JP4555009B2 - 炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法及びその製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、化学工場、石油化学工場、廃棄物処理施設等から排出される有機化合物含有アルカリ性排水を噴霧焼却し、有機化合物を除去し、アルカリ性排水に含まれるアルカリ金属塩の回収、有効利用を図る方法及びその製造システムに関する。
有機化合物を含有する排水を処理する方法として噴霧焼却法がある。この方法は、焼却炉において火焔中に排水を噴霧し焼却処理するものであり、複雑な操作を伴わず、安定した処理性が得られるという利点がある。化学工場などから排出される排水は、有機酸などの酸性物質を含むことが多く、そのため、カセイソーダなどでアルカリ中和してから、すなわち、アルカリ金属塩を含む排水としてから、噴霧焼却されており、この結果、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩を含む溶液が得られる。
しかしながら、この溶液中の炭酸塩の濃度は、焼却する排水の量、および排水に含まれるアルカリ金属塩の濃度に依存して変動する。また、有機化合物が燃焼して水を生成するので排水中の有機化合物の量によっても、また、供給される冷却水の量によっても変動する。さらに、焼却条件によって冷却水の蒸発量が変動するなどの要因によっても変動する。
排水の有効利用の観点からは、焼却により得られた炭酸アルカリ金属塩水溶液を再利用すること、または製品として使用することが好ましい。このような場合、炭酸アルカリ金属塩の濃度をその用途等により、特定の濃度とすることが要求されることがある。
炭酸アルカリ金属塩の濃度を特定範囲とするためには、一般に得られた炭酸アルカリ金属塩水溶液をさらに水で希釈するか、または濃縮する方法が採られているが、希釈または濃縮の工程が必要になる。また、濃度調整のため冷却水量を変えることを開示するものもあるが(例えば特許文献1参照)、冷却水量の変動のみでは、広い範囲の製品濃度を調整することはできない。
特公昭50−2547号公報(第2頁)
本発明は、炭酸アルカリ金属塩の濃度が所望の範囲となるような炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法に係り、本発明によれば、濃度を特定範囲とするための水による希釈または濃縮のための設備を必要としない。
すなわち、本発明は、(1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
(a)運転管理目標値の上限値より高い場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、
(b−1)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却水注入量が必要最低量より多い場合は、冷却水注入量を減少させ、
(b−2)第2工程の冷却注入量が必要最低量である場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法である。
図1を参照して、まず、噴霧焼却処理について説明する。
アルカリ金属塩を含む有機化合物含有アルカリ性排水32は、噴霧焼却炉31に設けられた排水スプレーノズルから噴霧焼却炉31内に噴霧される。排水中の有機化合物の燃焼及び燃料の燃焼に必要な量の燃焼用空気34の一部は一次エアーとして、燃料33と共に焼却炉31に設けられた燃料バーナに供給され、残りは二次エアーとして炉内に直接供給される。燃料バーナの火焔温度は極めて高温であり、この火焔にむかって排水32を噴霧することにより、排水32中の水は急速に蒸発し、有機化合物は燃焼し、また、燃焼により生成した水も蒸発する。通常はアルカリ金属塩も燃焼し、燃焼酸化物が生成する。
焼却ガス35に含まれるアルカリ金属酸化物と一部のCO2は冷却水36に溶解し、炭酸アルカリ金属塩を含有する焼却排水38となる。ガス35は冷却水36と熱交換し、冷却水の一部を蒸発させ、この水蒸気を伴って焼却排ガス37として排出される。炭酸アルカリ金属塩を吸収した冷却水である焼却排水38は、粗固形分を沈降分離した後、フィルタープレス等の懸濁微固形分除去装置によって、微小な固形分を除去して、ソーダ製品39として再利用される。
なお、燃焼用空気は上記したとおり、一般的には、一次エアーと二次エアーとがあるが、図1では合わせて燃焼用空気34(量Z)として表示している。
上記において有機化合物含有アルカリ性排水32とは、化学工場等において取り扱われる種々の有機化合物を含有する排水をいう。有機化合物には酸性物質のものも、アルカリ性物質のものもあるが、化学工場などで取り扱われる有機化合物は有機酸を含むことが多く、全体としては酸性となることが多い。すなわち、有機化合物には、ブタン、ブテン、ブタジエン、イソプレン等の飽和・不飽和炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、エチルベンゼン、アセトフェノン等の環式炭化水素およびその誘導体;メチルベンジルアルコール、プロピレングリコール等のアルコール類の他、化学プロセスにおける副生成物であるギ酸、酢酸、安息息酸などの有機酸;その他、テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性物質も含まれる。
これらの全体として酸性の有機化合物を含む排水を排出する化学工場等では、カセイソーダや、それに類似のアルカリ性金属塩で中和処理を行う等の一次処理が行われており、排水全体としてはアルカリ性排水となるようにして排水処理プロセスに移送される。したがって、本発明における有機化合物含有アルカリ性排水にはカセイソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ成分が含まれ、通常pH8−10のアルカリ性を示す。
燃料としては通常、重油やプラント廃油等が用いられ、炉内燃焼温度は特に限定されないが、930−950度程度である。
噴霧焼却炉31の内面は、キャスターや耐火煉瓦等の耐火材で覆われており、アルミナ、シリカなどが含まれている。冷却水としては通常、工業用水が使用されている。
排水32に含まれるアルカリ金属塩がナトリウム塩であり、中和または焼却により生成する炭酸アルカリ金属塩が炭酸ナトリウム(Na2CO3)等であり(以後、製品ソーダと称する場合がある)、ソーダ製品39を得る場合を例にとり、本発明の炭酸アルカリ金属塩濃度の制御方法を説明する。
この場合、ソーダ製品39の濃度sは下記式によって示される。
s=a÷W=a÷(a+Ww) (1)
ここで、aは製品ソーダの量、Wはソーダ製品39の量、Wwはソーダ製品39中の水分量である。
上記式(1)中、製品ソーダの量aは、排水32の組成及び処理量により変動し、下記式(2)により示される。
a=ka×X (2)
ここで、kaは製品ソーダ量aを得るための係数であり、排水32中の組成に基づき計算される。Xは排水32の量である。複数の排水を同時に処理する場合は、それぞれをX1、X2…とし、以後の計算式、係数も同様に増やして計算する。
また、式(1)中、ソーダ製品39中の水分量Wwは、冷却水36の量をYとすると、Yから焼却ガス35との熱交換による蒸発量Yvを除いて次のように求められる。
Ww=Y−Yv (3)
上記式(3)において、冷却水36の蒸発量Yvは、焼却ガス35が冷却水36に与えた熱量、すなわち、焼却ガス35中の水蒸気、炭酸ガスなどの種々のガスの顕熱(Q1+Q2+Q3+Q4+…)から、冷却水36が沸点に達するに必要な熱量Q0を差し引き、これを水の潜熱Cwで割って下記のとおり求めることができる。
Yv=(Q1+Q2+Q3+Q4+…−Q0)÷Cw (4)
焼却ガス35の主な成分は、水蒸気、炭酸ガス、窒素、酸素であり、これらの顕熱を求める計算式は、下記のとおりである。なお、焼却ガス35中のその他の気体の顕熱量が多い場合には、下記と同様に考慮して式(4)中に含める。また排水32中に含まれるNa等の金属塩の濃度が高く、その燃焼酸化物の顕熱や、水への溶解熱が無視できない場合にも、同様の考慮を行う。
水蒸気の顕熱Q1
Q1=(k1x×X+k1f×F)×(T1−T2)×Cpv (5)
ここで、k1x×Xは排水32からの水蒸気量、k1f×Fは燃料33からの水蒸気量を示す。
k1xは、排水32の燃焼後の水蒸気量、すなわち、排水32中に含まれる水と、有機化合物などの可燃分bに含まれる水素分との燃焼により生成される水蒸気量を求める係数であり、排水32の組成に基づき計算される。排水32の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k1fは、燃料33中に含まれる水素分の燃焼により生成される水蒸気量を決める係数であり、燃料33の組成に基づき計算される。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは燃料33の量である。複数の燃料を同時に使用する場合には、それぞれをF1、F2…とし、以後の計算式、係数も同様に増やして計算する。
T1は焼却ガス35の温度であり、T2は焼却ガス35が熱交換した後の焼却排ガス37の温度である。これは焼却排水38の温度と等しい。
CpvはT1〜T2での水蒸気の平均比熱である。
CO 2 の顕熱Q2
Q2=(k2x×X+k2f×F)×(T1−T2)×Cpc (6)
ここで、k2x×Xは排水32からのCO2量、k2f×Fは燃料33からのCO2量を示す。
k2xは、排水32の燃焼後のCO2量、すなわち、排水32中に含まれる可燃分bに含まれる炭素分の燃焼により生成されるCO2量を求める係数であり、排水32の組成に基づき計算される。排水32の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k2fは、燃料33中に含まれる炭素分の燃焼により生成されるCO2量を求める係数であり、燃料33の組成に基づき計算される。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは先に述べたとおり、燃料33の量である。
T1およびT2も先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpcはT1〜T2でのCO2の平均比熱である。
N 2 の顕熱Q3
Q3=(k3×Z)×(T1−T2)×Cpn (7)
k3×Zは燃焼用空気34からのN2量を示す。
k3は、燃焼用空気34中のN2量を決める係数であり、供給した燃焼用空気34中のN2の比率から計算される。
Zは燃焼用空気34の量である。
T1およびT2は先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpnはT1〜T2でのN2の平均比熱である。
O 2 の顕熱Q4
Q4=(k4z×Z−k4x×X−k4f×F)×(T1−T2)×Cpo (8)
k4z×Z−k4x×X−k4f×Fは燃焼用空気34からのO2量を示す。
k4zは、燃焼用空気34中のO2量を決める係数であり、供給した燃焼用空気34中のO2の比率から計算される。
Zは先に述べたとおり、燃焼用空気34の量である。
k4xは排水32の燃焼のために使用されるO2量を決める係数であり、排水32中に含まれる可燃分bの組成から完全燃焼に必要なO2量を計算して求める。排水32の組成の大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k4fは燃料33の燃焼のために使用されるO2量を決める係数であり、燃料33の組成から完全燃焼に必要なO2量を計算して求める。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは先に述べたとおり、燃料33の量である。
T1およびT2は先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpoはT1〜T2でのOの平均比熱である。
焼却ガス35に注入された冷却水36が沸点(焼却排ガス37の温度T2に等しい)に達するために必要な熱量Q0は下記式により求められる。
Q0=Y×(T2-T3)×Cpw (9)
Yは先に述べたとおり、冷却水36の量であり、T2も先に述べたとおり、焼却排ガス37の温度である。
T3は冷却水37の温度である。
CpwはT2〜T3での水の平均比熱である。
以上から、式(1)に式(2)、式(3)及び式(4)を代入すると下記のとおりになる(ただし、式(4)において、燃焼ガス35の主な成分は、水蒸気、炭酸ガス、窒素、酸素であり、その他の気体やアルカリ金属酸化物の顕熱量は無視できるとした)。
s=a÷W=a÷(a+Ww)=a÷(a+Y−Yv)
=ka×X÷(ka×X+Y−(Q1+Q2+Q3+Q4−Q0)÷Cw) (10)
式(10)にさらに式(5)〜式(9)を代入すると下記のとおりになる。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
ただし、上記式中、A、B、C、Dは下記のとおりに置いた。
A=1+(T2-T3)×Cpw÷Cw (12)
B=ka−(T1−T2)×(klx×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw (13)
C=−(T1−T2)×(klf×Cpv+k2f×Cpc−k4f×Cpo)÷Cw (14)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw (15)
また、ka、X、Y、F、Zは先に述べたとおり、それぞれ、製品ソーダの量を得るための係数、排水32の量、冷却水36の量、燃料33の量、燃焼用空気34の量である。
上記式から明らかなとおり、式(12)のY(冷却水36の量)の係数であるAは常に正であり、したがって、冷却水36の量Yを変動させることによって、他の種々の係数とは独立してソーダ製品39の濃度sを調整することができる。
また、式(15)のZ(燃焼用空気の量)の係数であるDは常に負であり、したがって、燃焼用空気34の量Zを変動させることによっても、他の種々の係数とは独立してソーダ製品39の濃度sを調整することができる。
ただし、冷却水36については、缶体40の保護のために供給必要な最低量Y以上の量は供給しなければならず、また、燃焼用空気34についても、排水32中の可燃分bと、燃料Fを完全燃焼させるのに必要な空気量Z0に最適空気比δを掛けた最適空気量Zδ以上の量は供給しなければならない。
Y0は、化学工場などのプラントごとに決められる値であり、通常、炉の製作メーカーにより指定される。
Z0は、排水32に含まれる可燃分bの組成及び燃料33の組成から求めた完全燃焼に必要なO2量と、供給した燃焼用空気34中のO2の比率から求めることができ、Z0=(k4x×X+k4f×F)÷k4zとして計算できる。排水32及び燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
通常、化学工場などのプラントではZδ=δ×Z0(δは最適空気比、Z0は上記の計算値)として、δ=1.2程度で最適空気量Zδを設定する。ただし、燃料や有機化合物含有アルカリ性排水の燃焼性が悪い場合などは1.3あるいはそれ以上で燃焼が最適になる場合もある。最適空気比であることは焼却ガスまたは焼却排ガスの残存O2濃度を監視することで確認できる。
なお、噴霧燃焼させる排水32の量Xは、運転のための設定値であり、燃料33の量Fは排水量Xに対して炉内の燃焼温度を維持するために必要な量が定まる。
したがって、ソーダ製品39中の製品ソーダ量aの濃度の目標値の上限値をSH、下限値をSLとすると、以下のフローチャートに則り、運転条件を制御することができる。
Figure 0004555009
例えば、s>SHの場合、すなわち、ソーダ製品39の濃度sが目標の上限値SHを超える場合、
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
=α/(A×Y+β) (16)
(ただし、α=ka×X、β=B×X+C×F+D×Zであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Aは正の数値である。)
であるから、sがSHとなるように、Y(冷却水36の量)の値を増加させて運転条件を決定すればよい。
また、例えば、s<SLの場合、すなわち、ソーダ製品39の濃度sが目標の下限値SLよりも低い場合、冷却水36の量Yが缶体の保護のために供給必要な最低量Yよりも大きければ、同様に上記式においてsがSLになるようにYの値を減少させ、運転条件を決定すればよい。
すでにYがY0よりも小さい場合、またYをY0まで減少させてもs<SLの場合は、YをY0に固定し、
s=α/(γ+D×Z) (17)
(ただし、αは上記と同じ、γ=A×Y+B×X+C×Fであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Dは負の数値である。)
から、sがSLになるように燃焼用空気34の量Zの値を増加させ、運転条件を決定すればよい。
なお、排水32の濃度、量が変動する場合は、予め、排水32の組成等を分析し、各定数を基に製造条件を設定しておけばよい。
噴霧焼却炉では省エネルギーのため、燃料消費量を削減することが重要であり、ソーダ濃度調整方法(1)に記載の制御は燃料消費量を少なくして、所定の製品ソーダの濃度sを得るための手法として最適である。すなわち、冷却水36が缶体保護のために必要な冷却水量Y0より少なくならない範囲であれば、製品ソーダの濃度sは冷却水36の量Yで調整するため、燃焼用空気34は最適空気比δでの運転が可能であり、燃料33の量Fは必要最小限となる。
同様に、ソーダ製品39中の製品ソーダ量aの濃度の目標値の上限値をSH、下限値をSLとすると、以下のフローチャートに則り、運転条件を制御することもできる。
Figure 0004555009
例えば、s<SLの場合、すなわち、ソーダ製品39の濃度sが目標の下限値SLよりも低い場合、
s=α/(γ+D×Z) (17)
(ただし、αは上記と同じ、γ=A×Y+B×X+C×Fであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Dは負の数値である。)
から、sがSLになるように燃焼用空気34の量Zの値を増加させ、運転条件を決定すればよい。
例えば、s>SHの場合、すなわち、ソーダ製品39の濃度sが目標の上限値SHを超える場合、燃料用空気の量Zが最適空気量Zδよりも大きければ、sがSHになるようにZの値を減少させ、運転条件を決定すればよい。
すでにZがZδ未満の場合、またZをZδまで減少させてもs>SHの場合は、ZをZδに固定し、
s=α/(A×Y+β) (16)
(ただし、α=ka×X、β=B×X+C×F+D×Zであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Aは正の数値である。)
から、sがSHとなるように、Y(冷却水36の量)の値を増加させて運転条件を決定すればよい。
なお、排水32の濃度、量が変動する場合は、予め、排水32の組成等を分析し、各定数を基に製造条件を設定しておけばよい。
ソーダ濃度調整方法(2)の制御は、焼却排水38を要処理水として処理する場合などに、その処理量を最小とするための手法として最適である。すなわち、冷却水36は缶体保護のために必要な冷却水量Y0またはある一定量に固定し、焼却排水38の生成量を最小または一定量とするために、燃焼用空気34の量を調整する。燃焼用空気34の量が最適空気比δ未満にならない範囲であれば、冷却水を増やさないため、焼却排水の生成量が少ない運転が可能となる。また、焼却排水の生成量が少ないのでソーダ製品39として高濃度のものを得ることができる。
上記のとおり、ソーダ製品の濃度は、焼却する排水の量、排水の組成、焼却条件など種々の要因により変動するにもかかわらず、本発明の方法によれば、冷却水の量と燃焼用空気の量の2つ量をコントロールすることにより、下流に濃縮/希釈設備などの濃度調整手段を用いずに、広い範囲の所望の製品濃度を有するソーダ製品が得られる。
上記方法は、噴霧焼却炉、噴霧焼却炉に有機化合物含有アルカリ性排水を供給する排水供給路、燃料を供給する燃料供給路及び燃焼用空気を供給する空気供給路、焼却ガスに冷却水を供給する冷却水供給路、炭酸アルカリ金属塩濃度の指標を検出できる手段、例えば密度計(密度から製品ソーダ濃度を換算する)、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように冷却水の供給量を調節する冷却水調節系、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように燃焼用空気の供給量を調節する空気調節系、及び密度計により検出した炭酸アルカリ金属塩の濃度に基づき、冷却水調節系及び空気調節系におけるそれぞれの供給量の必要な増減量を算出し、冷却水調節系及び空気調節系を制御する制御系を含む炭酸アルカリ金属塩製造システムにより実施される。
冷却水調節系は例えば流量調節バルブ等の流量調整装置を含み、空気調節系は例えばダンパ開閉装置またはコントロールバルブ等の流量調整装置を含み、それぞれ冷却水の量及び燃焼用空気の量を増減する。
上記システムはさらに好ましくは焼却ガスの温度T1、焼却排ガスの温度T2、冷却水の温度T3をそれぞれ測定する温度計を備える。制御系は、好ましくは、測定した焼却温度T1に基づき供給する燃料の増減量を算出し、これに基づき流量調節バルブ等の流量調整装置を含む燃料調節系を制御する。
制御系は式(11)から濃度sを算出できるように、すなわち、係数A、B、C及びDを算出するための種々のデータ、例えば製品ソーダ排水の組成から製品ソーダ量を得るための係数ka、排水からの水蒸気量を求める係数k1x、燃料からの水蒸気量を求める係数klfなど、種々のデータを有していてもよく、また、システムは焼却ガスの先に記載のとおり、温度T1、焼却排ガスの温度T2、冷却水の温度T3や、有機化合物含有アルカリ性排水の量Xなどの実測値を与えるための温度計や流量計などの種々の手段を有していてもよい。さらにこの分野において公知の有機化合物含有アルカリ性排水を事前に濃縮して焼却炉に供給する手段、焼却排ガスをこの濃縮に利用する手段等を含んでいてもよい。なお、この場合は濃縮後の有機化合物含有アルカリ性排水を基準として上記の運転条件の決定を行う。
また、本発明の方法では、第3工程と第4工程との間に、微固形分懸濁アルカリ性水の磁気処理工程を挟んでもよい。
先に述べたとおり、冷却水としては通常、工業用水が使用される。工業用水にはカルシウムイオンがふくまれる。このカルシウムイオンは焼却ガス中の炭酸ガスと反応して難溶性の炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を生成する。また、噴霧焼却に際して焼却炉の耐火物が一部損傷し、耐火物の成分が焼却ガスに同伴することがある。また、燃焼により発生した灰分も焼却ガスに同伴する。
これらの難溶性成分は第3工程において粗固形分として焼却炉下に設けたピットや粗固形分分離ピット等によって分離されるが、粗固形分分離後もその上澄み中には微細な固形分が含まれる。このため、第4工程において、フィルタープレス等を用いて懸濁微固形分を除去する。
ところが、この第4工程への移送中に、沈殿するに至らなかった難溶性成分がクラスターを形成し、配管、ポンプ、調節弁等の排水ラインに沈着することがある。
このため、第3工程と第4工程の間に磁気処理工程を挟むことができる。
その一例を図2にフロー図で示す。図2において、1は噴霧焼却炉、2は有機化合物含有アルカリ性排水、3は燃料、4は燃焼用空気、5は冷却水、13は粗固形分分離ピット、14は磁気処理装置、15はポンプ、16はレベル計、17は調節弁、18は中間タンク、19はポンプ、20はフィルタープレス等の懸濁微固形分除去装置、21は除去された微固形分、22はソーダ製品である。
磁気処理装置14は、例えば、第3工程と第4工程を繋ぐポンプのサンクション配管等に多数の磁石巻きつけるように取り付けたものである。
強力な磁気処理により焼却排水中のクラスターが破壊され、難溶性の炭酸カルシウムや耐火物屑などが配管に沈着しにくくなり、また破壊されたクラスターはフィルタープレス等の懸濁微固形分除去装置により有利に除去され、純度の高いソーダ製品を提供できる。
その一例を挙げると下記のとおりである。
磁気処理装置14としてネオジウム磁石約100個をポンプ15のサクション部分の3B配管に巻きつけ固定した。冷却水として工業用水を約30T/H用い、約13T/Hの有機化合物含有アルカリ性排水を930−950度で噴霧焼却した。焼却炉の耐火物屑や炭酸カルシウム等の粗固形分を沈殿処理した後、フィルタープレスを用いて懸濁微固形分を分離して濃度約15%の炭酸ナトリウム水溶液を得た。この運転を約4ヶ月継続した後、ポンプ15から中間タンク18までの配管を開放点検したところ、配管内面には2〜3mm程度の硬いスケールは付着していたが、磁気処理装置の取り付け前に見られたような耐火物の屑を取り込んだ軟らかいスケールによる配管のつまりは見られなかった。さらに5ヶ月継続して同様の運転を続けたが、配管の詰まりもなく、安定的に排水の送液ができ、また、純度の高いソーダ製品を提供できた。
なお、冷却水として軟水を用いて炭酸カルシウムの生成を防止することもできる。
また、本発明の方法は、第2工程の焼却排ガスを洗浄及びろ過して排出する工程を含んでもよく、好ましくは洗浄にはベンチュリースクラバーが、ろ過には排気フィルターが用いられる。
この洗浄水としてカルシウムイオンを含む硬水を用いると、焼却排ガス中に含まれる炭酸成分と反応して難溶性の炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を形成してベンチュリースクラバーや排気フィルターの詰まりの原因となる。そこで、これらの洗浄水として軟水を用いることにより上記の詰まりの問題を解決する。
その一例を図2にフロー図で示す。図2において、6はベンチュリースクラバー、7は補給水、8は循環ポンプ、9は排気フィルター、10は洗浄用循環水、11は循環水レベル調節計、12は排気ガスである。
排気フィルターはチューブ状のフィルターエレメントを含むもののほか、ラッシヒリング、ポールリング等の充填材を充填した充填塔方式のフィルターであってもよい。
軟水は、例えば、砂ろ過器と強酸性陽イオン交換樹脂を用いた軟水器とを含む軟水製造装置によって製造され、補給水7として洗浄用循環水10に補給される。洗浄用循環水10は、循環水レベル調節計11によって一定レベルに保たれ、余剰の水があれば、冷却水と共に燃焼ガスの冷却に用いてもよい。なお、この場合、上記式において冷却水の量Yはこの余剰水の量を含んで調整される。
一例として、上記磁気処理の場合と同様の運転条件でベンチュリースクラバー6及び排気フィルター9の洗浄循環水として約7T/Hの軟水を用い、有機化合物含有アルカリ性排水の噴霧焼却実験を行った。結果は、最も詰まりの懸念されていたベンチュリースクラバーの洗浄水吹き込みノズル、排気フィルターの詰まりもなく2ヶ月安定的に当該設備の運転が可能であった。
噴霧焼却炉において、有機化合物含有アルカリ性排水32(組成はC:8wt%、H:1wt%、O:3wt%、Na:3wt%、H2O:85wt%)を噴霧焼却処理し、ソーダ製品39を得る。ソーダ製品の濃度スペックはNa2CO3+NaHCO3=13±0.5wt%かつNa2CO3=8±2wt%とする。排水32の処理量は11000kg/hとする。燃料33にはプラントよりの副生油である燃料1(組成はC:78wt%、H:9wt%、O:13wt%)と燃料2(組成はC:84wt%、H:8wt%、O:8wt%)を使用し、それぞれの量をF1、F2とする(以後、燃料に関する記号は、本文中で使用した記号の後に添字1、2を付けて表記する)。
燃料33(燃料1と燃料2)の量Fは、排水32の処理量により変動するため、噴霧焼却炉に設置した温度計で焼却ガス35の温度T1を常時監視し、950℃となるようにコントロールバルブで自動制御する。なお、燃料1と燃料2の割合は適宜変動させてもよい。
製品濃度sは式(11)で示される。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
ただし、上記式中、A、B、C、Dは下記のとおりである。
A=1+(T2-T3)×Cpw÷Cw (12)
B=ka−(T1−T2)×(klx×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw (13)
C=−(T1−T2)×(klf×Cpv+k2f×Cpc−k4f×Cpo)÷Cw (14)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw (15)
式(12)〜式(15)に、求め方を後述するCw、Cpwなどの数値を代入すると下記のとおりとなる。
A=1+(T2−T3)×Cpw÷Cw
=1+(T2−T3)×0.00185 (12−2)
(ただし、Cw=2260KJ/kg、Cpw=4.18KJ/kg・℃)
B=ka−(T1−T2)×(k1x×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw
=0.0806−(T1−T2)×0.000913 (13−2)
(ただし、ka=0.0806、k1x=0.94、k2x=0.29、k4x=0.26、Cpv=2.14KJ/kg・℃、Cpc=1.11KJ/kg・℃、Cpo=1.04KJ/kg・℃)
C1=−(T1−T2)×(k1f1×Cpv+k2f1×Cpc−k4f1×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000943 (14−2a)
(ただし、k1f1=0.81、k2f1=2.86、k4f1=2.67)
C2=−(T1−T2)×(k1f2×Cpv+k2f2×Cpc−k4f2×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000906 (14−2b)
(ただし、k1f2=0.72、k2f2=3.08、k4f2=2.80)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000484 (15−2)
(ただし、k3=0.77、k4z=0.23、Cpn=1.11KJ/kg・℃)
式(11)に上記を代入すると製品濃度sは式(18)のとおりである。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
=0.0806×X÷〔{1+(T2−T3)×0.00185}×Y+{0.0806−(T1−T2)×0.000913}×X−(T1−T2)×0.000943×F−(T1−T2)×0.000906×F−(T1−T2)×0.000484×Z)〕(18)
式(18)から、排水32の量Xと、その燃焼に必要な燃料33の量F1、F2(自動制御によるT1を維持するのに必要な量)が決まれば、焼却ガス35の温度T1、焼却排ガス37の送出ラインに設置した温度計で測定した温度T2、冷却水36の供給ラインに設置した温度計で測定した温度T3を用いて、製品濃度sは燃焼用空気34の量Zと冷却水36の量Yで決定することができる。
簡易的に計算する場合は以下の温度を使用し、A、B、C1、C2、Dを定数とすることもできる。
焼却ガス温度T1=950℃(設定値)
焼却排ガス温度T2=93℃(大幅な条件変更が無ければ大きな変動はない。)
冷却水温度T3=20℃(季節により見直す。)
この場合、A、B、C1、C2、Dは下記のとおりとなる。
A=1.135、B=-0.702、C1=-0.808、C2=-0.776、D=-0.415
これを式(18)に代入すると下記のとおりとなる。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z)
=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z) (19)
この場合も、排水32の量Xと、その燃焼に必要な燃料33の量F1、F2(自動制御によるT1を維持するのに必要な量)が決まれば、製品濃度sは燃焼用空気34の量Zと冷却水36の量Yで決定することができる。
燃焼用空気34の量Zが多いとT1を維持するための燃料消費量が多くなることから、噴霧焼却炉の省エネルギーの観点から燃焼用空気34の量Zは少ない方が望ましい。
そのため、式(18)または式(19)においてZを、完全燃焼に必要な空気量Zoに最適空気比δ(通常1.2程度、排水32や燃料33の性状により燃焼性の悪い場合には1.3やそれ以上にすることもある。)を乗じた最適空気量Zδに固定することが好ましい。これによって、製品濃度sがX、F1、F2、Yのみの関数で表され、XとF1、F2が決まれば、Yを調整するだけで所定の製品ソーダ濃度とすることができる。
なお、Zoは次式で計算することができる。
Zo=(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z (20)
したがって、燃焼用空気の最適空気量Zδは下記式で示される。
Zδ=δ×Zo=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z (21)
=1.2×(0.26×X+2.67×F1+2.80×F2)÷0.23
調整は、製品の送出ラインに設置した密度計(密度から製品ソーダ濃度を換算)で常時監視しながら製品のスペックの上下限内となるようにYの量を流量調節バルブを用いて自動(あるいは手動)で調整する。
排水32(あるいは燃料33)の流量や組成を変動させる場合には、事前に変動後のYの最適量を計算し、遅滞なく、流量調節バルブを制御してYの量を調整することでができるようにすることで、濃度変動が現れてからYの量を調整する従来の手法よりも短時間で安定した運転条件にすることが可能となる。
ただし、焼却炉の保護のため、Yの量が必要流量Yo(実施例の焼却炉では20000kg/h)より少なくなる場合には、Y=Yo=20000kg/hに固定して運転する。
これを式(18)または(19)に代入すれば、製品濃度sがX、F1、F2、Zのみの関数で表され、XとF1、F2が決まれば、Zを調整することで所定の製品濃度とすることができる。
この場合にも調整は製品の送出ラインに設置した密度計(密度から製品ソーダ濃度を換算)で常時監視しながら製品ソーダのスペックの上下限内となるように、コントロールバルブを調整してZの量を自動(あるいは手動)で調整する。
大幅に排水32(あるいは燃料33)の流量や組成を変動させる場合には、事前に変動後のZの最適量を計算しておき、遅滞なく、コントロールバルブや送出ブロワーを制御してZの量を調整できるようにすることで、濃度変動が現れてからZの量を調整する従来の手法よりも短時間で安定した運転条件にすることが可能となる。
本実施例において、排水32をX=11000kg/h噴霧焼却処理する場合、通常、燃料33としては燃料1がF1=1360kg/h、燃料2がF2=270kg/h必要である。
この場合に最適空気比δ=1.2で運転し、製品濃度s=13wt%とするためには、燃焼用空気34の最適空気量Zδは下記のようになる。
Zδ=δ×Zo
=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z
= 1.2×(0.26×11000+2.67×1360+2.80×270)÷0.23
= 1.2×31509=37811kg/h
冷却水36の量Yは(19)に上記の数値を入れて計算すると下記のようになる。
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×11000÷(1.135×Y−7722−1099−210−15692)
Y=27791kg/h
次に、排水32をX=6000kg/h噴霧焼却処理する場合、通常、燃料33としては燃料1がF1=1360kg/h、燃料2がF2=90kg/h必要である。
この場合に最適空気比δ=1.2で運転し、製品ソーダ濃度s=13wt%とするためには、燃焼用空気34の最適空気量Zδは下記のとおりとなる。
Zδ=δ×Zo
=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z
= 1.2×(0.26×6000+2.67×1360+2.80×90)÷0.23
= 1.2×23665=28398kg/h
冷却水36の量Yは(19)に数値を入れて計算すると下記のようになる。
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×6000÷(1.135×Y−4212−1099−70−11785)
Y=18483kg/h
このYはYoより少ないため、Y=Yo=20000kg/hとし、燃焼用空気34の量Zを式(19)に基づき、調整する。
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×6000÷(1.135×20000−4212−1099−70−0.415×Z)
Z=32769kg/h
(なおこの場合のδ=Z÷Zo=32769÷23665=1.38)
すなわち、排水32の処理量を6000kg/hに下げたケースでは、冷却水36の量を20000kg/hと固定し、燃焼用空気34を通常の最適空気比より高い1.38に上げることで、製品ソーダ濃度sをスペックである13wt%に維持する。
各係数の計算
各係数は以下のようにして求めることができる。
製品には炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが含まれているが、その濃度スペックはNa2CO3+NaHCO3が13±0.5wt%かつNa2CO3が8±2wt%である。製品濃度に大幅な変動がなければ、その重量比率はほぼ一定であり、炭酸ナトリウム8:炭酸水素ナトリウム5の比率となる。そのため、それぞれの分子量から製品ソーダ量aを得るための係数kaを計算すると、ka=2.686×(Na濃度)で表され、Naを3wt%含む排水32の場合はka=0.0806となる。よって生成される製品量a=0.0806×Xで表される。
本実施例での排水32と燃料33(燃料1と燃料2)の組成により決まる係数等は、燃焼化学式と分子量より計算する。なお、運転条件の変更時(あるいは定期的)には性状、組成を分析し、最適運転ができるように制御に用いる係数の見直しを実施する。
排水32の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので、係数k1x=0.94である。
0.85×X+(0.01×18/2)×X=0.94×X
排水32の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので、係数k2x=0.29である。 (0.08×44/12)×X=0.29×X
排水32の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので、係数k4x=0.26である。
(0.01×16/2+0.08×32/12−0.03)×X=0.26×X
燃料1の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので係数k1f1=0.81である。 (0.09×18/2)×F1=0.81×F1
燃料1の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので係数k2f1=2.86である。
(0.78×44/12)×F1=2.86×F1
燃料1の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので係数k4f1=2.67である。
(0.09×16/2+0.78×32/12−0.13)×F1=2.67×F1
燃料2の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので係数k1f2=0.72である。
(0.08×18/2)×F1=0.72×F2
燃料2の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので係数k2f2=3.08である。
(0.84×44/12)×F1=3.08×F2
燃料2の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので係数k4f2=2.80である。
(0.08×16/2+0.84×32/12−0.08)×F2=2.80×F2
燃焼用空気34に含まれるN2は空気の組成(0.77×Z)より、その係数k3=0.77である。
燃焼用空気に含まれるO2は空気の組成(0.23×Z)より、その係数k4z=0.23である。
水の潜熱と平均比熱は以下を用いる。
水の潜熱:Cw=2260KJ/kg
水の平均比熱:Cpw=4.18KJ/kg・℃
これらの物性値には、対象となる温度範囲で最適となる数値を文献やデータベースより入手、あるいは最適な数値がない場合には入手できる数値の比例配分、平均化等を実施し最適となるように計算した数値を用いる。
ガスの比熱は焼却ガス35の温度T1と焼却排ガス37の温度T2での平均比熱を文献より求め以下とした。
水蒸気の平均比熱:Cpv=2.14KJ/kg・℃
CO2の平均比熱:Cpc=1.11KJ/kg・℃
N2の平均比熱:Cpn=1.11KJ/kg・℃
O2の平均比熱:Cpo=1.04KJ/kg・℃
これらの物性値には、対象となる温度範囲で最適となる数値を文献やデータベースより入手、あるいは最適な数値がない場合には入手できる数値の比例配分、平均化等を実施し最適となるように計算した数値を用いる。
本発明の方法によれば、化学工場等から排出されるアルカリ性排水に含まれるアルカリ金属塩を炭酸アルカリ金属塩として回収し、その有効利用を図ることができる。また、炭酸アルカリ金属塩の濃度を特定範囲とするための水による希釈または濃縮のための設備を必要とせず、冷却水の量と燃焼用空気の量の2つ量をコントロールすることにより、所望の濃度の炭酸アルカリ金属塩が得られる。
本発明の排水処理プロセスの一例を示すフロー図である。 本発明の排水処理プロセスの一例を示すフロー図である。
符号の説明
1 噴霧焼却炉
2 有機化合物含有アルカリ性排水
3 燃料
4 燃焼用空気
5 冷却水
6 ベンチュリースクラバー
7 補給水
8 循環ポンプ
9 排気フィルター
10 洗浄用循環水
11 循環水レベル調節計
12 排気ガス
13 粗固形分分離ピット
14 磁気処理装置
15 ポンプ
16 レベル計
17 調節弁
18 中間タンク
19 ポンプ
20 懸濁微固形分除去装置
21 微固形分
22 ソーダ製品

Claims (5)

  1. (1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
    第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
    (a)運転管理目標値の上限値より高い場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、
    (b−1)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却水注入量が必要最低量より多い場合は、冷却水注入量を減少させ、
    (b−2)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却注入量が必要最低量である場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法。
  2. (1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
    第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
    (a)運転管理目標値の下限値より低い場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、
    (b−1)運転管理目標値の上限値より高い場合であって、第1工程の燃焼用空気量が最適空気量より多い場合は、燃焼用空気量を減少させ、
    (b−2)運転管理目標値の上限値より高い場合であって、第1工程の燃焼用空気量が最適空気量である場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法。
  3. 前記第3工程と第4工程の間に、微固形分懸濁アルカリ性水の磁気処理工程をさらに含む請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2工程の焼却排ガスを洗浄及びろ過して排出する工程を含み、洗浄にはベンチュリースクラバーが、ろ過には排気フィルターが用いられ、ベンチュリースクラバー及び排気フィルターの洗浄水として軟水が用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 噴霧焼却炉、噴霧焼却炉に有機化合物含有アルカリ性排水を供給する排水供給路、燃料を供給する燃料供給路及び燃焼用空気を供給する空気供給路、焼却ガスに冷却水を供給する冷却水供給路、炭酸アルカリ金属塩濃度の指標を検出できる手段、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように冷却水の供給量を調節する冷却水調節系、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように燃焼用空気の供給量を調節する空気調節系、及び密度計により検出した炭酸アルカリ金属塩の濃度に基づき、冷却水調節系及び空気調節系におけるそれぞれの供給量の必要な増減量を算出し、冷却水調節系及び空気調節系を制御する制御系を含む炭酸アルカリ金属塩製造システム。
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