JP4546884B2 - 加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板 - Google Patents

加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、めっき鋼板に係わり、更に詳しくは優れた加工部耐食性を有し、種々の用途、例えば家電用や自動車用、建材用鋼板として適用できるめっき鋼板に関するものである。
耐食性の良好なめっき鋼板として最も使用されるものに亜鉛系めっき鋼板がある。これらのめっき鋼板は自動車、家電、建材分野など種々の製造業において使用されている。
特にAlを添加しためっきは耐食性が高いため近年使用量が増加している。
こうした亜鉛系めっき鋼板の耐食性を向上させることを目的として本発明者らは、特許第3179446号において溶融Zn−Al−Mg−Siめっき鋼板を提案した。
また、表面の平滑性を向上させることを目的として本発明者らは、特開2003−293108号において高融点の金属間化合物を添加しためっき鋼板、特開2003−328100号においてAl系金属間化合物を添加しためっき鋼板を提案した。
また、上記及びその他これまで開示されためっき鋼板に更に高度な防錆機能を付与させるために、6価クロム酸塩等を用いたクロメート処理をめっき後に施すことが広く行われ、更に必要に応じて意匠性、耐汚染性、潤滑性等の高付加価値機能を付与すべく有機樹脂による被覆が行われたりしていた。
特許第3179446号公報 特開2003−293108号公報 特開2003−328100号公報
しかしながら、近年、環境問題の高まりを背景に、クロメート処理の使用を控える動きがある。そこで、本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、クロメート処理を行わずに樹脂系皮膜の一層処理のみで簡便に高度な防錆機能を付与させることを目的としている。
また、Mgを添加した亜鉛系めっき鋼板は、めっき中に硬くて脆いMgZn2相が晶出するため、Mgを添加した亜鉛系めっき鋼板に厳しい加工を行った場合、めっきにクラックが生じ、これを原因とする加工後の耐食性劣化が起こりやすいという課題を有している。樹脂系皮膜の一層処理のみではめっきに生じたクラックを保護することが難しいため、このような硬くて脆いMgZn2相を含有するめっき鋼板に塗装を行っても、加工後の耐食性劣化が改善できないという課題を有している.
そこで、本発明では、上記クロメート処理を行わずに樹脂系皮膜の一層処理を施しためっき鋼板の加工部耐食性を向上させることも同時に目的としている。
本発明者らは、環境負荷が小さく加工部耐食性が優れためっき鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と〔Al相〕及び〔MgZn2相〕、が混在しためっき層の〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層を表面に有することにより加工部耐食性が向上するという新たな知見を見出し、更に、そのめっき層の上層に水性樹脂と金属酸化物を含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜を設けることで、より高度な耐食性を付与させることができるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
(1)鋼板の片面または両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%及びブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し、残部がZn及び不可避的不純物より構成されるZn合金めっき層を有するめっき鋼板のめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であって、更にそのめっき層の上層に、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、金属酸化物粒子(B)を5〜50質量%含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が形成されていることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(2) 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Si:0.5質量%以下及びブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し、残部がZn及び不可避的不純物より構成されるZn合金めっき層を有するめっき鋼板のめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であって、更にそのめっき層の上層に、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、金属酸化物粒子(B)を5〜50質量%含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が形成されていることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(3)(1)乃至(2)のいずれかに記載の金属間化合物の結晶系が、立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、六方晶のいずれかであることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の金属間化合物の含有量が、1質量%以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(5)ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を結晶核とし、Al相のデンドライトの一次アームが[110]方向に成長していることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(6)水性樹脂(A)が水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(7)金属酸化物粒子(B)がSi、Ti、Al、Zrからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素からなることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(8)水性組成物が、更に、リン酸化合物(C)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.01〜20質量%含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(9)水性組成物が、更に、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(D)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(10)水性組成物が、更に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(E)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする(1)乃至(9)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(11)水性組成物が、更に、バナジウム化合物、タングステン化合物及びモリブデン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の防錆剤(F)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.01〜20質量%含有することを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(12)水性組成物が、更に、ポリフェノール化合物(G)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする(1)乃至(11)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(13)水性組成物が、更に、固形潤滑剤(H)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜30質量%含有することを特徴とする(1)乃至(12)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(14)固形潤滑剤(H)が粒径0.1〜5.0μmのポリオレフィンワックスであることを特徴とする(13)に記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
(15)水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が0.1〜5g/m2の付着量で形成されていることを特徴とする(1)乃至(14)のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
本発明により、めっき中にMgZn2相が晶出した亜鉛系めっき鋼板において、加工部耐食性が優れた表面処理めっき鋼板を製造することが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の表面処理めっき鋼板は鋼板上にめっき層及び樹脂系皮膜層を順次付与させたものである。
本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用でき、鋼種もAlキルド鋼、Ti、Nb等を添加した極低炭素鋼板、およびこれらにP、Si、Mn等の強化元素を添加した高強度鋼、ステンレス鋼等種々のものが適用できる。
本発明のめっき層は、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%、ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し残部がZn及び不可避不純物からなるめっき層であって、そのめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であるか、或いは、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Si:0.5質量%以下、ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し残部がZnおよび不可避不純物からなるめっき層であって、そのめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2Si相〕と〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であることを特徴とする。
Zn−Al−Mg系めっき層においてAlの含有量を4〜10質量%に限定した理由は、Alの含有量が10質量%を超えるとめっき密着性の低下が見られるため、Siを添加していないめっき層中のAlの含有量は10質量%以下にする必要があるためである。また、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、Al層による加工部耐食性向上効果が見られないためである。
従って、本発明におけるめっき層においては、特にAl濃度が10質量%を超えるような高濃度の場合には、めっき密着性を確保するために、めっき層中にSiを添加することが必須である。
一方、Zn−Al−Mg−Si系めっき層において、Alの含有量を4〜22質量%に限定した理由は、4質量%未満では初晶としてAl相が晶出しないため、Al層による加工部耐食性向上効果が見られないためであり、22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和するためである。
Siの含有量を0.5質量%以下(但し、0質量%を除く)に限定した理由は、Siは密着性を向上させる効果があるが、0.5質量%を超えると密着性を向上させる効果が飽和するからである。望ましくは0.00001〜0.5質量%である、さらに望ましくは0.0001〜0.5質量%である。
Siの添加はAlの含有量が10質量%を超えるめっき層には必須であるが、Alの含有量が10%以下のめっき層においてもめっき密着性向上に効果が大きいため、加工が厳しい部材に使用する等、高いめっき密着性を必要とする場合にはSiを添加することが有効である。また、Si添加によりめっき層の凝固組織中に〔Mg2Si相〕が晶出する。
この〔Mg2Si相〕は耐食性向上に効果があるため、Siの添加量を多くし、めっき層の凝固組織中に〔Mg2Si相〕が混在した金属組織を作製することがより望ましい。
Mgの含有量を1〜5質量%に限定した理由は、1質量%未満では耐食性を向上させる効果が不十分であるためであり、5質量%を超えるとめっき層が脆くなって密着性が低下するためである。前述の〔Mg2Si相〕はMgの添加量が多いほど晶出しやすいため、さらなる耐食性向上を目的とした場合、Mgの含有量を2〜5質量%とすることが望ましい。
本めっき層は、〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Zn相〕、〔Al相〕、〔MgZn2相〕、〔Mg2Si相〕、金属間化合物の1つ以上を含む金属組織ができる。
ここで、〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕とは、Al相と、Zn相と金属間化合物MgZn2相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離して現れる。また、該三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によってはさらに少量のMgを固溶したZn固溶体である。該三元共晶組織中のMgZn2相は、Zn−Mgの二元系平衡状態図のZn:約84重量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはSi、その他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるがその量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕と表す。
また、〔Al相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、これは例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当するものである。この高温でのAl″相はめっき浴のAlやMg濃度に応じて固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は常温では通常は微細なAl相と微細なZn相に分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl″相の形骸を留めたものであると見てよい。状態図で見る限りこの相にはSi、その他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられるが通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し且つ形状的にはAl″相の形骸を留めている相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。この〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
また、〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlさらには少量のMgを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、その他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Zn相〕は前記の三元共晶組織を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本発明のめっき層には、製造条件により〔Zn相〕が含まれる場合も有るが、実験では加工部耐食性向上に与える影響はほとんど見られなかったため、めっき層に〔Zn相〕が含まれても特に問題はない。
また、〔MgZn2相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlを固溶していることもある。状態図で見る限りこの相にはSi、その他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔MgZn2相〕は前記の三元共晶組織を形成しているMgZn2相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
また、〔Mg2Si相〕とは、Siを添加しためっき層の凝固組織中に明瞭な境界をもって島状に見える相である。状態図で見る限りZn、Al、その他の添加元素は固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。この〔Mg2Si相〕はめっき中では顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
本発明の表面処理めっき鋼板は、めっき中に硬くて脆いMgZn2相が晶出するため、T曲げのような厳しい加工を行った場合、めっきにクラックが生じ、これを原因とする加工後の耐食性劣化が起こりやすい。
この加工後耐食性を向上させるためには、〔Al相〕中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を添加することが有効である。
ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物をめっき層に添加することにより加工後耐食性が向上する理由は、以下の2つの理由が考えられる。
1.この金属間化合物の添加によりAl相の結晶が微細で均一な等軸晶となり、軟らかいAl相が三元共晶組織、MgZn2相の間に均等に存在し、MgZn2相を伝播するクラックの終点となるため、クラックの成長が抑制される。
2.この金属間化合物の添加によりAl相の結晶が微細で均一な等軸晶となり、等軸晶となったAl相のデンドライトアームが太くなった結果、デンドライトの表面積が減少することによって、腐食が進行し易いAl相と三元共晶組織の界面の面積が減少し、腐食速度が小さくなる。
また、ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物をめっき層に添加することにより、Al相の結晶が微細で均一な等軸晶となる理由は、この格子面がAlの{110}面と整合性が良いためであると考えられる。Alは結晶構造がFCCであるため、{110}面が最も成長し易い。このAlの{110}面と整合性が良い格子面をもつ金属間化合物を添加することにより、この成長し易いAlの{110}面の核生成サイトとして働き、凝固開始時にAl相のデンドライトが[110]方向に多数成長すると考えられる。
ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔を2.57Å以上3.15Å以下に限定した理由は、2.57Å未満、又は3.15Åを超えるとAlの{110}面と整合性が悪くなり、加工部耐食性が低下するためであり、他方の面間隔を3.64Å以上4.46Å以下に限定した理由は、3.64Å未満、又は4.46Åを超えるとAlの{110}面と整合性が悪くなり、加工部耐食性が低下するためである。
また、Alの結晶系は立方晶であるため、金属間化合物の結晶系は、軸角に直角を持つ立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、六方晶のいずれかであることが望ましい。
金属間化合物は少量の添加で効果を発揮し、添加量が多くなるとめっき後の外観が粗雑になる等の外観不良が発生するため、上限は1質量%が望ましい。
本発明者等が多数のめっき中のAl相を調査した結果、大部分のAl相のデンドライトの中心から大きさ数μmの金属間化合物が観察された。さらにEBSP法を用いて金属間化合物とAl相の結晶方位を同定したところ、金属間化合物の格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面とAl相の{110}面が平行であり、Al相のデンドライトが[110]方向に成長していることが確認された。
Al相中に存在する金属間化合物の一例として、Al−Zn−Mg−Si系めっき中のAl相中に存在するTiAl3を図1に示す。このTiAl3は、実際にはSiを固溶しているか化合物中のAlの一部がSiの置き換わっていると考えられるが、電子線回折や菊池パターン等で得られる結晶構造はTiAl3と同一であるため、ここではTiAl3と表す。図1の上段の図は、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真(倍率3000倍)であり、該写真中の各組織の分布状態を図示したものが下段の図である。この図からも解るように、本発明におけるめっき鋼材のめっき層の顕微鏡写真によって明確にAl相を特定することができる。
また、図1の金属間化合物とAl相の電子線回折結果を図2の極点図に示す。極点図より、図1に示したAl相のデンドライトは{110}面が[110]方向に成長していることが解る。また、図2の極点図の位置が良く一致することからAl相の{110}面は、TiAl3の{110}面、{102}面と同じ方位であることが解る。
EBSP法によりAl相とTiAl3の結晶方位を決定した結果、図1のAl相の{110}面は、TiAl3の{110}面、{102}面全てと平行であることが明らかになった。これは、TiAl3の{110}面、{102}面をAl相の核生成サイトとしてAl相のデンドライトが成長した結果であると考えられる。
このようにEBSP法を使用することにより、金属間化合物の特定の格子面とAl相の格子面との整合性を解析することが可能となる。
本発明において金属間化合物の大きさは特に限定しないが、発明者らが観察したものは、大きさ10μm以下であった。また、Al相中の金属間化合物の存在割合も特に限定しないが、過半数を超えるAl相に存在することが望ましい。
金属間化合物の添加方法については特に限定するところはなく、金属間化合物の微粉末を浴中に混濁させる方法や、金属間化合物を浴に溶解させる方法等が適用できる。
本発明におけるめっき層の製造方法については、特に限定することなく、通常の無酸化炉方式の溶融めっき法が適用できる。下層としてNiプレめっきを施す場合も通常行われているプレめっき方法を適用すれば良い。
めっきの付着量については特に制約は設けないが、耐食性の観点から10g/m2以上、加工性の観点から350g/m2以下で有ることが望ましい。
次に本発明の樹脂系皮膜層とは、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、金属酸化物粒子(B)を5〜50質量%含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜である。
上記水性樹脂(A)は、水溶性樹脂のほか、本来水不溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように水中に微分散された状態になりうる樹脂(水分散性樹脂)を含めて言う。
上記水性樹脂(A)の種類としては、特に限定されず、例えば、水性エポキシ樹脂、水性フェノール樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。上記水性樹脂(A)は、1種又は2種以上用いてもよい。また、少なくとも1種の水性樹脂存在下で、少なくとも1種のその他の水性樹脂を変性することによって得られる水性複合樹脂を1種又は2種以上用いてもよい。
上記水性エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物と反応させ、有機酸又は無機酸で中和して得られるものや上記エポキシ樹脂の存在下で、高酸価アクリル樹脂をラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
上記水性フェノール樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、ビスフェノールA、パラキシリレンジメチルエーテル等の芳香族類とホルムアルデヒドとを反応触媒の存在下で付加反応させたメチロール化フェノール樹脂等のフェノール樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物類と反応させ、有機酸又は無機酸で中和することによって得られるもの等を挙げることができる。
上記水性ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類と無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水ハイミック酸等の多塩基酸とを脱水縮合させ、アンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
上記水性ウレタン樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類とヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とを反応させ、さらにジアミン等で鎖延長し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
上記水性アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシシラン(メタ)アクリレート類等の不飽和単量体を、水溶液中で重合開始剤を用いてラジカル重合することによって得られるものを挙げることができる。上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
上記水性オレフィン樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高温高圧下でラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物あるいは上記金属化合物を含有するアンモニアやアミン化合物等で中和し、水分散化させて得られるもの等を挙げることができる。
上記金属酸化物粒子(B)は、樹脂系皮膜層の耐食性を向上させるために配合する。
上記金属酸化物粒子(B)の種類としては、特に限定されず、例えば、Si、Ti、Al及びZrからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素からなるものが挙げられ、更に具体的には、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子等を挙げることができる。上記金属酸化物粒子(B)としては、平均粒子径が1〜300nm程度のものが好適である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属酸化物粒子(B)は上記水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、5〜50質量%含有する。5質量%未満の場合、耐食性の向上効果が小さく、50質量%を超える量では樹脂系皮膜が脆くなり加工部耐食性が低下する。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、リン酸化合物(C)を含有することが好ましい。
上記リン酸化合物(C)を含有させた場合、めっき表面にリン酸塩層を形成して不動態化させ耐食性を向上させる。
上記リン酸化合物(C)としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類及びそれらの塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩;フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等を挙げることができる。塩類のカチオン種としては特に制限されず、例えば、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y、Ni及びZn等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リン酸化合物(C)は上記水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、0.01〜20質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満の場合、含有量が少なく耐食性の向上効果が得られない場合があり、20質量%を超える量では樹脂系皮膜が脆くなり加工部耐食性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(D)を含有することが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(D)を含有させた場合、めっきと樹脂系皮膜との密着性を更に向上させる。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、信越化学工業、日本ユニカー、チッソ、東芝シリコーン等から販売されているビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。上記シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋性ジルコニウム化合物としては、カルボキシル基や水酸基と反応しうる官能基を複数個有するジルコニウム含有化合物であれば特に限定されないが、水又は、有機溶剤に可溶である化合物が好ましく、水溶性のジルコニウム化合物であることがより好ましい。このような化合物としては炭酸ジルコニルアンモニウムを挙げることができる。
上記架橋性チタン化合物としては、カルボキシル基や水酸基と反応しうる官能基を複数個有するチタン含有化合物であれば特に限定されないが、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、プロポキシ・トリス(ジエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンジアンモニウム塩、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等を挙げることができる。上記架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(D)は水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することが好ましい。0.1質量%未満の場合、含有量が少なく密着性の向上効果が得られない場合があり、50質量%を超える量では水性組成物の安定性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(E)を含有することが好ましい。これらの架橋剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(E)を含有させた場合、架橋密度が大きくなり樹脂系皮膜のバリア性が向上し、耐食性を更に向上させる。
上記アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、グリコールウリル樹脂等を挙げることができる。
上記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、そのブロック化物は、上記ポリイソシアネート化合物のブロック化物である。
上記エポキシ化合物は、オキシラン環を複数個有する化合物であれば特に限定されず、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、2、2−ビス−(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(2、3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
上記カルボジイミド化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性セグメントを付加した化合物等を挙げることができる。
上記アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(E)は水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することが好ましい。0.1質量%未満の場合、含有量が少なく耐食性の向上効果が得られない場合があり、50質量%を超える量では樹脂系皮膜が脆くなり加工部耐食性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、バナジウム化合物、タングステン化合物及びモリブデン化合物からなる群より選択される少なくとも1種(F)を含有することが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記バナジウム化合物、タングステン化合物及びモリブデン化合物からなる群より選択される少なくとも1種(F)を含有することで樹脂系皮膜の耐食性が向上する。
上記バナジウム化合物としては特に限定されず、従来公知のバナジウム含有化合物を用いることができ、例えば、バナジウム酸及びバナジウム酸アンモニウム、バナジウム酸ナトリウム等のバナジウム酸塩、リンバナジウム酸及びリンバナジウム酸アンモニウム等のリンバナジウム酸塩等を挙げることができる。
上記タングステン化合物としては特に限定されず、従来公知のタングステン含有化合物を用いることができ、例えば、タングステン酸及びタングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩、リンタングステン酸及びリンタングステン酸アンモニウム等のリンタングステン酸塩等を挙げることができる。
上記モリブデン化合物としては特に限定されず、従来公知のモリブデン含有化合物を用いることができ、例えば、モリブデン酸塩等を用いることができる。上記モリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えば、オルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩等を挙げることができる。また、単塩、複塩等のすべての塩を含み、複塩としてはリン酸モリブデン酸塩等を挙げることができる。
上記バナジウム化合物、タングステン化合物及びモリブデン化合物からなる群より選択される少なくとも1種(F)は水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.01〜20質量%含有することが好ましい。0.01質量%未満の場合、含有量が少なく耐食性の向上効果が得られない場合があり、20質量%を超える量では樹脂系皮膜が脆くなり加工部耐食性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、ポリフェノール化合物(G)を含有することが好ましい。
上記ポリフェノール化合物(G)を含有することで樹脂系皮膜の耐食性や後塗装用途等に使用される場合の後塗装皮膜の密着性が向上する。
上記ポリフェノール化合物(G)は、ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物又はその縮合物である。上記ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物としては、例えば、没食子酸、ピロガロール、カテコール等を挙げることができる。ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物の縮合物としては特に限定されず、例えば、通常タンニン酸と呼ばれる植物界に広く分布するポリフェノール化合物等を挙げることができる。タンニン酸は、広く植物界に分布する多数のフェノール性水酸基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。上記タンニン酸は、加水分解性タンニン酸でも縮合型タンニン酸でもよい。上記タンニン酸としては特に限定されず、例えば、ハマメリタンニン、カキタンニン、チャタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。
上記タンニン酸としては、市販のもの、例えば、「タンニン酸エキスA」、「Bタンニン酸」、「Nタンニン酸」、「工用タンニン酸」、「精製タンニン酸」、「Hiタンニン酸」、「Fタンニン酸」、「局タンニン酸」(いずれも大日本製薬株式会社製)、「タンニン酸:AL」(富士化学工業株式会社製)等を使用することもできる。上記ポリフェノール化合物は単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
上記ポリフェノール化合物(G)は、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することが好ましい。0.1質量%未満の場合、含有量が少なく耐食性の向上効果が得られない場合があり、50質量%を超える量では水性組成物の安定性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜層には、更に、固形潤滑剤(H)を含有することが好ましい。
上記固形潤滑剤(H)を含有することで樹脂系皮膜の潤滑性が向上し、プレス成形時の加工性向上、金型や取り扱い等による疵入り防止、成形品やコイル輸送時の摩耗傷防止に対して効果がある。
上記固形潤滑剤(H)としては特に制限なく、公知のフッ素系、炭化水素系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石鹸系及び無機系等の滑剤が挙げられる。加工性向上のための潤滑添加物の選択基準としては、添加した潤滑剤が成膜した樹脂膜に分散して存在するよりも樹脂膜表面に存在するような物質を選択するのが、成型加工物の表面と金型の摩擦を低減させ潤滑効果を最大限発揮させる点から必要である。即ち、潤滑剤が成膜した樹脂膜に分散して存在する場合、表面摩擦係数が高く樹脂膜が破壊され易く粉状物質が剥離堆積してパウダリング現象と言われる外観不良及び加工性低下を生じる。樹脂膜表面に存在するような物質としては、樹脂に相溶せずかつ表面エネルギーの小さいものが選ばれる。
中でもポリオレフィンワックスを使用すると表面の動摩擦係数が低下し、加工性が大きく向上し、加工後の耐食性も良好にするためより好ましい。このワックスとしては、パラフィン、マイクロクリスタリンまたはポリエチレン等の炭化水素系のワックスが上げられる。加工時には、素材の変形熱と摩擦熱によって皮膜温度が上昇するため、ワックスの融点は70〜160℃がより好ましい。70℃未満では加工時に軟化溶融して固体潤滑剤としての優れた特性が発揮されない場合がある。また、160℃を超える融点のものは、硬い粒子が表面に存在することとなり摩擦特性を低下させるので高度の成形加工性は得られない場合がある。
これらのワックスの粒子径は、0.1〜5μmがより好ましい。5μmを超えるものは固体化したワックスの分布が不均一となったり、樹脂系皮膜からの脱落が生じたりする可能性がある。また、0.1μm未満の場合は、加工性が不十分である場合がある。
上記固形潤滑剤(H)は水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜30質量%含有することが好ましい。0.1%未満の場合、加工性向上効果が小さく、30%を超える量では耐食性が低下する場合がある。
本発明の樹脂系皮膜には、更に、他の添加剤が配合されていてもよい。例えば、顔料を配合してもよい。上記顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al23)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe23、Fe34)等の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を用いることができる。
本発明における樹脂系皮膜の乾燥後の付着量は0.1〜5g/m2であることが好ましい。0.1g/m2未満の場合、耐食性が低下することがあり、5g/m2を超える場合、不経済であったり、溶接する用途に適応する場合は不適であったりする。更に好ましくは、0.2〜2g/m2である。
上記樹脂系皮膜の形成に使用する水性組成物は、固形分濃度で1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。この固形分濃度が1質量%未満では、塗装作業性が低下し、50質量%を超えると水性組成物の浴安定性や塗装作業性が低下したりする場合がある。
上記樹脂系皮膜の形成に使用する水性組成物には、均一塗装性や安定性を向上させるために界面活性剤が配合されていてもよい。上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
上記樹脂系皮膜の形成に使用する水性組成物には、造膜性を向上させ、より均一で平滑な皮膜を形成するために溶剤を用いてもよい。溶剤としては、塗料に一般的に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、レベリングの点から、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の親水性溶剤等を挙げることができる。
上記樹脂系皮膜の形成に使用する水性組成物の被覆方法は、水性組成物をめっき鋼板表面に塗布して皮膜を形成するものである。被覆方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等を適宜採用することができる。皮膜の硬化性を高めるために、あらかじめ被塗物を加熱しておくか、被覆後に被塗物を熱乾燥させることが好ましい。熱乾燥方法としては、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外等のいずれの方法でもよいし、併用してもよい。被塗物の加熱温度は50〜250℃、好ましくは70〜220℃である。加熱温度が50℃未満では、水分の蒸発速度が遅く充分な成膜性が得られないため、耐食性が低下する場合がある。一方、250℃を超えると樹脂の熱分解が生じて耐食性が低下し、また黄変等外観が悪くなる。被覆後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は1秒〜5分が好ましい。また、樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであればこれらの照射による硬化でもよいし、熱乾燥との併用であってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
まず、厚さ1mmの冷延鋼板を準備し、これに各種金属又は金属間間化合物を添加した450℃のZn−Mg−Alめっき浴、Zn−Mg−Al−Siめっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を片面80g/m2に調整した。得られためっき鋼板のめっき組成とAl相中に存在した金属間化合物を表1に示す。金属間化合物はEDXを使用して元素と組成を分析した。また、表1に各金属間化合物のAlの{110}面と近い面の面指数とその面を構成する格子方向の方向指数、及び面間隔を示す。
Al系金属間化合物の中にはめっき浴中に溶解し、再晶出した際にAlの一部がSiに置換されたと考えられるものも存在したが、結晶方位と面間隔に大きな変化が見られなかったため、実施例ではSiに置換されていないAl系金属間化合物として表記した。
Al相と金属間化合物の結晶方位は、研磨しためっき面からEBSP法を用いて決定し、Al相の{110}面と金属間化合物の各格子面の整合性を調査した。結果を表1に示す。Al相の{110}面と金属間化合物の各格子面が平行であったものを○。Al相の{110}面と金属間化合物の各格子面に関連性が見られなかったものを×とした。
次に、このめっきを行った鋼板に表2に示す水性樹脂A6:100質量%に対して金属酸化物粒子B1を30質量%、リン酸化合物C1を1質量%含有した水性組成物(固形分濃度:20質量%に調整)をバーコーターで乾燥付着量1.5g/m2になるように塗布し、熱風乾燥炉で到達板温150℃で乾燥させた後、水冷し、供試材を得た。供試材より50×100mmサイズの試験板を切り出し、加工部耐食性試験を実施した。
加工部耐食性試験は、エリクセンテスターにて6mm押し出し加工したのち、試験板のエッジ、裏面をテープシールし、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)試験を行った。エリクセン加工を施した部分の試験時間120時間後の白錆発生状況を観察し、以下に示す評点づけで判定した。評点は3以上を合格とした。
10:白錆発生なし
9:1%未満
8:1%以上3%未満
7:3%以上5%未満
6:5%以上7%未満
5:7%以上10%未満
4:10%以上15%未満
3:15%以上20%未満
2:20%以上30%未満
1:30%以上
試験結果を表1に示す。
番号5、11は金属間化合物のAlの{110}面と近い面を構成する格子面の格子方向の面間隔が、本発明の範囲外であるため加工部耐食性が不合格となった。番号20、26、32、38、44、50は耐食性の比較のためにいれた金属間化合物を添加していないめっき鋼板である。これら以外の本発明品は、加工部耐食性が優れた表面処理めっき鋼板であった。
Figure 0004546884
Figure 0004546884
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を準備し、これに実施例1の表1に示す番号3及び33のめっき浴で3秒溶融めっきを行い、N2ワイピングでめっき付着量を片面80g/m2に調整した。Al相中に存在した金属間化合物はTiAl3及びTiAl3のAlの一部がSiに置換されたと考えられるTi(Al1-XSiX3であった。いずれも{110}面を構成する格子方向、[110]方向と[002]方向の面間隔が、それぞれ2.725Å、4.29Å、{102}面を構成する格子方向、[102]方向と[100]方向の面間隔が、それぞれ2.8682Å、3.8537Åであった。
また、Al相と上記金属間化合物の結晶方位は、研磨しためっき面からEBSP法を用いて決定し、TiAl3及びTiAl3のAlの一部がSiに置換されたと考えられるTi(Al1-XSiX3の{110}面、{102}面がAl相の{110}面と平行であることを確認した。
次に、このめっきを行った鋼板に表2に示す薬剤を用いて、表3〜8に示す組成の水性組成物(固形分濃度:20質量%に調整)をバーコーターで乾燥付着量1.5g/m2になるように塗布し、熱風乾燥炉で到達板温150℃で乾燥させた後、水冷し、供試材を得た。供試材より50×100mmサイズの試験板を切り出し、加工部耐食性試験を実施した。
加工部耐食性試験は、エリクセンテスターにて6mm押し出し加工したのち、試験板のエッジ、裏面をテープシールし、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)試験を行った。エリクセン加工を施した部分の試験時間120時間後の白錆発生状況を観察し、以下に示す評点づけで判定した。評点は3以上を合格とした。
10:白錆発生なし
9:1%未満
8:1%以上3%未満
7:3%以上5%未満
6:5%以上7%未満
5:7%以上10%未満
4:10%以上15%未満
3:15%以上20%未満
2:20%以上30%未満
1:30%以上
試験結果を表3〜8に示す。
番号209〜216は樹脂系皮膜に含有する金属酸化物粒子の含有量が本発明の範囲外であるため加工部耐食性が不合格となった。番号217は樹脂系皮膜がなく、本発明の範囲外であるため加工部耐食性が不合格となった。これら以外の本発明品は、加工部耐食性が優れた表面処理めっき鋼板であった。
Figure 0004546884
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Figure 0004546884
Figure 0004546884
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以上述べてきたように、本発明により、Zn−Al−Mg系めっき鋼板において、加工部耐食性が優れた表面処理めっき鋼板を製造することが可能となった。これまで加工部耐食性低下のために使用できなかった部材に高耐食性鋼板の使用が広がることによって、これら加工品の耐久性向上に大いに貢献可能となる。
Al相中に存在する金属間化合物の一例を示す図で、(a)はめっき鋼板のめっき層の顕微鏡写真(3000倍)で、(b)は写真中の各組織の分布状態を示した図である。 図1のAl相と金属間化合物の極点図で、(a)はAl相の(110)極点図、(b)は金属間化合物の(110)極点図、(c)は金属間化合物の(102)極点図である。

Claims (15)

  1. 鋼板の片面または両面に、Al:4〜10質量%、Mg:1〜5質量%及びブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し、残部がZn及び不可避的不純物より構成されるZn合金めっき層を有するめっき鋼板のめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であって、更にそのめっき層の上層に、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、金属酸化物粒子(B)を5〜50質量%含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が形成されていることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  2. 鋼板の片面または両面に、Al:4〜22質量%、Mg:1〜5質量%、Si:0.5質量%以下及びブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有し、残部がZn及び不可避的不純物より構成されるZn合金めっき層を有するめっき鋼板のめっき層が〔Al/Zn/MgZn2の三元共晶組織〕の素地中に〔Mg2 Si相〕と〔Al相〕及び〔MgZn2相〕が混在した金属組織を有し、且つ、〔Al相〕の中にブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下で他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を含有するめっき層であって、更にそのめっき層の上層に、水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して、金属酸化物粒子(B)を5〜50質量%含有する水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が形成されていることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  3. 請求項1乃至2のいずれかに記載の金属間化合物の結晶系が、立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶、六方晶のいずれかであることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の金属間化合物の含有量が、1質量%以下であることを特徴とする加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  5. ブラベー格子の格子面を構成する格子方向の一方の面間隔が2.57Å以上3.15Å以下、他方の面間隔が3.64Å以上4.46Å以下である格子面を持つ金属間化合物を結晶核とし、Al相のデンドライトの一次アームが[110]方向に成長していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  6. 水性樹脂(A)が水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  7. 金属酸化物粒子(B)がSi、Ti、Al、Zrからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  8. 水性組成物が、更に、リン酸化合物(C)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.01〜20質量%含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  9. 水性組成物が、更に、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物及び架橋性チタン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(D)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  10. 水性組成物が、更に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物及びカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の架橋剤(E)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  11. 水性組成物が、更に、バナジウム化合物、タングステン化合物及びモリブデン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の防錆剤(F)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.01〜20質量%含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  12. 水性組成物が、更に、ポリフェノール化合物(G)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜50質量%含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  13. 水性組成物が、更に、固形潤滑剤(H)を水性樹脂(A)の固形分100質量%に対して0.1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  14. 固形潤滑剤(H)が粒径0.1〜5.0μmのポリオレフィンワックスであることを特徴とする請求項13に記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
  15. 水性組成物を塗布、乾燥することにより得られる皮膜が0.1〜5g/mの付着量で形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の加工部耐食性に優れる表面処理めっき鋼板。
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