JP4561978B2 - 固形透析用剤およびその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、この濃厚液である「A剤」は、通常5〜15Lの濃厚液がポリエチレン容器に充填されており、その大きさおよび重量から、輸送コスト、病院での保管のスペースの確保、および使用後の廃棄方法等が大きな問題となっている。
一方、特許文献3では、多層構造でタブレット状に固形化された多層固形透析剤が開示されているが、このような方法では、粉塵が飛散せず、取り扱いも容易である一方、製造工程が煩雑であり、製造コストがかかり、また溶解装置も従来のものとは異なるものであり、現実的なものではない。
1.重炭酸透析液を調製するための、電解質成分、pH調整剤および/またはブドウ糖からなる固形透析用剤の製造方法において、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび酢酸ナトリウムの電解質成分のうち、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを除いた成分を2分し、その一方に塩化カルシウムを水に溶解した溶液をバインダー液として添加し、混合・造粒・乾燥する造粒工程により造粒物(1)を得、残りの成分に塩化マグネシウムを水に溶解した溶液をバインダー液として添加し、混合・造粒・乾燥する造粒工程により造粒物(2)を得、次いで、得られた各造粒物(1)および(2)を混合することからなることを特徴とする固形透析用剤の製造方法、
2.造粒物(1)の造粒工程において、バインダー液中の塩化カルシウム濃度が、固形分含量として15〜61%である上記1に記載の固形透析溶剤の製造方法、
3.造粒物(2)の造粒工程において、バインダー液中の塩化マグネシウム濃度が、固形分含量として10〜42%である上記1に記載の固形透析溶剤の製造方法、
4.酢酸ナトリウム100重量部に対し、バインダー液である塩化カルシウム水溶液を、含まれる水の量として25〜500重量部添加することを特徴とする上記1における造粒物(1)の製造方法、
5.バインダー液中の塩化カルシウム濃度が、固形分含量として15〜61%である上記4に記載の造粒物(1)の製造方法、
6.酢酸ナトリウム100重量部に対し、バインダー液である塩化マグネシウム水溶液を、含まれる水の量として5〜100重量部添加することを特徴とする上記1における造粒物(2)の製造方法、
7.バインダー液中の塩化マグネシウム濃度が、固形分含量として10〜42%である上記6における固造粒物(2)の製造方法、
8.上記4ないし7の製造方法により得た造粒物(1)および造粒物(2)を混合することからなることを特徴とする上記1に記載の固形透析溶剤の製造方法、
9.上記1、2、3または8のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする固形透析溶剤、
である。
したがって、本発明の固形透析用剤を溶解装置に投入する際に、粉塵が発生するものではなく、また、pH調整剤として使用している酢酸臭がほとんど無いものであり、医療現場での作業環境を良好に保持しうる利点を有している。
Na+ 130〜145 mEq/L
K+ 0〜4 mEq/L
Ca++ 0〜4 mEq/L
Mg++ 0〜2 mEq/L
Cl− 55〜135 mEq/L
HCO3 − 20〜45 mEq/L
酢酸イオン 0〜20 mEq/L
(またはクエン酸イオン 0〜10 mEq/L)
また、ブドウ糖として0〜2.0g/L、炭酸水素ナトリウムとして、Na+:15〜40ミリモル、HCO3 −:15〜40ミリモルを組み合わせて用いられることが好ましい。
その後、さらに乾燥した造粒物を目的の大きさに整えるために、整粒を行うのが好ましい。ここで用いる装置は一般的なもので良く、例えば、解砕型整粒機、分級機等がある。
この混合は、上記で製造された造粒物(1)および造粒物(2)を、最終的な固形透析用剤としてそれぞれ所望の電解質成分を含有し得る量に混合すればよく、したがって造粒物(1)および造粒物(2)を、それぞれ大量のバッチ製造で製造しておき、その後所望量の混合で、簡便に製造しうる利点を有するものである。
塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび酢酸ナトリウムを、後記する表1の造粒物Aに示す配合で、攪拌造粒機(FSGS−5J、深江パウテック社製)に投入し、混合(アジテーター:200rpm;チョッパー:1800rpm)を5分行った後、表1の造粒物Aに示す塩化カルシウム水溶液を一括添加し、湿式造粒を10分間行った(5分まではアジテーター:300rpm;チョッパー:3600rpm、5分以降はアジテーター:100rpm;チョッパー:回転なし)。得られた造粒物を、流動層造粒乾燥機(FLO−5型、フロイント産業社製)を用いて、給気温度60℃で水分値が0.5%以下になるまで乾燥し、造粒物Aを得た。
これらの結果は、後記する表2中にまとめた。
塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび酢酸ナトリウムを、後記する表1の造粒物Cに示す配合で、攪拌造粒機(FSGS−5J、深江パウテック社製)に投入し、混合(アジテーター:200rpm;チョッパー:1800rpm)を5分行った後、表1の造粒物Cに示す塩化カルシウム水溶液を一括添加し、湿式造粒を5分間行った(アジテーター:300rpm;チョッパー:3600rpm)。得られた造粒物を、流動層造粒乾燥機(FLO−5型、フロイント産業社製)を用いて、給気温度60℃で水分値が0.5%以下になるまで乾燥し、造粒物Cを得た。
塩化ナトリウム、塩化カリウム及び酢酸ナトリウムを、後記する表1の造粒物Eに示す配合で、攪拌造粒機(FSGS−5J、深江パウテック社製)に投入し、混合(アジテーター:200rpm;チョッパー:1800rpm)を5分行った後、表1の造粒物Eに示す塩化カルシウム/塩化マグネシウム水溶液を一括添加し、湿式造粒を6分間行った(アジテーター:300rpm;チョッパー:3600rpm)。造粒物には、2〜3cm程度の塊が認められた。得られた造粒物を流動層造粒乾燥機(FLO−5型、フロイント産業社製)を用いて、給気温度60℃で水分値が0.5%以下になるまで乾燥して、造粒物Eを得た。得られた造粒物Eの粒度分布を篩分け法により測定した結果、2〜3cm程度の塊は乾燥により崩れることはなく、1.7mm以上の凝集塊の割合は35.5%と非常に多かった(表2参照)。
塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび酢酸ナトリウムを、後記する表1の造粒物Fに示す配合で、攪拌造粒機(FSGS−5J、深江パウテック社製)に投入し、混合(アジテーター:200rpm;チョッパー:1800rpm)を5分行った後、表1の造粒物Fに示す塩化カルシウム/塩化マグネシウム水溶液を一括添加し、湿式造粒を65分間行った(5分まではアジテーター:300rpm;チョッパー:3600rpm、5分以降はアジテーター:100rpm;チョッパー回転なし)。造粒中の25分および45分後に約300gずつサンプリングを行い、流動層造粒乾燥機(FLO−1型、フロイント産業社製)を用いて、給気温度60℃で水分値が0.5%以下になるまで乾燥させた(25分造粒物:F1、45分造粒物:F2)。65分後の造粒物は、流動層造粒乾燥機(FLO−5型、フロイント産業社製)を用いて、給気温度60℃で水分値が0.5%以下になるまで乾燥し、造粒物F3を得、得られた造粒物の粒度分布を篩分け法により測定した。5分以降の緩やかな造粒条件および造粒時間の大幅な延長により、2〜3cm程度の塊は大幅に減少するものの、1.7mm以上の凝集塊の割合は、65分造粒で4%であった(表2参照)。
これに対して、本発明の塩化カルシウム水溶液および塩化マグネシウム水溶液をそれぞれバインダー液として分離し、別々に造粒工程を実施する場合には、酢酸ナトリウムの添加比率を調整することが可能となり、比較例に比べ造粒時間が大幅に短縮できていた。このことから、本発明方法は生産性が高いことが示唆され、かつ凝集塊のない混合性の良好な造粒物が得られたものであった。
Claims (9)
- 重炭酸透析液を調製するための、電解質成分、pH調整剤および/またはブドウ糖からなる固形透析用剤の製造方法において、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムおよび酢酸ナトリウムの電解質成分のうち、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを除いた成分を2分し、その一方に塩化カルシウムを水に溶解した溶液をバインダー液として添加し、混合・造粒・乾燥する造粒工程により造粒物(1)を得、残りの成分に塩化マグネシウムを水に溶解した溶液をバインダー液として添加し、混合・造粒・乾燥する造粒工程により造粒物(2)を得、次いで、得られた各造粒物(1)および(2)を混合することからなることを特徴とする固形透析用剤の製造方法。
- 造粒物(1)の造粒工程において、バインダー液中の塩化カルシウム濃度が、固形分含量として15〜61%である請求項1に記載の固形透析溶剤の製造方法。
- 造粒物(2)の造粒工程において、バインダー液中の塩化マグネシウム濃度が、固形分含量として10〜42%である請求項1に記載の固形透析溶剤の製造方法。
- 酢酸ナトリウム100重量部に対し、バインダー液である塩化カルシウム水溶液を、含まれる水の量として25〜500重量部添加することを特徴とする請求項1における造粒物(1)の製造方法。
- バインダー液中の塩化カルシウム濃度が、固形分含量として15〜61%である請求項4に記載の造粒物(1)の製造方法。
- 酢酸ナトリウム100重量部に対し、バインダー液である塩化マグネシウム水溶液を、含まれる水の量として5〜100重量部添加することを特徴とする請求項1における造粒物(2)の製造方法。
- バインダー液中の塩化マグネシウム濃度が、固形分含量として10〜42%である請求項6に記載の固造粒物(2)の製造方法。
- 請求項4ないし7の製造方法により得た造粒物(1)および造粒物(2)を混合することからなることを特徴とする請求項1に記載の固形透析溶剤の製造方法。
- 請求項1、2、3または8のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする固形透析溶剤。
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