JP4555009B2 - 炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法及びその製造システム - Google Patents
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Description
しかしながら、この溶液中の炭酸塩の濃度は、焼却する排水の量、および排水に含まれるアルカリ金属塩の濃度に依存して変動する。また、有機化合物が燃焼して水を生成するので排水中の有機化合物の量によっても、また、供給される冷却水の量によっても変動する。さらに、焼却条件によって冷却水の蒸発量が変動するなどの要因によっても変動する。
排水の有効利用の観点からは、焼却により得られた炭酸アルカリ金属塩水溶液を再利用すること、または製品として使用することが好ましい。このような場合、炭酸アルカリ金属塩の濃度をその用途等により、特定の濃度とすることが要求されることがある。
炭酸アルカリ金属塩の濃度を特定範囲とするためには、一般に得られた炭酸アルカリ金属塩水溶液をさらに水で希釈するか、または濃縮する方法が採られているが、希釈または濃縮の工程が必要になる。また、濃度調整のため冷却水量を変えることを開示するものもあるが(例えば特許文献1参照)、冷却水量の変動のみでは、広い範囲の製品濃度を調整することはできない。
すなわち、本発明は、(1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
(a)運転管理目標値の上限値より高い場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、
(b−1)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却水注入量が必要最低量より多い場合は、冷却水注入量を減少させ、
(b−2)第2工程の冷却注入量が必要最低量である場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法である。
アルカリ金属塩を含む有機化合物含有アルカリ性排水32は、噴霧焼却炉31に設けられた排水スプレーノズルから噴霧焼却炉31内に噴霧される。排水中の有機化合物の燃焼及び燃料の燃焼に必要な量の燃焼用空気34の一部は一次エアーとして、燃料33と共に焼却炉31に設けられた燃料バーナに供給され、残りは二次エアーとして炉内に直接供給される。燃料バーナの火焔温度は極めて高温であり、この火焔にむかって排水32を噴霧することにより、排水32中の水は急速に蒸発し、有機化合物は燃焼し、また、燃焼により生成した水も蒸発する。通常はアルカリ金属塩も燃焼し、燃焼酸化物が生成する。
焼却ガス35に含まれるアルカリ金属酸化物と一部のCO2は冷却水36に溶解し、炭酸アルカリ金属塩を含有する焼却排水38となる。ガス35は冷却水36と熱交換し、冷却水の一部を蒸発させ、この水蒸気を伴って焼却排ガス37として排出される。炭酸アルカリ金属塩を吸収した冷却水である焼却排水38は、粗固形分を沈降分離した後、フィルタープレス等の懸濁微固形分除去装置によって、微小な固形分を除去して、ソーダ製品39として再利用される。
なお、燃焼用空気は上記したとおり、一般的には、一次エアーと二次エアーとがあるが、図1では合わせて燃焼用空気34(量Z)として表示している。
燃料としては通常、重油やプラント廃油等が用いられ、炉内燃焼温度は特に限定されないが、930−950度程度である。
噴霧焼却炉31の内面は、キャスターや耐火煉瓦等の耐火材で覆われており、アルミナ、シリカなどが含まれている。冷却水としては通常、工業用水が使用されている。
この場合、ソーダ製品39の濃度sは下記式によって示される。
s=a÷W=a÷(a+Ww) (1)
ここで、aは製品ソーダの量、Wはソーダ製品39の量、Wwはソーダ製品39中の水分量である。
上記式(1)中、製品ソーダの量aは、排水32の組成及び処理量により変動し、下記式(2)により示される。
a=ka×X (2)
ここで、kaは製品ソーダ量aを得るための係数であり、排水32中の組成に基づき計算される。Xは排水32の量である。複数の排水を同時に処理する場合は、それぞれをX1、X2…とし、以後の計算式、係数も同様に増やして計算する。
Ww=Y−Yv (3)
Yv=(Q1+Q2+Q3+Q4+…−Q0)÷Cw (4)
焼却ガス35の主な成分は、水蒸気、炭酸ガス、窒素、酸素であり、これらの顕熱を求める計算式は、下記のとおりである。なお、焼却ガス35中のその他の気体の顕熱量が多い場合には、下記と同様に考慮して式(4)中に含める。また排水32中に含まれるNa等の金属塩の濃度が高く、その燃焼酸化物の顕熱や、水への溶解熱が無視できない場合にも、同様の考慮を行う。
Q1=(k1x×X+k1f×F)×(T1−T2)×Cpv (5)
ここで、k1x×Xは排水32からの水蒸気量、k1f×Fは燃料33からの水蒸気量を示す。
k1xは、排水32の燃焼後の水蒸気量、すなわち、排水32中に含まれる水と、有機化合物などの可燃分bに含まれる水素分との燃焼により生成される水蒸気量を求める係数であり、排水32の組成に基づき計算される。排水32の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k1fは、燃料33中に含まれる水素分の燃焼により生成される水蒸気量を決める係数であり、燃料33の組成に基づき計算される。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは燃料33の量である。複数の燃料を同時に使用する場合には、それぞれをF1、F2…とし、以後の計算式、係数も同様に増やして計算する。
T1は焼却ガス35の温度であり、T2は焼却ガス35が熱交換した後の焼却排ガス37の温度である。これは焼却排水38の温度と等しい。
CpvはT1〜T2での水蒸気の平均比熱である。
Q2=(k2x×X+k2f×F)×(T1−T2)×Cpc (6)
ここで、k2x×Xは排水32からのCO2量、k2f×Fは燃料33からのCO2量を示す。
k2xは、排水32の燃焼後のCO2量、すなわち、排水32中に含まれる可燃分bに含まれる炭素分の燃焼により生成されるCO2量を求める係数であり、排水32の組成に基づき計算される。排水32の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k2fは、燃料33中に含まれる炭素分の燃焼により生成されるCO2量を求める係数であり、燃料33の組成に基づき計算される。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは先に述べたとおり、燃料33の量である。
T1およびT2も先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpcはT1〜T2でのCO2の平均比熱である。
Q3=(k3×Z)×(T1−T2)×Cpn (7)
k3×Zは燃焼用空気34からのN2量を示す。
k3は、燃焼用空気34中のN2量を決める係数であり、供給した燃焼用空気34中のN2の比率から計算される。
Zは燃焼用空気34の量である。
T1およびT2は先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpnはT1〜T2でのN2の平均比熱である。
Q4=(k4z×Z−k4x×X−k4f×F)×(T1−T2)×Cpo (8)
k4z×Z−k4x×X−k4f×Fは燃焼用空気34からのO2量を示す。
k4zは、燃焼用空気34中のO2量を決める係数であり、供給した燃焼用空気34中のO2の比率から計算される。
Zは先に述べたとおり、燃焼用空気34の量である。
k4xは排水32の燃焼のために使用されるO2量を決める係数であり、排水32中に含まれる可燃分bの組成から完全燃焼に必要なO2量を計算して求める。排水32の組成の大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Xは先に述べたとおり、排水32の量である。
k4fは燃料33の燃焼のために使用されるO2量を決める係数であり、燃料33の組成から完全燃焼に必要なO2量を計算して求める。燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
Fは先に述べたとおり、燃料33の量である。
T1およびT2は先に述べたとおり、それぞれ、焼却ガス35の温度、焼却排ガス37の温度である。
CpoはT1〜T2でのO2の平均比熱である。
Q0=Y×(T2-T3)×Cpw (9)
Yは先に述べたとおり、冷却水36の量であり、T2も先に述べたとおり、焼却排ガス37の温度である。
T3は冷却水37の温度である。
CpwはT2〜T3での水の平均比熱である。
s=a÷W=a÷(a+Ww)=a÷(a+Y−Yv)
=ka×X÷(ka×X+Y−(Q1+Q2+Q3+Q4−Q0)÷Cw) (10)
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
ただし、上記式中、A、B、C、Dは下記のとおりに置いた。
A=1+(T2-T3)×Cpw÷Cw (12)
B=ka−(T1−T2)×(klx×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw (13)
C=−(T1−T2)×(klf×Cpv+k2f×Cpc−k4f×Cpo)÷Cw (14)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw (15)
また、ka、X、Y、F、Zは先に述べたとおり、それぞれ、製品ソーダの量を得るための係数、排水32の量、冷却水36の量、燃料33の量、燃焼用空気34の量である。
また、式(15)のZ(燃焼用空気の量)の係数であるDは常に負であり、したがって、燃焼用空気34の量Zを変動させることによっても、他の種々の係数とは独立してソーダ製品39の濃度sを調整することができる。
ただし、冷却水36については、缶体40の保護のために供給必要な最低量Y0以上の量は供給しなければならず、また、燃焼用空気34についても、排水32中の可燃分bと、燃料Fを完全燃焼させるのに必要な空気量Z0に最適空気比δを掛けた最適空気量Zδ以上の量は供給しなければならない。
Y0は、化学工場などのプラントごとに決められる値であり、通常、炉の製作メーカーにより指定される。
Z0は、排水32に含まれる可燃分bの組成及び燃料33の組成から求めた完全燃焼に必要なO2量と、供給した燃焼用空気34中のO2の比率から求めることができ、Z0=(k4x×X+k4f×F)÷k4zとして計算できる。排水32及び燃料33の組成に大幅な変動がなければ、代表的な組成から求めた値で代用してもよい。
通常、化学工場などのプラントではZδ=δ×Z0(δは最適空気比、Z0は上記の計算値)として、δ=1.2程度で最適空気量Zδを設定する。ただし、燃料や有機化合物含有アルカリ性排水の燃焼性が悪い場合などは1.3あるいはそれ以上で燃焼が最適になる場合もある。最適空気比であることは焼却ガスまたは焼却排ガスの残存O2濃度を監視することで確認できる。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
=α/(A×Y+β) (16)
(ただし、α=ka×X、β=B×X+C×F+D×Zであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Aは正の数値である。)
であるから、sがSHとなるように、Y(冷却水36の量)の値を増加させて運転条件を決定すればよい。
すでにYがY0よりも小さい場合、またYをY0まで減少させてもs<SLの場合は、YをY0に固定し、
s=α/(γ+D×Z) (17)
(ただし、αは上記と同じ、γ=A×Y+B×X+C×Fであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Dは負の数値である。)
から、sがSLになるように燃焼用空気34の量Zの値を増加させ、運転条件を決定すればよい。
なお、排水32の濃度、量が変動する場合は、予め、排水32の組成等を分析し、各定数を基に製造条件を設定しておけばよい。
s=α/(γ+D×Z) (17)
(ただし、αは上記と同じ、γ=A×Y+B×X+C×Fであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Dは負の数値である。)
から、sがSLになるように燃焼用空気34の量Zの値を増加させ、運転条件を決定すればよい。
すでにZがZδ未満の場合、またZをZδまで減少させてもs>SHの場合は、ZをZδに固定し、
s=α/(A×Y+β) (16)
(ただし、α=ka×X、β=B×X+C×F+D×Zであり、いずれも運転条件から予め求めた定数である。Aは正の数値である。)
から、sがSHとなるように、Y(冷却水36の量)の値を増加させて運転条件を決定すればよい。
なお、排水32の濃度、量が変動する場合は、予め、排水32の組成等を分析し、各定数を基に製造条件を設定しておけばよい。
上記システムはさらに好ましくは焼却ガスの温度T1、焼却排ガスの温度T2、冷却水の温度T3をそれぞれ測定する温度計を備える。制御系は、好ましくは、測定した焼却温度T1に基づき供給する燃料の増減量を算出し、これに基づき流量調節バルブ等の流量調整装置を含む燃料調節系を制御する。
先に述べたとおり、冷却水としては通常、工業用水が使用される。工業用水にはカルシウムイオンがふくまれる。このカルシウムイオンは焼却ガス中の炭酸ガスと反応して難溶性の炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を生成する。また、噴霧焼却に際して焼却炉の耐火物が一部損傷し、耐火物の成分が焼却ガスに同伴することがある。また、燃焼により発生した灰分も焼却ガスに同伴する。
これらの難溶性成分は第3工程において粗固形分として焼却炉下に設けたピットや粗固形分分離ピット等によって分離されるが、粗固形分分離後もその上澄み中には微細な固形分が含まれる。このため、第4工程において、フィルタープレス等を用いて懸濁微固形分を除去する。
ところが、この第4工程への移送中に、沈殿するに至らなかった難溶性成分がクラスターを形成し、配管、ポンプ、調節弁等の排水ラインに沈着することがある。
このため、第3工程と第4工程の間に磁気処理工程を挟むことができる。
磁気処理装置14は、例えば、第3工程と第4工程を繋ぐポンプのサンクション配管等に多数の磁石巻きつけるように取り付けたものである。
強力な磁気処理により焼却排水中のクラスターが破壊され、難溶性の炭酸カルシウムや耐火物屑などが配管に沈着しにくくなり、また破壊されたクラスターはフィルタープレス等の懸濁微固形分除去装置により有利に除去され、純度の高いソーダ製品を提供できる。
磁気処理装置14としてネオジウム磁石約100個をポンプ15のサクション部分の3B配管に巻きつけ固定した。冷却水として工業用水を約30T/H用い、約13T/Hの有機化合物含有アルカリ性排水を930−950度で噴霧焼却した。焼却炉の耐火物屑や炭酸カルシウム等の粗固形分を沈殿処理した後、フィルタープレスを用いて懸濁微固形分を分離して濃度約15%の炭酸ナトリウム水溶液を得た。この運転を約4ヶ月継続した後、ポンプ15から中間タンク18までの配管を開放点検したところ、配管内面には2〜3mm程度の硬いスケールは付着していたが、磁気処理装置の取り付け前に見られたような耐火物の屑を取り込んだ軟らかいスケールによる配管のつまりは見られなかった。さらに5ヶ月継続して同様の運転を続けたが、配管の詰まりもなく、安定的に排水の送液ができ、また、純度の高いソーダ製品を提供できた。
なお、冷却水として軟水を用いて炭酸カルシウムの生成を防止することもできる。
この洗浄水としてカルシウムイオンを含む硬水を用いると、焼却排ガス中に含まれる炭酸成分と反応して難溶性の炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム等を形成してベンチュリースクラバーや排気フィルターの詰まりの原因となる。そこで、これらの洗浄水として軟水を用いることにより上記の詰まりの問題を解決する。
排気フィルターはチューブ状のフィルターエレメントを含むもののほか、ラッシヒリング、ポールリング等の充填材を充填した充填塔方式のフィルターであってもよい。
軟水は、例えば、砂ろ過器と強酸性陽イオン交換樹脂を用いた軟水器とを含む軟水製造装置によって製造され、補給水7として洗浄用循環水10に補給される。洗浄用循環水10は、循環水レベル調節計11によって一定レベルに保たれ、余剰の水があれば、冷却水と共に燃焼ガスの冷却に用いてもよい。なお、この場合、上記式において冷却水の量Yはこの余剰水の量を含んで調整される。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
ただし、上記式中、A、B、C、Dは下記のとおりである。
A=1+(T2-T3)×Cpw÷Cw (12)
B=ka−(T1−T2)×(klx×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw (13)
C=−(T1−T2)×(klf×Cpv+k2f×Cpc−k4f×Cpo)÷Cw (14)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw (15)
A=1+(T2−T3)×Cpw÷Cw
=1+(T2−T3)×0.00185 (12−2)
(ただし、Cw=2260KJ/kg、Cpw=4.18KJ/kg・℃)
B=ka−(T1−T2)×(k1x×Cpv+k2x×Cpc−k4x×Cpo)÷Cw
=0.0806−(T1−T2)×0.000913 (13−2)
(ただし、ka=0.0806、k1x=0.94、k2x=0.29、k4x=0.26、Cpv=2.14KJ/kg・℃、Cpc=1.11KJ/kg・℃、Cpo=1.04KJ/kg・℃)
C1=−(T1−T2)×(k1f1×Cpv+k2f1×Cpc−k4f1×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000943 (14−2a)
(ただし、k1f1=0.81、k2f1=2.86、k4f1=2.67)
C2=−(T1−T2)×(k1f2×Cpv+k2f2×Cpc−k4f2×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000906 (14−2b)
(ただし、k1f2=0.72、k2f2=3.08、k4f2=2.80)
D=−(T1−T2)×(k3×Cpn+k4z×Cpo)÷Cw
=−(T1−T2)×0.000484 (15−2)
(ただし、k3=0.77、k4z=0.23、Cpn=1.11KJ/kg・℃)
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z) (11)
=0.0806×X÷〔{1+(T2−T3)×0.00185}×Y+{0.0806−(T1−T2)×0.000913}×X−(T1−T2)×0.000943×F−(T1−T2)×0.000906×F−(T1−T2)×0.000484×Z)〕(18)
焼却ガス温度T1=950℃(設定値)
焼却排ガス温度T2=93℃(大幅な条件変更が無ければ大きな変動はない。)
冷却水温度T3=20℃(季節により見直す。)
A=1.135、B=-0.702、C1=-0.808、C2=-0.776、D=-0.415
これを式(18)に代入すると下記のとおりとなる。
s=ka×X÷(A×Y+B×X+C×F+D×Z)
=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z) (19)
そのため、式(18)または式(19)においてZを、完全燃焼に必要な空気量Zoに最適空気比δ(通常1.2程度、排水32や燃料33の性状により燃焼性の悪い場合には1.3やそれ以上にすることもある。)を乗じた最適空気量Zδに固定することが好ましい。これによって、製品濃度sがX、F1、F2、Yのみの関数で表され、XとF1、F2が決まれば、Yを調整するだけで所定の製品ソーダ濃度とすることができる。
Zo=(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z (20)
したがって、燃焼用空気の最適空気量Zδは下記式で示される。
Zδ=δ×Zo=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z (21)
=1.2×(0.26×X+2.67×F1+2.80×F2)÷0.23
排水32(あるいは燃料33)の流量や組成を変動させる場合には、事前に変動後のYの最適量を計算し、遅滞なく、流量調節バルブを制御してYの量を調整することでができるようにすることで、濃度変動が現れてからYの量を調整する従来の手法よりも短時間で安定した運転条件にすることが可能となる。
これを式(18)または(19)に代入すれば、製品濃度sがX、F1、F2、Zのみの関数で表され、XとF1、F2が決まれば、Zを調整することで所定の製品濃度とすることができる。
この場合にも調整は製品の送出ラインに設置した密度計(密度から製品ソーダ濃度を換算)で常時監視しながら製品ソーダのスペックの上下限内となるように、コントロールバルブを調整してZの量を自動(あるいは手動)で調整する。
大幅に排水32(あるいは燃料33)の流量や組成を変動させる場合には、事前に変動後のZの最適量を計算しておき、遅滞なく、コントロールバルブや送出ブロワーを制御してZの量を調整できるようにすることで、濃度変動が現れてからZの量を調整する従来の手法よりも短時間で安定した運転条件にすることが可能となる。
この場合に最適空気比δ=1.2で運転し、製品濃度s=13wt%とするためには、燃焼用空気34の最適空気量Zδは下記のようになる。
Zδ=δ×Zo
=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z
= 1.2×(0.26×11000+2.67×1360+2.80×270)÷0.23
= 1.2×31509=37811kg/h
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×11000÷(1.135×Y−7722−1099−210−15692)
Y=27791kg/h
この場合に最適空気比δ=1.2で運転し、製品ソーダ濃度s=13wt%とするためには、燃焼用空気34の最適空気量Zδは下記のとおりとなる。
Zδ=δ×Zo
=δ×(k4x×X+k4f1×F1+k4f2×F2)÷k4z
= 1.2×(0.26×6000+2.67×1360+2.80×90)÷0.23
= 1.2×23665=28398kg/h
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×6000÷(1.135×Y−4212−1099−70−11785)
Y=18483kg/h
このYはYoより少ないため、Y=Yo=20000kg/hとし、燃焼用空気34の量Zを式(19)に基づき、調整する。
s=0.0806×X÷(1.135×Y−0.702×X−0.808×F1−0.776×F2−0.415×Z)
0.13=0.0806×6000÷(1.135×20000−4212−1099−70−0.415×Z)
Z=32769kg/h
(なおこの場合のδ=Z÷Zo=32769÷23665=1.38)
すなわち、排水32の処理量を6000kg/hに下げたケースでは、冷却水36の量を20000kg/hと固定し、燃焼用空気34を通常の最適空気比より高い1.38に上げることで、製品ソーダ濃度sをスペックである13wt%に維持する。
各係数は以下のようにして求めることができる。
製品には炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが含まれているが、その濃度スペックはNa2CO3+NaHCO3が13±0.5wt%かつNa2CO3が8±2wt%である。製品濃度に大幅な変動がなければ、その重量比率はほぼ一定であり、炭酸ナトリウム8:炭酸水素ナトリウム5の比率となる。そのため、それぞれの分子量から製品ソーダ量aを得るための係数kaを計算すると、ka=2.686×(Na濃度)で表され、Naを3wt%含む排水32の場合はka=0.0806となる。よって生成される製品量a=0.0806×Xで表される。
排水32の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので、係数k1x=0.94である。
0.85×X+(0.01×18/2)×X=0.94×X
排水32の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので、係数k2x=0.29である。 (0.08×44/12)×X=0.29×X
排水32の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので、係数k4x=0.26である。
(0.01×16/2+0.08×32/12−0.03)×X=0.26×X
燃料1の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので係数k1f1=0.81である。 (0.09×18/2)×F1=0.81×F1
燃料1の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので係数k2f1=2.86である。
(0.78×44/12)×F1=2.86×F1
燃料1の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので係数k4f1=2.67である。
(0.09×16/2+0.78×32/12−0.13)×F1=2.67×F1
燃料2の燃焼により生成される水蒸気は下記式で示されるので係数k1f2=0.72である。
(0.08×18/2)×F1=0.72×F2
燃料2の燃焼により生成されるCO2は下記式で示されるので係数k2f2=3.08である。
(0.84×44/12)×F1=3.08×F2
燃料2の燃焼のために供給必要なO2は下記式で示されるので係数k4f2=2.80である。
(0.08×16/2+0.84×32/12−0.08)×F2=2.80×F2
燃焼用空気34に含まれるN2は空気の組成(0.77×Z)より、その係数k3=0.77である。
燃焼用空気に含まれるO2は空気の組成(0.23×Z)より、その係数k4z=0.23である。
水の潜熱:Cw=2260KJ/kg
水の平均比熱:Cpw=4.18KJ/kg・℃
これらの物性値には、対象となる温度範囲で最適となる数値を文献やデータベースより入手、あるいは最適な数値がない場合には入手できる数値の比例配分、平均化等を実施し最適となるように計算した数値を用いる。
水蒸気の平均比熱:Cpv=2.14KJ/kg・℃
CO2の平均比熱:Cpc=1.11KJ/kg・℃
N2の平均比熱:Cpn=1.11KJ/kg・℃
O2の平均比熱:Cpo=1.04KJ/kg・℃
これらの物性値には、対象となる温度範囲で最適となる数値を文献やデータベースより入手、あるいは最適な数値がない場合には入手できる数値の比例配分、平均化等を実施し最適となるように計算した数値を用いる。
2 有機化合物含有アルカリ性排水
3 燃料
4 燃焼用空気
5 冷却水
6 ベンチュリースクラバー
7 補給水
8 循環ポンプ
9 排気フィルター
10 洗浄用循環水
11 循環水レベル調節計
12 排気ガス
13 粗固形分分離ピット
14 磁気処理装置
15 ポンプ
16 レベル計
17 調節弁
18 中間タンク
19 ポンプ
20 懸濁微固形分除去装置
21 微固形分
22 ソーダ製品
Claims (5)
- (1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
(a)運転管理目標値の上限値より高い場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、
(b−1)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却水注入量が必要最低量より多い場合は、冷却水注入量を減少させ、
(b−2)運転管理目標値の下限値より低い場合であって、第2工程の冷却注入量が必要最低量である場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法。 - (1)有機化合物含有アルカリ性排水を燃料および燃焼用空気と共に噴霧焼却し、焼却ガスを得る第1工程、(2)焼却ガスに冷却水を注入し、固形分および水溶性成分を水相に、焼却排ガスを気相に分離する第2工程、(3)水相中の固形分中の粗固形分を沈降分離して、微固形分懸濁アルカリ性水を得、次工程に移送する第3工程、(4)移送された微固形分懸濁アルカリ性水中の懸濁微固形分を除去し、炭酸アルカリ金属塩を得る第4工程を含み、
第4工程において測定された炭酸アルカリ金属塩濃度が
(a)運転管理目標値の下限値より低い場合は、第1工程の燃焼用空気量を増加させ、
(b−1)運転管理目標値の上限値より高い場合であって、第1工程の燃焼用空気量が最適空気量より多い場合は、燃焼用空気量を減少させ、
(b−2)運転管理目標値の上限値より高い場合であって、第1工程の燃焼用空気量が最適空気量である場合は、第2工程の冷却水注入量を増加させ、炭酸アルカリ金属塩濃度を運転管理目標値に制御する、炭酸アルカリ金属塩水溶液の製造方法。 - 前記第3工程と第4工程の間に、微固形分懸濁アルカリ性水の磁気処理工程をさらに含む請求項1または2に記載の方法。
- 前記第2工程の焼却排ガスを洗浄及びろ過して排出する工程を含み、洗浄にはベンチュリースクラバーが、ろ過には排気フィルターが用いられ、ベンチュリースクラバー及び排気フィルターの洗浄水として軟水が用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 噴霧焼却炉、噴霧焼却炉に有機化合物含有アルカリ性排水を供給する排水供給路、燃料を供給する燃料供給路及び燃焼用空気を供給する空気供給路、焼却ガスに冷却水を供給する冷却水供給路、炭酸アルカリ金属塩濃度の指標を検出できる手段、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように冷却水の供給量を調節する冷却水調節系、炭酸アルカリ金属塩の濃度が目標値となるように燃焼用空気の供給量を調節する空気調節系、及び密度計により検出した炭酸アルカリ金属塩の濃度に基づき、冷却水調節系及び空気調節系におけるそれぞれの供給量の必要な増減量を算出し、冷却水調節系及び空気調節系を制御する制御系を含む炭酸アルカリ金属塩製造システム。
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