JP4565694B2 - プレート式熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷凍機の低温熱交換器・高温熱交換器などに使用することのできるプレート式熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のプレート式熱交換器としては、例えば特許第2893629号のように、重ね合わせた2枚の薄板成形板の周囲と通路口を接合して袋状の伝熱板とし、その袋状伝熱板を複数積層した伝熱板群をケース部材に収納設置し、前記薄板成形板を挟んで温度の異なる2種類の流体を流し、熱交換させるようにした構造のものが周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許第2893629号のプレート式熱交換器においては、重ね合わせた2枚の薄板成形板の全周と通路口を溶接、ロー付けなどの手段で接合して袋状の伝熱板を作成し、薄板成形板を挟んで流す温度の異なる2種類の流体が混ざり合わないようにしていたので、溶接、ロー付けなどで欠陥が生じないように接合するために機械加工に高い精度が要求されると共に、接合部が長くなってコストアップを招くと云った問題点があり、その解決が課題となっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、一面に出入口をそれぞれ2個備えたケース部材に、ケース部材の前記出入口と同じ位置に開口部を有する複数の伝熱板を収納し、ケース部材の一方の入口から流入した流体と他方の入口から流入した流体が各伝熱板の異なる面の側に案内され、ケース部材の対応する出口から流出する過程で熱交換するプレート式熱交換器において、
前記各伝熱板は、互いに対向する両端側の外周部のうち一方側が上方で他方側が下方へ屈曲されたフラップを備え、
前記ケース部材は、前記各伝熱板を、ケース部材に収納させる際に、フラップの変形により生じる弾性応力でケース部材の側板の内面に、上下互いに異なる方向に屈曲したフラップの端部を密着させることで、上下の空間が水密状態に区画され、各伝熱板の両面に形成する液体の流路同士が分離されている、
第1の構成のプレート式熱交換器と、
【0005】
前記第1の構成のプレート式熱交換器において、伝熱板が弾性部材からなるようにした第2の構成のプレート式熱交換器と、
【0006】
前記第1または第2の構成のプレート式熱交換器において、伝熱板の周端部を屈曲形成するようにした第3の構成のプレート式熱交換器と、
【0007】
前記第1〜第3何れかの構成のプレート式熱交換器において、ケース部材の入口と出口との離間寸法を、入口同士および出口同士の離間寸法より大きく形成するようにした第4の構成のプレート式熱交換器と、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1と図2に例示したプレート式熱交換器100は、剛性の大きい素材、例えば鉄製のケース部材10に複数、例えば9枚の伝熱板20を収納したものである。
【0010】
ケース部材10の表面積が大きい1面には、流入口11Lと11R、流出口12Lと12Rが図示したように、すなわち流入口11Lと11R同士、流出口12Lと12R同士はそれぞれ接近して設けられ、流入口11Lと流出口12L、流入口11Rと流出口12Rはそれらより離間して設けられている。そして、各流出入口には連結用パイプ13が設けられ、図示しないパイプが接続できるように構成してある。
【0011】
伝熱板20は、板厚が例えば0.5mmの鉄製であり、ケース部材10の流入口11Lと11R、流出口12Lと12Rに対応する部位に開口21を備えている。また、伝熱板20は、流入口11L、流出口12Lの側と、流入口11R、流出口12Rの側とが段違い22に形成され、図1右側の高面部20Hの高い部分には図1左側の低面部20Lの低い側から底面が低面部20Lのレベルの溝23が延設され、低面部20Lの低い部分には高面部20Hの高い側から頂面が高面部20Hのレベルの***部24が延設されて、流入口11(L、R)と流出口12(L、R)の間が波形に形成されている。
【0012】
そして、ケース部材10の内側では、最下部に位置する伝熱板201の低面部20Lが図2の左側に位置してその下面がケース部材10の下板14の内面に当接し、その伝熱板201の高面部20Hが図2の右側に位置してその上に位置する伝熱板202の低面部20Lと当接し、その伝熱板202の高面部20Hがその上に位置する伝熱板203の低面部20Lと当接し、各伝熱板20は順次このように低面部20Lと高面部20Hとが当接するように向きを変えて配設され、最上部に位置する伝熱板209は高面部20Hが図2の右側に位置してその上面が、ケース部材10の上板15の内面に当接するように配設してある。
【0013】
また、伝熱板20は、外周寸法をケース部材10の内周寸法より僅かに大きく形成すると共に、その外周部を上方または下方に屈曲してフラップ25を形成し、ケース部材10に収納する際にフラップ25の変形により側板16の内面に沿わせ、且つ、フラップ25の変形により生じる弾性応力によって側板16の内面にフラップ25の端部が密着し、伝熱板20によって区画される上下の空間を水密状態で区画できるようにしてある。
【0014】
9枚の伝熱板20をケース部材10の内部に上記のように配設したので、一方の流入口11Lから流入した流体は、最下部に位置する伝熱板201とその上に位置する伝熱板202との間の空間SL1と、さらにその上に位置する伝熱板203と伝熱板204との間の空間SL2と、伝熱板205と伝熱板206との間の空間SL3と、伝熱板207と伝熱板208との間の空間SL4と、最上部に位置する伝熱板209とケース部材10の上板15との間の空間SL5に入り、他方の流入口11Rから流入した流体は、最下部に位置する伝熱板201とケース部材10の下板14との間の空間SR1と、さらにその上に位置する伝熱板202と伝熱板203との間の空間SR2と、伝熱板204と伝熱板205との間の空間SR3と、伝熱板206と伝熱板207との間の空間SR4と、伝熱板208と最上部に位置する伝熱板209との間の空間SR5に入る。
【0015】
また、9枚の伝熱板20は、低面部20Lと高面部20Hの位置が1枚おきに左右入れ替わるように水平面内で180°回転して配設したので、上下に位置する伝熱板20同士では、溝23および***部24の形成方向は交差する。
【0016】
したがって、上下に位置する伝熱板20同士は、流入口11(L、R)と流出口12(L、R)の間は点接触し、流体が流れるための空間は十分に確保されるので、流入口11Lから器内に流入し、空間SL1、SL2、SL3、SL4、SL5に入った流体は、それぞれ伝熱板201と伝熱板202の間、伝熱板203と伝熱板204の間、伝熱板205と伝熱板206の間、伝熱板207と伝熱板208の間、伝熱板209とケース部材10の上板15の間を通って流出口12Lから器外に流出し、他方の流入口11Rから器内に流入し、空間SR1、SR2、SR3、SR4、SR5に入った流体は、それぞれ伝熱板201とケース部材10の下板14との間、伝熱板202と伝熱板203との間、伝熱板204と伝熱板205との間、伝熱板206と伝熱板207との間、伝熱板208と伝熱板209との間を通って流出口12Rから器外に流出することになり、流入口11Lから器内に流入する流体と、流入口11Rから器内に流入する流体とは混ざり合うことはなく、温度の異なる流体であれば両者は各伝熱板20を介して熱交換する。
【0017】
上記構成のプレート式熱交換器においては、伝熱板20の屈曲形成したフラップ25の変形を利用してケース部材10の側板16の内面に沿わせ、且つ、フラップ25の変形により生じる弾性応力によって側板16の内面にフラップ25の端部を密着し、伝熱板20によって区画される上下の空間を水密状態で区画するものであるから、特許第2893629号のプレート式熱交換器などに比べて部品の加工精度を高くする必要がない。
【0018】
また、重ね合わせた2枚の伝熱板20の全周と開口21に臨む部分を溶接やロー付けなどの手段で接合して袋状にするものではないので、圧力や温度の変化に対する許容度が大きく、また、製造工程の大幅な短縮も図れる。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0020】
例えば、変形により生じる弾性応力によって側板16の内面に沿わせ、且つ、密着させる伝熱板20の外周部は、図3(A)に示すようにU字状に形成しても良いし、同図(B)に示すようにS字状に形成したり、同図(C)に示すように形成することもできる。
【0021】
また、開口部21に臨む部分で当接する伝熱板20同士を、溶接やロー付けなどで一体化し、流体がその間に一切入り込まないようにすることもできる。
【0022】
また、ケース部材10の上板15に臨んで設置する伝熱板20には、流体を器外から伝熱管20の間に案内するための適宜の長さのパイプを開口21の回りに取り付けることも可能である。
【0023】
また、上記実施形態においては、符号11(L、R)を流体の流入口、符号12(L、R)を流体の流出口として説明したが、2種類の流体が逆方向に流れる対向流となるように、例えば符号11Lを一方の流体の流入口、符号12Lをその流体の流出口、符号12Rを他方の流体の流入口、符号11Rをその流体の流出口として使用することもできる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は伝熱板の外周端部をケース部材の内面に押圧して密着し、各伝熱板の両側に形成する液体の流路同士を水密状態に区画するプレート式熱交換器であるから、特許第2893629号のプレート式熱交換器などに比べて部品の加工精度を高くする必要がない。
【0025】
また、重ね合わせた2枚の伝熱板の外周部分などを溶接やロー付けなどの手段で接合して袋状にするものではないので、圧力や温度の変化に対する許容度が大きく、また、製造工程の大幅な短縮も図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態を示す説明図である。
【図2】図1のA−A断面を示す説明図である。
【図3】変形実施形態の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ケース部材
11L、11R 流入口
12L 12R 流出口
13 連結用パイプ
14 下板
15 上板
16 側板
20 伝熱板
20H 高面部
20L 低面部
21 開口
22 段違い
23 溝
24 ***部
25 フラップ
100 プレート式熱交換器
Claims (4)
- 一面に出入口をそれぞれ2個備えたケース部材に、ケース部材の前記出入口と同じ位置に開口部を有する複数の伝熱板を収納し、ケース部材の一方の入口から流入した流体と他方の入口から流入した流体が各伝熱板の異なる面の側に案内され、ケース部材の対応する出口から流出する過程で熱交換するプレート式熱交換器において、
前記各伝熱板は、両端側の外周部のうち一方側が上方で他方側が下方へ屈曲されたフラップを備え、
前記ケース部材は、前記各伝熱板を、ケース部材に収納させる際に、フラップの変形により生じる弾性応力でケース部材の側板の内面に、上下互いに異なる方向に屈曲したフラップの端部を密着させることで、上下の空間が水密状態に区画され、各伝熱板の両面に形成する液体の流路同士が分離されている、
ことを特徴とするプレート式熱交換器。 - 伝熱板が弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載のプレート式熱交換器。
- 伝熱板の周端部が屈曲形成されたことを特徴とする請求項1または2記載のプレート式熱交換器。
- ケース部材の入口と出口との離間寸法が、入口同士および出口同士の離間寸法より大きく形成されたことを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のプレート式熱交換器。
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