JP4557657B2 - 接触式プローブおよび形状測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特にレンズやミラー等の光学素子形状などを精密に測定するための形状測定装置に搭載される接触式プローブおよび形状測定装置に関するものである。
レンズやミラー等の光学素子形状を精密に測定する3次元形状測定装置は、被測定物の形状をトレースするプローブと、そのプローブの座標位置を測定する座標位置測定手段の2つに分けて構成を考えることができる。この時、プローブにとって重要なことは、被測定物の表面位置を座標測定可能な移動部材に写しとることである。プローブが被測定面をトレースする時の誤差をトレース誤差と呼ぶ。従来、接触式のプローブを支持する構成として、特許文献1や非特許文献1に開示されているように、エアー軸受を用いて上下に移動可能にプローブシャフトを設け、ばねでプローブの自重を支える構成が知られている。
このような接触式プローブを用いて形状をトレースする場合、前述したようにトレース誤差が生じるため、トレース誤差があってもプローブの押しつけ力の誤差にならないように充分弱いばね、つまりばね定数が充分小さいばねが必要である。なぜなら、トレース誤差にばね定数を掛けた量が押しつけ力の誤差になるからである。
また、別の従来例として、特許文献2には磁力を利用してプローブの自重をキャンセルする方法が開示されている。これは、ヨーク、永久磁石およびコイルからなる磁気回路を設けて、ヨークがプローブを挟むように固定し、前記磁気回路の磁力によりプローブの自重をキャンセルするものである。
なお、プローブは、しばしば、スタイラス、触針子、フィーラーと呼ばれることがあるが、本明細書ではプローブに統一する。
特開平6−265340号公報 特開2003−42742号公報 1992年度精密工学会春期大会学術講演論文集P697
しかしながら、上記従来の技術においては以下のような未解決の課題があった。
(1)押しつけ力を小さくするために、ばねのサイズが大きくなる。ばねが発生する力はプローブの自重に押しつけ力を加えた力である。押しつけ力は非常に小さいが、それに対してプローブの自重は大きい。このため、ばねが発生する力は比較的大きくなる。
しかし前述したように、トレース誤差の影響を小さくする必要がある。そこで、ばね定数を小さくし、トレース誤差があっても押しつけ力の変化が小さくなるようにしなければならない。従来例のように機械的なばねでこれを実現しようとすると、ばねのたわみ長さ、すなわち、ばねの発生力をばね定数で割った長さが非常に長くなってしまう。つまり大きなばねが必要となる。
例えば、プローブの質量を10g、押しつけ力を0.1mNとすると、ばねが発生する力は重力加速度を9.8m/s2 として F=9.8×10+0.1=98.1mNとなる。また、許容できる押しつけ力誤差を10%、すなわち0.1×10/100=0.01mNとする。さらに、トレース誤差を10μmとすると、ばね定数は K=0.01/10=0.001mN/μmとなる。
従って、ばねのたわみはF/K=98.1mmとなり、約100mmのたわみが必要である。このときのばねのサイズは、力をかけていない状態でのばねの長さもこれに加えるのでもっとずっと大きくなるはずである。
このように、ばねを用いた従来例では、ばね定数を下げるためにばねを長くしたり大型化したりする必要があり、その結果、プローブ部の全体サイズが大きくなってしまう。このようにプローブ部が大きくなると、温度を均一に保つことが難しく、形状測定精度が悪化するうえに、大型化によって、プローブを走査する測定軸も大きくならざるを得ず、装置コストが高くなる。
また、押しつけ力を下げようとすると、さらに弱いばねが必要となるため、プローブのばねの部分が非常に大きくなり、従来の方法では実質的に実現不可能になってしまう。
(2)プローブの押しつけ力が変化しやすい。ばねは周囲の温度変化などの影響により伸びたり縮んだりすることが考えられる。従来例においては、ばねが発生する力はプローブの自重を含んでいるので大きかった。従って、ばねの伸び縮みでばねの発生力が変化すると、プローブ押しつけ力への影響も大きい。
例えば、前述の例ではばねの受け持つ力はF=9.8×10+0.1=98.1mNであった。従って、わずか0.1%の変化でも0.0981mNの変化となり、プローブ押しつけ力0.1mNに対して非常に大きな誤差になってしまう。このため、精密な形状測定が難しい。
(3)このようなばねの代わりに、磁気回路を用いる従来例の場合は、プローブの自重キャンセル部分が大きくなる。すなわち、特許文献2に開示されたように磁力を利用してプローブの自重をキャンセルする方法は、ヨーク、永久磁石およびコイルからなる磁気回路を用いてヨークがプローブを挟むように固定し、ヨークとプローブの間に発生する磁力により自重をキャンセルするものである。従って、プローブの周囲に、ヨーク、永久磁石、コイルからなる磁気回路を設ける必要があり、その磁気回路を流れる磁束を乱すと、プローブとヨークの間に発生する力が変化し、測定誤差につながってしまう。従って、磁束を乱す材料、例えば鉄系の材料でできた部品をプローブの周囲に配置することができない。その結果、プローブの自重キャンセル部分が大きくなってしまう。加えて、コイルによる発熱によるトラブルや、コイルの通電を制御するだけではプローブの押しつけ力を大きく変更することは難しいという未解決の課題もある。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、形状測定装置のプローブの自重を箱形状のヨークと永久磁石からなる磁気回路によって補償することでプローブサイズの小型化を図るとともに、測定精度を大幅に向上させることのできる接触式プローブおよび形状測定装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の接触式プローブは、3次元的に移動可能な移動部材に、重力の方向に変位自在に保持されたプローブを被測定物に接触させて走査することにより、座標位置を測定する接触式プローブであって、前記プローブは先端球とプローブシャフトとからなり、前記プローブシャフトに固定された永久磁石と、前記永久磁石を囲み、前記永久磁石との間に下に向かって距離が拡大するすきまをもって対向する内面を有する磁性体からなる箱形状のヨークとを備え、前記ヨークが前記移動部材に保持され、前記永久磁石と前記ヨークに流れる磁束によって発生する磁力により、前記プローブにかかる重力をキャンセルする力と、前記ヨークに対する前記プローブの変位に従って変化するばね要素としての力を発生させることを特徴とする。
プローブに取り付けた永久磁石と、それを取り囲む箱形状のヨークからなる磁気回路の磁力によって、プローブの自重をキャンセルする力と、プローブを被測定物に押しつけるためのばね要素としての力を発生させるものであるため、永久磁石やヨークの内面形状、材質等を調整することにより、大きなばねを用いた場合と同等にばね定数を下げることが可能であり、また、永久磁石とヨークによる磁力を利用しているので、ばねやコイルを用いた場合のように温度変化に起因する寸法変化の影響も無く、測定精度を向上させることができる。さらに、磁気回路は箱形状のヨークで囲まれているため、この部分が磁気シールドの役目を兼ねており、周囲に鉄などの磁性体があっても影響されず、磁気回路の必要スペースを縮小できる。
このように、大きなばねを必要としない磁気回路による接触式プローブを、より一層小型化することによって、形状測定装置全体を小型化、かつ簡素化し、製作コストを下げることができる。
また、ヨーク内面を曲率が一定である曲面にすることで、ヨーク内面の加工を旋盤で容易に行うことを可能とし、コスト低減に貢献できる。加えて、ヨークの加工精度も向上するため、プローブの自重補償をより一層安定させ、極めて精密な形状測定が可能となる。
図1の(a)に示す接触式プローブであるプローブは、先端に球1を有するプローブチップ2と、これを支持するプローブシャフト4等を有し、図2等に示す形状測定装置の計測軸15と一体的に移動する移動部材であるハウジング10に対して重力の方向(Z方向)に移動可能にガイドGを介して保持される。プローブシャフト4の上端には、ホルダ5により、図1の(b)に示すように箱形状のヨーク7にすきまδをもって嵌挿された永久磁石8が鉄心9を介して固定されている。永久磁石8とヨーク7の間には磁力が働き互いに吸引しあうが、プローブシャフト4は、ガイドGによって前述の重力の方向(Z方向)に移動可能にガイドされており、すきまδに発生する磁力は永久磁石8とヨーク7の間隔(距離)が小さくなる方向に力を発生するので、永久磁石8に対向するヨーク7の内面が、例えば曲率半径Rの円筒状であれば、プローブはガイドGに沿ってZ方向に対しても力を受ける。
プローブが前記移動方向に受ける力は、ヨークの内面形状、材質、および永久磁石の形状、材質、そしてヨークと永久磁石の間の隙間寸法などのパラメータによって調節することができる。例えば、強力な磁石を使用すれば強い力を発生させることができる。
またプローブの位置によって、永久磁石との隙間寸法が急激に変化するヨークの内面形状とすれば、プローブの位置によって力を大きく変化させることができる。例えばヨークの内面形状を凸面とすれば最も突き出た位置に向かって磁石が移動するように、力を発生させることができる。このように磁力を利用して、プローブの自重をキャンセルするオフセットの力と、プローブの変位に従って変化するばね要素の力を発生させることができる。
図1の(e)は一従来例による接触式プローブを示すもので、先端に球101を有するプローブシャフト104は、ばね103を介してガイドGを有するハウジング110に支持される。このばね103は、非常に弱いばねである必要がある一方で、プローブの自重を支えなければならず、ばね103ののびが非常に大きくなるため、プローブ全体が長尺になる。
これに対して本実施の形態によれば、ヨーク7と永久磁石8による磁力を用いるものであるため、従来例のようにサイズの大きい弱いばねを使わなくてすみ、小型のプローブを実現できる。また、従来例のように温度変化などでばねが変形し、押しつけ力が変化することはないので、押しつけ力の安定性が向上する。
さらに、ヨーク7の周囲に鉄系材料からなる部材を配置しても、ヨーク内部の磁気回路は影響を受けない箱形状のヨークであり、ヨーク内部の磁気回路が外部磁場に対してシールドされるため、プローブの自重キャンセル部分を大幅に小型化することができる。
なお、プローブシャフトのガイドは、転がりガイド、平行板ばね、あるいは空気軸受等任意のものを用いることができる。
また、ヨーク7の内面形状は、前述のように一定の曲率を有する円筒面とすれば、ヨーク内面を旋盤などで簡単に加工することができる。複雑な曲面を用いた場合に比べて、加工が簡単で、加工精度も高いので、プローブの製作コストを下げるとともに、精密な荷重設定が可能となる。
次に、図1の(a)、(b)に示す磁気回路の作用について説明する。この磁気回路は、模式的に図1の(c)に示すように表わすことができる。ここで、永久磁石8の定数として残磁束密度Br、保持力Hcとし、磁気回路をながれる磁束をΦとする。ヨーク部分の磁気抵抗はRy、鉄心部分の磁気抵抗Rc、永久磁石8とヨーク7の間の磁気抵抗をRgで表す。
また、永久磁石8とヨーク7の間のすきまδは図1の(d)に示すように、X=A(z)という関数で表わし、永久磁石8の厚さをlmとし、磁束路の断面積をSとし、空気の透磁率をua、鉄の透磁率をufとすると、磁気抵抗Ry、Rc、Rgは、
Figure 0004557657
磁気回路を流れる磁束密度Bは、
Figure 0004557657
z方向ずり力(磁力)Fは、次の式から計算できる。
Figure 0004557657
これと、式(4)から、
Figure 0004557657
となる。式(6)中のAを
Figure 0004557657
と表されるXZ平面内で(R+δ、Zu)を中心とする半径Rの円の一部であるとする。
ここで、
L:40[mm]
lm:1.5[mm]
lc:9[mm]
S:7.068[mm-2
Br:1.2[T]
Hc:900000[A/m]
ua:1.26e−9[H/m]
uf:8.82e−7[H/m]
R:100[mm]
δ:2[mm]
という値を式(6)に代入して、z=0のまわりで1次までテーラー展開すると、
F=0.06467−11.14z(ただし、F[N]、Z[m]) (8)
となる。
式(8)における第1項は、定数でプローブの自重を支えるオフセットの力を発生させる項である。第2項は、プローブの移動量zを含み、zが大きくなればなるほど力が減少することを示している。プローブが変位するに従って発生力が変化するので、機械的なばねに相当するばね要素の力である。
また、式(6)から、
Figure 0004557657
Figure 0004557657
である。式(9)から永久磁石8とヨーク7のすきまδが広がる程、ずり力Fの値は大きくなることがわかる。
以上説明したように、図1に示す磁気回路は、プローブの自重を支える一定の力によるカウンタバランス作用に加え、ばね要素の作用を兼ねている。なお、式(8)中の第1項の大きさと第2項の傾き(勾配)は、磁気抵抗、保持力、磁束路の断面積などを変えることにより調節できる。
図2の(a)は図1の接触式プローブを組み込んだ形状測定装置を示すもので、球1を取り付けるための円錐状の先端を持ったプローブチップ2は、スペーサ3を挟んで、プローブシャフト4の下側にねじ込み固定される。また、ホルダ5上には、ミラー6がミラー固定駒を介して接着固定され、ホルダ5の中空部には、2つの永久磁石8を両端に接着した鉄心9が挿入され、ホルダ5は、プローブシャフト4の上側にねじ込み固定される。
プローブシャフト4は、薄い空気膜を介して非接触に支持するガイドである空気軸受11を介して、ハウジング10に対して上下方向に移動可能に支持されており、ハウジング10には、空気軸受11に圧縮空気を導くための圧縮空気穴12が穿設してある。これらの圧縮空気穴12は、ドリルで片面からあけ必要に応じて穴の表面部分をネジ止めや接着材等で塞ぐなどすれば、ハウジング10の内部を自由に引き回すことができる。この圧縮空気穴12は圧縮空気配管13に接続され、さらに図示しない圧縮空気源に接続されている。この構成により、プローブシャフト4は上下方向に摩擦なしに自由に移動することができる。
ハウジング10にはその下面部に突起状の下側ストッパー10bが設けられており、スペーサ3と衝突することによってプローブシャフト4の上方向への過剰な動きを規制する。下方向への過剰な動きに対しても同様に、突起状の上側ストッパー10aがハウジング10の上面部に設けられており、プローブシャフト4に設けられた突起4aに突き当たるようになっている。これらのストッパー10a、10bには衝撃を和らげるために、例えば薄いゴムシート等のダンパーを接着固定しておく。ハウジング10は、測定軸15に固定された第2のハウジング16に固定され支持されている。
第2のハウジング16にはヨーク連結治具17によりヨーク7が固定してあり、図2の(a)はこの部分を下からみたときのヨーク7、永久磁石8等の配置を示す。箱形状のヨーク7は、プローブシャフト4に固定された永久磁石8、鉄心9を囲み、図1の(c)に示す磁気回路を構成する。永久磁石8と対向するヨーク7の内面は、図2の(c)に示すように、プローブ移動方向において一定の曲率半径Rを有する曲面である。
前記磁気回路が発生する力は、前述の式(8)に基づき、プローブの自重を支える力を発生するカウンタバランス作用に加え、変位に従って力が変化するばね要素の作用を兼ねている。
測定軸15は、プローブシャフト4と同じ方向に、すなわち上下方向(Z方向)に、ガイド31を用いて移動可能に走査手段であるXYテーブル28に支持され、ボールネジ36とサーボモータ29で駆動される。XYテーブル28は、図示しない定盤に対してXおよびY方向に移動可能にガイドされ、サーボモータ(不図示)で位置決めされる。測定軸15を駆動するサーボモータ29はサーボアンプ32に接続され、サーボアンプ32は、制御系切り替え装置33に接続される。サーボモータ29の回転軸にはエンコーダ30が接続してあり、その出力を位置制御補償回路35に接続する。制御系切り替え装置33が位置制御系に接続している時は、測定軸15の位置を制御することができる。この制御系切り替え装置33は図示していないコントローラで自動制御され、図3に示すフローチャートに従って後述するように測定動作が行われる。
また、干渉計27は、測定軸15に固定され、その上方に基準ミラー26を配置し、基準ミラー26はフレーム25に固定される。この構成により、干渉計27はミラー6とミラー26の間の距離を測定することができる。フレーム25の下方部分には被測定物24を載置する載置台が設けられる。
検出手段であるポジションセンサ23は、センサーアンプ14に接続され、プローブシャフト4とハウジング10の相対位置を電気信号に変換する。センサーアンプ14は針圧制御補償回路34に接続され、さらに制御系切り替え装置33に接続されている。この制御系切り替え装置33が針圧制御系に接続されているときは、センサーアンプ14の出力が一定になるように、サーボモータ29を制御する。
次に、以上のように構成された形状測定装置を用いて行う測定動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御系切替え装置33を位置制御系に設定する。すなわち、測定軸15の位置が一定になるようにフィードバック制御系を選択し、そして、安全位置、すなわち、プローブが最も被測定物24から離れる方向に測定軸15を退避させる(ステップS1)。
そして、最初の測定点の上に来るようにXYテーブル28を移動させ(ステップS2)、測定軸15を下げて、プローブと被測定物24を接触させ、ポジションセンサ23が所定の位置になるまで測定軸15を下降させる(ステップS3)。
ここで、プローブ先端の球1が、被測定物24に接触して反力を受けると、プローブシャフト4が押し上げられる。プローブシャフト4が押し上げられると、前述の式(8)中のzがプラス側に増える。すると、磁気回路の発生力が弱まるので、プローブ先端の球1が被測定物24を押しつける力がその分だけ次第に増える。これはばね要素がそこにあるのと同じ作用である。従って、ポジションセンサアンプ14の出力は、プローブ押しつけ力を表している。
プローブ先端の球1と被測定物24の接触は、プローブの変位測定信号、すなわち、センサーアンプ14の信号をモニタしていれば判別できる。
そして、制御系切り替えスイッチ33を針圧制御系に切り替えて、ポジションセンサ23の値が一定になるように制御する(ステップS4)。そのまま、被測定物24の測定領域をXY軸を用いて走査(トレース)し、同時に測定軸15の位置を図示しない座標位置測定手段で測定する(ステップS5)。また、プローブの上下方向については、ミラー6と参照ミラー26の間の距離を測定する干渉計27で直接測定する。全測定領域を走査したら、制御系切り替え装置33を再び位置制御系に切り替え、測定軸15を安全位置に退避させ(ステップS6)、測定を終了する。
本実施例によれば、プローブ先端の球1、プローブチップ2、スペーサ3、プローブシャフト4、ホルダ5、ミラー6等にかかる重力を磁気回路が発生する磁力でキャンセルするため、従来例のようにサイズの大きいばねを用いる必要がない。その結果、小型のプローブが実現可能である。
磁束漏れに関しても、永久磁石が強磁性体で構成された箱形状のヨークによって囲まれているため、従来のように磁気回路の近辺に鉄系材料の部品を配置できないという制約がない。従って、プローブの自重キャンセル部分を大幅に縮小することが可能になり、プローブの小型化により一層貢献できる。
さらに、温度変化等の環境変化に対して発生力が変化するばねや発熱するコイル等を使用していないため、プローブの押しつけ力の精度が向上し、その結果測定精度が向上する。
また、ヨークの永久磁石と対向する内面の断面形状が、プローブ移動方向において曲率が一定の円形状であるため、ヨークの設計・製作が簡易であり、従って、製作コストを下げることができる。
図4に示すように、本実施例は、テーパー状の開口37aを有する箱形状のヨーク37を用いて、ヨーク37と永久磁石8からなる磁気回路によるプローブの押しつけ力の大きさを、開口37aのテーパー部のテーパー方向にヨーク37を移動させることで調節するためのヨーク駆動手段を設けたものである。この構成により、例えばプローブの球1の交換等によってプローブ重量が変化しても、磁気回路の発生力を自在に調節してプローブ押しつけ力を一定に保つことができる。
図4の(a)において、図1の(a)と同様に、球1を取り付けるための円錐状の先端を持ったプローブチップ2は、スペーサ3を挟んで、プローブシャフト4の下側にねじ込み固定される。また、ホルダ5上には、ミラー6がミラー固定駒を介して接着固定され、ホルダ5の中空部には、2つの永久磁石8を両端に接着した鉄心9が挿入され、ホルダ5はプローブシャフト4の上側にねじ込み固定される。
プローブシャフト4は、薄い空気膜を介して非接触に支持するガイドである空気軸受11を介して、ハウジング10に対して上下方向に移動可能に支持されており、ハウジング10には、空気軸受11に圧縮空気を導くための圧縮空気穴12が穿設してある。これらの圧縮空気穴12は、ドリルで片面からあけ必要に応じて穴の表面部分をネジ止めや接着材等で塞ぐなどすれば、ハウジング10の内部を自由に引き回すことができる。この圧縮空気穴12は圧縮空気配管13に接続され、さらに図示しない圧縮空気源に接続されている。この構成により、プローブシャフト4は上下方向に摩擦なしに自由に移動することができる。
ハウジング10にはその下面部に突起状の下側ストッパー10bが設けられており、スペーサ3と衝突することによってプローブシャフト4の上方向への過剰な動きを規制する。下方向への過剰な動きに対しても同様に、突起状の上側ストッパー10aがハウジング10の上面部に設けられており、プローブシャフト4に設けられた突起4aに突き当たるようになっている。ハウジング10は、測定軸15に固定された第2のハウジング16に固定され支持されている。
ヨーク37は、プローブシャフト4と直交する方向に、すなわち前後方向(Y方向)に、ガイド21を用いて移動可能なように第2のハウジング16に対して支持され、ヨーク移動手段であるピニオンラック機構40とサーボモータ38により移動される。ヨーク37を駆動するサーボモータ38はサーボモータジグ39に支持され、サーボアンプ41に接続される。サーボモータ38の回転軸にはエンコーダ38aが接続してあり、その出力を位置制御補償回路42に接続する。
図4の(b)はヨーク37と永久磁石8等の配置を上方からみた図である。箱形状のヨーク37は、X方向の開口幅αがY方向に変化するテーパー形状の開口37aを有し、プローブシャフト4に固定された永久磁石8、鉄心9とともに磁気回路を構成する。永久磁石8と対向するヨーク37の内面にはプローブ移動方向において一定の曲率が設けられている。
このように構成される磁気回路が発生する力は、前述した式(8)に基づいて説明したように、プローブの自重を支えるオフセットの力を発生するカウンタバランス作用に加え、変位に従って力が変化するばね要素の作用を兼ねている。
また、前述したように、サーボモータ38を駆動して、ヨーク37をプローブ移動方向であるZ方向と直交するY方向に変位させることにより、永久磁石8とヨーク37の間のすきまが変化し、プローブ自重を支える力を変化させることができる。あらかじめ、ヨーク37のプローブ移動方向と直交するY方向の変位とプローブ自重を支える力の関係を把握しておくことにより、測定時の押しつけ力を任意の値に調節することができる。また、先端チップ、先端球の交換によりプローブ自重が変化した時の押しつけ力の補正を行うことができる。
測定軸15は、プローブシャフト4に沿った方向に、すなわち上下方向(Z方向)に、ガイド31を用いて移動可能にXYテーブル28に対して支持され、ボールネジ36とサーボモータ29で駆動される。XYテーブル28は、図示しない定盤に対してXおよびY方向に移動可能にガイドされ、サーボモータ(不図示)で位置決めされる。測定軸15を駆動するサーボモータ29はサーボアンプ32に接続され、サーボアンプ32は、制御系切り替え装置33に接続される。サーボモータ29の回転軸にはエンコーダ30が接続してあり、その出力を位置制御補償回路35に接続する。制御系切り替え装置33が位置制御系に接続している時は、測定軸15の位置を制御することができる。この制御系切り替え装置33は図示していないコントローラで自動制御され、図5に示すフローチャートに従って後述するように測定動作が行われる。
また、干渉計27は、測定軸15に固定され、その上方に基準ミラー26を配置し、基準ミラー26はフレーム25に固定する。この構成により、干渉計27はミラー6とミラー26の間の距離を測定することができる。フレーム25の下方部分には被測定物24を載置する載置台が設けられる。
ポジションセンサ23は、センサーアンプ14に接続され、プローブシャフト4とハウジング10の相対位置を電気信号に変換する。センサーアンプ14は針圧制御補償回路34に接続され、さらに制御系切り替え装置33に接続されている。この制御系切り替え装置33が針圧制御系に接続されているときは、センサーアンプ14の出力が一定になるように、サーボモータを制御する。
次に、以上のように構成された形状測定装置を用いて行う測定動作を図5のフローチャートを用いて説明する。
最初にプローブを下端に固定する(ステップS101)。すなわち、ヨーク37を永久磁石8とヨーク37のすきまが広がるY方向へ移動させることにより、永久磁石8とヨーク37の間に作用する磁力が弱まり、プローブを下降させることができる。このようにして、プローブシャフト4の突起4aを上側ストッパー10aに当接させ、プローブを下端に固定する。
プローブを下端に固定したら、ポジションセンサ23の値z1を読み取り図示しない記憶装置により記憶する(ステップS102)。
そして、あらかじめ設定したプローブ質量測定位置へヨーク37を移動し(ステップS103)、プローブがバランスする時のポジションセンサ23の値z2を読み取り、z2とz1の差z3(=z2−z1)を図示しない記憶装置により記憶する(ステップS104)。z3はストッパー10aからのプローブの浮き上がり量である。
次に、プローブ質量の測定を行う(ステップS105)。すなわち、あらかじめプローブ質量が基準質量mである場合のプローブ浮き上がり量zdを事前に把握しておけば、zdとz3の差にプローブ移動方向におけるバネ係数をかけることにより、プローブ先端の球1の交換などにより変化した質量m1を計算することができる。
例えば、バネ係数が、30〔mN/mm〕で、基準質量mが80mNの時の浮き上がり量zdが、1〔mm〕であるとする。このとき、測定した浮き上がり量z3が例えば0.95mmであれば、変化した質量m1は、m1=(zd−z3)×30=1.5mNとなる。すなわち、1.5mNだけプローブが基準質量mより重くなっていることがわかる。
計算したm1が許容値Δmを超えていなければ、正常に球交換が行われたものとみなし、測定動作を継続する。もし、m1がΔmを超えていれば、球交換がうまくいかなかったものとして測定を終了する。
以上でプローブの準備が完了し、形状測定の工程に入る。まず、制御系切替え装置33を位置制御系に設定し、すなわち、測定軸15の位置が一定になるようにフィードバック制御系を選択し、そして、安全位置、すなわち、プローブが最も被測定物24から離れる方向に測定軸15を退避させる(ステップS106)。次に、ステップS101と同様な方法でプローブを下端に固定する(ステップS107)。そして、最初の測定点の上に来るようにXY軸28を移動させ、測定軸15を下げて、プローブと被測定物24を接触させ、ポジションセンサ23が所定の位置になるまで測定軸15を下降させる(ステップS109)。
ここで、先端の球1が、被測定物24に接触して反力を受けると、プローブシャフト4が押し上げられる。プローブシャフト4が押し上げられると、前述の式(8)中のzがプラス側に増える。すると、磁気回路の発生力が弱まるので、プローブ先端の球1が被測定物24を押しつける力がその分だけ次第に増える。これはばね要素がそこにあるのと同じ作用である。従って、ポジションセンサアンプ14の出力は、プローブの押しつけ力を表している。
プローブ先端の球1と被測定物24の接触は、プローブの変位測定信号、すなわち、センサーアンプ14の信号をモニタしていれば判別できる。プローブはプローブシャフト4の突起4aとハウジング10の突起状の上側ストッパー10aが接触しているので、測定軸15が動き外乱振動があってもプローブは動かない。従って、センサーアンプ14の信号が外乱振動によって揺れることがなく、接触の判定を容易に行うことができる。すなわち、あらかじめ定めた信号レベルに達するかどうかを監視していればよいため、非常に高速で、例えば1msで接触の有無が判定できる。
次に、押しつけ力が設定値になるようにヨーク37を移動する(ステップS110)。前述したようにヨーク37をプローブ移動方向と直交するY方向に動かすと、永久磁石8とヨーク37のすきまが変化し、前述した式(8)のプローブの自重を支える力が変化する。あらかじめ、基準質量mのプローブにおいて、ヨーク37の位置yと押しつけ力fの関係をy=G(f)として把握しておき、それに従って押しつけ力の設定値に対応したヨーク37の位置を決定し、ヨーク37を移動する。しかし、プローブ先端の球1などを取り替えるとプローブ質量がずれてしまうため、ステップS105で求めたプローブ質量のズレ量m1を利用してこれを補正する。すなわち、それまでの押しつけ力の設定値がf0であった場合には、設定値をf0−m1と補正して、ヨーク位置yを求めれば、プローブ質量のズレ量をキャンセルして正確に押しつけ力を設定することができる。例えば、f0が100mgで、m1が40mgである場合には、押しつけ力を100−40=60mgと補正して、ヨーク位置yを求めれば、球交換などによるプローブ質量のズレ量を補正できる。
そして、制御系切り替えスイッチ33を針圧制御系に切り替えて、ポジションセンサ23の値が一定になるように制御する(ステップS111)。そのまま、被測定物24の測定領域をXY軸を用いて走査(トレース)し、同時に測定軸15の位置を図示しない座標位置測定手段で測定する(ステップS112)。また、プローブの上下方向については、ミラー6と参照ミラー26の間の距離を測定する干渉計27で直接測定する。全測定領域を走査したら、制御系切り替え装置33を再び位置制御系に切り替え、測定軸を安全位置に退避させ(ステップS113)、測定を終了する。
以上説明してきたように、本実施例によれば、プローブ先端の球1、プローブチップ2、スペーサ3、プローブシャフト4、ホルダ5、ミラー6等にかかる重力を、磁気回路が発生する磁力でキャンセルする。従来例のようにサイズの大きいばねを用いる必要がないため、小型のプローブが実現可能である。
さらに、温度変化等の環境変化に対して発生力が変化するばねを使用していないため、プローブの押しつけ力の精度が向上し、その結果、測定精度が向上する。
また、磁気回路を構成するヨークを移動することにより、プローブチップや球の交換などにより生じたプローブ質量の変化を補正することが可能となり、押しつけ力の精度が向上し、その結果、形状測定精度が向上する。
加えて、ヨーク移動手段によってヨークを移動させることで、プローブを上側ストッパーに当接して原点出しを行う工程や、ポジションセンサによってプローブの重量と磁気回路の磁力がバランスする位置を測定する工程を設けることが可能となり、プローブ質量やプローブ位置を高精度で管理し、形状測定精度をより一層大幅に向上できる。
図6は、実施例3による形状測定装置を示すもので、図2の装置と同様にヨーク7と永久磁石8等による磁気回路を有し、プローブ移動方向と平行するZ方向にヨーク7を移動して、磁気回路の発生力を調整するヨーク駆動手段を設ける。
図6の(a)、(c)に示すように、ヨーク7は、プローブシャフト4に沿った上下方向(Z方向)に移動するヨーク移動ガイド51とこれを移動自在に支持する支持部材52を介して第2のハウジング16に支持されたヨーク駆動手段であるヨーク移動体55に保持され、サーボモータ53によるボールねじ56によって駆動される。ヨーク7を上下動するサーボモータ53はサーボアンプ41に接続され、サーボモータ53の回転軸にはエンコーダ54が接続してあり、その出力を位置制御補償回路42に接続する。
図6の(b)は、ヨーク7と永久磁石8の配置を上からみた平面図である。ヨーク7は箱形状であり、プローブシャフト4に固定された永久磁石8、鉄心9とともに磁気回路を構成する。永久磁石8と対向するヨーク7の内面形状はプローブ移動方向において一定の曲率を有する曲面である。
このように構成された磁気回路が発生する力は、前述の式(8)に基づいて説明したように、プローブの自重を支えるオフセットの力を発生するカウンタバランス作用に加え、変位に従って力が変化するばね要素の作用を兼ねている。
また、前述したようにプローブの移動方向と平行するZ方向のヨーク7の変位により、永久磁石8とヨーク7の間のすきまが変化し、プローブ自重を支える力が変化する。あらかじめ、測定位置でのヨーク7のプローブ移動方向と平行する方向の変位とプローブ自重を支える力の関係を把握しておくことにより、測定時の押しつけ力を可変にすることができる。また、先端チップ、先端球の交換によりプローブ自重が変化した時の押しつけ力の補正を行うことができる。
測定軸15は、プローブシャフト4に沿った方向に、すなわち上下方向(Z方向)に、ガイド31を用いて移動可能にXYテーブル28に対して支持され、ボールネジ36とサーボモータ29で駆動される。XYテーブル28は、図示しない定盤に対してXおよびY方向に移動可能にガイドされ、サーボモータ(不図示)で位置決めされる。測定軸15を駆動するサーボモータ29はサーボアンプ32に接続され、サーボアンプ32は、制御系切り替え装置33に接続される。サーボモータ29の回転軸にはエンコーダ30が接続してあり、その出力を位置制御補償回路35に接続する。制御系切り替え装置33が位置制御系に接続している時は、測定軸15の位置を制御することができる。この制御系切り替え装置33は図示していないコントローラで自動制御され、図7に示すフローチャートに従って後述するように測定動作が行われる。
また、干渉計27は、測定軸15に固定され、その上方に基準ミラー26を配置し、基準ミラー26はフレーム25に固定する。この構成により、干渉計27はミラー6とミラー26の間の距離を測定することができる。フレーム25の下方部分には被測定物の載置台(不図示)が設けられ、この載置台に被測定物24が固定される。
ポジションセンサ23は、センサーアンプ14に接続され、プローブシャフト4とハウジング10の相対位置を電気信号に変換する。センサーアンプ14は針圧制御補償回路34に接続され、さらに制御系切り替え装置33に接続されている。この制御系切り替え装置33が針圧制御系に接続されているときは、センサーアンプ14の出力が一定になるように、サーボモータを制御する。
次に、以上のように構成された形状測定装置を用いて行う測定動作を図7のフローチャートを用いて説明する。
最初にプローブを下端に固定する(ステップS101a)。すなわち、ヨーク7を永久磁石8とヨーク7のすきまが狭くなるZ方向へ移動することにより、永久磁石8とヨーク7の間に作用する磁力が弱まり、プローブを下降させることができる。このようにして、プローブシャフト4の突起4aを上側ストッパー10aに当接させ、プローブを下端に固定する。
プローブを下端に固定したら、ポジションセンサ23の値z1を読み取り図示しない記憶装置により記憶する(ステップS102)。
そして、あらかじめ設定したプローブ質量測定位置へヨーク7を移動し(ステップS103a)、プローブがバランスする時のポジションセンサ23の値z2を読み取り、z2とz1の差z3(=z2−z1)を図示しない記憶装置により記憶する(ステップS104)。z3はストッパー10aからのプローブの浮き上がり量である。
次に、プローブ質量の測定を行う(ステップS105)。すなわち、あらかじめプローブ質量が基準質量mである場合のプローブ浮き上がり量zdを事前に把握しておけば、zdとz3の差にプローブ移動方向におけるバネ係数をかけることにより、プローブ先端の球1の交換などにより変化した質量m1を計算することができる。
例えば、バネ係数が、30〔mN/mm〕で、基準質量mが80mNの時の浮き上がり量zdが、1〔mm〕であるとする。このとき、測定した浮き上がり量z3が例えば0.95mmであれば、変化した質量m1は、m1=(zd−z3)×30=1.5mNとなる。すなわち、1.5mNだけプローブが基準質量mより重くなっていることがわかる。
計算したm1が許容値Δmを超えていなければ、正常に球交換が行われたものとみなし、測定動作を継続する。もし、m1がΔmを超えていれば、球交換がうまくいかなかったものとして測定を終了する。
以上でプローブの準備が完了し、形状測定の工程に入る。まず、制御系切替え装置33を位置制御系に設定し、すなわち、測定軸15の位置が一定になるようにフィードバック制御系を選択し、そして、安全位置、すなわち、プローブが最も被測定物24から離れる方向に測定軸15を退避させる(ステップS106)。次に、ステップS101aと同様な方法でプローブを下端に固定する(ステップS107a)。そして、最初の測定点の上に来るようにXY軸28を移動させ、測定軸15を下げて、プローブと被測定物24を接触させ、ポジションセンサ23が所定の位置になるまで測定軸を下降させる(ステップS109)。
ここで、先端の球1が、被測定物24に接触して反力を受けると、プローブシャフト4が押し上げられる。プローブシャフト4が押し上げられると、前述の式(8)中のzがプラス側に増える。すると、磁気回路の発生力が弱まるので、プローブ先端の球1が被測定物24を押しつける力がその分だけ次第に増える。これはばね要素がそこにあるのと同じ作用である。従って、ポジションセンサアンプ14の出力は、プローブの押しつけ力を表している。
プローブ先端の球1と被測定物24の接触は、プローブの変位測定信号、すなわち、センサーアンプ14の信号をモニタしていれば判別できる。プローブはプローブシャフト4の突起4aとハウジング10の突起状の上側ストッパー10aが接触しているので、測定軸15が動き外乱振動があってもプローブは動かない。従って、センサーアンプ14の信号が外乱振動によって揺れることがなく、接触の判定を容易に行うことができる。すなわち、あらかじめ定めた信号レベルに達するかどうかを監視していればよいため、非常に高速で、例えば1msで接触の有無が判定できる。
次に、押しつけ力が設定値になるようにヨーク7を移動する(ステップS110a)。前述したようにヨーク7をプローブ移動方向に動かすと、永久磁石8とヨーク7のすきまが変化し、前述した式(8)のプローブの自重を支える一定の力が変化する。あらかじめ、基準質量mのプローブにおいて、ヨーク7の位置yと押しつけ力fの関係をy=G(f)として把握しておき、それに従って押しつけ力の設定値に対応したヨーク7の位置を決定し、ヨーク7を移動する。しかし、プローブ先端の球1などを取り替えるとプローブ質量がずれてしまう。ステップS105で求めたプローブ質量のズレ量m1を利用してこれを補正する。すなわち、押しつけ力の設定値がf0であった場合には、設定値をf0−m1と補正して、ヨーク位置yを求めれば、プローブ質量のズレ量をキャンセルして正確に押しつけ力を設定することができる。例えば、f0が100mgで、m1が40mgだった場合には、押しつけ力を100−40=60mgと補正して、ヨーク位置yを求めれば、球交換などによるプローブ質量のズレ量を補正できる。
そして、制御系切り替えスイッチ33を針圧制御系に切り替えて、ポジションセンサ23の値が一定になるように制御する(ステップS111)。そのまま、被測定物24の測定領域をXY軸を用いて走査(トレース)し、同時に測定軸15の位置を図示しない座標測定装置で測定する(ステップS112)。また、プローブの上下方向については、ミラー6と参照ミラー26の間の距離を測定する干渉計27で直接測定する。全測定領域を走査したら、制御系切り替え装置33を再び位置制御系に切り替え、測定軸を安全位置に退避し(ステップS113)、測定を終了する。
その他の点は実施例2と同様であるから、説明は省略する。
本実施例は、図8に示すように、ヨーク7と永久磁石8等による磁気回路の磁力に抗してプローブを下降させ、プローブシャフト4の突起4aを上側ストッパー10aに当接させるための電流制御装置71と永久磁石72とコイル73から構成されるプローブ駆動手段を備えており、プローブの変位履歴をリセットして、ヨーク7と永久磁石8による磁気回路の発生力のヒステリシスを除去することができるように構成されている。これによって、プローブの押しつけ力を安定させ、より一層精密な形状測定を行うことができる。
永久磁石8やヨーク7には、その磁気的特性においてヒステリシスが存在するので、磁力をバネ要素として使用する場合にも変位と発生力の間にヒステリシスが存在する。すなわち、プローブ変位が同じでも、それまでのプローブの変位履歴により発生力が異なる。このように発生力が変化すると、プローブは、ばね要素で懸架される構造なのでプローブが待機している位置が変わってしまう。その場合でも測定時の押しつけ力をいつも一定にしようとすると、ばね定数は一定なので測定時のプローブ位置が変わる。測定時のプローブ位置変化は、プローブの3次元的な位置姿勢も変化することを意味しているので測定誤差につながる。しかもプローブの変位履歴という不確定なものによってそれが変わるため、毎回変化する測定誤差を生じる。また逆に、測定時のプローブ位置をいつも一定にしようとすると、ばね定数は一定なので測定時の押しつけ力が変わる。測定時の押しつけ力の変化は、被測定物24やプローブの変形量が変化することを意味しているので測定誤差につながる。しかもプローブ変位履歴という不確定なものによってそれが変わるため、毎回変化する測定誤差を生じる。そこで、ヨーク7と永久磁石8の磁気回路が発生する力のヒステリシスを除去するため、ローレンツ力を発生させる永久磁石72とコイル73から構成される磁気手段を設ける。
図8の(a)において、図2の(a)と同様に球1を取り付けるための円錐状の先端を持ったプローブチップ2を、スペーサ3を挟んで、プローブシャフト4の下側にねじ込み固定する。また、ホルダ5上には、ミラー6がミラー固定駒を介して接着固定され、ホルダ5の中空部には、2つの永久磁石8を両端に接着した鉄心9が挿入され、ホルダ5はプローブシャフト4の上側にねじ込み固定される。
プローブシャフト4は、薄い空気膜を介して非接触に支持する手段いわゆる空気軸受11を介して、ハウジング10に対して上下方向に移動可能に支持されており、ハウジング10には、空気軸受11に圧縮空気を導くための圧縮空気穴12が穿設してある。これらの圧縮空気穴12は、ドリルで片面からあけ必要に応じて穴の表面部分をネジ止めや接着材等で塞ぐなどすれば、ハウジング10の内部を自由に引き回すことができる。この圧縮空気穴12は圧縮空気配管13に接続され、さらに図示しない圧縮空気源に接続されている。この構成により、プローブシャフト4は上下方向に摩擦なしに自由に移動することができる。
ハウジング10にはその下面部に突起状の下側ストッパー10bが設けられており、スペーサ3と衝突することによってプローブシャフト4の上方向への過剰な動きを規制する。下方向への過剰な動きに対しても同様に、突起状の上側ストッパー10aがハウジング10の上面部に設けられており、プローブシャフト4に設けられた突起4aに突き当たるようになっている。ハウジング10は、測定軸15に固定された第2のハウジング16に固定され支持されている。
また、プローブシャフト4には永久磁石72が、ハウジング10にはコイル73が配設されている。コイル73は、電流制御装置71に接続されており、コイル73に通電することによりプローブシャフト4をZ方向に駆動するローレンツ力を発生できる。
ヨーク7は、第2のハウジング16に対してヨーク連結治具17を介して固定されている。図8の(b)は、ヨーク7と永久磁石8の配置を下からみたものである。ヨーク7は箱形状であり、プローブシャフト4に固定された永久磁石8、鉄心9とともに磁気回路を構成する。永久磁石8と対向するヨーク7の内面にはプローブ移動方向において一定の曲率が設けられている。
このように構成される磁気回路の発生力は、前述した式(8)に基づいて説明したように、プローブの自重を支える一定のオフセットの力を発生するカウンタバランス作用に加え、変位に従って力が変化するばね要素の作用を兼ねている。
測定軸15は、プローブシャフト4に沿って上下方向(Z方向)に、ガイド31を用いて移動可能にXYテーブル28に対して支持され、ボールネジ36とサーボモータ29で駆動される。XYテーブル28は、図示しない定盤に対してXおよびY方向に移動可能にガイドされ、サーボモータ(不図示)で位置決めされる。測定軸15を駆動するサーボモータ29はサーボアンプ32に接続され、サーボアンプ32は、制御系切り替え装置33に接続される。サーボモータ29の回転軸にはエンコーダ30が接続してあり、その出力を位置制御補償回路35に接続する。制御系切り替え装置33が位置制御系に接続している時は、測定軸15の位置を制御することができる。この制御系切り替え装置33は図示していないコントローラで自動制御され、図9に示すフローチャートに従って後述する測定動作が行われる。
また、干渉計27は、測定軸15に固定され、その上方に基準ミラー26を配置し、基準ミラー26はフレーム25に固定する。この構成により、干渉計27はミラー6と基準ミラー26の間の距離を測定することができる。フレーム25の下方部分には被測定物24を載置する載置台が設けられる。
ポジションセンサ23は、センサーアンプ14に接続され、プローブシャフト4とハウジング10の相対位置を電気信号に変換する。センサーアンプ14は針圧制御補償回路34に接続され、さらに制御系切り替え装置33に接続されている。この制御系切り替え装置33が針圧制御系に接続されているときは、センサーアンプ14の出力が一定になるように、サーボモータを制御する。
次に、以上のように構成された形状測定装置を用いて行う測定動作を図9のフローチャートを用いて説明する。
最初にプローブ駆動手段によってプローブを下端に固定する(ステップS201)。すなわち、電流制御装置71により、コイル73に通電し、プローブへZの負方向の力をかける。これによって、プローブシャフト4は、下方へ移動しプローブシャフト4の突起4aが上側ストッパー10aに当接し、プローブは下端に固定される。
次に、制御系切り替え装置33を位置制御系に設定し、すなわち、測定軸15の位置が一定になるようにフィードバック制御系を選択し、そして、安全位置、すなわち、プローブが最も被測定物24から離れる方向に測定軸15を退避させる(ステップS202)。
そして、最初の測定点の上に来るようにXY軸28を移動させ(ステップS203)、測定軸15を下げて、プローブと被測定物24を接触させ、ポジションセンサ23が所定の位置になるまで測定軸15を下降させる(ステップS204)。
ここで、先端の球1が、被測定物24に接触して反力を受けると、プローブシャフト4が押し上げられる。プローブシャフト4が押し上げられると、前述の式(8)中のzがプラス側に増える。すると、磁気回路の発生する力が弱まるので、プローブ先端の球1が被測定物24を押しつける力がその分だけ次第に増える。これはばね要素がそこにあるのと同じ作用である。従って、ポジションセンサアンプ14の出力は、プローブの押しつけ力を表している。
プローブ先端の球1と被測定物24の接触は、プローブの変位測定信号、すなわち、センサーアンプ14の信号をモニタしていれば判別できる。プローブはプローブシャフト4の突起4aとハウジング10の突起状の上側ストッパー10aが接触しているので、測定軸15が動き外乱振動があってもプローブは動かない。従って、センサーアンプ14の信号が外乱振動によって揺れることがなく、接触の判定を容易に行うことができる。すなわち、あらかじめ定めた信号レベルに達するかどうかを監視していればよいため、非常に高速で、例えば1msで接触の有無が判定できる。
次に、プローブをフリーにする(ステップS205)。すなわち、電流制御装置71によりコイル73への通電をやめ、プローブの動きを自由にする。
そして、制御系切り替え装置33を針圧制御系に切り替えて、ポジションセンサ23の値が一定になるように制御する(ステップS206)。そのまま、被測定物24の測定領域をXY軸を用いて走査(トレース)し、同時に測定軸15の位置を図示しない座標位置測定手段で測定する(ステップS207)。また、プローブの上下方向については、ミラー6と参照ミラー26の間の距離を測定する干渉計27で直接測定する。全測定領域を走査したら、制御系切り替え装置33を再び位置制御系に切り替え、測定軸15を安全位置に退避し(ステップS208)、測定を終了する。
以上説明してきたように、本実施例によれば、プローブ先端の球1、プローブチップ2、スペーサ3、プローブシャフト4、ホルダ5、ミラー6等にかかる重力をヨーク7と永久磁石8による磁気回路が発生する磁力でキャンセルする。従って、従来例のようにサイズの大きいばねを用いる必要がない。このため小型のプローブが実現可能である。
さらに、温度変化等の環境変化に対して発生力が変化するばねを使用していないため、プローブの押しつけ力の精度が向上し、その結果、形状測定精度が向上する。
また、プローブを被測定物24に接触させる前に、コイル73に通電することにより、プローブシャフト4を下方へさげる力が働き、突起4aをストッパー10aに当接させることができる。これにより、プローブの変位の履歴がリセットされるため、ヨーク7、永久磁石8、鉄心9から構成される磁気回路が発生する力のヒステリシスがなくなり、プローブの押しつけ力の精度が向上する。その結果、形状測定精度が向上する。
図10はプローブ変位と磁気回路の発生力の関係を説明するための模式図である。横軸は、プローブとハウジング10の相対変位であり、縦軸は磁気回路の発生力である。磁気回路は前述したようにバネ要素として作用するので、プローブとハウジング10の相対変位が変化すると発生力が変化する。ここで、理想的なバネ要素であれば、変位量が最初Z1 で発生力がP0 とする時、一旦変位がZ2 に変化した後、再びZ1 になったときの発生力は最初と同じくP0 となるが、磁気回路が発生する力は永久磁石8の磁気的特性により変位と発生力の間にヒステリシスが存在するため、変位をZ0 に戻しても発生力はP0 とならない。すなわち、Z1 →Z2 →Z1 →Z0 →Z1 という変位履歴の場合の発生力は、P0 →P1 →P2 →P3 →P4 と変化する。プローブは磁気回路のバネ要素によりハウジング10に支持される構造であるので、常に振動などを生じていることを考えると変位履歴は不確定なものであり、発生力は、変位履歴という不確定なものにより左右されるため、押しつけ力を精度良く設定できないという問題があった。
そこで、ハウジング10に、プローブ移動方向における移動範囲を制限するストッパー10a、10bを設け、また、ハウジング10に固定してコイル73、プローブシャフト4に固定して永久磁石72を設け、コイル73に流す電流を制御する電流制御装置71を備える。コイル73に電流を流すことにより、プローブシャフト4がストッパー10aに当接し、変位履歴をキャンセルする。すなわち、図10において、P5 、P6 、P0 をスタート地点とし、プローブの変位をZ2 にした後に、プローブ変位をZ1 に戻せば発生力は必ずP3 になる。
このように、一旦プローブをストッパー10aに当接させることにより磁気回路が有するヒステリシスをなくし押しつけ力を精度良く設定できる。
図11は実施例5による形状測定装置を示すもので、ヨーク7と永久磁石8等による磁気回路の磁力に抗してプローブを下降させ、プローブシャフト4の突起4aを上側ストッパー10aに当接するためのノズル81、エアーバルブ82、配管83から構成されるプローブ駆動手段によってプローブの変位履歴をリセットする。プローブをストッパー10aに固定する工程を持たせることで発生力のヒステリシスを除去し、押しつけ力を安定させて、精密な形状測定が行うことができる。
図11の(a)において、図2の(a)と同様に、球1を取り付けるための円錐状の先端を持ったプローブチップ2を、スペーサ3を挟んで、プローブシャフト4の下側にねじ込み固定する。また、ホルダ5上にはミラー6がミラー固定駒を介して接着固定され、ホルダ5の中空部には、2つの永久磁石8を両端に接着した鉄心9が挿入され、ホルダ5はプローブシャフト4の上側にねじ込み固定される。
プローブシャフト4は、薄い空気膜を介して非接触に支持する手段いわゆる空気軸受11を介して、ハウジング10に対して上下方向に移動可能に支持されており、ハウジング10には、空気軸受11に圧縮空気を導くための圧縮空気穴12が穿設してある。これらの圧縮空気穴12は、ドリルで片面からあけ必要に応じて穴の表面部分をネジ止めや接着材等で塞ぐなどすれば、ハウジング10内部を自由に引き回すことができる。この圧縮空気穴12は圧縮空気配管13に接続され、さらに図示しない圧縮空気源に接続されている。この構成により、プローブシャフト4は上下方向に摩擦なしに自由に移動することができる。
ハウジング10にはその下面部に突起状の下側ストッパー10bが設けられており、スペーサ3と衝突することによってプローブシャフト4の上方向への過剰な動きを規制する。下方向への過剰な動きに対しても同様に、突起状の上側ストッパー10aがハウジング10の上面部に設けられており、プローブシャフト4に設けられた突起4aに突き当たるようになっている。ハウジング10は、測定軸15に固定された第2のハウジング16に固定され支持されている。
また、第2のハウジング16には、プローブを押し下げる方向にエアーを吹き付けるノズル81が設けられており、ノズル81に接続された配管83はエアーバルブ82を通して図示しない圧縮空気源に接続されている。従って、エアーバルブ82を開くことにより、圧縮空気をノズル81から吹き出して、プローブを下方に移動させ、ストッパー10aとプローブシャフト4の突起4aを当接させることができる。
ヨーク7は、第2のハウジング16に対してヨーク連結治具17を介して固定されている。図11の(b)は、ヨーク7と永久磁石8の配置を下からみた平面図である。ヨーク7は箱形状であり、プローブシャフト4に固定された永久磁石8、鉄心9とともに磁気回路を構成する。永久磁石8と対向するヨーク7の内面にはプローブ移動方向において一定の曲率が設けられている。
このように構成される磁気回路が発生する力は、前述した式(8)に基づいて説明したように、プローブの自重を支える一定のオフセットの力を発生するカウンタバランス作用に加え、変位に従って力が変化するばね要素の作用を兼ねている。
測定軸15は、プローブシャフト4に沿って上下方向(Z方向)に、ガイド31を用いて移動可能にXYテーブル28に対して支持され、ボールネジ36とサーボモータ29で駆動される。XYテーブル28は、図示しない定盤に対してXおよびY方向に移動可能にガイドされ、サーボモータ(不図示)で位置決めされる。測定軸15を駆動するサーボモータ29はサーボアンプ32に接続され、サーボアンプ32は、制御系切り替え装置33に接続される。サーボモータ29の回転軸にはエンコーダ30が接続してあり、その出力を位置制御補償回路35に接続する。制御系切り替え装置33が位置制御系に接続している時は、測定軸15の位置を制御することができる。この制御系切り替え装置33は図示していないコントローラで自動制御され、図12に示すフローチャートに従って後述する測定動作が行われる。
また、干渉計27は、測定軸15に固定され、その上方に基準ミラー26を配置し、基準ミラー26はフレーム25に固定する。この構成により、干渉計27はミラー6とミラー26の間の距離を測定することができる。フレーム25の下方部分には被測定物24を載置する載置台が設けられる。
ポジションセンサ23は、センサーアンプ14に接続され、プローブシャフト4とハウジング10の相対位置を電気信号に変換する。センサーアンプ14は針圧制御補償回路34に接続され、さらに制御系切り替え装置33に接続されている。この制御系切り替え装置33が針圧制御系に接続されているときは、センサーアンプ14の出力が一定になるように、サーボモータを制御する。
次に、以上のように構成された形状測定装置を用いて行う測定動作を図12のフローチャートを用いて説明する。
最初にプローブを下端に固定する(ステップS201a)。すなわち、エアーバルブ82を開いて、ノズル81から圧縮空気を吹き出し、プローブを下方に移動させ、ストッパー10aとプローブシャフト4の突起4aを当接させる。
次に、制御系切り替え装置33を位置制御系に設定し、すなわち、測定軸15の位置が一定になるようにフィードバック制御系を選択し、そして、安全位置、すなわち、プローブが最も被測定物24から離れる方向に測定軸15を退避させる(ステップS202)。
そして、最初の測定点の上に来るようにXY軸28を移動させ(ステップS203)、測定軸15を下げて、プローブとワークを接触させ、ポジションセンサ23が所定の位置になるまで測定軸をさげる(ステップS204)。
ここで、プローブ先端の球1が、被測定物24に接触して反力を受けると、プローブシャフト4が押し上げられる。プローブシャフト4が押し上げられると、前述の式(8)中のzがプラス側に増える。すると、磁気回路の発生する力が弱まるので、プローブ先端の球1が被測定物24を押しつける力がその分だけ次第に増える。これはばね要素がそこにあるのと同じ作用である。従って、ポジションセンサアンプ14の出力は、プローブの押しつけ力を表している。
プローブ先端の球1と被測定物24の接触は、プローブの変位測定信号、すなわち、センサーアンプ14の信号をモニタしていれば判別できる。プローブはプローブシャフト4の突起4aとハウジング10の突起状のストッパー10aが接触しているので、測定軸15が動き外乱振動があってもプローブは動かない。従って、センサーアンプ14の信号が外乱振動によって揺れることがなく、接触の判定を容易に行うことができる。すなわち、あらかじめ定めた信号レベルに達するかどうかを監視していればよいため、非常に高速で、例えば1msで接触の有無が判定できる。
次に、プローブをフリーにする(ステップS205a)。すなわち、エアーバルブ82を閉じてノズル81への圧縮空気の供給を止め、プローブの動きを自由にする。
そして、制御系切り替え装置33を針圧制御系に切り替えて、ポジションセンサ23の値が一定になるように制御する(ステップS206)。そのまま、被測定物24の測定領域をXY軸を用いて走査(トレース)し、同時に測定軸の位置を図示しない座標位置測定手段で測定する(ステップS207)。また、プローブの上下方向については、ミラー6と参照ミラー26の間の距離を測定する干渉計27で直接測定する。全測定領域を走査したら、制御系切り替え装置33を再び位置制御系に切り替え、測定軸15を安全位置に退避し(ステップS208)、測定を終了する。
以上説明してきたように、本実施例によれば、プローブ先端の球1、プローブチップ2、スペーサ3、プローブシャフト4、ホルダ5、ミラー6等にかかる重力を磁気回路が発生する磁力でキャンセルする。従って、従来例のようにサイズの大きいばねを用いる必要がない。このため小型のプローブが実現可能である。
さらに、温度変化等の環境変化に対して発生力が変化するばねを使用していないため、プローブの押しつけ力の精度が向上し、その結果、形状測定精度が向上する。
また、プローブを被測定物24に接触させる前に、エアーバルブ82を開いてノズル81から圧縮空気を吹き出させることにより、プローブシャフト4を下げる力が働き、突起4aをストッパー10aに当接させることができる。これにより、プローブの変位の履歴がリセットされるため、ヨーク7、永久磁石8、鉄心9から構成される磁気回路が発生する力のヒステリシスがなくなり、押しつけ力の精度が向上する。その結果、形状測定精度が向上する。
一実施の形態を示すもので、(a)は、プローブ、ヨーク、永久磁石の関係を示す概略図、(b)はヨークと永久磁石のみを示す平面図、(c)はヨークと永久磁石、鉄心からなる磁気回路を説明する図、(d)はヨークと永久磁石の位置関係を示す部分断面図、(e)は一従来例による接触式プローブを説明する図である。 実施例1による形状測定装置を示すもので、(a)は、その主要部を示す模式断面図、(b)はヨークと永久磁石を下からみた平面図、(c)は(b)のC−C線に沿ってとった断面図である。 実施例1による形状測定工程を示すフローチャートである。 実施例2による形状測定装置を示すもので、(a)は、その主要部を示す模式断面図、(b)はヨークと永久磁石の配置を示す平面図、(c)は(b)のC−C線に沿ってとった断面図である。 実施例2による形状測定工程を示すフローチャートである。 実施例3による形状測定装置を示すもので、(a)は、その主要部を示す模式断面図、(b)はヨークと永久磁石の配置を示す平面図、(c)は(b)のC−C線に沿ってとった断面図である。 実施例3による形状測定工程を示すフローチャートである。 実施例4による形状測定装置を示すもので、(a)は、その主要部を示す模式断面図、(b)はヨークと永久磁石の配置を示す平面図、(c)は(b)のC−C線に沿ってとった断面図である。 実施例4による形状測定工程を示すフローチャートである。 ヨークと永久磁石による磁気回路のヒステリシスを説明するグラフである。 実施例5による形状測定装置を示すもので、(a)は、その主要部を示す模式断面図、(b)はヨークと永久磁石の配置を示す平面図、(c)は(b)のC−C線に沿ってとった断面図である。 実施例5による形状測定工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1 球
2 プローブチップ
3 スペーサ
4 プローブシャフト
4a 突起
5 ホルダ
6 ミラー
7、37 ヨーク
8、72 永久磁石
9 鉄心
10、16 ハウジング
10a、10b ストッパー
11 空気軸受
12 圧縮空気穴
13 圧縮配管
14 ポジションセンサアンプ
15 測定軸
21、51 ヨーク移動ガイド
22 ヨークガイド連結部材
23 ポジションセンサ
24 被測定物
25 フレーム
26 基準ミラー
27 干渉計
28 XY軸
29 モータ
30 エンコーダ
31 ガイド
32 モータアンプ
33 制御系切替え装置
34 針圧制御補償回路
35 位置制御補償回路
36、56 ボールネジ
38、53 サーボモータ
39 サーボモータジグ
40 ピニオンラック機構
41 サーボアンプ
42 位置制御補償回路
54 エンコーダ
55 ヨーク移動体
71 電流制御装置
73 コイル
81 ノズル
82 エアーバルブ
83 配管

Claims (9)

  1. 3次元的に移動可能な移動部材に、重力の方向に変位自在に保持されたプローブを被測定物に接触させて走査することにより、座標位置を測定する接触式プローブであって、
    前記プローブは先端球とプローブシャフトとからなり、
    前記プローブシャフトに固定された永久磁石と、
    前記永久磁石を囲み、前記永久磁石との間に下に向かって距離が拡大するすきまをもって対向する内面を有する磁性体からなる箱形状のヨークとを備え、
    前記ヨークが前記移動部材に保持され、前記永久磁石と前記ヨークに流れる磁束によって発生する磁力により、前記プローブにかかる重力をキャンセルする力と、前記ヨークに対する前記プローブの変位に従って変化するばね要素としての力を発生させることを特徴とする接触式プローブ。
  2. 3次元的に移動可能な移動部材に、重力の方向に変位自在に保持されたプローブを被測定物に接触させて走査することにより、座標位置を測定する接触式プローブであって、
    前記プローブは先端球とプローブシャフトとからなり、
    前記プローブシャフトに固定された永久磁石と、
    前記永久磁石を囲み、前記永久磁石との間に下に向かって距離が拡大し、かつ前記重力の方向に対して垂直方向に距離が変化するすきまをもって対向する内面を有する磁性体からなる箱形状のヨークと、前記ヨークを前記プローブに対して前記重力の方向に対して垂直な方向に移動させるヨーク駆動手段とを備え、
    前記ヨーク駆動手段を介して前記ヨークが前記移動部材に保持され、前記永久磁石と前記ヨークに流れる磁束によって発生する磁力により、前記プローブにかかる重力をキャンセルする力と、前記ヨークに対する前記プローブの変位に従って変化するばね要素としての力を発生させることを特徴とする接触式プローブ。
  3. 3次元的に移動可能な移動部材に、重力の方向に変位自在に保持されたプローブを被測定物に接触させて走査することにより、座標位置を測定する接触式プローブであって、
    前記プローブは先端球とプローブシャフトとからなり、
    前記プローブシャフトに固定された永久磁石と、
    前記永久磁石を囲み、前記永久磁石との間に下に向かって距離が拡大するすきまをもって対向する内面を有する磁性体からなる箱形状のヨークと、
    前記ヨークを前記プローブに対して前記重力の方向に移動させるヨーク駆動手段とを備え、
    前記ヨーク駆動手段を介して前記ヨークが前記移動部材に保持され、前記永久磁石と前記ヨークに流れる磁束によって発生する磁力により、前記プローブにかかる重力をキャンセルする力と、前記ヨークに対する前記プローブの変位に従って変化するばね要素としての力を発生させることを特徴とする接触式プローブ。
  4. 箱形状のヨークが、重力の方向に一定の曲率で湾曲する曲面状の内面を有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の接触式プローブ。
  5. プローブと移動部材との相対位置を検出する検出手段が設けられており、前記検出手段の出力に基づいて前記プローブの質量を計算することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の接触式プローブ。
  6. 移動部材がプローブの重力の方向の移動を制限するストッパーを有し、前記プローブを前記重力の方向に移動させて前記ストッパーに当接するためのプローブ駆動手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないしいずれか1項記載の接触式プローブ。
  7. プローブ駆動手段が、プローブにローレンツ力を発生させる磁気手段を有することを特徴とする請求項記載の接触式プローブ。
  8. プローブ駆動手段が、エアーの吹き付けまたは吸引によってプローブを移動させるように構成されていることを特徴とする請求項記載の接触式プローブ。
  9. 請求項1ないしいずれか1項記載の接触式プローブと、前記接触式プローブを被測定物上で走査するための走査手段と、前記プローブの3次元座標位置を測定する座標位置測定手段とを備えたことを特徴とする形状測定装置。
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