以下、本発明の一実施形態について、図1~図8を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るプレート式熱交換器(以下、単に「熱交換器」とも称する。)は、図1~図3に示すように、それぞれが複数の孔21、22、23、24を有し且つ所定方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート20を有するプレート積層部2を備え、第一流体Aと第二流体Bとを熱交換させる。本実施形態の伝熱プレート20は、矩形状であり、四隅に孔(第一孔21、第二孔22、第三孔23、第四孔24)を有する。尚、以下の説明では、伝熱プレート20が重ね合わされる方向(所定方向)を直交座標系のX軸方向とし、伝熱プレート20の短辺方向を直交座標系のY軸方向とし、伝熱プレート20の長辺方向を直交座標系のZ軸方向とする。
また、熱交換器1は、プレート積層部2に第一流体Aを導入する第一導入部4Aと、プレート積層部2から第一流体Aを導出させる第一導出部4Bと、プレート積層部2に第二流体Bを導入する第二導入部5Aと、プレート積層部2から第二流体Bを導出させる第二導出部5Bと、を備える。これら第一導入部4Aと第一導出部4Bとは、その先端410を含む部位(挿入部位)411を、プレート積層部2のX軸方向の一方側における伝熱プレート20の第一孔21と第三孔23とに対応する孔に挿入している(図6及び図7参照)。また、第二導入部5Aと第二導出部5Bとは、その先端510を含む部位(挿入部位)511を、プレート積層部2のX軸方向の一方側における伝熱プレート20の第二孔22と第四孔24とに対応する孔に挿入している(図6及び図7参照)。
また、熱交換器1は、プレート積層部2のX軸方向の他方側における伝熱プレート20の第一孔21と第三孔23とに対応する孔に挿入されて該孔を封止する二つの第一閉止部材6Aと、プレート積層部2のX軸方向の他方側における伝熱プレート20の第二孔22と第四孔24とに対応する孔に挿入されて該孔を封止する二つの第二閉止部材6Bと、を備える。
本実施形態の熱交換器1では、該熱交換器1を構成する各構成同士の接続部位、例えば、伝熱プレート20同士の当接部位及び接続部位や、第一導入部4A、第一導出部4B、第二導入部5A、及び第二導出部5Bと伝熱プレート20との接続部位は、ロウ付けによって液密状態で接続されている。
プレート積層部2は、X軸方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート20と、複数の伝熱プレートをX軸方向の両側から挟み込む複数の補強プレート3A、3Bと、を備える。このプレート積層部2では、伝熱プレート20を境にして第一プレート間空間SP1と、第二プレート間空間SP2とが交互に形成されている。これら第一プレート間空間SP1と第二プレート間空間SP2とは、流体A、Bが流通可能な流路空間である。即ち、第一プレート間空間SP1は、第一流体Aが流通可能な空間であり、第二プレート間空間SP2は、第二流体Bが流通可能な空間である。
複数の伝熱プレート20のそれぞれは、図4及び図5にも示すように、X軸方向と直交する方向に広がる伝熱部25と、伝熱部25の外周縁の全域から該伝熱部25と面交差する方向に延出する環状の嵌合部29と、を備える。各伝熱プレート20の伝熱部25は、複数の凹部25aと複数の凸部25bとを有する。本実施形態の複数の伝熱プレート20では、伝熱部25における凹部25a及び凸部25bの配置パターンが二種類ある。これら二種類の配置パターンのうち一方の配置パターン(図4参照)は、他方の配置パターン(図5参照)を、縦中心線CL1と横中心線CL2との交点を通り且つX軸方向に延びる軸を回転中心にして180°回転させた構成と同じである。以下では、二種類の配置パターンのうちの一方の配置パターンを有する伝熱プレート20の伝熱部25の構成について詳細に説明する。尚、縦中心線CL1は、伝熱部25のY軸方向の中央位置をZ軸方向に延びる線であり、横中心線CL2は、伝熱部25のZ軸方向の中央位置をY軸方向に延びる線である。
伝熱部25は、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状である。この伝熱部25は、凹部25a及び凸部25bを有する。本実施形態の伝熱部25は、X軸方向における一方側の面(第一面)S1及び他方側の面(第二面)S2のそれぞれに、複数の凹部25a及び複数の凸部25bを有する。
本実施形態の伝熱プレート20は、金属プレートがプレス成型されることによって形成されている。このため、伝熱部25の第一面S1の凹部25aと、伝熱部25の第二面S2の凸部25bとは、表裏の関係にある。また、伝熱部25の第一面S1の凸部25bと、伝熱部25の第二面S2の凹部25aとは、表裏の関係にある。即ち、伝熱部25において、第二面S2の凸部25bが第一面S1の凹部25aとX軸方向から見て重なる位置に形成されていると共に、第二面S2の凹部25aが第一面S1の凸部25bとX軸方向から見て重なる位置に形成されている。
具体的に、伝熱部25は、Z軸方向の中央部に配置される主伝熱部26と、Z軸方向における伝熱部25の両端部に配置される一対の端部27と、Z軸方向における主伝熱部26の一方側と他方側とにおいて該主伝熱部26と端部27との間に配置される一対の堰部28と、を有する。
主伝熱部26は、伝熱プレート20において、該伝熱プレート20を境に形成される第一プレート間空間SP1と第二プレート間空間SP2とを流体A、Bが流れるときに、これら流体A、B間の熱交換の大部分が行われる部位である。
この主伝熱部26は、両面に、複数の凹部26a(25a)及び複数の凸部26b(25b)をそれぞれ有する。これら複数の凹部26a及び複数の凸部26bは、伝熱効率や熱交換を行う流体(第一流体A及び第二流体B)の種類等に応じて配置や形態が設定される。本実施形態の主伝熱部26の複数の凹部26a及び複数の凸部26bのそれぞれは、縦中心線CL1及び横中心線CL2のそれぞれに対して傾斜する方向に延びているが、この形状(配置)に限定されない。尚、これら複数の凹部26aは、伝熱部25の複数の凹部25aに含まれ、複数の凸部26bは、伝熱部25の複数の凸部25bに含まれる。
一対の端部27のそれぞれは、X軸方向、即ち、伝熱プレート20の厚さ方向に貫通する複数の孔21、22、23、24と、Y軸方向に延びる複数の凹部27a(25a)及び複数の凸部27b(25b)と、を有する。
本実施形態の各端部27は、二つの孔21、22、23、24を有する。これら二つの孔21、22、23、24は、Y軸方向に間隔をあけて配置されている。これにより、伝熱プレート20の四隅には、孔21、22、23、24がそれぞれ配置される。本実施形態の伝熱プレート20では、これら四つの孔(第一孔21、第二孔22、第三孔23、第四孔24)は、それぞれ円形の孔であり、各孔21、22、23、24の大きさ(直径)は、同じである(図4参照)。尚、プレート積層部2が有する複数の伝熱プレート20において、X軸方向の一方側の端から二枚目の伝熱プレート20Aと、他方側の端から二枚目の伝熱プレート20Aとは、残りの伝熱プレート20の第二孔22及び第四孔24に相当する位置に、これら第二孔22及び第四孔24より径の大きな大径孔22A、24Aを有する(図3及び図5参照)。
複数の凹部27aと複数の凸部27bとのそれぞれは、伝熱プレート20の端部27における二つの孔21、22、23、24の間をY軸方向に延びている。具体的には、Z軸方向の一方側の端部27では、複数の凹部27aと複数の凸部27bとのそれぞれは、第一孔21と第二孔22又は大径孔22Aとの間をY軸方向に延びている。また、Z軸方向の他方側の端部27では、複数の凹部27aと複数の凸部27bとのそれぞれは、第三孔23と第四孔24又は大径孔24Aとの間をY軸方向に延びている。これら複数の凹部27aと複数の凸部27bとは、Z軸方向に凹部27aと凸部27bとが交互に並ぶように、配置されている。本実施形態の各端部27では、各凹部27aは、二つの孔21、22、23、24の間をY軸方向に断続して延び、各凸部27bは、二つの孔21、22、23、24の間をY軸方向に連続して延びている。尚、これら複数の凹部27aは、伝熱部25の複数の凹部25aに含まれ、複数の凸部27bは、伝熱部25の複数の凸部25bに含まれる。また、図4及び図5において、凹凸関係を明確にすべく、凹部27aにドットを付している。
図6及び図7にも示すように、複数の伝熱プレート20が重ね合わされた状態において、隣り合う伝熱プレート20の各端部27の対応する孔21、22、23、24の周縁部(孔周縁部)210、220、230、240同士は、当接した状態で対向し、又は間隔をあけた状態で対向している。
図4に示す例では、Y軸方向の一方側の孔21、23の孔周縁部210、230が凹部27aの窪む方向と同じ方向に窪み(変位し)、Y軸方向の他方側の孔22、24の孔周縁部220、240が凸部27bの膨出方向と同じ方向に膨出(変位)している。これに対し、図4に示す伝熱プレート20と隣り合う伝熱プレート20では、Y軸方向の一方側の孔21、23の孔周縁部210、230が凸部27bの膨出する方向と同じ方向に膨出(変位)し、Y軸方向の他方側の孔22、24の孔周縁部220、240が凹部27aの窪む方向と同じ方向に窪んでいる(変位している)。
X軸方向から見て、これら隣り合う伝熱プレート20における各端部27の膨出し又は窪んだ孔周縁部210、230のX軸方向の変位量(X軸方向の位置)は、複数の伝熱プレート20がX軸方向に重ね合わされたときに、隣り合う伝熱プレート20の孔周縁部210、230同士が当接し、又は間隔をあけるように設定されている(図6及び図7参照)。また、X軸方向から見て、隣り合う伝熱プレート20における各端部27の窪み又は膨出した孔周縁部220、240のX軸方向の変位量(X軸方向の位置)は、隣り合う伝熱プレート20の孔周縁部220、240同士が間隔をあけ、又は当接するように設定されている。尚、図4において、凹凸関係を明確にすべく、窪んでいる孔周縁部210、230にドットを付している。
図3~図5に示すように、一対の堰部28のそれぞれは、第一面S1又は第二面S2に沿って第一孔21又は第二孔22から主伝熱部26に向かう流体A、Bの流れをY軸方向に拡散させ、又は、第一面S1又は第二面S2に沿って主伝熱部26から第三孔23又は第四孔24に向かう流体A、Bの流れをY軸方向に集束させる部位である。
具体的に、各堰部28は、両面に、複数の凹部28a(25a)及び複数の凸部28b(25b)をそれぞれ有する。これら複数の凹部28a及び複数の凸部28bは、主伝熱部26のY軸方向の寸法や、各孔21、22、23、24から主伝熱部26までの距離、熱交換を行う流体A、Bの種類等に応じて配置や形態が設定されるものであり、図4及び図5に示す形状や配置に限定されない。この堰部28においても、伝熱プレート20を境に形成される第一プレート間空間SP1と第二プレート間空間SP2とを流体A、Bが流れるときに、これら流体A、B間の熱交換が行われる。尚、これら複数の凹部28aは、伝熱部25の複数の凹部25aに含まれ、複数の凸部28bは、伝熱部25の複数の凸部25bに含まれる。また、図4及び図5において、凹凸関係を明確にすべく、凹部28aにドットを付している。
複数の補強プレートは、図1~図3、図6及び図7に示すように、複数の伝熱プレート20のX軸方向の一方側に重ね合わされる第一補強プレート3Aと、複数の伝熱プレート20のX軸方向の他方側に重ね合わされる第二補強プレート3Bと、を含む。即ち、プレート積層部2は、複数の伝熱プレート20をX軸方向の外側から挟み込む少なくとも一対の補強プレート3A、3Bを備える。
これら第一補強プレート3Aと第二補強プレート3Bとのそれぞれは、伝熱プレート20の各孔21、22、23、24と対応する位置(具体的には、X軸方向から見て重なる位置)に孔31A、32A、33A、34A、31B、32B、33B、34Bを有する。本実施形態のプレート積層部2では、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側においてZ軸方向に間隔をあけて二つの第一補強プレート3Aが配置され、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の他方側においてZ軸方向に間隔をあけて二つの第二補強プレート3Bが配置されている。即ち、本実施形態のプレート積層部2は、二対の補強プレート3A、3Bを有する。
第一補強プレート3Aは、伝熱プレート20の端部27及び堰部28と対応する形状(輪郭)を有し、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端にある伝熱プレート20の端部27及び堰部28と重なる平板状の部材である。この第一補強プレート3Aの厚さは、伝熱プレート20の厚さより大きい。本実施形態のプレート積層部2は、二つの第一補強プレート3Aを有し、これら二つの第一補強プレート3Aは、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端にある伝熱プレート20において、Z軸方向の一端側の端部27及び堰部28と他端側の端部27及び堰部28とに重なる。
Z軸方向の一端側の第一補強プレート3Aは、隣り合う伝熱プレート20の第一孔21と第二孔22とのそれぞれに対応する位置(X軸方向から見て重なる位置)に、X軸方向に貫通する孔31A、32Aを有する。また、Z軸方向の他方側の第一補強プレート3Aは、隣り合う伝熱プレート20の第三孔23と第四孔24とのそれぞれに対応する位置(X軸方向から見て重なる位置)に、X軸方向に貫通する孔33A、34Aを有する。
第二補強プレート3Bは、第一補強プレート3Aと同様に、伝熱プレート20の端部27及び堰部28と対応する形状(輪郭)を有し、X軸方向に重ね合わされた複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の他方側の端にある伝熱プレート20の端部27及び堰部28と重なる平板状の部材である。この第二補強プレート3Bの厚さは、伝熱プレート20の厚さより大きい。本実施形態のプレート積層部2は、二つの第二補強プレート3Bを有し、これら二つの第二補強プレート3Bは、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の他方側の端にある伝熱プレート20において、Z軸方向の一端側の端部27及び堰部28と他端側の端部27及び堰部28とに重なる。
Z軸方向の一端側の第二補強プレート3Bは、隣り合う伝熱プレート20の第一孔21と第二孔22とのそれぞれに対応する位置(X軸方向から見て重なる位置)に、X軸方向に貫通する孔31B、32Bを有する。また、Z軸方向の他方側の第二補強プレート3Bは、隣り合う伝熱プレート20の第三孔23と第四孔24とのそれぞれに対応する位置(X軸方向から見て重なる位置)に、X軸方向に貫通する孔33B、34Bを有する。
以上のように構成される複数の伝熱プレート20及び複数の補強プレート3A、3Bが、図6~図8に示すように、X軸方向に重ね合わされることで、プレート積層部2が構成されている。このプレート積層部2において重ね合わされている複数の伝熱プレート20では、X軸方向に隣り合う伝熱プレート20のうちの一方の伝熱プレート20の嵌合部29は、X軸方向に隣り合う伝熱プレート20のうちの他方の伝熱プレート20の嵌合部29に外嵌されている。このとき、プレート積層部2では、凹部25aと凸部25bとの二種類の配列パターンのうちの一方の配列パターンの伝熱部25を有する伝熱プレート20と、他方の配列パターンの伝熱部25を有する伝熱プレート20とが、X軸方向に交互に配置されている。そして、このプレート積層部2では、X軸方向に隣り合う伝熱プレート20の対向する位置にある凸部25b同士が当接することによって(図8参照)、各伝熱プレート20間のそれぞれにプレート間空間SPが画定(形成)されている。即ち、プレート積層部2は、複数のプレート間空間SPを有している。
また、プレート積層部2では、各伝熱プレート20の対応する位置にある孔21、22、23、23同士がX軸方向に連なっている。このとき、互いに対向し且つ相手側(隣り)の伝熱プレート20に向けて膨出する孔周縁部210、220、230、240同士が当接している。
具体的には、各伝熱プレート20の第一孔21同士、第二孔22同士、第三孔23同士、第四孔24同士がそれぞれX軸方向に連なってX軸方向に延びる流路空間を形成している(図3、図6、及び図7参照)。この第一孔21同士が連通することで形成される流路空間は、複数のプレート間空間SPのうちの所定のプレート間空間である第一プレート間空間SP1に第一流体Aを供給する第一流入路(第一連通路)Pa1である。また、第二孔22同士が連通することで形成される流路空間は、複数のプレート間空間SPのうちの第一プレート間空間SP1と異なるプレート間空間である第二プレート間空間SP2に第二流体Bを供給する第二流入路(第二連通路)Pb1である。また、第三孔23同士が連通することで形成される流路空間は、第一プレート間空間SP1から第一流体Aを流出させる第一流出路Pa2である。また、第四孔24同士が連通することで形成される流路空間は、第二プレート間空間SP2から第二流体Bを流出させる第二流出路Pb2である。そして、第一流入路Pa1は、第一導入部4Aと連通し、第一流出路Pa2は、第一導出部4Bと連通し、第二流入路Pb1は、第二導入部5Aと連通し、第二流出路Pb2は、第二導出部5Bと連通している。
以上のように構成されるプレート積層部2の内部における流路構成の詳細については、後述する。
第一導入部4Aと第一導出部4Bとは、同じ構成であり、以下では、図1~図3、図6、及び図7を参照しつつ、第一導入部4Aについて詳細に説明する。
第一導入部4Aは、筒状の部材である。本実施形態の第一導入部4Aは、X軸方向に真っ直ぐに延びる筒状である。この第一導入部4Aは、先端410をプレート積層部2に挿入した状態で配置されている。より詳しくは、第一導入部4Aは、プレート積層部2において、第一補強プレート3Aの孔31Aと、伝熱プレート20の第一孔21と、に挿入されている。
具体的に、第一導入部4Aは、円筒状の第一本体41と、第一本体41に設けられたフランジ部42、43と、を有する。本実施形態の第一導入部4Aは、第一本体41の先端部に二つのフランジ部42、43を有する。
第一本体41は、円筒状の部位である。この第一本体41の周壁の厚さは、伝熱プレート20の厚さより大きい。第一本体41において、プレート積層部2に挿入されている挿入部位(先端410を含む部位)411の周壁の厚さは、X軸方向における他の部位の周壁の厚さより小さい。本実施形態の挿入部位411の外径は、X軸方向の各位置において一定であり、挿入部位411の内径は、先端に向かうにつれて大きくなっている。即ち、挿入部位411では、周壁の厚さが先端に向かうにつれて小さくなっている。本実施形態の第一本体41では、挿入部位411の先端の周壁の厚さも、伝熱プレート20の厚さより大きい。
二つのフランジ部42、43のそれぞれは、第一本体41の挿入部位411の外周面から径方向外側に広がる部位である。一方のフランジ部42は、挿入部位411の先端から径方向外側に広がり、伝熱プレート20の孔周縁部210に接続されている。他方のフランジ部43は、一方のフランジ部42に対してX軸方向の一方側に間隔をあけた位置から径方向外側に広がり、一方のフランジ部42が接続されている伝熱プレート20と異なる(隣り合う)伝熱プレート20の孔周縁部210に接続されている。
詳しくは、二つのフランジ部42、43は、X軸方向に隣り合う伝熱プレート20においてX軸方向に間隔をあけて対向する孔周縁部210の互いに対向する面にそれぞれ接続されている。換言すると、X軸方向に間隔をあけて並ぶ二つのフランジ部42、43は、X軸方向に間隔をあけて対向する二つの孔周縁部210によってX軸方向の外側から挟み込まれている。本実施形態の一方のフランジ部42は、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端から二枚目の伝熱プレート20の孔周縁部210におけるX軸方向の一方側を向いた面に接続され、他方のフランジ部43は、X軸方向の一方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部210における他方側を向いた面に接続されている(図6参照)。尚、本実施形態の第一導入部4Aにおいて先端410とは、第一導入部4AにおけるX軸方向の他方側の端(図6における下端)であり、第一本体41のX軸方向の他方側の端(先端面)と、一方のフランジ部42のX軸方向の他方側の端(他方側を向く面)と、を含む。
第一導出部4Bは、上述のように第一導入部4Aと同じ構成であり、先端410を含む部位(挿入部位)411を、プレート積層部2における第一補強プレート3Aの孔33Aと、伝熱プレート20の第三孔23と、に挿入している(図7参照)。そして、一方のフランジ部42は、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端から二枚目の伝熱プレート20の孔周縁部230におけるX軸方向の一方側を向いた面に接続され、他方のフランジ部43は、X軸方向の一方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部230における他方側を向いた面に接続されている。
第二導入部5Aと第二導出部5Bとは、同じ構成であり、以下では、図1~図3、図6、及び図7を参照しつつ、第二導入部5Aについて詳細に説明する。
第二導入部5Aは、筒状の部材である。本実施形態の第二導入部5Aは、X軸方向に真っ直ぐに延びる筒状である。この第二導入部5Aは、先端510をプレート積層部2に挿入した状態で配置されている。より詳しくは、第二導入部5Aは、プレート積層部2において、第一補強プレート3Aの孔32Aに挿入されている。
具体的に、第二導入部5Aは、円筒状の第二本体51と、第二本体51の先端部に設けられたフランジ部52と、を有する。
第二本体51は、円筒状の部位である。この第二本体51の周壁の厚さは、伝熱プレート20の厚さより大きい。第二本体51において、プレート積層部2に挿入されている挿入部位(先端510を含む部位)511の周壁の厚さは、X軸方向における他の部位の周壁の厚さより小さい。本実施形態の挿入部位511の外径は、X軸方向の各位置において一定であり、挿入部位511の内径は、先端に向かうにつれて大きくなっている。即ち、挿入部位511では、周壁の厚さが先端に向かうにつれて小さくなっている。本実施形態の第二本体51では、挿入部位511とX軸方向に隣接する部位から先端510に向かうにつれて周壁の厚さが小さくなっている。
フランジ部52は、第二本体51の挿入部位511の外周面から径方向外側に広がる部位である。本実施形態のフランジ部52は、挿入部位511の先端から径方向外側に広がり、伝熱プレート20の孔周縁部220に接続されている。
詳しくは、フランジ部52は、第一補強プレート3Aの孔32Aの孔周縁部と、該第一補強プレート3Aと隣り合う伝熱プレート20の孔周縁部220と、に挟み込まれている。本実施形態のフランジ部52は、第一補強プレート3Aの孔32Aの孔周縁部におけるX軸方向の他方側を向いた面と、該面と対向し且つ複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部220における一方側を向いた面と、のそれぞれに接続されている。尚、本実施形態の第二導入部5Aにおいて先端510とは、第二導入部5AにおけるX軸方向の一方他方側の端(図6における下端)であり、第二本体51のX軸方向の他方側の端(先端面)と、フランジ部52におけるX軸方向の他方側の端(他方側を向く面)と、を含む。
第二導出部5Bは、上述のように第二導入部5Aと同じ構成であり、先端510を含む部位(挿入部位)511を、プレート積層部2における第一補強プレート3Aの孔34Aに挿入している(図7参照)。そして、フランジ部52は、第一補強プレート3Aの孔34Aの孔周縁部と該第一補強プレート3Aと隣り合う伝熱プレート20の孔周縁部240とに挟み込まれている。本実施形態のフランジ部52は、第一補強プレート3Aの孔34Aの孔周縁部におけるX軸方向の他方側を向いた面と、該面と対向し且つ複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の一方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部240における一方側を向いた面と、のそれぞれに接続されている。
第一閉止部材6Aは、図3、図6、及び図7に示すように、板状の部材である。具体的に、第一閉止部材6Aは、円盤状の第三本体61Aと、第三本体61Aの周面から延びるフランジ部62A、63Aと、を有する。本実施形態の第一閉止部材6Aは、二つのフランジ部62A、63Aを有する。
第三本体61Aは、プレート積層部2に挿入された状態で配置されている。より詳しくは、第三本体61Aは、プレート積層部2において、第二補強プレート3Bの孔31B、33Bと、伝熱プレート20の第一孔21又は第三孔23と、に挿入されている。この第三本体61Aでは、周縁部を残してX軸方向の一方側の面が窪んでいる。
二つのフランジ部62A、63Aのうちの一方のフランジ部62Aは、第三本体61AにおけるX軸方向の一方側の端から径方向外側に広がり、伝熱プレート20の孔周縁部210、230に接続されている。他方のフランジ部63Aは、一方のフランジ部62Aに対してX軸方向の他方側に間隔をあけた位置から径方向外側に広がり、伝熱プレート20の孔周縁部210、230に接続されている。
詳しくは、二つのフランジ部62A、63Aは、X軸方向に隣り合う伝熱プレート20においてX軸方向に間隔をあけて対向する孔周縁部210の互いに対向する面にそれぞれ接続されている。換言すると、X軸方向に間隔をあけて並ぶ二つのフランジ部62A、63Aは、X軸方向に間隔をあけて対向する二つの孔周縁部210、230によってX軸方向の外側から挟み込まれている。本実施形態の一方のフランジ部62Aは、複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の他方側の端から二枚目の伝熱プレート20の孔周縁部210、230におけるX軸方向の他方側を向いた面に接続され、他方のフランジ部63Aは、X軸方向の他方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部210、230における一方側を向いた面に接続されている(図6及び図7参照)。尚、本実施形態の第一閉止部材6Aの周縁部におけるX軸方向の一方側の端とは、第三本体61Aの周縁部におけるX軸方向の一方側の端(一方側を向く面)と、一方のフランジ部62AのX軸方向の一方側の端(一方側を向く面)と、を含む。
第二閉止部材6Bは、板状の部材である。具体的に、第二閉止部材6Bは、円盤状の第四本体61Bと、第四本体61Bの周面から延びるフランジ部62Bと、を有する。
第四本体61Bは、プレート積層部2に挿入された状態で配置されている。より詳しくは、第四本体61Bは、プレート積層部2において、第二補強プレート3Bの孔32B、34Bに挿入されている。
フランジ部62Bは、第四本体61Bから径方向外側に広がる部位である。本実施形態のフランジ部62Bは、第四本体61Bの外周面におけるX軸方向の他方側の端部を除いた部位から径方向外側に広がり、伝熱プレート20の孔周縁部220、240に接続されている。
詳しくは、フランジ部62Bは、第二補強プレート3Bの孔32B、34Bの孔周縁部と、該第二補強プレート3Bと隣り合う伝熱プレート20の孔周縁部220、240と、に挟み込まれている。本実施形態のフランジ部62Bは、第二補強プレート3Bの孔32B、34Bの孔周縁部におけるX軸方向の一方側を向いた面と、該面と対向し且つ複数の伝熱プレート20におけるX軸方向の他方側の端の伝熱プレート20の孔周縁部220、240における他方側を向いた面と、のそれぞれに接続されている。
以上のように構成される熱交換器1のプレート積層部2の内部には、第一流体A及び第二流体Bが流通する複数の流路空間が形成されている。以下、これら複数の流路空間の詳細な構成について、図3、図6~図8を参照しつつ、説明する。
本実施形態のプレート積層部2は、上述のように、重ね合わされた複数の伝熱プレート20のプレート間のそれぞれにプレート間空間SPが画定されている。
これら複数のプレート間空間SPのうち第一流入路Pa1及び第一流出路Pa2に連通するプレート間空間SPは、第一流体Aが流通する第一プレート間空間SP1であり、第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2に連通するプレート間空間SPは、第二流体Bが流通する第二プレート間空間SP2である。即ち、プレート積層部2において、第一流入路Pa1、第一流出路Pa2、第二流入路Pb1、第二流出路Pb2に直接連通するプレート間空間SPが、第一プレート間空間SP1又は第二プレート間空間SP2である。熱交換器1では、第一流体Aと第二流体Bとが、互いに隣り合う第一プレート間空間SP1と第二プレート間空間SP2とを流通したときに熱交換を行う。
また、複数のプレート間空間SPのうちの、第一導入部4Aの先端410の直下流で第一流入路Pa1と連通する第一プレート間空間SP1より、第一導入部4Aにおける第一流体Aの流入方向(図6の符号Aの矢印参照:以下、単に、「導入方向」と称する。)の上流側に位置するプレート間空間SPは、上流側プレート間空間SPuである。プレート積層部2は、複数の上流側プレート間空間SPuを有する。本実施形態のプレート積層部2は、二つの上流側プレート間空間SPuを有している。具体的に、本実施形態のプレート積層部2では、導入方向の最も上流側のプレート間空間SPから下流側に二つ目のプレート間空間SPまでが、上流側プレート間空間SPuである。
これら複数の上流側プレート間空間SPuは、第二プレート間空間SP2を含んでいてもよい。即ち、複数の上流側プレート間空間SPuのうちの少なくとも一つの上流側プレート間空間SPuは、第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2と直接連通していてもよい。本実施形態のプレート積層部2では、複数の上流側プレート間空間SPuのうちの最も下流側にある一つの上流側プレート間空間SPuが第二プレート間空間SP2を兼ねている。
複数の上流側プレート間空間SPuにおける第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPu以外の上流側プレート間空間SPuは、各上流側プレート間空間SPuを画定する二つの(隣り合う)伝熱プレート20のうちの少なくとも一方の伝熱プレート20が有する開口部G1(図6及び図7参照)を通じて、第二流体Bが流入し又は流出する。即ち、複数の上流側プレート間空間SPu同士は、各上流側プレート間空間SPuを画定する二つの伝熱プレート20のうちの少なくとも一方が有する開口部G1を通じてそれぞれ連通している。
本実施形態のプレート積層部2では、最も上流側にある伝熱プレート20から二枚目の伝熱プレート20の大径孔22Aの孔周縁部と第二導入部5Aの先端510、詳しくは、該先端510が接続されている伝熱プレート20の孔周縁部220との間に形成された隙間(開口部G1)を通じて、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuに流入する第二流体Bの一部が、最も上流側にある上流側プレート間空間SPuに流入する。
また、前記二枚目の伝熱プレート20の大径孔24Aの孔周縁部と第二導出部5Bの先端510、詳しくは、該先端510と接続されている伝熱プレート20の孔周縁部240との間に形成された隙間(開口部G1)を通じて、最も上流側にある上流側プレート間空間SPuの第二流体Bが、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuに流出し、この第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuから流出する第二流体Bに合流する。
また、複数の上流側プレート間空間SPuのうちの少なくとも一つの上流側プレート間空間SPuは、第一導入部4Aの周面の先端410を含む先端部位(挿入部位411に相当する部位)及び第一導出部4Bの周面の先端410を含む先端部位(挿入部位411に相当する部位)と接する。本実施形態のプレート積層部2では、最も上流側にある上流側プレート間空間SPuが、第一導入部4A及び第一導出部4Bの前記先端部位にそれぞれ接している。この前記先端部位は、第一導入部4A及び第二導入部5Aの周面における二つのフランジ部42、43、及び二つのフランジ部42、43の間の部位である。
また、複数のプレート間空間SPのうちの、第一閉止部材6A(詳しくは、第三本体61Aの周縁部における上流側端部)の直上流で第一流入路Pa1と連通する第一プレート間空間SP1より導入方向の下流側に位置するプレート間空間SPは、下流側プレート間空間SPdである。プレート積層部2は、複数の下流側プレート間空間SPdを有する。本実施形態のプレート積層部2は、二つの下流側プレート間空間SPdを有している。具体的に、本実施形態のプレート積層部2では、導入方向の最も下流側のプレート間空間SPから上流側に二つ目のプレート間空間SPまでが、下流側プレート間空間SPdである。
これら複数の下流側プレート間空間SPdは、第二プレート間空間SP2を含んでいてもよい。即ち、複数の下流側プレート間空間SPdのうちの少なくとも一つの下流側プレート間空間SPdは、第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2と直接連通していてもよい。本実施形態のプレート積層部2では、複数の下流側プレート間空間SPdのうちの最も上流側にある一つの下流側プレート間空間SPdが第二プレート間空間SP2を兼ねている。
複数の下流側プレート間空間SPdにおける第二プレート間空間SP2を兼ねた下流側プレート間空間SPd以外の下流側プレート間空間SPdは、各下流側プレート間空間SPdを画定する二つの(隣り合う)伝熱プレート20のうちの少なくとも一方の伝熱プレート20が有する開口部G2(図6及び図7参照)を通じて、第二流体Bが流入し又は流出する。即ち、複数の下流側プレート間空間SPd同士は、各下流側プレート間空間SPdを画定する二つの伝熱プレート20のうちの少なくとも一方が有する開口部G2を通じてそれぞれ連通している。
本実施形態のプレート積層部2では、最も下流側にある伝熱プレート20から二枚目の伝熱プレート20の大径孔22Aの孔周縁部と第二閉止部材6Bの上流側端部、詳しくは、該端部が接続されている伝熱プレート20の孔周縁部220との間に形成された隙間(開口部G2)を通じて、第二プレート間空間SP2を兼ねた下流側プレート間空間SPdに流入する第二流体Bの一部が、最も下流側にある下流側プレート間空間SPdに流入する。
また、前記二枚目の伝熱プレート20の大径孔24Aの孔周縁部と第二閉止部材6Bの上流側端部、詳しくは、該端部と接続されている伝熱プレート20の孔周縁部240との間に形成された隙間(開口部G2)を通じて、最も下流側にある下流側プレート間空間SPdの第二流体Bが、第二プレート間空間SP2を兼ねた下流側プレート間空間SPdに流出し、この第二プレート間空間SP2を兼ねた下流側プレート間空間SPdから流出する第二流体Bに合流する。
また、複数の下流側プレート間空間SPdのうちの少なくとも一つの下流側プレート間空間SPdは、第一閉止部材6Aの周面における該第一閉止部材6の下流側の端を含む部位と接する。本実施形態のプレート積層部2では、最も下流側にある下流側プレート間空間SPdが、各第一閉止部材6Aの周面にそれぞれ接している。この周面は、第一閉止部材6Aの二つのフランジ部62A、63A、及び二つのフランジ部62A、63Aの間の部位である。
また、プレート積層部2において、第二導入部5Aの先端510の直下流で第二流入路Pb1と連通する第二プレート間空間SP2であって、上流側プレート間空間SPuを兼ねている第二プレート間空間SP2は、第一導入部4Aの先端410の直下流で第一流入路Pa1と連通する第一プレート間空間SP1に対し、導入方向における上流側において隣り合う。
また、複数のプレート間空間SPのうちの上流側プレート間空間SPuと下流側プレート間空間SPdとの間の複数のプレート間空間SPは、第一プレート間空間SP1又は第二プレート間空間SP2である。具体的に、上流側プレート間空間SPuと下流側プレート間空間SPdとの間では、第一プレート間空間SP1と第二プレート間空間SP2とが導入方向に交互に並んでいる。そして、導入方向において、最も下流側にある上流側プレート間空間SPuと下流側において隣り合うプレート間空間SPと、最も上流側にある下流側プレート間空間SPdと上流側において隣り合うプレート間空間SPとは、いずれも第一プレート間空間SP1である。
以上のように構成される熱交換器1では、例えば、高温の流体である蒸気を第一流体Aとし、低温の流体である水を第二流体Bとしたときに、これら第一流体Aと第二流体Bとの熱交換が行われる。具体的には、以下の通りである。尚、本実施形態の第一流体Aの温度は、110℃~160℃程度であり、第二流体Bの温度は、10℃~30℃程度である。
第一流体Aは、第一導入部4Aからプレート積層部2の内部に導入される。プレート積層部2に導入された第一流体Aは、第一流入路Pa1から各第一プレート間空間SP1に流入する。そして、各第一プレート間空間SP1を流通した第一流体Aは、第一流出路Pa2に流出し、第一導出部4Bからプレート積層部2の外部に導出される。
一方、第二流体Bは、第二導入部5Aからプレート積層部2の内部に導入される。プレート積層部2に導入された第二流体Bは、第二流入路Pb1から各第二プレート間空間SP2に流入する。そして、各第二プレート間空間SP2を流通した第二流体Bは、第二流出路Pb2に流出し、第二導出部5Bからプレート積層部2の外部に導出される。
このプレート積層部2における上流側プレート間空間SPuと下流側プレート間空間SPdとの間では、第一流体Aが流通する第一プレート間空間SP1と、第二流体Bが流通する第二プレート間空間SP2とが導入方向(X軸方向)に交互に配置されているため、各第一プレート間空間SP1を第一流体Aが流通すると共に、各第二プレート間空間SP2を第二流体Bが流通することで、各プレート間空間SP1、SP2を隔てる伝熱プレート20を介して第一流体Aと第二流体Bとが熱交換する。
このとき、第二導入部5Aからプレート積層部2に導入された第二流体Bの一部は、第二流入路Pb1に直接連通していない上流側プレート間空間SPu及び下流側プレート間空間SPdにも流入する。具体的には、以下の通りである。
第二導入部5Aから第二流入路Pb1に導入された第二流体Bは、各第二プレート間空間SP2に流入する。このとき、第二流入路Pb1から第二プレート間空間SP2を兼ねる上流側プレート間空間SPuに流入する第二流体Bの一部が開口部G1を通じて他の上流側プレート間空間SPu、即ち、第二流入路Pb1と直接連通していない上流側プレート間空間SPuに流入する。本実施形態のプレート積層部2では、第二流体Bは、開口部G1を通じて導入方向における最も上流側にある上流側プレート間空間SPuに流入する。
上流側プレート間空間SPuにおける開口部G1と隣接する領域を画定する二つの伝熱プレート20の部位(端部27)では、第一孔21と第二孔22との間を凹部27aと凸部27bとのそれぞれがY軸方向に延びている。このため、開口部G1を通じて前記他の上流側プレート間空間SPuに流入した第二流体Bは、その多くを第一孔21側に案内される。
ここで、前記他の上流側プレート間空間SPuが第一導入部4Aの周面における先端部位(先端410を含む部位)に接している。このため、第一孔21側に案内された第二流体Bは、第一導入部4Aの周面における先端部位と接触する。この接触によって、前記先端部位を通じて第一導入部4Aの挿入部位411と第二流体Bとの間で熱交換が行われる。
本実施形態の第一流体Aは高温の蒸気であり、第二流体Bは低温の水であるため、プレート積層部2では、第一導入部4Aが内部を通過する第一流体Aによって加熱されるが、第二流体Bが接触することで挿入部位411が冷却される。
前記他の上流側プレート間空間SPuを流通した第二流体Bは、開口部G1から第二プレート間空間SP2を兼ねる上流側プレート間空間SPuに流出し、該上流側プレート間空間SPuを流れた第二流体Bと合流した後、第二流出路Pb2を流れ、第二導出部5Bからプレート積層部2の外部に導出される。
また、第二流入路Pb1から第二プレート間空間SP2を兼ねる下流側プレート間空間SPdに流入する第二流体Bの一部が開口部G2を通じて他の下流側プレート間空間SPd、即ち、第二流入路Pb1と直接連通していない下流側プレート間空間SPdに流入する。本実施形態のプレート積層部2では、第二流体Bは、開口部G2を通じて導入方向における最も下流側にある下流側プレート間空間SPdに流入する。
下流側プレート間空間SPdにおける開口部G2と隣接する領域を画定する二つの伝熱プレート20の部位(端部27)では、第三孔23と第四孔24との間を凹部27aと凸部27bとのそれぞれがY軸方向に延びている。このため、開口部G2を通じて前記他の下流側プレート間空間SPdに流入した第二流体Bは、その多くを第三孔23側に案内される。
ここで、前記他の下流側プレート間空間SPdが第一閉止部材6Aの周面に接している。このため、第三孔23側に案内された第二流体Bは、第一閉止部材6Aの周面と接触する。この接触によって、前記周面を通じて第一閉止部材6Aと第二流体Bとの間で熱交換が行われる。
本実施形態の第一流体Aは高温の蒸気であり、第二流体Bは低温の水であるため、プレート積層部2では、第一流入路Pa1の下流側の端部を封止する第一閉止部材6Aが第一流入路Pa1を流れる(即ち、熱交換前の)第一流体Aによって加熱されるが、第二流体Bが接触することで該第一閉止部材6Aが冷却される。
以上のように、前記他の上流側プレート間空間SPuを流通することで第一導入部4Aの挿入部位411を冷却した後の第二流体B、及び、前記他の下流側プレート間空間SPdを流通することで第一閉止部材6Aを冷却した後の第二流体Bは、開口部G1、G2から第二プレート間空間SP2を兼ねる上流側プレート間空間SPu、又は、第二プレート間空間SP2を兼ねる下流側プレート間空間SPdに流出し、該上流側プレート間空間SPuを流れた第二流体B、又は、該下流側プレート間空間SPdを流れた第二流体Bと合流した後、第二流出路Pb2を流れ、第二導出部5Bからプレート積層部2の外部に導出される。
本実施形態の熱交換器1は、それぞれが第一孔21を有し且つX軸方向に重ね合わされる複数の伝熱プレート20を有するプレート積層部2と、先端410がX軸方向に沿ってプレート積層部2に挿入され且つ該プレート積層部2に第一流体Aを導入する筒状の第一導入部4Aと、プレート積層部2に第二流体Bを導入する第二導入部5Aと、を備える。そして、プレート積層部2は、各伝熱プレート20間に画定されるプレート間空間SPを複数有すると共に、各伝熱プレート20の第一孔21同士が連なることでX軸方向に沿って延び且つ第一導入部4Aによって導入された第一流体Aを第一プレート間空間SP1に流入させる第一流入路(第一連通路)Pa1を有する。また、第一導入部4Aの先端410は、第一プレート間空間SP1を画定する二つの伝熱プレート20のうちの導入方向における上流側の伝熱プレート20の第一孔21の孔周縁部210と重なる積層部位(孔周縁部)210であって、孔周縁部210を有する伝熱プレート20と隣接する伝熱プレート20の第一孔21の積層部位(孔周縁部)210に接続されている。また、複数のプレート間空間SPのうちの第一導入部4Aの周面における先端410を含む先端部位と接する第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuでは、第二流体Bが流通する。
かかる構成によれば、本実施形態のように第一流体(蒸気)Aが第二流体(水)Bより高温の流体の場合に、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位が第一流体Aによって加熱されても、第一導入部4Aの周面の先端部位(挿入部位411に相当する部位)が第二流体Bによって冷やされる。これにより、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍の温度上昇が抑えられ、その結果、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍部位での熱応力の発生が抑えられる。このため、高温の第一流体Aの供給・停止のプロセスが繰り返されても、前記接続部位及びその近傍部位を起点とする熱疲労割れを防ぐことができる。
また、本実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aの周壁の厚さが伝熱プレート20の厚さより大きい。このため、第一導入部4Aの熱容量が該第一導入部4Aの接続された伝熱プレート20に比べて大きい。しかし、この場合でも、第一導入部4Aの周面の先端部位(挿入部位411に相当する部位)が第二流体Bと接触して冷やされることで、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍部位での熱応力の発生が効果的に抑えられる。
また、本実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2が、第一導入部4Aの先端410の直下流で第一流入路Pa1と連通する第一プレート間空間SP1より導入方向の上流側に位置する上流側プレート間空間SPuを複数有する。そして、複数の上流側プレート間空間SPuは、それぞれ第二流体Bを流通させ、第一導入部4Aの周面の先端部位と接するプレート間空間SPを含んでいる。このため、第一導入部4Aの周面の先端部位と接するプレート間空間SPと隣り合うプレート間空間SP(上流側プレート間空間SPu)にも第二流体Bが流通する。よって、前記先端部位と接するプレート間空間SPを流通する第二流体Bにおける第一流体Aからの熱の影響が抑えられる、即ち、前記先端部位と接するプレート間空間SPを流通する第二流体Bと前記隣り合うプレート間空間SP(上流側プレート間空間SPu)を流通する第二流体Bとが熱交換することで、第一流体Aからの熱の影響を受けていても前記先端部位と接するプレート間空間SPを流通する第二流体Bの温度上昇が抑えられる。これにより、第一導入部4Aの周面の先端部位(挿入部位411に相当する部位)に対する冷却効率が向上する。
しかも、本実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、第一導入部4Aの前記先端部位と接するプレート間空間SP(上流側プレート間空間SPu)と、第一流体Aが流れる第一プレート間空間SP1との間に、第二流体Bが流れる上流側プレート間空間SPuが配置されているため、前記先端部位と接するプレート間空間SPを流れる第二流体Bに対する第一プレート間空間SP1を流れる第一流体Aからの熱の影響が十分に抑えられる。
また、本実施形態の熱交換器1では、上流側プレート間空間SPuを画定する二つの伝熱プレート20のうちの少なくとも一方が、第二流体Bが通過可能な開口部G1を有している(又は、開口部G1を構成している)。このため、本実施形態の熱交換器1では、この開口部G1を有する(又は構成する)伝熱プレート20によって画定される上流側プレート間空間SPuと隣り合うプレート間空間SPから該上流側プレート間空間SPuに第二流体Bが流入できる。
また、本実施形態の熱交換器1では、複数の伝熱プレート20のそれぞれが第二孔22を有している。また、第二導入部5Aは、筒状であり、且つ、先端510をX軸方向に沿って第一導入部4A側からプレート積層部2に挿入している。そして、プレート積層部2は、各伝熱プレート20の第二孔22同士が連なることでX軸方向に沿って延び且つ第二導入部5Aによって導入された第二流体Bを第二プレート間空間SP2に流入させる第二流入路(第二連通路)Pb1を有する。このプレート積層部2において、第二導入部5Aの先端510の直下流で第二流入路Pb1と連通する第二プレート間空間SP2は、第一導入部4Aの先端410の直下流で第一流入路Pa1と連通する第一プレート間空間SP1に対して導入方向の上流側に位置すると共に、複数の上流側プレート間空間SPuに含まれている。そして、複数の上流側プレート間空間SPuにおける第二流入路Pb1と連通する第二プレート間空間SP2以外のプレート間空間SPは、第二流入路Pb1と連通する第二プレート間空間SP2と開口部G1を通じて連通している。このため、プレート積層部2において、第二導入部5Aの先端510より導入方向の上流側に位置する上流側プレート間空間SPuに対しても、第二流入路Pb1に連通する第二プレート間空間SP2を介して第二流体Bが供給される。
また、本実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aにおける先端410を含む部位(挿入部位411)の周壁の厚さは、導入方向における他の部位の周壁の厚さより小さい。このように、第一導入部4Aにおける伝熱プレート20との接続部位の周壁の厚さを他の部位の周壁の厚さより小さくすることで第一導入部4Aの先端410を含む部位(挿入部位411)の熱容量が抑えられる。これにより、第二流体Bによる該挿入部位411の冷却効果が向上し、その結果、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位での熱応力の発生がより確実に抑えられる。
また、本実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aが、該第一導入部4Aの周面における先端部位に、フランジ部(フランジ状の部位)42、43を有している。これらフランジ部42、43は、第二流体Bの流通するプレート間空間SP(上流側プレート間空間SPu)に位置するため、第一導入部4Aの前記先端部位において第二流体Bによって冷やされる部位の面積(表面積)が増大する。これにより、第二流体Bによる第一導入部4Aの先端部位の冷却効率が向上する。その結果、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍の温度上昇がより効果的に抑えられる。
しかも、本実施形態の熱交換器1では、フランジ部42が、第一導入部4Aの先端410を含むと共に、伝熱プレート20の第一孔21の孔周縁部210に接続されている。このため、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接触面積が増加し、その結果、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続強度を十分に確保することができる。即ち、かかる構成によれば、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位における冷却効果の向上と、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続強度の確保との両方を実現できる。
また、本実施形態の熱交換器1は、導入方向における複数の伝熱プレート20のうちの最も下流側の伝熱プレート20において第一孔21に挿入された状態で該第一孔21を封止する第一閉止部材6Aを備える。この第一閉止部材6Aの周縁部における第一導入部4A側の端は、第一プレート間空間SP1を画定する二つの伝熱プレート20のうちの導入方向の下流側の伝熱プレート20の第一孔21の孔周縁部210と重なる積層部位(孔周縁部)210であって、孔周縁部210を有する伝熱プレート20と隣接する伝熱プレート20の積層部位(孔周縁部)210に接続されている。そして、複数のプレート間空間SPのうちの第一閉止部材6Aの挿入部位(第三本体61A)の周面における前記端を含む部位と接するプレート間空間SPでは、第二流体Bが流通している。このため、第一流体Aが第二流体Bより高温の流体の場合、第一閉止部材6Aと伝熱プレート20との接続部位が第一流体Aによって加熱されても、第一閉止部材6Aの挿入部位(第三本体61A)の周面における前記端を含む部位が第二流体Bによって冷やされる。これにより、第一閉止部材6Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍の温度上昇が抑えられ、その結果、第一閉止部材6Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍部位での熱応力の発生が抑えられる。このため、高温の第一流体Aの供給・停止のプロセスが繰り返されても、前記接続部位及びその近傍部位を起点とする熱疲労割れを防ぐことができる。
尚、本発明のプレート式熱交換器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、第一導入部4Aの周面における先端410を含む先端部位(挿入部位411に相当する部位)に接するプレート間空間SPが、一つ形成(画定)されているが、この構成に限定されない。プレート積層部2において、第一導入部4Aの周面の先端部位に接するプレート間空間SPは、複数形成されていてもよい。この場合、第一導入部4Aの周面の先端部位に接する複数のプレート間空間SPは、導入方向に連続して並ぶように配置されてもよく、導入方向に間隔をあけて配置されてもよい。
また、プレート積層部2は、上流側プレート間空間SPuを一つだけ有していてもよい。この場合、上流側プレート間空間SPuは、第二プレート間空間SP2を兼ねたものであり、第一プレート間空間SP1と隣り合って該第一プレート間空間SP1を流れる第一流体Aと、該上流側プレート間空間SPuを流れる第二流体Bとが熱交換する構成でもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aがプレート積層部2に第一流体Aを導入する向きと、第二導入部5Aがプレート積層部2に第二流体Bを導入する向きとが同じ方向であるが、この構成に限定されない。第一導入部4Aがプレート積層部2に第一流体Aを導入する向きと、第二導入部5Aがプレート積層部2に第二流体Bを導入する向きとが、反対向きであってもよい。即ち、第一導入部4Aがプレート積層部2に対してX軸方向の一方側から第一流体Aを導入し、第二導入部5Aがプレート積層部2に対してX軸方向の他方側から第二流体Bを導入する構成でもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、第一流入路Pa1と第一流出路Pa2と第二流入路Pb1と第二流出路Pb2とにおける第一導入部4Aと第一導出部4Bと第二導入部5Aと第二導出部5Bとが配置されている側と反対側の端部が、第一閉止部材6A又は第二閉止部材6Bによって封止されているが、この構成に限定されない。プレート積層部2において、第一流入路Pa1と第一流出路Pa2と第二流入路Pb1と第二流出路Pb2とにおける前記反対側の端部に配置される伝熱プレートが、上記実施形態の第一孔21、第二孔22、第三孔23、及び第四孔24に相当する孔を有しない構成でもよい。即ち、プレート積層部2は、第一閉止部材6A及び第二閉止部材6Bを備えない構成でもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aと第二導入部5Aとが、X軸方向から見てZ軸方向に長尺な矩形状のプレート積層部2における長尺方向(Z軸方向)の同じ側の端部に配置されているが、この構成に限定されない。第一導入部4Aがプレート積層部2の長尺方向の一方の端部に配置され、第二導入部5Aがプレート積層部2の長尺方向の他方の端部に配置されていてもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、第二流体Bの流れるプレート間空間SPが、第一導入部4Aの周面における先端部位と、第一導出部4Bの周面における先端部位とのそれぞれと接する構成である、即ち、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及び第一導出部4Bと伝熱プレート20との接続部位の両接続部位が第二流体Bによって冷却可能な構成であるが、この構成に限定されない。プレート積層部2は、少なくとも第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位を冷却可能な構成であればよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、補強プレート3A、3Bと、該補強プレート3A、3Bと隣り合う伝熱プレート20との間の空間は、流体A、Bが流れる流路を構成しないが、この構成に限定されない。例えば、補強プレート3A、3Bと該補強プレート3A、3Bと隣り合う伝熱プレート20とによって画定される空間がプレート間空間SPを構成し、該プレート間空間SPに流体A、Bが流通する構成でもよい(図9参照)。かかる構成によれば、熱交換器1の強度等を確保するためのプレート(補強プレート)3A、3Bと、該補強プレート3A、3Bと隣り合う伝熱プレート20との間に画定される空間(プレート間空間)SPを利用して、流体A、B間の熱交換や第一導入部4Aの挿入部位411の冷却が可能となる。この場合、補強プレート3A、3Bは、伝熱部25の全体を覆うように伝熱プレート20と重なる構成が好ましい。尚、図9に示す例では、補強プレート3Aと伝熱プレート20とによって画定されるプレート間空間SPは、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuであり、第一導入部4Aの周面の先端部位と接している。
また、図10に示すように、プレート積層部2が、補強プレート3A、3Bを備えない構成でもよい。即ち、プレート積層部2が重ね合わされた複数の伝熱プレート20のみで構成されていてもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2の有する複数のプレート間空間SPは、全て流体A、Bの流れる流路として用いられているが、この構成に限定されない。プレート積層部2において、複数のプレート間空間SPのうちの少なくとも一つのプレート間空間SP0が流体A、Bの流れない構成でもよい(図10参照)。
また、上記実施形態の熱交換器1では、プレート積層部2において、複数の上流側プレート間空間SPuのうちの一つの上流側プレート間空間SPuが、第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2と連通している、即ち、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuが一つしか配置されていないが、この構成に限定されない。複数の上流側プレート間空間SPuが、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuを複数含む構成であってもよい。この場合、第二プレート間空間SP2を兼ねた複数の上流側プレート間空間SPuは、導入方向に連続して並んでもよく、間に他の上流側プレート間空間(第二流入路Pb1及び第二流出路Pb2と直接連通していない上流側プレート間空間)SPuを挟むように導入方向に断続して並んでもよい。尚、複数の上流側プレート側空間SPuの数は、第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuの数より小さい又は同じである。
また、上記実施形態の熱交換器1における第一導入部4Aでは、挿入部位411の内径が先端410に向かうにつれて漸増しているが、この構成に限定されない。第一導入部4AにおけるX軸方向の各位置での内径が同じであってもよい。また、上記実施形態の第一導入部4Aでは、挿入部位411の肉厚が他の部位の肉厚より小さいが、この構成に限定されない。第一導入部4AのX軸方向における各位置の肉厚は、同じであってもよい。
上記実施形態の熱交換器1では、第二流体Bが流通可能に複数の上流側プレート間空間SPu同士を連通させるための開口部G1、即ち、上流側プレート間空間SPuを画定する二つの伝熱プレート20の少なくとも一方の伝熱プレート20に設けられる開口部G1は、伝熱プレート20の大径孔22A、24Aの孔周縁部が、第二導入部5Aの先端510(詳しくは、該先端510が接続される伝熱プレート20又は孔周縁部220)との間に隙間を設けることで形成されているが、この構成に限定されない。
例えば、図11に示すように、開口部G1は、上流側プレート間空間SPuに隣接する伝熱プレート(即ち、該上流側プレート間空間SPuを画定する二つの伝熱プレート20のうちの一方の伝熱プレート)20の端部27において第一孔21と第二孔22との間及び第三孔23と第四孔24との間の少なくとも一方に設けられる孔(詳しくは、X軸方向に貫通する貫通孔)によって構成されていてもよい。
この端部27の第一孔21と第二孔22との間、及び第三孔23と第四孔24との間の少なくとも一方に設けられる孔(開口部G1)の具体的な形状、大きさ、数は、限定されない。例えば、開口部G1が、図11に示すような矩形状の孔270によって構成されていてもよい。
また、補強プレート3Aと該補強プレート3Aと隣り合う伝熱プレート20との間に画定されるプレート間空間SPが上流側プレート間空間SPuの場合には、第二流体Bを上流側プレート間空間SPuに流入又は流出させる開口部G1は、補強プレート3Aに配置されてもよい。この場合、プレート積層部2の外部から補強プレート3Aに配置された開口部G1を通じて第二流体Bが直接上流側プレート間空間SPuに供給され、又は直接上流側プレート間空間SPuから排出される。
第一導入部4A及び第一閉止部材6Aにおける伝熱プレート20の孔周縁部210との接続部位の具体的な形状は、限定されない。
例えば、上記実施形態の第一導入部4A及び第一閉止部材6Aの伝熱プレート20との接続部位は、二つのフランジ部42、43、62A、63Aによって構成され、これら二つのフランジ部42、43、62A、63AがX軸方向に間隔をあけて対向する二つの孔周縁部210によって挟み込まれることで、第一導入部4A及び第一閉止部材6Aと伝熱プレート20とが互いに接続されているが、第一導入部4A及び第一閉止部材6AがX軸方向に対向する二つの孔周縁部210の間隔と対応する厚さ(X軸方向の寸法)のフランジ部42Aを有し、該フランジ部42Aが前記二つの孔周縁部210に挟み込まれるように接続されていてもよい(図10参照)。
また、例えば、図9に示すように、第一導入部4Aの先端面が孔周縁部210に当接するように第一導入部4Aと伝熱プレート20とが接続されてもよい。
また、例えば、図9に示すように、第一導入部4Aにおいて、先端部412と他の部位413とが異なる部材によって構成され、ロウ付け等によって先端部412と他の部位413とが一体にされたものでもよい。
第二プレート間空間SP2を兼ねた上流側プレート間空間SPuにおける第二流入路Pb1との連通部位において、前記上流側プレート間空間SPuの入り口の大きさ(図9に示す例では、X軸方向の大きさ)、詳しくは、該上流側プレート間空間SPuを画定する二つの伝熱プレート20の孔周縁部210同士の間隔、又は、該上流側プレート間空間SPuを画定する補強プレート3A、3Bの孔周縁部と伝熱プレート20の孔周縁部210との間隔は、上流側プレート間空間SPu毎に同じでもよく、異なっていてもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aの先端410が、第一プレート間空間SP1を画定する二つの伝熱プレート20のうちの導入方向における上流側の伝熱プレート20の第一孔21の孔周縁部210と重なる積層部位(孔周縁部)210であって、孔周縁部210を有する伝熱プレート20と隣接する伝熱プレート20の第一孔21の積層部位(孔周縁部)210に接続されている、即ち、第一導入部4Aの先端410が、重なった状態の孔周縁部210に接続されているが、この構成に限定されない。第一導入部4Aの先端410は、一枚の孔周縁部210(即ち、他の孔周縁部210が重なっていない状態の孔周縁部210)に接続されていてもよい。
また、上記実施形態の熱交換器1では、第一導入部4Aの周面の先端部位に配置されるフランジ部42、43は、伝熱プレート20との接続に用いられているが、この構成に限定されない。第一導入部4Aの周面の先端部位に配置されるフランジ状の部位は、第二流体Bが流れるプレート間空間SP内に位置していれば伝熱プレート20と離間していてもよい。かかる構成によれば、第一導入部4Aの先端部位において第二流体Bによって冷やされる部位の面積(表面積)が増大して該第二流体Bによる該部位の冷却効率が向上する。その結果、第一導入部4Aと伝熱プレート20との接続部位及びその近傍の温度上昇がより効果的に抑えられる。