JP4572806B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
トナーの臭気を低減するために、従来より種々の検討が行われており、例えば、溶融混練粉砕法でトナーを製造するに際し、混練時に低揮発性成分を脱気する方法や、残留モノマー、残存溶媒、或いはベンズアルデヒドに着目し、それらのトナー中の重量分率を低減する方法等で対処してきた(特許文献1参照)。また、水中でトナー粒子を造粒する懸濁重合法や乳化重合凝集法においては、重合時のモノマー添加率を高めて残留モノマーを低減したり、乾燥時に脱気する等の方法が取られ、例えば、懸濁重合法によりトナーを製造する場合、(1)重合転化率が95%以上に達した時点で重合性単量体の消費を促進する方法、(2)トナー粒子から有機溶剤、重合性単量体又はそれらの混合物を除去する方法が知られている(特許文献2参照)。
例えば、懸濁重合法の上記(1)の方法を乳化重合凝集トナーの製造方法として採用する場合、重合転化率を高めるために高温条件下で重合させた場合、高分子量成分を得ることが難しく、高温オフセットが発生したり、モノマー由来以外の臭気成分を除去することは不可能であった。また、上記(2)の方法を採用する場合、最終的に得られるトナー粒径は約6〜10μmと大きいため、脱気により臭気成分を低減させたとしてもトナー粒子内部に存在する臭気成分の除去に限界があった。
本発明者らは、人が臭気を感じる物質を効果的に削減した時にのみ臭気を抑制できることを見出した。すなわち、同じ分量であっても人が臭気を感じる物質とそうでない物質が存在し、臭気を感じる程度の低い物質より臭気を感じる程度の高い物質、すなわち低量であっても人が悪臭と感ずる物質を削減せねば、実質臭気は低減できないこととなる。従って、臭気を削減するには単に臭気物質の濃度のみを一義的に削減するのみでは全く不十分であり、人の臭気を感じる指標である臭気閾値を加味する必要がある。
本発明のトナーは、ガスクロマトグラフィーで測定したトナー中の脂肪族アルデヒドの含有量と該脂肪族アルデヒドの臭気閾値から算出される臭気指標値が特定の値以下であることを特徴とするものである。
臭気閾値とは、人が臭気を感じ始める揮発性物質の濃度のことをいう。臭気閾値の低い脂肪族系の物質、特に脂肪族アルデヒドの臭気閾値を加味する必要がある。
これら人が臭気を感じ始める揮発性物質の濃度を定めているものに、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(永田好男、竹内教文、日本環境衛生センター、1990年、No17、P.77)及び「Compilation of Odor and Taste Threshold Values Data」(F.A.Fazzalari、ASTM DATA Series DS 48A、1991)があり、本発明に係る臭気閾値には、こ
れらの値、若しくは、これらの文献に記載の方法に従って定められる値を用いる。
本発明における規定の値より少なくしようとする目的の脂肪族アルデヒドとは、脂肪族炭化水素の水素原子をアルデヒド基で置換した形の化合物で、分子中のアルデヒド基の数が1乃至4、かつ、炭素数1乃至10のものをいう。また、該脂肪族アルデヒドは飽和でも不飽和でもかまわないが、特に飽和のものをいう。また、直鎖構造でも環状構造でもかまわないが、特に直鎖構造のものをいう。
更には、本発明において脂肪族酸由来の臭気も低減したほうが好ましい。かかる脂肪族酸とは、脂肪族炭化水素の水素原子をカルボキシル基で置換した形の化合物で、分子中のカルボキシル基の数が1乃至4、かつ、炭素数1乃至9のものをいう。また、該脂肪族酸は飽和でも不飽和でもかまわないが、特に飽和のものをいう。また、直鎖構造でも環状構造でもかまわないが、特に直鎖構造のものをいう。
本発明でいう臭気指標値とは次の測定法により導出される。すなわち、試料の調製として、乳化重合凝集トナーを用紙(紀州製紙社製、FCドリーム紙)上に0.5mg/cm2の重量となる様にベタ印字サンプルを現像し、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させる。この直後のベタ印字サンプルを短冊状に切り、20ml容ヘッドスペースバイアルに乳化重合凝集トナー量として0.100gとなるようにサンプルを秤量して入れ(サンプルとしては1.6〜1.7g)、バイアルをキャップして密栓しヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定にて上述の各成分の濃度を測定する。
び脂肪族酸の定量を行う。詳細なGC測定条件は、次の様である。カラムはHP-INNOWAX (Polyethylene Glycol)であり、注入モードはスプリットレスであり、注入口温度は250℃で、カラム温度は40℃×15min → 5℃/min → 250℃×15minである。また詳細なMS(質量分析)測定条件はソース温度230℃、クアッド温度150℃、捕捉モードはSCAN(1.95 Scan/sec)、Scan Mass Range 14〜400amuである。
脂肪族アルデヒドは約100μg/mlまで、脂肪族酸は約500μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を段階的に調製し、この溶液の1μLを試料と同様にバイアルに取り、試料と同様の条件でHS/SPME-GC/MS測定を行い、上記のヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定によって得られた、揮発成分のマススペクトルとピーク面積及び検量線測定から、定着後のトナー中に存在している臭気物質の特定とその発生量を定量する。
更に各物質の得られた発生量(ng)を、ヘッドスペースバイアルの体積(20ml)で除して揮発成分の濃度を算出する。
本発明では、トナー中の1−オクタナールの含有量は、ガスクロマトグラフィーで測定して3.0ng/ml・Headspace in vial以下とすることができる。
臭気指標値とは、前記ガスクロマトグラフィー法で測定したトナー中の特定成分のそれぞれの含有量を該特定成分のそれぞれの臭気閾値で除した値の総和をいう。そして、この臭気指標値が低いものに限り臭気を改善できる。
本発明の乳化重合凝集トナーは、この様にして測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値が300以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。脂肪族アルデヒドの臭気指標値を前記範囲とすれば、人が不快臭を感じないものとすることができる。従来品の臭気レベルは、例えば、重合体一次粒子ラテックス中に残存する過酸化物が多かったため、ワックス等が分解し、これら分解物等が酸化することにより、通常、脂肪族アルデヒドの臭気指標値が420以上であるのが一般的であった。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの、ガスクロマトグラフィーで測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、10程度が下限の限界であるため、通常、下限値は10以上となる。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの、ガスクロマトグラフィーで測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、0.01程度が下限の限界であるため、通常、下限値は0.01以上となる。
例えば、過酸化物の使用量としては、通常、重合体一次粒子ラテックスの過酸化物価を30以下、より好ましくは10以下とするように過酸化物の使用量等を調節する。ここで過酸化物価とは、SIBAT社製のPOV試験紙(過酸化物価試験紙)をラテックスに10秒間浸した後に試験紙が呈した色と、SIBAT社製のPOV試験紙付属の色と過酸化物価の対比サンプルとを比較し過酸化物価を同定するものである。すなわちピンク色を呈したものは過酸化物価は10以下であるとし、薄紫色を呈したものは過酸化物価は10より高く30以下であるとし、濃青色を呈したものは過酸化物価30より高い値である。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの製造方法において、乳化重合ラテックスの過酸化物価の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、1程度が下限の限界であるため、通常、下限値は1以上となる。
本発明の乳化重合凝集トナーは、架橋成分を含有する結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、ワックス、帯電制御剤、その他の添加剤、外添剤等を含むことが出来る。
本発明においてトナーに用いられる結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択できる。例えば、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、上記結着樹脂は単独で使用するに限らず2種以上併用することもできる。本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂およびポリエステル系樹脂が挙げられ、特にスチレン系樹脂が好ましい。
結着樹脂として前記のスチレン系樹脂を用いる場合、該結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)における数平均分子量が、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、さらに好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、該結着樹脂は、同様にして求めた重量平均分子量が、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは50万以下であることが望ましい。スチレン系樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。ここで、GPCによる平均分子量の値は、単分散ポリスチレン標準試料に換算した値とする。
本発明のトナーに用いる着色剤は無機顔料または有機顔料、有機染料のいずれでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、鉄粉、銅粉等の金属粉、ベンガラ等の金属酸化物、ファーネスブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ等のアゾ系、キノリンイエロー、アシッドグリーン、アルカリブルー等の染料の沈殿剤による沈殿物やローダミン、マゼンタ、マカライトグリーン等の染料のタンニン酸、リンモリブデン酸等による沈殿物等の酸性染料や塩基性染料、ヒドロキシアントラキノン類の金属塩等の媒染染料、フタロシアニンブルー、スルホン酸銅フタロシアニン等のフタロシアニン系、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系やジオキサン系等の有機系顔料、アニリン黒、アゾ染料、ナフトキノン染料、インジゴ染料、ニグロシン染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、ジ及びトリアリルメタン染料等の合成染料などが挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。
シアン着色剤としては、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が挙げられる。
また、前記着色剤は磁性を有していてもよく、磁性着色剤としては、プリンター、複写機等の使用環境温度である0〜60℃付近においてフェリ磁性或いはフェロ磁性を示す強磁性物質、具体的には、例えば、マグネタイト(Fe3 O4 )、マグヘマタイト(γ−Fe2 O3 )、マグネタイトとマグヘマタイトの中間物や混合物、Mx Fe3-x O4 ;式中、xは1または2であり、MはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等のスピネルフェライト、BaO・6Fe2 O3 、SrO・6Fe2 O3 等の6方晶フェライト、Y3 Fe5 O12、Sm3 Fe5 O12等のガーネット型酸化物、CrO2 等のルチル型
酸化物、及び、Cr、Mn、Fe、Co、Ni等の金属或いはそれらの強磁性合金等のうち0〜60℃付近において磁性を示すものが挙げられ、中でも、マグネタイト、マグヘマタイト、またはマグネタイトとマグヘマタイトの中間体が好ましい。非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止や帯電制御等の観点で含有する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。また、磁性トナーとして使用する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、通常15重量%以上、好ましくは20重量%以上であり、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下であることが望ましい。磁性粉の含有量が前記範囲未満であると、磁性トナーとして必要な磁力が得られない場合があり、前記範囲超過では、定着性不良の原因となる場合がある。
本発明においてトナーに導電性を付与する場合は、前記着色剤成分としての導電性カーボンブラックや、その他の導電性物質を添加すればよい。導電性物質の含有量は、トナー中に0.05〜5重量%程度が好ましい。
本発明のトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を添加してもよい。正荷電性帯電制御剤として、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂など、負荷電性帯電制御剤としては、Cr,Co,Al,Fe,B等の原子を含有するアゾ錯化合物染料やサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸錯化合物、カーリックスアレン化合物、ベンジル酸の金属塩もしくは金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒドロキシナフタレン化合物などが挙げられる。
本発明のトナーには、ワックスを用いることができる。ワックスとしてはトナーに適した公知の種々のものが使用できるが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;シリコーン系ワックス;ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、または部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。これらワックスは2種以上を用いることもできる。
更に、本発明のトナーには、トナーの粘着性、凝集性、流動性、帯電性、表面抵抗等の改質のために、トナー中に公知の各種内添剤、例えば、シリコーンオイル、シリコーンワニス、フッ素系オイル等を含有していてもよい。
以下に、本発明の乳化重合凝集トナーの製造方法について、詳細に説明する。
本発明の乳化重合凝集トナーを製造する方法としては、従来の溶融混練粉砕法でもよく、また重合法に代表される湿式法でもよいが、定着助剤の分散性の観点から湿式法で製造することが望ましい。
次に、本発明の最も好ましいトナーの製造法である乳化重合凝集法について詳細に説明する。
すなわち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、必要に応じて、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られたトナー粒子を洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、等があげられる。
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげられる。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度(Tg)が40〜80℃であり、平均粒径は通常0.02〜3μmのものである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
乳化重合をするに当たっては、ブレンステッド酸性基(以下、単に酸性基と称することがある)を有するモノマーもしくはブレンステッド塩基性基(以下、単に塩基性基と称することがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基をいずれも有さないモノマー(以下、その他のモノマーと称することがある)とを併用することが好ましく、これらモノマーを逐次、添加する事により重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えてもよいし、予め複数のモノマー混合しておいて添加してもよい。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤などと混合、調製した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
また、ブレンステッド塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、等が挙げられる。
このような、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの重合体一次粒子を構成するモノマー混合物中の配合率は、結着樹脂100重量部に対し好ましくは0〜10重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0〜3重量部、特に好ましくは0〜1.5重量部である。ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの内では、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
更に、重合体一次粒子に架橋樹脂を用いる場合、上述のモノマーと共用される架橋剤としては、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤;4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド等の水溶性重合開始剤及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2
,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物
;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤などの有機過酸化物類等の一種或いは二種以上が、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜3重量部の量で用いられる。中でも、開始剤としては過酸化水素、有機過酸化物類、アゾ系化合物類が好ましい。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、モノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
尚、乳化重合における前記重合性モノマーの反応系への添加は、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよいが、反応制御の点からは連続添加によるのが好ましい。また、複数のモノマーを使用する場合における各モノマーの添加は、別々に加えても、予め複数のモノマーを混合して同時に添加してもよい。更に、モノマー添加途中でモノマー組成を変化させることも可能である。また、前記乳化剤の反応系への添加についても、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよい。また、反応系には、前記乳化剤、前記重合開始剤の他に、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明における重合体一次粒子は、前記の通り得られた異なる重合体一次粒子を複数併用することもできる。また、本発明の製造方法においては、乳化重合と異なる重合方法で得られた樹脂を重合体一次粒子として併用することもでき、そのような樹脂についても、体積平均粒径が、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であるものを用いることが望ましい。
乳化重合凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。
ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在化にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作成し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01μm〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μm、特に0.1〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向にある。また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難な傾向にある。
この場合荷電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(荷電制御剤一次粒子)として使用することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3μm、特に0.1〜3.0μmのものが好適に用いられる。
本発明の製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子ラテックス、着色剤粒子、必要に応じて荷電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子ラテックス、着色剤粒子分散液、必要に応じ荷電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作成するが、この凝集工程においては、1)加熱して凝集を行う方法、2)電解質を加えて凝集を行う方法、3)pHを調整して行う方法などがある。
また、加熱して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、Tg−20℃〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなす。
電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形の物になるなどの問題を生じる傾向にある。
また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜Tgの温度範囲が好ましい。
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成することが好ましい。
なお、上述した荷電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に荷電制御剤を加えた後、樹脂微粒子を加えてもよい。
樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、更に好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.05〜1.0μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。またこの微粒子内には、例えばこの樹脂微粒子を製造する際にシード重合等の方法にてワックスを含んでいてもよく、ワックス以外にも表面性を改質する目的で様々な物質を含むことができる。粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
乳化重合/凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すためにTg+20℃〜Tg+80℃(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)の範囲で凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましく、Tg+20℃〜Tg+70℃の範囲が更に好ましくTg+20℃〜Tg+60℃の範囲が特に好ましい。また、この熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、好ましくは通常0.1時間から10時間であり、更に好ましくは0.1時間から5時間であり、更に好ましくは0.1時間から3時間である。
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
このようにして、体積平均粒径が3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための乳化重合凝集トナーとして適したものである。ここで、トナー母粒子の粒径はマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した値とする。
なお、トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター、マルチサイザーIIが用いられる。
2成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いる事ができる。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。平均粒径、平均円形度、過酸化物価、脂肪族アルデヒド及び脂肪族酸の臭気指標値及び臭気パネルテストは以下の方法にて実施した。
着色剤分散粒子及び重合体一次粒子の平均粒径は日機装社製マイクロトラック(以下、UPAと略す。)を用いて、測定条件として温度25℃、測定時間100秒、測定回数1回
、粒子屈折率1.59、透過性を透過、形状を真球形、密度1.04に設定し測定した。トナーの平均粒径はコールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(以下、コールターカウンターと略す。)によりアパーチャー径100μmを用いて測定した。
東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA-2000を用いて、標準希釈液であるセル
シースに分散し、2000〜2500個のトナーを測定し、下記式(I)より求められた値の平均円形度を用いた。
平均円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長 (I)
重合体一次粒子ラテックスの過酸化物価は次の様な手法で調べた。
SIBAT社製のPOV試験紙(過酸化物価試験紙)にラテックスを10秒間浸した後に試験紙が呈した色と、SIBAT社製のPOV試験紙付属の対比サンプルとを比較し過酸化物価(K)を下記のように同定した。
ピンク色 過酸化物価10以下 (K≦10)
薄紫色 過酸化物価は10より高く30以下 (10<K≦30)
濃青色 過酸化物価30より高い (30<K)
・試料の調整
得られたトナー母粒子100部に対して、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.04μmのシリカ微粒子0.5部と、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.012μmのシリカ微粒子2.0部とを添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌、混合し現像剤トナーを作成し、用紙(紀州製紙社製 FCドリーム紙)上に0.5mg/cm2の重量となる様に現像した。更に、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させた。このベタ印字サンプルを短冊状に切り、20ml容ヘッドスペースバイアルに乳化重合凝集トナー量として0.100gとなるようにサンプルを秤量して入れ(サンプルとしては1.6〜1.7g)、バイアルをキャップして密栓した。
このバイアルを35℃のオーブンに入れ、SPMEファイバー(SPELCO社製、75μm Carboxen/Polydimethylsiloxane)を挿入し、試料から発生した揮発成分を2時間ファイバーに吸着させた。この後ファイバーはGC(Hewlett-Packard GasChromatograph HP6890)の注入口の温度で熱脱着した(GC Injection port 250℃、脱着時間8分)。この脱着によって揮発した成分は、一旦GCカラムの先端を-150℃に冷却することにより捕集した後、捕集部分を急速に加熱することにより揮発成分をGC/MS(Hewlett-Packard Mass Sensitive Detector 5973)に導入して、脂肪族酸の定量を行った。(GC測定条件:カラムはHP-INNOWAX (Polyethylene Glycol)、注入モードはスプリットレス、注入口温度は250℃、カラム温度は40℃×15min → 5℃/min → 250℃×15min)(MS測定条件:ソース温度230℃、クアッド温度150℃、捕捉モードはSCAN(1.95 Scan/sec)、Scan Mass Range 14〜400amu)
炭素数1〜10までの脂肪族アルデヒドは約100μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を
段階的に調製し、ベンズアルデヒドと炭素数1から10までの脂肪族酸は約500μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を段階的に調製した。この溶液の1μLを試料と同様にバイアルと取り、試料と同様の条件でHS/SPME-GC/MS測定を行った。
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、温度速度10℃/minで30〜210℃に昇温させ前履歴を取った後、温度速度20℃/min、温度210〜30℃の範囲で降温させ、更に昇温時に10℃/minで30〜110℃に昇温させた時に測定させるDSC曲線を用いる。そして、吸熱メインピーク温度とは、得られたDSC曲線のピークトップ温度のことをいう。
得られた乳化重合凝集トナーを、用紙上に1.0mg/cm2の重量となる様に現像した。更に、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させた。定着させた直後の用紙10枚をガラス製の容器に入れ密閉し一日放置した。これを開封し10人の人間により臭気の程度を、”殆ど嫌な臭気は感じない”という程度を5点、”若干臭気を感ずるが気になる程ではない”を3点、”不快な臭気を強く感じる”を1点と判定し、下記のように評価した。
40点以上 非常によい ◎
30点以上40点未満 よい ○
30点未満 悪い ×
A4用紙上に、得られた乳化重合凝集トナー0.06gを100cm2乗せた後、140〜220℃間で、5℃の間隔で定着温度を上昇させ、各定着温度下での定着状況を目視で評価した。
オフセットなし (トナーの定着部分以外にトナー汚れなし) ○
軽いオフセットあり(トナーの定着部分以外に若干のトナー汚れあり) △
オフセットあり (トナーの定着部分以外にトナー汚れあり) ×
<ワックス分散液Aの調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9、表面張力23.5mN/m、融点82℃、融解熱量220J/g、融解ピーク半値幅8.2℃、結晶化ピーク半値幅13.0℃)30部、20%アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)2.8部、脱塩水67.2部を90℃に加熱してディスパーザーで10分攪拌した。次いでこの分散液を100℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて約15MPaの加圧条件で乳化を開始し、粒度分布計で測定しながら体積平均粒径を200nmまで分散してワックス分散液Aを作製した。
下記構造(1)を有するアルキル変性シリコーンワックス(表面張力27mN/m、融点63℃、融解熱量97J/g、融解ピーク半値幅10.9℃、結晶化ピーク半値幅17.0℃)27部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)0.3部、脱塩水73部を90℃に加熱してディスパーザーで10分攪拌した。次いでこの分散液を100℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて約15MPaの加圧条件で乳化を開始し、粒度分布計で測定しながら体積平均粒径を200nmまで分散してワックス分散液Bを作製した。
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)1部、非イオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンEA80)4部、脱塩水75部をサンドグラインダーミルで分散して黒色の着色剤分散液を得た。マイクロトラックUPAにて計測した粒子の体積平均径は150nmであった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.4重量部、脱塩水256部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。乳化剤には第一工業製薬社製の20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下DBSと略す。)水溶液であるネオゲンS20Aを用いた。(以下、20%DBS水溶液と略す。)
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は200nmであり、POV試験紙で呈した色はピンク色であり過酸化物価は10以下であっ
た。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.7重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水326部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は260nmであり、POV試験紙で呈した色はピンク色であり過酸化物価は10以下であっ
た。
重合体一次粒子ラテックスA1 95部(固形分として)
重合体一次粒子ラテックスB1 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6部(固形分として)
20%DBS水溶液 0.1部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら第一硫酸鉄の5%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部添加し、30分混合後更に硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(固形分として0.29部)。その後攪拌しながら45分かけて52℃に昇温して、その後95分かけて55℃まで昇温した。ここでコールターカウンターにて粒径測定を実施したところ50%体積径が6.8μmであった。その後、重合体一次粒子B1を添加し60分保持し20%DBS水溶液(固形分として8部)を添加してから30分かけて92℃に昇温して34分保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子を得た。
乳化重合凝集トナー1のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.8μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、6.4ng/ml(アセトアルデヒド)、0.010ng/ml(1−プロパナール)、1.9ng/ml(1−ブタナール)、0.60ng/ml(1−ペンタナール)、1.2ng/ml(1−ヘキサナール)、0.10ng/ml(1−ヘプタナール) 、0.84ng/ml(1−オクタナール)、0.12ng/ml(1−ノナナール)、0.071ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.51ng/ml(アセティックアシッド)、0.012ng/ml(n−プロピオニックアシッド)、0.0088ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.016ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.0024ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.0013ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0018ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
ド)、1.0ppb(1−プロパナール)、0.67ppb(1−ブタナール)、0.41p
pb(1−ペンタナール)、0.28ppb(1−ヘキサナール)、0.18ppb(1−ヘ
プタナール) 、0.010ppb(1−オクタナール)、0.34ppb(1−ノナナール)、0.40ppb(1−デカナール)であり、上記脂肪族酸の臭気指標値は、それぞれ、6.0ppb(アセティックアシッド)、5.7ppb(n−プロピオニックアシッド)、0.19ppb(n−ブチリックアシッド)、0.037ppb(n−ペンタノイックアシッド)、0.6ppb(n−ヘキサノイックアシッド)、0.21ppb(n−ヘプタノイックアシッド) 、5.0ppb(n−オクタノイックアシッド)である。
臭気パネルテストの結果は点数50点、判定は◎であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
(重合体一次粒子ラテックスA2の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.2重量部、脱塩水262部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 4.92部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は202nmであり、POV試験紙で呈した色は薄紫色であり、過酸化物価は10より高く3
0以下であった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.4重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水327部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 4.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は263nmであり、POV試験紙で呈した色は薄紫色であり過酸化物価は10より高く30
以下であった。
重合体一次粒子ラテックスA1の代わりに重合体一次粒子ラテックスA2を用い、重合体一次粒子ラテックスB1の代わりに重合体一次粒子ラテックスB2を用いた事以外は、実施例1と全て同じ手法及び添加剤を使用して乳化重合凝集トナー2を得た。
乳化重合凝集トナー2のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.9μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、9.7ng/ml(アセトアルデヒド)、0.07ng/ml(1−プロパナール)、1.9ng/ml(1−ブタナール)、0.9ng/ml(1−ペンタナール)、3.3ng/ml(1−ヘキサナール)、0.26ng/ml(1−ヘプタナール) 、2.3ng/ml(1−オクタナール)、0.44ng/ml(1−ノナナール)、0.16ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.51ng/ml(アセティックアシッド)、0.012ng/ml(n−プロピオニックアシッド)、0.019ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.049ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.0075ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.0057ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0083ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
臭気パネルテストの結果は点数36点で、判定は○であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
(重合体一次粒子ラテックスA3の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.5重量部、脱塩水253部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液と8%過酸化水素水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9.3部
8%アスコルビン酸水溶液 9.3部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は205nmであり、POV試験紙で呈した色は濃青色であったので過酸化物価は30より高
い値であった。
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.9重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水325部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9.3部
8%アスコルビン酸水溶液 9.3部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は268nmであり、POV試験紙で呈した色は濃青色であったので過酸化物価30より高い
値であった。
重合体一次粒子ラテックスA1の代わりに重合体一次粒子ラテックスA3を用い、重合体一次粒子ラテックスB1の代わりに重合体一次粒子ラテックスB3を用いた事以外は、実施例1と全て同じ手法及び添加剤を使用して乳化重合凝集トナー3を得た。
乳化重合凝集トナー3のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.9μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、8.7ng/ml(アセトアルデヒド)、0.051ng/ml(1−プロパナール)、1.5ng/ml(1−ブタナール)、1.1ng/ml(1−ペンタナール)、3.8ng/ml(1−ヘキサナール)、0.33ng/ml(1−ヘプタナール) 、3.9ng/ml(1−オクタナール)、0.67ng/ml(1−ノナナー
ル)、0.24ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.
68ng/ml(アセティックアシッド)、0.013ng/ml(n−プロピオニックア
シッド)、0.023ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.070ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.011ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.
010ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0080ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
臭気パネルテストの結果は点数19点で、判定は×であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
実施例1、2及び比較例1の評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- ガスクロマトグラフィーで測定したトナー中の脂肪族アルデヒドの内、1−オクタナールの臭気指標値が280以下であり、かつ結着樹脂がスチレン系樹脂であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- トナー中の1−オクタナールの含有量がガスクロマトグラフィーで測定して3.0ng/ml・Headspace in vial以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 乳化重合凝集法にて製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合工程、凝集工程、熟成工程を経て得られる乳化重合凝集トナーであって、凝集工程前の乳化重合ラテックスの過酸化物価が30以下のラテックスであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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