JP4564709B2 - 樹脂層付き非直円筒の製造方法 - Google Patents

樹脂層付き非直円筒の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像加熱定着装置の定着ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスにおいて、記録シート上に形成された未定着画像(トナー画像)を永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては、熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。これはローラ内にハロゲンヒータ等の熱源を用いるのが一般的である。
【0003】
一方、加熱方式としてはセラミックヒータを熱源として小熱容量の樹脂ベルトあるいは金属ベルトを加熱するものが広く提案、実施されている。即ち、一般に加熱体としてのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性ベルト(定着ベルト)を挟ませてニップ部を形成させ、前記ニップ部のベルトと加圧ローラとの間に、画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた記録シートを導入してベルトと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの熱をベルトを介して記録シートに与え、またニップ部の加圧力にて、未定着トナー画像を記録シートに熱圧定着させるものである。
【0004】
このベルト加熱方式の定着装置は、ベルトとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0005】
このようなベルト加熱方式におけるベルトとしては、耐熱樹脂等が用いられ、特に耐熱樹脂としては耐熱性、強度に優れたポリイミド樹脂が用いられている。
しかしながら、さらに機械を高速化、高耐久化した場合、樹脂フィルムでは強度が不十分であることから、強度に優れた金属、例えばSUS、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属を基層とするベルトを用いることが提案されている。
【0006】
また、金属ベルトを利用して、これを電磁誘導による渦電流で自己発熱させる誘導加熱方式も開示されている(例えば、特許文献1参照。)。ベルト自身あるいはベルトに近接させた導電性部材に渦電流を発生させジュール熱によって発熱させる加熱装置が提案されている。この電磁誘導加熱方式は、発熱域をより被加熱体に近くすることができるため、消費エネルギーの効率アップが達成できる。
【0007】
ベルト加熱方式の定着装置の定着ベルトの駆動方法としては、ベルト内面を案内するフィルムガイドと加圧ローラとで圧接されたフィルムを加圧ローラの回転駆動によって従動回転させる方法(加圧ローラ駆動方式)や、逆に駆動ローラとテンションローラによって張架された無端ベルト状のベルトの駆動によって加圧ローラを従動回転させるもの等がある。
【0008】
以上に挙げたような定着装置を用いた複写機やレーザプリンタ等は機器の高速化、高画質化、自動両面化、カラー化、省電力化といった要求に伴い、安定した通紙性が問題となる場合があった。これらの要求に応える定着ベルトとして、強度を持たせるための金属層と、記録シートに十分な時間熱を与えるためのシリコーンゴム等を用いた弾性層と、トナーとの離型性の良いフッ素樹脂層を有する多層構造の定着ベルトが用いられるようになった。このような定着ベルトの形状は、紙しわ対策用としてストレート型、逆クラウン型や、対峙するローラとの関係から使用される正クラウン型がある。このクラウン型のクラウン量は、使用される複写機、レーザビームプリンタ等の機器の種類によって異なっている。
【0009】
このような形状の異なる多層構造の定着ベルトを製造するには、金属層にゴムなどの弾性層を加硫接着させた後、例えば逆クラウンの形状に研磨する。その後、プライマーを塗布し、最外層と成るフッ素樹脂を予めチューブに成形したフッ素樹脂チューブを、研磨後の逆クラウン形状のベルトに被覆して製品としていた。
【0010】
しかしながら、このような従来の製造方法によれば、弾性層の成形工程後、弾性層の研磨工程が入るため、定着ベルトの製造に時間がかかり、これに伴い製品コストがアップする場合があった。また、弾性層を研磨することにより、軸方向での弾性層の膜厚が変化することから、画質のムラが生じてしまう場合があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−114276号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の様な状況に鑑み、本発明の目的は、膜厚精度が良好で、樹脂ロスが少なく、しかもクラウン状、逆クラウン状、またはテーパ状の円筒であって、膜厚が実質的に均一な円筒を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は非直円筒形状に成形された薄肉円筒内に、該薄肉円筒の軸方向での最大内径以上の外径を有する直円筒形状の中子を挿入し、薄肉円筒を直円筒形状に矯正した状態で薄肉円筒上に環状塗工装置を用いて均一な膜厚の未硬化樹脂層を形成し、未硬化樹脂の形成後に中子を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状にした後、該未硬化樹脂層を硬化させる工程を有することを特徴とする樹脂層付き非直円筒の製造方法に関するものである。
なお、本発明で樹脂とはゴムも含めた意味として使用する。
本発明においては、膜厚精度が良好で、樹脂ロスが少なく、膜厚が実質的に均一な樹脂層付き非直円筒を得ることができる。
また、上記工程において、中子を取り除く前に未硬化樹脂層の仮硬化を行うことが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、非直円筒形状に成形された薄肉円筒内に直円筒形状の中子を挿入し、薄肉円筒を直円筒形状に矯正した状態で薄肉円筒上に未硬化樹脂層を形成し、未硬化樹脂の形成後に中子を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状にすることを特徴とする樹脂層付き非直円筒及びその製造方法に関するものである。
【0015】
本発明により、薄肉円筒表面に形成される樹脂層の膜厚は10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。また、5000μm以下が好ましく、2000μm以下がより好ましく、1000μm以下が更に好ましい。10μm以上の膜厚形成では、本発明に用いる高粘度の未硬化樹脂の吐出が途切れず、薄肉円筒表面に付着するといった問題が起こらないため、安定した塗膜形成が可能となる。また、5000μm以下の膜厚形成では、硬化時、薄肉円筒の下側に樹脂が移動し膜厚が厚くならず、均一な膜厚を形成することが可能となる。
【0016】
本発明における「直円筒形状」とは、長手方向における断面径の最大値と最小値の差が0.03mm以下のものである。また、「非直円筒形状」とは、長手方向における断面径の内径の最大値と最小値の差が0.03mmを超えるクラウン形状や逆クラウン形状、テーパー形状等のものである。ここで、クラウン形状とは軸方向の中央部を太く、両端部を細くした形状であり、逆クラウン形状とは軸方向の中央部を細く、両端部を太くした形状である。「形成」とは、薄肉円筒上に樹脂層を塗布することである。
【0017】
本発明により薄肉円筒上に塗布される樹脂層の形成法は、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、リングコート法、ブレードコート法等のいずれの塗布法をも採用できる。
本発明においては、未硬化樹脂層の形成時に非直円筒形状の薄肉円筒を直円筒形状に矯正しているため、膜厚精度が良好で、樹脂ロスが少なく、最終的に膜厚が実質的に均一な非直円筒を得ることができる。
【0018】
本発明における非直円筒形状に成形された薄肉円筒とは、大略500μm以下の膜厚の円筒形状を有するものであって、電鋳や引き抜き、深絞り、切削加工等により製造されたシームレス管であって、シート状膜の端部を接続して形成したループ状、環状、管状、リング状、筒状、輪状、中空状等を含むものをいい、その材質は、金属、あるいは樹脂のいずれかであっても良く、それら材料が積層されていても、複合化されていてもよい。また、薄肉円筒はバルジや絞り、しごき、研磨加工等により非直円筒形状に成形されたものであり、あるいは薄肉円筒を成形する際に非直円筒形状にしたものである。また、本発明における薄肉円筒に樹脂層を形成する際に、薄肉円筒へ挿入する中子は直円筒形状である。
【0019】
なお、本発明で未硬化樹脂とは塗布時液状であって、硬化により樹脂状を呈する樹脂のことである。未硬化樹脂としては例えば、熱硬化性樹脂、シリコーンゴム等を挙げることができるが、これらの樹脂に限定されるわけではない。
本発明では、未硬化樹脂層をリングコート法により薄肉円筒表面上に形成する樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このようにリングコート法を用いることによって、薄肉円筒上の外周面に沿って、樹脂層を無溶剤で樹脂ロスが少なく、且つ、一定膜厚に形成することができる。
【0020】
本発明では、薄肉円筒から中子を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状に矯正した状態で、未硬化樹脂層の硬化を行なう樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このように薄肉円筒を再び非直円筒形状に矯正した状態で、未硬化樹脂層の硬化を行なうことによって、硬化後の樹脂層の変形を防止することができる。この際、未硬化樹脂の粘度は1Pa・s以上が好ましく、5Pa・s以上がより好ましく、10Pa・s以上が更に好ましい。また、2000Pa・s以下が好ましく、1500Pa・s以下がより好ましく、500Pa・s以下が更に好ましい。ここで、粘度は25℃、BH型回転粘度計法により測定した。
【0021】
本発明では、薄肉円筒が金属である樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このように薄肉円筒を金属とすることによって、樹脂層付き非直円筒の強度を向上させることができる。
さらに、本発明では、薄肉円筒がニッケル電鋳円筒である樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このように薄肉円筒をニッケル電鋳円筒とすることによって、円筒表面を平滑にし、樹脂層原料の膜厚を均一にすることができる。
【0022】
本発明では、未硬化樹脂の硬化後の樹脂層を弾性層とする樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このように未硬化樹脂の硬化後の樹脂層を弾性層とすることによって、樹脂層付き非直円筒に、低圧縮性及び低圧縮永久歪みを付与することができる。
本発明では、弾性層としてシリコーンゴム層を用いた樹脂層付き非直円筒及びその製造方法である。このように弾性層としてシリコーンゴム層を用いることによって、樹脂層付き非直円筒に、高い耐熱性、低圧縮性及び低圧縮永久歪み付与することができる。樹脂層としては、付加型シリコーンゴムがさらに好ましい。
【0023】
また、本発明で得られた弾性層付き非直円筒を像加熱定着装置用の定着ベルトとして用いることによって、低圧縮性及び低圧縮永久歪みを有する定着ベルトとすることができ、効果的にトナー担時体へのトナーの定着およびトナー担時体の搬送を行なうことができる。
【0024】
図4は本実施形態における像加熱定着装置を示した模式断面図である。図4において、33は本発明による定着ベルトである。34は樹脂製の横長ステーであり、定着ベルト33の内面ガイド部材と加熱手段としてのヒーター35の支持体を兼ねるものである。定着ベルト33は、ヒーター35を含むステー34に外嵌させてある。この定着ベルト33の内周長とヒーター35を含むステー34の外周長は定着ベルト33の方を例えば3mm程度大きくしてあり、従って定着ベルト33はヒーター35を含むステー34に対して周長が余裕をもってルーズに外嵌している。31はヒーター35との間で定着ベルト33を挟んで、定着ニップ部を形成する加圧手段としての加圧ローラである。
【0025】
本発明における像加熱定着装置において、記録材S上の静電トナー像Tがニップ部で熱と加圧が加えられることにより定着させる。像加熱定着装置に搬送されてきた未定着のトナー画像を上面に担持した被加熱材としての記録材Sは、ヒーター35と加圧ローラ31の定着ニップ部の定着ベルト33と加圧ローラ31との間に進入して定着ニップ部を通過して行き、その通過過程でヒーター35の熱を定着ベルト33を介して受けてトナー像Tの加熱定着処理がなされる。
【0026】
(第1の実施形態)
以下実施形態によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
本発明における薄肉円筒に挿入される拡管中子20の形状を図1に示す。拡管中子20の外径は挿入する非直円筒形状(クラウン3a、逆クラウン3b、あるいはテーパ3c)に成形された薄肉円筒3の軸方向での最小内径より大きくなっており、好ましくは薄肉円筒3の軸方向での最大内径と等しいか、あるいはこれより大きくする。拡管中子20にはエア排気口21が設けてあり、薄肉円筒3を挿入する際には不図示のエア供給装置より拡管中子20へエアを供給し、エア排気口21よりエアが噴出し薄肉円筒3を拡管させ、非直円筒形状に形成された薄肉円筒3へ拡管中子20を挿入することを可能にしている。拡管中子20が挿入された薄肉円筒3は、拡管中子形状に矯正され、一時的に直円筒形状となる。
【0027】
本発明における押出し方式の環状塗工装置による塗工状況をあらわす概略図を図2に、また、未硬化樹脂2が環状ヘッド1内を流れ拡管中子20が挿入された薄肉円筒3に塗工される状況ならびに、環状ヘッド1の構成を図3に示す。シリンダー部4に蓄えられた未硬化樹脂2は、ピストン5を一定速度で押し下げることで加圧され一定流速となり、液送管8から環状ヘッド1の注入口7に流れ込む。環状ヘッド1は、円筒部1aと貯留部1bと塗工部1cとからなっていて、注入口7より流入した樹脂は円筒部1aと貯留部1bとで囲まれた環状の液溜11に満たされる。そこから未硬化樹脂2は、円筒部1aと貯留部1bと塗工部1cとで囲まれた狭い環状スリット12を通り環状ノズル13から押出される。このとき、薄肉円筒3と環状ヘッド1とを相対的に移動することにより(図では矢印方向への薄肉円筒の移動を示す)、薄肉円筒3表面に押出された未硬化樹脂2を連続的に塗工する方式のものであって、高粘度の未硬化樹脂の塗工に好ましく適用できる。このときの薄肉円筒3と環状ノズル1との相対的な移動は、図2には水平方向の移動で示したが、垂直方向でも斜め方向の環状塗工装置であっても適用できる。未硬化樹脂2が塗工された薄肉円筒3は、拡管中子20より挿入時と同様のエア圧で外され、薄肉円筒3の形状は元の非直円筒へと戻される。その後、未硬化樹脂2の硬化を行い、樹脂層付き非直円筒が得られる。
【0028】
本発明における薄肉円筒3は非直円筒形状であり、軸方向での最大内径と最小内径の差は300μm以下であるが、拡管中子20への挿入性を考慮すると、より好ましくは200μm以下である。
本発明に用いられる未硬化樹脂2としては、塗工時液状であるが硬化により、固体状になるものであればよく、熱硬化性であってもよく、特にシリコーンゴムが好ましい。
【0029】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、非直円筒形状の薄肉円筒に拡管中子を挿入して直円筒形状に矯正し、未硬化樹脂を薄肉円筒表面に塗布させ、未硬化樹脂を硬化させる際に、直円筒形状の拡管中子を取り去ることにより樹脂層付き非直円筒を得た。
ところが、第1の実施形態でも述べたように樹脂層を塗工する際に薄肉円筒を直円筒に矯正し、樹脂層を硬化させる際には非直円筒形状に戻しているため、薄肉円筒の最大内径と最小内径との差に対し、軸方向で2%ほどの膜厚変動が生じている。この膜厚変動は、定着ベルトにおける機能としては何ら影響を与えるものではないが、第2の実施形態ではこの膜厚変動を抑える方法を提供する。
【0030】
以下、第2の実施形態を詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
第2の実施形態に用いられる未硬化樹脂としては、塗工時液状であって、熱を加えることにより硬化する樹脂であっても、シリコーンゴムであってもよい。その中でも、耐熱性の高い理由からシリコーンゴムが好ましく、付加型シリコーンゴムが定着部材の樹脂層としてさらに好ましい。
【0031】
本発明では、未硬化樹脂層の硬化を仮硬化及び本硬化の2段階に分けて行ない、薄肉円筒を直円筒形状に矯正した状態で仮硬化を行い、薄肉円筒から中子を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状にした状態で本硬化を行う。これにより、第1の実施形態よりも、樹脂層の良好な膜厚均一性を得ることが可能となる。
ここで、仮硬化時には樹脂は未硬化時より粘度が上昇しているが、まだ液状の状態になっており、本硬化時には樹脂は完全に硬化して固体状になっている。
【0032】
本実施形態における未硬化樹脂の仮硬化時の加熱温度は10℃以上90℃以下が好ましい。また、より好ましくは20℃以上80℃以下であり、更に好ましくは30℃以上70℃以下である。このような温度範囲に設定することによって、仮硬化不十分による膜厚変動を防止し、未硬化樹脂の硬化が進み過ぎることや薄肉円筒が熱により塑性変形を起してしまうことにより、薄肉円筒の最大内径と最小内径との差が小さくなってしまう現象を防止できる。また、本硬化時の加熱温度は好ましくは100℃以上300℃以下が好ましい。より好ましくは、120℃以上250℃以下であるのが良い。更に好ましくは150℃以上230℃以下であるのが良い。
【0033】
【実施例】
(実施例1) 樹脂層付き定着ベルト(ベルト1)の製造
図1記載の逆クラウン形状の薄肉円筒(最小内径30.00mm、最大内径30.20mm)3b及び拡管中子(外径30.21mm)20を用いた。エア排気口21よりエアを噴出させながら、薄肉円筒3を拡管させ、薄肉円筒へ拡管中子20を挿入した。この薄肉円筒内に拡管中子を挿入した状態で、図2に記載の環状塗工装置を用い、未硬化樹脂として付加型シリコーン樹脂(DY39−561(商品名):東レダウコーニングシリコーン社製)を300μmの膜厚になるように塗工した。その後、薄肉円筒3bから拡管中子20を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状にした状態で、200℃に加熱し、硬化を行なった。
【0034】
(比較例1) 樹脂層付き定着ベルト(ベルト2)の製造
図1記載の逆クラウン形状の薄肉円筒(最小内径30.00mm、最大内径30.20mm)3bに直円筒形状への矯正を行なわずに、図2に記載の環状塗工装置を用いて、未硬化樹脂として付加型シリコーン未硬化樹脂(DY35−561(商品名):東レダウコーニングシリコーン社製)を300μmの膜厚になるように塗工した。
【0035】
このようにして製造した実施例1及び比較例1の樹脂層付き薄肉円筒の外径及び樹脂層膜厚の測定を行なった。図5は実施例1(太線)、および比較例1(細線)の定着ベルトの外径を測定したものであり、図5は実施例1(太線)、および比較例1(細線)の定着ベルト(ベルト1及び2)の樹脂層膜厚を測定したものである。測定方法は、常温にてレーザー測長器で軸方向25mmピッチ13ポイント(横軸)、周方向45°ピッチ8ポイント平均(縦軸)を測定した。図5の樹脂層の膜厚に関しては、予め薄肉円筒のみでの測定を行い、薄肉円筒表面に樹脂層を成形後の測定値から薄肉円筒のみの測定値を差し引いた値を樹脂層の膜厚とした。図5の外径測定結果を見ると実施例1(太線)と比較例1(細線)とではほとんど同じであるが、図5の樹脂層膜厚の測定結果を見ると、比較例1(細線)に比べて実施例1(太線)の膜厚の軸方向バラツキが均一であり、樹脂層膜厚の均一な樹脂層付き非直円筒が得られていることが分かる。なお、ここで、図5の本実施形態の定着ベルトの膜厚が中央付近で若干、太くなっているが、これは樹脂層を塗工する際に薄肉円筒を直円筒に矯正し、樹脂層を硬化させる際には逆クラウン形状に戻しているためである。これはクラウン、逆クラウン、およびテーパのどの形状でも発生するものであり、薄肉円筒の最大内径と最小内径との差に対し、軸方向で2%ほどの膜厚が変動しているが、定着ベルトにおける機能としては何ら影響を与えるものではない。
【0036】
像加熱定着装置において、実施例1及び比較例1で製造した定着ベルト(ベルト1及び2)を使用し、複数枚の未定着トナーの担持された紙を搬送挿通させ、搬送性及び定着性を評価した。この結果、実施例1の定着ベルトでは紙の搬送性の良好な、高画質な定着像が得られた。ところが、比較例1の定着ベルトでは紙の搬送性は良好ではあるが、樹脂層の軸方向での膜厚差による熱伝導のばらつきと考えられる画像ムラが発生してしまった。
【0037】
(実施例2) 樹脂層付き定着ベルト(ベルト3)の製造
薄肉円筒、拡管中子及び未硬化樹脂は実施例1と同じものを用い、実施例1と同じ方法により、薄肉円筒上に樹脂層を形成した。その後、薄肉円筒3b内に拡管中子20を挿入した状態で、未硬化樹脂として付加型シリコーン樹脂を用い、50℃で未硬化樹脂の仮硬化を行ない、薄肉円筒から拡管中子を取り除き、薄肉円筒を再び非直円筒形状にした状態で、200℃で未硬化樹脂の本硬化を行なった。図6は実施例1(細線)、及び実施例2(太線)の定着ベルト(ベルト1及び3)の樹脂層膜厚を測定したものである。図6の測定結果を見ると、実施例1の定着ベルトの膜厚で中央付近が若干太くなっているものが、実施例2の定着ベルトでは解消されていることがわかる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、非直円筒形状に成形された薄肉円筒内に直円筒形状の中子を挿入し、薄肉円筒を直円筒形状に矯正した状態で、薄肉円筒上に未硬化樹脂層を形成することによって、膜厚の均一な樹脂層付き非直円筒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における拡管中子を示した模式図である。
【図2】実施例1における環状塗工装置による塗工状況を示した模式図である。
【図3】実施例1における塗工状況、並びに環状ヘッドの構成を示した模式断面図である。
【図4】実施例1における像加熱定着装置を示した模式断面図である。
【図5】実施例1と比較例1における定着ベルトの樹脂層の膜厚測定結果を表した図である。
【図6】実施例2と比較例1における定着ベルトの樹脂層の膜厚測定結果を表した図である。
【符号の説明】
1a 環状ヘッドの円筒部
1b 環状ヘッドの貯留部
1c 環状ヘッドの塗工部
35 ヒーター
2 未硬化樹脂
S 記録材
3 薄肉円筒
3a クラウン
3b 逆クラウン
3c テーパ
T トナー像
4 シリンダー部
5 ピストン
7 注入口
8 液送管
11 液溜
12 環状スリット
13 環状ノズル
20 拡管中子
21 エア排気口
31 加圧ローラ
33 定着ベルト
34 ステー
35 ヒーター
S 記録材
T トナー像

Claims (2)

  1. 非直円筒形状に成形された薄肉円筒内に、該薄肉円筒の軸方向での最大内径以上の外径を有する直円筒形状の中子を挿入し、該薄肉円筒を直円筒形状に矯正した状態で該薄肉円筒上に環状塗工装置を用いて均一な膜厚の未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂の形成後に中子を取り除き、該薄肉円筒を再び非直円筒形状にした後、該未硬化樹脂層を硬化させる工程を有することを特徴とする樹脂層付き非直円筒の製造方法
  2. 前記工程において、中子を取り除く前に未硬化樹脂層の仮硬化を行う請求項1に記載の樹脂層付き非直円筒の製造方法。
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