JP4564895B2 - トンネル拡幅方法 - Google Patents
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Description
また、凍結管内に冷媒を循環させるための冷却装置が必要になるため、施工コストが高くなってしまうという問題がある。
さらに、凍結管内の冷媒を均一な温度に保つことが困難であるため、拡幅領域の周囲の地盤強度を均一に高めることができないという問題がある。
なお、出力部が掘削軸周りに回転する外周駆動型の駆動装置としては、例えば、ラジアルピストンモータやアキシャルピストンモータ等の油圧モータを用いることができる。
また、駆動ケーブルや固化材供給管の他に、掘削土砂の一部を排土するための排土管を掘削軸内に内挿してもよい。
そして、カッタ、駆動装置および固化注入手段を取り外した掘削軸は、芯材として曲線穴内に残すことにより、拡幅領域の周囲を補強することができる。
また、一般的な地盤掘削装置に用いられている各種装置を利用することができるため、施工コストを低減することができる。
さらに、掘削土砂に固化材を注入しながら掘進しており、曲線穴内全域を均一に固化させて、拡幅領域の周囲の地盤強度を高めることができるため、拡幅領域を掘削したときの地盤の崩落を確実に防ぐことができる。
また、駆動装置の出力がカッタに対して効果的に伝達されるため、カッタの掘削効率を向上させることができる。
まず、本実施形態のトンネル拡幅方法に用いられる掘削手段について説明した後に、その掘削手段を用いたトンネル拡幅方法について説明する。
なお、以下の説明において、「前後方向」とは掘削手段の掘進方向に対応している。
図1は、本実施形態のトンネル拡幅方法に用いられる掘削手段を示した図で、(a)は側面図、(b)はカッタを拡径した状態の側断面図、(c)はカッタを縮径した状態の側断面図である。
掘削手段1は、図1(a)に示すように、一定の曲率で湾曲しているケーシング10(特許請求の範囲における「掘削軸」)と、ケーシング10の先端部11に取り付けられている駆動装置20と、駆動装置20によって回転するカッタ30と、掘削土砂に固化材を注入する固化材注入手段(図示せず)と、掘削土砂の一部を排土する排土手段(図示せず)とを備えている。
そして、カッタ本体31を拡径した場合には、駆動装置20の外径よりも大きくなり、カッタ本体31を縮径した場合には、駆動装置20の外径と略同じ大きさとなる。
カッタ30は、図1(b)に示すように、カッタ本体31の後方でケーシング10の先端部11内に内挿されているシリンダ35を備えている。
このシリンダ35は、伸縮ロッド35aが出力部21の中心軸線上で、本体部35bに対して前後方向に移動するように構成されており、シリンダ35の伸縮ロッド35aの先端部は、各板状部材33,33の連結部34に接続されている。
また、シリンダ35は、本体部35bの外周面と、ケーシング10の先端部11の内周面との間に介設されたベアリング36によって、出力部21と同じ軸周りに回転するように構成されている。
さらに、シリンダ35の本体部35bの外周面には、棒状部材である2本のリンク部材37,37の一端が回動自在に取り付けられており、各リンク部材37,37の他端は、各板状部材33,33の後面において長手方向の略中央部に回動自在に取り付けられている。
また、縮径させたカッタ本体31を拡径させる場合には、前記した縮径させる場合とは逆に、シリンダ35の伸縮ロッド35aを縮退させることにより、連結部34が後方に引き込まれるとともに、各リンク部材37,37によって前後方向の移動が規制された各板状部材33,33が外側に押し出されるため、図1(b)に示すように、各板状部材33,33が広がった状態となり、カッタ本体31が拡径することになる。
そして、各リンク部材37,37を出力部21に係止させた状態で出力部21を回転させると、各リンク部材37,37が出力部21の回転に伴って回転することになり、カッタ本体31が出力部21と同じ軸周りに回転することになる。
なお、本実施形態では、掘削土砂を固化させるための固化材としてセメントミルクを用いている。
また、固化材を排出する位置は限定されるものではなく、例えば、カッタ本体31の掘削面から排出したり、駆動装置20の後方でケーシング10から排出したりしてもよい。
次に、前記した掘削手段1を用いてトンネルを拡幅するトンネル拡幅方法について説明する。
図2は、本実施形態のトンネル拡幅方法において、セグメントに入口穴および出口穴を形成した状態を示した図で、(a)は正面断面図、(b)はセグメントの内壁面を示した図である。図3は、本実施形態のトンネル拡幅方法を示した図で、(a)は掘削手段を地盤内で掘進させている態様の正面断面図、(b)は地盤内に曲線穴を掘削した後の正面断面図である。図4は、本実施形態のトンネル拡幅方法を示した図で、(a)は曲線穴を掘削した後のセグメントの内壁面を示した図、(b)は拡幅領域を掘削して取り除いた後の正面断面図である。
以下の説明において、トンネルTが拡幅される空間を拡幅領域Kとして示す。なお、トンネルTの壁面には、あらかじめ一次覆工としてセグメントSが取り付けられている。
上側の入口穴S1は、掘削手段1を挿入するための貫通穴であり、下側の出口穴S2は、地盤内に掘進させた掘削手段1をトンネルT内に貫入させるための貫通穴であるため、入口穴S1と出口穴S2との上下方向の間隔は、ケーシング10を地盤内に配置したときの両端部の間隔に対応させて設定する(図3(b)参照)。
また、入口穴S1および出口穴S2は、トンネルTの延長方向における拡幅領域Kの幅に対応させて、トンネルTの延長方向に所定間隔で並設する。
なお、入口穴S1および出口穴S2からの土砂や地下水の流入を防ぐため、各入口穴S1・・・および各出口穴S2・・・に蓋体Fを嵌め込んで塞いでいる。
このとき、トンネルT内には、掘削手段1を支持するための支持架台2が設置されており、ケーシング10は、支持架台2に取り付けられたガイド部材3に案内されて、軸方向に移動可能となっている。
このように、入口穴S1は、縮径させたカッタ本体31が通過可能な大きさに形成されていればよく、入口穴S1の開口面積を狭くすることができるため、トンネルTの強度低下を低減することができる。
また、掘削手段1を掘進させながら、固化材注入手段(図示せず)から掘削土砂に固化材を注入し、掘削土砂と固化材とをカッタ30によって撹拌するとともに、排土手段(図示せず)によって掘削土砂の一部を排土する。
また、入口穴S1には、パッカーPを嵌め込むことにより、入口穴S1とケーシング10との隙間からの土砂や地下水の流入を防ぐことができる。
また、駆動ケーブル、固化材供給管および排土管の配管類(図示せず)は、ケーシング10内に内挿されているため、掘削時に配管類の損傷を防ぐことができる。
さらに、カッタ本体31の外径よりもケーシング10の外径が小さくなっており、掘削土砂の大部分はケーシング10の周囲に残置させることができるため、排土手段による排土量が非常に少なくなっている。
また、掘削手段1は、掘削土砂に固化材を注入し、掘削土砂と固化材とを撹拌しながら掘進しているため、曲線穴A内全域の掘削土砂を均一に固化させることができる。
さらに、カッタ30は、入口穴S1を通過後にカッタ本体31を拡径させることにより、大きな径の曲線穴Aを掘削することができ、固化させる掘削土砂の量も増えるため、拡幅領域Kの周囲の地盤強度を十分に高めることができる。
また、出口穴S2には、入口穴S1と同様に、パッカーPを嵌め込むことにより、出口穴S2とケーシング10との隙間からの土砂や地下水の流入を防ぐことができる。
なお、順次に掘削する曲線穴Aは、隣り合う曲線穴Aが重複するように掘削することにより、拡幅領域Kを囲む壁状の地盤改良体が形成されることになる。
このとき、曲線穴A内全域の掘削土砂を均一に固化させて、拡幅領域Kの周囲の地盤強度を高めているため、地盤の崩落を確実に防ぐことができる。
また、セグメントSに出口穴を形成する必要がなくなるため、トンネルTの強度低下を低減することができるとともに、掘削手段1(図1(a)参照)を出口穴に向けて精度良く掘進させる必要がなくなるため、施工管理を容易に行うことができる。
10 ケーシング
20 駆動装置
21 出力部
30 カッタ
31 カッタ本体
A 曲線穴
K 拡幅領域
T トンネル
Claims (4)
- 一定の曲率で湾曲している掘削軸と、
前記掘削軸の先端部に取り付けられている駆動装置と、
前記駆動装置によって回転し、拡径および縮径自在なカッタと、
掘削土砂に固化材を注入する固化材注入手段と、を備え、
前記駆動装置の出力部が前記掘削軸に外嵌され、前記出力部が前記掘削軸周りに回転する掘削手段を用いてトンネルを拡幅するトンネル拡幅方法であって、
前記カッタを前記トンネルの壁面から地盤内に挿入し、前記カッタを回転させて、前記掘削軸を地盤内に順次に挿入することにより、前記固化材注入手段によって注入された前記固化材と掘削土砂とを前記カッタによって撹拌しながら、前記掘削手段を地盤内に掘進させる段階と、
地盤内に掘進させた前記掘削手段によって、前記トンネルの拡幅領域の周囲に曲線穴を掘削して、前記曲線穴内の掘削土砂を固化させた後に、前記トンネル内から前記拡幅領域の地盤を掘削して取り除く段階と、から構成され、
前記カッタは、
2つの部材から構成され、前記部材同士が回動自在に連結されているカッタ本体と、
前記掘削軸の先端部内に内挿され、前記出力部と同じ軸周りに回転自在なシリンダと、
一端が前記シリンダの本体部の外周面に回動自在に取り付けられ、他端は前記カッタ本体の部材に回動自在に取り付けられた2本のリンク部材と、を備え、
前記シリンダの伸縮ロッドの先端部が前記カッタ本体の各部材の連結部に接続され、前記伸縮ロッドを前記本体部に対して縮退させることで、前記カッタ本体の各部材が広がって、前記カッタ本体が拡径され、
前記出力部の中央部に形成された貫通穴の端部には、前記カッタ本体の各部材を広げたときに、前記各リンク部材が入り込む切り欠き溝が形成され、前記切り欠き溝に前記各リンク部材が係止されることで、前記各リンク部材が出力部の回転に伴って回転し、前記カッタ本体が前記出力部と同じ軸周りに回転することを特徴とするトンネル拡幅方法。 - 前記掘削軸は中空管であり、
前記掘削軸内には、前記駆動装置を駆動させるための駆動ケーブルおよび前記固化材注入手段に固化材を供給するための固化材供給管が内挿されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル拡幅方法。 - 地盤内に掘進させた前記掘削手段を前記トンネル内に貫入させ、前記トンネル内で前記掘削手段から前記カッタ、前記駆動装置および前記固化材注入手段を取り外し、前記曲線穴内に前記掘削軸を残置させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル拡幅方法。
- 前記曲線穴を掘削した後に、前記掘削手段を前記曲線穴内から前記トンネル内に回収し、前記曲線穴内には芯材を挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル拡幅方法。
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