JP4547836B2 - ポリアミドフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は帯電防止性、透明性、耐ピンホール性に優れるポリアミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドフィルムは一般機械物性、熱的特性、バリヤー性はもちろんのこと、包装材料分野で重要視される耐衝撃性、耐摩耗性および耐ピンホール性に優れていることから、幅広い分野に使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリアミドフィルムは、電気抵抗率が高く、帯電しやすいため、帯電した電気を漏洩することができず、表面にほこりが付いたり、静電気に起因する種々の障害が発生する。
これらの欠点を改良する方法として、界面活性剤等を表面に塗布または、ポリアルキレンオキサイドのような吸水性の化合物やアルキルアミンのような低分子型帯電防止剤を樹脂に練り込む方法が知られている。しかし、界面活性剤、ポリアルキレンオキサイドやアルキルアミンのような帯電防止剤は、初期の帯電防止性には優れるもののブリードアウトしやすく且つ耐水性が悪いため、長期間に渡り帯電防止性効果が持続しないという欠点を有している。
【0004】
帯電防止効果の持続性を向上させる方法として、ポリアミドとポリオキシアルキレングリコールを主成分とするポリエーテルエステルアミドエラストマーを、熱可塑性樹脂に配合する方法が提案されている。(特開昭60−23435号公報及び特開昭60−170646号公報)。これら先行文献には、フィルム用途に関する具体的な技術開示や示唆がなされていない。
【0005】
一方、ポリアミドフィルムと内容物の密着した際に、ポリオレフィン系フィルムと比較して弾性率が高く、硬いため、内容物の表面形状への追従性が悪く、フィルム折り畳み部(屈曲部)において、内容物との摩擦等によりピンホールが生じ易いという問題を有していた。
さらに、近年冷凍技術が発達してきたことにより、食品包装後10℃以下の低温雰囲気で扱われることが多くなっている。上記特性中においても事実上最も重要視される耐ピンホール性、柔軟性についてはその温度依存性が顕著であり、10℃以下のような低温雰囲気での使用において、ピンホールによる充填物の漏れ出しなどのトラブルが発生し、実用上必ずしも満足するものではなかった。ナイロンフィルムを10℃以下のような低温雰囲気での使用を可能とするための改善方法として、ポリアミドと、ポリエーテル成分としてポリオキシテトラメチレングリコールを用いたポリエーテルエステルアミドエラストマーかなるポリアミドフィルムが提案されている(特開平5−230365)。しかしながら、上記の方法においては10℃以下の低温雰囲気下の耐ピンホール性は改善されているものの、透明性に関しては、ポリアミドフィルム本来の透明性を損なってしまう。またフィルムの透明性を実用上問題のないレベルに保持するため、帯電防止性については、不十分であるというのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、静電気に起因する種々の障害を防止する帯電防止性、低温度下や摩擦に対する耐ピンホール性に優れ、かつポリアミドフィルム本来の透明性を保持したポリアミドフィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の問題点を解決するポリアミドフィルムの開発を目的に鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と特定のポリエーテルエステルアミドエラストマーを配合した組成物よりなるポリアミドフィルムが帯電防止性、耐ピンホール性、透明性に優れていることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(A)ポリアミド樹脂70〜99.5重量%と、
(B)(a)ラクタム、アミノカルボン酸及び、ジアミンとジカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド形成単位と、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸からなるポリアミドハードセグメント、
(b)数平均分子量300〜5000の下記一般式(1)で示される芳香環含有ポリエーテルよりなるソフトセグメント、及び
(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物
からなり、かつ(a)と(b)の合計重量に対して、(c)が0.01〜5重量%含有されてなるポリエーテルエステルアミドエラストマー30〜0.5重量%
とを含むポリアミド樹脂組成物よりなるポリアミドフィルム
【0009】
【化2】
Figure 0004547836
(式中、Zはビスフェノール類、単環二価フェノール類、ジヒドロキシビフェニル類、ジヒドロキシナフタレン類およびビナフトール類から選ばれる二価フェノール類の残基、QおよびRは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数を表す。)
を提供するものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用される(A)ポリアミド樹脂は、3員環以上のラクタム、アミノ酸、またはジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合などの公知の方法で重合、または共重合することにより得られる。
【0011】
3員環以上のラクタムとしては、例えば、ε―カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α―ピロリドン、α―ピペリドンなどを挙げることができる。アミノ酸としては、例えば、6―アミノカプロン酸、7―アミノヘプタン酸、9―アミノノナン酸、11―アミノウンデカン酸、12―アミノドデカン酸などを挙げることができる。
【0012】
ナイロン塩を構成するジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミンなどの脂環式ジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等を挙げることができる。
【0013】
ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4'−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0014】
本発明において、これら3員環以上のラクタム、アミノ酸、またはジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単一重合体または共重合体を各々単独または混合物の形で用いる事ができる。
【0015】
使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66(ナイロン6とナイロン66のコポリマー、以下、コポリマーは同様に記載)、ナイロン6/69、ナイロン6/610、ナイロン6/611、ナイロン6/12、ナイロン6/612、ナイロン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン6/66/610、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/612、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T/6Iなどが挙げられる。好ましいポリアミド樹脂としては、得られる成形品の耐熱性、機械的強度、透明性や経済性、入手の容易さなどを考慮して、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/66/12である。
【0016】
(A)ポリアミド樹脂は、JIS K 6810に準じて測定した相対粘度が、2.0〜5.0、好ましくは、2.5〜4.5である。ポリアミド樹脂の相対粘度が2.0より小さい場合、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が低くなる。また、5.0より大きくなると、溶融時の粘度が高くなり、フィルムの成形が困難となる。
【0017】
なお、(A)ポリアミド樹脂の末端基の種類およびその濃度や分子量分布には特別の制約は無い。
分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのアミンや酢酸、ステアリン酸、安息香酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのカルボン酸などである。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が2.0〜5.0の範囲になるように、適宜決められる。
【0018】
本発明で使用されるポリアミド樹脂については、更に、JIS K6810に規定する低分子量物の含有量の測定方法に準じて測定した水抽出量が1%以下、好ましくは0.5%以下になるようにすることが好ましい。水抽出量が多いと、ダイ付近へのオリゴマー成分の付着が著しく、これら付着物によるダイラインやフィッシュアイの発生により外観不良が生じ易い。さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので、事前に乾燥し水分含有率が0.1重量%以下とするのが好ましい。
【0019】
本発明に使用される(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーは、(a)ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド形成単位と、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸からなるポリアミドハードセグメント、及び(b)数平均分子量300〜5000の下記一般式(1)で示される芳香環含有ポリエーテルよりなるソフトセグメント、及び(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物からなり、かつ(a)と(b)の合計重量に対して、(c)が0.01〜5重量%含有されてなる。
【0020】
【化3】
Figure 0004547836
(式中、Zはビスフェノール類、単環二価フェノール類、ジヒドロキシビフェニル類、ジヒドロキシナフタレン類およびビナフトール類から選ばれる二価フェノール類の残基、QおよびRは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数を表す。)
【0021】
(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーのハードセグメントは、両末端基にカルボキシル基を有するポリアミドであり、(a)ラクタム、アミノカルボン酸、、ジアミンとジカルボン酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド形成単位と脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種以上のジカルボン酸からなる。(a1)ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。(a2)アミノカルボン酸としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。(a3)ジアミンとジカルボン酸の塩のうち、ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、または芳香族ジアミンが挙げられる。ジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、または芳香族ジカルボン酸が挙げられる。上記例示したものは単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。これらのうち好ましいものは、カプロラクタム、ラウロラクタム、12−アミノドデカン酸およびアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの塩であり、特に好ましいものはカプロラクタムである。
【0022】
(a4)ジカルボン酸は、分子量調整剤として使用し、この存在下に上記ポリアミド形成単位を常法により開環重合あるいは重縮合させることによって両末端カルボキシル基を有するポリアミドが得られる。(a4)ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム、3−スルホイソフタル酸カリウム等の3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。上記例示したものは単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。これらのうち好ましいものは脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩であり、特に好ましいものはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
【0023】
該(a)の数平均分子量は、通常500〜5,000、好ましくは500〜3,000である。数平均分子量が500未満ではポリエーテルエステルアミドエラストマー自体の耐熱性が低下し、5,000を超えると反応性が低下するためポリエーテルエステルアミドエラストマー製造時に多大な時間を要する。
【0024】
(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーのソフトセグメントは、(b)芳香環含有ポリエーテルからなり、(b)芳香環含有ポリエーテルは前記一般式(1)で示される化合物である。該式(1)において、Zは二価フェノール類(b1)の残基、QおよびRは炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(b2)由来のオキシアルキレン基である。
【0025】
(b1)二価フェノール類としては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、オルシン、ウルシオールなどの単環フェノール類;ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、ビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタンなどのビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのヒドロキシビフェニル類;1,5−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類、ビナフトール類などのナフタレン核を有するもの等が挙げられる。これらのうち好ましいものはビスフェノール類であり、特に好ましいものはビスフェノールAである。
【0026】
(b2)アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−もしくは1,4−ブチレンオキサイドおよびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。これらのうちエチレンオキサイドが、ポリエーテルエステルアミドエラストマーの制電性が優れる観点から好ましい。
【0027】
本発明における(b)芳香環含有ポリエーテルを構成する芳香族環含有ポリエーテルジオールは、上記(b1)に(b2)を公知の方法、例えばアルカリ触媒存在下、100〜200℃の温度で付加反応させることにより製造することができる。(b2)の付加モル数は通常1〜50モル、好ましくは2〜20モルである。
【0028】
該(b)の数平均分子量は、通常300〜5,000、好ましくは500〜3,000、さらに好ましくは1600〜3000である。300未満では帯電防止性が不十分となり、5,000を超えると反応性が低下するためポリエーテルエステルアミドエラストマー製造時に多大な時間を要する。
【0029】
本発明の(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーを構成する(b)の使用量は、前記(a)と(b)の合計重量に基づいて通常20〜80重量%、好ましくは25〜75重量%の範囲である。(b)の量が20%未満では(B)の帯電防止性が劣り、80重量%を超えると(B)の耐熱性が低下するために好ましくない。
また、必要により(b)と共にポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド等)を併用してもよい。これらを併用する場合の使用量は特に制限はないが、耐熱性および熱可塑性樹脂への分散性の観点から、(b)の量に対して通常30重量%以下である。
【0030】
(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーの製法は特に限定されるものではないが、例えば下記製法▲1▼または製法▲2▼を例示することができる。
製法▲1▼:(a1)、(a2)及び(a3)の少なくとも1種と(a4)ジカルボン酸を反応させて(a)を形成せしめ、これに(b)を加えて、高温、減圧下で重合反応を行う方法。製法▲2▼:(a1)、(a2)及び(a3)の少なくとも1種と(a4)ジカルボン酸と(b)を同時に反応槽に仕込み、水の存在下または非存在下に、高温で加圧反応させることによって中間体として(a)を生成させ、その後減圧下で(a)と(b)との重合反応を行う方法。
【0031】
上記の重合反応には、通常、公知のエステル化触媒が使用される。該触媒としては、例えば三酸化アンチモンなどのアンチモン系触媒、モノブチルスズオキシドなどのスズ系触媒、テトラブチルチタネートなどのチタン系触媒;テトラブチルジルコネートなどのジルコニウム系触媒;酢酸ジルコニル、酢酸亜鉛などの有機酸金属塩系触媒などが挙げられる。触媒の使用量は、(a)と(b)の合計重量に対して通常0.1〜5重量%である。
【0032】
(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーの相対粘度(0.5重量%m−クレゾール溶液、25℃)は、通常1.2〜3.0、好ましくは1.3〜2.5である。相対粘度が1.2未満では耐熱性が悪く、3.0を超えると成形性が低下する。
【0033】
さらに、本発明に使用される(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物は、本発明のポリアミドフィルムの耐ピンホール性を低下させることなく、帯電防止性能を向上させることができる。
【0034】
このアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、有機酸、過塩素酸、チオシアン酸、硫酸、炭酸、ハロゲン化水素、リン酸、ホウ酸のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属塩などであり、単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。これらの中でもアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる金属塩が好ましい。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる金属塩としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウムなどを挙げることができる。
特に好ましくは、塩化カリウム、塩化ナトリウムである。
【0035】
(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加する方法としては、組成物中に効果的に分散させるため、(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーに予め分散させておくことが望ましく、特に(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーの製造時に予め添加し分散させることことが望ましい。ここで、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下にポリアミドエラストマーを製造するには、該エラストマーの重合前、重合中、あるいは重合後エラストマーの分離・回収前に、該アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を一括または分割して添加すればよい。また、このアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加方法としては、そのまま添加してもよく、重合成分にあらかじめ溶解して添加してもよく、さらには別の溶媒に溶解して添加してもよい。
【0036】
(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の使用量は、本発明の(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマー中に、0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜3重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。その使用量が0.01重量%未満では帯電帯電防止性能が劣り、一方5重量%を超えるとフィルムの表面外観が劣るものとなる。
【0037】
次に、本発明のポリアミドフィルムは、上記の(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーとを特定の割合で混合した原料樹脂組成物を成形することにより製造される。
本発明の(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーの配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計量に基づき、該(A)成分が70〜99.5重量%、(B)成分が30〜0.5重量%である。好ましくは(A)成分が75〜98重量%、(B)成分が25〜2重量%である。(B)成分が0.5重量%より少ない場合には、帯電防止性、耐ピンホール性の改良効果が小さい。一方、30重量%を越えると耐熱性が悪化し、また、それに見合う効果の向上が期待できず、経済的に不利となるばかりでなく、均一な厚みのフィルムが得られなくなる場合がある。
【0038】
上記原料樹脂組成物の調製方法としては、必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合することによって製造される。例えば、タンブラーやミキサーを用いて、成形時にポリアミド樹脂原料に直接添加するドライブレンド法、成形時に使用する濃度で予めポリアミド樹脂原料に一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練する練り込み法、あるいは予め高濃度でポリアミド樹脂原料に一軸または二軸の押出機を用いて練り込み、これを成形時に希釈して使用するマスターバッチ法などが挙げられる。
【0039】
また、本発明のポリアミドフィルムの原料ポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、フィラー、核剤、可塑剤、発泡剤、ブロッキング防止剤、防雲剤、難燃剤、染料、顔料、安定剤,カップリング剤などを含有することができる。
【0040】
本発明の原料ポリアミド樹脂組成物に帯電防止効果を更に向上させる目的で、非イオン性、アニオン性、カチオン性もしくは両性の界面活性剤を含有させてもよい。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキサイド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットおよびソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩類などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩類などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などがが挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいものはアニオン性界面活性剤であり、特に好ましいものはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類である。上記例示したものは単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。
【0041】
本発明の原料ポリアミド樹脂組成物に耐ピンホール性を更に向上させる目的で、フィルムの透明性を損なわない範囲内で、オレフィン系共重合体、およびその変性物やエラストマーを含有させることができる。オレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸系共重合体、アイオノマー重合体等が挙げられる。エラストマーとしては、本発明の範囲外のポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエステルアミド等のポリアミド系エラストマー、両末端にポリスチレン相、ゴム中間相として水素添加型ポリオレフィンをもちポリスチレン相が架橋点を担っているブロック共重合体であるスチレン系エラストマー等が挙げられる。上記例示したものは単独で使用しても良く、あるいは二種類以上を適宜組合せて使用してもよい。
【0042】
本発明のポリアミドフィルムは、原料ポリアミド樹脂組成物を使用して、公知のフィルム製造方法を適用し、製膜することができる。例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは未延伸の状態で使用できるが、延伸フィルムとして使用してもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、同時二軸延伸フィルム、逐次二軸延伸フィルムなどであり、これらは、ロール式一軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法、テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法など公知の延伸方法によって製造される。また、延伸工程はポリアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。
【0043】
延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によって異なるが、通常、一軸延伸フィルムの場合、1.5〜5倍、好ましくは、1.8〜3.5倍である。また、テンター式二軸延伸フィルムは、通常、フィルム製造の巻取方向(縦方向)の延伸倍率は1.5〜4倍、巻取方向と直角の方向(横方向)の延伸倍率は1.5〜5倍である。チューブラー法で延伸する場合、縦方向1.5〜4倍、横方向1.5〜4倍である。
【0044】
上記方法により延伸されたフィルムは、引続き熱処理をする。熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として該樹脂組成物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。
熱処理操作により、充分に熱固定された延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取る。
【0045】
実験室的には、卓上延伸機(例えば岩本製作所社製や東洋精機社製等)を使用して延伸フィルムを得ることができる。この場合、工業的に生産されている延伸フィルムと同等の物性を得るためには、延伸前の余熱温度を60〜90℃、延伸倍率を2.5〜4.0倍、ヒートセット温度を190℃〜220℃程度で延伸を行えばよい。
【0046】
本発明に係るポリアミドフィルムは、耐油性、透明性、耐ピン性、帯電防止性に優れ、単独での利用価値が高いが、これに他の熱可塑性樹脂を積層することにより、さらに多くのフィルム特性を付加させることが可能である。具体的には本発明のポリアミドフィルムの原料樹脂組成物からなる層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層等を積層して多層積層体として用いることもできる。この時、本発明のポリアミドフィルムを表層に用いることにより、充分な帯電防止効果が発揮できる。
該積層体を製造するに当たっては、該樹脂組成物の層の片面又は両面に他の基材を積層するのであるが、積層方法としては、例えば該樹脂組成物のフィルムに熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材に該樹脂組成物を溶融押出する方法、該樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、更には本発明の樹脂組成物のフィルムと他の基材のフィルムとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等が挙げられる。共押出法としては、共押出シート成形、共押出キャスティングフィルム成形、共押出インフレーションフィルム成形などが挙げられる。
【0047】
積層される熱可塑性樹脂としては直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどの広義のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアクリルニトリル、ポリカーボネート、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。
【0048】
本発明の樹脂組成物から一旦フィルムを得、これに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルムを接着剤を用いてラミネートする場合、前記の熱可塑性樹脂以外に任意の基材(紙、金属箔、無延伸、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
【0049】
このような積層フィルムは積層する熱可塑性樹脂の種類によってフィルム特性は変わり、例えばポリオレフィン樹脂を積層すると水蒸気透過率を著しく低下せしめることができ、またポリエステルを積層すると耐熱性が著しく改良され高温レトルト処理にも十分耐えるようになる。さらに、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリメタキシリレンアジパミドを積層すると、酸素透過率を低下せしめることができる。
【0050】
さらに、本発明のポリアミドフィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤付与性を高めるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの表面処理を行うことができる。また、必要に応じて、このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシールなどの二次加工工程を経てそれぞれの目的とする用途に使用することができる。
【0051】
本発明のポリアミドフィルムの厚みは、用途により適宜決定すればよく特に制限されないが、ポリアミドフィルムの厚さは、厚ければポリアミドフィルムの強度は向上するが、透明性や耐ピンホール性は低下するので、これらを勘案すれば、ポリアミド単層フィルムの場合には、5〜100μmの範囲で選ぶのがよく、さらに好ましくは10〜80μm、特に好ましいのは10〜60μmの範囲である。また、積層フィルムの場合には、ポリアミド樹脂層としての厚さを2〜100μmの範囲で選ぶのがよく、さらに好ましくは5〜80μm、特に好ましいのは5〜60μmの範囲である。
【0052】
本発明のポリアミドフィルムは、次のような特徴を有する。本発明で使用される(A)ポリアミド樹脂のみより得られるポリアミドフィルムおよび、これと同一の(A)ポリアミド樹脂と特定の(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーからなる原料樹脂組成物より得られるポリアミドフィルムにおいて、ASTM D−1003に準拠し測定したヘイズ値をそれぞれ、α,α’、MIL−B−131Cに準拠して測定した、0℃下で1000回の屈曲テスト後のピンホール数をそれぞれβ,β’、23℃、相対湿度60%で3日間状態調節したのち、絶縁抵抗計を用いて、印加電圧500V、30秒の条件にて測定した表面固有抵抗値をそれぞれγ,γ’としたとき、1.0≦α’/α<2.5, 0≦β’/β<0.5, 10- <γ’/γ<10- の条件を満たす。好ましくは、1.0≦α’/α<2.0, 0≦β’/β<0.2, 10- <γ’/γ<10- である。
すなわち、本発明のポリアミドフィルムは、特定のポリエーテルエステルアミドエラストマーを含有することにより、耐ピンホール性、帯電防止性が向上し、さらに、ポリアミドフィルム本来の透明性をほぼ保持する。
【0053】
【実施例】
以下において実施例および比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。実施例において使用したポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、及び評価フィルム作成方法、各種の評価方法を示す。
【0054】
[使用したポリアミド樹脂、ポリエーテルエステルアミドエラストマー]
(A−1)ナイロン6:宇部興産株式会社製 UBE NYLON 1022B,相対粘度3.6)
(A−2)ナイロン6/66:宇部興産株式会社製 UBE NYLON 5034B,相対粘度4.4)
(A−3)ナイロン6/12:宇部興産株式会社製 UBE NYLON 7034B,相対粘度4.4)
(A−4)ナイロン12:宇部興産株式会社製 UBE NYLON 3030XA,相対粘度3.0)
(B−1)ポリエーテルエステルアミドエラストマー:三洋化成株式会社製 ペレスタットNC6321,ε−カプロラクタムとアジピン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびカリウムおよびナトリウムを原子換算でそれぞれ500ppm、200ppm含有するポリエーテルエステルアミドエラストマー)
(B−2)ポリエーテルエステルアミドエラストマー:ダイセル・ヒュルス株式会社製 Vestamido E40−S3,ω−アミノドデカン酸とドデカジオン酸、ポリオキシテトラメチレングリコールからなるポリエーテルエステルアミドエラストマー)
【0055】
[評価用フィルムの作成]
(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーを二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30型)に供給し、押出機設定温度250℃、スクリュー回転数100rpmの条件で、溶融混練して、造粒し、乾燥した。このペレットをTダイを備えた単軸押出機(プラスチック工学研究所製、Plaborφ40Ex型)に供給し、押出機設定温度250℃、スクリュー回転数40rpm、冷却ロール温度30℃の条件に設定して、厚さ120μmのポリアミドフィルムを製造した。次いで、未延伸フィルムから縦150mm、横150mmのサンプルを切出し、岩本製作所製二軸延伸機に取付け、延伸温度70℃で同時二軸延伸を行い、縦2.8倍、横2.8倍に延伸した後、210℃で熱固定して、二軸延伸フィルムを作成した。この二軸延伸フィルムからサンプルを切出し、評価用の延伸フィルムとした。
【0056】
[帯電防止性]
表面固有抵抗
上記の評価フィルムを23℃、相対湿度60%で3日間状態調節したのち、横河ヒューレット・パッカード(株)製、4329A型、絶縁抵抗計を用いて、23℃、相対湿度60%の雰囲気下、印加電圧500V、30秒の条件にて表面固有抵抗を測定した。
【0057】
帯電圧半減期
上記の評価フィルムを23℃、相対湿度60%で3日間状態調節したのち、シシド静電気(株)製、スタチックオネストメータH-0110を用いて、23℃、相対湿度40%の雰囲気下、印加電圧10kV、試料間距離20mmの条件にて、帯電圧半減期を測定した。
【0058】
[透明性]
透明性の尺度であるヘイズはASTM D−1003に準じ、スガ試験機製の直読ヘイズコンピューター(HGM−2DP)を使用して測定した。
【0059】
[耐ピンホール性(繰り返し屈曲疲労テスト)]
理学工業製恒温槽付ゲルボフレックステスターにより、MIL−B−131Cに準じ、0℃下で1000回の屈曲テストを行った後、そのフィルムに生じるピンホールの個数をサンコウ電子製ピンホール探知器を使用して測定した。
【0060】
実施例1〜6
表1に示した配合組成のポリアミド樹脂組成物を、前記の方法で評価用延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの表面固有抵抗、帯電圧半減期、ヘイズ、ピンホール数を測定した。その結果を表1に示す。
【0061】
比較例1
ポリアミド樹脂組成物の代りに、ポリアミド樹脂のみを用いた以外は実施例1と同様に、前記の方法で評価用延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの表面固有抵抗、帯電圧半減期、ヘイズ、ピンホール数を測定した。その結果を表1に示す。
【0062】
比較例2〜3
ポリアミド樹脂組成物を表1記載の割合で配合した以外は実施例1と同様に、前記の方法で評価用延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの表面固有抵抗、帯電圧半減期、ヘイズ、ピンホール数を測定した。その結果を表1に示す。
【0063】
比較例4〜5
ポリエーテルエステルアミドエラストマーを本特許の条件に満足しない(B−2)に変えた以外は実施例1と同様にして、前記の方法で延伸フィルムを得た。これらの延伸フィルムの表面固有抵抗、帯電圧半減期、ヘイズ、ピンホール数を測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004547836
【0065】
実施例1〜3において得られたフィルムのヘイズ、ピンホール数、表面固有抵抗の測定値と、比較例1において得られたフィルムのヘイズ、ピンホール数、表面固有抵抗の測定値を用いて、それぞれの比を求めた。
また、同様に比較例4〜5において得られたフィルムのヘイズ、ピンホール数、表面固有抵抗の測定値と比較例1において得られたフィルムのヘイズ、ピンホール数、表面固有抵抗の測定値を用いて、それぞれの比を求めた。その結果を表2に示す。
本発明の条件を満たすポリエーテルエステルアミドエラストマー含有の原料樹脂組成物からなるポリアミドフィルムは、前記記載の式(2)を満たすが、本発明の条件を満たさないポリエーテルエステルアミドエラストマーを使用したポリアミドフィルムは、耐ピンホール性には優れているが、ヘイズ比、および表面固有抵抗比については、前記記載の式(2)を満たさず、透明性、帯電防止性については劣っている。
【0066】
1251
【表2】
Figure 0004547836
【0067】
【発明の効果】
本発明のポリアミドフィルムは、特定のポリエーテルエステルアミドエラストマーを特定量配合することにより、帯電防止性、耐ピンホール性に優れ、かつ今まででは考えられないようなポリアミドフィルム本来の透明性を保持している。従来のポリアミドとポリエーテルエステルアミドエラストマーからなるフィルムにおいて、耐ピンホール性と透明性のバランスを考慮することにより、ポリエーテルエステルアミドエラストマーの配合量が制限されていた。一方、本発明のポリアミドフィルムは、特定のポリエーテルエステルアミドエラストマーを用いることにより、透明性、耐ピンホール性という二律背反の特性に優れ、かつ、帯電防止能を有する成分を多く含有することが可能となり、帯電防止性に優れる。よって、ピンホールの発生や静電気の発生、蓄積という問題のため、今まで制限されてきたポリアミドフィルムの使用範囲が拡大することとなり、利用価値は大きい。

Claims (4)

  1. (A)JIS K 6810に準じて測定した相対粘度が2.0〜5.0であるポリアミド樹脂7〜9重量%と、(B)(a)ε-カプロラクタムからなるポリアミド形成単位と、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸からなるポリアミドハードセグメント、(b)数平均分子量300〜5000の下記一般式(1)で示される芳香環含有ポリエーテルよりなるソフトセグメント、及び(c)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物からなり、かつ(a)と(b)の合計重量に対して、(c)が0.01〜5重量%含有されてなるポリエーテルエステルアミドエラストマー25重量%とを含むポリアミド樹脂組成物よりなる二軸延伸ポリアミドフィルム。
    Figure 0004547836
    (式中、Zはビスフェノール類、単環二価フェノール類、ジヒドロキシビフェニル類、ジヒドロキシナフタレン類およびビナフトール類から選ばれる二価フェノール類の残基、QおよびRは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数を表す。)
  2. (A)ポリアミド樹脂が、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム、アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩の群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド形成単位からなる単独重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  3. (B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーの(b)ソフトセグメントの芳香環含有ポリエーテルが、ビスフェノール類のエチレンオキサイド付加物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  4. 請求項1記載の(A)ポリアミド樹脂のみより得られるフィルムおよび、これと同一の(A)ポリアミド樹脂と(B)ポリエーテルエステルアミドエラストマーを用いたポリアミド樹脂組成物より得られる請求項1記載のポリアミドフィルムにおいて、ASTM D−1003に準拠し測定したヘイズ値をそれぞれ、α,α’、MIL−B−131Cに準拠し測定した、0℃下で1000回の屈曲テスト後のピンホール数をそれぞれβ,β’、23℃、相対湿度60%で3日間状態調節したのち、絶縁抵抗計を用いて、印加電圧500V、30秒の条件にて測定した表面固有抵抗値をそれぞれγ,γ’としたとき、下記の式(2)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
    Figure 0004547836
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