JP4551036B2 - 過電圧保護装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に低電圧電源（低電圧幹線）に応用可能な過電圧保護装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
低電圧電源（例えば４００ボルト未満）から給電される利用者回路の保護には、５０Ｈｚまたは６０Ｈｚの交流（ＡＣ）電源（幹線）の２本の配線間に、一方で温度ヒューズ回路遮断要素と、他方でガス放電アレスタと直列に装着した、金属酸化物型、特に酸化亜鉛型のバリスタを使用するのが普通である。図１は、そのような装置を表す概略図である。電源（幹線）の右側部分が過電圧から保護しようとする部分であり、この電源の配線１と２の間に、ガス放電アレスタ３と、バリスタ４と、要素５が溶断した後に、効果的な断線を確実にするためにスプリング６から引張力を受けるようにした、温度ヒューズ要素５とが直列に装着される。
【０００３】
このような装置は、理論的に以下のように作動する。ガス放電型アレスタ３は、事実上ＡＣ電源電圧の全域に耐える。実際上、バリスタ４の漂遊容量が数ナノファラッドであるのに対して、アレスタ３の漂遊容量は数ピコファラッドである。過電圧が発生すると、この過電圧がガス放電アレスタ３のストライクを発生させ、これを消弧することのできるのは、アレスタを流れる２次電流と呼ばれる電流が、その後に十分に小さくなった時だけである。この２次電流に制限を加えて、ガス放電アレスタ３を消弧するのが、バリスタ４の抵抗である。
【０００４】
過電圧保護装置がある回数作動すると、その構成部品が寿命の終わりに達する。ガス放電アレスタの場合は、寿命の終わりは短絡発生と一致する。対照的にバリスタの場合は、寿命の終わりは爆発として現われる。安全対策として、ガス放電アレスタは、過電圧に関連するエネルギー・パルスを運び去る能力が、バリスタよりも小さくなるように設計する。こうすることで、ガス放電アレスタが最初に寿命の終わりに達し、短絡を起こすことになる。
【０００５】
そうすると、電源の電圧はバリスタ４に完全に転送され、このバリスタが、温度ヒューズ要素５を加熱、溶断させて、保護装置を温度切断、つまり使用不能状態にさせる。
【０００６】
このような装置は満足に作動するが、それは限られた電圧範囲内においてのみである。この理由は、バリスタが効果的にガス放電アレスタの停止を確保するには、その定格電圧は、主電源の定格電圧と非常に近くなくてはならないからである。さらに、バリスタの定格電圧が高すぎると、温度切断をトリガするのに必要な発熱に到達せず、装置の作動安全が確保されなくなる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、広い電圧範囲、例えば１８０Ｖから３３０Ｖの間で作動可能な過電圧安全装置を提供し、実際的に全世界各国で、その役割を果たせるようにすることである。
【０００８】
本発明の別の目的は、ガス放電アレスタを消弧する機能が、温度切断機能と分離されている過電圧安全装置を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本願発明の主題は、低電圧電源に応用可能な過電圧保護装置において、２本の電源線の間に、ガス放電アレスタ、バリスタ、および装置を確実に温度切断するための温度ヒューズ要素を備える過電圧保護装置であって、前記バリスタと並列に、ガス放電アレスタが短絡した後に、温度ヒューズの発熱を引き起こして装置の温度切断をトリガする、抵抗器を設け、この抵抗器が最低使用電圧で装置の温度切断をトリガするように設定されていることを特徴とする過電圧保護装置である。
【００１０】
この過電圧保護装置は、広い電圧範囲において低電圧電源に有利に応用可能である。バリスタは、最高使用電圧までガス放電アレスタを消弧するように設定されている。
【００１１】
本発明の他の特徴は、添付の図面を参照した以下の記述から明らかとなる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
図２は、並列に装着され、かつ電極１５、１６、１７によって隔離され、さらに２つのストリップ１８と１９の間に保持されている、４つのバリスタ１１、１２、１３、１４のアセンブリを示している。有利には、２つのストリップの一方にガス放電アレスタを装着し、他方に温度ヒューズ要素を装着する。
【００１３】
図３において、図１と同じ要素は、同じ参照番号をつけてある。
本発明に従って、抵抗器７は、バリスタ４と並列に装着されている。この抵抗器は、数百オーム、例えば４００オームの抵抗値を有する。
【００１４】
バリスタ４が、図２に示すように、いくつかのバリスタを並列にしたアセンブリで構成される場合には、バリスタの１つ（１１）を、同じディメンジョンの抵抗器７で置き換えることができる。この抵抗器７は固定式であるか、または負もしくは正の温度係数を有してもよい。この目的は、温度ヒューズ要素５による温度切断をトリガする発熱を引き起こして、装置の寿命が終了後、すなわちガス放電アレスタ３の短絡発生後に、装置を使用不能にすることである。
【００１５】
したがって、意図する作動電圧範囲、例えば１８０Ｖから３３０Ｖにおいて、バリスタは使用最高電圧（３３０Ｖ）までガス放電アレスタを消弧するように設定され、一方で抵抗器は、作動範囲の最低電圧（１８０Ｖ）で温度切断をトリガできるように設定されることになる。
【００１６】
抵抗器７をバリスタ４と並列に配置することによって、ガス放電アレスタの停止と、温度切断のトリガという２つの機能を分離することが可能となる。
【００１７】
この説明を通して、ガス放電アレスタという表現を用いてきた。
この表現は、エアギャップ・アレスタ、サージ・アレスタ、または避雷器の概念をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 既知タイプの過電圧保護装置の実施形態の１例を表す概略図である。
【図２】 並列に装着したバリスタ群の実施形態の分解組立図である。
【図３】 本発明による過電圧保護装置の実施形態の１例を表す概略図である。
【符号の説明】
１，２…電源の配線、３…ガス放電アレスタ、４…バリスタ、５…温度ヒューズ要素、６…スプリング、７…抵抗器、１１，１２，１３，１４…バリスタ、１５，１６，１７…電極、１８，１９…ストリップ。

Claims (2)

1. 低電圧電源に応用可能な過電圧保護装置において、２本の電源配線（１、２）間に、ガス放電アレスタ（３）と、バリスタ（４）と、装置の温度切断を確実に行うための温度ヒューズ要素（５）とを備える過電圧保護装置であって、前記バリスタ（４）と並列に、ガス放電アレスタ（３）が短絡した後に、温度ヒューズ要素（５）の発熱を引き起こして装置の温度切断をトリガする、抵抗器（７）を設け、該抵抗器（７）が最低使用電圧で装置の温度切断をトリガするように設定されていることを特徴とする過電圧保護装置。
2. 広い電圧範囲で低電圧電源に応用可能な過電圧保護装置であって、バリスタ（４）がガス放電アレスタ（３）を最高使用電圧まで消弧するように設定されていることを特徴とする請求項１に記載の過電圧保護装置。

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