JP4544581B2 - カーボンナノファイバーおよびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノファイバーおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4544581B2
JP4544581B2 JP2004369705A JP2004369705A JP4544581B2 JP 4544581 B2 JP4544581 B2 JP 4544581B2 JP 2004369705 A JP2004369705 A JP 2004369705A JP 2004369705 A JP2004369705 A JP 2004369705A JP 4544581 B2 JP4544581 B2 JP 4544581B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
inorganic fine
polymer
carbide
nitride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004369705A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006176903A (ja
Inventor
貴幸 小林
宏 細川
知之 小谷
泰行 藤井
徹 間鍋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2004369705A priority Critical patent/JP4544581B2/ja
Publication of JP2006176903A publication Critical patent/JP2006176903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4544581B2 publication Critical patent/JP4544581B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、カーボンナノファイバーとその製造方法に関し、詳しくは、カーボンナノファイバーの表面に無機微粒子が存在しているカーボンナノファイバーに関する。
一般に、繊維状炭素のうち直径が100nmのオーダー前後のものをカーボンナノファイバーと呼び、直径が10nmのオーダー前後にまで小さくなるとカーボンナノチューブと呼ばれる(非特許文献1)。
カーボンナノファイバーは、樹脂材料への導電性の付与・機械的性質の向上を目的として添加するフィラーとして有用な材料であり、最近では、燃料電池の電極材料やガス吸蔵材料としても期待される材料である。
しかし、カーボンナノファイバー同士が分子間力によって凝集する傾向が強く、フィラーとして用いる場合は、カーボンナノファイバー表面を改質して樹脂材料への分散性を向上しなければならないことが知られていた。
カーボンナノファイバーの表面を改質して分散性を向上した例としては、表面に官能基を導入する方法や表面をポリマーで被覆する方法(特許文献1)がある。
しかし、これらの方法では、改質が進むほどカーボンナノファイバー本来の表面積が減少してしまい、カーボンナノファイバーの表面特性を活用した用途開発に大きな制限を与えることになることが知られている。
遠藤守信:炭素,[200]202−205(2001) 特開2004‐2119公報
本発明は、上記の従来の問題点を解決する、カーボンナノファイバーを得ることにあり、カーボンナノファイバー表面に無機微粒子が存在しているカーボンナノファイバーとその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が表面に存在しているカーボンナノファイバーである。
第2の要旨は、繊維軸方向断面では、熱分解性ポリマーからなるマトリックス相中に熱炭化性ポリマーからなる島状独立層が筋状に相分離した構造を有し、繊維軸に垂直方向断面では、マトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有する前駆体繊維であって、マトリックス相中に無機微粒子を分散された前駆体繊維を、空気中で200〜300℃の温度で処理して、熱炭化性ポリマーを耐炎化し、さらに不活性雰囲気中で無機微粒子の組成および形態が変化しない温度で熱炭化性ポリマー炭素化する、カーボンナノファイバーの製造方法にある。
本発明は、カーボンナノチューブ本来の物性を低下することなく溶液への分散性を向上したカーボンナノファイバーであり、本発明の製造方法によれば、生産性よく、工業的に高い品質と歩留で前記カーボンナノファイバーを製造することができるので、カーボンナノファイバーの用途拡大に極めて有用である。
『カーボンナノファイバー』
本発明のカーボンナノファイバーは、カーボンナノファイバー表面に酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が単層または複数層の形態で物理的または化学的に表面に付着していることが必要である。
無機微粒子の付着量は、カーボンナノファイバーの大きさに比して無機微粒子の大きさが小さい場合は、後述する被覆率という数値で表すことができる。
無機微粒子が被覆率3%以上であれば、無機微粒子を介しての分散性の向上が十分に期待でき、また95%以下であれば、カーボンナノファイバーの表面積の減少によるカーボンナノファイバー本来の物性低下が起こらない。
『カーボンナノファイバーの製造方法』
以下に、本発明のカーボンナノファイバーの製造方法について説明する。
<前駆体繊維>
本発明の製造方法では、前駆体繊維として、繊維軸方向断面では、熱分解性ポリマーからなるマトリックス相中に熱炭化性ポリマーからなる島状独立層が筋状に相分離した構造を有し、繊維軸に垂直方向断面では、マトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有する前駆体繊維であって、マトリックス相中に無機微粒子を分散された前駆体繊維を用いる。
<前駆体繊維のモルフォロジー>
本発明においては、ポリマーブレンド繊維である前駆体繊維のモルフォロジー制御が最大の技術のポイントである。すなわち、前駆体繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状相分離構造を有し、且つ、繊維軸垂直方向断面にマトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有することが必要である。また、島状に分散した筋状構造体は部分的に結節されていてもよいが、筋状部分の長さは10μm以上であることが必要である。
そして、前記マトリックス相ポリマーの主成分が熱分解性ポリマーからなり、且つ、前記島状独立相の主成分がアクリロニトリル系ポリマーからなり、マトリックス相に無機微粒子が含まれることが必要である。
このような前駆体繊維を得るには、特開2003−336130公報、特開2004−36038公報および特開2004−36058公報に開示されている方法を用いることができる。そして、前駆体繊維のモルフォロジーは、得られた前駆体繊維の縦断面および横断面の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認できる。
(熱分解性ポリマーについて)
本発明では、熱分解性ポリマーの重量平均分子量は、3万〜300万であることが好ましい。熱分解性ポリマーとしてはメタクリレート系ポリマーのホモポリマーおよび/または共重合体が好ましく、例えばポリメタクリル酸メチルのホモポリマーおよび/または他のモノマーとの共重合体を用いることができる。
熱分解性ポリマーの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
<熱炭化性ポリマー>
本発明に使用する熱炭化性ポリマーは、炭素化されるポリマーであれば特に制限はなくたとえばポリアクリロニトリル、セルロース類、ポリイミド類、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリジビニルベンゼンなどが挙げられるが、中でも重量平均分子量3万〜300万のアクリロニトリル系ポリマーが好ましい。直径100nm以下で長さ10μm以上の筋状構造を形成しやすくするためには、重量平均分子量は10万〜200万の範囲がさらに好ましい。
<アクリロニトリル系ポリマー>
アクリロニトリル系ポリマーとしてはアクリロニトリルのホモポリマーおよび/または他のモノマーとの共重合体を用いることができる。この場合、炭素化を良好に行う目的で共重合体中のアクリロニトリル単位は、90モル%以上であることが好ましい。
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとして、炭素化工程における環化反応を促進する目的でカルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミド系モノマーを用いることが好ましい。このようなカルボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸やイタコン酸が好ましい。又、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミドが好ましい。
<相分離のサイズを制御するための第三成分>
相分離のサイズを制御し安定化する目的で、界面活性剤、微粒子、グラフトポリマー、ブロックポリマー等を添加することにより相分離界面の界面張力を低下しても良い。第三成分を添加することにより、紡糸原液中での炭化性ポリマーの相分離サイズを小さくしかつ安定化できるので、前駆体繊維中で筋状に分散した炭化性ポリマーの直径を小さくするのに有効である。
そのような場合には、アクリロニトリル系ポリマーと熱分解性ポリマーを成分とするグラフトポリマーおよび/またはブロックポリマーを添加する方法が好ましい。グラフトポリマー又はブロックポリマーの特性としては、特に制限は無いが重量平均分子量は100万以下、グラフト鎖長またはブロック鎖長は重量平均分子量で50万以下が好ましい。
本発明で使用する前駆体繊維においては、マトリックス相である熱分解性ポリマー中に無機微粒子を5〜40質量%含むことが好ましい。無機微粒子を分散相として隣接する炭化性ポリマーの間に存在させることにより、無機微粒子が焼成過程で炭化性ポリマーに物理的または/および化学的に付着したカーボンナノファイバーが得られる。無機微粒子は、炭化性ポリマー同士の融着を防ぐ役割も果している。
<紡糸と紡糸溶剤>
本発明で使用する前駆体繊維は、溶融紡糸法または溶液紡糸法により得ることができる。溶液紡糸の方法としては、例えば乾式紡糸法、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法が挙げられる。紡糸原液の溶剤としては熱分解性ポリマーとアクリロニトリル系ポリマーの両者を溶解する溶剤であることが要求される以外には特に制限は無く、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。前駆体繊維は、このような溶液紡糸法によって通常のアクリル繊維と同様の紡糸工程で製造することができる。
<焼成条件>
本発明の製造方法では、前記前駆体繊維を、空気中で200〜300℃の温度で処理して、熱炭化性ポリマーを耐炎化し、さらに不活性雰囲気中で無機微粒子の組成および形態が変化しない温度で熱炭化性ポリマー炭素化する。
『カーボンナノファイバーの存在の確認』
本発明のカーボンナノファイバーの存在は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて確認できる。無機微粒子の径が10〜20nmである焼成品ならば加速電圧5.0kV、観察倍率100,000倍の条件で観察すれば上記無機微粒子がカーボンナノファイバー表面に存在していることが確認できる。被覆率は、上記と同条件で観察して得た平面画像から、カーボンナノファイバー部の面積とその上に存在している無機微粒子部の面積から求めることができる。
また、焼成によって無機微粒子の組成が変化していないことを確かめるには、カーボンナノファイバーを分解せずに無機微粒子のみを分解させる酸やアルカリで処理したのち、それを上記と同条件で観察して無機微粒子が除去されたことを確認すればよい。
<カーボンナノファイバーから無機微粒子を取り除きカーボンナノファイバーを得る方法>
本発明のカーボンナノファイバーから無機微粒子を取り除きカーボンナノファイバーを得るには、カーボンナノファイバーを分解せずに無機微粒子のみを分解させる酸やアルカリで処理すれば得られる。たとえば無機微粒子に酸化珪素を選んだ場合は熱アルカリやフッ化水素で酸化珪素を溶解すればカーボンナノファイバーが取り出せる。
気相法で得られるカーボンナノファイバーには内部に金属触媒が含まれ、これを除去するにはカーボンナノファイバーを損傷することになる。これに対し本発明では無機微粒子がカーボンナノファイバーの表面にあるため、これの除去においてカーボンナノファイバーの損傷は少ない。したがって得られるカーボンナノファイバーの品質においては気相法よりも優位である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本実施例において、「質量部」及び「質量%」は、それぞれ、単に「部」及び「%」を記した。
『原料ポリマー』
<合成例1>グラフトコポリマーの合成
冷却管、熱電対、窒素導入口及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、アニオン系乳化剤(花王製ラテムルASK、固形分28%)3.0部(固形分)、蒸留水290部を仕込み、窒素雰囲気下に温水浴中で60℃まで加熱した。次いで、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット1.0部を蒸留水5部に溶かして加え、その後メチルメタクリレート50部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.5部からなる単量体混合物1を90分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第一段目の重合を完了した。
このエマルション中に、硫酸第一鉄0.0004部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0012部、ロンガリット1.0部を、蒸留水5部に溶かして加え、その後アクリロニトリル46.7部、アクリルアミド3部、メタクリル酸0.3部、t−ブチルヒドロパーオキサイド0.25部、n−オクチルメルカプタン0.5部からなる単量体混合物2を90分かけて滴下した。その後60分間攪拌し、第二段目の重合を完了した。
得られたエマルションの固形分を測定したところ24.2%であった。このエマルションを希硫酸水溶液中に注ぎ、生じた沈殿物を乾燥し、グラフトコポリマーG−1を得た。
<合成例2>アクリロニトリル系ポリマーの合成
水とジメチルアセトアミドの混合溶媒中で2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)を開始剤とし、アクリロニトリル単位100%からなる超高分子量アクリロニトリル系ポリマーを得た。このポリマーの重量平均分子量は50万であった。
『評価方法』
<モルフォロジー観察>
(前駆体繊維)
前駆体繊維を電子顕微鏡用のエポキシ系樹脂で包埋硬化して、繊維軸と平行または垂直方向の断面が得られるようにトリミング、面出しした後、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームにより約70nmの厚さの切片を切り出した。得られた切片を電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ、日立(株)H−7600透過型電子顕微鏡により、加速電圧80kVの条件で観察した。
<カーボンナノファイバー>
カーボンナノファイバーを乳鉢で破砕したものを日本電子(株)JSM−7400F電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)で加速電圧5.0kVで観察した。
(実施例1)
PMMA樹脂(三菱レイヨン製ダイヤナールBR−85)10部、アクリロニトリル系ポリマー5部、グラフトコポリマー1.5部、及びジメチルアセトアミド分散シリカゾル(日産化学製DMAC−ST 酸化珪素含量20%、酸化珪素粒子径10〜20nm)20部及びジメチルアセトアミド64部を130℃で60分よく撹拌しながら加熱溶解し、続いて、ホモジナイザー(特殊機化工業製T.K.ホモミクサー)で30分処理した。得られた溶液は、固形分20%のジメチルアセトアミド溶液で、固形分の内訳はPMMA樹脂48%、アクリロニトリル系ポリマー24%、グラフトコポリマー8%及び酸化珪素20%である。この溶液を紡糸原液とし(温度30℃)、直径0.35mm、孔数50の口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約5mmの空間を通して、濃度40%、温度20℃のジメチルアセトアミド水溶液に吐出し、紡糸ドラフトが10となるように引き取り凝固糸となした。これを温水中で5倍延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、1%アミノシリコン系油剤溶液中に浸漬し、175℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。続いて、0.2MPaの加圧水蒸気中で2倍延伸して、単糸繊度が1.7dtexの前駆体繊維を得た。
得られた前駆体繊維のモルフォロジーは、酸化珪素粒子が分散したPMMA樹脂のマトリックス相中にアクリロニトリル系ポリマーが島状に独立分散しており、分散相の直径は10〜100nmで繊維軸方向の長さは10〜30μm以上であった。
得られた前駆体繊維を20cmに固定し、空気中250℃で60分間処理して耐炎化糸を得た。得られた耐炎化糸をメノウ鉢中でMEKを滴下しながら剪断を加えて静置したのち沈降物を回収し自然乾燥した。
乾燥物を引き続き窒素雰囲気下最高温度1000℃にて60分間処理し焼成品をえた。電界放出型電子顕微鏡観察の結果、径が10〜20nmの微粒子が被覆率10〜30%で存在するカーボンナノファイバーが確認された。この微粒子が存在するカーボンナノファバーを加熱フッ化水素50%水溶液中で重量減少がなくなるまで処理したものを電界放出型電子顕微鏡観察した結果、微粒子が除去されたカーボンナノファイバーを得た。よって焼成品は酸化珪素微粒子複合カーボンナノファイバーであることが確認された。
(比較例1)
実施例1の乾燥物を窒素雰囲気下最高温度1550℃にて60分間処理して焼成品を得た。得られた焼成品を電界放出型電子顕微鏡観察した結果、カーボンナノファイバー表面には径が10〜20nmの微粒子が確認できなかった。
本発明によれば、直径100nm以下のカーボンナノファイバーの表面に粒径100nm以下の無機微粒子が存在する無機微粒子複合カーボンナノファイバーが工業的に高い品質と歩留で得られる。

Claims (4)

  1. 酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化ジルコニウム、炭化珪素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化亜鉛、炭化ジルコニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機微粒子が単層または複数層の形態で物理的または化学的に表面に付着しているカーボンナノファイバー。
  2. 無機微粒子の粒子径が100nm以下である、請求項1記載のカーボンナノファイバー。
  3. 繊維軸方向断面では、熱分解性ポリマーからなるマトリックス相中に熱炭化性ポリマーからなる島状独立層が筋状に相分離した構造を有し、繊維軸に垂直方向断面では、マトリックス相の中に直径100nm以下の島状独立相が点在している相分離構造を有する前駆体繊維であって、マトリックス相中に無機微粒子を分散された前駆体繊維を、空気中で200〜300℃の温度で処理して、熱炭化性ポリマーを耐炎化し、さらに不活性雰囲気中で無機微粒子の組成および形態が変化しない温度で熱炭化性ポリマー炭素化する、カーボンナノファイバーの製造方法。
  4. 無機微粒子が粒子径100nm以下の酸化珪素であり、前駆体繊維を焼成する雰囲気が窒素であり、さらに焼成温度の上限が1500℃である、請求項3のカーボンナノファイバーの製造方法。
JP2004369705A 2004-12-21 2004-12-21 カーボンナノファイバーおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4544581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004369705A JP4544581B2 (ja) 2004-12-21 2004-12-21 カーボンナノファイバーおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004369705A JP4544581B2 (ja) 2004-12-21 2004-12-21 カーボンナノファイバーおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006176903A JP2006176903A (ja) 2006-07-06
JP4544581B2 true JP4544581B2 (ja) 2010-09-15

Family

ID=36731263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004369705A Expired - Fee Related JP4544581B2 (ja) 2004-12-21 2004-12-21 カーボンナノファイバーおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4544581B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2895572B1 (fr) * 2005-12-23 2008-02-15 Commissariat Energie Atomique Materiau a base de nanotubes de carbone et de silicium utilisable dans des electrodes negatives pour accumulateur au lithium
US8023247B2 (en) * 2008-12-10 2011-09-20 Axcelis Technologies, Inc. Electrostatic chuck with compliant coat
JP5660952B2 (ja) * 2011-03-30 2015-01-28 大阪瓦斯株式会社 酸化チタン−カーボン複合体の製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11131321A (ja) * 1997-10-30 1999-05-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd 微粒子含有相分離繊維及びその製造方法
JPH11222718A (ja) * 1998-02-09 1999-08-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd 超極細アクリル系繊維集合体
JP2003300717A (ja) * 2002-02-07 2003-10-21 Toray Ind Inc カーボンナノチューブ前駆体繊維ならびにカーボンナノチューブおよびその製造方法
JP2003336130A (ja) * 2002-03-15 2003-11-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維、それから得られるカーボンナノファイバー及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維
JP2004036058A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維、それから得られるカーボンフィブリル及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維、
JP2004036038A (ja) * 2002-07-03 2004-02-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体繊維、それを用いる炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維から得られるフィラメント状カーボンナノファイバー
JP2004043993A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、その炭素繊維前駆体繊維から得られる炭素繊維
JP2005097792A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Kuraray Co Ltd 極細炭素繊維及びその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11131321A (ja) * 1997-10-30 1999-05-18 Mitsubishi Rayon Co Ltd 微粒子含有相分離繊維及びその製造方法
JPH11222718A (ja) * 1998-02-09 1999-08-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd 超極細アクリル系繊維集合体
JP2003300717A (ja) * 2002-02-07 2003-10-21 Toray Ind Inc カーボンナノチューブ前駆体繊維ならびにカーボンナノチューブおよびその製造方法
JP2003336130A (ja) * 2002-03-15 2003-11-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維、それから得られるカーボンナノファイバー及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維
JP2004036038A (ja) * 2002-07-03 2004-02-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体繊維、それを用いる炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維から得られるフィラメント状カーボンナノファイバー
JP2004036058A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維、それから得られるカーボンフィブリル及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維、
JP2004043993A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維前駆体繊維の製造方法、その炭素繊維前駆体繊維から得られる炭素繊維
JP2005097792A (ja) * 2003-09-25 2005-04-14 Kuraray Co Ltd 極細炭素繊維及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006176903A (ja) 2006-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003336130A (ja) 炭素繊維、それから得られるカーボンナノファイバー及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維
JPWO2010100941A1 (ja) 高強度かつ高弾性率の炭素繊維を得るための前駆体繊維の製造方法
TWI465468B (zh) 丙烯腈系共聚物的製造方法以及碳纖維用聚丙烯腈系前驅物纖維的製造方法
JP4544581B2 (ja) カーボンナノファイバーおよびその製造方法
JP4604911B2 (ja) 炭素繊維前駆体繊維およびその製造方法および極細炭素繊維の製造方法
JP2004036038A (ja) 炭素繊維前駆体繊維、それを用いる炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維から得られるフィラメント状カーボンナノファイバー
JPWO2011102400A1 (ja) 高強度かつ高弾性率の炭素繊維を得るための前駆体繊維の製造方法
JP2009046770A (ja) アクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維
JP4550563B2 (ja) カーボンナノファイバーまたはカーボンナノチューブ集合体およびその製造方法
JP2002302828A (ja) 炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維束およびその製造方法
JP4594055B2 (ja) 炭素繊維およびその製造方法、カーボンナノファイバー集合体、前駆体繊維
JP4875238B2 (ja) 炭素繊維およびその前駆体の製造方法並びに油剤付着方法
JP2011001653A (ja) ポリアクリロニトリル系繊維の製造方法
JPS60181322A (ja) 炭素繊維の製造方法
EP3546623B1 (en) Method for producing polyacrylonitrile-based fiber, and polyacrylonitrile-based copolymer used therein
JPH11229232A (ja) 炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法
JP2004036058A (ja) 炭素繊維、それから得られるカーボンフィブリル及びその炭素繊維の製造方法並びにその前駆体繊維、
JP4591072B2 (ja) 炭素繊維の製造方法及びそれにより得られた炭素繊維
JP3892132B2 (ja) アクリル繊維およびその製造方法
JP4480858B2 (ja) 軽量複合アクリル繊維及びその製造方法
JP2004027434A (ja) 炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維及びカーボンナノファイバーの製造方法
JP2005213675A (ja) アクリル繊維および炭素繊維
JP2006274488A (ja) アクリル系合成繊維およびその製造方法ならびに繊維製品
JP2000119341A (ja) アクリロニトリル系ポリマーおよびそれを用いた炭素繊維用前駆体繊維
JP2015071833A (ja) 溶融ブレンド繊維及びそれを用いた炭素繊維の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100624

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100625

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4544581

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees