JP4573147B2 - トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相オキシ塩素化反応によるトリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法に関する。特に、本発明は、トリクロロエチレン優位の生成比率を達成できる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンは、金属機械部品や電子部品等の脱脂洗浄溶剤、クリーニング溶剤、またはフッ化水素等フッ素化剤との反応によるクロロフルオロカーボンの合成原料等として有用である。
【0003】
従来トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法としては、炭素数2〜4の脂肪族炭化水素および/またはその部分塩素化炭化水素を原料としたオキシ塩素化反応による方法が知られている。このオキシ塩素化反応方法では、塩化銅を珪藻土やアルミナに担持した触媒を流動させた反応器に、エチレンまたは1,2−ジクロロエタンと、塩素または塩化水素と、酸素または空気とを導入し、トリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの両者を併産する方法が一般的である(英国特許第904084号、英国特許第962872号などを参照)。
【0004】
英国特許第904084号においては、その実施例において塩化銅と塩化カリウムを含浸させた白土を流動させた触媒流動層に、1,2−ジクロロエタン、塩素、酸素を各1モル比で導入し、416℃、常圧で反応せしめると、トリクロロエチレン13.7モル%とテトラクロロエチレン59.4モル%を含む反応生成混合物が得られることが記載され、また、温度424℃、加圧下で反応せしめると、トリクロロエチレン20.2モル%とテトラクロロエチレン54.6モル%を含む反応生成混合物が得られることが記載されている。しかしながら、この方法では、トリクロロエチレン優位の生成比率とすることができない
【0005】
また、英国特許第962872号においては、同じく実施例において塩化銅を含浸、担持させたアルミナを流動させた触媒層に、1,2−ジクロロエタン/塩化水素/酸素を、1.0/2.0/1.5モル比で導入し、362℃で反応せしめると、1,2−ジクロロエタンの転化率75%で、テトラクロロエチレン25モル%を含む反応生成混合物が得られることが記載されている。しかしながら、この方法においては、トリクロロエチレンの生成は認められず、トリクロロエチレン優位の生成比率とすることができないのみならず、高次塩化物が多量に副生する結果になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来のオキシ塩素化反応によるトリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法では、テトラクロロエチレンの生成比率が、トリクロロエチレンよりも大きく、より工業的に重要なトリクロロエチレン優位の生成比率とすることができず、また、生成比率を自在に可変にすることもできなかった。すなわち、従来法においては、塩素供給比率を小さくしてテトラクロロエチレンの生成を抑えると、低沸点の塩素化物(シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、塩化ビニリデン等のジクロロエチレン類)の副生比率が増大し、トリクロロエチレンは低収量でしか得られなかった。一方、塩素供給比率を大きくすると、テトラクロロエチレンが主生成物となるだけでなく、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、ペンタクロロエタン等の高沸点物の生成比率が増加してしまう。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の前記問題点を解消し、トリクロロエチレン優位の生成比率を達成でき、また、トリクロロエチレンに対するテトラクロロエチレンの生成比率を質量比で0.5以下に制御できるオキシ塩素化反応による製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)炭素数2〜4の脂肪族炭化水素および/またはその部分塩素化炭化水素、(B)塩素、および(C)酸素を、ガス状で流動触媒層に導入し、気相オキシ塩素化反応により、(D)トリクロロエチレンおよび(E)テトラクロロエチレンを生成せしめ、反応生成混合物をガス状で流動触媒層から導出せしめることからなる、(D)および(E)の製造方法において、前記流動触媒層に(A)と(B)とを個別に導入し、該流動触媒層内で(A)と(B)とが混合されるようにし、(A)と(B)とが混合された領域に(C)を個別に導入し、かつ、前記流動触媒層内での導入側から導出側へ向かうガス流の線速度の差を、(C)の導入前後で15%以内に制御することを特徴とするトリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、原料として、(A)炭素数2〜4の脂肪族炭化水素および/またはその部分塩素化炭化水素、(B)塩素、および(C)酸素が使用される。(A)、(B)、および(C)としては、流動触媒層での気相オキシ塩素化反応において従来から周知のものが、特に限定されることなく、採用され得る。
【0010】
(A)としては、例えば、エチレン、塩化ビニリデン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、テトラクロロブタンなどが挙げられ、このうち炭素数2の脂肪族炭化水素および/またはその部分塩素化炭化水素が好ましく、1,2−ジクロロエタン、エチレンなどが特に好ましい。また、本発明の反応生成混合物から目的の(D)トリクロロエチレンおよび(E)テトラクロロエチレンを分離した混合物を、(A)として循環使用することもできる。
【0011】
(B)および(C)としても、従来から周知のものなどが、特に限定されることなく、広範囲にわたって採用される。(B)としては、塩素を使用することが重要であり、塩化水素は、本発明の効果を達成する上で不利である。また、(C)としては、酸素を使用することが重要であり、空気は、本発明の効果を達成する上で不利である。ただし、(B)または(C)としては、必ずしも高純度のものに限定されず、多少の混入物が含まれていてもよい。
【0012】
本発明においては、原料の(A)、(B)および(C)を、ガス状で流動触媒層に個別に導入することが重要である。また、(A)と(B)とは、当該流動触媒層内で混合されるようにし、この(A)と(B)が混合された領域に、(C)を個別に導入することが重要である。
【0013】
このようにして導入された原料(A)、(B)および(C)は、流動触媒層において気相オキシ塩素化反応せしめられ、生成した(D)および(E)を含む混合物は、ガス状で当該流動触媒層から導出せしめられる。
【0014】
以下、典型的な縦型の反応器(下部に原料の導入口が設けられ、上部に反応生成物の導出口が設けられている型の反応器)を用いる例について説明するが、本発明は、流動触媒層を形成しうる反応器であれば縦型の反応器を用いる方法に限定されず、横型反応器や傾斜型反応器などを用いる方法であってもよい。
【0015】
本発明においては、かかる反応器内にオキシ塩素化反応用触媒を装填し、原料である(A)と(B)とを、配管などの反応器外で混合することなく、当該反応器底部から個別のノズル(導入口)により、反応器内に導入し、前記触媒を充分に流動させ流動触媒層を形成して、当該流動層内で(A)と(B)とを混合せしめるとともに、さらに、当該(A)と(B)とが混合された領域に、前記(A)、(B)の導入口よりも上側位置から、(C)を個別に導入し、オキシ塩素化反応せしめる。
【0016】
この場合、(C)の導入位置の前後における総ガスの線速度(この場合は垂直方向の線速度)の差を15%以内に制御し、流動状態を触媒層全域にわたり可及的に均一にすることが重要である。流動状態の均一化により、本発明の効果を有利に達成でき、さらに、高い触媒耐久性および反応性の維持が可能となる。
【0017】
本発明におけるオキシ塩素化反応用触媒としては、従来より公知ないし周知のものなどが特に限定されることなく、広範囲にわたって例示される。例えば、触媒成分としては、金属ハロゲン化物が挙げられ、その一種を単独でまたは複数種を組み合わせて使用することができる。金属ハロゲン化物としては、塩化物が好ましく、塩化銅、塩化鉄、塩化亜鉛などが用いられる。また、触媒活性、触媒寿命の維持調整のために、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等のアルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物等を併用してもよい。これらの触媒成分などは、珪藻土、白土、セライト、アルミナ、シリカアルミナ等の耐熱性かつ不活性な担体に含浸、担持されて使用される。
【0018】
触媒の担持量、担体の粒径などは、特に限定されるものではなく、例えば、担体に対し、塩化銅などは10〜30質量%程度の担持量が採用され、塩化カリウムなどは10〜30質量%程度の担持量が採用される。また、100〜900μm程度の粒径を有する珪藻土などが担体として採用され得るなどである。
【0019】
また、本発明のオキシ塩素化反応において、触媒、反応条件、反応操作、反応器、装置等は、本発明で規定する(1)原料として(A)、(B)、(C)を用い、それぞれを個別に導入すること、(2)酸素(C)を(A)と(B)の混合領域に個別に導入すること、および(3)流動状態を触媒層全域にわたり可及的に均一にすること、の要件が満足されるかぎり、特に限定されない。これらについて、以下に例示的に説明する。
【0020】
反応温度は、通常は300〜500℃の範囲から選定され、好ましくは350〜470℃の範囲から選定される。反応温度が低すぎると、原料の転化率が低下するのみならず、脱塩化水素反応が充分進行せずに、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの副生物が主に生成し、目的とする(D)および(E)の収率が低くなる。一方、反応温度が高すぎると、高沸点の副生物が生成するのみならず、酸素による燃焼反応が進行し、一酸化炭素や二酸化炭素を生成するようになり、さらにはタール状物質等の触媒の活性や寿命に有害である物質を生成することになる。
【0021】
反応圧力は、各原料(A)、(B)、(C)がガス状で流動触媒層に導入される範囲であれば、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.2MPa(ゲージ圧)の範囲から選定される。
【0022】
反応器としては、流動触媒層を形成しやすいため通常は円筒形状のものが採用される。オキシ塩素化反応は、強度の発熱反応であるため、反応時に反応領域を上記好適な反応温度に制御しうる適切な除熱手段を備えることが好ましい。除熱手段としては、例えば、反応器周囲にジャケット等を装着したり、冷却コイルを流動層内に装入する等の手段が採用できる。これら手段は、単独または組み合わせて使用される。これらのジャケット等には、通常使用されている塩化ジフェニル等の液状の熱媒体が循環される。
【0023】
反応器の大きさないしデメンションは、処理原料量、原料の滞留時間、触媒量、触媒流動層の高さ、触媒層の流動化開始速度、触媒の粒径、密度、除熱量等を考慮して任意に決定することができる。
【0024】
反応器を形成する材質は、操作反応温度において、塩素等による腐食に耐えうるものであれば特に限定するものではなく、例えばステンレス鋼、ニッケル、モネル、インコネル、ハステロイ等が好ましく使用される。
【0025】
本発明においては、各原料(A)、(B)、(C)は、それぞれ個別に反応器内の流動触媒層に導入される。これは、(A)と(B)とが反応器外で混合されると、供給配管内または触媒層入口で急激に塩素化反応が進行し、タール状の高沸点物質の副生による配管の閉塞を引き起こすという難点が生ずるからである。
また、反応器外で(A)と(B)とを混合させる場合は、可燃性の(A)原料について爆発範囲に入る恐れが生じるが、本発明で規定する(A)と(B)との個別導入方式によれば、かかる問題が発生する恐れがなく、この点についても本発明の利点が認められる。なお、本発明においては、特に(A)と(B)の塩素化反応の反応熱の発生の大きい流動触媒層の下部域で、当該反応熱の除去のために、触媒を充分に流動させることができる量で導入するのが望ましい。
【0026】
本発明においては、さらに、上記塩素化反応で発生する塩化水素を酸素で酸化し、塩素を生成させるオキシ塩素化反応を進行させるために、当該塩素化反応域に続き原料(C)が別個に流動触媒層に導入される。原料(C)の導入は、反応器底部からの(A)、(B)の導入よりも、滞留時間で0.1〜10秒後、好ましくは0.5〜2秒後に行うのが望ましい。このために具体的には、原料(C)の導入ノズルを反応器の底部から上方に向かって挿入設置し、その先端部が、反応器底部に設けられた上記(A)、(B)の導入口よりも上方に位置せしめられるようにすることなどにより、原料(C)の導入を、上記のように(A)、(B)の導入よりも後とするように制御できる。このようにして、原料(A)と(B)とが混合された流動触媒層内の領域に、原料(C)を個別に導入することができる。
【0027】
本発明においては、流動触媒層の流動化が均一に開始する線速度(流動化開始速度)と触媒の吹き抜けや脈動が開始する線速度との範囲内となるように、原料の導入量を制御することが重要である。特に、流動触媒層の全域にわたり、ガス流の線速度を可及的に均一にすることが好ましく、具体的には、導入側から導出側へ向かうガス流の線速度の差が、(C)の導入前後で15%以内になるように、原料(A)、(B)、(C)の流量を制御することが重要である。このためには、例えば、原料(C)の導入位置までは、反応器内の流動触媒層の有効断面積を小さくし、導入後にガス量の増加に応じて有効断面積を大きくするなどの手段が採用され得る。装置的には、反応器の内径を(C)の導入位置より上方で拡大するなどの手段が可能であるが、また反応器の底部から上方に向かって挿入設置される(C)の導入ノズルの外径を大きくしたり、または当該(C)の導入ノズルの設置本数を増やすなどの手段によっても達成できる。
【0028】
本発明においては、上記のように、流動触媒層内でのガス流の線速度を、(C)の導入前後で15%以内と云うレベルで、可及的に均一にすることにより、触媒の流動状態を安定化せしめ、過度の塩素化反応を抑制することができる。
【0029】
本発明によれば、このようにして各原料の導入モル比を調整することにより、トリクロロエチレン優位の生成比率を達成できるとともに、トリクロロエチレンに対するテトラクロロエチレンの生成比率を、広範囲にわたって任意に制御でき、かつ、質量比で0.5以下にすることが可能である。
【0030】
本発明においては、以上の説明に限定されることなく、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の付加や変更ができる。例えば、反応生成混合物からの目的物(D)、(E)の分離精製法を付加したり、または触媒の種類や原料(A)等を変更することができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、この説明によって本発明は、限定されない。なお、例1、例4および例8は、実施例であり、例2〜3および例5〜7は、比較例である。
【0032】
〔例1〕
(1) 反応器として内径50mm、触媒層長3,600mmのインコネル600製の円筒状反応器を用いた。該反応器の周囲には除熱用ジャケットを装着した。
該反応器内に、21質量%の塩化銅および15質量%の塩化カリウムを担持させた珪藻土を6.6リットル仕込んだ。該珪藻土は、粒径300〜600μmの分布を有し、平均粒径500μmであった。該反応器の底部には、原料(A)の導入口(a)および原料(B)の導入口(b)がそれぞれ別個に設けられており、また、該反応器の底部から上方に向かって、1本の原料(C)の導入ノズル(c)が設けられている。該導入ノズル(c)の外径は、25mmであり、その先端部は絞られている。該導入ノズル(c)は、その先端部が上記導入口(a)および(b)の上方200mmに位置するように設けられている。なお、反応器の上部には、反応生成混合物の導出口(d)が設けられている。
【0033】
(2) 以下の操作においてガスの流量は、大気圧0℃における1時間当たりの量で示した(以下の各例において同じである。)。
【0034】
予熱器で気化させた1,2−ジクロロエタンを前記導入口(a)から241リットル/時で導入し、また、塩素を前記導入口(b)から174リットル/時で導入した。さらに、酸素を前記導入ノズル(c)から207リットル/時で導入した。反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.12(差は15%以内である。)であった。反応圧力を0.02MPa(ゲージ圧)、反応温度を430℃に調整して、オキシ塩素化反応を行い、反応生成混合物を導出口(d)から抜き出した。導出した反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が10.6%、トリクロロエチレン(D)が48.1%、テトラクロロエチレン(E)が10.1%、テトラクロロエタンが18.2%、トリクロロエタンが3.2%、その他が9.8%であった。
【0035】
(E)/(D)の生成比率は、質量比で0.21であり、トリクロロエチレン優位の生成比率であるとともに、所望の値である質量比0.5以下であることが確認された。
【0036】
〔例2〕
例1において、1,2−ジクロロエタンの導入量を170リットル/時に変更し、塩素を塩化水素の246リットル/時に変更し、酸素の導入量を208リットル/時に変更した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.13(差は15%以内である。)であった。前記導出口(d)からの反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が4.5%、トリクロロエチレン(D)が26.1%、テトラクロロエチレン(E)が36.1%、テトラクロロエタンが7.3%、トリクロロエタンが2.2%、その他が23.8%であった。
【0037】
塩素の代わりに塩化水素を使用した場合(E)/(D)の生成比率は、質量比で1.38であり、トリクロロエチレン優位の生成比率を達成できなかった。
【0038】
〔例3〕
例1において、1,2−ジクロロエタンと塩素とを反応器外で混合した後に、反応器に導入した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応時間が経過するとともに激しい発熱が起こり、流動触媒層下部での閉塞により、原料の導入ができず、オキシ塩素化反応の継続が不可となった。また、流動触媒層下部には、高熱に起因するクリンカーが生成していた。
【0039】
〔例4〕
(1) 反応器として内径190mm、触媒層長3,600mmのインコネル600製の円筒状反応器を用いた。該反応器の周囲に除熱用ジャケットを装着した。
該反応器内に、21質量%の塩化銅および15質量%の塩化カリウムを担持させた珪藻土を100リットル仕込んだ。該珪藻土は、粒径300〜600μmの分布を有し、平均粒径500μmであった。該反応器の底部には、原料(A)の導入口(a)および原料(B)の導入口(b)がそれぞれ別個に設けられている。
また、該反応器の底部から上方に向かって、4本の原料(C)の導入ノズル(c)が設けられている。該導入ノズル(c)の外径は50mmであり、その先端部は絞られている。該導入ノズル(c)は、その先端部が上記導入口(a)および(b)の上方200mmに位置するように設けられている。また、反応器の上部には、反応生成混合物の導出口(d)が設けられている。
【0040】
予熱器で気化させた1,2−ジクロロエタンを前記導入口(a)から4.9m3 /時で導入し、また、塩素を前記導入口(b)から3.5m3 /時で導入した。さらに、酸素を前記4本の導入ノズル(c)から4.2m3 /時で導入した。
反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.08(差は15%以内である。)であった。
反応圧力を0.07MPa(ゲージ圧)、反応温度を430℃に調整して、オキシ塩素化反応を行い、反応生成混合物を導出口(d)から抜き出した。導出した反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が7.4%、トリクロロエチレン(D)が48.0%、テトラクロロエチレン(E)が23.0%、テトラクロロエタンが13.8%、トリクロロエタンが2.4%、その他が5.4%であった。
【0041】
(E)/(D)の生成比率は、質量比で0.48であり、トリクロロエチレン優位の生成比率であるとともに、所望の値である質量比0.5以下であることが確認された。
【0042】
〔例5〕
例4において、1,2−ジクロロエタンの導入量を3.5m3 /時に変更し、塩素を塩化水素の5.0m3 /時に変更した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.08(差は15%以内である。)であった。前記導出口(d)からの反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が7.4%、トリクロロエチレン(D)が42.0%、テトラクロロエチレン(E)が31.5%、テトラクロロエタンが10.5%、トリクロロエタンが2.5%、その他が6.1%であった。
【0043】
(E)/(D)の生成比率は、質量比で0.75であり、トリクロロエチレン優位の生成比率は達成できたが、所望の質量比である0.5以下を達成できなかった。
【0044】
〔例6〕
例4において、4本の酸素導入ノズル(c)の外径を25mmに変更した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.40(差は15%を超えている。)であった。前記導出口(d)からの反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が6.3%、トリクロロエチレン(D)が39.5%、テトラクロロエチレン(E)が31.4%、テトラクロロエタンが13.2%、トリクロロエタンが2.5%、その他が7.1%であった。
【0045】
(E)/(D)の生成比率は、質量比で0.79であり、トリクロロエチレン優位の生成比率は達成できたが、所望の質量比である0.5以下を達成できなかった。
【0046】
〔例7〕
例4において、1,2−ジクロロエタンと塩素とを反応器外で混合した後に、反応器に導入した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応時間が経過するとともに激しい発熱が起こり、流動触媒層下部での閉塞により、原料の導入ができず、オキシ塩素化反応の継続が不可となった。また、流動触媒層下部には高熱に起因するクリンカーが生成していた。
【0047】
〔例8〕
例4において、原料(A)の1,2−ジクロロエタンを、脂肪族炭化水素およびその部分塩素化炭化水素を含有する混合ガス(エチレンの0.3m3 /時、ジクロロエチレン類の0.4m3 /時、1,2−ジクロロエタンの3.0m3 /時、トリクロロエチレンの0.2m3 /時、トリクロロエタンの0.4m3 /時、テトラクロロエチレンの0.1m3 /時、およびテトラクロロエタンの0.3m3 /時)に変更した以外は、同様にオキシ塩素化反応を行った。反応器内の導入側から導出側へ向かうガス流の線速度(単位:cm/秒)の比は、酸素の導入前/導入後で1/1.09(差は15%以内である。)であった。前記導出口(d)からの反応生成混合物ガスの分析値は、質量基準で、ジクロロエチレン類が8.4%、トリクロロエチレン(D)が46.6%、テトラクロロエチレン(E)が22.6%、テトラクロロエタンが14.0%、トリクロロエタンが3.3%、その他が5.1%であった。
【0048】
(E)/(D)の生成比率は、質量比で0.49であり、トリクロロエチレン優位の生成比率であるとともに、所望の値である質量比0.5以下であることが確認された。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、トリクロロエチレンに対するテトラクロロエチレンの生成比率を、従来実用上不可能であった質量比で0.5以下に制御できる。
【0050】
また、本発明によれば、このように工業上より重要なトリクロロエチレン優位の生成比率を達成できるとともに、トリクロロエチレンとテトラクロロエチレンの生成比率を広範囲にわたって任意に制御でき、それぞれの需要に応じた最適生産比率に調整できる。
【0051】
さらに、本発明によれば、可燃性の(A)原料の爆発範囲の問題が解消され、またタール状物質の副生による反応器の閉塞も防止され、高い触媒耐久性および反応性が維持され、安定的にオキシ塩素化反応操作を実施することができる。
Claims (6)
- (A)炭素数2〜4の脂肪族炭化水素および/またはその部分塩素化炭化水素、(B)塩素、および(C)酸素を、ガス状で流動触媒層を形成する反応器に導入し、気相オキシ塩素化反応により、(D)トリクロロエチレンおよび(E)テトラクロロエチレンを生成せしめ、反応生成混合物をガス状で流動触媒層から導出せしめることからなる、(D)および(E)の製造方法において、
前記流動触媒層に(A)と(B)とを個別に導入し、当該流動触媒層内で(A)と(B)とが混合されるようにし、(A)と(B)とが混合された当該流動触媒層の領域に、(C)を(A)、(B)とは別の導入ノズルから個別に導入し、かつ、(C)の導入位置までは、前記反応器内の(A)と(B)が混合される領域の流動触媒層の有効断面積を(C)の導入後より小さくし、(C)の導入後に、ガス量の増加に応じて当該流動触媒層の有効断面積を大きくすることにより、前記流動触媒層内での導入側から導出側へ向かうガス流の線速度の差を、(C)の導入前後で15%以内に制御することを特徴とするトリクロロエチレンおよびテトラクロロエチレンの製造方法。 - 前記(C)の導入ノズルを、反応器の底部から上方に向かって前記流動触媒層内に挿入設置し、当該(C)の導入ノズルの外径を大きくすることにより、(C)の導入前後のガス量の増加に応じて、当該流動触媒層の有効断面積を変化させる請求項1に記載の方法。
- (C)の導入を、(A)、(B)の導入よりも、滞留時間で0.1−10秒後に行う請求項1又は2に記載の方法。
- 前記触媒として、100−900μmの粒径の珪藻土に塩化銅を10−30質量%、塩化カリウムを10−30質量%担持したものを使用する請求項1−3のいずれかに記載の方法。
- 反応温度が300−500℃の範囲から選択される請求項1−4のいずれかに記載の方法。
- 反応圧力が0.01−0.2MPa(ゲージ圧)の範囲から選択される請求項1−5のいずれかに記載の方法。
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