JP6004893B2 - 基材へのチューブ被覆方法 - Google Patents

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Description

本発明は、筒状または円筒状の基材に対するチューブ被覆方法に関する。
ここで、定着部材は、記録材の画像担持面に当接して画像を加熱する加熱手段としての加熱部材、または加熱部材と定着ニップを形成する加圧手段としての加圧部材、若しくはその両者である。
従来、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置における定着部材として使用するロールとして、芯金の表面に例えばシリコーンゴム層を形成する。そして、更にその表面にフッ素樹脂チューブを被せたものが使用されている。
定着装置のローラやベルトを樹脂で被覆する方法としては、樹脂チューブをローラやベルト表面に被覆させる方法が一般に用いられている。
チューブを被覆した定着ローラ(加熱ローラや加圧ローラ)等を製造する方法としては、従来、金型の内周面にPFA(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを固定する。次いて金型の中に芯金を挿入してから、芯金とPFAチューブの間にシリコーンゴムを注入硬化させて一体形成させる方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、上記のような金型を用いたチューブの被覆方法では、ロールの中心軸線と金型内周面の中心軸線とを正確に一致させなければ、製造後の円筒度がずれ、使用時に定着ローラの振れ回り現象が発生して好ましくない。
この様に定着ローラの振れ回りを所定の範囲にするためには、ロールの中心軸線と金型内周面の中心軸線とを高い精度で一致させなければならず、高い形状精度の金型が必要になり、製造コストが高価になるといった問題があった。
この様な高精度の金型を不要とし、簡単な工程でゴムローラにチューブを安価に被覆する方法として、近年では減圧容器内にPFAチューブの一端部を懸吊して保持する。そして、他端部側から減圧容器内のガスを吸引しつつ、前記PFAチューブの内径より僅かに大きい外径を有する、外周面に接着剤を塗布したゴムローラを挿入する。その後、接着剤を硬化させる方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、ゴムローラ外周面に塗布された接着剤がチューブへ挿入する際、チューブに連れられて挿入方向へ移動してしまう。そのため、ローラの軸方向に偏りが生じたり、接着剤のローラ外周面の接着剤が部分的に液切れを起こし、接着不良を起こす原因となっていた。
この様な接着層の偏肉を防止するチューブ被覆方法として、被挿入体の外周面に接着剤を塗布する。そして、少なくとも径方向に沿う弾性を有するフッ素樹脂製チューブを緊密に被覆する。その後、被挿入体の外径よりも径小な口径を有する扱きリングを、被挿入体の外周に被覆されたフッ素樹脂製チューブの外周の一端に嵌合させる。その扱きリングを、被挿入体の軸方向に沿って他端に向けて移動させて、接着剤を被挿入体とフッ素樹脂製チューブとの間で扱く方法が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、被挿入体の外径よりも径小な口径の扱きリングでフッ素樹脂製チューブを摺擦しながら扱くため、フッ素樹脂製チューブと扱きリングの摺動摩擦が大きい。そのため、チューブが伸びてしまったり、摩擦を下げるためにオイル等の潤滑剤が必要となったりした。潤滑剤を使用すると周りを汚染し基材への付着等により接着不良を起こす要因となったり、加工後にその表面の潤滑剤をふき取る工程が必要となる。
これら課題を解決するため、筒状または柱状の基材とチューブ間に接着剤を介在させ、前記接着剤を硬化させることによりチューブが被覆された部材が得られるチューブ被覆方法において次のような方法が特許文献4に提案されている。
即ち、基材とチューブ間に介在している接着剤が液状あるいはペースト状の未硬化状態において、チューブが被覆された部材より僅かに大きいリング状部材を外嵌する。そして、リング状部材からチューブ表面へエアをチューブの軸方向と垂直の方向に噴出させながらリング状部材をチューブの軸方向へ移動させる。これにより、基材とチューブ間に介在する接着剤を扱くことを特徴とする基材とチューブ間の余分な接着剤扱き工程を含む基材へのチューブの被覆方法である。
特開昭63−298383号公報 特公平8−15758号公報 特開2002−36361号公報 特開2005−238765号公報
しかし、この方法は噴出エアによるため、対象物との距離が大きくなると、扱き能力が低下する。対象物との距離は、比較的小さく、高度な位置調整をするか、噴出エアによる調芯作用によるか、が必要である。いずれの方法にしても、接触によりPFAチューブに傷をつけてしまうケースがあった。
本発明は特許文献4の技術の更なる改善に係る。この発明の主たる目的は、ゴムローラ、あるいはベルト等の基材に接着剤を介在させてチューブ被覆をする際に、噴出エアにより扱きを行う場合に、チューブに傷を与えることのないチューブ被覆方法を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明に係るチューブ被覆方法の代表的な構成は、
筒状または柱状の基材と前記基材の外側に被覆するチューブとの間に接着剤を介在させ、前記接着剤を硬化させることにより前記チューブが被覆された部材を得るチューブ被覆方法において、
前記接着剤が液状あるいはペースト状の未硬化状態において前記基材に前記チューブを被せた後に前記チューブを長手方向に伸張させる伸張工程と、
前記チューブの長手方向への伸張を維持しつつ前記チューブの長手方向の一端側と他端側を前記基材に固定する固定工程と、
前記固定工程の後に前記チューブの外面を扱いて前記基材と前記チューブとの間の余分な接着剤を扱く扱き工程と、
前記扱き工程の後に前記接着剤を硬化させる硬化工程と、を有し、
前記扱き工程は、前記チューブが被せられた部材に対して前記部材よりもより僅かに大きい口径を有するリング状部材を外嵌させたのち、前記リング状部材から前記チューブの表面へエアを前記チューブの軸方向と交差する方向に噴出させながら前記軸方向へ移動させることにより前記基材と前記チューブとの間に介在する前記接着剤を扱く工程であり、前記リング状部材の少なくとも最内径部に前記チューブと同等以下の硬度の材料を用いていることを特徴とするチューブ被覆方法。
本発明によれば、基材に接着剤を介在させてチューブ被覆をする際に、噴出エアにより扱きを行う場合に、チューブに傷を与えることのないチューブ被覆方法を提供することができる。
リング状部材による扱き工程を説明するための図 定着ベルト(または加圧ベルト)のPFAチューブを被覆する方法を説明する図である。 定着ベルト(または加圧ベルト)の構成を説明するための図 画像形成装置例を説明するための図 実施例の定着装置を説明するための図 リングコートを説明するための図 従来の扱きリングを説明するための図 実施例1の扱きリングを説明するための図 実施例2の扱きリングを説明するための図
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではなく本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
[実施例]
(1)画像形成部
図3は本実施例に用いた画像形成装置の概略の構成模式図である。この画像形成装置1は電子写真方式レーザープリンタであり、潜像を担持する像担持体として感光体ドラム2を備えている。感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動され、その外面が帯電器3によって所定の極性・電位に一様に帯電される。その一様帯電面に対してレーザースキャナ(光学装置)4により画像情報のレーザー走査露光5がなされる。これにより、感光体ドラム2の面には走査露光した画像情報の静電潜像が形成される。
その静電潜像が現像器6によってトナー画像として現像される。そのトナー画像が、感光体ドラム2と転写ローラ7との当接部である転写部において、該転写部に導入された記録材(シート)Sに対して順次に転写される。
記録材Sは装置下部の給送カセット9内に積載収納されている。所定の給送タイミングで給送ローラ10が駆動されると、給送カセット9内の記録材が1枚分離給送されて、搬送路10aを通ってレジストローラ対11に至る。レジストローラ対11は記録材Sの先端部を受け止めて記録材の斜行修正をする。また、感光体ドラム上のトナー画像の先端部が転写部に到達したときに記録材の先端部も転写部に丁度到達するタイミングとなるように、感光体ドラム上のトナー画像と同期をとって、記録材Sを転写部に給送する。
転写部を通った記録材Sは感光体ドラム2の面から分離されて、画像定着装置Aへと搬送される。この定着装置Aにより記録材S上の未定着トナー画像が加熱・加圧により固着画像として記録材面に定着される。そして、その記録材が搬送路10bを通って排出ローラ対12によって装置上部の排出トレイ13へと排出、積載される。また、記録材分離後の感光体ドラム2の面はクリーニング装置8によって転写残トナー等の残留付着物が除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。
(2)定着装置A
図4は本実施例における画像加熱定着装置Aの概略の構成模式図である。この定着装置Aはツインベルト方式-電磁誘導加熱方式の装置である。
ここで、定着装置Aまたはこれを構成している部材について長手または長手方向とは記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向に平行な方向である。定着装置について正面とは記録材導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(=ベルト長手方向の寸法)である。また記録材の幅とは記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また上流または下流とは記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
この定着装置Aは、画像加熱定着装置用の定着部材として、互いに圧接して記録材を挟持搬送して画像を定着する定着ニップを形成する加熱部材としての定着ベルト20と加圧部材としての加圧ベルト30を備えている。定着ベルト20と加圧ベルト30の両者は共に可撓性を有するエンドレスベルトである。
定着ベルト20の構成については(3)項で詳述する。定着ベルト20は、ベルト懸架部材としての間隔をあけて平行に配列されたテンションローラ51および定着ローラ52と、この両ローラ51・52間に配設された第1の加圧パッドとしての下向きの定着パッド53との間に懸回張設されている。テンションローラ51と定着ローラ52は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。定着パッド53は定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
テンションローラ51は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト20に張りを与える。
定着ローラ52は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄合金製の中空芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム弾性層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。この定着ローラ52は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
この定着ローラ52に前記のように弾性層を設けることで、定着ローラ52に入力された駆動力を定着ベルト20へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト20からの記録材Sの分離性を確保するための定着ニップを形成できる。シリコーンゴムの硬度はJIS−A15度である。シリコーンゴム弾性層によって、内部への熱伝導も少なくなるためウォーミングアップタイムの短縮にも効果がある。
加圧ベルト30は、本実施例においては、電鋳ニッケルを基層とし、表面は離型層としてフッ素樹脂であるPFAチューブを30μmの厚みで設けられている。加圧ベルト30は、図面上、定着ベルト20の下側に位置させて次のようにして配設されている。即ち、加圧ベルト30は、ベルト懸架部材としての間隔をあけて平行に配列されたテンションローラ54および加圧ローラ55と、この両ローラ54・55間に配設された第2の加圧パッドとしての上向きの加圧パッド56との間に懸回張設されている。
テンションローラ54と加圧ローラ55は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。テンションローラ54は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製の中空芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト30からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてあり、加圧ベルト30に張りを与える。加圧ローラ55は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の中空剛性ローラである。加圧パッド56は定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
そして、定着ベルト20と加圧ベルト30との間に画像加熱部としての定着ニップ60を形成するために、加圧ローラ55は、回転軸の左右両端側がそれぞれ加圧機構(不図示)により矢印Fの方向に所定の加圧力にて定着ローラ52に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広い定着ニップ60を得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着パッド53により定着ベルト20を加圧ベルト30に向けて加圧させるとともに加圧パッド56により加圧ベルト30を定着ベルト20に向けて加圧させている。加圧パッド56は、加圧機構(不図示)により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド53に向けて加圧されている。定着パッド53と加圧パッド56との間に定着ベルト20と加圧ベルト30が圧着されることで記録材搬送方向において幅広の定着ニップ60が形成されている。
定着パッド53はパッド基体と定着ベルト内面に接する摺動シート(低摩擦シート)58を有する。加圧パッド56もパッド基体と加圧ベルト内面に接する摺動シート59を有する。これはベルト基層を金属層にした場合には、パッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体の間に、摺動シート58と59を介在させることで、パッドの削れを防止し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
定着ベルト20の加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱方式の加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。加熱源としての誘導加熱部材57は定着ベルト20の上行側ベルト部分の外面に対して所定の僅少な隙間を存して対向させて配設されている。
誘導加熱部材57は、誘導コイル57aと、励磁コア57bと、それらを保持するコイルホルダー57cと、から構成される。誘導コイル57aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア57bの中に配置されている。励磁コア57bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いるので、誘導コイル57aや励磁コア57bでの損失を抑えられ、効率的に定着ベルト20を加熱する事ができる。
定着動作は次のとおりである。制御回路部63は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。また、励磁回路64から誘導加熱部材57の誘導コイル57aに高周波電流を流す。
モータMが駆動されることで定着ローラ52が回転駆動される。これにより、定着ベルト20が定着ローラ52と同じ方向に回転駆動される。定着ベルト20の周速度は、定着ニップ60の記録材入口側において記録材Sにループを形成するため画像形成部側から搬送されてくるシートSの搬送速度に比して僅かに遅い周速とされている。本実施例の場合、定着ベルト20の周速は300mm/secとされ、A4サイズのフルカラー画像を1分間に70枚定着することが可能である。
加圧ベルト30は定着ニップ60における定着ベルト20との摩擦力で定着ベルト20に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分をローラ対52・55により定着ベルト20と加圧ベルト30を挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを防止することができる。定着ニップ最下流の部分は定着ニップでの圧分布(記録材搬送方向)が最大となる部分である。
一方、励磁回路54から誘導加熱部材57の誘導コイル57aに高周波電流が流されることで、定着ベルト20の金属層が誘導発熱して定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子62により検知される。この温度検知素子62で検知される定着ベルト20の温度に関する信号が制御回路部63に入力する。制御回路部63は温度検知素子62から入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路64から誘導コイル57aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
定着ベルト20が回転駆動され、また所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、定着ベルト20と加圧ベルト30間の定着ニップ60に、未定着トナー画像tを有する記録材Sが搬送される。記録材Sは未定着トナー画像tを担持した面を定着ベルト20側にして導入される。そして、記録材Sは未定着トナー画像担持面が定着ベルト20の外周面に密着したまま定着ニップ60で挟持搬送されていくことにより、定着ベルト20から熱が付与され、また加圧力を受けて未定着トナー画像tが記録材Sの表面に定着される。
また、定着ベルト20内の定着ローラ32がゴム層を有する弾性ローラであり、加圧ベルト30内の加圧ローラ35は鉄合金製の剛性ローラであるため、定着ベルト20と加圧ベルト30との定着ニップ出口では定着ローラ52の変形が大きくなっている。その結果、定着ベルト20も大きく変形し、定着トナー画像を担持した記録材Sは定着ベルト20から自らのこしにより曲率分離される。61は分離補助爪部材である。
(3)定着ベルト20
図2の(a)は本実施例における定着部材である定着ベルト20の層構成を示す断面模式図、(b)は構成層の積層要領説明図である。21は定着ベルト20の基材(円筒状基体)、25はその基体21の内周面に配された内面摺動層、26は基材21の外周面を被覆したプライマー層、22はプライマー層26上に配された弾性層(円筒状弾性層)である。24は表層としてのフッ素樹脂チューブであり、弾性層22の周面に接着剤層23により固定されている。
本実施例の定着ベルト20は上記6層の積層複合層部材であり、全体に可撓性を有する薄肉の低熱容量の部材である。そして、この定着ベルト20は自由状態においてはほぼ円筒形状を保持している。以下に各構成層について具体的に説明する。
(3−1)基材21
本実施例においては、定着ベルト20の基材21は前記誘導加熱部材57によって加熱させるために、SUS合金、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の金属層で形成されている。本実施例においては、内径が55mmで、厚みが65μmの電鋳ニッケルベルトを基材としている。
その厚みは好ましくは1〜300μmがよい。基材21の厚みが1μmよりも小さいと剛性が低く、多数枚耐久に耐えることが困難となる。また、基材21が300μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が低下して、ベルト状回転体として使用するには現実的ではない。より好ましくは20μmから100μmが理想である。
(3−2)内面摺動層25
内面摺動層25としては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を持つ樹脂が適している。本実施例では、芳香族テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を、基材21の内面に塗工する。そして、乾燥、加熱し、脱水閉環反応により形成したポリイミド樹脂層を形成して内面摺動層25とした。
(3−3)プライマー層26
プライマー層26は、基材21と弾性層22の間に設けられ、基材21と弾性層22の両者が接着することを助ける。材料としてはたとえば、ヒドロシリル系(SiH系)、シリコーンプライマー、ビニル系シリコーンプライマー、アルコキシ系シリコーンプライマーなどを挙げることができる。ヒドロシリル系では付加重合架橋、アルコキシ系では縮合重合架橋、によってシリコーンゴム弾性層と基材層が結合される。形成方法としては、ディッピング、スプレー、刷毛、などによる塗布形成を挙げることができる。
本実施例においては、ヒドロシリル系プライマーを溶剤にて適宜希釈したものを、スポンジ状のパッドにて塗布する方法を採用した。
(3−4)弾性層22
基材21の外周にはプライマー層26を介して弾性層22が設けられている。弾性層22の材料としては、公知の弾性材料を使用することができ、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。
弾性層22の厚さは、画像を印刷する場合に記録材Sの凹凸或いはトナー層の凹凸に定着ベルト加熱面が追従できないことによる光沢ムラを予防するために、100μm以上が好ましい。
弾性層22の厚さが100μm未満では、弾性部材としての機能が発揮されず、定着時の圧力分布が不均一となることによって、特にフルカラー画像定着時に二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができずに定着画像のグロスにおいてムラを生じる。また、溶融不十分なことによってトナーの混色性が低下し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。本実施例においては、シリコーンゴムを用い、硬度はJIS−A6度、熱伝導率は0.8W/mK、厚みは450μmである。
弾性層22の塗工方法を、図5を用いて説明する。図5は基材21上に弾性層22としてのシリコーンゴム層を形成する工程の一例であり、所謂リングコート法を用いる方法を説明するための模式図である。
本実施例では、付加硬化型シリコーンゴムとフィラーとが配合された付加硬化型シリコーンゴム組成物をシリンダポンプ41に充填する。そして、シリンダポンプ41から環状の塗工ヘッド42へ上記の組成物を圧送することで環状の塗工ヘッド42の内側に配置された塗工液供給ノズル(不図示)から円筒状基体21(25・21・26)の周面に付加硬化型シリコーンゴム組成物が塗工される。円筒状基体21の周面には予め公知の方法でプライマー処理が施されている。
塗工ヘッド42は固定された塗工ヘッド保持部43に保持されている。シリンダポンプ41はモータM1により駆動されて付加硬化型シリコーンゴム組成物を、チューブ44を介して塗工ヘッド43へ圧送する。
円筒状基体21は芯金保持具45に保持された円筒状芯金に外嵌されて保持されている。芯金保持具45は軸線が水平にされて塗工台46に水平移動可能に保持されている。環状の塗工ヘッド42は円筒状基体21に同軸に外嵌されている。塗工台46はモータM2により芯金保持具45の水平軸線方向に所定の速度で往動される。また、復動(戻し移動)される。
塗工ヘッド42による塗工と同時に円筒状基体21を図面上で右方向に一定速度で移動(往動)させることで、付加硬化型シリコーンゴム組成物の塗膜22aを円筒状基体21の周面に円筒状に形成することが出来る。
塗膜の厚みは、塗工液供給ノズルと円筒状基体21とのクリアランス、シリコーンゴム組成物の供給速度、円筒状基体21の移動速度、などによって制御することが出来る。
円筒状基体21上に形成された付加硬化型シリコーンゴム組成物層22aは、電気炉などの加熱手段によって一定時間加熱して、架橋反応を進行させることにより、シリコーンゴム弾性層22とすることができる。実施例においては、電気炉で200℃、30分加熱した。
(3−5)接着剤層23
弾性層22であるところの硬化シリコーンゴム層上にフッ素チューブを固定する接着層23は、弾性層22の表面に厚みを均一に塗布した付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなっている。そして、付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。具体的には、付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、ビニル基に代表される不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。
このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。また、接着剤層の形成は、前記弾性層の形成方法と同様の方法により形成できる。本実施例においては、TSE3250(GE東芝シリコーン社製)を約6μmの厚みで均一に塗布した。
(3−6)表層24
定着部材の表層としては、成形性やトナー離型性の観点から押し出し成形によるフッ素樹脂チューブ24が使用される。
フッ素樹脂としては、耐熱性に優れたテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。PFAチューブは、押し出し成形により成形するものを用いる。原料となるPFAの共重合の形式は特に限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられる。
また、原料となるPFAにおけるテトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の含有モル比は特に限定されるものではない。例えば、TFE/PAVEの含有モル比が、94/6〜99/1のものを好適に用いることができる。
この他、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)用いることができる。また、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を用いることもできる。これらのフッ素樹脂を1種あるいは複数種組み合わせて用いることもできる。
本実施例においては、押し出し成形で得られたPFAチューブを使用した。チューブ厚みは40μmであった。チューブ内径は、弾性層の外径よりも小さく、52.2mmであった。チューブ内面は、接着性を向上させるためアンモニア処理が施されている。
(3−7)フッ素樹脂チューブ被覆方法
本実施例では表層としてのPFAチューブ24を外側から拡張し被覆する方法(拡張被覆法:フッ素樹脂チューブ24を接着剤23が塗布された円筒状弾性層22に被せるフッ素樹脂チューブ被覆工程)を用いた。この拡張被覆法について図1Bを用いて説明する。
(a)チューブ挿入
弾性層22としてシリコーンゴム層の積層された基材W(図2の(b))の外径より大きな内径を有する金属製チューブ拡張型Kの内側にPFAチューブ24を配置(挿入)する。
(b)両端部保持
拡張型Kに配置したPFAチューブ24の両端を保持部材FuとFlを用いて保持する。
(c)縮め
次に、PFAチューブ24について事前に求めた所定の長さ分だけ長手方向を縮める(フッ素樹脂チューブの全長より短くなるように長手方向に縮める縮め工程)。
(d)真空拡張
PFAチューブ24の外表面と拡張型Kの内面の隙間部分を真空状態(大気圧に対して負圧)にする。真空(5kPa)になったことでPFAチューブ24が拡張してPFAチューブ24の外表面が拡張型Kの内面に密着する。
(e)基材Wを挿入
中子Nに基材W(25+21+26+22+23)をセット(外嵌)して、内側にPFAチューブ24が拡張されている拡張型Kの中に挿入する。基材Wのシリコーンゴム層22の表面には予め液状あるいはペースト状の未硬化状態の付加硬化型シリコーンゴム接着剤23が均一に塗布されている。
拡張型Kの内径はこの基材Wの挿入がスムーズに行われる範囲であれば特に限定するものではない。
(f)真空破壊
拡張型Kに対する基材Wの配置後、PFAチューブ24の外表面と拡張型Kの内面の隙間部分の真空状態(大気圧に対して負圧)を破壊(大気圧に対して負圧を解除)する。真空が破壊されることで、PFAチューブ24は、シリコーンゴム層22の積層された基材Wの外径と同じ大きさまで拡径が解かれ(フッ素樹脂チューブの拡張を緩める緩め工程)、PFAチューブ24とシリコーンゴム層表面は密着した状態になる。
(g)延伸工程
次に、PFAチューブ24を所定の伸張率まで伸張する(フッ素樹脂チューブの長手方向への伸張工程)。
PFAチューブ24が伸張される際、PFAチューブ24とシリコーンゴム層22の間にある付加硬化型シリコーンゴム接着剤23が潤滑剤の役目を果たし、スムーズに伸張することができる。
(h)カシメ工程
PFAチューブ24の長手方向の伸張率を維持するために、弾性層22とPFAチューブ24の両端部(後の工程で切断される部分)をヒーターを内蔵したカシメビットH1などでカシメる工程である。
即ち、PFAチューブは、接着剤が未硬化の状態では、弾性により収縮し、伸張率が低下してしまうため、長手方向の伸張率を維持を目的として、ベルトの長手両端部で、弾性層22とPFAチューブ24を接着する。方法としては、本実施例では、ヒーターを内臓した金属塊H1をベルト表面に押し付け加熱した。
(i)扱き工程
弾性層22とPFAチューブ24の間には、接着に寄与しない余剰(余分)な付加硬化型シリコーンゴム接着剤23と、チューブ被覆時に巻き込んでしまった空気が存在する。この余剰な接着剤と空気を扱き出す工程である。
PFAチューブ24が被覆されている基材Wを拡張型Kから取り出す。この基材Wの外径より僅かに大きい内径をもつリング状部材(チューブ24が被せられた部材(W+24)より僅かに大きい口径を有する扱きリング)Rを基材Wに外嵌する。
ここで、僅かに大きい口径とは、[0.1mm≦(リング状部材内径−チューブを被覆した基材の外径)≦2mm]、好ましくは[0.4mm≦(リング状部材内径−チューブを被覆した基材の外径)≦1mm]である。なお、チューブを被覆した基材Wの外径が、突出部がある場合、楕円状である場合、などが想定されるため、平均外径をもって「チューブを被覆した基材の外径」とする。
そして、このリング状部材Rを、PFAチューブ24が被覆されている基材Wの片側端部よりPFAチューブ24の表面へエアをPFAチューブ24の周方向と垂直の方向(交差する方向)に噴出させながらPFAチューブ24の長手方向へ移動させる。
これにより、弾性層22とPFAチューブ24の間にある接着に寄与しない余剰な付加硬化型シリコーンゴム接着剤23と、チューブ被覆時に巻き込んでしまった空気を扱き出す(塗布した接着剤を扱く工程)。
図1Aはこの扱き工程の模式図である。本実施例においては、扱き工程における扱き手段としてエアを噴出する扱きリングR(ノズル)を用いている。図1Aにおいて、1は芯材(円筒状芯金21あるいは中子Nに同じ)、3は通気口、4はエア注入手段、30はエア発生手段である。基材Wは芯材1に圧入されて固定され、圧入時に通気口3、エア注入手段4、エア発生手段30により基材Wと芯材の間にエアを噴出することで、エアを潤滑剤として圧入する。
前記(a)〜(h)までの工程により作成された基材Wの片側端部より、扱きリングRは、基材Wの軸と扱きリングRの軸が同芯を維持したまま、基材Wの軸方向へ移動する。扱きリングRが基材Wの所定の位置に来たら、不図示の供給装置より扱きリングRにエアが供給される。扱きリングRのエア供給口2a、エア路2b、を経由してエア噴出口2cよりエアが噴出される。
扱きリングRはエア噴出口2cよりエアを噴出しながら基材Wの軸方向へ移動することにより、基材Wとチューブ24との間に介在している接着剤23の余剰分などを扱いてゆく。基材Wの軸方向の所定位置に扱きリングRが来たらエアの噴出を停止し、扱きを完了する。
この工程により、基材Wとチューブ24間に介在する接着剤23の余剰分などを取り除き、かつ、接着剤層23の厚みを均一にすることで、基材Wとチューブ24の安定強力な接着を実現する。
(j)加熱処理
扱き工程後、加熱処理(電気炉で150℃、20分加熱)を行うことで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤23の全体を硬化(架橋)させる。これにより、PFAチューブ24と弾性層22を全域にわたって固定させる(接着剤を硬化させる工程)。
(k)切断、研磨
加熱処理後、自然冷却をしたのち、基材W(25+21+26+22+23+24)の両端側を所定の長さで切断してから研磨し、定着ベルト20を完成させた。
(4)比較例
図6に、比較例として、本発明者らが従来用いていた扱きリングR1を示す。図の記号は図1Aと共通する部分は対応するようにした。図6の(A)は扱きリングR1の断面を示している。不図示の供給装置より扱きリングR1にエアが供給され、エア供給口2a、エア路2b、を経由してエア噴出口2cよりエアが噴出される。扱きリングR1はエア噴出口2cよりエアを噴出しながら基材Wの軸方向へ移動する。
扱きリングR1の材質は、耐久性を考慮して、SUS304(ステンレス鋼)とした。図6の(B)にエア噴出口2cの詳細を示す。基材W(ベルト保持部材Nを含む)の断面をエア噴出口2cに対抗して図示している。エアの圧力は、流体力学の法則により、前記隙間の断面積に比例し、隙間が大きいほど圧力が低下する。すなわち、扱き能力は、基材表面とノズルが近づくほど向上する。基材外径などにもよるが、本実施例では、エア圧力0.55MPa程度にて、扱きリングR1の内径とフッ素樹脂チューブ24を被覆した基材Wの外径の差が0.6mm、程度とすることが必要であった。
また、扱きリングR1は中心軸が基材Wの中心軸と一致するために、扱きリングR1をエアの噴出により、少なくとも基材中心軸と直交する平面内で、浮遊した状態で使用する構造とした。
さらに、扱きリングR1の進行方向に余剰接着剤などを搬送する必要があるため、進行方向に扱き能力が必要である。そのため、前記隙間は進行方向をより広くする、噴出方向を進行方向にする、ことにより効果的に扱きを行う。
前記のように、扱きを行うためには、基材Wと扱きノズルR1の距離を小さくする必要がある。また、基材Wの軸と扱きリングR1の軸の同芯を維持する必要もある。すなわち、基材Wのチューブ24と扱きリングR1が接触する可能性があり、本発明者らの検討においても、接触によるチューブ24の傷が問題となったのであった。
(5)実施例1
このような問題の解決のため、本発明者らは従来の扱きリングR1において、チューブ24と接触する部分(扱きリングの最内径部)をチューブ24と同等以下の硬度の小さい材料とすることで、これを軽減できることを見出した。
図7で本実施例の構成を説明する。図7の(A)が扱きリングRの断面、(B)がエア噴出口2cの詳細図である。図7の(B)の2dで示したように、扱きリングRとPFAチューブの最も接近する部分(扱きリングの最内径部)をゴム部材に変更している。
ゴム部材部2dの材質としては、各種樹脂材料が使用可能であるが、PFAチューブ24よりも硬度(チューブと同等以下の硬度)が小さいことを考慮すると、ゴム材料が良い。また、扱きリングRは溶剤による清掃が必要であったため、これらを考慮して、本実施例ではパーフロロフッ素ゴムとしている。
しかし、本発明の趣旨としては、PFAチューブ24よりも硬度が小さい材質であれば良く、たとえば、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、など各種ゴム材料が使用可能である。ゴム部材2dを含む扱きリングRの内径は、扱き対象よりもわずかに大きい寸法とし、PFAチューブ24と扱きリングR(扱きリングの最内径部)の隙間が0.2ミリから0.5ミリとなるようにした。
(6)実施例2
また、扱きリングRの一部にOリングを用いることで、基材Wと扱きリングRの隙間をより小さくし、かつ、エアの噴出を制御することで、より効果的に扱きを行えることを見出した。
図8で本実施例の構成を説明する。図8の(A)が扱きリングの断面、図8の(B)がエア噴出口2cの詳細図である。扱きリングRのPFAチューブ24に最も接近する部分(扱きリングの最内径部)に、扱きリングは溶剤による分解清掃が必要であったため、これらを考慮して、パーフロロフッ素ゴム製のOリング2dを配置した。
Oリング2dの材質としては、シリコーン樹脂やシリコーンゴム、などでも良く、硬度がPFAチューブ24よりも小さければよい。ゴム部材(Oリング)2dを含む扱きリングRの内径(扱きリングの最内径部)は、扱き対象よりもわずかに大きい寸法とし、PFAチューブ24と扱きリングRの隙間が0.05ミリから0.3ミリとなるようにした。
(7)硬度測定
本実施例では、以下のとおり硬度の測定を行った。PFAチューブ、扱きリングの材質であるSUS304(ステンレス鋼)、および、実施例1のゴム材2d、実施例2のOリング2dを,それぞれ、高分子計器社のMD−1のEタイプを使用して測定を実施した。
(8)定着ベルト20の画像評価
定着ベルト20を前記の本実施例の比較例、および、実施例の扱きリングを使用して製作し、画像評価装置に装備し、普通紙、コート紙、OHP、にそれぞれ全面青色単色画像を出力して画像不良の発生を評価した。
○=発生なし、△=コート紙/OHPで発生、×=普通紙で発生、として評価し、発生率を比較した。
(9)扱きむら評価
扱きむらについては、定着ベルト20を前記の本実施例の比較例、および、実施例の扱きリングを使用して製作し、定着ベルト20の外観を目視にて評価した。×=目視にて扱きむらが確認された、○=扱きむらが確認されなかった、として評価した。
上記(7)、(8)、および、(9)の結果を表1にまとめる。
上記、各種評価の結果、本実施例1および本実施例2のリング状部材R(図7、図8)を使用した場合は、比較例のリング状部材R1(図6)を使用した場合よりも傷の発生率が低減していることが確認できた。
また、実施例1よりも実施例2の方が、PFAチューブ24と扱きリングRの距離が近いにもかかわらず、傷の発生がなく、かつ、扱き効果が高く扱きむらが発生しないことがわかった。
以上のように、本発明は、筒状または柱状の基材とチューブ間に接着剤を介在させ、接着剤を硬化させることによりチューブが被覆された部材を得るチューブ被覆方法である。そして、基材とチューブ間に介在している接着剤が液状あるいはペースト状の未硬化状態において、チューブが被覆された部材より僅かに大きいリング状部材よりチューブ表面へエアを噴出させながらチューブの軸方向へ移動させる。かつ、リング状部材のチューブが被覆された部材に最も接近する部分(最内径部)の硬度を前記チューブよりも小さい材料(チューブと同等以下の硬度の材料)で構成する。
この構成により、チューブ表面の傷発生を低減出来る。これは、接着剤の偏りによる局所的な外径変化によりチューブと扱きリングが接触することによる傷の発生を低減する効果も含まれる。即ち、リング状部材の最内径部にチューブと同等以下の硬度の材料を噴出エアの封止部材として用いる。これにより、チューブに対する傷発生の原因となるリング状部材本体と対象物(チューブ)との距離を、従来のエア扱きリング状部材R1よりも広くとることができ、チューブ傷の発生を低減することができる。
[その他の事項]
(1)実施例1、2においては、定着部材として、記録材の画像担持面に当接して画像を加熱する加熱手段としての加熱部材20について説明した。加熱部材20と定着ニップ60を形成するもう一方の定着部材である加圧部材30についても、筒状または柱状の基材とチューブ間に接着剤を介在させ、接着剤を硬化させることによりチューブが被覆された構成の部材を用いることもできる。そのような構成の加圧部材30を製造する場合においても本発明を適用することで同様の効果が得られる。
(2)実施例1、2においては定着部材としてエンドレスベルト体の形態のもので説明したが、これに限られるものではない。定着部材としては、剛性を有するローラ体(柱状)あるいは中空ローラ体(筒状)を基体として、その外周面に弾性層22が形成され、更にその表面を被覆しているフッ素樹脂チューブ24を有するローラ体の形態のものであってもよい。
(3)画像加熱定着装置Aには、定着部材により未定着のトナー像(顕画剤像、現像剤像)を加熱して固着画像として定着または仮定着する装置の他に、定着されたトナー像を再加熱してつやなどの表面性を改質する装置も包含される。
A・・画像加熱定着装置、20・・定着部材(定着ベルト)、30・・定着部材(加圧ベルト)、60・・定着ニップ、21(W)・・基材、22・・弾性層、23・・接着剤層、24・・フッ素樹脂チューブ、R・・リング状部材、2d・・チューブと同等以下の硬度の材料部分

Claims (5)

  1. 筒状または柱状の基材と前記基材の外側に被覆するチューブとの間に接着剤を介在させ、前記接着剤を硬化させることにより前記チューブが被覆された部材を得るチューブ被覆方法において、
    前記接着剤が液状あるいはペースト状の未硬化状態において前記基材に前記チューブを被せた後に前記チューブを長手方向に伸張させる伸張工程と、
    前記チューブの長手方向への伸張を維持しつつ前記チューブの長手方向の一端側と他端側を前記基材に固定する固定工程と、
    前記固定工程の後に前記チューブの外面を扱いて前記基材と前記チューブとの間の余分な接着剤を扱く扱き工程と、
    前記扱き工程の後に前記接着剤を硬化させる硬化工程と、を有し、
    前記扱き工程は、前記チューブが被せられた部材に対して前記部材よりもより僅かに大きい口径を有するリング状部材を外嵌させたのち、前記リング状部材から前記チューブの表面へエアを前記チューブの軸方向と交差する方向に噴出させながら前記軸方向へ移動させることにより前記基材と前記チューブとの間に介在する前記接着剤を扱く工程であり、前記リング状部材の少なくとも最内径部に前記チューブと同等以下の硬度の材料を用いていることを特徴とするチューブ被覆方法。
  2. 前記材料が前記チューブよりも硬度が小さいゴム材料であることを特徴とする請求項1に記載のチューブ被覆方法。
  3. 前記リング状部材の少なくとも最内径部が前記チューブよりも硬度が小さい材料のOリングであることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ被覆方法。
  4. 前記リング状部材が二つ以上の材質からなり、少なくとも最内径部が前記チューブよりも硬度が小さい材料であることを特徴とする請求項1または2に記載のチューブ被覆方法。
  5. 硬化工程の後に前記チューブの長手方向の一端側と他端側が前記基材に固定されていた領域を切り離す切断工程を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のチューブ被覆方法。
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