JP4566311B2 - ゴーグル型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、使用者が頭部に装着して使用するゴーグル型の表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、使用者が頭部に装着して使用するゴーグル型の表示装置が普及してきている。このゴーグル型の表示装置は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)とも呼ばれ、映像を拡大してその虚像を形成するレンズ、およびそのレンズの焦点距離よりも近くに設置された液晶パネルのような表示装置を有している。使用者は、液晶パネルの表示をレンズを介して観察することによって、拡大された映像を鑑賞することができる。よって、小型でありながらも、大画面の表示を鑑賞することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、使用者は、レンズを介して虚像を観察しているため、眼の疲労が大きく、この疲労状態が続くと、最悪の場合には短時間の使用においても視力の低下を引き起こすことがあり、問題があった。
【0004】
そこで、本願発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、使用によって使用者が健康を害するのを防ぐゴーグル型表示システムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明によると、
2つの表示装置と、
外部映像信号供給装置より入力される第1の映像信号と、
外部の像を第2の映像信号に変換する2つの撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
前記2つの表示装置へ映像信号を供給する映像信号制御回路と、
を有するゴーグル型表示システムであって、
前記映像信号制御回路は、前記生体情報信号を数値処理した指数に基づき、前記2つの表示装置に前記第1の映像信号または前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示システムが提供される。
【0006】
本願発明によると、
2つの表示装置と、
外部映像信号供給装置より入力される第1の映像信号と、
外部の像を第2の映像信号に変換する2つの第1の撮像素子と、
使用者の眼の像を第3の映像信号に変換する2つの第2の撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
前記2つの表示装置へ映像信号を供給する映像信号制御回路と、
を有するゴーグル型表示システムであって、
前記映像制御回路は、前記第3の映像信号および前記生体情報信号を数値処理した指数に基づき、前記2つの表示装置に前記第1の映像信号または前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示システムが提供される。
【0007】
本願発明によると、
2つの表示装置と、
外部映像信号供給装置より入力される第1の映像信号と、
外部の像を第2の映像信号に変換する2つの撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
前記2つの表示装置へ映像信号を供給する映像信号制御回路と、
を有するゴーグル型表示システムであって、
前記映像信号制御回路は、前記生体情報信号を数値処理して得たカオスアトラクター指数に基づき前記使用者の疲労の程度を算出し、
前記疲労の程度があらかじめ設定されたレベル以下の場合には、前記映像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第1の映像信号を供給し、
前記疲労の程度が前記あらかじめ設定されたレベルを超える場合には、前記映像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示システムが提供される。
【0008】
本願発明によると、
2つの表示装置と、
外部映像信号供給装置より入力される第1の映像信号と、
外部の像を第2の映像信号に変換する2つの撮像素子と、
使用者の眼の像を第3の映像信号に変換する2つの撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
前記2つの表示装置へ映像信号を供給する映像信号制御回路と、
を有するゴーグル型表示システムであって、
前記映像信号制御回路は、前記第3の映像信号および前記生体情報信号を数値処理して得たカオスアトラクター指数に基づき前記使用者の疲労の程度を算出し、
前記疲労の程度があらかじめ設定されたレベル以下の場合には、前記映像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第1の映像信号を供給し、
前記疲労の程度が前記あらかじめ設定されたレベルを超える場合には、前記映像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示システムが提供される。
【0009】
また、前記第1の撮像素子は、CCD撮像素子またはイメージセンサであってもよい。
【0010】
前記第2の撮像素子は、CCD撮像素子またはイメージセンサであってもよい。
【0011】
前記使用者の生体情報は、脈波、血圧、体温または瞳孔の開き度合であってもよい。
【0012】
前記センサは、脈波センサ、血圧センサまたは体温センサであってもよい。
【0013】
前記脈波センサ、血圧センサまたは体温センサは、ヘッドホンに設置されてもよい。
【0014】
前記イメージセンサは、前記表示装置と一体形成されているようにしてもよい。
【0015】
前記表示装置は、反射型液晶表示装置であってもよい。
【0016】
前記表示装置のバックライトには、赤色LED、緑色LED、および青色LEDが用いられてもよい。
【0017】
前記表示装置は、フィールドシーケンシャル方式で駆動されるようにしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
【0019】
以下に本願発明の実施の形態の例を説明する。なお、以下の実施形態は好ましい例であり、本願発明のゴーグル型表示装置システムは、以下の実施の形態に限定されるわけではない。
【0020】
(実施形態1)
図1に本実施形態のゴーグル型表示装置システムの概略構成図が示してある。
101はゴーグル型表示装置である。102−LおよびRはLCDパネル(液晶パネル)である。なお本明細書では、符号の後に(−R)および(−L)といった符号が付けていることがあるが、これらの符号はそれぞれ右眼用、左眼用の構成要素であることを意味する。105−LおよびRはLEDバックライトであり、それぞれ導光板103(図示せず)およびLED104(図示せず)を有している。LED104には、赤色、緑色および青色の複数のLEDが含まれており、全体として白色光源としての役割を果たしている。導光板103は、前記複数のLEDから照射される光をLCDパネル102の表示部全面に均一に照射する為のものである。106−LおよびRはレンズである。107−LおよびRはCCD撮像素子であり、それぞれ使用者の左眼、右眼の像を撮影し第3の映像信号Lおよび第3の映像信号Rに変換する。108−LおよびRはCCD撮像素子であり、それぞれ外部の景色(像)を撮影し第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rに変換する。109は画像信号制御回路であり、外部装置からの第1の映像信号Lおよび第1の映像信号Rならびに使用者の生体情報信号が入力され、またCCD撮像素子107−Lおよび107−Rから第3の映像信号Lおよび第3の映像信号RならびにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rから第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rが入力される。また、画像信号制御回路109は、LCDパネル102−Lおよび102−Rに、それぞれ映像信号L、映像信号Rを供給する。110−Lおよび110−Rは、それぞれ使用者の左眼、右眼である。
【0021】
本実施形態のゴーグル型表示システムは、これらの構成要素の他にも、使用者の生体情報を得て生体情報信号に変換するためのセンサや、音声や音楽などを出力するためのスピーカやヘッドホン、映像信号を供給するビデオデッキやコンピュータ等を有している。
【0022】
図2は、図1に示した本実施形態のゴーグル型表示装置システムの構成を斜視図により示したものである。
【0023】
図3は、本実施形態のゴーグル型表示装置の外観図である。なお、図3は透視図としているので、各構成要素が示されている。
【0024】
なお、使用者の眼をモニターするCCD撮像素子107−Lおよび107−Rならびに外部の像を撮影するCCD撮像素子108−Lおよび108−Rの配置は、図3に示される配置に限られることはない。設計次第で、これらのCCD撮像装置の配置を変更することは可能である。
【0025】
本実施形態では、LEDバックライトを用いてLCDパネルをフィールドシーケンシャル駆動することによって表示を行う。
図18にフィールドシーケンシャル駆動方法のタイミングチャートを示す。フィールドシーケンシャル駆動方法のタイミングチャートには、映像信号書き込みの開始信号(Vsync信号)、赤(R)、緑(G)ならびに青(B)のLEDの点灯タイミング信号(R、GならびにB)、および映像信号(VIDEO)が示されている。Tfはフレーム期間である。また、TR、TG、TBは、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)のLED点灯期間である。
【0026】
LCDパネルに供給される映像信号、例えばR1は、外部から入力される赤に対応する元の映像信号が時間軸方向に1/3に圧縮された信号である。また、LCDパネルに供給される映像信号、例えばG1は、外部から入力される緑に対応する元の映像信号が時間軸方向に1/3に圧縮された信号である。また、LCDパネルに供給される映像信号、例えばB1は、外部から入力される青に対応する元の映像信号が時間軸方向に1/3に圧縮された信号である。
【0027】
フィールドシーケンシャル駆動方法においては、LED点灯期間TR期間、TG期間およびTB期間に、それぞれR、G、BのLEDが順に点灯する。赤のLEDの点灯期間(TR)には、赤に対応した映像信号(R1)がLCDパネルに供給され、LCDパネルに赤の画像1画面分が書き込まれる。また、緑のLEDの点灯期間(TG)には、緑に対応した映像信号(G1)がLCDパネルに供給され、LCDパネルに緑の画像1画面分が書き込まれる。また、青のLEDの点灯期間(TB)には、青に対応した映像信号(B1)がLCDパネルに供給され、LCDパネルに青の画像1画面分が書き込まれる。これらの3回の画像の書き込みにより、1フレームが形成される。
【0028】
よってフィールドシーケンシャル駆動方法によるカラーLCDパネルは、従来のカラー表示装置の3倍の解像度が得られる。
【0029】
なお、本実施形態のゴーグル型表示装置においては、陰極管のバックライトを用いて表示を行ってもよい。
【0030】
ここで、本実施形態のゴーグル型表示システムの動作および機能について説明する。図1を再び参照する。本実施形態のゴーグル型表示システムは、通常の使用時には、画像信号制御回路が外部装置より供給される第1の映像信号Lおよび第1の映像信号RをLCDパネル102−Lおよび102−Rに供給する。外部装置の例としては、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末やビデオデッキが挙げられる。使用者は、LCDパネル102−Lおよび102−Rに映し出された映像をレンズ106−Lおよび106−Rを通して観察する。使用者は、LCDパネルに映し出される映像を、実際にLCDパネルがある位置よりも遠くに拡大された映像(虚像)として観察する。
【0031】
本実施形態のゴーグル型表示装置101には、使用者の眼球をモニターし、眼の像を電気信号に変換するCCD撮像素子107−Lおよび107−Rが設けられている。これらのCCD撮像素子107−Lおよび107−Rは、使用中、使用者の眼の像をモニターし、眼の映像信号(第3の映像信号)を画像信号制御回路109に入力する。画像信号制御回路109は、入力された眼の映像信号(第3の映像信号)を数値処理し、使用者の眼の充血度を算出する。
【0032】
また、本実施形態のゴーグル型表示装置システムには、図4に示されるようなヘッドホン401が備えられている。図4において、402−Rおよび402−Lははスピーカ部である。403はバンドである。404は脈波センサであり、使用者の耳の一部にフィットするようになっており、使用者の脈波を検出する。
405はアンテナであり、外部装置から音声や音楽の電波を受信し、脈波センサによる使用者の脈波の情報をゴーグル型表示装置101の画像信号制御回路109に送信する。
【0033】
図5を参照する。図5には、本実施形態のゴーグル型表示装置システムの動作フローチャートが示されている。本実施形態のゴーグル型表示装置においては、通常は、画像信号制御回路は、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータやビデオデッキ)からの第1の映像信号をLCDパネルに供給する。ヘッドホンに備えられた脈波センサによって測定された脈波情報が画像信号制御回路109に入力される。なお、本実施形態においては、センサからの生体情報信号を画像信号制御回路109に入力するようになっているが、センサからの生体情報信号を一度外部装置に送信し、その後外部装置から生体情報信号を画像信号制御回路109へ入力するようにしてもよい。
【0034】
使用者の脈波があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、"脈波正常"と判断され、次のステップに進む。使用者の脈波があらかじめ設定された値よりも大きい場合には、"脈波異常"と判断され、LCDパネルにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。
【0035】
また、CCD撮像装置107−Lおよび107−Rによって撮影された使用者の眼の映像信号は、画像信号制御回路109に入力される。画像信号制御回路109は、使用者の眼の映像信号を画像処理し、使用者の眼の充血度を算出する。
【0036】
使用者の眼の映像信号に基づいて算出された使用者の眼の充血度があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、"充血度正常"と判断され、次の通常のステップに進む。使用者の眼の充血度があらかじめ設定された値よりも大きい場合には、"充血度異常"と判断され、LCDパネルにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。
【0037】
以上の動作が繰り返される。
【0038】
なお、図14に示す様に、使用者の様々な部位(a〜e等)から、使用者の生体情報を得ることができる。
【0039】
上述したように、使用者の脈波異常または眼の充血度異常が認識された場合には、外部装置から供給される第1の映像信号をLCDパネルに表示することを停止し、その代わりにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。こうすることによって、使用者に身体の異常を警告するとともに、外部の景色を見せることでリラックスさせることができる。
【0040】
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態1のゴーグル型表示装置の構成に加えて、血圧センサを設けた場合について説明する。なお、血圧センサを設けること以外は、実施形態1と同じであるので、構成の詳細については、実施形態1を参照することができる。
【0041】
図6を参照する。図6には、本実施形態のゴーグル型表示装置システムの動作フローチャートが示されている。本実施形態のゴーグル型表示システムは、通常の使用時には、画像信号制御回路が外部装置より供給される第1の映像信号L、RをLCDパネル102−Lおよび102−Rに供給する。
【0042】
実施形態1で説明したように、使用者の脈波があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、"脈波正常"と判断され、次の通常のステップに進む。使用者の脈波があらかじめ設定された値よりも大きい場合には、"脈波異常"と判断され、LCDパネルにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。
【0043】
次に、使用者の血圧情報をセンサにより得る。この血圧情報は、画像信号制御回路に入力される。使用者の血圧があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、"血圧正常"と判断され、次のステップに進む。使用者の血圧があらかじめ設定された値よりも大きい場合には、"血圧異常"と判断され、LCDパネルにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。
【0044】
また、使用者の眼の映像信号に基づいて算出された使用者の眼の充血度があらかじめ設定された値よりも小さい場合には、"充血度正常"と判断され、通常の次のステップに進む。使用者の眼の充血度があらかじめ設定された値よりも大きい場合には、"充血度異常"と判断され、LCDパネルにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。
【0045】
このように本実施形態においても、使用者の脈波異常、血圧異常または眼の充血度異常が認識された場合には、外部装置から供給される第1の映像信号をLCDパネルに表示することを停止し、その代わりにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。こうすることによって、使用者に身体の異常を警告するとともに、外部の景色を見せることでリラックスさせることができる。
【0046】
(実施形態3)
本実施形態のゴーグル型表示装置システムは、上記実施形態1のゴーグル型表示装置システムと構成は同じであるが、使用者の生体情報によって外部装置からの映像と、CCD撮像装置からの外部の映像とを切り替える判断を、カオス理論を用いて行う。
【0047】
図7を参照する。本実施形態のゴーグル型表示装置システムは、脈波センサ、血圧センサ、体温センサまたは使用者の眼を撮影するCCD撮像装置からの生体情報に基づき、カオスアトラクター情報を得る。
【0048】
まず、カオスとは何かを説明することにする。自然界や人工の世界では、予測可能な現象が多く見られる。ハレー彗星や人工衛星の位置を予測し、対応することもできる。原因と結果の関係が明瞭である決定論的予測可能性こそ、科学の偉大なる力の一つである様に思われる。
【0049】
しかし、天気予報は、物理の法則に従う大気の運動の様に考えられるがしばしばはずれる。このような原因と結果が不明瞭にみえる現象は、乱雑な要素をもつといわれ、基本的には、系を記述する完全なパラメータが明らかであれば、言い換えれば、系についての情報を十分収集可能であれば、正確な予測が可能であると信じられていた。
【0050】
すなわち、乱雑性は、多自由度系に対する情報不足のために生ずると考えられていたのである。しかしながら、少数の自由度(3次元以上)しか持たない簡単な系ですら、乱雑な挙動を示す事があるという発見により、決定論的でありながら乱雑さが本質であるものが存在することが見出された。このような乱雑さをカオスと呼ぶ様になった。
【0051】
しかし、カオスの概念は未だ統一されているわけではない。進化論と同様にその定義は広域にわたり、対象によってその概念は一人歩きしている感さえある。
そのため、本明細書においては、あえて次のようにまとめる。
【0052】
カオスとは、決定論的な規則をもつ系であるにもかかわらず、非常に複雑な振舞が非線型として表れる結果、本質的にランダムになる現象を意味する。そして、一見、規則性、予測性のない乱雑な無秩序に見える現象の背後にも複雑な秩序や法則性が存在することを示している。
【0053】
また、カオスの挙動を特徴づけるトポロジーをカオスアトラクターと呼び、これはカオスを生成するシステムの挙動が収束する数学的構造体である。
【0054】
これらの観点から、身体より検出される脈波は、カオス的振る舞いをすることが知られており、学会等においては、この分野における第一人者によって指尖脈波が示すカオスの心身情報として報告され、同時に同一人によりこのカオスを利用した医療診断方法が特許出願されている(特開平4−208136)。
【0055】
そこで、本実施形態のゴーグル型表示装置システムにおいては、使用者より得られた脈波、血圧等の生体情報を数値処理して得たカオスアトラクターと、このデーターがカオスの定義条件に適合する程度を示すリアプノフ数とが、使用者の身体の心身情報との相関があることを積極的に利用するものである。
【0056】
このことに基づいて、使用者より採取した脈波、血圧、眼の充血度、体温等を数値処理して得たカオスアトラクターを生成することにより使用者の生体情報を得る。このデーターがカオスの定義条件に適合する程度を示す数値であるリアプノフ数とから使用者の心身の状態を把握することが可能となる。
【0057】
この脈波を得る手段の一例として赤外線発光ダイオードとフォトセンサーとを組み合わせたセンサーや半導体圧力センサーを利用したものがある。
【0058】
ここで、心身状態と脈波のカオスアトラクターの関係は次のようである。
(1)脈波のカオスアトラクターは精神心理状態を敏感に反映し、特有のトポロジーを示す。
(2)脈波から得られるカオスアトラクターは人に共通の基本構造の上に、個人特有の構造を持ち、更に精神心理状態や病気によって変化する。
(3)一般に精神心理状態や、生理状態が不安定になったり、病気になると、アトラクターの全体構造が単純化、無構造化し、小さくなる。また、リズムには機械的で単調な周期構造が現れる。すなわち、よりカオス的ではなくなる。
(4)健康状態では、全体構造は複雑でダイナミック、局所構造も巻き込み、ねじれ、スクリュー構造などの複雑な構造を示す。そして、リズムは脱周期的になる。即ち、健康な生体はカオスであり、カオスで満ちている。
(5)意識を集中するとカオスアトラクターは複雑になり、巻き込み、ねじれなどの局所構造が現れ、或る域値以上のストレスがかかり、疲労すると構造は単純になり、局所構造が消失する。
【0059】
以上のような考え方により、使用者の現在の状態を数種類に場合分けし、その場合わけに従って、LCDパネルに表示する映像を切り替えることができる。
【0060】
ここで、再び図7を参照する。本実施形態のゴーグル型表示装置は、通常は、外部装置からの映像信号をLCDパネルに供給する。
【0061】
使用者より得られた生体情報(脈波、血圧、体温等)が画像信号制御回路に入力される。画像信号制御回路は、前記生体情報を数値処理し、既に設定してあるレベルに見合うかどうか判断を行い、その程度に合わせてリアプノフ指数を算出する。この数値演算処理ならびにリアプノフ指数の算出にはコンピュータ処理を必要とするが、この処理法ならびに処理後のカオスアトラクターの表現は特に算出式、処理手続が固定されているわけではなく、任意に表現処理することができる。
【0062】
また、リアプノフ指数を算出するために既に設定しているレベルはカオスアトラクターの分類整理の仕方によりいくとおりにも設定することができる。例えば『興奮状態』と『それ以外』と言う設定を行えば2段階であるが、この2段階に加えて『意識集中』と『意識散漫』を加えると合計4段階となり、また、『疲労状態』と『疲労していない状態』とを加えると合計6段階となる。この段階に対して、LCDパネルに供給する映像を切り替える。つまり、『疲労状態』にあるときは、外部装置から供給される第1の映像信号をLCDパネルに表示することを停止し、その代わりにCCD撮像素子108−Lおよび108−Rによって撮影された外部の景色が表示される。こうすることによって、使用者に身体の異常を警告するとともに、外部の景色を見せることでリラックスさせることができる。
【0063】
なお、カオス理論については、本願出願人による、米国特許5,395,110号、米国特許5,800,265号、日本国特許2722302号、日本国特許2673768号、日本国特許2722303号、日本国特許出願特開平6-134098号公報、および日本国特許出願特開平8-229236号公報に記載の技術を適用することができる。
【0064】
(実施形態4)
本実施形態のゴーグル型表示システムは、上述の実施形態1〜3で説明したゴーグル型表示装置システムとは構成が少し異なる。図8に本実施形態のゴーグル型表示装置システムの概略構成図が斜視図で示してある。802−Lおよび802−RはLCDパネルである。803−Lおよび803−Rは導光板である。804−Lおよび804−RはLEDである。導光板803−Lおよび803−RならびにLED804−Lおよび804−Rは、LEDバックライト805−Lおよび805−Rを構成する。LED804には、赤色、緑色および青色の複数のLEDが含まれており、全体として白色光源としての役割を果たしている。導光板803は、前記複数のLEDから照射される光をLCDパネル802に均一に照射する為のものである。806−Lおよび806−Rはレンズである。807−Lおよび807−RはCCD撮像素子であり、それぞれ使用者の左眼、右眼の像を撮影し第3の映像信号Lおよび第3の映像信号Rに変換する。808−Lおよび808−RはCCD撮像素子であり、それぞれ外部の景色(像)を撮影し第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rに変換する。809−Lおよび809−Rはミラーであり、LCDパネルの映像をレンズに入射させるためのものである。
【0065】
また、図8には図示されていないが、本実施形態のゴーグル型表示装置は、画像信号制御回路810を有している。画像信号制御回路810は、外部より、外部装置からの第1の映像信号および使用者の生体情報信号が入力され、またCCD撮像素子807−Lおよび807−Rから第3の映像信号Lおよび第3の映像信号RならびにCCD撮像素子808−Lおよび808−Rから第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rが入力される。また、画像信号制御回路810は、LCDパネル802−LおよびRに、それぞれ映像信号L、映像信号Rを供給する。
【0066】
本実施形態のゴーグル型表示システムは、これらの構成要素の他にも、使用者の生体情報を得て生体情報信号に変換するためのセンサや、音声や音楽などを出力するためのスピーカやヘッドホン等を有している。
【0067】
図9は、本実施形態のゴーグル型表示装置の外観図である。なお、図9は透視図としているので、各構成要素が示されている。
【0068】
なお、使用者の眼をモニターするCCD撮像素子807−Lおよび807−Rならびに外部の像を撮影するCCD撮像素子808−Lおよび808−Rの配置は、図8に示される配置に限られることはない。設計次第で、これらのCCD撮像装置の配置を変更することは可能である。
【0069】
なお、本実施形態のゴーグル型表示装置においては、LCDパネルのバックライトにLEDバックライトを用いているが、陰極管のバックライトを用いてもよい。
【0070】
本実施形態のゴーグル型表示装置の動作については、上述の実施形態1〜3のいずれをも参照することができる。
【0071】
(実施形態5)
本実施形態のゴーグル型表示装置は、使用者の眼をモニターするCCD撮像装置を省略し、その代わりにLCDパネル上に一体形成されたイメージセンサを用いて使用者の眼をモニターする。
【0072】
図10に本実施形態のゴーグル型表示装置システムの概略構成図が示してある。1001はゴーグル型表示装置である。1002−Lおよび1002−Rはイメージセンサ内蔵LCDパネルである。これらのLCDパネル1002−Lおよび1002−Rに内蔵されているイメージセンサは、使用者の眼の像を第3の映像信号LおよびRに変換する。1005−Lおよび1005−RはLEDバックライトであり、それぞれ導光板1003(図示せず)およびLED1004(図示せず)を有している。1006−Lおよび1006−Rはレンズである。1007−Lおよび1007−RはCCD撮像素子であり、それぞれ外部の景色(像)を撮影し第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rに変換する。1009は画像信号制御回路であり、外部より、外部装置からの第1の映像信号および使用者の生体情報信号が入力され、またCCD撮像素子1007−Lおよび1007−Rから第2の映像信号Lおよび第2の映像信号RならびにLCDパネル1002−Lおよび1002−Rに内蔵されたイメージセンサから第3の映像信号Lおよび第3の映像信号Rが入力される。また、画像信号制御回路1009は、LCDパネル1002−Lおよび1002−Rに、それぞれ映像信号L、映像信号Rを供給する。
【0073】
本実施形態のゴーグル型表示システムは、これらの構成要素の他にも、使用者の生体情報を得て生体情報信号に変換するためのセンサや、音声や音楽などを出力するためのスピーカやヘッドホン等を有している。
【0074】
図11は、図10に示した本実施形態のゴーグル型表示装置システムの構成を斜視図により示したものである。
【0075】
図15には、本実施形態のゴーグル型表示システムに用いられるイメージセンサ内蔵LCDパネルの一例を示したものである。なお、図15には、比較的小さなイメージセンサが4つ内蔵されたLCDパネルが示されているが、これに限られるわけではない。
【0076】
本実施形態のゴーグル型表示装置の動作については、上述の実施形態1〜3のいずれをも参照することができる。
【0077】
(実施形態6)
本実施形態のゴーグル型表示装置は、使用者の眼をモニターするCCD撮像装置および外部の景色をモニターするCCD撮像装置を省略し、その代わりにLCDパネル上に一体形成されたイメージセンサを用いて使用者の眼および外部の景色をモニターする。
【0078】
図12に本実施形態のゴーグル型表示装置システムの概略構成図が示してある。1201はゴーグル型表示装置である。1202−Lおよび1202−Rはイメージセンサ内蔵LCDパネルである。これらのLCDパネル1202−Lおよび1202−Rに内蔵されているイメージセンサは、使用者の眼の像を第3の映像信号LおよびRに変換し、外部の景色(像)を撮影し第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rに変換する。1205−Lおよび1205−RはLEDバックライトであり、それぞれ導光板1203(図示せず)およびLED1204(図示せず)を有している。1206−Lおよび1206−Rはレンズである。1209は画像信号制御回路であり、外部より、外部装置からの第1の映像信号および使用者の生体情報信号が入力され、またLCDパネル1202−Lおよび1202−Rに内蔵されたイメージセンサから第2の映像信号Lおよび第2の映像信号Rならびに第3の映像信号Lおよび第3の映像信号Rが入力される。また、画像信号制御回路1209は、LCDパネル1202−Lおよび1202−Rに、それぞれ映像信号L、映像信号Rを供給する。
【0079】
本実施形態のゴーグル型表示システムは、これらの構成要素の他にも、使用者の生体情報を得て生体情報信号に変換するためのセンサや、音声や音楽などを出力するためのスピーカやヘッドホン等を有している。
【0080】
図13は、図12に示した本実施形態のゴーグル型表示装置システムの構成を斜視図により示したものである。
【0081】
本実施形態のゴーグル型表示装置の動作については、上述の実施形態1〜3のいずれをも参照することができる。
【0082】
(実施形態7)
ここで、上記実施形態1〜6で用いたLCDパネルの作製方法例を以下に説明する。本実施形態では、絶縁表面を有する基板上に複数のTFT(薄膜トランジスタ)を形成し、表示部となるアクティブマトリクス回路、ソース信号線駆動回路、ゲイト信号線駆動回路、デジタルデータ分割回路、および他の周辺回路等を同一基板上に形成する例を図16および図17に示す。なお、以下の例では、アクティブマトリクス回路の1つの画素TFTと、他の回路(ソース信号線駆動回路、ゲイト信号線駆動回路、および他の周辺回路)の基本回路であるCMOS回路とが同時に形成される様子を示す。また、以下の例では、CMOS回路においてはPチャネル型TFTとNチャネル型TFTとがそれぞれ1つのゲイト電極を備えている場合について、その作製工程を説明するが、ダブルゲイト型やトリプルゲイト型のような複数のゲイト電極を備えたTFTによるCMOS回路をも同様に作製することができる。また、以下の例では、画素TFTはダブルゲイトのNチャネル型TFTであるが、シングルゲイト、トリプルゲイト等のTFTとしてもよい。
【0083】
図16および図17を参照する。まず基板7001には、例えばコーニング社の1737ガラス基板に代表される無アルカリガラス基板を用いた。そして、基板7001のTFTが形成される表面に、酸化珪素で成る下地膜7002を200nmの厚さに形成した。下地膜7002は、さらに窒化珪素膜を積層させても良いし、窒化珪素膜のみであっても良い。また、下地膜7002は、窒化酸化珪素膜と酸化珪素膜との積層構造としてもよい。
【0084】
次に、この下地膜7002の上に50nmの厚さで、非晶質珪素膜をプラズマCVD法で形成した。非晶質珪素膜の含有水素量にもよるが、好ましくは400〜500℃に加熱して脱水素処理を行い、非晶質珪素膜の含有水素量を5atm%以下として、結晶化の工程を行って結晶性珪素膜とした。
【0085】
この結晶化の工程は、公知のレーザー結晶化技術または熱結晶化の技術を用いれば良い。本実施形態では、パルス発振型のKrFエキシマレーザー光を線状に集光して非晶質シリコン膜に照射して、結晶性シリコン膜とした。
【0086】
尚、本実施形態では初期膜を非晶質シリコン膜として用いたが、初期膜として微結晶シリコン膜を用いても構わないし、直接結晶性シリコン膜を成膜しても良い。
【0087】
こうして形成された結晶性シリコン膜をパターニングして、島状の半導体活性層7003、7004、7005を形成した。
【0088】
次に、半導体活性層7003、7004、7005を覆って、酸化珪素または窒化珪素を主成分とするゲート絶縁膜7006を形成した。ここではプラズマCVD法で窒化酸化珪素膜を100nmの厚さに形成した。そして、図16では説明しないが、ゲート絶縁膜7006の表面に第1のゲート電極を構成する、第1の導電膜としてタンタル(Ta)を10〜200nm、例えば50nmさらに第2の導電膜としてアルミニウム(Al)を100〜1000nm、例えば200nmの厚さでスパッタ法で形成した。そして、公知のパターニング技術により、第1のゲート電極を構成する第1の導電膜7007、7008、7009、7010と、第2の導電膜の7012、7013、7014、7015が形成された。
【0089】
第1のゲート電極を構成する第2の導電膜として、アルミニウムを用いる場合には、純アルミニウムを用いても良いし、チタン、珪素、スカンジウムから選ばれた元素が0.1〜5atm%添加されたアルミニウム合金を用いても良い。また銅を用いる場合には、図示しないが、ゲート絶縁膜7006の表面に窒化珪素膜を設けておくと好ましい。
【0090】
また、図16では画素マトリクス回路を構成するnチャネル型TFTのドレイン側に保持容量部を設ける構造となっている。このとき、第1のゲート電極と同じ材料で保持容量部の配線電極7011、7016が形成される。
【0091】
こうして図16(A)に示す構造が形成されたら、1回目のn型不純物を添加する工程を行った。結晶性半導体材料に対してn型を付与する不純物元素としては、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)などが知られているが、ここでは、リンを用い、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行った。この工程では、ゲート絶縁膜7006を通してその下の半導体層にリンを添加するために、加速電圧は80keVと高めに設定した。また、こうして形成された不純物領域は、後に示すnチャネル型TFTの第1の不純物領域7034、7042、7046を形成するもので、LDD領域として機能するものである。従ってこの領域のリンの濃度は、1×1016〜1×1019atms/cm3の範囲にするのが好ましく、ここでは1×1018atms/cm3とした。
【0092】
半導体活性層中に添加された前記不純物元素は、レーザーアニール法や、熱処理により活性化させる必要があった。この工程は、ソース・ドレイン領域を形成する不純物添加の工程のあと実施しても良いが、この段階でレーザーアニール法により活性化させることは効果的であった。
【0093】
この工程で、第1のゲート電極を構成する第1の導電膜7007、7008、7009、7010と第2の導電膜7012、7013、7014、7015はリンの添加に対してマスクとして機能した。その結果ゲート絶縁膜を介して存在する半導体層の第1のゲート電極の真下の領域には、まったく、あるいは殆どリンが添加されなかった。そして、図16(B)に示すように、リンが添加された低濃度不純物領域7017、7018、7019、7020、7021、7022、7023が形成された。
【0094】
次にフォトレジスト膜をマスクとして、nチャネル型TFTを形成する領域をレジストマスク7024、7025で覆って、pチャネル型TFTが形成される領域のみに、p型を付与する不純物添加の工程を行った。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、が知られているが、ここではボロンをその不純物元素として、イオンドープ法でジボラン(B2H6)を用いて添加した。ここでも加速電圧を80keVとして、2×1020atms/cm3の濃度にボロンを添加した。そして、図16(C)に示すようにボロンが高濃度に添加された領域7026、7027が形成された。この領域は後にpチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となる。
【0095】
そして、レジストマスク7024、7025を除去した後、第2のゲート電極を形成する工程を行った。ここでは、第2のゲート電極の材料にタンタル(Ta)を用い、100〜1000nm、例えば200nmの厚さに形成した。そして、公知の技術によりパターニングを行い、第2のゲート電極7028、7029、7030、7031が形成された。この時、第2のゲート電極の長さは5μmとなるようにパターニングした。結果として、第2のゲート電極は、第1のゲート電極の両側にそれぞれ1.5μmの長さでゲート絶縁膜と接する領域が形成された。
【0096】
また、画素マトリクス回路を構成するnチャネル型TFTのドレイン側に保持容量部が設けられるが、この保持容量部の電極7032は第2のゲート電極と同時に形成された。
【0097】
そして、第2のゲート電極7028、7029、7030、7031をマスクとして、2回目のn型を付与する不純物元素を添加する工程を行った。ここでは同様に、フォスフィン(PH3)を用いたイオンドープ法で行った。この工程でも、ゲート絶縁膜7006を通してその下の半導体層にリンを添加するために、加速電圧は80keVと高めに設定した。そして、ここでリンが添加される領域は、nチャネル型TFTでソース領域7035、7043、及びドレイン領域7036、7047として機能させるため、この領域のリンの濃度は、1×1019〜1×1021atms/cm3とするのが好ましく、ここでは1×1020atms/cm3とした。
【0098】
また、ここで図示はしないが、ソース領域7035、7043、及びドレイン領域7036、7047を覆うゲート絶縁膜を除去して、その領域の半導体層を露出させ、直接リンを添加しても良い。この工程を加えると、イオンドープ法の加速電圧を10keVまで下げることができ、また、効率良くリンを添加することができた。
【0099】
また、pチャネル型TFTのソース領域7039とドレイン領域7040にも同じ濃度でリンが添加されるが、前の工程でその2倍の濃度でボロンが添加されているため、導電型は反転せず、pチャネル型TFTの動作上何ら問題はなかった。
【0100】
それぞれの濃度で添加されたn型またはp型を付与する不純物元素は、このままでは活性化せず有効に作用しないので、活性化の工程を行う必要があった。この工程は、電気加熱炉を用いた熱アニール法や、前述のエキシマレーザーを用いたレーザーアニール法や、ハロゲンランプを用いたラピットサーマルアニール法(RTA法)で行うことができた。
【0101】
熱アニール法では、窒素雰囲気中において550℃、2時間の加熱処理をして活性化を行った。本実施形態では、第1のゲート電極を構成する第2の導電膜にアルミニウムを用いたが、タンタルで形成された第1の導電膜と第2のゲート電極がアルミニウムを覆って形成されているため、タンタルがブロッキング層として機能して、アルミニウム原子が他の領域に拡散することを防ぐことができた。
また、レーザーアニール法では、パルス発振型のKrFエキシマレーザー光を線状に集光して照射することにより活性化が行われた。また、レーザーアニール法を実施した後に熱アニール法を実施すると、さらに良い結果が得られた。またこの工程は、イオンドーピングによって結晶性が破壊された領域をアニールする効果も兼ね備えていて、その領域の結晶性を改善することもできた。
【0102】
以上までの工程で、ゲート電極を第1のゲート電極と、その第1のゲート電極を覆って第2のゲート電極を設けられ、nチャネル型TFTでは、第2のゲート電極の両側にソース領域とドレイン領域が形成された。また、ゲート絶縁膜を介して半導体層に設けられた第1の不純物領域と、第2のゲート電極がゲート絶縁膜に接している領域とが、重なって設けられた構造が自己整合的に形成された。
一方、pチャネル型TFTでは、ソース領域とドレイン領域の一部が第2のゲート電極とオーバーラップして形成されているが、実使用上何ら問題はなかった。
【0103】
図16(D)の状態が得られたら、第1の層間絶縁膜7049を1000nmの厚さに形成した。第1の層間絶縁膜7049としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、有機樹脂膜、およびそれらの積層膜をもちいることができる。本実施形態では、図示しないが、最初に窒化珪素膜を50nm形成し、さらに酸化珪素膜を950nm形成した2層構造とした。
【0104】
第1の層間絶縁膜7049はその後、パターニングでそれぞれのTFTのソース領域と、ドレイン領域にコンタクトホールが形成された。そして、ソース電極7050、7052、7053とドレイン電極7051、7054が形成した。
図示していないが、本実施形態ではこの電極を、チタン膜を100nm、チタンを含むアルミニウム膜300nm、チタン膜150nmをスパッタ法で連続して形成した3層構造の膜を、パターニングして形成した。
【0105】
こうして図16(E)に示すように、基板7001上にCMOS回路と、アクティブマトリクス回路が形成された。また、アクティブマトリクス回路のnチャネル型TFTのドレイン側には、保持容量部が同時に形成された。以上のようにして、アクティブマトリクス基板が作製された。
【0106】
次に、図17を用いて、以上の工程によって同一の基板に作製されたCMOS回路と、アクティブマトリクス回路をもとに、LCDパネルを作製する工程を説明する。最初に、図16(E)の状態の基板に対して、ソース電極7050、7052、7053とドレイン電極7051、7054と、第1の層間絶縁膜7049を覆ってパッシベーション膜7055を形成した。パッシベーション膜7055は、窒化珪素膜で50nmの厚さで形成した。さらに、有機樹脂からなる第2の層間絶縁膜7056を約1000nmの厚さに形成した。有機樹脂膜としては、ポリイミド、アクリル、ポリイミドアミド等を使用することができる。有機性樹脂膜を用いることの利点は、成膜方法が簡単である点や、比誘電率が低いので、寄生容量を低減できる点、平坦性に優れる点などが上げられる。なお上述した以外の有機性樹脂膜を用いることもできる。ここでは、基板に塗布後、熱重合するタイプのポリイミドを用い、300℃で焼成して形成した。
【0107】
次に、第2の層間絶縁膜7056の画素領域の一部の上に、遮光層7057を形成した。遮光層7057は金属膜や顔料を含ませた有機樹脂膜で形成すれば良いものである。ここでは、チタンをスパッタ法で形成した。
【0108】
遮光膜7057を形成したら、第3の層間絶縁膜7058を形成する。この第3の層間絶縁膜7058は、第2の層間絶縁膜7056と同様に、有機樹脂膜を用いて形成すると良い。そして、第2の層間絶縁膜7056と第3の層間絶縁膜7058とにドレイン電極7054に達するコンタクトホールを形成し、画素電極7059を形成した。画素電極7059は、透過型液晶表示装置とする場合には透明導電膜を用い、反射型の液晶表示装置とする場合には金属膜を用いれば良い。ここでは透過型の液晶表示装置とするために、酸化インジウム・スズ(ITO)膜を100nmの厚さにスパッタ法で形成し、画素電極7059を形成した。
【0109】
図17(A)の状態が形成されたら、配向膜7060を形成する。通常液晶表示素子の配向膜にはポリイミド樹脂が多く用いられている。対向側の基板7071には、対向電極7072と、配向膜7073とを形成した。配向膜は形成された後、ラビング処理を施して液晶分子がある一定のプレチルト角を持って平行配向するようにした。
【0110】
上記の工程を経て、アクティブマトリクス回路と、CMOS回路が形成された基板と対向基板とを、公知のセル組み工程によってシール材やスペーサ(共に図示せず)などを介して貼りあわせる。その後、両基板の間に液晶材料7074を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止した。よって図17(B)に示すLCDパネルが完成した。
【0111】
(実施形態8)
上述の本発明のゴーグル型表示システムに用いられる液晶表示装置にはネマチック液晶以外にも様々な液晶を用いることが可能である。例えば、1998, SID, "Characteristics and Driving Scheme of Polymer-Stabilized Monostable FLCD Exhibiting Fast Response Time and High Contrast Ratio with Gray-Scale Capability" by H. Furue et al.や、1997, SID DIGEST, 841, "A Full-Color Thresholdless Antiferroelectric LCD Exhibiting Wide Viewing Angle with Fast Response Time" by T. Yoshida et al.や、1996, J. Mater. Chem. 6(4), 671-673, "Thresholdless antiferroelectricity in liquid crystals and its application to displays" by S. Inui et al.や、米国特許第5594569 号に開示された液晶を用いることが可能である。
【0112】
等方相−コレステリック相−カイラルスメクティックC相転移系列を示す強誘電性液晶(FLC)を用い、DC電圧を印加しながらコレステリック相−カイラルスメクティックC相転移をさせ、かつコーンエッジをほぼラビング方向に一致させた単安定FLCの電気光学特性を図25に示す。図25に示すような強誘電性液晶による表示モードは「Half−V字スイッチングモード」と呼ばれている。図25に示すグラフの縦軸は透過率(任意単位)、横軸は印加電圧である。
「Half−V字スイッチングモード」については、寺田らの”Half−V字スイッチングモードFLCD”、第46回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、1999年3月、第1316頁、および吉原らの”強誘電性液晶による時分割フルカラーLCD”、液晶第3巻第3号第190頁に詳しい。
【0113】
図25に示されるように、このような強誘電性混合液晶を用いると、低電圧駆動かつ階調表示が可能となることがわかる。本発明の液晶表示装置には、このような電気光学特性を示す強誘電性液晶も用いることができる。
【0114】
また、ある温度域において反強誘電相を示す液晶を反強誘電性液晶(AFLC)という。反強誘電性液晶を有する混合液晶には、電場に対して透過率が連続的に変化する電気光学応答特性を示す、無しきい値反強誘電性混合液晶と呼ばれるものがある。この無しきい値反強誘電性混合液晶は、いわゆるV字型の電気光学応答特性を示すものがあり、その駆動電圧が約±2.5V程度(セル厚約1μm〜2μm)のものも見出されている。
【0115】
また、一般に、無しきい値反強誘電性混合液晶は自発分極が大きく、液晶自体の誘電率が高い。このため、無しきい値反強誘電性混合液晶を液晶表示装置に用いる場合には、画素に比較的大きな保持容量が必要となってくる。よって、自発分極が小さな無しきい値反強誘電性混合液晶を用いるのが好ましい。
【0116】
なお、このような無しきい値反強誘電性混合液晶を本発明のゴーグル型表示システムに用いられる液晶表示装置に用いることによって低電圧駆動が実現されるので、低消費電力化が実現される。
【0117】
(実施形態9)
本実施形態では、本願発明のゴーグル型表示装置システムの表示装置としてEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を作製した例について説明する。
【0118】
図19(A)は本実施形態のEL表示装置の上面図である。図19(A)において、4010は基板、4011は画素部、4012はソース側駆動回路、4013はゲート側駆動回路であり、それぞれの駆動回路は配線4014〜4016を経てFPC4017に至り、外部機器へと接続される。
【0119】
図19(B)は本実施形態のEL表示装置の断面構造である。このとき、少なくとも画素部、好ましくは駆動回路及び画素部を囲むようにしてカバー材6000、シール材7000、密封材(第2のシール材)7001が設けられている。
【0120】
また、基板4010、下地膜4021の上に駆動回路用TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを組み合わせたCMOS回路を図示している。)4022及び画素部用TFT4023(但し、ここではEL素子への電流を制御するTFTだけ図示している。)が形成されている。
【0121】
駆動回路用TFT4022、画素部用TFT4023が完成したら、樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦化膜)4026の上に画素部用TFT4023のドレインと電気的に接続する透明導電膜でなる画素電極4027を形成する。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物(ITOと呼ばれる)または酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。そして、画素電極4027を形成したら、絶縁膜4028を形成し、画素電極4027上に開口部を形成する。
【0122】
次に、EL層4029を形成する。EL層4029は公知のEL材料(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層)を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。どのような構造とするかは公知の技術を用いれば良い。また、EL材料には低分子系材料と高分子系(ポリマー系)材料がある。低分子系材料を用いる場合は蒸着法を用いるが、高分子系材料を用いる場合には、スピンコート法、印刷法またはインクジェット法等の簡易な方法を用いることが可能である。
【0123】
本実施形態では、シャドーマスクを用いて蒸着法によりEL層を形成する。シャドーマスクを用いて画素毎に波長の異なる発光が可能な発光層(赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層)を形成することで、カラー表示が可能となる。その他にも、色変換層(CCM)とカラーフィルターを組み合わせた方式、白色発光層とカラーフィルターを組み合わせた方式があるがいずれの方法を用いても良い。勿論、単色発光のEL表示装置とすることもできる。
【0124】
EL層4029を形成したら、その上に陰極4030を形成する。陰極4030とEL層4029の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、真空中でEL層4029と陰極4030を連続成膜するか、EL層4029を不活性雰囲気で形成し、大気解放しないで陰極4030を形成するといった工夫が必要である。本実施形態ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。
【0125】
なお、本実施形態では陰極4030として、LiF(フッ化リチウム)膜とAl(アルミニウム)膜の積層構造を用いる。具体的にはEL層4029上に蒸着法で1nm厚のLiF(フッ化リチウム)膜を形成し、その上に300nm厚のアルミニウム膜を形成する。勿論、公知の陰極材料であるMgAg電極を用いても良い。そして陰極4030は4031で示される領域において配線4016に接続される。配線4016は陰極4030に所定の電圧を与えるための電源供給線であり、導電性ペースト材料4032を介してFPC4017に接続される。
【0126】
4031に示された領域において陰極4030と配線4016とを電気的に接続するために、層間絶縁膜4026及び絶縁膜4028にコンタクトホールを形成する必要がある。これらは層間絶縁膜4026のエッチング時(画素電極用コンタクトホールの形成時)や絶縁膜4028のエッチング時(EL層形成前の開口部の形成時)に形成しておけば良い。また、絶縁膜4028をエッチングする際に、層間絶縁膜4026まで一括でエッチングしても良い。この場合、層間絶縁膜4026と絶縁膜4028が同じ樹脂材料であれば、コンタクトホールの形状を良好なものとすることができる。
【0127】
このようにして形成されたEL素子の表面を覆って、パッシベーション膜6003、充填材6004、カバー材6000が形成される。
【0128】
さらに、EL素子部を囲むようにして、カバー材6000と基板4010の内側にシール材7000が設けられ、さらにシール材7000の外側には密封材(第2のシール材)7001が形成される。
【0129】
このとき、この充填材6004は、カバー材6000を接着するための接着剤としても機能する。充填材6004としては、PVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。この充填材6004の内部に乾燥剤を設けておくと、吸湿効果を保持できるので好ましい。
【0130】
また、充填材6004の中にスペーサーを含有させてもよい。このとき、スペーサーをBaOなどからなる粒状物質とし、スペーサー自体に吸湿性をもたせてもよい。
【0131】
スペーサーを設けた場合、パッシベーション膜6003はスペーサー圧を緩和することができる。また、パッシベーション膜とは別に、スペーサー圧を緩和する樹脂膜などを設けてもよい。
【0132】
また、カバー材6000としては、ガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムを用いることができる。なお、充填材6004としてPVBやEVAを用いる場合、数十μmのアルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることが好ましい。
【0133】
但し、EL素子からの発光方向(光の放射方向)によっては、カバー材6000が透光性を有する必要がある。
【0134】
また、配線4016はシール材7000および密封材7001と基板4010との隙間を通ってFPC4017に電気的に接続される。なお、ここでは配線4016について説明したが、他の配線4014、4015も同様にしてシール材7000および密封材7001の下を通ってFPC4017に電気的に接続される。
【0135】
(実施形態10)
本実施形態では、実施形態9とは異なる形態のEL表示装置を作製した例について、図20(A)、20(B)を用いて説明する。図19(A)、19(B)と同じ番号のものは同じ部分を指しているので説明は省略する。
【0136】
図20(A)は本実施形態のEL表示装置の上面図であり、図20(A)をA-A'で切断した断面図を図20(B)に示す。
【0137】
実施形態9に従って、EL素子の表面を覆ってパッシベーション膜6003までを形成する。
【0138】
さらに、EL素子を覆うようにして充填材6004を設ける。この充填材6004は、カバー材6000を接着するための接着剤としても機能する。充填材6004としては、PVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。この充填材6004の内部に乾燥剤を設けておくと、吸湿効果を保持できるので好ましい。
【0139】
また、充填材6004の中にスペーサーを含有させてもよい。このとき、スペーサーをBaOなどからなる粒状物質とし、スペーサー自体に吸湿性をもたせてもよい。
【0140】
スペーサーを設けた場合、パッシベーション膜6003はスペーサー圧を緩和することができる。また、パッシベーション膜とは別に、スペーサー圧を緩和する樹脂膜などを設けてもよい。
【0141】
また、カバー材6000としては、ガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムを用いることができる。なお、充填材6004としてPVBやEVAを用いる場合、数十μmのアルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることが好ましい。
【0142】
但し、EL素子からの発光方向(光の放射方向)によっては、カバー材6000が透光性を有する必要がある。
【0143】
次に、充填材6004を用いてカバー材6000を接着した後、充填材6004の側面(露呈面)を覆うようにフレーム材6001を取り付ける。フレーム材6001はシール材(接着剤として機能する)6002によって接着される。このとき、シール材6002としては、光硬化性樹脂を用いるのが好ましいが、EL層の耐熱性が許せば熱硬化性樹脂を用いても良い。なお、シール材6002はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、シール材6002の内部に乾燥剤を添加してあっても良い。
【0144】
また、配線4016はシール材6002と基板4010との隙間を通ってFPC4017に電気的に接続される。なお、ここでは配線4016について説明したが、他の配線4014、4015も同様にしてシール材6002の下を通ってFPC4017に電気的に接続される。
【0145】
(実施形態11)
本実形態では、EL表示パネルにおける画素部のさらに詳細な断面構造を図21に、上面構造を図22(A)に、回路図を図22(B)に示す。図21、図22(A)及び図22(B)では共通の符号を用いるので互いに参照すれば良い。
【0146】
図21において、基板3001上に設けられたスイッチング用TFT3002は実施形態7のTFT構造を用いてもよいし、公知のTFTの構造を用いてもよい。本実施形態ではダブルゲート構造としているが、構造及び作製プロセスに大きな違いはないので説明は省略する。但し、ダブルゲート構造とすることで実質的に二つのTFTが直列された構造となり、オフ電流値を低減することができるという利点がある。なお、本実施形態ではダブルゲート構造としているが、シングルゲート構造でも構わないし、トリプルゲート構造やそれ以上のゲート本数を持つマルチゲート構造でも構わない。
【0147】
また、電流制御用TFT3003はNTFTを用いて形成される。このとき、スイッチング用TFT3002のドレイン配線3035は配線3036によって電流制御用TFTのゲート電極3037に電気的に接続されている。また、3038で示される配線は、スイッチング用TFT3002のゲート電極3039a、3039bを電気的に接続するゲート配線である。
【0148】
電流制御用TFTはEL素子を流れる電流量を制御するための素子であるため、多くの電流が流れ、熱による劣化やホットキャリアによる劣化の危険性が高い素子でもある。そのため、電流制御用TFTのドレイン側に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に重なるようにLDD領域を設ける本願発明の構造は極めて有効である。
【0149】
また、本実施形態では電流制御用TFT3003をシングルゲート構造で図示しているが、複数のTFTを直列につなげたマルチゲート構造としても良い。さらに、複数のTFTを並列につなげて実質的にチャネル形成領域を複数に分割し、熱の放射を高い効率で行えるようにした構造としても良い。このような構造は熱による劣化対策として有効である。
【0150】
また、図22Aに示すように、電流制御用TFT3003のゲート電極3037となる配線は3004で示される領域で、電流制御用TFT3003のドレイン配線3040と絶縁膜を介して重なる。このとき、3004で示される領域ではコンデンサが形成される。このコンデンサ3004は電流制御用TFT3003のゲートにかかる電圧を保持するためのコンデンサとして機能する。なお、ドレイン配線3040は電流供給線(電源線)3006に接続され、常に一定の電圧が加えられている。
【0151】
スイッチング用TFT3002及び電流制御用TFT3003の上には第1パッシベーション膜3041が設けられ、その上に樹脂絶縁膜でなる平坦化膜3042が形成される。平坦化膜3042を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成されるEL層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、EL層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。
【0152】
また、3043は反射性の高い導電膜でなる画素電極(EL素子の陰極)であり、電流制御用TFT3003のドレインに電気的に接続される。画素電極3043としてはアルミニウム合金膜、銅合金膜または銀合金膜など低抵抗な導電膜またはそれらの積層膜を用いることが好ましい。勿論、他の導電膜との積層構造としても良い。
【0153】
また、絶縁膜(好ましくは樹脂)で形成されたバンク3044a、3044bにより形成された溝(画素に相当する)の中に発光層3045が形成される。なお、ここでは一画素しか図示していないが、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けても良い。発光層とする有機EL材料としてはπ共役ポリマー系材料を用いる。代表的なポリマー系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系、ポリフルオレン系などが挙げられる。
【0154】
なお、PPV系有機EL材料としては様々な型のものがあるが、例えば「H. Shenk,H.Becker,O.Gelsen,E.Kluge,W.Kreuder,and H.Spreitzer,“Polymers for Light Emitting Diodes”,Euro Display,Proceedings,1999,p.33-37」や特開平10−92576号公報に記載されたような材料を用いれば良い。
【0155】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150nm(好ましくは40〜100nm)とすれば良い。
【0156】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてEL層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。
【0157】
例えば、本実施形態ではポリマー系材料を発光層として用いる例を示したが、低分子系有機EL材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
【0158】
本実施形態では発光層3045の上にPEDOT(ポリチオフェン)またはPAni(ポリアニリン)でなる正孔注入層3046を設けた積層構造のEL層としている。そして、正孔注入層3046の上には透明導電膜でなる陽極3047が設けられる。本実施形態の場合、発光層3045で生成された光は上面側に向かって(TFTの上方に向かって)放射されるため、陽極は透光性でなければならない。透明導電膜としては酸化インジウムと酸化スズとの化合物や酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができるが、耐熱性の低い発光層や正孔注入層を形成した後で形成するため、可能な限り低温で成膜できるものが好ましい。
【0159】
陽極3047まで形成された時点でEL素子3005が完成する。なお、ここでいうEL素子3005は、画素電極(陰極)3043、発光層3045、正孔注入層3046及び陽極3047で形成されたコンデンサを指す。図22Aに示すように画素電極3043は画素の面積にほぼ一致するため、画素全体がEL素子として機能する。従って、発光の利用効率が非常に高く、明るい画像表示が可能となる。
【0160】
ところで、本実施形態では、陽極3047の上にさらに第2パッシベーション膜3048を設けている。第2パッシベーション膜3048としては窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜が好ましい。この目的は、外部とEL素子とを遮断することであり、有機EL材料の酸化による劣化を防ぐ意味と、有機EL材料からの脱ガスを抑える意味との両方を併せ持つ。これによりEL表示装置の信頼性が高められる。
【0161】
以上のように本実施形態のEL表示パネルは図21のような構造の画素からなる画素部を有し、オフ電流値の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFTとを有する。従って、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能なEL表示パネルが得られる。
【0162】
(実施形態12)
本実施形態では、実施形態11に示した画素部において、EL素子3005の構造を反転させた構造について説明する。説明には図23を用いる。なお、図21の構造と異なる点はEL素子の部分と電流制御用TFTだけであるので、その他の説明は省略することとする。
【0163】
図23において、電流制御用TFT3103はPTFTを用いて形成される。
作製プロセスは実施形態1〜9を参照すれば良い。
【0164】
本実施形態では、画素電極(陽極)3050として透明導電膜を用いる。具体的には酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物でなる導電膜を用いる。勿論、酸化インジウムと酸化スズとの化合物でなる導電膜を用いても良い。
【0165】
そして、絶縁膜でなるバンク3051a、3051bが形成された後、溶液塗布によりポリビニルカルバゾールでなる発光層3052が形成される。その上にはカリウムアセチルアセトネートでなる電子注入層3053、アルミニウム合金でなる陰極3054が形成される。この場合、陰極3054がパッシベーション膜としても機能する。こうしてEL素子3101が形成される。
【0166】
本実施形態の場合、発光層3052で発生した光は、矢印で示されるようにTFTが形成された基板の方に向かって放射される。
【0167】
なお、本実施形態の構成は、実施形態1〜9の構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。また、実施形態10の電子機器の表示部として本実施形態のEL表示パネルを用いることは有効である。
【0168】
(実施形態13)
本実施形態では、図22(B)に示した回路図とは異なる構造の画素とした場合の例について図24(A)〜(C)に示す。なお、本実施形態において、3201はスイッチング用TFT3202のソース配線、3203はスイッチング用TFT3202のゲート配線、3204は電流制御用TFT、3205はコンデンサ、3206、3208は電流供給線、3207はEL素子とする。
【0169】
図24(A)は、二つの画素間で電流供給線3206を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線3206を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0170】
また、図24(B)は、電流供給線3208をゲート配線3203と平行に設けた場合の例である。なお、図24(B)では電流供給線3208とゲート配線3203とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なるように設けることもできる。この場合、電源供給線3208とゲート配線3203とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0171】
また、図24(C)は、図24(B)の構造と同様に電流供給線3208をゲート配線3203と平行に設け、さらに、二つの画素を電流供給線3208を中心に線対称となるように形成する点に特徴がある。また、電流供給線3208をゲート配線3203のいずれか一方と重なるように設けることも有効である。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0172】
なお、本実施形態の構成は、実施形態1〜9の構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。また、実施形態10の電子機器の表示部として本実施形態の画素構造を有するEL表示パネルを用いることは有効である。
【0173】
(実施形態14)
実施形態13に示した図22(A)、22(B)では電流制御用TFT3003のゲートにかかる電圧を保持するためにコンデンサ3004を設ける構造としているが、コンデンサ3004を省略することも可能である。実施形態11の場合、電流制御用TFT3003として、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に重なるように設けられたLDD領域を有しているTFTを用いている。この重なり合った領域には一般的にゲート容量と呼ばれる寄生容量が形成されるが、本実施形態ではこの寄生容量をコンデンサ3004の代わりとして積極的に用いる点に特徴がある。
【0174】
この寄生容量のキャパシタンスは、上記ゲート電極とLDD領域とが重なり合った面積によって変化するため、その重なり合った領域に含まれるLDD領域の長さによって決まる。
【0175】
また、実施形態13に示した図24(A),(B),(C)の構造においても同様に、コンデンサ3205を省略することは可能である。
【0176】
【発明の効果】
本願発明のゴーグル型表示装置システムによると、種々のセンサによって得られた使用者の生体情報に基づいて使用者の身体の状態を認識し、異常が認識された場合には、外部装置から供給される第1の映像信号をLCDパネルに表示することを停止し、その代わりに、撮影された外部の景色が表示される。こうすることによって、使用者に身体の異常を警告するとともに、外部の景色を見せることでリラックスさせることができる。また、使用者の視力の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態1の概略構成図である。
【図2】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態1の概略構成斜視図である。
【図3】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態1外観斜視図である。
【図4】 本願発明の実施形態1のゴーグル型表示装置システムに用いられるヘッドホンを示す図である。
【図5】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態1の動作フローチャートを示す図である。
【図6】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態2の動作フローチャートを示す図である。
【図7】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態3の動作フローチャートを示す図である。
【図8】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態4の概略構成斜視図である。
【図9】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態4外観斜視図である。
【図10】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態5の概略構成斜視図である。
【図11】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態5外観斜視図である。
【図12】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態6の概略構成斜視図である。
【図13】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態6外観斜視図である。
【図14】 実施形態1のゴーグル型表示装置システムの使用者の生体情報を得る測定ポイントの例を示した図である。
【図15】 本願発明のゴーグル型表示装置システムの実施形態5に用いられるイメージセンサ内蔵LCDパネルの例である。
【図16】 実施形態7のゴーグル型表示装置システムに用いられるLCDパネルの作製方法例である。
【図17】 実施形態9のゴーグル型表示装置システムに用いられるLCDパネルの作製方法例である。
【図18】 実施形態1のフィールドシーケンシャル駆動方法のタイミングチャートを示す図である。
【図19】 実施形態9のEL表示装置の構成を示す図である。
【図20】 実施形態10のEL表示装置の構成を示す図である。
【図21】 実施形態11のEL表示装置の画素部の構成を示す断面図である。
【図22】 実施形態11のEL表示装置の画素部の構成を示す上面図及び回路図である。
【図23】 実施形態12のEL表示装置の画素部の構成を示す断面図である。
【図24】 実施形態13のEL表示装置の画素部の構成を示す回路図である。
【図25】 実施形態8の単安定FLCの電気光学特性を表した図である。
【符号の説明】
101 ゴーグル型表示装置
102−L、102−R LCDパネル
105−L、105−R LEDバックライト
106−L、106−R レンズ
107−L、107−R CCD撮像装置
108−L、108−R CCD撮像装置
109 画像信号制御回路
110−L、110−R 使用者の眼(左右)
Claims (13)
- 2つの表示装置と、
2つの撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
画像信号制御回路と、を有し、
外部装置から第1の映像信号が入力され、
前記2つの撮像素子は、外部の像を第2の映像信号に変換し、
前記画像信号制御回路は、前記生体情報信号を数値処理して得た指数に基づき、前記2つの表示装置に前記第1の映像信号または前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1において、
前記生体情報信号を数値処理して得た指数に基づいて前記第1の映像信号と前記第2の映像信号の供給を切り替えることによって、前記第1の映像信号によって表示される第1の映像と前記第2の映像信号によって表示される第2の映像とが切り替わることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 2つの表示装置と、
2つの第1の撮像素子と、
2つの第2の撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
画像信号制御回路と、を有し、
外部装置から第1の映像信号が入力され、
前記2つの第1の撮像素子は、外部の像を第2の映像信号に変換し、
前記2つの第2の撮像素子は、前記使用者の眼の像を第3の映像信号に変換し、
前記画像信号制御回路は、前記第3の映像信号および前記生体情報信号を数値処理して得た指数に基づき、前記2つの表示装置に前記第1の映像信号または前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項3において、
前記第3の映像信号および前記生体情報信号を数値処理して得た指数に基づいて前記第1の映像信号と前記第2の映像信号の供給を切り替えることによって、前記第1の映像信号によって表示される第1の映像と前記第2の映像信号によって表示される第2の映像とが切り替わることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 2つの表示装置と、
2つの撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
画像信号制御回路と、を有し、
外部装置から第1の映像信号が入力され、
前記2つの撮像素子は、外部の像を第2の映像信号に変換し、
前記画像信号制御回路は、前記生体情報信号を数値処理して得たカオスアトラクター指数に基づき前記使用者の疲労の程度を算出し、
前記疲労の程度があらかじめ設定されたレベル以下の場合には、前記画像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第1の映像信号を供給し、
前記疲労の程度が前記あらかじめ設定されたレベルを超える場合には、前記画像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 2つの表示装置と、
2つの第1の撮像素子と、
2つの第2の撮像素子と、
使用者の生体情報を生体情報信号に変換するセンサと、
画像信号制御回路と、を有し、
外部装置から第1の映像信号が入力され、
前記2つの第1の撮像素子は、外部の像を第2の映像信号に変換し、
前記2つの第2の撮像素子は、前記使用者の眼の像を第3の映像信号に変換し、
前記画像信号制御回路は、前記第3の映像信号および前記生体情報信号を数値処理して得たカオスアトラクター指数に基づき前記使用者の疲労の程度を算出し、
前記疲労の程度があらかじめ設定されたレベル以下の場合には、前記画像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第1の映像信号を供給し、
前記疲労の程度が前記あらかじめ設定されたレベルを超える場合には、前記画像信号制御回路は前記2つの表示装置に前記第2の映像信号を供給することを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1、請求項2または請求項5において、
前記撮像素子は、CCD撮像素子またはイメージセンサであることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項3、請求項4または請求項6において、
前記第1の撮像素子と前記第2の撮像素子はそれぞれ、CCD撮像素子またはイメージセンサであることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記使用者の生体情報は、脈波、血圧、体温または瞳孔の開き度合であることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記センサは、脈波センサ、血圧センサまたは体温センサであることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1乃至請求項10のいずれか一項において、
前記表示装置は、反射型液晶表示装置であることを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1乃至請求項11のいずれか一項において、
前記表示装置のバックライトは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを有することを特徴とするゴーグル型表示装置。 - 請求項1乃至請求項12のいずれか一項において、
前記表示装置は、フィールドシーケンシャル方式で駆動されることを特徴とするゴーグル型表示装置。
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