JP4552364B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽内に温風を送風して衣類を乾燥させる行程を有し、洗濯から乾燥までを一貫して実施できる洗濯乾燥機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の洗濯乾燥機は、たとえば、特開平11ー276761号公報に開示されているように、筐体内に弾性的に吊支した外槽内に、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽を回転自在に支持し、内槽の内底部に回転翼を回転自在に設け、洗い行程、すすぎ行程では、回転翼を回転して内槽内で洗濯物(衣類)を洗い、すすぎするとともに、脱水行程では、内槽を高速回転させて脱水し、脱水行程につづく乾燥行程では、加熱装置により加熱した空気を送風手段により内槽内に送風して乾燥するよう構成している。
【0003】
上記構成においてその動作を簡単に説明すると、脱水行程終了後に回転翼を回転速度130r/minで1秒オン、0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して2〜3往復させる掻き落とし行程を行い、脱水時に内槽の内壁面に遠心力によって張り付いた衣類を掻き落とす。
【0004】
つぎに、この掻き落とし行程の後に乾燥行程に入り、まず回転翼を回転速度130r/minで0.5秒オン、0.5秒オフの周期で右回転と左回転とを交互に繰り返して5〜10往復させるほぐし行程を行って、回転翼の上に分散された衣類をランダムに入れ換えてほぐした後に、加熱装置により加熱された温風を内槽内に数分間供給して衣類を乾燥させる。そして、乾燥度合いを判定し、乾燥していれば乾燥終了して送風に移るが、未乾燥であれば再度上記のほぐし行程と乾燥運転を繰り返すようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の洗濯乾燥機では、送風手段の回転数(風量)で乾燥時間が大きく左右される。送風手段の動作時に製品の騒音が大きい。また乾燥時間が長いという問題があった。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、送風手段の回転数(風量)を低くすることで、製品の騒音を小さくしたり、送風手段の回転数(風量)を高くすること、乾燥時間を短くするとともに、衣類の量が多い場合や綿の多い種類であっても乾燥むらがなく効率よく乾燥できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、筐体内に弾性的に吊支した外槽内に、回転中心軸を鉛直方向に有する内槽を回転自在に支持し、内槽の内底部に回転翼を回転自在に設け、内槽または回転翼を駆動手段により駆動し、加熱手段により加熱した循環風を送風手段により内槽内に送風し、冷却送風手段により筐体内部に外部から冷却風を導入し、標準運転コースである第1の運転コース、第1の運転コースよりも乾燥時間を短くした第2の運転コース、および第1の運転コースよりも運転音を抑えた第3の運転コースのいずれかの運転コースを選定する入力設定手段からの情報で、制御手段により駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して乾燥行程を制御するよう構成し、制御手段は、使用者が選択した運転するコースにより送風手段を制御し、第2の運転コースにおける風量を最大とし、次に第1の運転コース、第3の運転コースの順で循環風量を下げ、かつ内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードとの時間比率を、第2の運転コースのほうが第1の運転コースよりも回転翼回転モードの時間比率を多くするとともに、第3の運転コースのほうが第1の運転コースよりも回転翼回転モードの時間比率を少なくしたものである。
【0008】
これにより、送風手段の回転数(風量)を低くして製品の騒音を小さくしたり、送風手段の回転数(風量)を高くすることで乾燥時間を短くすることができる。また、衣類の量が多い場合や綿の多い種類であっても、乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、標準運転コースである第1の運転コース、前記第1の運転コースよりも乾燥時間を短くした第2の運転コース、および前記第1の運転コースよりも運転音を抑えた第3の運転コースのいずれかの運転コースを選定する入力設定手段と、前記入力設定手段からの情報で前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、使用者が選択した運転コースにより前記送風手段を制御し、前記第2の運転コースにおける風量を最大とし、次に前記第1の運転コース、前記第3の運転コースの順で循環風量を下げ、かつ前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードとの時間比率を、前記第2の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を多くするとともに、前記第3の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を少なくしたものであり、たとえば「お静かコース」として、送風手段の風量を抑えることで、乾燥時間は長くなるが送風手段から発生する音を小さくすることができ夜間でも運転することができ、また、「お急ぎコース」として、送風手段の風量を多くすることで、騒音は大きくなるが乾燥時間を短くできる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、内槽内の衣類の量を検知する布量検知手段を備え、制御手段は、前記布量検知手段で検知した衣類の量に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにしたものである。これは、定格容量に合わせて各行程の時間を設定すると、衣類の量が少量の場合には乾燥時間が長くなりすぎて過乾燥になってしまうという問題があり、また少量に合わせて各行程の時間を設定すると、衣類の量が多い場合には未乾燥のままで終わってしまうという問題があり、この課題を解決するために、最後の行程を長くする方法もあるが、そうすれば、乾燥率の低い状態で回転翼回転モードが主体の乾燥時間が過度に長くなり、衣類が過度にからみ、しわの発生を抑えられなくなってしまうという問題がある。そこで、衣類の量に応じて各行程の時間を変えることにより、衣類の量に適した乾燥時間で乾燥を終了することができ、また乾燥むらがなく、そしてしわの発生を抑えた乾燥を実現することができ、請求項1のコースを実現することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、制御手段は、使用者が選択した運転コースにより回転翼回転の強さを変えるようにしたものであり、運転音を抑えたコースの場合は、例えば標準時限よりもオン時間を長くすることにより、上下左右に衣類を入れ換えることができるようになり、衣類にまんべんなく温風を当てられるので乾燥むらがなく効率よく乾燥することができ、請求項1または2のコースを実現することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、内槽内の衣類の布質を判定する布質判定手段を備え、制御手段は、前記布質判定手段で判定した衣類の布質に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにしたものであり、衣類で化繊が多めであることを確実に判定でき、衣類の布質に応じて乾燥むらがなく効率よく乾燥することができ請求項1〜3のいずれか1つのコースを実現することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施例1)
図1に示すように、筐体1は、内部に複数のサスペンション2によって外槽3を弾性的に吊支し、運転時の振動をサスペンション2によって吸収する構成としている。外槽3の内部には、回転中心軸を鉛直方向に有し洗濯物および乾燥対象物(以下、衣類という)を収容する内槽4を回転自在に支持し、内槽4の内底部に衣類を撹拌する回転翼5を回転自在に設けている。回転翼5は、外周が傾斜面形状の鍋型に形成している。
【0015】
内槽4の内部周壁には多数の小孔(図示せず)を設け、その上方には流体バランサ6を設けている。そして、外槽3および内槽4の底部中心付近には、中空で二軸構造をしている洗濯・脱水軸7と、洗濯または脱水時により回転力の伝達を洗濯・脱水軸7に切り換えるクラッチ8を設けている。モータ(駆動手段)9は、外槽3に設け、クラッチ8を介して内槽4または回転翼5を駆動するようにしている。
【0016】
外槽3の下部から、伸縮自在の下部蛇腹状ホース10を介して循環ダクト11へと通路を構成し、循環ダクト11の出口は乾燥用送風機(送風手段)12の入口に連結している。乾燥用送風機12の出口は通路11aに連結し、この通路11a内に加熱手段であるヒータ13を設け、通路11aに伸縮自在の上部蛇腹状ホース14を連結している。上部蛇腹状ホース14は、内槽4へ向けて開口しており、内槽4は、内部周壁の小孔を通して外槽3に通じているので、これら通路は循環経路を構成している。
【0017】
内槽4の上部には開閉自在の内蓋15を設けており、内蓋15の近傍には、伸縮自在の上部蛇腹状ホース14からつづく温風噴出孔16を開けている。冷却用送風機(冷却送風手段)17は、筐体1の側面に取り付け、筐体1の内部に外気を導入できるように構成している。排水弁18は外槽3内の水を排水するものであり、切換弁19は循環経路を切り換えるものである。
【0018】
給水弁20は内槽4内に給水するものであり、水位検知手段21は外槽3内の水位を検知するものである。また温度検知手段22は、循環風の温度を検知するもので、乾燥用送風機12の出口とヒータ13との間に設けている。
【0019】
制御装置23は、操作表示部24により設定された設定内容に基づいて、洗い、すすぎ、脱水の各行程を有する洗濯行程とこの洗濯行程につづく乾燥行程とを制御するもので、図2に示すように構成している。
【0020】
制御手段25は、マイクロコンピュータなどで構成し、水位検知手段21の出力を入力し、入力設定手段26により設定された設定内容に基づいて、表示手段27に設定内容を表示するとともに、双方向性サイリスタ、リレーなどで構成した負荷駆動手段28を介して、クラッチ8、乾燥用送風機12、ヒータ13、冷却用送風機17、排水弁18、切換弁19、給水弁20などの動作を制御して洗濯行程および乾燥行程を制御する。29は商用電源である。
【0021】
また、回転制御手段30は制御手段25の一部でマイクロコンピュータなどで構成し、位置検出手段31からの情報に基づいて駆動回路32を介してインバータ回路33を制御することによりモータ9を回転制御するように構成している。
【0022】
モータ9は直流ブラシレスモータで、図示していないが、3相巻線を有するステータと、リング状に永久磁石を配設しているロータとで構成し、ステータは3相巻線を構成する第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cにスロットを設けた鉄心に巻き付けることで構成している。
【0023】
インバータ回路33は、パワートランジスタ(IGBT)と逆導通ダイオードの並列回路からなるスイッチング素子で構成している。スイッチング素子33a、33bの直列回路と、スイッチング素子33c、33dの直列回路と、スイッチング素子33e、33fの直列回路で構成し、各スイッチング素子の直列回路は並列接続している。
【0024】
ここで、スイッチング素子33a〜33fの直列回路の両端は入力端子で、直流電源を接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子の接続点に、それぞれ出力端子を接続している。出力端子は、3相巻線のU端子、V端子、W端子に接続し、スイッチング素子の直列回路を構成する2つのスイッチング素子のオン・オフの組合せにより、U端子、V端子、W端子をそれぞれ正電圧、零電圧、解放の3状態にする。
【0025】
スイッチング素子33a〜33fのオン・オフは、ホールICからなる3つの位置検出手段31a、31b、31cからの情報に基づいて回転制御手段29により制御される。位置検出手段31a、31b、31cは電気角で120度の間隔でロータが有する永久磁石に対向するように、ステータに配設している。
【0026】
図3に示すように、ロータが1回転する間に、3つの位置検出手段31a、31b、31cは、それぞれ図に示したようなタイミングでパルスを出力する。回転制御手段29は、図に示した矢印のタイミング(3つの位置検出手段いずれかの信号の状態が変わったとき)を検知して、位置検出手段31a、31b、31cの信号を基に、スイッチング素子33a〜33fのオン・オフ状態を変えていくことで、U端子、V端子、W端子を正電圧、零電圧、解放の3状態にし、ステータの第1の巻線9a、第2の巻線9b、第3の巻線9cに通電して磁界を作り、ロータを回転させるものである。
【0027】
また、スイッチング素子33a、33c、33eはそれぞれパルス幅変調(PWM)制御され、例えば、繰り返し周波数10kHzでハイ、ローの通電比を制御することで、ロータの回転数を制御するようにしてあり、回転制御手段30は、3つの位置検出手段31a、31b、31cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転数を算出して、設定回転数になるようにスイッチング素子33a、33c、33eをPWM制御する。
【0028】
抵抗34は電流を検知するもので、抵抗34の両端電圧でインバータ33の入力電流値を検知する。商用電源29は、ダイオードブリッジ35、チョークコイル36、平滑用コンデンサ37からなる直流電源変換装置を介して、インバータ33に接続している。
【0029】
操作表示部23は、図4に示すように、水位設定スイッチ26a、洗い時間設定スイッチ26b、すすぎ回数設定スイッチ26c、脱水時間設定スイッチ26d、乾燥時間設定スイッチ26e、スタート・一時停止スイッチ26f、コース設定スイッチ26g、電源入/切スイッチ26hなどの入力設定手段26と、水位表示部27a、洗い時間表示部27b、すすぎ回数表示部27c、脱水時間表示部27d、乾燥時間表示部27e、残り時間表示部27f、コース表示部27gなどの表示手段27とで構成している。
【0030】
ここで、運転コースについては、コース設定スイッチ26gにより、洗濯から乾燥まで行うおまかせ、お急ぎ、お静かと、洗濯のみのデリケート、ゴシゴシ、お急ぎの3コースが選べるようにしている。
【0031】
また、布量検知手段38および布質判定手段39は、制御手段25の一部でマイクロコンピュータなどで構成し、布量検知手段38は、位置検出手段31aからの信号を入力することにより、内槽4内に投入された衣類の量を検知するものであり、布質判定手段39
は入力設定手段26で設定された運転コースで衣類の布質を判定するようにしている。
【0032】
上記構成において動作を説明する。まず、洗濯行程について説明する。内槽4に衣類40、洗剤などを投入して運転を開始すると、制御手段25は回転制御手段30を介して回転翼5を例えば1秒オン、2秒オフの時限で、右回転、左回転を2往復行う。このとき、布量検知手段38は、位置検出手段31aからの信号を入力することにより、モータ9をオフしたときのロータの惰性回転量を検知することにより、内槽4内に投入された衣類の量を検知する。
【0033】
制御手段25は、布量検知手段38で検知した衣類の量に基づき、洗濯行程では水位や洗濯時間、脱水時間等を変えて制御し、乾燥行程では各行程の時間を変えて制御する。そして制御装置23により給水弁20を駆動し、水位検知手段21により検知した水位が衣類の量ごとに決められた所定の水位になるまで給水し、モータ9を駆動して内槽4を回転させる。このとき、排水弁18と切換弁19は閉じている。
【0034】
このことにより、内槽4内の水の外周部分は、遠心力により上昇する。これに伴い、内槽4と外槽3の間の水は外槽3の内壁に沿って上昇した後、内槽4の上部から内槽4内に散水され、循環することになる。これにより、内槽4内では洗剤を含んだ水が衣類40を通過することになり洗浄される。
【0035】
その後、排水弁18を開いて排水し、再度給水して、洗い行程と同様にして衣類をすすぐすすぎ行程を経て、脱水行程では、衣類40が入った内槽4を高速で回転させることによって生じる遠心力により、衣類40が内槽4の内壁に押しつけられることになり、この遠心力で水分が衣類40から分離されて脱水される。
【0036】
乾燥行程では、切換弁19を開いた状態で、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれる。
【0037】
このとき、衣類40は、内槽4の回転により内槽4とともに回転したり、または回転翼5の左右回転により跳ね上げられたり、その後落下したりしている状態であり、内槽4へ送り込まれた温風は、これら衣類の動きの隙間を通るときに衣類から水分を奪い、湿った状態で、内槽4から外槽3の内側へと出た後、下部蛇腹状ホース10を通過し、切換弁19を通過して循環ダクト11へ至る。この流れを、図1では、矢線で示している。
【0038】
湿気を含んだ温風が、外槽3の内壁や循環ダクト11内を通過しているとき、冷却用送風機17による外部空気の流入で、外槽3や循環ダクト11の外壁は冷却されることになり、湿った空気の水分はその内壁に結露し、湿った温風は除湿されて、乾燥用送風機12へと戻る。外槽3の内壁に結露した水分は、切換弁19を通過して、循環ダクト11の内壁に結露した水分とともに排水口41より適宜排出される。そして乾燥行程終了後に、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に終了する。
【0039】
つぎに、乾燥行程における制御手段25および回転制御手段30によるモータ9の制御方法について図5を参照しながら説明する。
【0040】
図5は、乾燥行程における各行程の流れを示すフローチャートであり、洗濯行程が終了して乾燥行程に入ると、まず、ステップ100で、洗濯行程の最後の脱水で衣類が内槽4内に張り付いているので、これをはがし、そして十分にほぐして、衣類の空気との接触面積が大きくなるようにするために布はがし行程を行う。
【0041】
具体的には、回転翼5を1秒オン、2秒オフの時限で、右回転、左回転を5往復行う。こうすることにより、脱水時に内槽4内に張り付いていた衣類が内槽4からはがれ、そして、衣類の布かさが増して空気との接触面積が大きくなって、以後の乾燥の進行が早くなるようにする。このとき、乾燥行程であるので、乾燥用送風機12の送風とヒータ13の発熱により、上部蛇腹状ホース14、温風噴出孔16を通して内槽4へ乾いた温風が送り込まれ、また冷却用送風機17も駆動している。
【0042】
つぎに、ステップ101からステップ103までで、内槽4を回転させながら乾燥させる槽回転モードと回転翼5を回転させながら乾燥させる回転翼回転モードの時間比率の異なる第1の乾燥行程から第3の乾燥行程を行う。各行程での、運転時間、槽回転の時間、回転翼回転の時間を(表1)に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
行程の時間は、洗濯行程の最初に布量検知手段38で検知された衣類の量に最適な乾燥となるように決めており、「おまかせコース」で、第1の乾燥行程は衣類の量が3〜4kgの場合に96分で、槽回転の時間15分に対して回転翼回転の時間は1分であるため、回転翼回転の時間比率は約6%である。第2の乾燥行程は50分で、槽回転の時間4分に対して回転翼回転の時間は1分であるため、回転翼回転の時間比率は20%であり、第3の乾燥行程は100分で、回転翼回転の時間比率は100%であり、行程の進行とともに回転翼回転の時間比率が高くなるようにしている。
【0045】
また、衣類に温風が集中したり、しわや傷みをなくするために、第1の乾燥行程では、16分毎、第2の乾燥行程では、5分ごとに回転翼回転の時限として、1秒オン、2秒オフの強い回転翼の回転を1往復入れて衣類を上下左右に入れ換えている。
【0046】
また、衣類の偏りをなくすために、第1の乾燥行程、第2の乾燥行程とも回転翼5の回転時間を0.3秒オン、2.7秒オフの弱い回転を9往復している。
【0047】
また、衣類の乾燥率が90%を越えると衣類のしわやからみが進行しないために回転翼回転100%としている。
【0048】
図6は、乾燥用送風機(送風手段)12の回転数と乾燥性能Dと製品の騒音Nの特性図であり、回転数を上げると乾燥性能はよくなるが、騒音は悪化している。
【0049】
「おまかせコース」、「お急ぎコース」、「お静かコース」などの各コースでの乾燥用送風機12の回転数は異なり、その運転時間、槽回転の時間、回転翼回転の時間を(表1)に示している。
【0050】
乾燥用送風機12の回転数は、使用者が設定したコースで、「おまかせコース」は、5000r/minで、「お急ぎコース」は、6500r/min、「お静かコース」は4000r/minと設定している。
【0051】
また、行程の時間は、洗濯行程の最初に布量検知手段38で検知された衣類の量で最適な乾燥となるように決めており、「お急ぎコース」では、乾燥用送風機12の回転数が高くすることにより乾燥効率が高くなるために、第1の乾燥行程は衣類の量が3〜4kgの場合に96分を60分に、槽回転の時間も15分に対し9分に、第2の乾燥行程は50分を40分に、槽回転の時間も4分に対し3分に、第3の乾燥行程は100分を90分に変更し、行程の進行とともに送風手段の風量を上げるとともに回転翼回転の時間比率が高くなるようにしている。
【0052】
これにより、乾燥循環風量を上げるとともに、衣類の上下左右の移動も多くして「おまかせコース」より60%の時間短縮を図ることができる。
【0053】
また、マニュアル乾燥では、乾燥時間は同じで乾燥率を上げることが可能である。
【0054】
つぎに、「お静かコース」の場合は、乾燥用送風機12の回転数を下げるため風量が下がり、第1の乾燥行程は衣類の量が3〜4kgの場合に96分を200分に、槽回転の時間を15分に対し19分に、第2の乾燥行程は50分を100分に、槽回転の時間4分に対し10分に変更し、行程の進行とともに乾燥用送風機12の風量を上げるとともに回転翼回転の時間比率が高くなるようにしている。
【0055】
これにより、「おまかせコース」より騒音の低下を図り、夜間でも運転可能にすることができる。
【0056】
つぎに、図5のステップ104で、乾燥検知が終了したかどうかを判定し、乾燥検知していればステップ105へ移行する。乾燥行程中の温度検知手段22で検知される循環風温度は、図7に示すように変化する。すなわち、乾燥行程が始まると、乾燥用送風機12、ヒータ13が作動し、循環経路を温風が循環する。温風噴出孔16から内槽4へ吹き出された温風は、回転翼5によって撹拌される湿った衣類に吹き付けられて、効率的な乾燥を行う。
【0057】
さらに、衣類から水分を奪って多湿になった温風は、循環ダクト11を通過するとき、冷却用送風機17によって送られる送風によって、循環ダクト11の壁面を介し熱交換を行う。このとき冷やされて結露点に達した温風は、循環ダクト11の内壁面に結露水を形成する。
【0058】
図7に示す恒率乾燥期の期間は衣類からの蒸発水分量が一定(平衡状態)であり、冷却風による冷却効果は凝縮という状態変化に費やされ、循環ダクト11の壁面温度および温度検知手段22で検知される循環風温度は平衡状態を保ったままとなる。さらに乾燥が進行し減率乾燥期に入って、衣類からの蒸発水分量が徐々に減少し、循環風の温度が上昇し
ていくので、恒率乾燥期に温度検知手段22で検知される温度TaよりΔTだけ上昇すれば乾燥終了検知する。
【0059】
そして、ステップ105で、乾燥用送風機12、冷却用送風機17を駆動する送風行程を行った後に、ステップ106で乾燥を終了する。
【0060】
なお、本実施例では、槽回転モードと回転翼回転モードの時間比率の異なる3つの乾燥行程で乾燥運転を制御するようにしたが、これは3行程に限らず、それ以上の行程に分けてきめ細やかに制御すればより一層の効果がある。
【0061】
また、各行程の時間や、各行程における槽回転の時間、回転翼回転の時間、槽回転の回転数、回転翼回転の時限は、本発明における一実施例であり、これらの数値に限定されるものではない。
【0062】
また、回転翼回転の強さを変える方法として、モータ9のオン時間を変えるようにしたが、これはモータ9の回転数を変えるようにしても同等の効果を得ることができる。
【0063】
また、駆動手段として直流ブラシレスモータを使用し、インバータ制御するようにしたが、これはインダクションモータであってもよい。
【0064】
(実施例2)
図2に示す制御手段25は、布質判定手段39で判定した衣類の布質に基づいて、各行程の時間を決めるようにしている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0065】
上記構成において動作を説明する。まず、各コースを実施する布質判定行程における各行程の流れを図8を参照しながら説明する。
【0066】
ステップ120で洗濯を開始し、ステップ121では、布量検知手段45が位置検出手段31aからの信号を入力することにより、モータ9をオフしたときのロータの惰性回転量を検知することにより、内槽4内に投入された衣類の量を検知する。つぎにステップ122で、水位検知手段21により検知した水位が衣類の量ごとに決められた所定の水位になるまで給水する。
【0067】
そして、ステップ123で、回転制御手段30を介して回転翼5を例えば2秒オン、1秒オフの時限で左右反転させ、この撹拌を1分間行う。そして、ステップ124で、水位検知手段21からの信号を入力して、撹拌前からの水位の低下量を測定し、ステップ125で、布質判定手段46は布量検知手段45で検知された衣類の量に応じて水位低下量の程度を判定し、水位低下量が小さければ化繊が多め、水位低下量が大きければ綿が多めと判定するようにして、ステップ126で次行程に進む。
【0068】
図9は、衣類の量ごとに決められた所定の水位に達してからの1分間の撹拌で水位の低下の概略を示したもので、詳細には撹拌のオン、オフに同期して変動している。初期水位がhiで、綿が多い場合cは、時間tm(撹拌時間より長い時間で例えば1分5秒)での低下量が大きいhcとなり、化繊多めの場合aは逆に低下量が小さいhaとなる。これは、撹拌により衣類が吸水するためで、化繊は吸水率が低く、綿は吸水率が高いためである。なお、bは標準衣類の場合である。
【0069】
つぎに、制御手段25により布質判定手段39で判定した衣類の質に基づき、乾燥の各行程の時間を補正する方法について説明する。
【0070】
(表1)に示したように、制御手段25は、布量検知手段38で検知した衣類の量に基づき、第1の乾燥行程から第3の乾燥行程の時間を決定するが、さらに布質判定手段39で判定した衣類の質に基づき、各行程の時間を(表2)に示すように補正する。
【0071】
【表2】
【0072】
これは例えば、衣類の量が3〜4kgである場合に、標準的な衣類の第1の乾燥行程から第3の乾燥行程の時間は順に96分、50分、100分であるが、化繊多めの場合は72分、38分、80分と短めに補正し、逆に、綿多めの場合は120分、62分、120分と長めに補正する。
【0073】
このように補正することにより、衣類の種類が異なっても行程が切り換わるときの乾燥度合いをほぼ一定にすることができるので、布からみに起因するしわの発生を低減することができ、また乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0074】
つぎに、制御手段25が布質判定手段39で判定した衣類の質に基づき、乾燥中の回転翼回転の強さを変える方法について説明する。
【0075】
(表1)では、標準的な衣類の場合の回転翼回転時限を示したが、さらに制御手段25は、布質判定手段39で判定した衣類の質に基づき、回転翼回転時限を(表3)に示すように変える。
【0076】
【表3】
【0077】
これは、綿が多めの場合は、標準時限よりオン時間を長くして強くすることにより、上下左右に洗濯物を入れ換えることができ、洗濯物にまんべんなく温風を当てている。一方、化繊が多めの場合は、標準時限よりオン時間を短くしている。
【0078】
また、衣類の量に応じて各行程の時間を変えることにより、衣類の量に適した乾燥時間で乾燥を終了している。
【0079】
また、布質判定手段39の判定結果に基づいて、回転翼回転の強さを変え、洗濯物の綿が多めの場合は、例えば標準時限よりもオン時間を長くし、上下左右に洗濯物を入れ換え、洗濯物にまんべんなく温風を当て、乾燥むらがなく効率よく乾燥している。
【0080】
また、温度検知手段22を乾燥用送風機12の出口とヒータ13との間に設けて循環風の温度を検知するようにし、恒率乾燥期に温度検知手段22で検知される温度TaよりΔTだけ上昇すれば乾燥終了検知しているので、衣類の量や周囲温度に応じた乾燥時間で終了する。
【0081】
このように本実施例によれば、簡単な構成で精度良く布質を判定することが可能となり、しかも洗濯行程の当初に布質を判定することができ、洗濯物の布質に応じて乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、標準運転コースであ
る第1の運転コース、前記第1の運転コースよりも乾燥時間を短くした第2の運転コース、および前記第1の運転コースよりも運転音を抑えた第3の運転コースのいずれかの運転コースを選定する入力設定手段と、前記入力設定手段からの情報で前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、使用者が選択した運転コースにより前記送風手段を制御し、前記第2の運転コースにおける風量を最大とし、次に前記第1の運転コース、前記第3の運転コースの順で循環風量を下げ、かつ前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードとの時間比率を、前記第2の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を多くするとともに、前記第3の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を少なくしたから、送風手段の風量を抑えることで、乾燥時間は長くなるが送風手段から発生する音を小さくすることができて、夜間でも運転することができ、また、送風手段の風量を多くすることで、騒音は大きくなるが乾燥時間を短くできる。
【0083】
さらに、たとえば「お急ぎコース」のほうが「おまかせコース」や「お静かコース」よりも衣類を上下左右に入れ換え、乾燥循環風量を上げることができ、衣類の上下左右の移動も多くして乾燥時間の短縮を図ることができる。なおかつ、たとえば「お静かコース」では、「おまかせコース」や「お急ぎコース」よりも騒音の低下が図れ、夜間でも運転可能にすることができる。
【0084】
また、請求項2に記載の発明によれば、内槽内の衣類の量を検知する布量検知手段を備え、制御手段は、前記布量検知手段で検知した衣類の量に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにしたから、衣類の量に応じて各行程の時間を変えることにより、衣類の量に適した乾燥時間で乾燥を終了することができ、また乾燥むらがなく、そしてしわの発生を抑えた乾燥を実現することができる。
【0085】
また、請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、使用者が選択した運転コースにより回転翼回転の強さを変えるようにしたから、衣類の種類が異なっても、上下左右に衣類を入れ換えることができるようになり、衣類にまんべんなく温風を当てられるので乾燥むらがなく、効率よく乾燥することができる。
【0086】
また、請求項4に記載の発明によれば、内槽内の衣類の布質を判定する布質判定手段を備え、制御手段は、前記布質判定手段で判定した衣類の布質に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにしたから、衣類の布質に応じて乾燥むらがなく効率よく乾燥することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の洗濯乾燥機の縦断面図
【図2】 同洗濯乾燥機の要部ブロック回路図
【図3】 同洗濯乾燥機のモータの駆動方法を示すタイミングチャート
【図4】 同洗濯乾燥機の操作表示部の正面図
【図5】 同洗濯乾燥機の乾燥行程を示す要部フローチャート
【図6】 同洗濯乾燥機の乾燥送風手段の回転数の乾燥性能と騒音の特性図
【図7】 同洗濯乾燥機の循環風の温度変化を示すタイムチャート
【図8】 本発明の第2の実施例の洗濯乾燥機の布質判定方法を示す要部フローチャート
【図9】 同洗濯乾燥機の水位変化を示すタイムチャート
【符号の説明】
1 筐体
3 外槽
4 内槽
5 回転翼
9 モータ(駆動手段)
12 乾燥用送風機(送風手段)
13 ヒータ(加熱手段)
17 冷却用送風機(冷却送風手段)
25 制御手段
26 入力設定手段
Claims (4)
- 筐体内に弾性的に吊支した外槽と、回転中心軸を鉛直方向に有し前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に設けた回転翼と、前記内槽または回転翼を駆動する駆動手段と、前記内槽内に循環風を送風する送風手段と、前記送風手段により送風される空気を加熱する加熱手段と、前記筐体内部に外部から冷却風を導入する冷却送風手段と、標準運転コースである第1の運転コース、前記第1の運転コースよりも乾燥時間を短くした第2の運転コース、および前記第1の運転コースよりも運転音を抑えた第3の運転コースのいずれかの運転コースを選定する入力設定手段と、前記入力設定手段からの情報で前記駆動手段、送風手段、加熱手段、冷却送風手段等の動作を制御して乾燥行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、使用者が選択した運転コースにより前記送風手段を制御し、前記第2の運転コースにおける風量を最大とし、次に前記第1の運転コース、前記第3の運転コースの順で循環風量を下げ、かつ前記内槽を回転させながら乾燥する槽回転モードと前記回転翼を回転させながら乾燥する回転翼回転モードとの時間比率を、前記第2の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を多くするとともに、前記第3の運転コースのほうが前記第1の運転コースよりも前記回転翼回転モードの時間比率を少なくした洗濯乾燥機。
- 内槽内の衣類の量を検知する布量検知手段を備え、制御手段は、前記布量検知手段で検知した衣類の量に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにした請求項1記載の洗濯乾燥機。
- 制御手段は、使用者が選択した運転コースにより回転翼回転の強さを変えるようにした請求項1または2に記載の洗濯乾燥機。
- 内槽内の衣類の布質を判定する布質判定手段を備え、制御手段は、前記布質判定手段で判定した衣類の布質に基づいて、乾燥行程の時間を決めるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
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