JP4552698B2 - 磁気検出装置 - Google Patents

Description

本発明は、磁気検出装置に関するものである。特に、本発明は、回転体の回転検出センサ、ポジションセンサに適用されるものである。

従来、外乱磁界の影響を受けずに精度よく磁気検出を行う磁気検出装置として特許文献１に示すものがあった。

図６は、特許文献１に示す磁気検出装置の概略構成を示す断面図である。図６に示すように、特許文献１に示す磁気検出装置は、磁性材料を有するギヤ３０に離間して配置される。磁気検出装置の磁気センサ素子４０は、ギヤ３０に対して対向配置されている。そして、磁気センサ素子４０の周辺分を磁性体よりなる磁気シールドケース５０が覆っている。
特開平７−２７５７１号公報

しかしながら、特許文献１に示す磁気検出装置は、磁気シールドケース５０を用いるため部品点数が増加するという問題があった。

本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、部品点数を増やすことなく外乱磁界の影響を受けずに磁気検出を行うことができる磁気検出装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために請求項１に記載の磁気検出装置は、被検出体の回転軸に連結されて被検出体の回転に伴って回転すると共に、回転軸に対して１８０度回転対称に配置された正磁極と負磁極の着磁領域を有する磁石と、磁石の回転に応じた検出信号を出力するものであり、磁石からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置される複数のホール素子と、複数のホール素子からの検出信号を差動出力する差動出力回路とを備えることを特徴とするものである。

磁気検出装置は、近くに磁石などが配置されると出力に誤差が生じる可能性がある。しかしながら、磁気検出装置は、他の磁気検出装置やロードヒーターなどにより、外乱磁界が印加されることもありうる。これらの外乱磁界を発生する磁気検出装置やロードヒーターなどは、磁気検出装置と比較的距離が離れた位置にあるため、複数のホール素子を磁石からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置することによって、それぞれのホール素子に印加される外乱磁界のベクトルの方向及び強度は略同程度となる。したがって、複数のホール素子からの検出信号を差動出力する差動出力回路を備えることによって、外乱磁界による影響をキャンセルすることができる。

また、請求項２に記載の磁気検出装置では、複数のホール素子は、磁石の回転軸上に並べて配置されることを特徴とするものである。

このように、複数のホール素子を磁石の回転軸上に並べて配置することによって磁石からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置とすることができる。

また、磁石は、請求項３に示すように、回転軸と垂直な平面を有する円柱形状とすることができる。

以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、本発明の磁気検出装置１０は、回転体の回転検出センサやポジションセンサに適用されるものである。

図１は、本発明の実施の形態における磁気検出装置の概略構成を示す図面であり、（ａ）は斜視図であり、（ｂ）は断面図である。

図１に示す磁気検出装置１０は、ホール素子１，２、実装基板３，４、検出磁石８などを備える。ホール素子１，２は、図１（ａ），（ｂ）に示すように実装基板３，４に実装された状態で検出磁石８からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置される。ホール素子１，２は、検出磁石８と離間した状態で検出磁石８の回転軸ｒ上に並べて配置される。そして、ホール素子１，２は、検出磁石８が発生する回転磁界に応じた検出信号（ホール電圧）を出力する。

検出磁石８は、フェライトなどからなり、回転軸ｒに対して１８０度回転対称に配置される正磁極（以下、Ｎ極とも称する）と負磁極（以下、Ｓ極とも称する）の着磁領域を備える円柱形状の磁石である。検出磁石８では、図１（ｂ）においてＮ極からＳ極に向かう矢印で示した磁界が生成されている。この検出磁石８は、被検出体に連結されており、被検出体の回転に伴って回転するため、回転軸ｒに垂直な任意のＸ−Ｙ面上において、回転軸ｒを中心とする回転磁界を発生する。

次に、磁気検出装置１０の回路構成及び動作について説明する。図２は、本発明の実施の形態における磁気検出装置の回路構成を示す回路図である。図３は、本発明の実施の形態における磁気検出装置の出力波形を示す出力波形図である。

磁気検出装置１０は、図２に示すように、ホール素子１，２、アンプ５，６、差動出力回路７などを備える。ホール素子１，２は、電流源と接続されると共に、アンプ５，６を介して差動出力回路７に接続される。ホール素子１，２は、それぞれバイアス電流が流され、磁界成分に比例するホール電圧を発生する。アンプ５，６は、それぞれのホール素子１，２から出力されるホール電圧を増幅して差動出力回路７へ出力する。差動出力回路７は、アンプ５，６で増幅されたホール素子１，２によるホール電圧の差動をとった信号を出力する。

ホール素子１，２は、検出磁石８からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置されているため、図３に示すように、位相は等しく振幅のみが異なるホール電圧を出力する。したがって、磁気検出装置１０は、ホール素子１によって出力されるホール電圧とホール素子２によって出力されるホール電圧の差動をとるので図３に示すような出力波形の電圧を出力する。

ここで、磁気検出装置１０に外乱磁界が生じた場合の磁気検出装置１０の動作について説明する。図４は、本発明の実施の形態における磁気検出装置のホール素子に印加される磁界を説明するベクトル図である。図５は、本発明の実施の形態における磁気検出装置の外乱印加時の出力波形を示す出力波形図である。

磁気検出装置１０は、外乱磁界が印加された場合、ホール素子１，２を検出磁石８からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置しているため、それぞれのホール素子１，２に印加される外乱磁界による磁界ベクトルは、方向及び強度が略同程度となる。

このように磁気検出装置１０に外乱磁界が印加された場合のホール素子１，２の出力波形は、図５に示すように、磁気検出装置１０に外乱磁界が印加されていない場合のホール素子１，２の出力波形（点線）に対して略等しい値のオフセット電圧ΔＡ，ΔＢが加えられた波形となる。

したがって、磁気検出装置１０は、ホール素子１によって出力されるホール電圧とホール素子２によって出力されるホール電圧の差動をとるので、オフセット電圧ΔＡ，ΔＢをキャンセルすることができ、図５に示すように、磁気検出装置１０に外乱磁界が印加されていない場合と略等しい出力波形の電圧を出力する。よって、磁気検出装置１０は、磁気シールドケースなどを用いることなく、外乱磁界の影響を受けずに磁気検出を行うことができる。

なお、本実施の形態における検出磁石８は円柱形状を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。被検出体の回転軸に連結されて被検出体の回転に伴って回転すると共に、回転軸に対して１８０度回転対称に配置された正磁極と負磁極の着磁領域を有する磁石であればよい。

本発明の実施の形態における磁気検出装置の概略構成を示す図面であり、（ａ）は斜視図であり、（ｂ）は断面図である。 本発明の実施の形態における磁気検出装置の回路構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態における磁気検出装置の出力波形を示す出力波形図である。 本発明の実施の形態における磁気検出装置のホール素子に印加される磁界を説明するベクトル図である。 本発明の実施の形態における磁気検出装置の外乱印加時の出力波形を示す出力波形図である。 特許文献１に示す磁気検出装置の概略構成を示す断面図である。

符号の説明

１，２ ホール素子、３，４ 実装基板、５，６ アンプ、７ 差動出力回路、８ 検出磁石、１０ 磁気検出装置

Claims (3)

1. 被検出体の回転軸に連結されて被検出体の回転に伴って回転すると共に、前記回転軸に対して１８０度回転対称に配置された正磁極と負磁極の着磁領域を有する磁石と、
   前記磁石の回転に応じた検出信号を出力するものであり、当該磁石からの磁界ベクトルの方向が同じで強度が異なる位置に配置される複数のホール素子と、
   前記複数のホール素子からの検出信号を差動出力する差動出力回路と、
   を備えることを特徴とする磁気検出装置。
2. 前記複数のホール素子は、前記磁石の回転軸上に並べて配置されることを特徴とする請求項１に記載の磁気検出装置。
3. 前記磁石は、前記回転軸と垂直な平面を有する円柱形状であることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の磁気検出装置。

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