JP4554847B2 - 光学フィルム貼合機の制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することで光学フィルム積層体を製造する光学フィルム貼合機を制御するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、STN型液晶表示装置では、STN型液晶の持つ複屈折性と可視光の波長との関係で画面が黄色や青色を帯びた色になり、表示が見にくくなる。そこで、かかる複屈折性を解消して白黒表示を実現するために、偏光フィルム(第1光学フィルム)に位相差フィルム(第2光学フィルム)を貼合(貼りあわせ)した光学フィルム積層体を製造している。かかるフィルム同士の貼合を行うための、光学フィルム貼合機が用いられている。
【0003】
光学フィルム貼合機は、所定の大きさにチップカットされた第1・第2光学フィルムを所定の位置にセットすることにより、第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することができる。貼合された光学フィルム積層体は、次工程でトリミング、検品された後、 梱包されて出荷される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記光学フィルム貼合機への第1・第2光学フィルムのセットは作業者が行うものであるが、光学フィルムの貼合を忘れたり、あるいは、余分に貼合したりする間違いが発生することがある。このような貼合ミスは、光学フィルムの厚さが薄いだけに、簡単に発見することが難しい。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、光学フィルムの貼合ミスを簡単に発見し、不良品を後工程に送り込まないようにできる光学フィルム貼合機の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明に係る光学フィルム貼合機の制御システムは、第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することで光学フィルム積層体を製造する光学フィルム貼合機を制御するためのシステムであって、
前記光学フィルム貼合機により貼合された前記光学フィルム積層体の重量を測定する計量器と、
前記計量器により測定された結果が表示される表示器と、
前記計量器により測定された結果、所望の貼合がされている場合に、前記光学フィルム貼合機の作動を許可する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
この構成によるシステムの作用・効果は、 以下の通りである。
まず、光学フィルム同士の貼合は、従来どおり光学フィルム貼合機により行われる。そして、計量器を設けており光学フィルム積層体の重量を測定することができる。さらに、重量を測定した結果を表示するための表示器を設けている。例えば、測定した結果、所定の重量範囲に入っておれば「OK」、そうでなければ「NG」の表示ランプを点灯する。
【0006】
また、制御部を設けており、重量を測定した結果、所望の貼合がされている場合に光学フィルム貼合機の作動を許可し、そうでない場合には、光学フィルム貼合機の作動を禁止する。したがって、次のフィルム貼合作業を行おうとしても、貼合作業ができない。これにより、作業者は、貼合ミスがあったと認識することができる。また、表示器による表示でも確認することができる。その結果、光学フィルムの貼合ミスを簡単に発見し、不良品を後工程に送り込まないようにできる光学フィルム貼合機の制御システムを提供することができる。
【0007】
本発明の好適な実施形態として、 前記表示器は、所定の重量範囲に満たない場合と、前記所定の重量範囲を超えている場合とで表示態様を異ならせるように構成されているものがあげられる。
【0008】
所定の重量範囲に満たない場合とは、貼合し忘れが考えられる。所定の重量範囲を超えている場合とは、所定枚数以上に貼合してしまったことが考えられる。貼合ミスの内容により表示態様を変えることで、貼合ミスの原因を知ることができる。
【0009】
本発明の別の好適な実施形態として、 前記制御部は、前記計量器または前記表示器の故障を検出したときに、前記光学フィルム貼合機の作動を禁止するように構成されているものがあげられる。
【0010】
計量器や表示器が故障すると、作業者が判断ミスを生じる可能性がある。例えば、計量器の故障で重量データが得られない状態になると、貼合ミスを検出できなくなる恐れがある。そこで、かかる機器の故障を検出した場合にも、光学フィルム貼合機の作動を禁止するようにすることで、より確実に貼合ミスを発見できるようになる。
【0011】
上記課題を解決するため本発明に係る別の光学フィルム貼合機の制御システムは、
第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することで光学フィルム積層体を製造する光学フィルム貼合機を制御するためのシステムであって、
前記光学フィルム貼合機により貼合された前記光学フィルム積層体の厚さを測定する厚さ測定器と、
前記厚さ測定器により測定された結果が表示される表示器と、
前記厚さ測定器により測定された結果、所望の貼合がされている場合に、前記光学フィルム貼合機の作動を許可する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
最初に説明したのは、光学フィルム積層体の重量を測定することで貼合ミスを発見するシステムであったが、光学フィルム積層体の厚さを測定することによっても、同様の目的を達成することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光学フィルム貼合機の制御システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。まず、光学フィルム積層体の製造工程について図1により簡単に説明する。
【0014】
<光学フィルム積層体の製造工程>
図1は、第1光学フィルムとしての偏光フィルム1と、第2光学フィルムとしての位相差フィルム11(補償フィルムともいう)とを貼合した光学フィルム積層体4(貼合品)を製造する場合の工程例である。偏光フィルム1は、所定の製造工程を経て得られるものであり、ロール状に収容されている。この偏光フィルム1は、所定の軸角度を有している。この偏光フィルム1をロールから引き出し、斜角カットを行い、まず斜角定尺品2を得る。 例えば、この偏光フィルム1の軸方向がフィルムの長手方向に沿っているものとすれば、この軸角度がユーザーの要望する所望の角度にできるように、斜角カットを行う。さらに、この斜角定尺品からチップカットを行う。このチップカットは、定尺打ち抜き機により行われる。チップカットされた第1光学フィルム3は、ほぼ最終製品と同じ大きさを有している。
【0015】
一方、第2光学フィルム11についても、第1光学フィルム1と同様の工程で処理される。すなわち、 斜角カットにより斜角定尺品12が得られ、さらに、チップカットによりチップカットされた第2光学フィルム13が得られる。
【0016】
次に、光学フィルム貼合機を用いてチップカットされた第1光学フィルム3と第2光学フィルム13とを貼合する。貼合された光学フィルム積層体4は、貼合ずれを修正するためにトリミングがされる。そして、作業者による目視の検品が行われた後、梱包されて製品として出荷される。
【0017】
<制御システムの構成>
図2は、光学フィルム貼合機の制御システムの構成を示す模式図である。光学フィルム貼合機20は、公知の構造のものを採用することができる。例えば、本出願人による特開2000−94527号公報や特開2000−169035号公報に開示されている貼合機を用いても良い。計量器21は、貼合された光学フィルム積層体の重量を測定するものである。計量器21は、公知の構造のものを採用することができる。表示器22は、表示ランプにより構成される。表示ランプは、第1表示部22a、第2表示部22b、第3表示部22cを有する。 制御部23は、計量器21からの重量値に基づいて、いずれの表示部のランプを表示させるかを制御する。
【0018】
また、制御部23は、 測定された重量値があらかじめ設定した重量範囲に入っておれば、OK信号(作動許可信号)を光学フィルム貼合機20に転送し、光学フィルム貼合機20の作動を可能にする。また、測定された重量値が上記重量範囲に入っていなければ、OK信号が送出されないので、光学フィルム貼合機20の作動を禁止する(作動禁止状態)。制御部23は、マイコンにより構成してもよいし、論理回路により構成しても良い。
【0019】
<貼合作業フローチャート>
次に、貼合作業を行うときのフローチャートについて図3により説明する。作業者は、前工程で得られたチップカットされた第1光学フィルム3と第2光学フィルム13とを光学フィルム貼合機20の所定位置にセットする。貼り合わせに際して、第1光学フィルム3の保護テープを剥がして粘着面を露出させる。また、第2光学フィルム13についても保護テープを剥がす。そして、第1・第2光学フィルムの貼合を行う(#1)。
【0020】
貼合作業により得られた光学フィルム積層体を計量器21の載置部に載せて重量測定を行う(#2)。測定された重量値があらかじめ設定された重量範囲に入っているか否かが制御部23により判断される(#3)。第1光学フィルム3と第2光学フィルム13との貼合が正常に行われた場合は、光学フィルム積層体の重量は所定の重量範囲に入るはずであり、この場合は第1表示部22aを点灯させる(#4)。第1表示部22aにより「OK」の文字が点灯するので、作業者は貼合が正常に行われたことを確認できる。そして、第1表示部22aによるOK表示と同時又はほぼ同時に、光学フィルム貼合機20にOK信号が送出される(#5)。このOK信号が光学フィルム貼合機20に送出されている間は、光学フィルム貼合機20を作動させることが可能である。OK信号は、計量器21の載置部に良品の光学フィルム積層体が載せられている間は送出されている。OK信号は、図2にも示すように、所定の電圧レベルの信号である。NGレベルは電圧で0ボルトに相当する。
そこで、このOK信号が出ている間に、次に貼合作業すべき第1・第2光学フィルムの貼合を光学フィルム貼合機20により行う。この点合作業が終わると、先ほど貼合を行い計量器21に載せている光学フィルム積層体を計量器21から取り除く。この取り除かれた光学フィルム積層体は、次工程のトリミング工程に移される。そして、次に重量測定すべき光学フィルム積層体を測定器21の載置部にのせる。以下は、 同様の手順が繰り返される。
【0021】
ステップ#3にて、設定した重量範囲に入っていないと判断された場合は、ステップ#6に移行する。設定した重量範囲を超えていると判断されると、第2表示部22bのランプを点灯し「NG」を表示させる。これは、貼合枚数が多すぎる場合である。この場合、制御部23からOK信号が光学フィルム貼合機20に送出されない。したがって、次に貼合作業すべき光学フィルムの貼合を行うことができない。光学フィルム貼合機20の作動が禁止状態であることから、作業者は貼合ミスがあったものと直ちに認識することができる。また、第2表示部22bの点灯により、貼合枚数が多すぎたことを認識できる。
【0022】
ステップ#6にて、設定した重量範囲に満たない重量値であると判断されると、第3表示部22cのランプを点灯し、「NG」を表示させる。これは、貼合し忘れの場合である。この場合、計量器21に載せられたのは光学フィルム積層体ではなく、貼合されていない第1光学フィルム3又は第3光学フィルム13が載せられたものと考えられる。この場合も、OK信号が光学フィルム貼合機20に送出されないので、次に貼合すべき光学フィルムの貼合作業ができないことになる。
【0023】
第2表示部22bと第3表示部22cは、いずれも「NG」を表示させるものであるが、例えば、表示ランプの色を変える(表示態様を異ならせている。)ことにより、貼合ミスの内容が貼りすぎなのか貼り忘れなのかを直ちに認識することができる。なお、表示させる文字は「NG」でなくてもよく、種々の表示態様を選択することができる。
【0024】
ステップ#7において、光学フィルム貼合機20が作動停止状態となった場合、これを再開するためには次のように行う。あらかじめ、設定した重量範囲に入っているサンプルフィルムを用意しておき、これを計量器21の載置部の上に載せる。これにより、OK信号が光学フィルム貼合機20に送出され、貼合作業を再開することができる。なお、貼合作業の開始時も同じようにサンプルフィルムを計量器21に載せておけばよい。
【0025】
<別実施形態>
(1)本実施形態では、計量器により貼合の良否を検出するようにしているが、計量器に替えて厚さ測定器を設けてもよい。貼合が正常に行われた場合は、光学フィルム積層体は所定の範囲の厚みを有するからである。したがって、あらかじめ設定された厚み範囲内に入っておれば、OK信号を送出し、そうでなければOK信号を送出しないように構成することもできる。
【0026】
(2)表示器の構成としては、表示ランプに限定されるものではない。ランプ以外にも、LEDや液晶等の表示を用いても良い。また、視覚的な表示ではなく、ブザーのような音声による表示を用いても良い。また、視覚的な表示手段と聴覚的な表示手段とを組み合わせても良い。例えば、表示ランプにより表示させると共に、NGの場合はブザーにより警告を出すようにしても良い。
【0027】
(3)制御部の構成として計量器や表示器の故障を検出可能にし、故障が検出された場合には、光学フィルム貼合機にOK信号を送出しないようにすることもできる。例えば、載置部に光学フィルム積層体を載せているにもかかわらず、重量値データが出力されない場合、表示ランプが点灯しなければならないにもかかわらず、ランプの駆動電流が検出されないなどで故障を検出できる。これにより、貼合ミスが発生しているにもかかわらず、OK信号が光学フィルム貼合機に送出されることを防止できる。
【0028】
(4)本実施形態では、第1光学フィルムとして偏光フィルム、第2光学フィルムとして位相差フィルムを例示しているがこれに限定されるものではなく。種々の光学フィルムの貼合の場合に本発明は応用できる。また、光学フィルムの貼合枚数についても特に限定されるものではない。例えば、偏光フィルムと位相差フィルムに加えて、視野角拡大フィルムをさらに貼合することもある。この場合は、貼合作業を段階的に行うため本発明によるシステムも複数必要になる。したがって、本発明における第1・第2光学フィルムは、前工程において既に貼合がなされた光学フィルム積層体であってもよい。そして、かかる場合も本発明は適用できるものであり、貼合されようとする第1・第2光学フィルムには光学フィルム積層体も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルム積層体の製造工程を説明する図
【図2】光学フィルム貼合機の制御システムの構成を示す模式図
【図3】 貼合作業を行うときのフローチャート
【符号の説明】
1,3 第1光学フィルム
11,13 第2光学フィルム
4 光学フィルム積層体
20 光学フィルム貼合機
21 計量器
22 表示器
23 制御部
Claims (4)
- 第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することで光学フィルム積層体を製造する光学フィルム貼合機を制御するためのシステムであって、前記光学フィルム貼合機により貼合された前記光学フィルム積層体の重量を測定する計量器と、前記計量器により測定された結果が表示される表示器と、前記計量器により測定された結果、所望の貼合がされている場合に、前記光学フィルム貼合機の作動を許可する制御部とを備えたことを特徴とする光学フィルム貼合機の制御システム。
- 前記表示器は、所定の重量範囲に満たない場合と、前記所定の重量範囲を超えている場合とで表示態様を異ならせるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム貼合機の制御システム。
- 前記制御部は、前記計量器または前記表示器の故障を検出したときに、前記光学フィルム貼合機の作動を禁止するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム貼合機の制御システム。
- 第1光学フィルムと第2光学フィルムとを貼合することで光学フィルム積層体を製造する光学フィルム貼合機を制御するためのシステムであって、前記光学フィルム貼合機により貼合された前記光学フィルム積層体の厚さを測定する厚さ測定器と、前記厚さ測定器により測定された結果が表示される表示器と、前記厚さ測定器により測定された結果、所望の貼合がされている場合に、前記光学フィルム貼合機の作動を許可する制御部とを備えたことを特徴とする光学フィルム貼合機の制御システム。
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