JP4567124B2 - タッチパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーのCRTやフラットパネルディスプレイ等のディスプレイ画面上に用いられる透視可能なタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CRTやフラットパネルディスプレイ等のディスプレイ画面上に用いられる透視可能なタッチパネルには、そのディスプレイ画面への外部光の映り込みによる眩しさからくる見にくさ(グレア)を防止するために、透明高分子フィルム上に表面凹凸処理を施した透明ハードコートフィルムが用いられている。そして、この透明高分子フィルム上に施される表面凹凸処理としては、比較的均一な粒径の無機質粒子や合成樹脂粒子を含有する透明なハードコート層が一般に用いられている。
【0003】
一方で、タッチパネルのディスプレイに使用されるCRTやフラットパネルディスプレイのカラー化が進むと共に、各種ディスプレイのカラーの高精細化が進んだ結果、従来のグレア防止のための表面凹凸処理が施された透明ハードコートフィルムをタッチパネルに使用すると、高精細化されたカラー画面の特に白色部分がぎらついて見えるという問題が発生するようになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題とするところは、上述のような高精細化されたカラーディスプレイ表面上に貼付してもカラー画面がぎらついて見えるようなことがなく、従来同様に外部光に対するグレアを防止しつつも、透明性が低下して画像表示がぼけることのない、ディスプレイの視認性に優れたタッチパネルを提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、従来の透明ハードコートフィルムに用いられている透明ハードコート層の表面凹凸処理が、比較的均一な粒径の無機質粒子や合成樹脂粒子から形成されることで規則的で滑らかなものとなっていることに着目して、鋭意研究した結果、この規則的で滑らかな表面凹凸がレンズの作用をして、カラー表示の元になっているRGBの発光点を拡大して強調することで、画面の中でもRGB全ての発光点が発光している白色部分を特にぎらつかせて見せていることを突き止め、本発明を解決するに至った。
【0006】
即ち、本発明のタッチパネルは、カラーディスプレイ画面上に用いられる透視可能なタッチパネルであって、前記タッチパネルの表面基材として、透明高分子フィルム上に、少なくとも電離放射線硬化型樹脂及び2以上の異なる平均粒径の無機質粒子から構成される透明ハードコート層を設けてなり、前記無機質粒子が、少なくとも平均粒径1〜4.5μmと平均粒径5〜50nmの2種のシリカであり、前記透明ハードコート層の厚みが5〜15μmであり、前記透明ハードコート層中における平均粒径1〜4.5μmの無機質粒子および平均粒径5〜50nmの無機質粒子の含有量が、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してそれぞれ4.4〜8重量部である透明ハードコートフィルムを用いてなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のタッチパネルの表面基材として用いる透明ハードコートフィルム1について、更に詳細に説明する。
【0009】
本発明の透明ハードコートフィルム1は、透明高分子フィルム2上に透明ハードコート層3を形成したものであり、当該透明ハードコート層3は、少なくとも電離放射線硬化型樹脂及び2以上の異なる平均粒径の無機質粒子から構成されてなるものである。
【0010】
尚、本発明における透明ハードコートフィルム1の透明性に関しては、透明高分子フィルム2上に透明ハードコート層3を形成した状態で、JIS−K7105におけるヘーズ値で評価することができ、透明性が優れる高透明性というにはヘーズ値で10%以下であることが好ましい。また、本発明における透明ハードコートフィルム1のハードコート性に関しては、同様に透明高分子フィルム2上に透明ハードコート層3を形成した状態で、JIS−K5400における鉛筆硬度がH以上であることが望ましい。
【0011】
透明高分子フィルム2としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アセチルセルロース、塩化ビニル等の透明性を阻害しないものが使用でき、延伸加工、特に二軸延伸加工されたものは、機械的強度、寸法安定性が向上されるので好ましい。厚みは適用される材料に対して適宜選択することができるが、一般に20〜500μmであり、好ましくは50〜200μmである。
【0012】
透明高分子フィルム2上に形成される本発明にかかる透明ハードコート層3は、透明性が低下することによって生じる表示画像のボケを生じさせずに、外部光によるグレアを防止するという相反する性質(以下、それぞれ「透明性」と「グレア防止性」という。)を一挙に付与する役割を果たすと共に、カラー表示のRGBの発光点が拡大して強調されることで発生する画面のぎらつき現象を生じさせない性質(以下、「RGBぎらつき防止性」という。)を有するものである。
【0013】
このような透明ハードコート層3は、電離放射線硬化型樹脂を主成分として、2以上の異なる平均粒径の無機質粒子を混合してなる組成物を塗工製膜し、電離放射線(紫外線若しくは電子線)を照射して架橋硬化させる等することより得ることができる。
【0014】
電離放射線硬化型樹脂としては、電離放射線(紫外線若しくは電子線)の照射によって架橋硬化することができる光重合性プレポリマーを用いることができ、この光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。これらは単独でも使用可能であるが、架橋硬化性、架橋硬化塗膜の硬度をより向上させるために、光重合性モノマー、光重合開始剤、紫外線増感剤等を加えることが好ましい。
【0015】
光重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
【0016】
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられ、紫外線増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
【0017】
この電離放射線硬化型樹脂は、透明ハードコート層3に、ハードコート性を付与すると共に、後述する無機質粒子と組み合わされることにより、透明性とグレア防止性を有し、且つRGBぎらつき防止性を発揮することができるようになるものである。
【0018】
従って、上述効果等を発揮できれば、透明ハードコート層3を形成する樹脂として、電離放射線硬化型樹脂に他の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を混合することも可能である。
【0019】
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0020】
また熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0021】
次に、本発明における無機質粒子については、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機顔料又は無機系の体質顔料の1種又は2種のうち、平均粒径の異なるものを2以上混合使用する。
【0022】
この際、2以上の異なる平均粒径の無機質粒子の好適な態様としては、少なくとも一方の平均粒径が1〜15μmの比較的大きな粒子の無機質粒子であり、他方の平均粒径が5〜50nmの比較的小さな粒子の無機質粒子を組み合わせることが好ましい。これらの混合割合としては、平均粒径が1〜15μmの比較的大きな粒子の無機質粒子は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜8重量部、好適には2〜6重量部が望ましく、平均粒径が5〜50nmの比較的小さな粒子の無機質粒子は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜8重量部、好適には2〜6重量部が望ましい。
【0023】
このような2以上の異なる平均粒径の無機質粒子は、前述した電離放射線硬化型樹脂と組み合わせることにより、透明性とグレア防止性を有し、且つRGBぎらつき防止性を発揮することができるようになる。
【0024】
このように、本発明にかかる透明ハードコート層3は、電離放射線硬化型樹脂に無機質粒子を混合することにより、粒状物を含有した電離放射線硬化型樹脂塗膜の表面に特有に生じる波状の凹凸(図1)を利用することで、粒状物である無機質粒子の混合量を少なくして高い透明性を維持しつつ、十分なグレア防止性とRGBぎらつき防止性が発揮されるようになる。
【0025】
このような透明ハードコート層3の厚みとしては、上述の性能を満たす範囲内であれば限定されるものではないが、2〜15μm、好ましくは3〜8μmの範囲内で適宜調節可能である。
【0026】
透明ハードコート層3を架橋硬化させるために照射する紫外線としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用いた50〜300kcal/molのエネルギーを有する100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域のものを使用する。
【0027】
同様に電子線としては、走査型あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1000keV以下、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する100nm以下の波長領域のものを使用する。
【0028】
以上説明してきたように、本発明のタッチパネルは、タッチパネルの表面基材を透明高分子フィルム上に少なくとも電離放射線硬化型樹脂及び2以上の異なる平均粒径の無機質粒子から構成される透明ハードコート層を設けたものとすることにより、透明性も損なうことがなく、外部光の映り込みによる眩しさからくる見にくさ(グレア)を防止し、RGBのぎらつきにより生じる見にくさを防止するという、極めて視認性に優れたものとなる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。尚、「部」「%」は特記しない限り重量基準である。
【0030】
[実施例1〜3]
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム2(コスモシャインA4300:東洋紡績社)の一方の表面に、表1の組成の透明ハードコート層塗布液a〜cをそれぞれ塗布、60℃・5分で加熱乾燥し、高圧水銀灯で紫外線を1〜2秒照射することにより約5μmの透明ハードコート層3を形成して、実施例1〜3の透明ハードコートフィルム1を作製した。
【0031】
[比較例1〜4]
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)の一方の表面に、表2の組成の透明ハードコート層塗布液d〜gをそれぞれ塗布、60℃・5分で加熱乾燥し、高圧水銀灯で紫外線を1〜2秒照射することにより約5μmの透明ハードコート層を形成して、比較例1〜4の透明ハードコートフィルムを作製した。
【0032】
[比較例5]
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)の一方の表面に、表2の組成の透明ハードコート層塗布液hを塗布し、120℃・5分で加熱乾燥硬化することにより約5μmの透明ハードコート層を形成して透明ハードコートフィルムを作製した。
【0033】
尚、表1及び表2中における樹脂Aは電離放射線硬化型樹脂(ダイヤビームUR6530:三菱レイヨン社)、樹脂Bは熱可塑性アクリル系樹脂(LMS−55〈固形分40%〉:互応化学工業社)、樹脂Cは熱可塑性アセタール系樹脂(エスレックBL−S:積水化学工業社)、樹脂Dは熱硬化性シリコーン樹脂(Siコート900〈固形分30%〉:大八化学社)、無機質粒子Eは多孔質シリカ(サイリシア446〈平均粒径4.5μm〉:富士シリシア化学社)、無機質粒子Fは微粉末シリカ(アエロジル50〈平均粒径30nm〉:日本アエロジル社)、添加剤Gは光重合開始剤(イルガキュア651:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)を用いた。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
以上のようにして得られた透明ハードコートフィルムの視認性(透明性、グレア防止性、RGBぎらつき防止性)について評価した結果を表3に示す。透明性、グレア防止性、RGBぎらつき防止性の評価は以下のように行った。
【0037】
[透明性]
SMカラーコンピューターHGM−2K(スガ試験機社)を用いてヘーズ値「%」(JIS−K7105)を測定すると共に、画像を表示させたCRT画面上に透明ハードコートフィルムを積層した場合に表示画像がぼけるかどうかについて目視評価した。目視評価した結果で良かったものを「○」、悪かったものを「×」とした。
【0038】
[グレア防止性]
SMカラーコンピューターUGV−5K(スガ試験機社)を用いて光沢度「%」(JIS−K5400)を測定すると共に、画像を表示させたCRT画面上に透明ハードコートフィルムを積層した場合に外部光の映り込みによって表示画像が見にくくなるかどうかについて目視評価した。目視評価した結果で良かったものを「○」、悪かったものを「×」とした。
【0039】
[RGBぎらつき防止性]
カラー画像を表示させたCRT画面上に透明ハードコートフィルムを積層した場合に、カラー表示のRGB発光点が拡大強調されて、特に表示画面の白色部分がぎらついて見えるかどうかについて目視評価した。目視評価した結果で良かったものを「○」、悪かったものを「×」とした。
【0040】
[視認性]
総合評価として、透明性、グレア防止性、RGBぎらつき防止性の三評価全て良かったものを「○」、三評価の内の何れか一つの評価でも悪かったものを「×」とした。
【0041】
【表3】
【0042】
表3の結果からも明らかなように、実施例1〜3の透明ハードコートフィルム1は、透明性、グレア防止性、RGBぎらつき防止性の全てに優れた視認性を得られていた。
【0043】
一方、比較例1及び3の透明ハードコートフィルムは、光沢度が低く抑えられているためにグレア防止性は備えているが、透明ハードコート層に無機質粒子として比較的大きな粒径のものが1種類しか含まれていないために、RGBの発光点による画面のぎらつきを抑えることができず、非常に視認性に劣るものであった。特に、比較例3の透明ハードコートフィルムは、ヘーズ値も高く、透明性の点でも劣るものであった。
【0044】
また、比較例2及び4の透明ハードコートフィルムは、透明ハードコート層に無機質粒子として比較的小さな粒径のものが1種類しか含まれていないために、ヘーズ値は低くて透明性には優れているが、光沢度が高くてグレア防止性が極めて低く、非常に視認性に劣るものであった。尚、透明ハードコート層に無機質粒子として比較的大きな粒径のものが含まれていないために、光沢度が低くならなかった反面、表面凹凸も生じなかったために、レンズ効果によるRGBの発光点による画面のぎらつきも生じることがなかった。
【0045】
また、比較例5の透明ハードコートフィルムは、電離放射線硬化型樹脂ではなく熱硬化性樹脂を使用しているために、無機質粒子の添加量を電離放射線硬化型樹脂(実施例1)の場合と等しくして透明性を維持しても、電離放射線硬化型樹脂に粒状物を混合させた場合に特有に生じる波状凹凸が生じず、光沢度が高くなってグレア防止性を得ることができず、RGBぎらつき防止性も得られないために、非常に視認性に劣るものであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明のタッチパネルは、タッチパネルの表面基材を透明高分子フィルム上に少なくとも電離放射線硬化型樹脂及び2以上の異なる平均粒径の無機質粒子から構成される透明ハードコート層を設けたものとすることにより、高精細化されたカラーディスプレイ表面上に使用してもカラー画面がぎらついて見えるようなことがなく、且つ外部光に対するグレアを防止しつつ、透明性が低下して画像表示がぼけることのない、ディスプレイの視認性に極めて優れたタッチパネルを得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の透明ハードコートフィルムの一実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・透明ハードコートフィルム
2・・・透明高分子フィルム
3・・・透明ハードコート層
Claims (2)
- カラーディスプレイ画面上に用いられる透視可能なタッチパネルであって、前記タッチパネルの表面基材として、透明高分子フィルム上に、少なくとも電離放射線硬化型樹脂及び2以上の異なる平均粒径の無機質粒子から構成される透明ハードコート層を設けてなり、前記無機質粒子が、少なくとも平均粒径1〜4.5μmと平均粒径5〜50nmの2種のシリカであり、前記透明ハードコート層の厚みが5〜15μmであり、前記透明ハードコート層中における平均粒径1〜4.5μmの無機質粒子および平均粒径5〜50nmの無機質粒子の含有量が、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してそれぞれ4.4〜8重量部である透明ハードコートフィルムを用いてなることを特徴とするタッチパネル。
- 前記ディスプレイがCRTディスプレイであることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル。
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