JP4725224B2 - クリンカーの生成防止方法 - Google Patents

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Description

本発明はクリンカーの生成防止方法に係り、特に廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉(特にガス化溶融炉)、廃棄物発電施設の排ガスライン、とりわけ、熱交換部(廃熱ボイラ、スーパーヒーター、空気予熱器)等における付着物(以下「クリンカー」と称す。)を低減して、当該熱交換部等における腐食や閉塞、伝熱阻害を抑制するためのクリンカーの生成防止方法に関するものである。
廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉(特にガス化溶融炉)、廃棄物発電施設(廃プラスチック、シュレッダー、廃タイヤ等の廃棄物、RDF/RPF等のゴミ固形燃料又はバイオマス発電等の廃棄物由来の燃料による発電施設)の排ガスライン、特に、これらの熱交換部(廃熱ボイラ、スーパーヒーター、空気予熱器)においては、排ガス中の成分に由来するクリンカーが付着、成長して堆積することにより、様々な障害をもたらす。
このクリンカーの付着現象は、廃棄物由来の成分と燃焼助剤の成分などが反応して周辺温度よりも融点の低い化合物が生成し、この化合物が溶融してボイラや配管の内壁に溶着し、これが成長することによるものであり、付着したクリンカーにより、熱交換部の伝熱阻害(熱交換効率低下)、配管腐食、配管閉塞といった、安定運転を阻害する種々の障害を引き起こす。このうち、熱交換部のクリンカーは、主に排ガス中のSO、特にSOが酸化されてSO、SOになることにより、融点300〜500℃付近の硫酸系化合物(芒硝、石膏など)が熱交換部で溶融して溶着することによるものと考えられる。
この問題に対して、従来、廃棄物焼却施設などでは、定期的に運転を停止して、ボイラ内などに作業員が入ってクリンカーを剥離除去する清掃作業を行っている。しかし、この作業には多大な労力と時間を要する上に、運転を停止することによる熱回収効率の低下の問題もあり、また、このような清掃を行っても、経時による配管腐食を防止し得ない場合もあった。
また、特開平5−118523号公報等には排ガス成分の溶融、溶着を防止するために、水噴霧、空冷壁、水冷壁などにより周辺温度を下げる方法が開示されているが、このような冷却処理は、特に廃熱ボイラなどの熱交換部においては熱回収率の低下を招き、好ましくない。
なお、石炭ボイラ、石油コークスボイラ等の化石燃料による発電施設においては、燃料に、クリンカー付着防止のための添加剤の所定量を添加することにより、クリンカーの剥離、腐食低減などの効果が得られることが確認されているが、単にクリンカー生成防止のための添加剤を定量添加するのみでは、廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉(特にガス化溶融炉)、廃棄物発電設備の特に熱交換部(廃熱ボイラ、スーパーヒーター、空気予熱器)等においては、十分かつ確実なクリンカー生成防止効果を得ることはできない。これは、廃棄物焼却施設などにおいては焼却、溶融される原料(廃棄物)の性状が化石燃料と比較して不均一で、また変動が激しいため、クリンカーを形成する硫酸系化合物の原料であるSOやクリンカーの融点に影響すると思われるCa、Si成分などの量が変動するため、クリンカーそのものの性状が変動していることが原因であると考えられる。
特開2003−106507号公報には、薬剤を焼却原料である廃棄物に添加することでクリンカーの発生を抑制することが開示されているが、上記理由により、この方法では、十分な付着抑制効果が得られない。
特開平5−118523号公報 特開2003−106507号公報
本発明は、上記従来の問題点を解決し、廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉(特にガス化溶融炉)、廃棄物発電施設の排ガスライン、特に、これらの熱交換部(廃熱ボイラ、スーパーヒーター、空気予熱器)等におけるクリンカーの付着を確実に防止する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、排ガス中の煤塵由来の又は排ガス中の総硫酸系化合物量を算出し、この総硫酸系化合物量分の硫酸系化合物の全量がクリンカーとなると仮定し、この総硫酸系化合物量に見合う量のクリンカー低減剤を添加することにより、クリンカーの生成を確実に防止することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明(請求項1)のクリンカーの生成防止方法は、廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉又は廃棄物発電施設において、クリンカー低減剤を添加してクリンカーの生成を防止する方法であって、クリンカーの生成防止対象箇所より上流側の排ガス量と、該排ガスの煤塵濃度と、該煤塵の硫酸系化合物含有量とから、該排ガス中の煤塵由来の総硫酸系化合物量を算出し、算出された総硫酸系化合物量に対して、前記クリンカー低減剤の酸化物換算の有効成分モル比が1.0以上となるように、前記クリンカー低減剤を添加することを特徴とする
求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項1において、前記クリンカー低減剤が高融点粒子、その分散液又はその水溶液を含むことを特徴とする。
請求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項において、前記高融点粒子が、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、カルシウム化合物、及びアルミニウム化合物の1種又は2種以上を含むことを特徴とする。
請求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカー低減剤を、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側の煙道に添加することを特徴とする。
請求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカー低減剤を間欠的又は連続的に添加することを特徴とする。
請求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカーの生成防止対象箇所に付着したクリンカーを物理的剥離手段により除去することを特徴とする。
請求項のクリンカーの生成防止方法は、請求項において、前記物理的剥離手段がスートブローであることを特徴とする。
なお、以下において、本発明の方法に従って、算出された総硫酸系化合物量に対するクリンカー低減剤の有効成分の酸化物換算のモル比を「対S薬注モル比」と称す。
本発明によれば、クリンカー低減剤の適正な薬注制御を行うことができ、この結果、燃焼原料である廃棄物の性状の変動が激しく、この結果、生成するクリンカーの性状変動も大きい廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉(特にガス化溶融炉)、廃棄物発電施設におけるクリンカーの生成を確実に防止することができ、特に熱交換部伝熱面における伝熱阻害、基材腐食の抑制、及び灰分の付着によるプラント内の閉塞防止が図れ、長期に亘り安定した設備の運転を継続することが可能となる。
本発明において、クリンカー低減剤としては、高融点粒子、その分散液又はその水溶液を含むものが好ましく(請求項)、高融点粒子としては、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、カルシウム化合物、及びアルミニウム化合物の1種又は2種以上が挙げられる(請求項)。
このようなクリンカー低減剤は、その添加効果を有効に発揮し得る、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側の煙道に添加することが好ましく(請求項)、これにより、クリンカーの生成防止対象箇所において、クリンカー低減剤による、灰分等の排ガス中成分を改質することによる化学的付着防止効果や、クリンカー低減剤の脱ガス作用などによる物理的剥離効果、特に、硫黄酸化物系成分の改質による付着性の低減、融点上昇による溶着性低減、付着層の気孔率増加による脆性(剥離性)の向上(硬度低下)等の複合的な効果で、燃焼原料である廃棄物の性状が変動する廃棄物焼却炉や廃棄物溶融炉や廃棄物発電施設の排ガスライン、特に熱交換部(廃熱ボイラ、スーパーヒーター、空気予熱器)等における排ガス中成分に由来するクリンカーの生成を効果的に防止することが可能となる。
本発明に係るクリンカー低減剤は間欠的に添加しても良く、連続的に添加しても良い(請求項)。
また、本発明では、クリンカー低減剤を添加すると共に、物理的剥離手段によりクリンカーの生成防止対象箇所に付着したクリンカーを除去することが好ましく(請求項)、この物理的剥離手段としてはスートブローなどを採用することができる(請求項)。
即ち、本発明の方法に従って、クリンカー低減剤、例えば、炭酸マグネシウム(MgCO)や水酸化マグネシウム(Mg(OH))を煙道に噴霧すると、クリンカー低減剤がクリンカー生成部を覆うように塗布された後乾燥されて、炭酸ガスや水を放出して高融点で気孔率が高く脆性の被膜を形成する。この被膜上に更にクリンカーが付着するが、被膜面が脆くなっているために自重で崩壊剥離し易くなり、更なるクリンカーの成長は防止される。このように脆いクリンカーは、スートブロー等の物理的剥離手段により容易に剥離除去することができる。
以下に本発明のクリンカーの生成防止方法の実施の形態を詳細に説明する。
[クリンカー低減剤]
本発明で用いるクリンカー低減剤は、高融点粒子、その分散液又はその水溶液を含むものが好ましく、高融点粒子としては、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物、鉄化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、好ましくはマグネシウム化合物、ケイ素化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物等の粒子が挙げられる。特に、本発明で用いる高融点粒子は例えば、炭酸塩、酸化物、水酸化物、或いはこれらの水和物等の無機化合物であって、無機化合物そのものあるいはその酸化物の融点が1000℃以上、好ましくは1000〜3000℃、特に1500〜2300℃であることが好ましい。
クリンカー低減剤のうち、マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、酸化マグネシウム(マグネシア:MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、ギ酸マグネシウム((HCOO)Mg)、酢酸マグネシウム((CHCOO)Mg)等が挙げられる。ケイ素化合物としては、二酸化ケイ素(シリカ:SiO)等が挙げられる。カルシウム化合物としては、酸化カルシウム(カルシア:CaO)、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられる。アルミニウム化合物としては、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。また、酸化鉄(FeO,Fe)等の鉄化合物、酸化チタン(チタニア:TiO)等のチタン化合物、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)等のジルコニウム化合物等も好適に用いられる。
高融点粒子は融点が高く溶着しないものであるため、これらの高融点粒子を用いることにより、クリンカーの付着面に剥離し易い脆弱な層が形成され、この層の上に形成されたクリンカーが、自重で剥離し易くなることにより、クリンカーの生成防止効果を得ることができる。
また、MgCO、(CHCOO)Mg、MgO、SiO、Mg(OH)、CaCO、Ca(OH)、Al(OH)等は物理的な剥離作用でクリンカーを抑制する。即ち、MgCO、(CHCOO)Mgは各々500℃付近、300℃付近で熱により分解し徐々にCOガスを放出して融点の高いMgOを生成する。その際の脱ガスエネルギーによりクリンカーを剥離させることができる。このため、これらの化合物は、比較的低温の領域であっても、クリンカーの生成防止効果を得ることができる。
特に、これらの化合物を間欠多量注入した場合には、クリンカーをこれらの薬剤が覆った状態で脱ガス反応することにより、気孔率が高く、非溶着性の脆弱な層が形成され、この脆弱な層が、更にこの上に形成されたクリンカーと共に、剥離されることで、クリンカーの抑制効果が得られる。間欠注入によるこのような効果は、前述の高融点粒子の場合にも同様に奏される。
また、FeO、Feは、これを連続注入することで排ガス内を還元雰囲気にして、SOからSO、SOへの酸化を防止することで腐食を防止する。
これらの高融点粒子は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ、任意の比率で混合して、或いは混合せずに別々に用いても良い。これらの高融点粒子クリンカー低減剤は粉末ないし粒子状のものをそのまま用いても良いが、これらを分散液又は水溶液として用いても良い。
高融点粒子を粉末ないし粒子状で用いる場合、その平均粒径は0.01〜10μm程度であることが好ましい。分散液の分散媒、水溶液の溶媒としては水が好適であるが、他の液体であっても良い。分散液、水溶液中の薬剤濃度は5〜60重量%程度とするのが適当である。
薬剤のうち、特にマグネシウム化合物、鉄化合物は粉末の状態で添加することが好ましい。アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等を用いるものが好ましい。
また、この分散液や水溶液には、必要に応じて界面活性剤を3〜12重量%添加して分散安定性をより向上させるようにしても良い。用いられる界面活性剤としては、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキロールアミド等の非イオン界面活性剤が例示される。
[クリンカー低減剤の添加量]
本発明においては、処理対象領域(クリンカーの生成防止対象箇所)に対して事前調査を行って次の[1]の方法により、総硫酸系化合物量を算出し、算出された総硫酸系化合物量に対して、クリンカー低減剤の酸化物換算の有効成分モル比が1.0以上、即ち、対S薬注モル比が1.0以上となるように前記クリンカー低減剤を添加する。
[1] クリンカーの生成防止対象箇所より上流側の排ガス量と、排ガスの煤塵濃度と、煤塵の硫酸系化合物含有量とから、排ガス中の煤塵由来の総硫酸系化合物量を算出する。例えば、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側の排ガス量がG[Nm/hr]で、この排ガス中の煤塵濃度がA[kg/Nm]で、煤塵中の硫酸系化合物含有量がS[重量%]である場合、排ガス中の煤塵由来の総硫酸系化合物量は、下記式で算出される。
総硫酸系化合物量[kg/hr]=G×A×S/100
この場合、上流側の煙道排ガス中の煤塵濃度のみならず下流側の煙道排ガスの煤塵濃度も測定し、両者の濃度差から、クリンカーの生成防止対象箇所に取り込まれる煤塵量を算出し、この煤塵量と煤塵中の硫酸系化合物濃度とから、総硫酸系化合物量を算出しても良い
お、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側の排ガスとは、一般的には、クリンカーの生成防止対象箇所の直前の煙道の排ガスである。
対S薬注モル比が1.0未満の添加量では、十分なクリンカー生成防止効果を得ることができない。本発明では好ましくは対S薬注モル比が3.0〜10.0となるようにクリンカー低減剤添加量を設定し、クリンカーの生成防止対象箇所に付着したクリンカー成分中の硫酸系化合物に対してモル比で1.0以上のクリンカー低減剤の有効成分(酸化物換算)がクリンカー中に残留するようにクリンカー低減剤を添加することが好ましい。
[クリンカー低減剤の添加箇所]
クリンカー低減剤は、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側、望ましくは直前の煙道に添加するのが好ましい。ただし、その他、ボイラ、空気予熱器、減温塔、空気加熱器等に添加しても良好な添加効果を得ることができる。
[クリンカー低減剤の添加方法]
クリンカー低減剤の添加方法は連続添加でも良いし、1日当たり1〜10回、1回当たり数分〜数時間間欠注入でも良い。クリンカー低減剤は基本的には融点の高い成分であることと高温域で熱分解し、水分、ガスを放出する際の物理的作用により付着物の脆化効果、剥離効果を奏する。従って間欠注入でもクリンカー低減剤を添加することで嵩密度が低く、付着力の弱い付着層(融点が高く、脆化された付着層)が形成されれば、その上に形成された嵩密度が高く、付着力の強いクリンカーの自重でクリンカーが剥離するという効果が狙える。また、連続添加することで付着物を脆化させることができれば、例えばボイラ等ではスートブローによる物理的作用を併用することでクリンカーを容易に剥離することが可能になる。
クリンカー低減剤の添加装置は予め設備内のクリンカー付着箇所を確認しておき、その近辺にノズル設置口を加工して設ける。但し、予めスートブローのライン、点検用のフランジなど、ノズル設置口に代用できるものがあれば加工の必要はない。ノズルの設置口を確保したら、炉を立ち上げる前にクリンカー低減剤の添加装置を設置し、炉が立ち上った後、暫くして炉内の運転が安定した段階でクリンカー低減剤を噴霧し始める。
粉末状のクリンカー低減剤を供給する場合は、クリンカー低減剤を定量供給した後、コンプレッサー、ブロアなどでクリンカー低減剤を圧送するか、又は既設の冷却用空気、助燃用空気を用いる場合もコンプレッサー、ブロアなどで冷却用空気、助燃用空気配管にライン注入して移送する方法を採用することができる。粉末の粒径が細かく、サイロ内での嵩比重の変動が大きいクリンカー低減剤の場合は、ロードセル等で重量測定し、測定値からフィーダーなどの供給部を制御するフィードバック方式で所定量のクリンカー低減剤の供給を行っても良い。
液体状のクリンカー低減剤を添加する場合は、ノズルを添加箇所に合わせて製造するが、噴霧される液滴径が2〜500μm程度で均一に添加できるものであれば、噴霧圧力、希釈倍率はどのようなものでも良い。望ましくは、噴霧流量100〜1000L/Hr、噴霧圧力1.0〜5.0MPa程度が良い。また、添加方法は設備稼働中に間欠注入もしくは連続注入することとする。間欠注入の場合は薬注ポンプ、電磁弁、電動弁などをタイマー又は流量にて制御することが望ましく、原液注入、ライン注入ともに可能である。
上記方式でクリンカー低減剤を添加し、数日から数週間後に事前調査で実施した煤塵濃度、成分分析等と比較することで、クリンカーの剥離、抑制の効果が確認できる。例えば、剥離、付着抑制効果があった場合は、後段での排ガスの煤塵濃度が増加する。また、付着したクリンカーを採取し、融点を測定することでクリンカー低減剤による改質効果が確認することができる。また、最終的に、炉の定修時にクリンカーを直接採取し、分析することで効果を確認することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1,2
処理量100ton/dayの廃棄物ガス化溶融炉の廃熱ボイラ(スートブロー有)の煙道側廃熱ボイラ水管において、本発明によるクリンカーの生成防止処理を行った。
この廃熱ボイラにおいては、通常は1050〜1100×10kcal/hrの平均熱回収量であるところ、クリンカーの生成により、熱回収量の低下を起こす。生成するクリンカーは、付着面側の成分は硫酸系化合物を主体とし、表面側の成分はSi,Ca,Alを主体とする。
処理に先立ち、排ガス量と、排ガス中の煤塵濃度と、煤塵中のSO成分量を調べ、以下の結果を得た。
排ガス量:12000Nm/hr
排ガスの煤塵濃度:6.0g/Nm(=0.006kg/Nm
煤塵中のSO成分量:7.2重量%
この結果から、排ガス中の煤塵由来の全SO成分量は、5.2kg/hr(=12000×0.006×0.072)と算出し、このSO成分量に対して、各薬剤添加量が下記表1の値となるように、添加量を下記表1の通り決定した(比較例1では薬剤添加せず)。
薬剤添加場所は、廃熱ボイラの排ガス煙道入口として上記添加量で1.0hr/回、2回/dayの間欠注入を行った。各例とも5日間実施し、各例の間では約1週間の時間間隔をあけて順次実施した。なお、各薬剤の添加形態は表1に示す通りであり、スクリュー式粉末定量供給装置(川辺機械社製)により注入した。
実施期間において、生成したクリンカーの水管付着部分の成分を調べ、クリンカー中のSO量に対する各薬剤の有効成分量(酸化物換算量)のモル比(有効成分の対SOモル比)を求めた。また、硬度(土壌硬度計により測定)と、融点(DIN法:ライツ高温顕微鏡による。)を調べ、これらの結果を表1に示した。また、廃熱ボイラ入出熱回収量(中央操作室運転データからの計算値)を表1に示した。
Figure 0004725224
表1より、対S薬注モル比が1.0モル未満の薬剤添加量とした比較例2では、薬剤無添加の比較例1と、生成したクリンカーの硬度や融点は同等であり、また、熱回収量においても比較例1の場合と大差はなく、対S薬注モル比を1.0以上にしないと、所期の添加効果が得られないことが分かる。
これに対して、対S薬注モル比を1.0以上の3.0とした実施例1〜5では、いずれも、生成したクリンカー中に十分量の薬剤が残留することにより、クリンカーの硬度が低い一方で融点は高く、剥離し易いクリンカーであり、このクリンカーは、スートブローにより容易に剥離除去されたため、クリンカー付着量が増加することはなく、このため、熱回収量の低下の問題もなかった。

Claims (7)

  1. 廃棄物焼却炉、廃棄物溶融炉又は廃棄物発電施設において、クリンカー低減剤を添加してクリンカーの生成を防止する方法であって、クリンカーの生成防止対象箇所より上流側の排ガス量と、該排ガスの煤塵濃度と、該煤塵の硫酸系化合物含有量とから、該排ガス中の煤塵由来の総硫酸系化合物量を算出し、算出された総硫酸系化合物量に対して、前記クリンカー低減剤の酸化物換算の有効成分モル比が1.0以上となるように、前記クリンカー低減剤を添加することを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  2. 請求項1において、前記クリンカー低減剤が高融点粒子、その分散液又はその水溶液を含むことを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  3. 請求項において、前記高融点粒子が、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、カルシウム化合物、及びアルミニウム化合物の1種又は2種以上を含むことを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカー低減剤を、クリンカーの生成防止対象箇所の上流側の煙道に添加することを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカー低減剤を間欠的又は連続的に添加することを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項において、前記クリンカーの生成防止対象箇所に付着したクリンカーを物理的剥離手段により除去することを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
  7. 請求項において、前記物理的剥離手段がスートブローであることを特徴とするクリンカーの生成防止方法。
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