JP4568174B2 - バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 - Google Patents

バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法 Download PDF

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本発明は、バイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法に関する。
生理活性物質を測定チップに固定化するための代表的な手法として、生理活性物質のアミノ基と測定チップ上のカルボキシル基とを結合させる方法(アミンカップリング法)が広く用いられている。この方法では、固定化の際に生理活性物質を、その等電点よりも低いpHを有する緩衝液に溶解する必要がある。すなわち、等電点以下のpHでは生理活性物質は+荷電となるのに対し、測定チップ上のカルボキシル基はアルカリ側からpH3.5程度の酸性域まで−荷電を持つ。それゆえ、静電引力によって生理活性物質が測定チップ上に濃縮される。この濃縮(プレコンセントレーション)を行わない場合、生理活性物質の固定量が大幅に低下するため、固定化される生理活性物質は、その等電点よりも低いpHの緩衝液に溶解する必要があることが、非特許文献1及び特許文献1に記載されている。
このことは、カルボキシル基を有する測定チップ、例えば非特許文献1に記載されているカルボキシメチルデキストランが固定された測定チップでは、カルボキシル基の酸解離定数であるpH3.5以下のpHではプレコンセントレーションが行われないため、タンパク質の固定が困難であることを意味している。
J.C.S.Chem.Commun.,1990、1526 米国特許第5,436,161号公報
そこで本発明は、このような実状に鑑みて、カルボキシル基の酸解離定数であるpH3.5以下のpHでプレコンセントレーション効果を得ることができ、さらに生理活性物質を表面に共有結合し得るバイオセンサー及び生理活性物質の固定化方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを有する表面を備えたバイオセンサーを用いることにより、カルボキシル基の酸解離定数(pKa=3.5)よりも低いpHを有する生理活性物質含有液を用いた場合においてもプレコンセントレーション(濃縮)効果を得ることができると同時に生理活性物質を表面に共有結合により固定化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面を有するバイオセンサーが提供される。
好ましくは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面は、水溶性高分子が結合している表面、疎水性高分子が結合している表面、又は自己組織化単分子膜が形成されている表面の何れかである。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ高分子を基板にコートすることにより得られる。
好ましくは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基は、ビニルスルホン基又はその前駆体、ハロトリアジン基、エポキシ基、カルボン酸活性エステル基、アルデヒド基、イソシアネート基、又はアセトアセチル基のいずれかである。
好ましくは、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基は、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はスルホン酸基である。
好ましくは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面が金属上に形成されている。
好ましくは、金属は金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、非電気化学的検出に使用される。
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、表面プラズモン共鳴分析に使用される。
本発明の別の側面によれば、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面に、生理活性物質含有液を接触させることを含む、生理活性物質の固定化方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面は、バイオセンサーの表面である。
本発明のさらに別の側面によれば、生理活性物質が共有結合により表面に結合している上記した本発明のバイオセンサーと被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法が提供される。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する。
好ましくは、生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する。
本発明のバイオセンサーによれば、カルボキシル基の酸解離定数(pKa=3.5)よりも低いpHを有する生理活性物質含有液を用いた場合においても、静電引力によって生理活性物質が測定チップ上に濃縮されるプレコンセントレーション効果を得ることができると同時に、生理活性物質をバイオセンサーの表面に共有結合により固定化することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本発明のバイオセンサーは、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面を有することを特徴とする。
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基としては、例えば、タンパク質が持つアミノ基、チオール基、水酸基またはカルボキシル基などと反応することができ、かつ下記で説明するカルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とは反応しないものであれば特に限定されない。上記反応性基の具体例としては、以下の表1に記載するものが挙げられる。
Figure 0004568174
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基としては、好ましくは、ビニルスルホン基およびその前駆体、ハロトリアジン基、エポキシ基、カルボン酸活性エステル基、アルデヒド基、イソシアネート基、アセトアセチル基のいずれかである。低pH領域における反応性の高さの観点から、より好ましくは、カルボン酸活性エステル基である。
カルボン酸活性エステルは反応性が高いため、水の存在下で徐々に加水分解が起こってしまう。それゆえ、カルボン酸活性エステルを含むモノマーを重合することでポリマーを合成することには困難が伴う。それゆえ、第一ステップとしてカルボン酸を含むポリマーを合成した後、このポリマーを表面に結合させる直前、あるいは表面に結合させた後に、カルボキシル基を活性エステルへと変換することが好ましい。
カルボキシル基を活性化するための方法は、公知の方法を利用することができる。例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法を利用でき、特願2004−238396号に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いて活性化することによりカルボン酸アミド基を形成する方法)、並びに特願2004−275012号に記載の方法(即ち、基板の表面に存在するカルボキシル基を、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物でエステルとした後に、アミンと反応させることによりカルボン酸アミド基を形成する方法)を好ましく用いることもできる。
カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基としては、硫酸エステル基、リン酸エステル基、スルホン酸基が好ましく、化学安定性の観点からスルホン酸基がより好ましい。
生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面のいずれかであることが好ましい。
自己組織化単分子膜について説明する。チオールやジスルフィド類などの硫黄化合物は金等の貴金属基板上に自発的に吸着し単分子サイズの超薄膜を与える。またその集合体は基板の結晶格子や吸着分子の分子構造に依存した配列を示すことから自己組織化膜と呼ばれている。自己組織化単分子膜としては、金表面のアルカンチオール類、ガラス表面のアルキルシラン類、シリコン表面のアルコール類等が挙げられる。アルカンチオール類の具体例としては、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチリックアシッド、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどを使用することができる。これら自己組織化単分子膜が、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基を有する化合物と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基を有する化合物から形成される場合、生理活性物質を2次元表面にプレコンセントレーションし、結合することが可能となる。
本発明で用いることができる疎水性高分子化合物は、一般的には吸水性を有しないか吸水性が低い高分子化合物であり、水への溶解度(25℃)は好ましくは10%以下であり、より好ましくは1%以下であり、最も好ましくは0.1%以下である。
疎水性高分子としては、具体的には、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。これら疎水性高分子表面に、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを導入した場合も、生理活性物質を2次元表面にプレコンセントレーションし、結合することが可能となる。
疎水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
水溶性高分子としては、デキストラン誘導体、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド誘導体、ポリメチルビニルエーテル等の合成高分子等が挙げられる。先に記載した疎水性高分子も、アニオン性基の導入率が高い場合は水溶性高分子となる。バイオセンサーへの応用との観点からは、水溶性天然高分子が好ましく、デキストラン誘導体が特に好ましい。
表面に結合された水溶性高分子は3次元ヒドロゲルを形成する。この3次元ヒドロゲルに反応性官能基が導入された場合、生理活性物質を3次元的に固定化することが可能となることが特許文献1に記載されている。3次元的な固定化は2次元表面への固定化と比較して、生理活性物質の結合量が多くなるため、バイオセンサー用途を考えた場合、極めて有利である。このような観点から本発明では、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基を併せ持つ水溶性高分子が結合した表面、すなわち生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基を併せ持つ3次元ヒドロゲルにより、生理活性物質を固定することが好ましい。
また、本発明で用いることができる疎水性高分子化合物及び水溶性高分子は、合成高分子化合物でもよいし、天然高分子又はその誘導体でもよい。
本発明に用いられる、アミノ基と共有結合し得る反応性官能基(以下、反応性官能基と記載)と、カルボン酸よりもpKaの低いアニオン性基(以下、アニオン性基と記載)とを有するポリマーを製造するに当たり、重合方法については特に制約はないが、例えば縮重合法によって製造されていてもよく、またエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いてラジカル重合、アニオン重合等の方法によって製造されていてもよい。さらには天然高分子(例えば、デキストラン、セルロースがごとき天然多糖類、ゼラチンがごときポリアミノ酸等)、又はその誘導体から合成されても良い。
本発明に用いられるポリマーに対する官能基の導入方法についても特に制約はなく、反応性官能基を有するモノマーとアニオン性基を有するモノマーとの共重合反応を行って重合体を製造してもよいし、予め重合体を製造した後にいわゆる高分子反応により、前記の反応性官能基とアニオン性基を導入してもよい。さらには反応性官能基の前駆体を有するモノマー化合物とアニオン性基を用いて共重合反応を行い、その後に適切な方法によって反応性官能基を生成させる方法も有効である。本発明に用いられるポリマーは、反応性官能基を有するモノマー成分とアニオン性基を有するモノマー成分以外に、他のモノマー成分が共重合されていても良い。
本発明に用いられるアニオン性基を有するモノマーとしては、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−(ホスホノエチルオキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられる反応性官能基を有するモノマーに関しては、特願2005−46977号に記載の化合物を好ましく用いることが出来る。具体的には、以下に示す化合物が代表的な例である。
Figure 0004568174
Figure 0004568174
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本発明に用いられる、カルボン酸活性エステルの前駆体である、カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、4−ビニル安息香酸等が挙げられる。
本発明に用いられる、反応性官能基を有するモノマー成分とアニオン性基を有するモノマー成分以外の、他のモノマー成分としては、以下のモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、エチレン性不飽和カルボン酸のアミド類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(もしくはその塩)等、芳香族単量体:スチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等、その他のビニル単量体:エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフロロエチレン、トリフロロクロロエチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。ノニオン性基を有するモノマー:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、β−ヒドロキシエチル−β′−アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシスチレン、アリルアルコール、メタアリルアルコール、イソプロペニルアルコール、1−ブテニルアルコール等。両性イオン基を有するモノマー: [2−(メタクリロイルオキシ)エチル] ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド 、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスホリルコリン等。
本発明に用いられる合成高分子化合物の具体例としては、例えば化合物1が挙げられる。化合物1は銀塩写真用の高分子硬膜剤として公知であり、その使用法については、例えば特開2001−264948号に開示されている。このような高分子硬膜剤が結合された表面は、本発明として好ましく用いることが可能である。化合物1は、特開昭60−61742号に記載の方法で合成される。特開昭60−61742号に記載のP−1、P−4、P−6、P−10、P−15、P−16、P−21もまた、好ましく用いることが出来る。
Figure 0004568174
本発明に用いられる天然高分子又はその誘導体として、デキストラン、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルデキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルデキストラン、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルデキストラン、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルデキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられ、なかでもデキストラン、ヒドロキシエチルデキストラン、ヒドロキシプロピルデキストラン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、これらの多糖類のヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよく、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜3.0、特に0.5〜1.5が好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、特に10万〜100万の範囲のものが好ましい。
天然高分子又はその誘導体に対しアニオン性基を導入する方法は、公知の方法を利用することができる。例えば多糖類にスルホン酸を導入する場合、アルカリ条件下でビニルスルホン酸、3−ハロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ハロプロパンスルホン酸、1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンサルトン、1,3−ブタンサルトン等を反応させることで、スルホン酸基を導入することが可能となる。ピリジン中で多糖類とクロルスルホン酸とを反応させることで、硫酸エステルを導入することが可能となる。ピリジン中で多糖類とオキシ塩化リンとを反応させることで、リン酸エステルを導入することが可能となる。アニオン性基を有する天然高分子は、市販の化合物を用いることも可能である。このような化合物としては例えば、デキストラン硫酸であるDS−S18、DS−S5、DS−500等(名糖産業社製)を挙げることができる。これらのアニオン性基を有する天然高分子に対し、反応性基あるいはその前駆体(例えばカルボキシル基)を導入することで、本発明に使用可能なポリマーとなる。
カルボキシル基を有する多糖類であるカルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸等に対し、上記の方法でアニオン性基を導入することによっても、本発明に使用可能なポリマーを得ることが可能である。カルボキシル基を有する多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)、等を挙げることが出来る。これらのカルボキシル基を有する天然高分子に対し、アニオン性気を導入することで、本発明に使用可能なポリマーとなる。アニオン性基を導入する方法は、上記反応を用いることが可能であり、また、カルボキシル基の一部を活性化し、2−アミノエタン−1−スルホン酸(タウリン)、2−アミノエチルジハイドロジェンホスフェート、2−アミノエチルハイドロジェンスルフェート等と反応させることで、それぞれスルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステルを導入することが可能となる。カルボキシル基と活性化剤とのモル比、反応時間、反応回数により、これらのアニオン性基とカルボキシル基との割合を制御可能である。
カルボキシル基と硫酸エステル基を有する多糖類は、本発明にそのまま用いることも可能である。このような多糖類としては、コンドロイチンC硫酸(和光純薬社製)やヘパリンナトリウム(和光純薬社製)を挙げることができる。
天然高分子又はその誘導体に対し反応性官能基を導入する方法は、公知の方法を利用することができる。例えば多糖類にアセトアセチル基を導入する場合、多糖類をジメチルホルムアミド等の良溶媒に溶解した後にジケテンガスを添加する方法、多糖類粉末にジケテンガスを添加する方法、多糖類とアセト酢酸エステルを溶液中で反応させエステル交換する方法、などが用いられる。他の反応性官能基の導入法に関しては、特願2005−46977号に記載の方法を好ましく用いることができる。
本発明によれば、上記したような生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ表面に、生理活性物質含有液を接触させることを含む、生理活性物質の固定化方法が提供される。本発明の上記固定化方法においては、表面にアニオン性基が導入されていることにより、カルボキシル基の酸解離定数(pKa=3.5)よりも低いpHを有する生理活性物質含有液を接触させた場合であっても、静電引力によって生理活性物質が測定チップの表面上に濃縮されるプレコンセントレーション効果を得ることができる。
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
本発明のバイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
上記のようにして得られたバイオセンサーにおいては、生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基を介して生理活性物質を共有結合させることによって、金属表面又は金属膜に生理活性物質を固定化することができる。
本発明におけるバイオセンサー表面に対し生理活性物質を接触させることにより、バイオセンサーの表面に存在する生理活性物質を化学的に固定化できる反応性基と生理活性物質とが共有結合するため、バイオセンサーに生理活性物質を固定化することが可能となる。
本発明において固定される生理活性物質としては、測定対象物と相互作用するものであれば特に限定されず、例えば免疫蛋白質、酵素、微生物、核酸、低分子有機化合物、非免疫蛋白質、免疫グロブリン結合性蛋白質、糖結合性蛋白質、糖を認識する糖鎖、脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいはリガンド結合能を有するポリペプチドもしくはオリゴペプチドなどが挙げられる。
免疫蛋白質としては、測定対象物を抗原とする抗体やハプテンなどを例示することができる。抗体としては、種々の免疫グロブリン、即ちIgG、IgM、IgA、IgE、IgDを使用することができる。具体的には、測定対象物がヒト血清アルブミンであれば、抗体として抗ヒト血清アルブミン抗体を使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を抗原とする場合には、例えば抗アトラジン抗体、抗カナマイシン抗体、抗メタンフェタミン抗体、あるいは病原性大腸菌の中でO抗原26、86、55、111 、157 などに対する抗体等を使用することができる。
酵素としては、測定対象物又は測定対象物から代謝される物質に対して活性を示すものであれば、特に限定されることなく、種々の酵素、例えば酸化還元酵素、加水分解酵素、異性化酵素、脱離酵素、合成酵素等を使用することができる。具体的には、測定対象物がグルコースであれば、グルコースオキシダーゼを、測定対象物がコレステロールであれば、コレステロールオキシダーゼを使用することができる。また、農薬、殺虫剤、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、抗生物質、麻薬、コカイン、ヘロイン、クラック等を測定対象物とする場合には、それらから代謝される物質と特異的反応を示す、例えばアセチルコリンエステラーゼ、カテコールアミンエステラーゼ、ノルアドレナリンエステラーゼ、ドーパミンエステラーゼ等の酵素を使用することができる。
微生物としては、特に限定されることなく、大腸菌をはじめとする種々の微生物を使用することができる。
核酸としては、測定の対象とする核酸と相補的にハイブリダイズするものを使用することができる。核酸は、DNA(cDNAを含む)、RNAのいずれも使用できる。DNAの種類は特に限定されず、天然由来のDNA、遺伝子組換え技術により調製した組換えDNA、又は化学合成DNAの何れでもよい。
低分子有機化合物としては通常の有機化学合成の方法で合成することができる任意の化合物が挙げられる。
非免疫蛋白質としては、特に限定されることなく、例えばアビジン(ストレプトアビジン)、ビオチン又はレセプターなどを使用できる。
免疫グロブリン結合性蛋白質としては、例えばプロテインAあるいはプロテインG、リウマチ因子(RF)等を使用することができる。
糖結合性蛋白質としては、レクチン等が挙げられる。
脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ステアリン酸エチル、アラキジン酸エチル、ベヘン酸エチル等が挙げられる。
上記のようにして生理活性物質を固定化したバイオセンサーは、当該生理活性物質と相互作用する物質の検出及び/又は測定のために使用することができる。
本発明では、センサー用基板に固定化されている生理活性物質と被験物質との相互作用を非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
また、上述した表面プラズモン測定装置や漏洩モード測定装置は、創薬研究分野等において、所望のセンシング物質に結合する特定物質を見いだすランダムスクリーニングへ使用されることがあり、この場合には前記薄膜層(表面プラズモン測定装置の場合は金属膜であり、漏洩モード測定装置の場合はクラッド層および光導波層)上に上記被測定物質としてセンシング物質を固定し、該センシング物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加し、所定時間が経過する毎に前述の全反射減衰角(θSP)の角度を測定している。
試料液中の被検体が、センシング物質と結合するものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間経過毎に上記全反射減衰角(θSP)を測定し、該全反射減衰角(θSP)の角度に変化が生じているか否か測定することにより、被検体とセンシング物質の結合状態を測定し、その結果に基づいて被検体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを判定することができる。このような特定物質とセンシング物質との組み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗体をセンシング物質として薄膜層の表面に固定し、ヒトIgG抗体を特定物質として用いることができる。
なお、被検体とセンシング物質の結合状態を測定するためには、全反射減衰(θSP)の角度そのものを必ずしも検出する必要はない。例えばセンシング物質に試料液を添加し、その後の全反射減衰角(θSP)の角度変化量を測定して、その角度変化量の大小に基づいて結合状態を測定することもできる。前述したアレイ状の光検出手段と微分手段を全反射減衰を利用した測定装置に適用する場合であれば、微分値の変化量は、全反射減衰角(θSP)の角度変化量を反映しているため、微分値の変化量に基づいて、センシング物質と被検体との結合状態を測定することができる(本出願人による特願2000−398309号参照)。このような全反射減衰を利用した測定方法および装置においては、底面に予め成された薄膜層上にセンシング物質が固定されたカップ状あるいはシャーレ状の測定チップに、溶媒と被検体からなる試料液を滴下供給して、上述した全反射減衰角(θSP)の角度変化量の測定を行っている。
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:
本実施例は、タンパク質を固定するためのセンサーチップの作製に関するものである。
(1)試料1(比較例)の作成
カルボキシメチルデキストランが結合した表面として、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)を、そのまま用いた。
(2)試料2(実施例)の作成
カルボキシル基とスルホン酸基を併せ持つ表面として、Biacore社センサーチップCM-5(research grade)のカルボキシル基の一部を、タウリンで置換した表面を用いた。
CM-5を Biacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、0.4MのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide:同仁化学製)および2.8mMのHODhbt (3,4-Dihydro-3-hydroxy-4-oxo-1,2,3-benzotriazine:東京化成)を含む水溶液と5分接触させ、さらにタウリン(2-アミノエタン-1-スルホン酸:和光純薬製)の1.0M溶液(NaOHにてpH10.0に調整)と5分接触させることで、カルボキシメチルデキストランのカルボキシル基の一部がスルホン酸基に置換された表面が作製される。EDC/HODhbtによる活性化時間、タウリンの反応時間、さらにこの操作の繰り返し回数により、スルホン酸基への置換率を制御することが可能である。
実施例2
本実施例は、実施例1で得られた2種類のセンサーチップに対し、カルボン酸のpKaよりも高く、タンパク質の等電点(pI)よりも低い溶液pHにおける、タンパク質のプレコンセントレーションおよび固定化に関するものである。
タンパク質としては、ニュートラルアビジン(PIERCE製)を用いた。ニュートラルアビジンの等電点(pI)は、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、pI=6.0程度であることを確認した。
1mgのニュートラルアビジンを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlの酢酸バッファー(ビアコア社製、pH5.0)を加えることで、0.1mg/mlのニュートラルアビジン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)を調整した。
実施例1で作製した試料1、2をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、0.4MのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide)および0.1MのNHS (N-Hydroxysuccinimide)を含む水溶液、ニュートラルアビジン溶液(pH5.0, 0.1mg/ml)、エタノールアミン溶液(ビアコア社)を、各々5分間流した後、10mMNaOHを1分間×2回流した場合のプレコンセントレーションおよび固定化について検討した。得られたセンサーグラムを図1に示す。
カルボキル基のみが結合している試料1、およびその一部がスルホン酸基に置換されている試料2は、カルボン酸のpKa以上かつニュートラルアビジンの等電点以下であるpH5.0における固定量はそれぞれ13000RUと10500RU程度であり、このpHでは、ほぼ同等のプレコンセントレーションおよび固定効果があることが証明された。
実施例3
本実施例は、実施例1で得られた2種類のセンサーチップに対し、カルボン酸のpKaおよびニュートラルアビジンのpIよりも低い溶液pHにおける、ニュートラルアビジンのプレコンセントレーションおよび固定化に関するものである。
酢酸バッファー(ビアコア社製、pH5.0)をグリシンバッファー(ビアコア社製、pH1.5)に変更した以外は実施例2と同一の操作を行なった。得られたセンサーグラムを図2に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1は、カルボキシル基のpKaのpHである1.5では、ニュートラルアビジンのプレコンセントレーションおよび固定化が全く観察されない。これに対し本発明の試料2では、10000RU程度のプレコンセントレーションが観察され、活性化/固定化/エタノールアミン結合/アルカリ洗浄後も5000RU以上のNニュートラルアビジンが残存していることが確認された。
このことは、アミノ基と共有結合し得る反応性官能基と、カルボン酸よりもpKaの低いアニオン性基とを併せ持つ本発明の表面により、カルボキシル基のpKa以下のpHにおけるCAのプレコンセントレーションおよび固定化が達成されたことを意味している。
実施例4
実施例4および実施例5は、ニュートラルアビジン以外のタンパク質においても、同様の効果があることを確認するものである。実施例4では、タンパク質としてCA(Carbonic Anhydrase:SIGMA社製)を用いた。CAの等電点(pI)は、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、pI=5.8程度であることを確認した。
1mgのCAを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlのグリシンバッファー(ビアコア社製、pH1.5)を加えることで、0.1mg/mlのCA溶液(pH1.5, 0.1mg/ml)を調整し、実施例3と同様の測定を行った。得られたセンサーグラムを図3に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1は、カルボキシル基のpKa以下のpHである1.5では、タンパク質のプレコンセントレーションおよび固定は全く観察されない。これに対し本発明の試料2では、6000RU程度のプレコンセントレーションが観察され、活性化/固定化/エタノールアミン反応/アルカリ洗浄後も2500RU程度のCAが残存していることが確認された。
実施例5
実施例5では、タンパク質としてフィブリノーゲン(SIGMA社製)を用いた。フィブリノーゲンの等電点(pI)は、ATTO社のAE-8150を用いた電気泳動実験で、同時測定したマーカー(Broad pI Kit, pH 3.5-9.3:Amersham Biosciences社製)との比較から、pI=5.5程度であることを確認した。
1mgのフィブリノーゲンを1mlのHBS-EPバッファー(ビアコア社製、pH7.4)に溶解した溶液を10μl秤量し、90μlのグリシンバッファー(ビアコア社製、pH1.5)を加えることで、0.1mg/mlのフィブリノーゲン溶液(pH1.5, 0.1mg/ml)を調整し、実施例3と同様の測定を行った。得られたセンサーグラムを図4に示す。
カルボキシメチルデキストランが結合している試料1は、カルボキシル基のpKa以下のpHである1.5では、タンパク質のプレコンセントレーションおよび固定は全く観察されない。これに対し本発明の試料2では、5000RU程度のプレコンセントレーションが観察され、活性化/固定化/エタノールアミン反応/アルカリ洗浄後も4600RU程度のフィブリノーゲンが残存していることが確認された。
本発明の表面は実施例2に示した様に、カルボン酸のpKa以上かつタンパク質の等電点以下のpHにおいては、カルボキシ基のみを有する表面と同等のプレコンセントレーション/固定化能を有する。さらに本発明の表面は、カルボキシ基のみを有する表面では不可能な、カルボン酸のpKa以下のpHにおいても、様々なタンパク質のプレコンセントレーションおよび固定化が可能であることが証明された。
図1は、試料1及び試料2を表面プラズモン共鳴装置にセットし、カルボン酸のpKaよりも高く、ニュートラルアビジンの等電点(pI)よりも低い溶液pHを有するニュートラルアビジン溶液を流した際に得られたセンサーグラムを示す。 図2は、試料1及び試料2を表面プラズモン共鳴装置にセットし、カルボン酸のpKa及びニュートラルアビジンの等電点(pI)よりも低い溶液pHを有するニュートラルアビジン溶液を流した際に得られたセンサーグラムを示す。 図3は、試料1及び試料2を表面プラズモン共鳴装置にセットし、カルボン酸のpKa及びCA(Carbonic Anhydrase)の等電点(pI)よりも低い溶液pHを有するCA溶液を流した際に得られたセンサーグラムを示す。 図4は、試料1及び試料2を表面プラズモン共鳴装置にセットし、カルボン酸のpKa及びフィブリノーゲンの等電点(pI)よりも低い溶液pHにおけるフィブリノーゲン溶液を流した際に得られたセンサーグラムを示す。

Claims (12)

  1. カルボキシル基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ測定チップ表面に、カルボキシル基の酸解離定数より低く、かつ、生理活性物質の等電点よりも低いpHを有する生理活性物質含有液を接触させることを含む、生理活性物質の固定化方法。
  2. 前記生理活性物質がタンパク質である、請求項1に記載の生理活性物質の固定化方法。
  3. カルボキシル基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ測定チップ表面が、水溶性高分子が結合している表面、疎水性高分子が結合している表面、又は自己組織化単分子膜が形成されている表面の何れかである、請求項1又は2の何れか1項に記載の生理活性物質の固定化方法。
  4. カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基が、硫酸エステル基、リン酸エステル基、又はスルホン酸基である、請求項1から3の何れか1項に記載の生理活性物質の固定化方法。
  5. カルボキシル基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ測定チップ表面が金属上に形成されている、請求項1から4の何れか1項に記載の生理活性物質の固定化方法。
  6. 金属が金、銀、銅、白金またはアルミニウムのいずれかである、請求項に記載の生理活性物質の固定化方法。
  7. カルボキシル基と、カルボキシル基の酸解離定数よりも低い酸解離定数を有するアニオン性基とを併せ持つ測定チップ表面が、バイオセンサーの表面である、請求項1から6の何れか1項に記載の生理活性物質の固定化方法。
  8. 請求項1から7の何れか1項に記載の生理活性物質の固定化方法により生理活性物質が固定された測定チップと、被験物質とを接触させる工程を含む、該生理活性物質と相互作用する物質を検出または測定する方法。
  9. 前記生理活性物質がカルボキシル基と共有結合により結合している、請求項8に記載の方法。
  10. 前記生理活性物質がタンパク質である請求項8又は9の何れか1項に記載の方法。
  11. 生理活性物質と相互作用する物質を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項8から10の何れか1項に記載の方法。
  12. 生理活性物質と相互作用する物質を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項8から11の何れか1項に記載の方法。
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