JP4566519B2 - 水溶性n−オキシル化合物、酸化触媒およびそれを用いる酸化物の製造方法 - Google Patents
水溶性n−オキシル化合物、酸化触媒およびそれを用いる酸化物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水溶性N−オキシル化合物、酸化触媒およびそれを用いるアルコールの酸化方法に関する。本発明の方法によれば、アルコールを酸化することにより種々の有機化合物、例えば、アルデヒド化合物、ケトン化合物、ラクトン化合物等のアルコールより高次な酸化物を効率良く、高収率で製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
アルコール化合物の酸化反応は有機合成分野では一般に利用範囲が広く数多くの方法が開発されている。
特に酸化触媒を用いる酸化反応は、その種類も豊富で数多くの有機合成に利用されている有用な官能基変換方法である。中でもN−オキシル化合物を酸化触媒とする方法はアルコールの選択的官能基変換方法として優れた方法であり、各種アルコールの酸化反応に利用されている。
従来、N−オキシル触媒を用いるアルコールの酸化反応は、有機溶媒又は含水有機溶媒中にて実施されている(例えば非特許文献1〜3参照)
〔非特許文献1〕有機合成協会誌1993年発行51巻48〜58頁
〔非特許文献2〕J.Organic Chemistry,1989,54,2970−2972
〔非特許文献3〕Tetrahedron Letters,1990,31,2177−2180
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法においては、塩化メチレン等の有害な有機溶媒を多量に用いることが不可欠であり、環境保全の面から好ましくない。しかも、目的物の収率も十分満足できるものではない。
また、水と有機溶媒との混合溶媒中、N−オキシル化合物の存在下、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩等の次亜ハロゲン酸塩を用いてアルコールを酸化する方法も公知である(例えば特許文献1〜2参照)。しかしながら、この方法でも有機溶媒の使用は必須であり、環境保護の面からの根本的な改良が加えられているわけではない。加えて、有機溶媒に対する溶解が乏しい次亜塩素酸ナトリウム等の次亜ハロゲン酸塩を用いると、原料であるアルコールの種類によっては酸化反応が起こり難くなり、目的物の収率が著しく低下することがある。
また電解酸化反応は電気化学的に酸化反応を行うためクリーンな酸化反応として注目を集め、そのいくつかの反応が工業的スケールで行われている。
〔特許文献1〕特開平5−25078号公報
〔特許文献2〕特開平6−211827号公報
【0004】
従来アルコールの電解酸化法としては、有機溶媒若しくは含水有機溶媒中にて直接電解酸化法若しくはメディエーター(電子キャリヤー)を用いる間接電解酸化法(例えば非特許文献4参照)、水と水に混合しない有機溶媒との2層系での電解酸化法(例えば非特許文献5参照)等が一般的に行われている。
〔非特許文献4〕「有機電解合成」(鳥居滋著、1981年発行、第262〜273頁、講談社刊)
〔非特許文献5〕J.Org.Chem.,1991,56,2416−2421
これらの電解酸化法の多くの反応系では、電流を流し難い有機溶媒を用いるため、例えば溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを使用する場合には10〜50重量%の支持電解質を必要とするといったように、多量の支持電解質を用いなければならない。また、このように多量の支持電解質を使用するため、コストや廃棄物の問題のみならず、生成物の単離精製においても煩雑な操作が必要となってくる。また、メディエーターとして種々の金属触媒を利用する方法も知られているが、これらは、金属化合物のコストや後処理の問題が大きく、工業的に利用できるものは限られている。
【0005】
N−オキシル化合物はアルコール化合物の電解酸化反応の触媒として優れていることが報告されている(例えば非特許文献5参照)。しかしながら、文献中で紹介されている反応は何れも塩化メチレン/水の2層系酸化反応であり、環境上の問題より塩化メチレンが工業的に使用し難い今日ではこの反応を用いることは不可能である。
また、水溶媒中シリカゲルやポリマーに担時させたN−オキシル化合物を用いる酸化反応も報告されている(例えば特許文献3参照)。しかし、いずれの場合もあらかじめアルコールを当該担体に担時させる必要があり煩雑な操作を要求された。
〔特許文献3〕WO 01/66495
【0006】
本発明の課題は、新規な水溶性N−オキシル化合物、これを含有する酸化触媒を提供することにある。
また本発明の課題は、従来の製造方法に見られる欠点を克服し、高収率、高効率でアルコール化合物の酸化反応を行い、目的とするアルコールより高次な酸化物を製造し得る汎用的な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の発明に係る。
1.新規な水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物。
2.新規な末端にアンモニウムイオンを有する水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物。
3.水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物からなる酸化触媒。
4.末端にアンモニウムイオンを有する水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物からなる酸化触媒。
5.水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物の存在下、アルコール化合物を酸化剤を用いて酸化してアルコールよりも高次な酸化物を得ることを特徴とする酸化物の製造方法。
6.水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物の存在下、アルコール化合物を電解酸化してアルコールよりも高次な酸化物を得ることを特徴とする酸化物の製造方法。
【0008】
即ち本発明は、上記課題を解決するために、水溶媒中での酸化反応において高効率で作用しうる水溶性N−オキシル型酸化触媒を見いだすと同時に水溶性N−オキシル型酸化触媒を用いて水溶液中でアルコール化合物の酸化を行うという全く新しい酸化物の製法を開発した。
すなわち、電解酸化においては、電流効率の高い水溶液中で有機化合物の電解酸化反応を上記酸化触媒を用いて行うことにより、支持電解質の使用量の減少にとどまらず、目的物単離後の水溶液は、特に後処理を必要とすることなく再度触媒含有水溶液としてそのまま使用することが可能となる。
このように、有機化合物の酸化反応系で有機溶媒を使用せず水溶性N−オキシル型酸化触媒を用いアルコールを酸化することにより、目的とするアルデヒド、ケトン、ラクトン化合物等を高収率、高効率で製造しうるという全く新しい事実を見い出し、本発明を完成するに至った。勿論、実質的に問題とならない量の有機溶媒を使用することは差し支えない。
【0009】
【発明の実施の形態】
アルコールより高次な酸化物としては例えばアルデヒド、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステル、カルボン酸化合物等を例示することができる。
アルコールの具体例としては、例えば、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、2−クロロ−n−ペンチルアルコール、3−アセトキシ−n−ペンチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−ペンチルアルコール、2−フェニル−1−エタノール、1−フェニル−1−エタノール等の置換基を有することのあるアルキルアルコール、ベンジルアルコール等のアラルキルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロペンチルアルコール、4−メトキシシクロヘキシルアルコール等の置換基を有することのあるシクロアルコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、3−メチルヘキサンジオール、3−アセトキシペンタンジオール、3−クロロ−2−メチルヘキサンジオール等のアルキルジオール、シクロヘキサン−1,2−ジエタノール等のシクロジオール等を挙げることができる。更に、トリオール類や4つ以上の水酸基を持つ化合物でも支障なく使用できる。これらのアルコールには、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アリール基、低級アルキル基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、メルカプト基、低級アルキルチオ基、アリールチオ基、ホルミルオキシ基、式RCOO−(Rは低級アルキル基又はアリール基を示す。)で表わされるアシルオキシ基、ホルミル基、式RCO−(Rは前記に同じ。)で表わされるアシル基、低級アルキルオキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、低級アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等の1種又は2種以上が置換していても良い。ここで低級アルキル基としては炭素数1〜6のアルキル基、アリール基としてはフェニル、トリル、キシリル、ナフチル等を例示できる。これらのアルコールの中でも、アルキルアルコールやアルキルジオールが好ましく、炭素数4以上のアルキルアルコールやアルキルジオールが特に好ましい。
本発明において用いた原料アルコールより高次な酸化物とは、例えば原料アルコールとしてn−ブチルアルコールを使用した場合は、n−ブタナール又はn−ブタン酸n−ブチルエステルが得られ、1−フェニルエタノールを使用した場合は、アセトフェノンが得られ、1,4−ブタンジオールを使用した場合は、テトラヒドロ−2−フラノンが得られ、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンを使用した場合は8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナン−7−オン等が得られる。
【0010】
水溶性N−オキシル化合物としては、例えば下記の化合物(1)を例示することができる。
【0011】
【化1】
【0012】
AはC1−C15の直鎖もしくは分岐状アルキレン基で、それぞれC1−C20のアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アシル基等の置換基を有していても良い。R1、R2は水素原子、C1−C4のアルキル基、R3はO−又はOH、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示す。nは5〜8の整数を示す。Qは3級アミン化合物又は含窒素複素環式化合物を示す。
【0013】
このN−オキシル化合物の製造方法としては種々の合成方法が考えられるが例えば、ω−4級アンモニウムアルキルカルボン酸とアミノ基を有するN−オキシル化合物との脱水縮合により製造できる。これらの原料は市販品を用いることも可能であるし、目的に応じて別途合成することも可能である。使用できるω−4級アンモニウムアルキルカルボン酸としては、カルボン酸基とω−アンモニウム基との間が直鎖もしくは分岐状のアルキレン基であるものが望ましい。またこのアルキレン基に適当な置換基を有していても良い。直鎖もしくは分岐状アルキレン基としては特に制限は無いが直鎖分の長さがC1−C15程度が望ましく、C2−C8程度が特に好ましい。アミノ基を有するN−オキシル化合物としては、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のアミノピペリジン−N−オキシル化合物、3−アミノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−N−オキシル等のピロリジン−N−オキシル化合物等が例示できるが、これ以外の7員環、8員環等中および大環状構造のN−オキシル化合物に付いてももちろん使用可能である。ω−4級アンモニウムアルキルカルボン酸とアミノ基を有するN−オキシル化合物との脱水縮合の際の縮合剤としては、一般に用いられる縮合剤はすべて使用可能であるが、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のイミド系脱水縮合剤が使用しやすい。また、ペプチド合成の際使用されるHBTU,TBTU,PY−BOPの様な脱水縮合剤ももちろん使用可能である。
【0014】
また、ω−ハロゲノアルキルカルボン酸とアミノ基を有するN−オキシル化合物との脱水縮合により製造できる末端にハロゲン原子を有するN−オキシル化合物を予め合成し、その末端ハロゲン原子を3級アミン化合物あるいは含窒素複素環式化合物等で置換することにより得られる。これらの原料は市販品を用いることも可能であるし、目的に応じて別途合成することも可能である。アミノ基を有するN−オキシル化合物としては、前出のアミノ基を有するN−オキシル化合物を何れも使用できる。ω−ハロゲノアルキルカルボン酸としては塩素、臭素、ヨウ素化合物の何れも使用が可能であり、カルボン酸基とω−ハロゲンとの間が直鎖もしくは分岐状のアルキレン基であるものが望ましい。またこのアルキレン基に適当な置換基を有していても良い。直鎖もしくは分岐状アルキレン基としては特に制限は無いが直鎖分の長さがC1−C15程度が望ましく、C2−C8程度が特に好ましい。ハロゲンと置換させる3級アミン化合物としてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルドデシルアミン等のトリアルキルアミン類(アルキル基はC1−C20)、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン等のN−アルキル環状アミン類、N,N−ジメチルアニリン等のジアルキルアリールアミン類等が例示できる。ハロゲンと置換させる含窒素複素環式化合物としてはピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン等の含窒素芳香族化合物類、N−メチルイミダゾール、4−メチル−1,2,4−トリアゾール等の含窒素不飽和複素環式化合物を例示できる。
【0015】
酸化用触媒の使用量は各種反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常水に難溶性のアルコール化合物に対し0.01〜50モル%、好ましくは1〜25モル%、さらに好ましくは3〜15モル%とすればよい。また、水溶性N−オキシル型酸化触媒は酸化反応系内でその還元体が酸化触媒に容易に転換出来るため、相当する還元体を使用することも可能である。水溶性N−オキシル型酸化触媒の還元型化合物はN−オキシルがN−ヒドロキシに変換された化合物であり、水溶性N−オキシル型酸化触媒を還元剤で還元するか、あるいは、電解還元することによって容易に得られる。このようにして得られた水溶性N−オキシル型酸化触媒あるいはその還元型化合物は水溶液中で酸化反応に供せられる。
【0016】
本発明において、酸化剤を用いたアルコールの酸化は、通常溶媒である水に、アルコールと無機系酸化剤を加えることにより行われる。
反応溶媒としては水を使用する。水の使用量は、アルコールやN−オキシル化合物の種類や使用量等に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、アルコール1kg当たり、通常2〜2000リットル程度、好ましくは5〜100リットル程度とすればよい。水はそのまま中性域のものを使用できるが、適当なアルカリ剤を加えて、アルカリ性にして反応を行っても良い。該アルカリ剤としては、水溶液がアルカリ性を示すものであれば特に制限されないが、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属塩、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ土類金属塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属塩等のアルカリ性無機塩等を挙げることができる。アルカリ剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。アルカリ剤の使用量は特に制限はなく、通常水に対し0.01重量%〜飽和量、好ましくは0.1重量%〜飽和量程度とするのがよい。なお、反応に悪影響を及ぼさない範囲で、水と混合可能な有機溶媒を併用することもできる。該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール等の低級アルキルアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリジノン等の環状アミド類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。有機溶媒の使用量は、有機溶媒そのものの種類、使用量等に応じて適宜選択すれば良いが、通常水と有機溶媒との合計量の30重量%以下とするのがよい。
【0017】
酸化剤としては特に制限されず、N−オキシル化合物の還元体を酸化できる能力を有する公知の化合物をいずれも使用できるが、溶媒である水をアルカリ性域に調整した場合の溶解度や反応速度等を考慮すると、例えば、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸リチウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜ヨウ素酸リチウム、次亜ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウム等の次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜ヨウ素酸カルシウム等の次亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜臭素酸リチウム、亜臭素酸ナトリウム、亜臭素酸カリウム等の亜ハロゲン酸アルカリ金属塩、亜塩素酸カルシウム、亜臭素酸カルシウム、亜ヨウ素酸カルシウム等の亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩、塩素酸リチウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、臭素酸リチウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素酸リチウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、臭素酸カルシウム、ヨウ素酸カルシウム等のハロゲン酸アルカリ土類金属塩、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン分子、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム等の過酸化水素誘導体とタングステン酸、タングステン酸ナトリウム等の金属酸化触媒との併用物、過蟻酸、過酢酸、m−クロロ過安息香酸等のカルボン酸過酸化物、分子上酸素、分子状酸素と金属触媒との酸化活性種等を挙げることができる。分子状酸素と組み合わされる金属触媒としては従来から知られているものをいずれも使用でき、例えば、塩化第2銅、臭化第2銅、ヨウ化第2銅等のハロゲン化第2銅、塩化ルテニウム、酸化ルテニウム、塩化ルテニウムトリフェニルホスフィン錯体等のルテニウム触媒等を挙げることができる。また、ここに列記した化合物を他の化合物を用いて反応系中で発生させることによっても使用できる。酸化剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。酸化剤の使用量は、反応生成物、反応条件等に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、アルコール1モルに対し20モルまで、好ましくは1〜10モルとすればよい。
【0018】
本発明において、酸化反応をより一層効率良く行うために、ハロゲン含有塩を反応系に加えてもよい。ハロゲン含有塩としては公知のものを使用でき、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ベリリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化ベリリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム塩、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等を挙げることができる。ハロゲン含有塩は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。ハロゲン含有塩類の使用量は、通常水の使用量に対して0.01〜50重量%程度、好ましくは0.1〜25重量%程度とすればよい。
本反応は、通常−5〜100℃程度、好ましくは0〜60℃程度の温度下に行われ、5分〜20時間程度、好ましくは10分〜5時間程度で終了する。
【0019】
次に本発明の電解酸化法はアルコール化合物を、支持電解質の存在下、又は不存在下、水中に入れ通常の方法に従って電解酸化することにより行われる。
必要により用いられる支持電解質としては、水に可溶で通電が可能な塩であれば全て使用可能であるが、例えばハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、ハロゲン化アンモニウム塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、リン酸アンモニウム塩、リン酸テトラアルキルアンモニウム塩、アルカリ金属硫酸塩、硫酸水素アルカリ金属塩、硫酸水素テトラアルキルアンモニウム塩、アルカリ土類金属硫酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸金属塩、過塩素酸アンモニウム塩、スルホン酸アンモニウム塩、硼弗化金属塩、硼弗化アンモニウム塩等を例示できる。
【0020】
具体的には、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化ベリリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、沃化ベリリウム、沃化マグネシウム、沃化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸2カリウム等のアルカリ金属リン酸塩、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム等のアルカリ土類金属リン酸塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、沃化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム塩、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、沃化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、沃化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、沃化テトラブチルアンモニウム等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸アンモニウム塩、リン酸2水素アンモニウム、リン酸2アンモニウム等のリン酸アンモニウム塩、リン酸2水素テトラエチルアンモニウム、リン酸2水素テトラブチルアンモニウム等のリン酸テトラアルキルアンモニウム塩、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素アルカリ金属塩、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等の硫酸水素テトラアルキルアンモニウム塩、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜塩素酸塩、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸金属塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム等の過塩素酸アンモニウム塩、テトラブチルアンモニウムトシレート等のスルホン酸アンモニウム塩、硼弗化リチウム、硼弗化ナトリウム等の硼弗化金属塩、硼弗化テトラエチルアンモニウム、硼弗化テトラブチルアンモニウム等の硼弗化アンモニウム塩等を挙げることができる。これらの中でも、ハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩等が好ましい。これらの支持電解質は1種を単独で使用でき又は必要に応じ2種以上を併用できる。支持電解質の使用量は各種反応条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、水溶液として0.01重量%〜飽和濃度程度、好ましくは0.1〜20重量%程度の濃度になるように使用すればよい。
【0021】
本電解反応における水の使用量は特に制限されず、各種反応条件等に応じて適宜選択すればよいが、通常原料化合物1kgあたり、2〜2000リットル程度、好ましくは5〜100リットル程度とすればよい。水と混合可能な有機溶媒が混入していても反応に支障はない。支障をきたさない溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等の低級アルキルアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等の環状エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチルピロリジノン等の環状アミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0022】
本電解反応は、通常−5〜100℃程度、好ましくは0〜60℃程度の温度下に実施される。
本発明の方法による電解酸化においては、通常の電解反応に用いられる電極を広く利用できる。具体的には、陽極材料として、白金、ステンレス、ニッケル、酸化鉛、炭素、酸化鉄、チタン等が、また陰極材料としては、白金、スズ、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、鉛、銅、炭素等を使用できるが、好ましくは、陽極材料として白金、炭素、ステンレス等を、陰極材料として白金、ステンレス、銅、炭素等を使用できる。
本発明の電解酸化は陽極と陰極とを隔膜で分離してもよいが、特に分離する必要はなく、単一槽で行えることをも特徴としている。
本電解反応は、定電流電解法及び定電圧電解法のいずれをも採用することができるが、装置や操作の簡便さの点で定電流電解法を採用するのが好ましい。電解は、直流又は交流電解が可能であるが、電流方向を1〜30秒毎に切り替えて行うこともできる。電流密度は、通常1〜500mA/cm2、好ましくは1〜50mA/cm2の範囲とするのが良い。電気量は用いる電解槽の形状、出発物質の種類、用いる溶媒の種類等により異なり一概には言えないが、通常2〜20F/モル程度、好ましくは2〜8F/モル程度とするのがよく、上記電気量を通電すれば反応は完結する。
【0023】
本酸化反応では、触媒、支持電解質が水溶性であり且つ水溶液での反応を行っているため、アルコールの酸化終了後、生じた目的物を濾過、濃縮、乾燥もしくは抽出等で容易に分離することができる。分離後の水溶液はそのまま次の酸化反応に供することも可能である。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、何らこれに限定されるものではない。
【0025】
製造例1A
100mLナスフラスコに6−トリエチルアンモニウムヘキサン酸ブロミド 248mgをはかり取り、塩化メチレン 10mlを加え十分に撹拌する。このものに4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル 257mgおよびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC,414mg)を加え室温下6時間撹拌した。撹拌終了後、反応液を減圧濃縮し、残査に水(10ml)を加え不溶分を濾別した。濾液を減圧濃縮し、残査をさらに減圧乾燥すると目的化合物Aが388mg得られた(収率66%)。得られた化合物Aの構造式および1HNMRは以下の通りである。
【0026】
【化2】
【0027】
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.15〜1.46(m,23H),1.52〜1.89(m,6H),2.20(t,J=7.2Hz,2H),2.40(t,J=7.2Hz,2H),3.08〜3.32(m,9H),4.00〜4.36(m,1H).
【0028】
製造例1B
4−(6−ブロモヘキサンアミド)―2,2,5,5-テトラメチルピペリジン−N−オキシル 186mg(0.53mmol)を100mlのナスフラスコに秤り取り、このものにエタノール2mlを加えた。これにトリエチルアミン 1mlを加えアルゴン雰囲気下24時間加熱還流を行った。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し残査をエーテル 10mlにて10回洗浄した。得られた残査を乾燥すると目的化合物Aが170mg(収率70%)で得られた。得られた化合物Aの1HNMRは製造例1Aと一致した。
【0029】
製造例2
4−(6−ブロモヘキサンアミド)―2,2,5,5−テトラメチルピペリジン−N−オキシル 258mg(0.74mmol)を100mlのナスフラスコに秤り取り、このものにエタノール 2mlを加えた。これにN,N−ジエチル−n−ドデシルアミン 0.5mlを加えアルゴン雰囲気下24時間加熱還流を行った。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し残査をエーテル 10mlにて10回洗浄した。得られた残査を乾燥すると目的化合物Bが353mg(収率88%)で得られた。
【0030】
【化3】
【0031】
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 0.78(t,J=6.1Hz,3H),1.05(d,J=3.2Hz,12H),1.11〜1.35(m,23H),1.48〜1.72(m,8H),2.09(t,J=7.2Hz,2H),2.92(s,6H),3.10〜3.27(m,2H),3.91〜4.08(m,1H).
【0032】
製造例3
4−(6−ブロモヘキサンアミド)―2,2,5,5−テトラメチルピペリジン−N−オキシル 258mg(0.74mmol)を100mlのナスフラスコに秤り取り、このものにエタノール 2mlを加えた。これにピリジン 0.5mlを加えアルゴン雰囲気下24時間加熱還流を行った。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し残査をエーテル 10mlにて10回洗浄した。得られた残査を乾燥すると目的化合物Cが278mg(収率98%)で得られた。
【0033】
【化4】
【0034】
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.16(d,J=3.2Hz,12H),1.23〜1.43(m,4H),1.63〜1.82(m,4H),1.93〜2.03(m,4H),2.38(t,J=7.0Hz,2H),3.96〜4.14(m,1H)4.62(t,J=7.0Hz,2H),8.10(t,J=7.0Hz,2H),8.58(t,J=7.6Hz,1H),8.99(d,J=6.0Hz,2H).
【0035】
製造例4
4−(6−ブロモヘキサンアミド)―2,2,5,5−テトラメチルピペリジン−N−オキシル 340mg(0.98mmol)を100mlのナスフラスコに秤り取り、このものにエタノール 3mlを加えた。これにN−メチルイミダゾール 1mlを加えアルゴン雰囲気下24時間加熱還流を行った。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し残査をエーテル 10mlにて10回洗浄した。得られた残査を乾燥すると目的化合物Dが409mg(収率97%)で得られた。
【0036】
【化5】
【0037】
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.16(m,12H),1.33〜1.50(m,4H),1.57〜1.76(m,4H),1.85〜1.96(m,2H),2.18(t,J=7.20Hz,2H),3.90(s,3H)4.01〜4.12(m,1H),4.19(t,J=7.2Hz,2H),6.95(s,1H),7.60(s,1H),8.92(s,1H).
【0038】
製造例5(化合物Aの還元型触媒の製造)
化合物Aの170mg(0.38mmol)を100mlのナスフラスコに秤り取り、塩化メチレン 5mlを加え十分に撹拌する。このものに1,2−ジフェニルヒドラジン 83.7mg(0.45mmol)を加えアルゴン雰囲気下室温にて3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮し、残査を酢酸エチル10mlにて10回洗浄した後、乾燥を行うと目的化合物E(化合物Aの還元型,130.7mg,76%)が得られた。
【0039】
【化6】
【0040】
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.05(d,J=3.6Hz,12H),1.11〜1.21(m,10H),1.21〜1.37(m,6H),1.48〜1.68(m,6H),2.09(t,J=7.4Hz,2H),3.03〜3.25(m,8H),3.88〜4.06(m,1H).
【0041】
実施例1
1−(p−クロロフェニル)エチルアルコール(109mg,0.7mmol)及び化合物A(30.1mg,0.07mmol)を秤り取り、次にイオン交換水(8ml)を加え、十分に撹拌する。この物に2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温下激しく撹拌しながら電流を30mAに保ちながら1.5時間電解酸化反応を行う(2.5F/mol)。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて抽出した後、減圧濃縮、シリカゲルカラム精製を行うと1−(p−クロロフェニル)エチル−1−オン(98.1mg,収率91%)が得られた。得られたケトン体の1HNMRは以下の通りである。
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 2.60(s,3H),7.44(d,J=8.3Hz,2H),7.90(d,J=8.4Hz,2H)
【0042】
実施例2〜5
実施例1において酢酸エチル抽出後に得られた水溶液をそのまま用いて4回(合計5サイクル)電解酸化反応を行った結果を下記に示す。後処理は実施例1と同様にし、抽出後の水層をそのまま繰り返し使用した。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例6〜12
電流と時間を以下の条件に変えた以外は実施例1と同様の反応を行った結果を示す。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例13〜22
電極を以下の電極に変えた以外は実施例1と同様の反応を行った結果を示す。
【0047】
【表3】
【0048】
実施例23〜28
イオン交換水に支持電解質を加えて実施例1と同様の反応を行った結果を示す。なお、支持電解質は水溶液として5重量%となるように調整した。
【0049】
【表4】
【0050】
実施例29〜33
原料アルコールを以下のアルコールに変えた以外は実施例1と同様の反応を行った結果を以下に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
実施例34
1,5−ペンタンジオール1b(144mg,1.00mmol)及び化合物A(43mg)を秤り取り、イオン交換水(5ml)を加え、十分に撹拌する。この物に2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温下激しく撹拌しながら電流を30mAに保ちながら2.7時間電解酸化反応を行う(3F/mol)。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルにて抽出した後減圧下濃縮する。得られた残査をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=7/1)を用いて精製するとδ−ラクトン2b(114mg,収率85%)が得られる。得られたラクトン体の1HNMRは以下の通りである。
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.15〜2.61(m,10H),3.93(d,J=8.8Hz,2H),4.18(dd,J=4.2,8.0Hz,2H)。
【0053】
【化7】
【0054】
実施例35
ジオール化合物1c(144mg,1.00mmol)及び化合物A(30.0mg,0.07mmol)を秤り取り、水5mlを加えて均一溶液とする。このものに2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温下激しく撹拌しながら電流を30mAに保ちながら4時間電解酸化反応を行う(4.5F/mol)。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルにて抽出した後減圧下溶媒を留去する。
得られた残査をシリカゲルカラム(酢酸エチル/ヘキサン=7/1)を用いて精製するとラクトン化合物2c(120mg,収率90%)が得られる。得られたケトン体の1HNMRは以下の通りである。
1HNMR(200MHz,CDCl3) δ 1.2〜2.6(m,10H),3.9(d,J=8.8Hz,1H),4.2(dd,J=4.2,8.0Hz,1H)。
【0055】
【化8】
【0056】
実施例36〜38
原料アルコールを以下のジオールに変えた以外は実施例34と同様の反応を行った結果を以下に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
実施例39(還元型化合物Eを用いた実施例)
1−(p−クロロフェニル)エチルアルコール(110mg,0.7mmol)及び化合物E(30.0mg,0.07mmol)を秤り取り、次にイオン交換水(8ml)を加え、十分に撹拌する。このものに2枚の白金電極(1.5×1.0cm2)を付し、室温下激しく撹拌しながら電流を30mAに保ちながら1.8時間電解酸化反応を行う(3F/mol)。反応終了後、反応液を酢酸エチルにて抽出した後、減圧濃縮、シリカゲルカラム精製を行うと1−(p−クロロフェニル)エチル−1−オン(100.1mg,収率93%)が得られた。得られたケトン体の1HNMRは実施例1と一致した。
【0059】
実施例40(次亜塩素酸ナトリウム水溶液による酸化)
1−(p−クロロフェニル)エチルアルコール(110mg,0.7mmol)及び化合物A(30.0mg,0.07mmol)を秤り取り、7%重曹水溶液5mlを加えて十分に攪拌する。この溶液を氷浴に浸し、1〜2℃まで冷却する。このものに、別途調整した次亜塩素酸ナトリウム溶液(1.1mmol活性酸素含有の5ml水溶液)を冷却したものをゆっくりと滴下する。滴下終了後、反応液をその温度で30分攪拌した。攪拌終了後、反応混合物を酢酸エチルにて抽出を行い、得られた有機層を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムにより精製を行うと1−(p−クロロフェニル)エチル−1−オン(99mg,収率92%)が得られた。得られたケトン体の1HNMRは実施例1と一致した。
【0060】
実施例41〜45
原料アルコール化合物を以下に代えた以外は実施例40と同様の反応を行った。結果を以下の表に示す。得られた化合物のNMRは実施例29〜33の化合物と一致した。
【0061】
【表7】
【0062】
実施例46〜48
原料アルコール化合物を以下に代えた以外は実施例40と同様の反応を行った。結果を以下の表に示す。得られた化合物のNMRは実施例36〜38の化合物と一致した。
【0063】
【表8】
【0064】
【発明の効果】
本発明においては、水溶性N−オキシル型化合物及びこれを用いた酸化触媒を新しく開発することが可能となった。
本発明によれば、原料になるアルコールの種類に関係なく、非常に簡便な反応操作で目的物を高収率で製造することができ、環境に悪影響を及ぼす恐れがある有機溶媒を使用する必要がなく、あらゆるタイプの工業生産に適応可能な、新規なアルコールの酸化方法を提供することができる。
また本発明によれば、従来の酸化法に見られる欠点を克服し、アルコール化合物を水中にて酸化し、高収率、高効率で目的とする、例えばアルデヒド、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステル、カルボン酸化合物等のアルコールよりも高次な酸化物を製造することが可能である。
また、電解酸化反応においては回収される水溶液は酸化触媒および支持電解質を含み、その溶液は性質上再処理されることなくそのままリサイクルされるため、実質的に電気のみを用いたクリーンな酸化反応の実現が可能となった。
Claims (8)
- AはC5の直鎖もしくは分岐状アルキレン基である、水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物からなる請求項1に記載の酸化触媒。
- 末端にアンモニウムイオンを有する水溶性N−オキシル化合物又はその還元型化合物からなる請求項1に記載の酸化触媒。
- アルコール化合物が、1価アルコール及び2価アルコールから選ばれる少なくとも1種である請求項5〜6のいずれかに記載の製造方法。
- アルコールより高次な酸化物がアルデヒド、ケトン、ラクトン、カルボン酸エステル、カルボン酸化合物である請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
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