JP4564373B2 - ミシン - Google Patents

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Description

本発明は、縫製を行いながら被縫製物に切れ目を形成するミシンに関する。
従来の玉縁縫いミシンは、例えば、衣服の身頃生地に玉縁布を縫着すると共に身頃生地と玉縁布に切れ目を形成して、ポケットを形成するのに好適なミシンである(以下、重ねられた身頃生地と玉縁布とを単に布地と称することとする)。
従来の玉縁縫いミシンは、バインダーに沿って布地を搬送する布送り機構と、搬送される布地に対して二本針により運針を行う針上下動機構と、前記布送り機構により搬送される布地の布送り方向上流から下流に向かって下方に傾斜する切刃部を有し、針板上に固定された固定メスに対して切刃部を摺接するように動メスを上下動させて布地に切れ目を形成するメス機構とを備えている。
そして、上記玉縁縫いミシンでは、メス機構が動メスの上下動の駆動力を、針上下動機構の駆動源たるミシン主軸モータから得る構成であるため、二本針と動メスとが同期して同じ周波数で上下動が行われていた。
また、玉縁縫いミシンでは、被縫製物の縫い仕様に応じて縫いピッチを変更する必要があるが、動メスは縫いピッチが変更されても共通のものが使用されるため、最大の縫いピッチで布が搬送されても確実に布が切断できるように最大の縫いピッチよりも大きい縫いピッチに対応した刃幅を有する動メスを使用するのが一般的である。
なお、ここで刃幅とは、動メスの切刃部の布搬送方向に沿う長さ(有効切断長さ)をいう。
特開2003−164685号公報
しかしながら、上述のように、動メスが二本針を同期して上下動を行う場合、最大の縫いピッチよりも大きい縫いピッチに対応する有効切断長さの切刃部を有する動メスを使用すると、最大の縫いピッチよりも小さい縫いピッチで被縫製物が搬送される際に、効率良く被縫製物の切断が行われず動メス及び固定メスの寿命を短くする要因となっていた。
即ち、最大の縫いピッチよりも小さい縫いピッチで被縫製物が搬送されると、動メスが上昇して上死点に到達した時に、既に切断された被縫製物の切断端部はこれから下降しようとする切刃部の下方に到達していないため被縫製物の切断済みの部分に対し再度動メスの切刃部が重複して下降し、その結果、動メスの上下動が必要回数以上に行われそれに伴って動メスと固定メスとの摺接回数も必要以上に増加して摩耗が促進されることから、動メス及び固定メスの劣化が生じやすくなるのである。
また、上述のような動メスの重複下降が行われると、動メスが下降する際に動メスの切刃部の下方部分は被縫製物の切断済みの部分を横切るだけなので、実際に被縫製物の切断に寄与するのは、動メスの切刃部の上方部分とこの切刃部の上方部分と摺接する固定メスの布送り方向上流部分のみとなり、部分使用による動メス及び固定メスの部分摩耗が発生し、これも動メス及び固定メスの寿命が短くなる要因となっていた。
このため、少ない上下動回数で効率良く切断を行えることが望ましいが、上記従来のミシンでは、針の上下動回数に対する動メスの上下動回数は固定されているため、縫いピッチが狭く設定されると、効率良く切断を行うことが出来ないという不都合があった。
本発明は、動メスの上下動頻度の好適化を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、縫い針を上下動させる針上下動機構と、針板上で布送り方向に沿って被縫製物を搬送する布送り機構と、前記布送り方向上流から下流に向かって下方に傾斜する切刃部を有し、前記布送り機構による被縫製物の搬送中に前記針上下動機構の駆動源とは別の駆動源により前記動メスを上下動させることで前記切刃部を前記針板側に固定された固定メスに対して摺接させて被縫製物に切れ目を形成するメス機構と、前記切刃部の前記布送り方向に沿う長さである有効切断長さをE、前記被縫製物の送り速度をG、前記動メスの上下動頻度をRとした場合に、R=G/2Eを満たす上下動頻度となるように前記メス機構の駆動源の動作制御を行う動作制御手段とを備える、という構成を採っている。
また、請求項2記載の発明は、前記動作制御手段は、前記動メスの上下動頻度に、被縫製物の種類又は厚さに応じて定められるメス速度調整値に基づく増加率を乗じて、前記メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、動作制御手段は、予め設定された被縫製物の送り速度の設定値に基づいてメス機構の駆動源の動作制御を行う、という構成を採っている。
請求項5記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、被縫製物の送り速度の検出手段を備え、動作制御手段は、被縫製物の送り速度の検出値に基づいてメス機構の駆動源の動作制御を行う、という構成を採っている。
請求項6記載の発明は、請求項1,2又は3記載の発明と同様の構成を備えると共に、被縫製物の送り速度の検出手段を備え、動作制御手段は、被縫製物の送り速度が予め設定された送り速度未満か否かを判断する速度判別手段を備え、送り速度が予め設定された速度未満の場合は、検出手段により検出された送り速度の検出値に基づいて、動メス機構の駆動源の動作制御を行い、送り速度が予め設定された速度未満でない場合は、予め設定された送り速度の設定値に基づいて動メス機構の駆動源の動作制御を行う、という構成を採っている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明と同様の構成を備えると共に、メス速度調整値を設定入力する調整値入力手段を備え、前記動作制御手段が前記上下動頻度を増加させる前記メス速度調整値に基づいて調整して前記メス機構の駆動源の動作制御を行う基づいて調整してメス機構の駆動源の動作制御を行う、という構成を採っている。
上記請求項1又は2記載の発明では、動メスの上下動を行うための駆動源を設け、被縫製物の送り速度と動メスの有効切断長さとから求まる動メスの上下動頻度に従って駆動源が駆動されるので、縫い針の上下動に同期して動メスが上下動を行うような制限を受けることがない。
このため、R=G/2E、さらにはメス速度調整値を考慮して、動メスの切刃部の一部が被縫製物の既に切断された部位を重複して通過する状態が低減される動メスの上下動頻度を、有効切断長と被縫製物の送り速度から求め、当該動メスの上下動頻度を縫い針の上下動頻度よりも低減することで、効率良く切断を行うことが可能となる。そして、これにより、動メスの上下動頻度を低減させると共に動メスの切刃部の一部の範囲が切断に寄与しない状態を低減し、動メスの切刃部全体を有効に活用するため、不要な摺接と部分使用による各メスの劣化を抑制し、長寿命化により保守性の向上を図ることが可能となる。
また、動メスの有効切断長さが短いために縫い針と同期して上下動を行うと最大縫いピッチが十分に拡大できないような場合であっても、縫い針の上下動に同期して動メスが上下動を行うような制限を受けることがないので、動メスの上下動頻度を縫い針よりも高頻度とすることで、縫いピッチを大きく取ることでき、これにより被縫製物の搬送速度の上昇を図ることが可能となる。これにより、縫いピッチが動メスの有効切断長さに制限されることがなく、より多彩な縫製を行うことが可能となる。
請求項4記載の発明は、予め設定された被縫製物の送り速度の設定値に基づいてメス機構の駆動源の動作制御が行われるので、処理を簡易化し、安定した速度で動メスの上下動を行うことが可能となる。
請求項5記載の発明は、被縫製物の送り速度の検出値に基づいてメス機構の駆動源の動作制御が行われるので、実際の被縫製物の送り速度に対してより適正な頻度で動メスの上下動を行うことが可能となる。
なお、被縫製物の送り速度(布送り速度ともいう)の検出手段は、布送り機構の搬送速度から被縫製物の送り速度を検出するものであっても良いし、ミシン主軸モータなどの布送り機構と同期して駆動する他の機構から被縫製物の送り速度を検出するものであっても良い。
請求項6記載の発明は、送り速度が予め設定された速度未満の場合は、検出手段により検出された送り速度の検出値に基づいて動メス機構の駆動源の動作制御が行われ、送り速度が予め設定された速度未満でない場合は、予め設定された送り速度の設定値に基づいて動メス機構の駆動源の動作制御を行うので、例えば、布送り機構の駆動源の加減速時などのような実際の被縫製物の送り速度が設定速度に達していない状態でも適正な頻度で動メスの上下動を行うことが可能となる。
請求項3記載の発明は、設定入力されるメス速度調整値に基づいて調整することができるので、多種多様な被縫製物或いは縫製条件に対して、適正化を図ることが可能となる。
(発明の実施形態の全体構成)
以下、本発明の実施の形態である玉縁縫いミシン10について図1乃至図11に基づいて説明する。図1は玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてそれぞれの方向を定めるものとし、Z軸方向は後述するセンターメスの上下動方向と一致し、縫製作業を行う平面はZ軸方向と垂直となり、当該作業平面に平行であって布送りが行われる方向をX軸方向とし、作業平面に平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。
玉縁縫いミシン10は、二本針41,41により形成される二本の平行な縫い目Tにより身頃生地Mに対して玉縁布Bを縫着すると共にこれらの布地の送り方向Fに沿った直線状の切れ目Sと当該切れ目Sの両端部に略V字状の切れ目V(図2参照)とを形成するミシンである。
そして、当該玉縁縫いミシン10は、縫製の作業台となるテーブル11と、テーブル11に配置されたミシンフレーム12と、身頃生地M及び玉縁布Bからなる布地の送りを行う布送り機構としての大押さえ送り機構20と、身頃生地Mの上側で玉縁布Bを上方から押さえるバインダー30と、バインダー30の布送り方向Fにおける下流側近傍であってバインダー30の両側で針落ちを行う針上下動機構40と、各縫い針41の布送り方向下流側で動メスとしてのセンターメス51を昇降させて各布地B,Mに切れ目を形成するメス機構50と、直線状の切れ目Sの両端となる位置に略V字状の切れ目Vを形成するコーナーメス機構90と、上記各部の制御を行う動作制御手段80とを備えている。
以下各部を詳説する。
(テーブル及びミシンフレーム)
テーブル11はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。このテーブル11の上面は布の送り方向F即ちX軸方向に沿って長い長方形状に形成されている。かかるテーブル11上に大押さえ送り機構20とバインダー30とが配置され、テーブル11の下側に図示を省略したコーナーメス機構が配置されている。
また、テーブル11における二つの縫い針41,41の下方の位置には針板13が設けられている。この針板13には二本針41,41の各々に対応する針穴が設けられており、各針穴の下側には図示しない水平釜がそれぞれ設けられている。つまり、各縫い針41,41のそれぞれに挿通された縫い糸は、それぞれ針板13の下側で対応する各水平釜に捕捉され、水平釜から繰り出される下糸に絡められて縫製が行われるようになっている。
さらに、針板13の二つの針穴のほぼ中間であって布送り方向Fの下流側にはセンターメス51が挿入されるスリットが形成されている。
ミシンフレーム12は、テーブル11の長手方向中間位置のすぐ脇に配置されたベッド部12aとベッド部から立設された縦胴部12bと縦胴部12bの上端部からY軸方向に沿って延設されたアーム部12cとからなり、アーム部12c内に針上下動機構40とメス機構50の主要構成が格納されている。また、アーム部12cの先端側下端部から二本針41,41とセンターメス51とが垂下支持されている。
(針上下動機構)
図3は針上下動機構40の斜視図である。針上下動機構40は、二本針を構成する二つの縫い針41,41と、二本針のそれぞれの縫い針41を下端部に保持する二本の針棒42と、各針棒42をその長手方向に沿って滑動可能に支持する支持枠43と、二本の針棒を同時に保持する針棒抱き44と、縫い針上下動の駆動源となるミシン主軸モータ45と、ミシン主軸モータ45(図8)により回転駆動を行うミシン主軸46と、ミシン主軸46の一端部に固定連結され回転運動を行う回転錘47と、回転錘47の回転中心から偏心した位置に一端部が連結されると共に他端部が針棒抱き44に連結されたクランクロッド48と、支持枠43に一端部が連結されると共に図示しない回動駆動源により回動駆動力が付与される回動軸49とを有している。
上記支持枠43は、回動軸49により軸支されており、回動軸49はアーム部12cの内部でY軸方向に沿って回転可能に支持されている。一方、各針棒42は、いずれも回動軸49と直交する方向に沿って互いに平行に支持枠43に支持されている。また、支持枠43は、各針棒42がおおむねZ軸方向に沿うように配置されており、回動軸49から所定の角度範囲で回動力が付与されると各針棒42の下端部に位置する縫い針41,41はX軸方向、即ち、縫製方向と平行に移動されるようになっている。
回動軸49は、布送り方向と逆方向に短いストロークで縫いを行い、その上から重ねるように縫製を行うことで、縫い始めと縫い終わりの縫い糸が解けることを防止するいわゆるバックタック縫いを行うために、回動駆動源から駆動力が付与されるものである。従って、通常縫製時には、回動軸49は、各針棒42がZ軸方向に平行となる状態で保持されている。
また、ミシン主軸46も、アーム部12cの内部でY軸方向に沿って回転可能に支持されており、ミシン主軸モータ45により全回転の回転駆動力が付与される。ミシン主軸46が回転されると、回転錘47も同様に回転を行い、クランクロッド48の一端部はミシン主軸46を中心として円運動を行い、他端部では、一端部側の円運動のZ軸方向の移動成分のみが針棒抱き44に伝達されて各針棒42が往復上下動を行うようになっている。かかる構造により針棒42の上下動の周波数とミシン主軸モータ45の回転数とは一致するようになっている。
(メス機構)
図4はメス機構50及び針上下動機構40の切断可能状態の斜視図、図5はメス機構50及び針上下動機構40の切断規制状態の斜視図、図6は図4及び図5と異なる方向から見たメス機構50の斜視図である。
メス機構50は、上下動により直線状の切れ目を形成するセンターメス(動メス)51と、針板13の下に固定されると共にセンターメス51に摺接して布地B、Mの切断を促す図示しない固定メスと、センターメス51を下端部に備えると共にアーム部12c内でZ軸方向に沿って滑動可能に支持されたメス棒52と、ミシンフレームの固定されてメス棒52をその長手方向に沿って滑動可能に支持するメタル軸受け53と、メス棒52の長手方向中間位置に固定装備されたメス棒抱き54と、メス棒抱き54に設けられた駒55と、ミシンフレーム12に固定支持され、駒55を介してメス棒52を回転させないで上下方向の移動をガイドするガイド枠56と、センターメス51の上下動の駆動源となるステッピングモータであるメスモータ57と、メスモータ57の出力軸57bに対して偏心して装着された偏心カム58を介して一端部が連結されたクランクロッド59と、クランクロッド59の他端部に揺動端部が連結された入力アーム60と、一端部が入力アーム60に連結されてミシン機枠に固定された軸受け69に軸支されて回動を行う回動軸61と、回動軸61の他端部に回動軸61と一体に形成されて揺動を行う出力アーム62と、出力アーム62の揺動端部に一端部が連結された第一のリンク体63と、第一のリンク体63の他端部とメス棒抱き54とを連結する第二のリンク体64と、センターメス51の切断可能状態と切断規制状態との切り替え動作の駆動源となるエアシリンダ65と、エアシリンダ65のプランジャに一端部が連結されて揺動動作が行われる梃子部材66と、第一のリンク体63と第二のリンク体64との連結点Jと梃子部材66の他端部とを連結する連結リンク体67と、エアシリンダ65の突出時のプランジャを所定位置で停止させるストッパ68とを備えている。
上記メス機構50は、エアシリンダ65が後退位置(図4の状態)のときに、メスモータ57の回転駆動力をセンターメス51への上下の往復動作に変換して伝達する切断可能状態とし、エアシリンダ65が前進位置(図5の状態)のときに、メスモータ57の回転駆動力をセンターメス51へ伝達しない切断規制状態に切り替えることができる。
即ち、上記梃子部材66は、その長手方向中間位置が揺動の支点となるように且つ当該支点の揺動軸線がY軸方向に向けられた状態でミシンフレーム12に支持されている。そして、エアシリンダ65が後退した状態にある時には、梃子部材66は連結リンク体67を介して、第一のリンク体63と第二のリンク体64との連結点Jを出力アーム62の揺動の中心線上よりも下方に引き下げた位置に維持する。
かかる状態で上記メスモータ57が回転駆動を行うと、Y軸方向に向けられた出力軸57bに装備された偏心カム58によりクランクロッド59の一端部を円運動させる。クランクロッド59はその一端部の円運動によりその他端部において進退運動を行い、入力アーム60を揺動させる。これにより、回動軸61は回動を行い、出力アーム62を揺動させる。
第一のリンク体63と第二のリンク体64との連結点Jは、連結リンク体67の一端部(梃子部材66との連結端部)を中心とする当該連結リンク体67を半径とする円弧運動のみが可能な状態に規制される。そして、連結点Jが当該円弧運動を行うことで、出力アーム62の揺動運動が第一のリンク体63及び第二のリンク体64を介してメス棒52及びセンターメス51を上下動させて切断動作が行われる。
一方、エアシリンダ65が前進した状態にある時には(図5の状態)、当該エアシリンダ65のプランジャはストッパ68に当接した位置で制止され、梃子部材66は連結リンク体67を介して、第一のリンク体63と第二のリンク体64との連結点Jを出力アーム62の揺動の中心線の線上となる位置に引き上げて維持する。
第一のリンク体63の両端部における回動の中心間距離は、出力アーム62の揺動半径と一致する長さに設定されている。そして、連結点Jが出力アーム62の揺動の中心線の線上に位置する状態でメスモータ57の駆動により出力アーム62が揺動を開始すると、第一のリンク体63も連結点Jを中心に揺動を行い、その結果、第二のリンク体64に対して何ら駆動力を付与しない状態となる。従って、センターメス51は、上下動を行わず、停止を維持した状態となる。
従って、エアシリンダ65の駆動により、センターメス51の切断可能状態と切断規制状態とが切り替えられるようになっている。
図7はセンターメス51をY軸方向から見た図であり、図7(A)は前述した切断可能状態における上死点にある状態を示し、図7(B)は下死点にある状態を示す。
センターメス51は、その刃先形状が、下方に突出した尖状部51aと、大押さえ2による布送り方向Fの上流側から下流側に向かって下方に傾斜し、上下動する際に固定メスと摺接して被縫製物に切れ目を形成する切刃部51bとからなる。そして、センターメス51は、切断規制状態では、尖状部51aの下端部が針板13の上面よりも高位置となるように設定されている。さらに、センターメス51は、切断規制状態から切断可能状態に切り替えられる際に下降することで尖状部51aが針板13上の布地B,Mに突き通され、切断可能状態におけるメスモータ57の全回転による上下動によりほぼ切刃部51bのみにより布地B,Mの切断を行うように、高さ設定がされている。つまり、切断可能状態における上死点においてセンターメス51が布地B,Mに突き通されている部分によるX軸方向の切断長さ(開始切断長さとする)をE1とし、下死点においてセンターメス51が布地B,Mに突き通されている部分によるX軸方向の切断長さをE2とすると、切刃部51bの布送り方向に沿う長さである有効切断長さEは、E2−E1となる。
(バインダー)
バインダー30は、長尺状平板である底板部31と、底板部31の長手方向に沿ってその上面に垂直に立設された立板部32と、立板部32の布送り方向下流側端部に、センターメス51を回避して玉縁布Bを案内する案内部材33と、玉縁布Bの幅方向の両端部が立板部32の両面に沿ってそれぞれ送られるように案内する縦ガイド(図示略)とを備えている。
上記バインダー30は、エアシリンダを備える図示しない支持機構に支持されており、非使用時には図1に示すように二本針41,41の針下の位置から離れて待避されている。そして、使用時には、エアシリンダの駆動により針板位置にセットされるようになっている。
底板部31は、長方形状に形成され、使用時において、その長手方向がX軸方向に平行になるように且つ、その底面がテーブル11の上面に正対して載置されるように支持されている。また、底板部31の布送り方向先端部には、二つの縫い針41,41がそれぞれ
針落ちを行うための略U字状の切り欠き(図示略)が形成されている。
立板部32は、案内部材33の近傍の部分を除いてその全体が平板状であり、底板部31の上面において、当該底板部31の幅方向(Y軸方向)の中間位置に、底板部31と長手方向を揃えた状態で、垂直に立設されている。即ち、バインダー30は、底板部31と立板部32とがその長手方向から見て逆さのT字状となるように一体形成されている。
そして、玉縁布Bは、針板13上において身頃生地Mの上側に重ねてセットされると、上方からバインダー30が載置され、玉縁布Bの幅方向(図6におけるY軸方向)の両端部を折り返して底板部31の幅方向両端部から上方に立ち上げ、さらに、玉縁布Bの幅方向両端部をそれぞれ立板部32の両側の側面にそれぞれ沿わせるようにして、後述する大押さえ21,21により保持する。即ち、立板部32の一方の側面から底板部31を介して他方の側面32まで玉縁布Bを沿わせた状態とする。このように、バインダー30に玉縁布Bを巻き付けるようにセットした状態で、玉縁布B及び身頃生地Mを送りつつ、立板部32の両側で二本針41,41により縫製を行うと共にセンターメス51の上下動により直線上の切れ目Sを形成する。
また、バインダー30の布送り方向Fのすぐ下流側には、センターメス51により切り裂かれてしまわないように、案内部材33が設けられている。かかる案内部材33は、同方向Fに向かって二又に分岐して平面視形状が略V字状となるように形成されている。そして、かかる形状により、布送りの際に玉縁布Bの幅方向両端部はそれぞれ立板部32から離間する方向に誘導されて、センターメス51を回避する方向に案内される。
(大押さえ送り機構)
大押さえ送り機構20は、バインダー30にセットされた玉縁布Bの幅方向両端部のそれぞれを上方から押さえる大押さえ21,21と、これらの大押さえ21,21を支持する支持体22と、支持体22を介して大押さえ21,21を上下に移動させる図示しないエアシリンダと、大押さえ21,21により押さえた玉縁布B及び身頃生地Mを支持体22を介して布送り方向Fに移動させる押さえモータ23(図8)とを備えている。
各大押さえ21,21は、それぞれ長方形状の平板であり、それぞれが長手方向をX軸方向に沿わせた状態で支持体22に支持されている。また、各大押さえ21,21はその平板面がX−Y平面に平行となるように支持されている。そして、エアシリンダの駆動により上下の二位置に切替可能であり、上位置の時にはテーブル11の上面から離間し、下位置でテーブル11の上面高さとなる。また、二つの大押さえ21,21は、その間に、少なくともバインダー30の立板部32を通すことができるようにY軸方向について離間した状態で支持されている。
支持体22は、テーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持されており、支持する二つの大押さえ21,21が二本針41,41の上下動経路の両側を通過するように配置されている。また、支持体22は、図示しないボールネジ機構を介して押さえモータ23に駆動されるようになっている。
(コーナーメス機構)
コーナーメス機構90は、テーブル11の下方であって大押さえ送り機構20による大押さえ21,21の通過経路に配置されており、大押さえ送り機構20により搬送されてきた玉縁布B及び身頃生地Mを下方からコーナーメス91を突き通すことで直線状の切れ目Sの両端となる位置に略V字状の切れ目Vを形成する。
即ち、コーナーメス機構90は、布送り方向Fに沿って間隔をあけて配置された二つのコーナーメス91,91と、各コーナーメス91,91をそれぞれ上下動させる図示しない上下動用モータとを備えている。
各コーナーメス91は、その先端側から見た形状がV字状となるように並べられた一対の三角形状のメスからなり、当該先端部を上方に向けた状態で支持されている。そして、上下動用モータによりテーブル11の上面よりも下方から上方に移動することで布地B、MにV字状の切れ目Vを形成することを可能としている。また、各コーナーメス91は一対の三角形状のメスの間の角度を調節可能としており、二本針41,41による二本の縫い目Tの間隔に対応することを可能としている。
そして、二つのコーナーメス91は、それぞれが形成するV字状の切れ目の開口部が互いに逆向きとなるように各々が支持されている。また、二つのコーナーメス91は、その間隔を調節することを可能としている。
上記コーナーメス機構90は、二本の縫い目Tと直線状の切れ目Sが形成された布地B,Mが、大押さえ送り機構20により、コーナーメス機構90の真上となる位置まで搬送されると、二つのコーナーメス91,91を切れ目Sのそれぞれの端部位置で上下動させることで、二つのV字状の切れ目Vを布地B、Mに形成する。つまり、コーナーメス機構90により、図2に示すように、直線状の切れ目Sの一端部から二つの縫い目Tのそれぞれの近い方の端部に渡る一方の切れ目Vと、直線状の切れ目Sの他端部から二つの縫い目Tのそれぞれの近い方の端部に渡るもう一方の切れ目Vが形成される。
(玉縁縫いミシンの制御系)
図8は、玉縁縫いミシン10の動作制御手段80を含む制御系を示すブロック図である。
動作制御手段80には、所定の文字又は画像情報を表示する表示パネル84と、表示パネル84に併設された各種の設定を行うための画面選択やコマンド入力を行うための設定スイッチ85と、各種の設定を行う際に数値入力及びその決定や取消を入力するためのテンキー86と、縫製の開始を入力するスタートスイッチ87とが図示しない入出力回路を介して接続されている。また、動作制御手段80には、ミシン主軸モータ45の回転数を検出するエンコーダ88が入力回路88aを介して接続されており、所定の原点からの回転角度及び回転速度を検出することが可能となっている。
また、動作制御手段80には、その制御の対象となるミシン主軸モータ45,押さえモータ23,メスモータ57がそれぞれドライバ45a,23a,57aを介して接続されている。また、バインダー30の上下動を行うエアシリンダ、大押さえ21,21の昇降を行うエアシリンダ及びコーナーメスの昇降を行うエアシリンダをそれぞれ駆動する電磁弁(図示略)がドライバを介して動作制御手段80に接続されている。また同様に、センターメス51の作動状態と非作動状態とを切り替えるエアシリンダ65の電磁弁69がドライバ69aを介して接続されている。
さらに、動作制御手段80には、縫い糸切断を行うメスを駆動するための図示しないメス駆動シリンダ駆動用の電磁弁89がドライバ89aを介して接続されている。
動作制御手段80は、各種の制御を行うCPU81と、玉縁縫いミシン10の後述する各種機能,動作を実行させる制御プログラム,制御データ又は各種縫製データが書き込まれているROM82と、CPU81の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM83とを備えている。
上記設定スイッチ85及びテンキー86は、動作制御手段80に対して、玉縁縫いミシン10の各針ごとの針落ち間隔である縫製ピッチP、縫製を行う際のミシン主軸モータ45の回転数N、後述する実測値制御モードのON/OFF、メス速度調整値(メスの駆動頻度の増加調整値)A、センターメスの刃幅Eの設定入力を行うことが可能となっている。即ち、設定スイッチ85により入力項目を選択し、テンキー86により設定数値の入力を行うようになっている。
なお、上記ミシン主軸モータ45の回転数N(rpm)は、縫製時には、この設定回転数を一定に維持するようにミシン主軸モータ45の動作制御が行われる。
メス速度調整値Aは、基準値100パーセント(%)に対する増加率がパーセントで設定される。
縫製時において、CPU81は、所定の処理プログラムに従って、縫製ピッチPとミシン主軸モータ45の設定回転数Nの乗算値から布地B、Mの送り速度P*Nを算出し、当該送り速度で布地B,Mが連続的に行われるように押さえモータ23の回転速度制御を実行する。
なお、押さえモータ23は、センターメス51による布地B、Mの切断時においてセンターメス51の上下動位置とは、無関係に布地B、Mが連続移動されるように駆動される。
さらに、縫製時において、CPU81は、所定の処理プログラムに従って、算出した布地B、Mの送り速度P*Nとセンターメス51の刃幅Eとから適正なメスモータの回転速度R[rpm]を算出する処理を実行する。また、このとき、メス速度調整値Aが設定されている場合には、その値を乗算する。
以下において、布地B、Mの送り速度P*Nとセンターメス51の刃幅Eとから適正なメスモータの回転速度R[rpm]を求めるための原理説明を行う。図9は適正回転速度の算出原理を説明するための模式図である。
メスモータ57の回転速度Rを、センターメス51が下降する際に布地B,Mの既に切断された部分に対して重ねて通過することがない様に設定すれば、効率的な布の切断が可能となる。そのためには、布地B、Mの送り速度(P*N)に対するメスモータ57の回転速度Rをある程度小さくすれば実現できる。
しかしながら、上下動するセンターメス51が固定メスとの間で布地B,Mを切断するのは、センターメス51が下降する時のみであり、センターメス51上昇中におけるセンターメス51の布地B,Mとの接点の水平方向の移動速度Uが布地B、Mの送り速度Gよりも小さくなるとセンターメス51の上昇時に布地B,Mがセンターメス51に突き当たりセンターメス51との間にたるんでしまい確実な切断ができなくなる。
そこで、布地B、Mの送り速度Gで布地B,Mを送った場合に、センターメス51の上昇時にセンターメス51が送られてくる布地B,Mに対し接することがない限界のメスモータ57の回転速度Rを求め、そのメスモータ57の回転速度Rでセンターメス51を上下動させれば、センターメス51の上昇が終了してセンターメス51が再び下降を開始する際には、布地B,Mの切断された部分の後端部が下降しようとするセンターメス51の有効切断長さにおける先頭位置sに位置することになり最も効率的な切断が行われる。
上記条件を満足するメスモータの回転速度Rは、以下のようにして求めることができる。
なお、ここでのメスモータの回転速度Rとは、所定時間内にセンターメス51が上下動する回数と同義である。
ここで、センターメス51の有効切断長さをE、センターメス51の上下動の振幅をHとする。
また、メスモータ57の回転速度Rに対応する周期でセンターメス51が振幅Hの距離を移動するとした場合のセンターメス51の上昇(又は下降)速度をv、センターメス51の布地B,Mとの接点の水平方向の移動速度U(厳密には布地B,Mとの接触を生じるか否かにかかわらず、センターメス51が上昇する際に、センターメス51の有効切断長さとなる部分が布地B,Mが載置された水平面を横切る位置の移動速度)とする。
センターメス51の先頭位置sが上昇速度vで上下動振幅Hの距離だけ上昇する時間と、移動速度UでEだけ移動する時間は同一であるから、センターメス51が上昇する時間をtとすると、
t=H/v=E/U
となり、従って、移動速度Uは、
U=vE/H・・・・(1)
と表わすことができる。
一方、センターメス51をメスモータの回転速度Rの速度で上下に往復移動させるのであるから、センターメス51が等速で移動すると仮定すると、センターメス51は、所定時間内に上下動長さ2HのR倍だけ移動することになる。
従って、
v=2HR
これを(1)式に代入して、
U=vE/H
=2HRE/H
=2RE
従って、メスモータの回転速度Rは、
R=U/2E・・・(2)
と表わすことができる。
ここで、センターメス51の上昇時にセンターメス51が布地B,Mに触れないための移動速度Uの限界速度は、布送り速度Gであるから、上記(2)式にU=Gを代入して
R=G/2E・・・・(3)
と表わすことができる。
また、布送り速度Gは、布送りピッチをP、ミシン主軸モータ45の回転速度(回転数)をNとするとF=P*N であるから、これを(3)式に代入して、
R=P*N/2E
従って、センターメス51の所定時間におけるメスモータ57の回転速度Rは、布送り速度Gをセンターメス51の有効切断長さEの2倍で除した速度であり、布の送りピッチPと回転数Nを乗じて布送り速度を求め、この値をセンターメス51の有効切断長さEを2倍した値で除することにより求めることができる。
図10は、上式(3)の条件に従ってメスモータ57を駆動したときの状態を示す説明図であり、図の上方から下方に向かって切断動作が進行する状態を示している。
図10のように、センターメス51の上下動の一周期の期間内に刃幅Eの二倍の距離だけ布地B,Mが送られると、センターメス51が上死点に位置する状態(図10上段)から下死点位置(図10の中段)に下降移動するときに、有効切断長さEに布地B,Mの移動距離Eを加えた長さ2Eだけ切断が行われることとなる。そして、センターメス51が下死点に位置する状態(図10中段)から上死点位置(図10の下段)に上昇移動すると、布地B,Mの切断先頭部が距離Eだけ前進するが同時にセンターメス51も布地よりも上方に退避してしまうので、上昇時における切断が生じない。さらに、センターメス51が上死点に戻った状態において、布地の切断先頭部はセンターメス51の下流端部の真下まで送られてきているので、次のセンターメス51の下降開始時にはすぐ切断が開始される。
なお、上記で求められたメスモータ57の回転速度Rは、センターメス51の上下動が等速で行われ、布地B,Mに厚さが0であると仮定して求めた理想的な値であり、実際には、センターメス51の上下動は、カムにより行なわれるから正弦波状の不等速運動であり、布地B,Mにも厚さが有る。
従って、上記で求めた上下動回数に若干の増分を加算した上下動回数を設定する必要がある。このため、布地B,Mの種類や厚さなどの条件でメス速度調整値AによりRの算出値の調整を図っている。
即ち、CPU81は、R=(P*N/2E)・(1+0.01*A)[rpm]により算出を行い、CPU81は、回転速度R[rpm]となるように、メスモータの回転速度制御を行う。
また、CPU81は、所定の処理プログラムに従って、実測値制御モードがONに設定されている時には、ミシン主軸モータ45に設けられたエンコーダ88からリアルタイムのミシン軸モータ45の回転数が検出され、この検出回転数をミシン主軸モータ45の設定回転数Nに置き換えて搬送速度P*Nの演算により被縫製物の送り速度(布送り速度)を検出し、この検出された送り速度に基づいてメスモータの回転速度Rを算出する。
一方、CPU81は、所定の処理プログラムに従って、実測値制御モードがOFFに設定されている時には、設定スイッチ85及びテンキー86により設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nを通常通り採用して搬送速度P*Nやメスモータの回転速度Rを算出する。
(玉縁縫いミシンの縫製動作)
玉縁縫いミシン10の縫製動作について、図11及び図12の動作フローチャートに基づいて説明する。
まず、設定スイッチ85の入力が検知されると(ステップS1:YES)、CPU81は、オペレータにより設定スイッチ85とテンキー86により入力された縫製ピッチP、ミシン主軸モータ45の設定回転数N、実測値制御モードのON/OFF、メス速度調整値A、センターメスの刃幅EのをRAM83に記憶する(ステップS2)。
さらに、CPU81は、所定の処理プログラムにより、布地の送り速度P*Nとメスモータの回転速度Rとを算出し、RAM83に記憶する(ステップS3)。このとき、ミシン主軸モータ45の設定回転数NはステップS2による設定値が採用される。
次いで、メス速度調整値Aが設定されている場合には(ステップS4:YES)、ステップS3で求められたRに対して(1+0.01*A)の値が乗算されて調整された値が新たなRに更新される(ステップS5)。そして、ステップS6の処理に移行する。
また、メス速度調整値Aが設定されていない場合には(ステップS4:NO)、ステップS3で求められたRがそのまま採用され、ステップS6の処理に移行する。
また、ステップS1において、既に設定値が記憶されており、新たな設定入力が行われない場合には、ステップS6の処理に移行する。
ステップS6では、スタートスイッチ87の入力の有無を検知し、検知しないときにはCPU81は処理をステップS1に戻す。また、スタートスイッチ87の入力を検知したときには、CPU81は電磁弁を介して、バインダー30の上下動を行うエアシリンダを制御し、バインダー30を針板13上の所定位置に下降する動作制御を行う。このとき、電磁弁を介して、大押さえ21の上下動を行うエアシリンダを駆動し、所定の初期位置に予め待機されていた大押さえ21を下降させて布地B、Mを押さえる動作制御を行う(ステップS7)。
次いで、CPU81は、押さえモータ23を駆動して大押さえ21を布送り方向Fに向かってに移動させる動作制御を行う(ステップS8)。
さらに、CPU81は、初期位置からの押さえモータ23の回転量から、第一針目の針落ち位置(縫製開始位置)まで布地B、Mを搬送したか否かを判定する(ステップS9)。その結果、第一針目の針落ち位置に到達していないときには押さえモータ23の駆動を継続し、第一針目の針落ち位置に到達すると、ミシン主軸モータ45の回転駆動を開始すると共にミシン主軸モータ45の設定回転数Nの回転数となるように、CPU81は動作制御を行う(ステップS10)。
次いで、切断開始位置まで布地B、Mを搬送すると、CPU81は、押さえモータ23の駆動を一時停止すると共に、メスモータ57の回転駆動を開始する(ステップS11)。このとき、切断可能状態と切断規制状態を切り替えるエアシリンダ65は電磁弁69を介して切断規制状態とされている。つまり、メスモータ57が回転駆動を開始しても、現時点では、また、センターメス51の上下動は開始されない。
次いで、CPU81は、メスモータ57の回転速度を図示しない検出手段で検出し、設定されたメスモータの回転速度R(このときの回転速度Rはミシン主軸モータ45の設定回転数Nの設定値から求まる値)か否かを判定し(ステップS12)、メスモータの回転速度Rに到達すると、電磁弁69を介してエアシリンダ65を切断可能状態に切り替える動作制御を行い、最初のメス落ちにより尖状部51aにより布地B、Mに切断穴が形成される(ステップS13)。また、この直後に、押さえモータ23の回転駆動が再開される。なお、押さえモータ23の回転中断状態は実際上は非常に短く、既に回転駆動を行っているミシン主軸モータ45により形成される縫い目TのピッチPに影響はほとんど生じない。
次いで、ミシン主軸モータ45の回転数を検出し、設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nとなっているかを判定し(ステップS14)、設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nとなっている場合にはステップS20の処理に移行する。また、検出回転数が設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nに対して設定された許容誤差の範囲以上のズレがある場合には、実測値制御モードの設定がONか否かが判定される(ステップS15)。
これにより、実測値制御モードの設定がONの時には、CPU81は、ミシン主軸モータ45の検出回転数を記憶する(ステップS16)と共に、当該検出回転数をミシン主軸モータ45の設定回転数Nに置き換えて搬送速度N*Pとメスモータの回転速度Rとを算出する(ステップS17)。
次いで、メス速度調整値Aが設定されている場合には(ステップS18:YES)、ステップS17で求められたRに対して(1+0.01*A)の値が乗算されて調整された値が新たなRに更新される(ステップS19)。そして、ステップS20の処理に移行する。
また、メス速度調整値Aが設定されていない場合には(ステップS18:NO)、ステップS17で求められたRがそのまま採用され、ステップS20の処理に移行する。
また、ステップS15の処理において、実測値制御モードの設定がOFFの時にはステップS20の処理に移行し、設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nに基づく搬送速度N*P及びメスモータの回転速度Rで縫製が継続される。
ステップS20では、CPU81は、ミシン主軸モータ45の回転数から予め設定された針数分の縫製が行われた否かを判定し、まだ、所定針数分の縫製が行われていない場合にはステップS14に処理を戻し、再び、ミシン主軸モータ45が設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nか否かを判定する。
また、CPU81は、所定針数分の縫製が行われたと判定した場合には、ミシン主軸モータ45の回転駆動を停止すると共に押さえモータ23の回転駆動を停止する動作制御を行う(ステップS21)。
さらに、CPU81は、電磁弁69を介してエアシリンダ65を切断規制状態を切り替える動作制御を行い、縫い針41を上昇させる。さらに、メスモータ57の回転駆動を停止する動作制御を行う(ステップS22)。
そして、CPU81は、電磁弁89を介してメス駆動シリンダを作動させ、針板13の下で縫い糸を切断する動作制御を行う(ステップS23)。
次いで、押さえモータ23を再駆動して布地B、Mをコーナーメス機構まで搬送し、センターメスによる切れ目Sの両端位置にコーナーメスによる切れ目Vを形成する(ステップS24)。
次いで、押さえモータ23を逆回転させて、送り方向Fと逆方向に搬送する(ステップS25)。
そして、大押さえ21が所定の初期位置まで到達したか判定し(ステップS26)、到達したときには大押さえ21をエアシリンダにより上昇させて、布地B、Mを解放し、当該布地B、Mに対する縫製を完了すると共に、処理をステップS1に戻し、新しい布地B、Mに対する縫製に対応する。
(実施形態の効果)
上述した玉縁縫いミシン10では、ミシン主軸モータ45とは別駆動のメスモータ57を設け、ミシン主軸モータ45の設定回転数N、送りピッチP、センターメス51の刃幅Eとから求まるメスモータ57の回転速度Rに従って当該メスモータ57が駆動されるので、縫い針41の上下動に同期してセンターメス(動メス)51が上下動を行うような制限を受けることがない。
このため、センターメスの上下動頻度の適正化を図り、これにより、センターメス51の上下動頻度を低減させ、センターメス51と固定メスとの摺接による各メスの劣化を抑制し、長寿命化により保守性の向上を図ることが可能となる。
また、センターメス51の切刃部51bのより広い流域を被縫製物の切断に寄与させないことが可能になり、動メス51及び固定メスの部分使用による寿命低減をなくすことができる。
また、センターメス51の上下動頻度を示すメスモータの回転速度Rは、搬送速度P*Nを刃幅Eの2倍の除算値(或いは調整値Aを反映した値)で決定されるので、刃幅Eに制限されることなく縫いピッチPをせっていすることができ、より多彩な縫製を行うことが可能となる。
さらに、動作制御手段80に対して実測値制御モードの設定をOFFとすることで、予め設定されたミシン主軸モータ45の設定回転数Nの設定値に基づいてメスモータ57の動作制御が行うことができ、処理を簡易化し、安定した速度で動メスの上下動を行うことが可能となる。
また、実測値制御モードの設定をONとすることで、ミシン主軸モータ45の検出回転数(ミシン主軸モータ45の回転数の検出値)に基づいてメスモータ57の動作制御が行われるので、ミシン主軸モータ45や押さえモータ23の起動直後や停止直前などの加減速時においても実際のミシン主軸モータ45の回転数に対してより適正な頻度でセンターメス57の上下動を行うことが可能となる。
さらに、動作制御手段80に対して、メス速度調整値Aの設定を行うことができるので、各設定値或いは検出値から求められるメスモータの回転速度Rに対してメス速度調整値Aに基づいて調整することができ、多種多様な被縫製物或いは縫製条件に対して、適正化を図ることが可能となる。
なお、上記実施形態では、玉縁縫いミシンを例示したが、本発明のセンターメスの動作制御については、縫製しつつメスを上下動させながら被縫製物の切断を行う他の形式のミシンに適用しても良い。
玉縁縫いミシンの全体の概略構成を示す斜視図である。 センターメスによる直線状の切れ目とコーナーメスによる切れ目と二本針による縫い目の配置の関係を示す説明図である。 針上下動機構の斜視図である。 メス機構及び針上下動機構の切断可能状態の斜視図である。 メス機構及び針上下動機構の切断規制状態の斜視図である。 図3及び図4と異なる方向から見たメス機構の斜視図である。 センターメスをY軸方向から見た図であり、図7(A)は前述した切断可能状態における上死点にある状態を示し、図7(B)は下死点にある状態を示す。 玉縁縫いミシンの動作制御手段を含む制御系を示すブロック図である。 メスモータの適正回転速度の算出原理を説明するための模式図である。 上下動を行うセンターメスに対して適正な送り速度で布地が送られている状態を示す説明図である。 玉縁縫いミシンの縫製時の動作フローチャートである。 図11に続く玉縁縫いミシンの縫製時の動作フローチャートである。
符号の説明
10 玉縁縫いミシン
20 大押さえ送り機構(布送り機構)
23 押さえモータ
30 バインダー
40 針上下動機構
41 縫い針
45 ミシン主軸モータ
50 メス機構
51 センターメス
57 メスモータ(別の駆動源)
80 動作制御手段
81 CPU
88 エンコーダ(搬送速度の検出手段)
B 玉縁布
M 身頃生地

Claims (6)

  1. 縫い針を上下動させる針上下動機構と、
    針板上で布送り方向に沿って被縫製物を搬送する布送り機構と、
    前記布送り方向上流から下流に向かって下方に傾斜する切刃部を有し、前記布送り機構による被縫製物の搬送中に前記針上下動機構の駆動源とは別の駆動源により前記動メスを上下動させることで前記切刃部を前記針板側に固定された固定メスに対して摺接させて被縫製物に切れ目を形成するメス機構と、
    前記切刃部の前記布送り方向に沿う長さである有効切断長さをE、前記被縫製物の送り速度をG、前記動メスの上下動頻度をRとした場合に、
    R=G/2Eを満たす上下動頻度となるように前記メス機構の駆動源の動作制御を行う動作制御手段とを備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記動作制御手段は、前記動メスの上下動頻度に、被縫製物の種類又は厚さに応じて定められるメス速度調整値に基づく増加率を乗じて、前記メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記メス速度調整値を設定入力する調整値入力手段を備え、
    前記動作制御手段が前記上下動頻度を増加させる前記メス速度調整値に基づいて調整して前記メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする請求項2項に記載のミシン。
  4. 前記動作制御手段は、予め設定された前記被縫製物の送り速度の設定値に基づいて前記メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする請求項1,2又は3記載のミシン。
  5. 前記被縫製物の送り速度の検出手段を備え、
    前記動作制御手段は、前記被縫製物の送り速度の検出値に基づいて前記メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする請求項1,2又は3記載のミシン。
  6. 前記被縫製物の送り速度の検出手段を備え、
    前記動作制御手段は、前記被縫製物の送り速度が予め設定された送り速度未満か否かを判断する速度判別手段を備え、
    前記送り速度が前記予め設定された速度未満の場合は、前記検出手段により検出された送り速度の検出値に基づいて、前記動メス機構の駆動源の動作制御を行い、
    前記送り速度が前記予め設定された速度未満でない場合は、前記予め設定された送り速度の設定値に基づいて前記動メス機構の駆動源の動作制御を行うことを特徴とする請求項1,2又は3記載のミシン。
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