を添加して、加熱型1が加熱、加圧する以下の方法で木質系素材Wを成形することもできる。
【0039】
[木質系素材を成形室に充填する工程]
木質系素材Wとして実施例1と同じものを使用する。木質系素材Wに水分を添加して予備成形した後、成形室2に充填する。水分の添加量は10〜40重量%、好ましくは約10〜30重量%、さらに好ましくは約20重量%とする。木質系素材Wは、成形室2に充填する前に、あるいは、成形室2に充填しながら、あるいはまた、成形室2に充填した後に添加することもできる。予備成形され、あるいは予備成形しない木質系素材Wを、加熱している加熱型1に充填して、加熱型1を型閉めして成形室2を閉鎖する。加熱型1を約180℃に加熱する。
【0040】
[成形工程]
閉鎖された成形室2に加圧空気を供給する。このとき、成形室2の圧力を制御することにより、木質系素材Wへの均一な加湿をすることができる。成形室2の圧力は、供給する空気圧で調整する。成形室2に投入された木質系素材Wは、あらかじめ加熱された加熱型1の成形室2に充填されるが、熱伝導が悪いので、加熱型1では表面のみが加熱される。したがって、成形室2に充填した直後において、木質系素材Wの中心部の温度は、型投入前とほぼ同じ温度である。その後、木質系素材Wに含まれる水が、加熱型1に加熱されて水蒸気となる。発生した水蒸気は、木質系素材Wの内部に浸透する。この水蒸気は、木質系素材Wを昇温するために熱が奪われて覆水する。覆水は木質系素材Wを加湿する。成形室2の内部圧力を1.0MPa/cmまで昇圧させると、水分は180℃の高温水の状態になり、木質系素材Wの温度がこの温度まで上昇した後は覆水せず、木質系素材Wの内部に浸透する。内部に浸透する水蒸気は、木質系素材Wを加熱しながら覆水となって、木質系素材Wを均一に加湿しながら加熱する。
【0041】
その後、実施例1または2と同じ成形工程と、圧力低下工程で、木質系素材Wを成形した後、加熱型1を開いて、成形された木質系素材Wを加熱型1から取り出す。
【0042】
以上の成形方法は、木質系素材Wにバインダーを添加しないで成形しているが、木質系素材に少量のバインダーを添加して成形することもできる。バインダーには、たとえば、コンスターチ等が使用できる。バインダーは、成形室に充填する前に、あるいは後で木質系素材に添加する。
【0043】
【発明の効果】
本発明の木質系素材の成形方法は、木質系素材を能率よく種々の形状に成型できる特長がある。それは、本発明の成形方法が、木質系素材を加熱型の成形室に充填し、閉鎖した成形室に水蒸気を供給し、あるいは、成形室の内部で水蒸気を発生させて、この水蒸気で木質系素材を加圧する状態で湿潤な状態で加熱し、高温高圧状態で一定時間保持して、木質系素材に含まれるセルロースの形状記憶効果で成形し、その後、閉鎖された成形室を減圧して真空脱気して、木質系素材に含まれる高温水を蒸発させて除去するからである。閉鎖されて加圧状態に保持される成形室に供給される水蒸気は、木質系素材の隙間を通過して木質系素材を加熱し、さらに、覆水して木質系素材を湿潤な状態としながら内部に浸透する。この状態で加熱される木質系素材は、内部まで速やかに加熱されながら湿潤な状態となる。この状態で木質系素材を一定の形状に成形し、さらに、この状態で木質系素材を成形室から取り出すことなく、成形室を減圧して含有水分を蒸発、気化させて除去する。この状態で成形された木質系素材の成形品は、加熱、加圧、湿潤状態で所定の形状に成形され、さらに、成形状態で乾燥されるので、所定の形状に型くずれしないように高い精度で正確に成形できる。
【0044】
この方法で成形される木質系素材は、バインダーの添加量を少なく、あるいは皆無にして、決められた形状に成形できる。また、内部まで理想的な状態で速やかに加熱した後に、充分に乾燥できる特長もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の緩衝材の製造方法に使用する装置の概略図
【図2】 従来の緩衝材の製造方法に使用する他の装置の概略構成図
【図3】 本発明の実施例の木質系素材の成形方法に使用する装置の断面図
【符号の説明】
1…加熱型 1A…上側の加熱型 1B…下側の加熱型
2…成形室
3…押圧機構
4…ボイラー
5…周壁
6…突出部
7…パッキン
8…貫通孔
9…配管
10…真空ポンプ
11…大気開放弁
12…圧力制御弁
13…クランプ装置
14…フォーミングマシン
15…挟圧ローラー
16…ノズル
17…プレス板
18…噴射板
19…熱板
W…木質系素材

Claims (6)

  1. 紙パルプ、木質繊維、木質粉体等の水分を揮発して水素結合を生ずる木質系素材を加熱して成形する方法において、
    木質系素材(W)を加熱型(1)の成形室(2)に充填して、閉鎖状態の成形室(2)に加熱、加圧水蒸気を噴射して、木質系素材(W)を加熱、加湿して成形する成形工程が、
    加圧水蒸気を噴射して、木質系素材(W)を加熱、加湿した後、成形室(2)の木質系素材(W)を圧力を0.2〜2Mpaとする加熱された状態で一定時間保持して、木質系素材(W)に含まれるセルロースの形状記憶効果によって、木質系素材(W)の外形を成形室(2)の形状に成形する形状記憶成形工程を含み、
    成形工程の後、成形室(2)を減圧して真空脱気し、木質系素材(W)に含まれる高温水を蒸発して除去する圧力低下工程とからなる木質系素材の成形方法。
  2. 成形工程が、木質系素材(W)を加熱型(1)の成形室(2)に充填して、閉鎖状態の成形室(2)に加熱、加圧水蒸気を噴射して、木質系素材(W)を加熱、加湿して成形する加熱加湿成形工程と、
    成形室(2)の木質系素材(W)を圧力を0.2〜2Mpaとする加熱された状態で一定時間保持して、木質系素材(W)に含まれるセルロースの形状記憶効果によって、木質系素材(W)の外形を成形室(2)の形状に成形する形状記憶成形工程とからなる請求項1に記載される木質系素材の成形方法。
  3. 成形工程において、成形室(2)の圧力を0.2〜2Mpaとし、圧力低下工程において、成形室(2)を大気に開放した後、成形室(2)を大気圧以下に減圧して木質系素材(W)に含まれる水分を除去する請求項1に記載される木質系素材の成形方法。
  4. 紙パルプ、木質繊維、木質粉体等の水分を揮発して水素結合を生ずる木質系素材を加熱して成形する方法において、
    水分が添加された木質系素材(W)を閉鎖された加熱型(1)の成形室(2)に充填し、あるいは、成形室(2)に充填された木質系素材(W)に水分を添加した後、成形室(2)を閉鎖して、閉鎖された成形室(2)の圧力を上昇して、成形室(2)における水の沸点を100℃よりも高くして、加熱型(1)で木質系素材(W)を加熱する成形工程が、
    成形室(2)の木質系素材(W)を圧力を0.2〜2Mpaとする加熱された状態で一定時間保持して、木質系素材(W)に含まれるセルロースの形状記憶効果によって、木質系素材(W)の外形を成形室(2)の形状に成形する形状記憶成形工程を含み、
    成形工程の後、成形室(2)を減圧して真空脱気し、木質系素材(W)に含まれる高温水を蒸発して除去する圧力低下工程とからなる木質系素材の成形方法。
  5. 成形工程が、水分が添加された木質系素材(W)を閉鎖された加熱型(1)の成形室(2)に充填し、あるいは、成形室(2)に充填された木質系素材(W)に水分を添加した後、成形室(2)を閉鎖して、閉鎖された成形室(2)の圧力を上昇して、成形室(2)における水の沸点を100℃よりも高くして、加熱型(1)で木質系素材(W)を加熱する加熱加湿工程と、
    成形室(2)の木質系素材(W)を圧力を0.2〜2Mpaとする加熱された状態で一定時間保持して、木質系素材(W)に含まれるセルロースの形状記憶効果によって、木質系素材(W)の外形を成形室(2)の形状に成形する形状記憶成形工程とからなる請求項4に記載される木質系素材の成形方法。
  6. 成形工程において、成形室(2)の圧力を0.2〜2Mpaとし、圧力低下工程において、成形室(2)を大気に開放した後、成形室(2)を大気圧以下に減圧して木質系素材(W)に含まれる水分を除去する請求項4に記載される木質系素材の成形方法。
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