JP4547853B2 - 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4547853B2
JP4547853B2 JP2002293876A JP2002293876A JP4547853B2 JP 4547853 B2 JP4547853 B2 JP 4547853B2 JP 2002293876 A JP2002293876 A JP 2002293876A JP 2002293876 A JP2002293876 A JP 2002293876A JP 4547853 B2 JP4547853 B2 JP 4547853B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer electrolyte
fuel cell
gas
battery
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002293876A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003123812A (ja
JP2003123812A5 (ja
Inventor
久朗 行天
輝壽 神原
誠 内田
一仁 羽藤
修 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2002293876A priority Critical patent/JP4547853B2/ja
Publication of JP2003123812A publication Critical patent/JP2003123812A/ja
Publication of JP2003123812A5 publication Critical patent/JP2003123812A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4547853B2 publication Critical patent/JP4547853B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、民生用コジェネレーションや移動体用の発電器として有用な燃料電池、特に高分子電解質を用いた高分子電解質型燃料電池とその特性回復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素などの燃料と空気などの酸化剤ガスとをガス拡散電極で電気化学的に反応させ、電気と熱を同時に供給するものである。燃料電池には、用いる電解質の種類によりいくつかのタイプがある。電解質に高分子を用いた高分子電解質型燃料電池は、−CF2−を主鎖骨格として、スルホン酸を側鎖の末端に導入した高分子電解質膜の裏表の両表面に、上述の高分子電解質のディスパージョン溶液に白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を混合した電極ペーストを塗布乾燥することで、空気電極と燃料極とをする。空気極と燃料極との外側には、通常カーボンペーパーなど、導電性の多孔質体を電極基材とし、空気および燃料ガスの拡散層として配置する。このとき、上述のカーボンペーパーに電極ペーストを塗布し、これに電解質膜を接合することもある。
【0003】
この外側には、電極と電解質膜との接合体を機械的に固定するとともに、隣接する接合体を互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板を配置する。セパレータ板には、電極に反応ガスを供給し、水素と酸素との反応で生成した水や余剰ガスを運ぶためのガス流路を形成する。ガス流路や電極の周囲にはガスケットやシール剤などのシール部材を配置し、反応ガスが直接混合することや外部へ漏逸するのを防止する。
【0004】
これを発電装置として用いるときは出力電圧を高めるため、高分子電解質層、ガス拡散電極層、セパレータ板、ガス流路などからできた単セルを複数個積層するのが通例である。それぞれのガス流路は、マニホルドを通じて外部から水素などの燃料ガスと空気とをガス拡散電極に供給する。電極反応層で発生した電流は電極基材で集電され、セパレータ板を経て外部に取り出す。セパレータ板には、導電性があり、ガス気密性と耐食性を兼ね備えたカーボン材料を用いることが多い。しかし、成形加工性・低コスト性に加え、セパレータの薄型化が容易であるという観点からステンレスなどの金属材料を用いたセパレータも検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の高分子電解質は水を含有した状態で水素イオンの伝導性を有するため、燃料電池に供給する燃料ガスを加湿することが一般的に行われている。また、空気極では電池反応により水が生成するため、電池の内部では常に水が存在している。その結果、電池を長い期間運転すると電池の構成材料であるカーボン材料やシール材料、樹脂材料、金属材料に含まれるイオン性の不純物や無機不純物、有機不純物が溶出する。また、電池外部から供給する空気には大気汚染物質、例えば微量の窒素酸化物や硫黄酸化物が含有されており、また、燃料ガス中にも水素精製機に含まれる金属酸化物が痕跡量混入することもある。これらの不純物は電解質膜や空気極や燃料極中の触媒反応層などに蓄積し、高分子電解質の導電性低下や、触媒反応の活性の低下をもたらす。その結果、長期にわたる電池の運転中に徐々に電池性能が低下する。また、セパレータ板に金属を用いた場合では、ここから溶出した金属イオンにより、電解質膜や触媒反応層へのダメージがさらに著しくなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため本発明の高分子電解質型燃料電池の運転方法は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の運転方法であって、前記高分子電解質型燃料電池を、通常運転時の1.5倍以上の電流での運転モードで前記燃料電池内に存在する不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されるに足る所定時間運転すること、または、前記高分子電解質型燃料電池を、単電池あたりの出力電圧が0.2V以下になる電流での運転モードで前記燃料電池内に存在する不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されるに足る所定時間運転することを特徴とする。
【0007】
本発明の高分子電解質型燃料電池の特性回復方法は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の特性回復方法であって、前記高分子電解質型燃料電池を、通常運転時の1.5倍以上の電流での運転モードで運転することにより、電池内の不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されること、または、前記高分子電解質型燃料電池を、単電池あたりの出力電圧が0.2V以下になる電流での運転モードで運転することにより、電池内の不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
上述のような高分子電解質型燃料電池で用いる電解質のイオン導電性は、ポリマー主鎖にペンダントした側鎖の、先端にあるスルホン基の水素イオンによって発現する。ところが、鉄やナトリウムなどの金属イオンが不純物として存在すると、これが水素イオンと置換し、電解質膜のイオン導電性が低下する。また、電解質中に浸入した金属イオンは水和状態が水素イオンとは異なるため、電解質の含水率が低下し、これにより電解質膜のイオン導電性が低下する。このようなイオン導電性の低下や含水率の低下は、電池の直流抵抗成分の増大になるばかりではなく、電極中の触媒反応層の反応面積を低下させるため、さらに電池性能が低下する。また、上述の金属イオンは、触媒表面に接着したり、酸化物を形成して触媒をシールすることで、電池性能の低下を生む。さらにアニオン性不純物として、硫黄酸化物は触媒を被毒することで電池性能を低下させ、また窒素酸化物イオンやカルボン酸イオンは酸性物質として構成部材を腐食変質させる。
【0010】
このような汚染イオンは、通常運転状態では電池内の特定部位に高濃度で存在している。例えば上述の金属イオンは、電解質膜と電極層との界面や、電極内部に練り込んだ高分子電解質部分に、高濃度で分布している。アニオン性の不純物に由来する酸性物質は、ガス拡散層となる電極基材やセパレータ板表面への集積が進む。これらの金属イオン、カチオンアニオン性不純物やアニオン性不純物は、通常の運転状態では電池外へ排出されることがないため、電池性能が徐々に低下する原因となる。
【0011】
電池内に存在するイオン性不純物は、そのイオン種により動きやすいものと動きにくいものがある。しかし、いずれにしても電池内に流れる電流とともに、一定の割合で移動していく。この点を利用し、電池を通常運転時(例えば定格運転時)より、電流密度を1.5倍以上として負荷を取ると、集積した不純物イオンの分布が変わり、電解質から追い出されて、電極反応の生成水に混じって電池外へ排出することが出来る。
【0012】
また、燃料極と空気極とでガスの供給を入れ替え、電流方向を逆転させると、不純物イオンが浸入してきた方向へ逆に移動させ排出することが出来る。
【0013】
また、反応ガスを加圧したり酸化性ガスとして酸素を用いることで、不純物イオンの移動と排出を促進することが出来る。
【0014】
また、電解質内の不純物イオンは、水素イオンと置換する形で外部へ排出されるので、電解質や電極を酸性液で洗浄すると外部へ排出することが出来る。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に適する実施例を具体的に説明する。
【0016】
(実施例1)
アセチレンブラック系カ−ボン粉末に、平均粒径約30Åの白金粒子を25重量%担持したものを反応電極の触媒とした。この触媒粉末をイソプロパノ−ルに分散させた溶液に、パーフルオロカーボンスルホン酸の粉末をエチルアルコールに分散したディスパージョン溶液を混合し、電極用ペーストとした。
【0017】
一方、厚さ300ミクロンのカーボンペーパーをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性ディスパージョンに浸し、乾燥処理を行うことで撥水性の多孔質電極基材を得た。この多孔質電極基材の片面に前記電極用ペーストを塗布・乾燥することで電極とした。次に、一対の前記電極で、電極用ペーストを塗布した面を内側にして、高分子電解質膜を挟み、これを110℃の温度で30秒間ホットプレスすることにより、電解質・電極接合体(MEA)を作製した。ここでは高分子電解質膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を50μmの厚さで膜化したもの(ヂュポン社製ナフィオン)を用いた。
【0018】
多孔質電極基材としては上述のカーボンペーパーの他にも、可撓性を有する素材としてカーボン繊維を織ったカーボンクロス、さらにはカーボン繊維とカーボン粉末を混合し有機バインダーを加えて成型したカーボンフェルトを用いることもできる。
【0019】
つぎに、セパレータ板として、カーボン粉末材料を冷間プレス成形したカーボン板に、フェノール樹脂を含浸・硬化させガスシール性を改善した樹脂含浸カーボン板を用い、これに切削加工でガス流路を形成した。ガス流路の周辺部には、ガス供給・排出用と、電池の温度を制御するための冷却水を供給・排出するためのマニホルド孔を設けた。また、上述のカーボン製セパレータの他に、SUS304製の金属板に、ガス流路とマニホルド孔を形成した金属セパレータも用意した。
【0020】
電極面積を25cm2としたMEAの周囲に、ガスシール材となるシリコンゴム製のガスケットを配し、SUS304製の集電板を介して、両端から20kgf/cm2の圧力で電池を加圧締結した。
【0021】
実用上の電池は、冷却水流路を刻んだセパレータを挟んで、複数個の単電池を積層して用いるのが一般的である。しかし、前述の汚染イオンが異なるセル間で移動することは少ないと考え、本実施例での評価は単電池で行った。このようにして作成した単電池に、空気側および水素側に加湿したガスを供給するためのガス供給系、電池から取り出す負荷電流を設定調節する電気出力系、さらには電池温度を調整し、排熱を有効活用する熱調整系を取り付け、本実施例の高分子電解質型燃料電池とした。
【0022】
以上の方法で作成した燃料電池に対して、以下の運転条件を通常モードとして駆動し、その結果、電池性能が初期に比べて低下したものに対して、本発明の特性回復方法の有効性を評価した。まず、取り出す電流密度を0.6A/cm2とした。つぎに、供給した燃料ガスおよび酸化剤ガスに対して、どれだけの割合のガスが実際に電極反応をするかを表す指標であるガス利用率を、燃料極側では70%、空気側では30%とした。また、電池の温度を75℃とするように冷却水を調整した。そして、供給ガスとしては純水素と空気を用い、供給圧力は空気側を0.2kgf/cm2,水素側を0.05kgf/cm2とし、ガスの出口は大気開放とした。
【0023】
この条件で電池システムを駆動した結果、セパレータ板としてカーボン製のものを用いたものも、SUS304を用いたものも、いずれも連続500時間の運転で性能が低下してきた。そこで、電流を0.8A/cm2に増加し、この条件で20時間の運転を行った。この後に電流を再度0.6A/cm2に戻して、電池の運転を行ったが、性能の改善はあまり見られなかった。そこで再び、電流を1.0A/cm2に増加し、この条件で20時間運転することで、汚染イオンの除去・排出による電池性能回復処理を試みた。さらに1.5A/cm2、2.0A/cm2でも同様に汚染イオンの除去・排出を試みた。それらの電池連続試験の結果を図1に示した。
【0024】
図1に於いて、電流密度を1.0A/cm2に増やした処理を行うと、カーボンセパレータを用いた電池では電池電圧が570mVが590mVまで回復し、SUS304セパレータを用いたものでは530mVが580mVまで性能が回復した。また、電流密度を1.5A/cm2、2.0A/cm2としたものも、それぞれ同様に電池電圧が改善された。
【0025】
以上の処理で、出力電流を上げた際の、電池から排出される水の分析を行ったところ、SUS304セパレータを用いた電池では鉄イオンを、また、カーボンセパレータを用いた電池ではフェノール成分を検出した。この結果は即ち、長期駆動により電池内部に蓄積された汚染イオンを、本発明の処理で除去・排出することが出来、これにより電池性能を回復することが出来たことを実証したものである。
【0026】
以上は、連続運転により劣化した電池の性能の回復処理を、電流密度を変化させるということで行い、当初の目的を実現できることを確認した。そこで、電池の性能を回復させるための処理として、電流負荷を増大させ、単セルの出力電圧を0.2V以下にした状態で一定時間保持した後、通常の運転状態に戻すことで行った。その結果、このような処理方法をもちいても上述と同様に、出力電圧の回復を図ることが出来ることを見出した。
【0027】
つぎに、連続500時間の運転で電圧が低下した電池を、取り出す電流の向きを逆転させることによる電池性能回復処理を試みた。すなわち、通常運転(出力電流=0.6A/cm2)時に、水素を流していた燃料極側に空気を送り、空気を供給していた空気極側に水素を供給した状態で、出力電流の方向を反対にして0.6A/cm2で20時間運転した。その後、もとの通常運転モードに戻した。このような処理を行うと、カーボンセパレータ電池は、電池電圧が570mVから585mVに回復し、また、SUS304セパレータ電池は、530mVが565mVに回復することを見いだした。
【0028】
このように、負荷電流の大きさや方向を変える処理や、供給ガスの逆転処理を行うと、電池内部に蓄積した汚染物質を、排出ガスや排出水に混入して排除することが出来、その結果、電池性能を回復することが出来た。
【0029】
また、供給ガスの導入方向を変えること、すなわち通常運転における反応ガス(空気、水素)の排出口からガスを供給することでも、電池の性能を回復することが出来た。さらに、この電池性能の回復効果は、空気に代えて純酸素を導入したり、加圧した反応ガスを用いて処理を行うことにより促進出来ることも見いだした。
【0030】
(実施例2)
つぎに、実施例1で作成したものと同一の燃料電池を用いて、性能が劣化した電池中に存在する汚染イオンを、強制的に洗浄することで、その濃度を低減し、電池の特性を回復する試みを行った。
【0031】
まず、上述の燃料電池を実施例1で記載した通常運転モードで500時間連続運転し、電池の電圧が初期から低下した時、運転を停止した。つぎに、この電池を純水中で1時間煮沸することで、反応ガスの供給ガス流路を通じて沸騰した純水を電池内部に循環させた。この操作の後、再び通常運転モードで運転した結果、カーボン製セパレータを用いた電池では、電池電圧が570mVから580mVに回復し、また、SUS304セパレータを用いた電池では、530mVから555mVに出力電圧が回復した。
【0032】
(実施例3)
実施例2に記載した処理では、電池の洗浄に沸騰水を用いたが、本実施例では、pH2とpH1の希硫酸を用いて洗浄した。実施例1で作成したものと同一の燃料電池を、実施例1と同じ通常運転モードで運転した後、運転を停止し、この電池に対して、反応ガスの供給口(空気側・水素側)に、チューブを介して希硫酸を導入し、排出口から排出した。2時間の希硫酸による洗浄の後、純水を導入して十分に洗浄し、排出口から出てくる洗浄水のpHが5以上になるまで洗浄した。
【0033】
この操作の後、再び通常運転モードで運転した結果、カーボン製セパレータを用いた電池では580mVから588mVまで出力電圧が回復し、SUS304セパレータの電池では555mVから572mVまで出力電圧が回復した。
【0034】
以上の処理では、洗浄液として弱酸性の希硫酸を用いたが、弱アルカリ製すなわちpH9程度の洗浄液を用いると、若干の洗浄効果は確認できたものの、大きな回復は認められなかった。以上の結果を図2に示した。
【0035】
このように、電池内部を洗浄液で洗浄することにより、電池の性能を回復できることを見いだした。その際、より高い温度で洗浄することで回復効果が高くなることも確認した。また、実施例1で行った高電流密度運転による回復処理と、弱酸性洗浄水による洗浄を併用すると、電池電圧の回復がさらに促進出来ることも見いだした。また、弱酸性洗浄液として希酢酸や硫酸アンモニウムを用いても、同等の効果を有することも確認した。
【0036】
以上の実施例1、2および3で示した本発明の効果を、電池本体の構成要素であるセパレータ材料の違いからまとめると、金属セパレータを用いた電池は、長時間の運転中にセパレータから溶出する金属イオンにより、電池性能が低下するが、高電流運転や弱酸性洗浄水による洗浄により、電池内部に蓄積した金属イオンを除去することで、電池の特性を回復することが出来た。
【0037】
一方、カーボンセパレータを構成要素とする電池は、金属セパレータほど金属イオンや各種のカチオンの溶出は発生しないが、灰化分析によると微量の鉄やカルシウムがセパレータ中に含まれていることが判明した。したがって、電池を長期運転しても金属セパレータを用いた電池ほどの性能低下はないが、含有されている金属イオンによる若干の性能低下がある。加えてカーボンセパレータのガス気密性を高めるために混合する樹脂から溶出する有機物や、空気中に含まれる痕跡量の硫黄化合物や窒素酸化物により、500時間の連続試験後は性能が30mVほど低下したものと考えられる。カーボンセパレータを用いた電池に対しても、本発明の回復処理が有効であった。
【0038】
本発明の実施要件をまとめると、まず高分子電解質型燃料電池としては電気出力系に、負荷電流や出力電圧を調整する手段を有すること、あるいはガスの供給系としてはガス流路に洗浄液を導入して電池内部を直接洗浄可能な手段を有すること、また運転方法としては一定期間の経過後あるいは一定期間運転後もしくは電池性能の劣化後、負荷電流や出力電圧を調整したり、電池内部を洗浄すること、さらに搭載機器としては上記の電池、ガス供給系、熱調整系、電気出力系に加えて燃料改質系、制御系、充電器系などが加わったシステム、例えば燃料電池搭載の電気自動車やコジェネレーションシステムやポータブル電源システムなどがある。
【0039】
【発明の効果】
本発明によると、高分子電解質型燃料電池の長期運転による性能低下を効果的に回復することが出来、その結果、高い耐久性を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である電池性能の回復特性を示した図
【図2】本発明の他の実施例である電池性能の回復特性を示した図

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の運転方法であって、
    前記高分子電解質型燃料電池を、通常運転時の1.5倍以上の電流での運転モードで前記燃料電池内に存在する不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されるに足る所定時間運転することを特徴とする高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  2. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の運転方法であって、
    前記高分子電解質型燃料電池を、単電池あたりの出力電圧が0.2V以下になる電流での運転モードで前記燃料電池内に存在する不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されるに足る所定時間運転することを特徴とする高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  3. 前記運転モードにおいて、前記酸化剤ガスまたは前記燃料ガスの導入方向を変えることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  4. 前記運転モードにおいて、前記酸化剤ガスまたは前記燃料ガスを通常運転時より加圧して供給することを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質型燃料電池の運転方法。
  5. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の特性回復方法であって、
    前記高分子電解質型燃料電池を、通常運転時の1.5倍以上の電流での運転モードで運転することにより、電池内の不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されることを特徴とする高分子電解質型燃料電池の特性回復方法。
  6. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで配置した燃料極および空気極と、前記空気極に酸化剤ガスを供給排出し、燃料極に燃料ガスを供給排出するガス流路を有する一対のセパレータ板とで構成した単電池を積層した電池本体部と、前記電池本体部へ前記酸化剤ガスと燃料ガスとを供給排出する手段と、前記電池本体部で発生した電力の取出しを制御する手段と、電池特性回復手段とを具備する高分子電解質型燃料電池の特性回復方法であって、
    前記高分子電解質型燃料電池を、単電池あたりの出力電圧が0.2V以下になる電流での運転モードで運転することにより、電池内の不純物イオンが電極反応の生成水に混じって外部に排出されることを特徴とする高分子電解質型燃料電池の特性回復方法。
  7. 前記運転モードにおいて、前記酸化剤ガスまたは前記燃料ガスの導入方向を変えることを特徴とする請求項5または6に記載の高分子電解質型燃料電池の特性回復方法。
  8. 前記運転モードにおいて、前記酸化剤ガスまたは前記燃料ガスを通常運転時より加圧して供給することを特徴とする請求項5または6に記載の高分子電解質型燃料電池の特性回復方法。
JP2002293876A 2002-10-07 2002-10-07 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法 Expired - Fee Related JP4547853B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002293876A JP4547853B2 (ja) 2002-10-07 2002-10-07 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002293876A JP4547853B2 (ja) 2002-10-07 2002-10-07 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26297199A Division JP3475869B2 (ja) 1999-09-17 1999-09-17 高分子電解質型燃料電池とその特性回復方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003123812A JP2003123812A (ja) 2003-04-25
JP2003123812A5 JP2003123812A5 (ja) 2009-08-20
JP4547853B2 true JP4547853B2 (ja) 2010-09-22

Family

ID=19197220

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002293876A Expired - Fee Related JP4547853B2 (ja) 2002-10-07 2002-10-07 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4547853B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4038723B2 (ja) 2003-05-21 2008-01-30 アイシン精機株式会社 固体高分子型燃料電池の賦活方法
ITMI20031972A1 (it) * 2003-10-14 2005-04-15 Nuvera Fuel Cells Europ Srl Cella a combustibile a membrana con funzionamento stabile nel tempo
JP2006307017A (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Polyplastics Co 導電性樹脂組成物
JP5151035B2 (ja) 2006-02-03 2013-02-27 日産自動車株式会社 燃料電池システム
JP2008077911A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Nissan Motor Co Ltd 燃料電池システム
JP5871756B2 (ja) * 2012-09-13 2016-03-01 日立造船株式会社 アルカリ形燃料電池の活性化方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6077365A (ja) * 1983-10-03 1985-05-01 Fuji Electric Corp Res & Dev Ltd 燃料電池の運転方法
WO1999034465A1 (en) * 1997-12-23 1999-07-08 Ballard Power Systems Inc. Method and apparatus for operating an electrochemical fuel cell with periodic fuel starvation at the anode
JPH11345624A (ja) * 1998-06-01 1999-12-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池の作動方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6077365A (ja) * 1983-10-03 1985-05-01 Fuji Electric Corp Res & Dev Ltd 燃料電池の運転方法
WO1999034465A1 (en) * 1997-12-23 1999-07-08 Ballard Power Systems Inc. Method and apparatus for operating an electrochemical fuel cell with periodic fuel starvation at the anode
JPH11345624A (ja) * 1998-06-01 1999-12-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 燃料電池の作動方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003123812A (ja) 2003-04-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100429040B1 (ko) 고분자 전해질형 연료전지의 특성회복방법
US8795918B2 (en) Single fuel cell and fuel cell stack
KR101601378B1 (ko) 연료 전지 관리 방법
CN102170005B (zh) 恢复pem燃料电池堆的电压损失的方法和过程
JP3606514B2 (ja) 積層型燃料電池システム
US7955745B2 (en) Fuel cell system and activation method for fuel cell
CN102044689B (zh) 原地燃料电池组再生
JP2002289230A (ja) 高分子電解質型燃料電池
JP2002270196A (ja) 高分子電解質型燃料電池およびその運転方法
JP4547853B2 (ja) 高分子電解質型燃料電池の運転方法および特性回復方法
EP2639869B1 (en) Operation method of polymer electrolyte fuel cell system and polymer electrolyte fuel cell system
JP2004172105A (ja) 燃料電池システムの運転方法および燃料電池システム
JP2021177484A (ja) 高分子電解質膜型燃料電池の過充電保護用可逆シャント
JP6981883B2 (ja) 燃料電池のエージング方法
JP2011086398A (ja) 燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法
EP2157643B1 (en) Polymer electrolyte fuel cell
JP2002025565A (ja) 高分子電解質型燃料電池用電極とその製造法
CN103825035A (zh) 堆电压恢复程序
Apblett et al. Fabrication and testing of a miniature H2/O2 and MeOH/O2 fuel cell
JP6973003B2 (ja) 固体高分子型燃料電池のエージング方法
JP2019129017A (ja) 燃料電池のエージング方法
JP2004273209A (ja) 燃料電池の運転方法および燃料電池の運転システム
JP2011086399A (ja) 燃料電池システム及び燃料電池システムの運転方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060831

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060831

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090707

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100615

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100628

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees