JP4572806B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の複写機及びプリンターに用いられる静電荷像現像用トナーに関する。さらに詳しくは、臭気の改善された乳化重合凝集トナーに関する。
電子写真技術は、即時性、画像の高品質性などの点から、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われている。電子写真方式による可視画像の形成は、一般に、先ずドラムやベルト状等の感光体上に静電潜像を形成させ、次いでこれをトナーにより現像した後、転写紙等の転写体に転写させ、定着ローラーによる加熱等によってトナーを転写体に定着させることによりなされる。
複写機やプリンター等に要求される性能は種々あるが、これら現像装置から発する臭気の問題は、複数の現像装置が常時稼動状態にある現在のオフィス環境においては従来にも増して深刻になっている。現像装置から発する臭気要因の一つとしては、トナーに起因する臭気が挙げられ、特に前述の加熱定着時などに臭気が発せられると考えられている。
トナーの臭気を低減するために、従来より種々の検討が行われており、例えば、溶融混練粉砕法でトナーを製造するに際し、混練時に低揮発性成分を脱気する方法や、残留モノマー、残存溶媒、或いはベンズアルデヒドに着目し、それらのトナー中の重量分率を低減する方法等で対処してきた(特許文献1参照)。また、水中でトナー粒子を造粒する懸濁重合法や乳化重合凝集法においては、重合時のモノマー添加率を高めて残留モノマーを低減したり、乾燥時に脱気する等の方法が取られ、例えば、懸濁重合法によりトナーを製造する場合、(1)重合転化率が95%以上に達した時点で重合性単量体の消費を促進する方法、(2)トナー粒子から有機溶剤、重合性単量体又はそれらの混合物を除去する方法が知られている(特許文献2参照)。
特開平3−101746号公報 特開平5−197193号公報
一方で、近年の複写機の高速化に伴って、高速で定着させるべく定着部の高温下が行われている。一般に、高温で定着させると、定着部材へトナーが付着する現象(高温オフセット)が発生する。高温オフセットを防止するためには、通常、トナーの主成分である樹脂の分子量を高分子化させる技術が採用されている(特許文献3参照)。高分子量成分を増加させる方法としては、例えば、低温で重合する方法が知られている。
特開昭63−115435号公報
しかしながら、前述の何れの方法によっても、確かに総量としての臭気は低減されるものの、人が悪臭と知覚する臭気に関しては未だ満足いくレベルには改善されていないのが現状である。さらに、高温下での定着特性を求めた場合、例えば、上記低温で重合する方法を採用した場合、重合速度が遅いために残存するモノマー量が増加し、かかるモノマーが臭気原因となってオフィス環境を悪化させていた。
すなわち、如何にすれば、高温下での定着特性に優れ、且つ、人が悪臭と感ずるような臭気を発しない静電荷像乳化重合凝集トナーが得られるかは、従来明らかでなかった。
例えば、懸濁重合法の上記(1)の方法を乳化重合凝集トナーの製造方法として採用する場合、重合転化率を高めるために高温条件下で重合させた場合、高分子量成分を得ることが難しく、高温オフセットが発生したり、モノマー由来以外の臭気成分を除去することは不可能であった。また、上記(2)の方法を採用する場合、最終的に得られるトナー粒径は約6〜10μmと大きいため、脱気により臭気成分を低減させたとしてもトナー粒子内部に存在する臭気成分の除去に限界があった。
本発明は、従来技術に鑑みてなされたものであって、従って、本発明は、他の諸特性を悪化させることなく、高温下でも定着性に優れ、且つ、人が悪臭と感ずるような臭気を発しない静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、トナー中に含まれる臭気閾値の低い特定の揮発性成分の濃度をその閾値で除したものの合計値としての臭気指標値を下げ、かつ、トナー中に架橋成分を含有させることにより、初めて、人が臭気を感じなくなるという知見により、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の要旨は、ガスクロマトグラフィーで測定したトナー中の脂肪族アルデヒドの含有量と該脂肪族アルデヒドの臭気閾値から算出される臭気指標値が300以下であり、かつ、架橋成分を含有し及び重合法、特に乳化重合凝集法にて製造されたことを特徴とする静電荷像現像用トナー、に存する。
本発明によれば、他の諸特性を悪化させることなく、高温下でも定着性に優れ、且つ、人が悪臭と感ずるような臭気を発しない静電荷像現像用トナーを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
本発明者らは、人が臭気を感じる物質を効果的に削減した時にのみ臭気を抑制できることを見出した。すなわち、同じ分量であっても人が臭気を感じる物質とそうでない物質が存在し、臭気を感じる程度の低い物質より臭気を感じる程度の高い物質、すなわち低量であっても人が悪臭と感ずる物質を削減せねば、実質臭気は低減できないこととなる。従って、臭気を削減するには単に臭気物質の濃度のみを一義的に削減するのみでは全く不十分であり、人の臭気を感じる指標である臭気閾値を加味する必要がある。
中でも、脂肪族アルデヒドは不快臭を発する。文献によると、例えばベンズアルデヒドの閾値は42ppbであるのに対し、1−オクタナールの閾値は0.01ppbと、実に4200倍の差を有しており、すなわち同じアルデヒドでもベンズアルデヒドを削減するよりも1−オクタナールを削減した方が、人の臭気に対する感覚としては4200倍の効果があることとなる。
例えば、従来のトナー中に含まれるベンズアルデヒドをガスクロマトグラフィーで測定すると、通常、3.5ng/ml以上存在しており、同様にして測定した1−オクタナールは3.9ng/ml以上存在している。これら揮発成分の含有量から臭気指標値を換算すると、ベンズアルデヒドの臭気指標値は0.08以上であり、1−オクタナールの臭気指標値は386以上である。すなわち、ベンズアルデヒドに比べて4825倍もの臭気を発生している1−オクタナールを取り除いた方が効果的である。また、トナー中に含まれる他の脂肪族アルデヒドについても、ベンズアルデヒドよりも臭気指標値は高い。
本発明のトナーは、ガスクロマトグラフィーで測定したトナー中の脂肪族アルデヒドの含有量と該脂肪族アルデヒドの臭気閾値から算出される臭気指標値が特定の値以下であることを特徴とするものである。
○臭気閾値
臭気閾値とは、人が臭気を感じ始める揮発性物質の濃度のことをいう。臭気閾値の低い脂肪族系の物質、特に脂肪族アルデヒドの臭気閾値を加味する必要がある。
これら人が臭気を感じ始める揮発性物質の濃度を定めているものに、「三点比較式臭袋法による臭気物質の閾値測定結果」(永田好男、竹内教文、日本環境衛生センター、1990年、No17、P.77)及び「Compilation of Odor and Taste Threshold Values Data」(F.A.Fazzalari、ASTM DATA Series DS 48A、1991)があり、本発明に係る臭気閾値には、こ
れらの値、若しくは、これらの文献に記載の方法に従って定められる値を用いる。
○脂肪族アルデヒド
本発明における規定の値より少なくしようとする目的の脂肪族アルデヒドとは、脂肪族炭化水素の水素原子をアルデヒド基で置換した形の化合物で、分子中のアルデヒド基の数が1乃至4、かつ、炭素数1乃至10のものをいう。また、該脂肪族アルデヒドは飽和でも不飽和でもかまわないが、特に飽和のものをいう。また、直鎖構造でも環状構造でもかまわないが、特に直鎖構造のものをいう。
これらの中でも、トナーの臭気を低減させるには臭気閾値の低い次に示す脂肪族アルデヒドである1−ブタナール(閾値0.67ppb)、1−ペンタナール(閾値0.41ppb)、1−ヘキサナール(閾値0.28ppb)、1−ヘプタナール(閾値0.18ppb)、1−オクタナール(閾値0.01ppb)、1−ノナナール(閾値0.34ppb)の6種である。
○脂肪族酸
更には、本発明において脂肪族酸由来の臭気も低減したほうが好ましい。かかる脂肪族酸とは、脂肪族炭化水素の水素原子をカルボキシル基で置換した形の化合物で、分子中のカルボキシル基の数が1乃至4、かつ、炭素数1乃至9のものをいう。また、該脂肪族酸は飽和でも不飽和でもかまわないが、特に飽和のものをいう。また、直鎖構造でも環状構造でもかまわないが、特に直鎖構造のものをいう。
これらの中でも、トナーの臭気を低減させるには臭気閾値の低い次に示す脂肪族酸であるn−ブチリックアシッド(閾値0.19ppb)、n−ペンタノイックアシッド(閾値0.037ppb)、n-ヘキサノイックアシッド(閾値0.6ppb)n−ヘプタノイックアシッド(閾値0.21ppb)の4種である。また、特に閾値の低いn−ペンタノイックアシッド(閾値0.037ppb)の削減については最も注意を要する。
○ガスクロマトグラフィー法
本発明でいう臭気指標値とは次の測定法により導出される。すなわち、試料の調製として、乳化重合凝集トナーを用紙(紀州製紙社製、FCドリーム紙)上に0.5mg/cmの重量となる様にベタ印字サンプルを現像し、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させる。この直後のベタ印字サンプルを短冊状に切り、20ml容ヘッドスペースバイアルに乳化重合凝集トナー量として0.100gとなるようにサンプルを秤量して入れ(サンプルとしては1.6〜1.7g)、バイアルをキャップして密栓しヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定にて上述の各成分の濃度を測定する。
(HS)SPME-GC/MS測定法は、前述の様に20ml容ヘッドスペースバイアルに乳化重合凝集トナー量として0.100g入れたバイアルを35℃のオーブンに入れ、SPMEファイバー(SPELCO社製、75μm Carboxen/Polydimethylsiloxane)を挿入し、試料から発生した揮発成分を2時間ファイバーに吸着させ、その後ファイバーはGC(Hewlett-Packard GasChromatograph HP6890)の注入口の温度で熱脱着させる。(GC Injection port 250℃、脱着時間8分)。この脱着によって揮発した成分を、一旦GCカラムの先端を-150℃に冷却することにより捕集した後、捕集部分を急速に加熱することにより揮発成分をGC/MS(Hewlett-Packard Mass Sensitive Detector 5973)に導入して、脂肪族アルデヒド及
び脂肪族酸の定量を行う。詳細なGC測定条件は、次の様である。カラムはHP-INNOWAX (Polyethylene Glycol)であり、注入モードはスプリットレスであり、注入口温度は250℃で、カラム温度は40℃×15min → 5℃/min → 250℃×15minである。また詳細なMS(質量分析)測定条件はソース温度230℃、クアッド温度150℃、捕捉モードはSCAN(1.95 Scan/sec)、Scan Mass Range 14〜400amuである。
上記の方法により得られた面積比を重量比に換算する手法としては、次の様に各成分の検量線を用いて算出する。
脂肪族アルデヒドは約100μg/mlまで、脂肪族酸は約500μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を段階的に調製し、この溶液の1μLを試料と同様にバイアルに取り、試料と同様の条件でHS/SPME-GC/MS測定を行い、上記のヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定によって得られた、揮発成分のマススペクトルとピーク面積及び検量線測定から、定着後のトナー中に存在している臭気物質の特定とその発生量を定量する。
更に各物質の得られた発生量(ng)を、ヘッドスペースバイアルの体積(20ml)で除して揮発成分の濃度を算出する。
本発明では、トナー中の1−オクタナールの含有量は、ガスクロマトグラフィーで測定して3.0ng/ml・Headspace in vial以下とすることができる。
○臭気指標値
臭気指標値とは、前記ガスクロマトグラフィー法で測定したトナー中の特定成分のそれぞれの含有量を該特定成分のそれぞれの臭気閾値で除した値の総和をいう。そして、この臭気指標値が低いものに限り臭気を改善できる。
具体的には、前記ヘッドスペース法により測定された臭気物質の発生量より算出された揮発成分の濃度を各々の臭気閾値(ppm)によって除した値をオーダーユニット(OU(ng/ml/ppm))として算出する。次いで、各トナーサンプル中の臭気物質のOU値の総和を求め、それを臭気指標値とする。
本発明の乳化重合凝集トナーは、この様にして測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値が300以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。脂肪族アルデヒドの臭気指標値を前記範囲とすれば、人が不快臭を感じないものとすることができる。従来品の臭気レベルは、例えば、重合体一次粒子ラテックス中に残存する過酸化物が多かったため、ワックス等が分解し、これら分解物等が酸化することにより、通常、脂肪族アルデヒドの臭気指標値が420以上であるのが一般的であった。
また、本発明の乳化重合凝集トナーは、特に、1−オクタナールの臭気指標値が280以下、好ましくは240以下、より好ましくは90以下である。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの、ガスクロマトグラフィーで測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、10程度が下限の限界であるため、通常、下限値は10以上となる。
更に、本発明の乳化重合凝集トナーは、脂肪族酸由来の臭気も低減するのが好ましく、すなわち臭気指標値を低減するのが好ましい。具体的には、脂肪族酸の臭気指標値が好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更により好ましくは1.0以下である。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの、ガスクロマトグラフィーで測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、0.01程度が下限の限界であるため、通常、下限値は0.01以上となる。
本発明において、乳化重合凝集トナーの脂肪族アルデヒドの臭気指標値を前記範囲とするための方法は限定されないが、後述するトナー製造における重合時に過酸化物を低減する方法のほか、脱気等の方法を最適化することによって達成することができる。
例えば、過酸化物の使用量としては、通常、重合体一次粒子ラテックスの過酸化物価を30以下、より好ましくは10以下とするように過酸化物の使用量等を調節する。ここで過酸化物価とは、SIBAT社製のPOV試験紙(過酸化物価試験紙)をラテックスに10秒間浸した後に試験紙が呈した色と、SIBAT社製のPOV試験紙付属の色と過酸化物価の対比サンプルとを比較し過酸化物価を同定するものである。すなわちピンク色を呈したものは過酸化物価は10以下であるとし、薄紫色を呈したものは過酸化物価は10より高く30以下であるとし、濃青色を呈したものは過酸化物価30より高い値である。
乳化重合ラテックスの過酸化物価を前記範囲とすれば、人が不快と感じる臭気や刺激臭を感ずる臭気を軽減することができる。この原因は明確でないが、過酸化物の残留を抑えることで脂肪族アルデヒドなど臭気の強い物質の発生を抑制することができることによると考えられる。
なお、本発明の乳化重合凝集トナーの製造方法において、乳化重合ラテックスの過酸化物価の下限値は限定されないが、0であることが最も好ましい。ただし、工業的な見地では、1程度が下限の限界であるため、通常、下限値は1以上となる。
本発明の製造方法において、過酸化物価を前記範囲とするための方法は限定されないが、レドックス系開始剤を用いる場合、酸化剤を低減させ及びまたは還元剤を増量させる方法のほか、モノマーの重合後に重合禁止剤を添加し過酸化物を反応させる、モノマーの重合時に半減期温度の低い開始剤を用いる、重合終了後に長時間高温で放置し過酸化物を低減する、重合終了後に温度を上げて過酸化物を低減する等の方法によって達成することができる。
本発明の乳化重合凝集トナーは、架橋成分を含有する結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、ワックス、帯電制御剤、その他の添加剤、外添剤等を含むことが出来る。
○結着樹脂
本発明においてトナーに用いられる結着樹脂は従来公知のものを含む広い範囲から選択できる。例えば、スチレン系樹脂、飽和もしくは不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、上記結着樹脂は単独で使用するに限らず2種以上併用することもできる。本発明に用いるのに特に好ましい樹脂としては、スチレン系樹脂およびポリエステル系樹脂が挙げられ、特にスチレン系樹脂が好ましい。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレンまたはスチレン誘導体を含む単独重合体または共重合体が挙げられ、これらの混合物であってもよい。なお、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルにおけるエステル基は限定されないが、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、オクチルエステル、フェニルエステル等、炭素数1〜8の炭化水素エステル等が挙げられる。さらには、前記アクリル酸、メタクリル酸の一部または全てを、α−クロルアクリル酸、α−ブロムアクリル酸等の置換モノカルボン酸類、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸類、それらの無水物又はそれらのハーフエステル類等で置換したものも好適に用いることができる。
中でも、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体の中から選ばれる少なくとも1種の結着樹脂であるのが、トナーの定着性や耐久性の面で優れ、しかもトナーの帯電安定性(特に負帯電性)が向上するのでより好ましい。
結着樹脂の軟化点(以下Spと記載)は、通常150℃以下、好ましくは140℃以下であることが低エネルギー定着のためには好ましい。また、該Spは、80℃以上、好ましくは100℃以上であることが耐高温オフセット性、耐久性の点で好ましい。ここで該Spは、フローテスター(島津製作所社製CFT−500)において、試料1.0gをノズル1mm×10mm、荷重30kg、予熱時間50℃で5分、昇温速度3℃/分の条件下で測定を行ったときの、フロー開始から終了までのストランドの中間点での温度として求めることができる。
また、結着樹脂のガラス転移点(以下Tgと記載)は、通常80℃以下、好ましくは70℃以下であることが低エネルギー定着のためには好ましい。また、該Tgは、40℃以上、好ましくは50℃以上であることが耐ブロッキング性の点で好ましい。ここで該Tgは、示差走査熱量計(島津製作所社製DTA−40)において、昇温速度10℃/分の条件で測定した曲線の転移(変曲)開始部に接線を引き、2つの接線の交点の温度として求めることができる。
本発明における結着樹脂のSp、Tgは、樹脂の種類およびモノマー組成比、分子量等を調整することによって前記範囲とすることができ、また、市販の樹脂の中から前記範囲のものを適宜選択して使用することが出来る。
結着樹脂として前記のスチレン系樹脂を用いる場合、該結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)における数平均分子量が、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、さらに好ましくは3.5万以下であることが望ましい。また、該結着樹脂は、同様にして求めた重量平均分子量が、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、さらに好ましくは20万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは50万以下であることが望ましい。スチレン系樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため望ましい。ここで、GPCによる平均分子量の値は、単分散ポリスチレン標準試料に換算した値とする。
本発明の乳化重合凝集トナーにおいて必須の成分である架橋成分としては、架橋性モノマーを使用することで調製することが出来る。架橋性モノマーとしては、特に限定されないが、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
このような、架橋性モノマーの配合率は、結着樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.3〜5重量部、特に好ましくは0.8〜3重量部である。このように架橋性モノマーを使用することにより、得られるトナーを用いて画像形成した場合に、高温オフセットが良好となる。
○着色剤
本発明のトナーに用いる着色剤は無機顔料または有機顔料、有機染料のいずれでもよく、またはこれらの組み合わせでもよい。これらの具体的な例としては、鉄粉、銅粉等の金属粉、ベンガラ等の金属酸化物、ファーネスブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジ等のアゾ系、キノリンイエロー、アシッドグリーン、アルカリブルー等の染料の沈殿剤による沈殿物やローダミン、マゼンタ、マカライトグリーン等の染料のタンニン酸、リンモリブデン酸等による沈殿物等の酸性染料や塩基性染料、ヒドロキシアントラキノン類の金属塩等の媒染染料、フタロシアニンブルー、スルホン酸銅フタロシアニン等のフタロシアニン系、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット等のキナクリドン系やジオキサン系等の有機系顔料、アニリン黒、アゾ染料、ナフトキノン染料、インジゴ染料、ニグロシン染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、ジ及びトリアリルメタン染料等の合成染料などが挙げられ、これらの2種以上を併用することもできる。
イエロー着色剤としては、具体的には、C.I.ピグメントイエロー3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199等の顔料、C.I.solventYellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.disperse Yellow42、64、201、211等の染料が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、255、269、C.I.ピグメントバイオレッド19等が挙げられる。
シアン着色剤としては、具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が挙げられる。
本発明のトナーをフルカラー用に用いる場合は、トナーに用いる着色剤は、イエロー用としてベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料等が、マゼンタ用としてキナクリドン、モノアゾ系染顔料等が、シアン用としてフタロシアニンブルー等が、それぞれ好ましい。着色剤の組合せは色相等を勘案して適宜選べばよいが、これらの内、イエロー着色剤としてはC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93が、マゼンタ着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド122が、シアン着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3が、好ましく用いられる。
前記着色剤の含有割合は、得られるトナーが現像により可視像を形成するのに十分な量であればよく、例えば、トナー中に1〜25重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは3〜12重量部である。
また、前記着色剤は磁性を有していてもよく、磁性着色剤としては、プリンター、複写機等の使用環境温度である0〜60℃付近においてフェリ磁性或いはフェロ磁性を示す強磁性物質、具体的には、例えば、マグネタイト(Fe3 4 )、マグヘマタイト(γ−Fe2 3 )、マグネタイトとマグヘマタイトの中間物や混合物、Mx Fe3-x 4 ;式中、xは1または2であり、MはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等のスピネルフェライト、BaO・6Fe2 3 、SrO・6Fe2 3 等の6方晶フェライト、Y3 Fe5 12、Sm3 Fe5 12等のガーネット型酸化物、CrO等のルチル型
酸化物、及び、Cr、Mn、Fe、Co、Ni等の金属或いはそれらの強磁性合金等のうち0〜60℃付近において磁性を示すものが挙げられ、中でも、マグネタイト、マグヘマタイト、またはマグネタイトとマグヘマタイトの中間体が好ましい。非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止や帯電制御等の観点で含有する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%である。また、磁性トナーとして使用する場合は、トナー中の前記磁性粉の含有量は、通常15重量%以上、好ましくは20重量%以上であり、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下であることが望ましい。磁性粉の含有量が前記範囲未満であると、磁性トナーとして必要な磁力が得られない場合があり、前記範囲超過では、定着性不良の原因となる場合がある。
本発明においてトナーに導電性を付与する場合は、前記着色剤成分としての導電性カーボンブラックや、その他の導電性物質を添加すればよい。導電性物質の含有量は、トナー中に0.05〜5重量%程度が好ましい。
○帯電制御剤
本発明のトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を添加してもよい。正荷電性帯電制御剤として、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂など、負荷電性帯電制御剤としては、Cr,Co,Al,Fe,B等の原子を含有するアゾ錯化合物染料やサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸錯化合物、カーリックスアレン化合物、ベンジル酸の金属塩もしくは金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒドロキシナフタレン化合物などが挙げられる。
本発明のトナーをフルカラー用に用いる場合は、トナーとしての色調障害を回避するために帯電制御剤の色調は無色ないしは淡色のものを選択する必要があり、その用途のためには上記のうちでも正荷電性帯電制御剤としては第4級アンモニウム塩化合物、イミダゾール系化合物であるのが好ましく、負荷電性帯電制御剤としてはCr,Co,Al,Fe,B,Zn等の原子を含有するサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸錯化合物、カーリックスアレン化合物であるのが好ましい。また、これらの混合物であってもよい。帯電制御剤の添加量はトナー中に、0.01〜5重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.05〜3重量部、特に好ましくは0.1〜2重量部である。
○ワックス
本発明のトナーには、ワックスを用いることができる。ワックスとしてはトナーに適した公知の種々のものが使用できるが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;シリコーン系ワックス;ステアリン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、または部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。これらワックスは2種以上を用いることもできる。
ワックスの添加量は、トナー中に1〜30重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは2〜20重量部、特に好ましくは4〜15重量部である。ワックスの含有量が前記範囲未満である場合は、低温定着性、高温オフセット性、耐ブロッキング性等の性能が充分でない場合があり、前記範囲超過である場合は、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染する場合がある。トナー中に前記範囲の含有量でワックスを含有させるための方法としては、トナーを後述する重合法、好ましくは乳化重合凝集法により製造することが望ましい。
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスが融点をもつことが好ましい。ワックスの融点は40℃以上が好ましく、50℃以上が更に好ましく、60℃以上が特に好ましい。また、120℃以下が好ましく、110℃以下が更に好ましく、100℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出しべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る傾向にある。
ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスや共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックスやパラフィンワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては具体的には例えば、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好まく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。更にシリーコン系ワックスも好ましく、中でもアルキル基により変性されたアルキル変性シリーコンワックスが更に好ましい。
更に、本発明のトナーには、トナーの粘着性、凝集性、流動性、帯電性、表面抵抗等の改質のために、トナー中に公知の各種内添剤、例えば、シリコーンオイル、シリコーンワニス、フッ素系オイル等を含有していてもよい。
○製造方法
以下に、本発明の乳化重合凝集トナーの製造方法について、詳細に説明する。
本発明の乳化重合凝集トナーを製造する方法としては、従来の溶融混練粉砕法でもよく、また重合法に代表される湿式法でもよいが、定着助剤の分散性の観点から湿式法で製造することが望ましい。
次に、本発明の最も好ましいトナーの製造法である乳化重合凝集法について詳細に説明する。
乳化重合凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、混合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。
すなわち、乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等の各粒子の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて体積平均粒径3〜8μm程度の粒子凝集体とし、必要に応じて、これに樹脂微粒子等を付着させ、必要に応じて、粒子凝集体あるいは樹脂微粒子が付着した粒子凝集体を融着させ、こうして得られたトナー粒子を洗浄、乾燥して製品のトナー粒子を得る。
上記乳化重合に用いる乳化剤としては公知のものが使用でき、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤の中から選ばれる少なくとも1種の乳化剤を用いることができる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、等があげられる。
また、アニオン界面活性剤の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、等があげられる。
さらに、ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖、等があげられる。
これらの界面活性剤の内、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜10重量部とされ、また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
○重合体一次粒子ラテックス
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子としては、好ましくはガラス転移温度(Tg)が40〜80℃であり、平均粒径は通常0.02〜3μmのものである。この重合体一次粒子は、モノマーを乳化重合することにより得られる。
その作成方法は特に限定を受けないが、好ましくはワックス微粒子をシードとしてモノマー混合物をシード乳化重合することによって得られるものが好適である。
乳化重合をするに当たっては、ブレンステッド酸性基(以下、単に酸性基と称することがある)を有するモノマーもしくはブレンステッド塩基性基(以下、単に塩基性基と称することがある)を有するモノマー、及び、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基をいずれも有さないモノマー(以下、その他のモノマーと称することがある)とを併用することが好ましく、これらモノマーを逐次、添加する事により重合を進行させる。この際、モノマー同士は別々に加えてもよいし、予め複数のモノマー混合しておいて添加してもよい。更に、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。また、モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤などと混合、調製した乳化液として添加することもできる。乳化剤としては、前記の界面活性剤から1種又は2種以上の併用系が選択される。
本発明で用いられるブレンステッド酸性基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、等のカルボキシル基を有するモノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有するモノマー等があげられる。
また、ブレンステッド塩基性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、等が挙げられる。
また、これら酸性基を有するモノマー及び塩基性基を有するモノマーは、それぞれ対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
このような、ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの重合体一次粒子を構成するモノマー混合物中の配合率は、結着樹脂100重量部に対し好ましくは0〜10重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0〜3重量部、特に好ましくは0〜1.5重量部である。ブレンステッド酸性基又はブレンステッド塩基性基を有するモノマーの内では、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン等を挙げることができる。を挙げることができる。この中で、特にスチレン、ブチルアクリレート、等が特に好ましい。
乳化重合凝集法でトナーを製造する場合には、少なくともスチレンを共重合成分とし、これに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル等の少なくともいずれかを共重合成分として用いるのが特に好ましい。
更に、重合体一次粒子に架橋樹脂を用いる場合、上述のモノマーと共用される架橋剤としては、ラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられ、例えばジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有するモノマー、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることが可能である。好ましくはラジカル重合性の二官能性モノマーが好ましく、更に、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
このような、多官能性モノマーのモノマー混合物中の配合率は、結着樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量部、特に好ましくは0.2〜3重量部である。このように多官能性モノマーを使用することにより、得られるトナーを用いて画像形成した場合に、高温オフセットが良好となる場合がある。
これらのモノマーは単独、または混合して用いられるが、その際、得られる重合体のガラス転移温度が40〜80℃となるようにすることが好ましい。ガラス転移温度が80℃を越えると定着温度が高くなり過ぎたり、フルカラー等における透明性の悪化が問題となることがあり、一方重合体のガラス転移温度が40℃未満の場合は、トナーの保存安定性が悪くなる場合がある。更に好ましいガラス転移温度は50〜70℃であり、特に好ましいガラス転移温度は55〜65℃である。
○重合開始剤
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤;4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド等の水溶性重合開始剤及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2
,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物
;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤などの有機過酸化物類等の一種或いは二種以上が、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜3重量部の量で用いられる。中でも、開始剤としては過酸化水素、有機過酸化物類、アゾ系化合物類が好ましい。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
また、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の一種或いは二種以上の懸濁安定剤を、重合性単量体100重量部に対して通常1〜10重量部の量で用いてもよい。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、モノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t―ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン、等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、全モノマーに対して通常5重量%以下の範囲で用いられる。
乳化重合は、上記のモノマー類を水と混合し、重合開始剤の存在下、重合するが、重合温度は通常40〜150℃、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは60〜100℃である。
尚、乳化重合における前記重合性モノマーの反応系への添加は、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよいが、反応制御の点からは連続添加によるのが好ましい。また、複数のモノマーを使用する場合における各モノマーの添加は、別々に加えても、予め複数のモノマーを混合して同時に添加してもよい。更に、モノマー添加途中でモノマー組成を変化させることも可能である。また、前記乳化剤の反応系への添加についても、一括添加、連続添加、間欠添加のいずれであってもよい。また、反応系には、前記乳化剤、前記重合開始剤の他に、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
こうして得られた重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm〜3μmの範囲であり、好ましくは0.02μm〜3μm、更に好ましくは0.05μm〜3μmであり、特に好ましくは0.1μm〜1.5μmである。なお、平均粒径は、例えばUPAを用いて測定することができる。粒径が0.02μm より小さくなると凝集速度の制御が困難となる傾向にあり好ましくない。また、3μmより大きいと凝集して得られるトナー粒径が大きくなりやすく、3〜8μmのトナーを製造するには不適当である。なお、体積平均粒径は、例えば日機装社製マイクロトラックUPAを用いて測定することができる。
乳化重合では、上記のモノマー類を重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは70〜90℃である。
本発明における重合体一次粒子は、前記の通り得られた異なる重合体一次粒子を複数併用することもできる。また、本発明の製造方法においては、乳化重合と異なる重合方法で得られた樹脂を重合体一次粒子として併用することもでき、そのような樹脂についても、体積平均粒径が、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であるものを用いることが望ましい。
乳化重合凝集法では、重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子を混合し、混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とするが、着色剤は、乳化剤(前述の界面活性剤)の存在下で水中に乳化させエマルションの状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径としては、0.01〜3μmが好ましく、更に好ましくは0.05μm〜3μmであり、特に好ましくは0.1μm〜3.0μmである。
着色剤の使用量は、通常、重合体一次粒子100重量部に対して1〜25重量部、好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは3〜12重量部である。
乳化重合凝集法において、ワックスは、予め乳化剤(前記界面活性剤)の存在下に分散してエマルジョン化したワックス微粒子分散液としたものを用いるのが好ましい。
ワックスは、凝集工程に存在させるが、これには、ワックス微粒子分散液を重合体一次粒子及び着色剤粒子と共凝集させる場合と、ワックス微粒子分散液の存在化にモノマーをシード乳化重合させてワックスを内包した重合体一次粒子を作成し、これと着色剤粒子を凝集させる場合とがある。
このうち、ワックスをトナー中に均一に分散させるには、ワックス微粒子分散液を上記の重合体一次粒子の作成時、すなわちモノマーの重合時に存在させるのが好ましい。
ワックス微粒子の平均粒径は、0.01μm〜3μmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2μm、特に0.1〜1.5μmのものが好適に用いられる。なお、平均粒径は、例えばホリバ社製LA−500を用いて測定することができる。ワックスエマルジョンの平均粒径が3μmよりも大きい場合には凝集時の粒径制御が困難となる傾向にある。また、エマルジョンの平均粒径が0.01μmよりも小さい場合には、分散液を作製するのが困難な傾向にある。
乳化重合凝集法において荷電制御剤を含有させる方法として、重合体一次粒子を得る際に、荷電制御剤をワックスと同時にシードとして用いたり、荷電制御剤をモノマー又はワックスに溶解又は分散させて用いたり、重合体一次粒子及び着色剤と同時に荷電制御剤一次粒子を凝集させて粒子凝集体を形成したり、重合体一次粒子及び着色剤を凝集させて、ほぼトナーとして適当な粒径となった後に、荷電制御剤一次粒子を加えて凝集させることもできる。
この場合荷電制御剤も乳化剤(前述の界面活性剤)を用いて水中で分散し、平均粒径0.01〜3μmのエマルション(荷電制御剤一次粒子)として使用することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜3μm、特に0.1〜3.0μmのものが好適に用いられる。
○混合工程
本発明の製造法の凝集工程においては、上述の、重合体一次粒子ラテックス、着色剤粒子、必要に応じて荷電制御剤、ワックスなどの配合成分の粒子は、同時にあるいは逐次に混合して分散するが、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子ラテックス、着色剤粒子分散液、必要に応じ荷電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して混合分散液を得ることが好ましい。
また、ワックスは、重合体一次粒子に内包化されたもの、すなわち、ワックスをシードとして乳化重合した重合体一次粒子を用いることにより、トナーに含有させることが好ましく、この場合は、重合体一次粒子に内包化されたワックスと、内包化されていないワックス微粒子を併用して用いることができるが、更に好ましくは、実質的に全量のワックスを重合体一次粒子に内包化された形で用いるものである。
○凝集工程
上記の各粒子の混合分散液を凝集工程で凝集して粒子凝集体を作成するが、この凝集工程においては、1)加熱して凝集を行う方法、2)電解質を加えて凝集を行う方法、3)pHを調整して行う方法などがある。
加熱して凝集を行う場合に、凝集温度としては具体的には、40℃〜Tg+10℃の温度範囲(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)であり、Tg−10℃〜Tg+5℃の範囲が好ましく、更に好ましい範囲はTg−10℃〜Tgの範囲である。上記温度範囲であれば、電解質を用いることなく好ましいトナー粒径に凝集させることができる。
また、加熱して凝集を行う場合、凝集工程に引き続いて熟成工程を行う場合には、凝集工程と熟成工程が連続的に行われ、その境界は曖昧となる場合があるが、Tg−20℃〜Tgの温度範囲に少なくとも30分間保持する工程があれば、これを凝集工程とみなす。
凝集温度は所定の温度で少なくとも30分保持することにより所望の粒径のトナー粒子とすることが好ましい。所定の温度までは一定速度で昇温してもよいし、ステップワイズに昇温してもよい。保持時間は、Tg−20℃〜Tgの範囲で30分以上8時間以下が好ましく、1時間以上4時間以下が更に好ましい。このようにすることによって、小粒径であり、粒度分布のシャープなトナーを得ることが出来る。
また、混合分散液に電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機の塩、無機塩のいずれでもよいが、好ましくは1価あるいは2価以上の多価の金属塩が好ましく用いられる。具体的には、NaCl、KCl、LiCl、NaSO、KSO、LiSO、MgCl、CaCl、MgSO、CaSO、ZnSO、Al(SO、Fe(SO、CHCOONa、CSONa等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
電解質の添加量は、電解質の種類によっても異なるが、通常は混合分散液の固形成分100重量部に対して、0.05〜25重量部が用いられる。好ましくは0.05〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。
電解質添加量が上記範囲より著しく少ない場合には、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が3μm以下となるなどの問題を生じる傾向にある。また、電解質添加量が上記範囲より著しく多い場合には、急速で制御の困難な凝集となりやすく、得られた粒子凝集体の中に25μm以上の粗粉が混じったり、凝集体の形状がいびつで不定形の物になるなどの問題を生じる傾向にある。
また、混合分散液に電解質を加えて凝集を行う場合には、凝集温度は5℃〜Tgの温度範囲が好ましい。
○その他の配合成分
本発明においては、上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー粒子を形成することが好ましい。
なお、上述した荷電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に荷電制御剤を加えた後、樹脂微粒子を加えてもよい。
樹脂微粒子としては、好ましくは体積平均粒径が0.02〜3μm、更に好ましくは0.05〜1.5μm、特に好ましくは0.05〜1.0μmであって、前述の重合体一次粒子に用いられるモノマーと同様なモノマーを重合して得られたもの等を用いることができる。またこの微粒子内には、例えばこの樹脂微粒子を製造する際にシード重合等の方法にてワックスを含んでいてもよく、ワックス以外にも表面性を改質する目的で様々な物質を含むことができる。粒子凝集体に樹脂微粒子を被覆してトナーを形成する場合、樹脂微粒子に用いられる樹脂は、架橋されているものが好ましい。
○熟成工程
乳化重合/凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体(トナー粒子)の安定性を増すためにTg+20℃〜Tg+80℃(但し、Tgは重合体一次粒子のガラス転移温度)の範囲で凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましく、Tg+20℃〜Tg+70℃の範囲が更に好ましくTg+20℃〜Tg+60℃の範囲が特に好ましい。また、この熟成工程では上記の温度範囲に1時間以上保持するのが好ましい。熟成工程を加えることにより、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることができ、形状制御も可能になる。この熟成工程は、好ましくは通常0.1時間から10時間であり、更に好ましくは0.1時間から5時間であり、更に好ましくは0.1時間から3時間である。
熟成工程前の粒子凝集体は、一次粒子の静電的あるいはその他の物理凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は、互いに融着しており、好ましくはほぼ球形となっている。なお、この様なトナーの製造方法によれば、一次粒子が凝集した状態の葡萄型、融着が半ばまで進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状(円形度)のトナーを製造することができる。なお、前記のように多段階で凝集する場合には、熟成工程を経た後に再度凝集工程を行うこともできる。この場合も、再度熟成工程を経ることが好ましい。
○洗浄・乾燥工程
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて、洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー粒子を得ることができる。
このようにして、体積平均粒径が3〜8μmと比較的小粒径のトナーを製造することができる。しかもこうして得られたトナーは、粒度分布がシャープで、高画質及び高速化を達成するための乳化重合凝集トナーとして適したものである。ここで、トナー母粒子の粒径はマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定した値とする。
本発明に用いられるトナーには、流動性や現像性を制御する為に公知の外添剤を添加してもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、等の各種無機酸化粒子(必要に応じて疎水化処理する)、ビニル系重合体粒子等が使用でき、これらを組み合わせて用いることも出来る。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.05〜5重量部の範囲が好ましい。トナーに外添剤を添加する方法は限定されず、一般にトナーの製造に用いられる混合機を使用することができ、例えばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、レディゲミキサー等の混合機により均一に攪拌、混合することによりなされる。
こうして得られた本発明の乳化重合凝集トナーは、体積平均粒径(Dv)が通常3〜8μmであり、4〜8μmが好ましく、4〜7μmが更に好ましい。体積平均粒径が大き過ぎると高解像度の画像形成に適さず、小さ過ぎると粉体としての取り扱いが困難となる。
なお、トナーの粒子径を測定する方法としては、市販の粒子径測定装置を用いることができるが、典型的にはベックマン・コールター株式会社製の精密粒度分布測定装置コールター・カウンター、マルチサイザーIIが用いられる。
トナーは微細な粒子(微粉)が少ないのが好ましい。微細な粒子が少ない場合には、トナーの流動性が向上し、着色剤や帯電制御剤等均一に分布して帯電性が均一となりやすい。本発明の乳化重合凝集トナーは、フロー式粒子像分析装置による0.6μm〜2.12μmの粒子の測定値(個数)が全粒子数の15%以下であるトナーを用いるのが好ましい。これは、微細な粒子が一定量より少ないことを意味しているが、0.6μm〜2.12μmの粒子の数が10%以下であることが更に好ましく、5%以下が特に好ましい。また、該微粒子の個数に下限は特になく、全く存在しないのが最も好ましいが、製造上困難であり、0.5%程度が下限の限界であるため、通常、下限値は1%以上となる。
本発明の乳化重合凝集トナーは、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との関係が、1.0≦Dv/Dn≦1.3であるものが好ましく、1.0≦Dv/Dn≦1.2が更に好ましく、1.0≦Dv/Dn≦1.1のものが特に好ましい。また、Dv/Dnの下限値は1であるが、これは、全ての粒径が等しいことを意味する。このような粒度分布を達成するためには、乳化重合凝集法で製造することが特に好ましい。粒度分布がシャープなトナーである方が、着色剤や帯電制御剤等がより均一に分布して帯電性が均一となり、高精細な画像を形成するのに有利である。なお、個数平均粒径(Dn)の測定も、Dvと同様に行うものとする。
トナーの円形度としては、平均円形度が0.9〜1.0であるものが好ましく、更に好ましくは0.93〜0.98であり、特に好ましくは0.94〜0.98である。なお、平均円形度とは、典型的にはシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000にてトナーを測定し、式(円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長)より求められた平均円形度に相当する。円形度が前記範囲未満では、転写効率が悪くドット再現性が低下する場合があり、前記範囲超過では、感光体上に残った未転写トナーがブレードで完全に掻き取られずに画像欠陥を引き起こす場合がある。
本発明のトナーは、2成分現像剤、マグネタイト含有トナー等の磁性1成分現像剤、および非磁性1成分現像剤の何れにも適用することができる。
2成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質または、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いる事ができる。
キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用する事が好ましい。
以上のとおり、本発明の乳化重合凝集トナーは、他の諸特性を悪化させることなく、高温下でも定着性に優れ、且つ、人が悪臭と感ずるような臭気を発しないという優れた性能を有するものであり、また、本発明の乳化重合凝集トナーの製造方法は、そのようなトナーを効率的に製造することができるものであり、産業上の利用価値は極めて大きいものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。平均粒径、平均円形度、過酸化物価、脂肪族アルデヒド及び脂肪族酸の臭気指標値及び臭気パネルテストは以下の方法にて実施した。
<体積平均粒径及び個数平均粒径>
着色剤分散粒子及び重合体一次粒子の平均粒径は日機装社製マイクロトラック(以下、UPAと略す。)を用いて、測定条件として温度25℃、測定時間100秒、測定回数1回
、粒子屈折率1.59、透過性を透過、形状を真球形、密度1.04に設定し測定した。トナーの平均粒径はコールター社製コールターカウンターマルチサイザーII型(以下、コールターカウンターと略す。)によりアパーチャー径100μmを用いて測定した。
<平均円形度>
東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA-2000を用いて、標準希釈液であるセル
シースに分散し、2000〜2500個のトナーを測定し、下記式(I)より求められた値の平均円形度を用いた。
平均円形度=粒子投影面積と同じ面積の円の周長/粒子投影像の周長 (I)
<過酸化物価>
重合体一次粒子ラテックスの過酸化物価は次の様な手法で調べた。
SIBAT社製のPOV試験紙(過酸化物価試験紙)にラテックスを10秒間浸した後に試験紙が呈した色と、SIBAT社製のPOV試験紙付属の対比サンプルとを比較し過酸化物価(K)を下記のように同定した。
ピンク色 過酸化物価10以下 (K≦10)
薄紫色 過酸化物価は10より高く30以下 (10<K≦30)
濃青色 過酸化物価30より高い (30<K)
<脂肪族アルデヒドおよび脂肪族酸の臭気指標値の算出方法>
・試料の調整
得られたトナー母粒子100部に対して、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.04μmのシリカ微粒子0.5部と、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.012μmのシリカ微粒子2.0部とを添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌、混合し現像剤トナーを作成し、用紙(紀州製紙社製 FCドリーム紙)上に0.5mg/cm2の重量となる様に現像した。更に、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させた。このベタ印字サンプルを短冊状に切り、20ml容ヘッドスペースバイアルに乳化重合凝集トナー量として0.100gとなるようにサンプルを秤量して入れ(サンプルとしては1.6〜1.7g)、バイアルをキャップして密栓した。
・ヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定
このバイアルを35℃のオーブンに入れ、SPMEファイバー(SPELCO社製、75μm Carboxen/Polydimethylsiloxane)を挿入し、試料から発生した揮発成分を2時間ファイバーに吸着させた。この後ファイバーはGC(Hewlett-Packard GasChromatograph HP6890)の注入口の温度で熱脱着した(GC Injection port 250℃、脱着時間8分)。この脱着によって揮発した成分は、一旦GCカラムの先端を-150℃に冷却することにより捕集した後、捕集部分を急速に加熱することにより揮発成分をGC/MS(Hewlett-Packard Mass Sensitive Detector 5973)に導入して、脂肪族酸の定量を行った。(GC測定条件:カラムはHP-INNOWAX (Polyethylene Glycol)、注入モードはスプリットレス、注入口温度は250℃、カラム温度は40℃×15min → 5℃/min → 250℃×15min)(MS測定条件:ソース温度230℃、クアッド温度150℃、捕捉モードはSCAN(1.95 Scan/sec)、Scan Mass Range 14〜400amu)
・検量線
炭素数1〜10までの脂肪族アルデヒドは約100μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を
段階的に調製し、ベンズアルデヒドと炭素数1から10までの脂肪族酸は約500μg/mlまでの濃度のメタノール溶液を段階的に調製した。この溶液の1μLを試料と同様にバイアルと取り、試料と同様の条件でHS/SPME-GC/MS測定を行った。
上記のヘッドスペース(HS)SPME-GC/MS測定によって得られた、揮発成分のマススペクトルとピーク面積及び検量線測定から、定着後のトナー中に存在している臭気物質の特定とその発生量を定量した。各物質の得られた発生量(ng/ml)を、各々の臭気閾値によって除した値をオーダーユニット(OU)として算出し、各トナーサンプル中の臭気物質のOU値の総和を求め、それを臭気指標値とした。
<乳化重合トナーのDSC曲線による吸熱メインピーク>
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、温度速度10℃/minで30〜210℃に昇温させ前履歴を取った後、温度速度20℃/min、温度210〜30℃の範囲で降温させ、更に昇温時に10℃/minで30〜110℃に昇温させた時に測定させるDSC曲線を用いる。そして、吸熱メインピーク温度とは、得られたDSC曲線のピークトップ温度のことをいう。
<臭気パネルテスト>
得られた乳化重合凝集トナーを、用紙上に1.0mg/cm2の重量となる様に現像した。更に、これをロール型定着機を用いロール表面温度180℃、ニップ時間40msecになる様に調整し定着させた。定着させた直後の用紙10枚をガラス製の容器に入れ密閉し一日放置した。これを開封し10人の人間により臭気の程度を、”殆ど嫌な臭気は感じない”という程度を5点、”若干臭気を感ずるが気になる程ではない”を3点、”不快な臭気を強く感じる”を1点と判定し、下記のように評価した。
10人の合計点数が
40点以上 非常によい ◎
30点以上40点未満 よい ○
30点未満 悪い ×
<高温オフセットテスト>
A4用紙上に、得られた乳化重合凝集トナー0.06gを100cm乗せた後、140〜220℃間で、5℃の間隔で定着温度を上昇させ、各定着温度下での定着状況を目視で評価した。
オフセットなし (トナーの定着部分以外にトナー汚れなし) ○
軽いオフセットあり(トナーの定着部分以外に若干のトナー汚れあり) △
オフセットあり (トナーの定着部分以外にトナー汚れあり) ×
「実施例1」
<ワックス分散液Aの調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9、表面張力23.5mN/m、融点82℃、融解熱量220J/g、融解ピーク半値幅8.2℃、結晶化ピーク半値幅13.0℃)30部、20%アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)2.8部、脱塩水67.2部を90℃に加熱してディスパーザーで10分攪拌した。次いでこの分散液を100℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて約15MPaの加圧条件で乳化を開始し、粒度分布計で測定しながら体積平均粒径を200nmまで分散してワックス分散液Aを作製した。
<ワックス分散液Bの調製>
下記構造(1)を有するアルキル変性シリコーンワックス(表面張力27mN/m、融点63℃、融解熱量97J/g、融解ピーク半値幅10.9℃、結晶化ピーク半値幅17.0℃)27部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)0.3部、脱塩水73部を90℃に加熱してディスパーザーで10分攪拌した。次いでこの分散液を100℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて約15MPaの加圧条件で乳化を開始し、粒度分布計で測定しながら体積平均粒径を200nmまで分散してワックス分散液Bを作製した。
Figure 0004572806
(式(1)中、R=メチル基、m=10、X=Y=平均炭素数30のアルキル基である。)
<着色剤分散液の調製>
カーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部、20%アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)1部、非イオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンEA80)4部、脱塩水75部をサンドグラインダーミルで分散して黒色の着色剤分散液を得た。マイクロトラックUPAにて計測した粒子の体積平均径は150nmであった。
(重合体一次粒子ラテックスA1の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.4重量部、脱塩水256部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。乳化剤には第一工業製薬社製の20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下DBSと略す。)水溶液であるネオゲンS20Aを用いた。(以下、20%DBS水溶液と略す。)
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部

[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部

[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径は200nmであり、POV試験紙で呈した色はピンク色であり過酸化物価は10以下であっ
た。
(重合体一次粒子ラテックスB1の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.7重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水326部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は260nmであり、POV試験紙で呈した色はピンク色であり過酸化物価は10以下であっ
た。
(乳化重合凝集トナー1の製造)
重合体一次粒子ラテックスA1 95部(固形分として)
重合体一次粒子ラテックスB1 5部(固形分として)
着色剤微粒子分散液 6部(固形分として)
20%DBS水溶液 0.1部(固形分として)
上記の各成分を用いて、以下の手順によりトナーを製造した。
反応器(容積2リットル、バッフル付きダブルヘリカル翼)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、均一に混合してから着色剤微粒子分散液を添加し、均
一に混合した。得られた混合分散液を攪拌しながら第一硫酸鉄の5%水溶液をFeSO4・7H2Oとして0.52部添加し、30分混合後更に硫酸アルミニウム水溶液を滴下した(固形分として0.29部)。その後攪拌しながら45分かけて52℃に昇温して、その後95分かけて55℃まで昇温した。ここでコールターカウンターにて粒径測定を実施したところ50%体積径が6.8μmであった。その後、重合体一次粒子B1を添加し60分保持し20%DBS水溶液(固形分として8部)を添加してから30分かけて92℃に昇温して34分保持した。その後冷却し、濾過、水洗し、乾燥することによりトナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100部に対して、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.04μmのシリカ微粒子0.5部と、シリコーンオイルで疎水化処理された平均一次粒径0.012μmのシリカ微粒子2.0部とを添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌、混合して乳化重合凝集トナー1を得た。
トナー1の評価
乳化重合凝集トナー1のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.8μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、6.4ng/ml(アセトアルデヒド)、0.010ng/ml(1−プロパナール)、1.9ng/ml(1−ブタナール)、0.60ng/ml(1−ペンタナール)、1.2ng/ml(1−ヘキサナール)、0.10ng/ml(1−ヘプタナール) 、0.84ng/ml(1−オクタナール)、0.12ng/ml(1−ノナナール)、0.071ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.51ng/ml(アセティックアシッド)、0.012ng/ml(n−プロピオニックアシッド)、0.0088ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.016ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.0024ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.0013ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0018ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
また、上記脂肪族アルデヒドの臭気閾値は、それぞれ、1.5ppb(アセトアルデヒ
ド)、1.0ppb(1−プロパナール)、0.67ppb(1−ブタナール)、0.41p
pb(1−ペンタナール)、0.28ppb(1−ヘキサナール)、0.18ppb(1−ヘ
プタナール) 、0.010ppb(1−オクタナール)、0.34ppb(1−ノナナール)、0.40ppb(1−デカナール)であり、上記脂肪族酸の臭気指標値は、それぞれ、6.0ppb(アセティックアシッド)、5.7ppb(n−プロピオニックアシッド)、0.19ppb(n−ブチリックアシッド)、0.037ppb(n−ペンタノイックアシッド)、0.6ppb(n−ヘキサノイックアシッド)、0.21ppb(n−ヘプタノイックアシッド) 、5.0ppb(n−オクタノイックアシッド)である。
乳化重合凝集トナー1に含有される脂肪族アルデヒドの含有量を、これら臭気閾値で叙した値を総和し、臭気指標値を求めると98であり、1−オクタナールの臭気指標値は84であった。また、同様にして、脂肪族酸の臭気指標値を求めると0.56であった。
臭気パネルテストの結果は点数50点、判定は◎であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
「実施例2」
(重合体一次粒子ラテックスA2の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.2重量部、脱塩水262部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 4.92部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は202nmであり、POV試験紙で呈した色は薄紫色であり、過酸化物価は10より高く3
0以下であった。
(重合体一次粒子ラテックスB2の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.4重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水327部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%アスコルビン酸水溶液 4.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は263nmであり、POV試験紙で呈した色は薄紫色であり過酸化物価は10より高く30
以下であった。
(乳化重合凝集トナー2の製造)
重合体一次粒子ラテックスA1の代わりに重合体一次粒子ラテックスA2を用い、重合体一次粒子ラテックスB1の代わりに重合体一次粒子ラテックスB2を用いた事以外は、実施例1と全て同じ手法及び添加剤を使用して乳化重合凝集トナー2を得た。
トナー2の評価
乳化重合凝集トナー2のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.9μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、9.7ng/ml(アセトアルデヒド)、0.07ng/ml(1−プロパナール)、1.9ng/ml(1−ブタナール)、0.9ng/ml(1−ペンタナール)、3.3ng/ml(1−ヘキサナール)、0.26ng/ml(1−ヘプタナール) 、2.3ng/ml(1−オクタナール)、0.44ng/ml(1−ノナナール)、0.16ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.51ng/ml(アセティックアシッド)、0.012ng/ml(n−プロピオニックアシッド)、0.019ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.049ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.0075ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.0057ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0083ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値は258であり、1−オクタナールの臭気指標値は231であった。また、同様にして、脂肪族酸の臭気指標値を求めると1.5であった。
臭気パネルテストの結果は点数36点で、判定は○であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
「比較例1」
(重合体一次粒子ラテックスA3の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液A 32.5重量部、脱塩水253部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始
剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液と8%過酸化水素水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.8部
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9.3部
8%アスコルビン酸水溶液 9.3部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は205nmであり、POV試験紙で呈した色は濃青色であったので過酸化物価は30より高
い値であった。
(重合体一次粒子ラテックスB3の調製)
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた
反応器(容積60リットル、内径400mm)にワックス分散液B 23.9重量部、20%DBS水溶液1.5重量部、脱塩水325部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、8%過酸化水素水溶液3.2部、8%アスコルビン酸水溶液3.2部を添加した。
その後、下記のモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を重合開始から5時間かけて、開始剤水溶液を重合開始から5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から追加開始剤水溶液として8%アスコルビン酸水溶液と8%過酸化水素水溶液を2時間かけて添加し、更に1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 92.5部
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 1.5部
テトラクロロブロモメタン 0.6部
[乳化剤水溶液]
20%ネオゲンSC水溶液 1.5部
脱塩水 66.2部
[開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8%過酸化水素水溶液 9.3部
8%アスコルビン酸水溶液 9.3部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体分散液を得た。UPAで測定した体積平均粒子径
は268nmであり、POV試験紙で呈した色は濃青色であったので過酸化物価30より高い
値であった。
(乳化重合凝集トナー3の製造)
重合体一次粒子ラテックスA1の代わりに重合体一次粒子ラテックスA3を用い、重合体一次粒子ラテックスB1の代わりに重合体一次粒子ラテックスB3を用いた事以外は、実施例1と全て同じ手法及び添加剤を使用して乳化重合凝集トナー3を得た。
トナー3の評価
乳化重合凝集トナー3のコールターカウンターによる体積平均粒径は6.9μm、個数
平均粒径は6.2μmであり、平均円形度は0.96であった。
また、この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの含有量は、8.7ng/ml(アセトアルデヒド)、0.051ng/ml(1−プロパナール)、1.5ng/ml(1−ブタナール)、1.1ng/ml(1−ペンタナール)、3.8ng/ml(1−ヘキサナール)、0.33ng/ml(1−ヘプタナール) 、3.9ng/ml(1−オクタナール)、0.67ng/ml(1−ノナナー
ル)、0.24ng/ml(1−デカナール)であり、脂肪族アルデヒドの含有量は、0.
68ng/ml(アセティックアシッド)、0.013ng/ml(n−プロピオニックア
シッド)、0.023ng/ml(n−ブチリックアシッド)、0.070ng/ml(n−ペンタノイックアシッド)、0.011ng/ml(n−ヘキサノイックアシッド)、0.
010ng/ml(n−ヘプタノイックアシッド) 、0.0080ng/ml(n−オクタノイックアシッド)であった。
この乳化重合凝集トナーをガスクロマトグラフィーにて前述の手法を用いて測定した脂肪族アルデヒドの臭気指標値は415であり、1−オクタナールの臭気指標値は387であった。また、同様にして、脂肪族酸の臭気指標値を求めると2.2であった。
臭気パネルテストの結果は点数19点で、判定は×であった。また、高温オフセットテストの判定は○であった。
実施例1、2及び比較例1の評価結果を表1に示す。
Figure 0004572806

Claims (4)

  1. ガスクロマトグラフィーで測定したトナー中の脂肪族アルデヒドの内、1−オクタナールの臭気指標値が280以下であり、かつ結着樹脂がスチレン系樹脂であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. トナー中の1−オクタナールの含有量がガスクロマトグラフィーで測定して3.0ng/ml・Headspace in vial以下であることを特徴とする請求項に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 乳化重合凝集法にて製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 重合工程、凝集工程、熟成工程を経て得られる乳化重合凝集トナーであって、凝集工程前の乳化重合ラテックスの過酸化物価が30以下のラテックスであることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
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