JP4543077B2 - トナーカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に着脱自在に装着されるトナーカートリッジに関する。

レーザプリンタ、複写機、複合機などの電子写真方式の画像形成装置には、印刷処理に使用されるトナーを収容するトナーカートリッジが着脱自在に装着されており、印刷処理が実行されていく度にトナーカートリッジ内のトナーが徐々に消耗される。そして、前記画像形成装置において、トナーカートリッジが空になれば、空になったトナーカートリッジとトナーが満たされているトナーカートリッジとが交換される。

図１は、従来のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着される前のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。図１に示すように、トナーカートリッジ１００には、トナーを収容する筐体１０１と、筐体１０１の底面において開口しており筐体１０１内部のトナーを筐体１０１外部へ落下させる落下口１０２と、筐体１０１内部に備えられておりトナーを落下口１０２付近に搬送するトナー搬送スクリュー１０３と、トナー搬送スクリュー１０３と連結される駆動用ギア１０４とが備えられている。さらに、トナーカートリッジ１００には、筐体１０１の外壁において落下口１０２を外部から覆うように配されるシャッター１０５と、落下口１０２とシャッター１０５との間に挟みこまれるヒートシール１０６とが備えられている。

以上の構成によれば、トナーカートリッジ１００が画像形成装置に装着される前は、ヒートシール１０６およびシャッター１０５が落下口１０２を外部から塞ぐことによって、落下口１０２からのトナー漏れを防止している。そして、ユーザがトナーカートリッジ１００からヒートシール１０６を引き抜き、ヒートシール１０６を引き抜いた後のトナーカートリッジ１００を画像形成装置に装着すると、シャッター１０５が自動的にスライドして落下口１０２が外部に露出されることになり、筐体１０１内部のトナーが落下口１０２を介して画像形成装置の現像装置（不図示）へと流れ込むようになっている。
特開２００３−５７９３６号公報（公開日：２００３年２月２８日）

また、以上示したトナーカートリッジ１００を画像形成装置に装着する直前、筐体１０１内部においてトナーをほぐしてトナーを均一に分散させるために、ユーザは、トナーカートリッジ１００を手作業で振り、その後にヒートシール１０６を引き抜いてからトナーカートリッジ１００をプリンタに装着する。

ここで、ユーザによってトナーカートリッジ１００が振られると、ヒートシール１０６にトナーが付着してしまい、その後にユーザがヒートシール１０６を引き抜くと、ヒートシール１０６に付着しているトナーが周囲に飛散し、ユーザの手や周囲を汚してしまうという問題が生じてしまう。

本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、画像形成装置にトナーカートリッジを装着する際の汚れの発生を抑制できるトナーカートリッジを提供することを目的とする。

以上の目的を達成するために、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に装着されるトナーカートリッジにおいて、トナー収容室と、前記トナー収容室からトナーカートリッジの外部に貫通し、前記トナー収容室に収容されているトナーを前記外部へ放出させるための放出口と、前記トナー収容室に備えられており、前記トナー収容室に収容されているトナーを搬送する搬送スクリューと、前記搬送スクリューに形成されており、前記トナー収容室においてトナーの存在する区域であるトナー区域と前記放出口との間に位置することによって前記トナー区域と前記放出口との間を遮断状態にする遮断壁と、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着されると、前記画像形成装置から伝達される動力によって、前記遮断状態が解除されるように前記搬送スクリューを駆動する駆動機構とを有することを特徴とする。

本発明の構成によれば、トナーカートリッジが画像形成装置に装着される前は、前記トナー収容室において前記トナーの存在する前記トナー区域と前記放出口との間が前記搬送スクリューに形成されている遮断壁によって遮断されていることになり、前記トナー収容室に収容されているトナーが前記放出口にまで至ることはなく、放出口からトナーが漏れることはない。そして、トナーカートリッジが画像形成装置に装着されると、前記駆動機構が、前記画像形成装置から伝達される動力を用いて、前記遮断状態が解除されるように前記遮断壁の形成されている搬送スクリューを駆動する。それゆえ、トナーカートリッジが画像形成装置に装着された後はトナー収容室のトナーを前記放出口に至らせることが可能になり、前記放出口からトナーカートリッジ外部へトナーを放出することが可能になる。

すなわち、本発明の構成によれば、従来のトナーカートリッジにおいて必要であったヒートシール（図１の参照符１０６）をトナーカートリッジに備えることなく、前記装着の前において前記放出口からのトナー漏れを防止しつつ前記装着の後において前記放出口からトナーを放出させることができる。それゆえ、前記ヒートシールをトナーカートリッジに備えることに起因して生じていた汚れ（ヒートシールを引き抜く際に飛散するトナーによってユーザの手や周囲に生じる汚れ）を抑制することができる。

本発明のトナーカートリッジにおいて、前記駆動機構は、前記遮断状態において前記遮断壁が配されている位置を第１所定位置とし、前記遮断状態が解除された状態において前記遮断壁が配されている位置を第２所定位置とする場合、前記遮断壁が前記第１所定位置から前記第２所定位置まで移動するように前記搬送スクリューを移動させる機構であり、前記トナー放出口は、前記第１所定位置と前記第２所定位置との間に配されていることが好ましい。これにより、前記遮断状態の解除後、前記トナー収容室において前記トナーの存在するトナー区域と前記放出口との間には前記遮断壁が存在しなくなり、前記トナー区域から前記放出口の間において前記遮断壁がトナーの通行を阻害してしまうといった事態を防止できる。

本発明のトナーカートリッジにおいて、前記搬送スクリューは、前記遮断壁の外周部に形成されている第１溝部もしくは凸部である案内受部を有し、前記駆動機構は、前記搬送スクリューが第１所定位置から第２所定位置に向かう移動方向に移動可能に嵌められており、且つ、前記移動方向が回転軸方向となるように前記搬送スクリューと共に回転するシャフトと、前記第１所定位置から第２所定位置に至るように形成されており、前記案内受部と嵌合することによって前記搬送スクリューを嵌めこみ、前記搬送スクリューが回転すると前記搬送スクリューが前記移動方向に案内されるように螺旋状に形成されている案内部と、前記画像形成装置から伝達される動力によって前記シャフトを回転させるギア部材とを有する構成であることが好ましい。この構成によれば、前記画像形成装置から伝達される動力によって前記搬送スクリューを回転させながら前記移動方向（第１所定位置から第２所定位置に向かう方向）へ移動させることができると共に、前記搬送スクリューに形成されている前記遮断壁を前記第１所定位置から前記第２所定位置へ移動させることが可能になる。

本発明のトナーカートリッジは、前記構成に加えて、前記第２所定位置に形成され、前記遮断状態が解除された状態において前記移動方向および前記移動方向とは逆方向への前記搬送スクリューの移動が妨げられるように前記遮断壁を嵌め込む第２溝部を有していることが好ましい。これにより、前記搬送スクリューに形成されている前記遮断壁が前記第２所定位置に至ってしまうと、前記搬送スクリューは回転可能であるものの前記移動方向および前記移動方向とは逆方向への移動が妨げることになる。それゆえ、前記搬送スクリューに形成されている遮断壁が前記第１所定位置へ戻ってしまうことはなく、前記遮断状態の解除を維持することができる。

本発明のトナーカートリッジには、前記構成に加えて、前記トナー収容室の壁面と前記遮断壁との隙間を塞ぐシール部材が備えられていることが好ましい。これにより、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着される前において、前記トナー区域にあるトナーが遮断壁から漏れて放出口に至ってしまうという事態の発生を高精度に抑制できる。

また、前記シール部材はシリコンゴムからなることが好ましい。この理由を以下説明する。シリコンゴムは圧縮復元性が高く且つ耐熱性があるため、シリコンゴムからなるシール部材を用いると、シール部材に対して作用する摩擦抵抗やストレスを低減することができる。それゆえ、シール部材が破損してしまうという弊害や、トナー収容室の壁面と遮断壁との隙間の密閉性が損なわれるといった弊害を抑制できる。

また、前記シール部材は、前記遮断壁の外周部に嵌められているＯリングであってもよいし、前記遮断壁の外周部または前記トナー収容室の壁面にコーティングされていてもよい。なお、前記シール部材を前記外周部または前記壁面にコーティングする形態の場合、部品点数を削減することができ、トナーカートリッジ組み立ての際の工程を簡素化することが可能になる。

さらに、本発明のトナーカートリッジは、前記構成に加えて、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着される前は前記ギア部材に当接することによって前記ギア部材の回転を妨げる回転妨害状態を維持し、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着されると前記ギア部材から離間することによって前記回転妨害状態を解除する回転妨害部材を有することが好ましい。これにより、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着される前において、利用者の手などが前記ギア部材に触れてしまうことにより前記ギア部材が回転してしまって前記遮断状態が解除されてしまうという誤作動が起こることを抑制できる。

また、本発明のトナーカートリッジでは、前記第１所定位置から第２所定位置まで前記遮断壁を移動させるために必要な前記ギア部材の回転量を１回転以下に設定することが好ましい。これにより、前記ギア部材を少なくとも１回転させれば前記遮断状態を解除できるため、トナーカートリッジを画像形成装置に装着した後、僅かな時間で前記放出口からのトナー放出が可能になる。

以上のように、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に装着されるトナーカートリッジにおいて、トナー収容室と、前記トナー収容室からトナーカートリッジの外部に貫通し、前記トナー収容室に収容されているトナーを前記外部へ放出させるための放出口と、前記トナー収容室に備えられており、前記トナー収容室に収容されているトナーを搬送する搬送スクリューと、前記搬送スクリューに形成されており、前記トナー収容室においてトナーの存在する区域であるトナー区域と前記放出口との間に位置することによって前記トナー区域と前記放出口との間を遮断状態にする遮断壁と、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着されると、前記画像形成装置から伝達される動力によって、前記遮断状態が解除されるように前記搬送スクリューを駆動する駆動機構とを有することを特徴とする。

それゆえ、従来のトナーカートリッジにおいて必要であったヒートシールをトナーカートリッジに備えることなく、画像形成装置に装着される前において前記放出口からのトナー漏れを防止しつつ前記装着の後において前記放出口からトナーを放出させることができる。これにより、前記ヒートシールをトナーカートリッジに備えることに起因して生じていた汚れ（ヒートシールを引き抜く際に飛散するトナーによってユーザの手や周囲に生じる汚れ）を抑制することができる。

以下では、まず、本発明の一実施形態のトナーカートリッジが装着される画像形成装置について説明する。

〔画像形成装置の構成〕
図２は、本実施形態のトナーカートリッジが装着される画像形成装置５０の内部構成を示す図である。画像形成装置５０は、外部から入力されたデジタル画像データあるいは原稿読取りにより得られたデジタル画像データに基づいて、シート（記録用紙）に多色あるいは単色の画像を形成する電子写真方式のプリンタである。

画像形成装置５０においては、黒（Ｋ）、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）および黄（Ｙ）の色成分毎の画像データが取り扱われ、黒画像、シアン画像、マゼンタ画像、黄画像が形成され、各々の色の画像を重畳することによってカラー画像が形成されるようになっている。したがって、図２に示すように、画像形成装置５０においては、各色成分の画像が形成されるように、現像装置２（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ）、感光体ドラム３（３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ）、帯電器５（５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄ）、クリーナユニット４（４ａ，４ｂ，４ｃ，３ｄ）がそれぞれ４個ずつ設けられている。なお、上記ａ〜ｄの符号は、ａが黒画像形成用の部材、ｂがシアン画像形成用の部材、ｃがマゼンタ画像形成用の部材、ｄがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。また、画像形成装置には、露光ユニット１、定着ユニット１２、シート搬送路Ｓ、給紙カセット１０および排紙トレイ１５が備えられている。

感光体ドラム３は、画像形成装置５０の上部に配置されている。帯電器５は、感光体ドラム３の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。この帯電器５としては、図２に示すような、ローラ型のものが使用されてもよいし、ブラシ型のものが使用されてもよい。

露光ユニット１は、図２に示すように、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット（ＬＳＵ）である。但し、露光ユニット１としては、ＬＳＵに限定されるものではなく、発光素子をアレイ状に並べた例えばＥＬやＬＥＤ書込みヘッドであってもよい。露光ユニット１は、帯電された感光体ドラム３を、入力されたデジタル画像データに基づいて露光することにより、感光体ドラム３の表面にデジタル画像データに応じた静電潜像を形成する。

各現像装置２は、各感光体ドラム３上に形成された静電潜像をＫ，Ｃ，Ｍ，Ｙのトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット４は、顕像化（現像）および画像転写工程後に感光体ドラム３の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。

感光体ドラム３の上方には中間転写ベルトユニット８が配置されている。この中間転写ベルトユニット８は、中間転写ローラ６（６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ）、中間転写ベルト７、中間転写ベルト駆動ローラ３１、中間転写ベルト従動ローラ３２、中間転写ベルトテンション機構３３、および中間転写ベルトクリーニングユニット９を備えている。

中間転写ローラ６、中間転写ベルト駆動ローラ３１、中間転写ベルト従動ローラ３２、中間転写ベルトテンション機構３３は、中間転写ベルト７を張架し、中間転写ベルト７をＣ方向（図２参照）に回転駆動させるものである。

中間転写ローラ６は、中間転写ベルトテンション機構３３における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。

中間転写ベルト（中間転写体）７は、各感光体ドラム３に接触するように設けられている。中間転写ベルト７上には、各感光体ドラム３に形成された各色のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像（多色トナー像）が形成される。この中間転写ベルト７は、厚さ１００μｍ〜１５０μｍ程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。

感光体ドラム３から中間転写ベルト７へのトナー像の転写（以下、この転写を「１次転写」と称することもある）は、中間転写ベルト７の裏側に接触している中間転写ローラ６によって行われる。中間転写ローラ６には、感光体ドラム３のトナー像を中間転写ベルト７上に１次転写するために高電圧の転写バイアス（トナーの帯電極性（−）とは逆極性（＋）の高電圧）が印加されている。

中間転写ローラ６は、直径８〜１０ｍｍの金属（例えばステンレス）軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材（例えばＥＰＤＭ，発泡ウレタン等）により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ６は中間転写ベルト７に対して均一に高電圧を与えることができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの（中間転写ローラ６）を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。

上述のように各感光体ドラム３上の静電潜像は各色相に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト７上において積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト７の回転によって用紙と転写ローラ１１との接触位置（以下「転写部」と称することもある）に移動し、この接触位置において転写ローラ１１によって用紙上に転写される。ここで、中間転写ベルト７から用紙（被画像形成媒体）上へのトナーの転写（以下、この転写を「２次転写」と称することもある）は、中間転写ベルト７と転写ローラ１１とが所定ニップで互いに圧接され、トナー像を用紙に転写させるための転写バイアス（２次転写バイアス）が転写ローラ１１に印加されることによって実現される。この２次転写バイアスは、トナーの帯電極性（−）とは逆極性（＋）の高電圧である。

また、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ１１もしくは中間転写ベルト駆動ローラ３１の何れか一方を金属等の硬質材料から構成し、他方を弾性ローラ等の軟質材料（弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等）から構成する。

中間転写ベルト７と感光体ドラム３との接触により中間転写ベルト７に付着したトナー、および中間転写ベルト７から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト７上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット９によって除去され回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット９には、中間転写ベルト７に接触するクリーニングブレードが備えられている。このクリーニングブレードが接触する部分の中間転写ベルト７は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ３２にて支持されている。

給紙カセット１０は、画像形成に使用するシート（記録用紙）を蓄積しておくためのものであり、感光体ドラム３および露光ユニット１の下側に設けられている。一方、画像形成装置５０の上部に設けられている排紙トレイ１５は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのものである。

また、画像形成装置５０には、給紙カセット１０のシートおよび手差しトレイ２０のシートを転写ローラ１１や定着ユニット１２を経由させて排紙トレイ１５に送るためのシート搬送路Ｓが設けられている。このシート搬送路Ｓにおける給紙カセット１０から排紙トレイ１５までの部分には、ピックアップローラ１６、レジストローラ１４、転写ローラ１１を備えた転写部、定着ユニット１２および搬送ローラ２５が配されている。

搬送ローラ２５は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Ｓに沿って複数設けられている。ピックアップローラ１６−１は、給紙カセット１０の端部に備えられ、給紙カセット１０からシートを１枚ずつシート搬送路Ｓに供給する呼び込みローラである。また、ピックアップローラ１６−２は、手差しトレイ２０の近傍に備えられ、手差しトレイ２０からシートを１枚ずつシート搬送路Ｓに供給する呼び込みローラである。レジストローラ１４は、シート搬送路Ｓを搬送されているシートを一旦保持し、中間転写ベルト７上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。

定着ユニット１２は、ヒートローラ３４および加圧ローラ３５を備え、ヒートローラ３４および加圧ローラ３５はシートを挟んで回転する。ヒートローラ３４は、所定の定着温度となるように制御部（図示せず）によって制御される。この制御部は温度検出器（図示せず）からの検出信号に基づいてヒートローラ３４の温度を制御する。ヒートローラ３４は、加圧ローラ３５とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写されている各色トナー像を溶融・混合・圧接させ、シートに対して熱定着させる。なお、多色トナー像（各色トナー像）を定着後のシートは、複数の搬送ローラ２５によってシート搬送路Ｓの反転排紙経路に搬送され、反転された状態（多色トナー像を下側に向けた状態）にて、排紙トレイ１５上に排出される。

つぎに、シート搬送路Ｓによるシート搬送動作について説明する。画像形成装置５０には、上記のように、予めシートを収納する給紙カセット１０、および少数枚の印字を行う場合に使用される手差しトレイ２０が配置されている。これらには各々ピックアップローラ１６（１６−１，１６−２）が配置され、これらピックアップローラ１６はシートを１枚ずつシート搬送路Ｓに供給する。

（片面印字の場合）
給紙カセット１０から搬送されるシートは、シート搬送路Ｓ中の搬送ローラ２５−１によってレジストローラ１４まで搬送され、このレジストローラ１４によりシートの先端と中間転写ベルト７上の積層されたトナー像の先端とを整合するタイミングで転写部に搬送される。転写部ではシート上にトナー像が転写され、このトナー像は定着ユニット１２にてシート上に定着される。その後、シートは、搬送ローラ２５−２を経て排紙ローラ２５−３から排紙トレイ１５上に排出される。

また、手差しトレイ２０から搬送されるシートは、複数の搬送ローラ２５（２５−６，２５−５，２５−４）によってレジストローラ１４まで搬送される。それ以降は給紙カセット１０から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ１５に排出される。

（両面印字の場合）
上記のようにして片面印字が終了し、定着ユニット１２を通過したシートは、後端が排紙ローラ２５−３にてチャックされる。次に、シートは、排紙ローラ２５−３が逆回転することによって搬送ローラ２５−７，２５−８に導かれ、レジストローラ１４を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ１５に排出される。

また、画像形成装置５０には、トナー消費に対応可能にするために、現像装置２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄの各々にトナーを補給するためのトナーカートリッジ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄが着脱自在に設けられている。

なお、画像形成装置５０に備えられる４つのトナーカートリッジ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄは何れも同じ構造である。そして、以下において単に「トナーカートリッジ６０」と称して説明している内容は、トナーカートリッジ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄの全てに当てはまる内容であるものとする。

図３に示すように、本実施形態のトナーカートリッジ６０は略直方体形状である。そして、この形状の長辺方向と画像形成装置５０のフロント側からリア側に向けたＡ方向とが一致するように、トナーカートリッジ６０はＡ方向に向けて画像形成装置５０に装着される。なお、本明細書および図面では、前記したように画像形成装置５０のフロント側からリア側に向けた方向をＡ方向と称し、画像形成装置５０のリア側からフロント側に向けた方向をＢ方向と称している。つまり、Ｂ方向はＡ方向の逆方向になる。

トナーカートリッジ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄは、それぞれのカートリッジに収容されているトナーの色と同じ色のトナーを用いて現像する現像装置２の上にスライドして配置される。そして、各トナーカートリッジ６０ａ・６０ｂ・６０ｃ・６０ｄは、それぞれのカートリッジに収容されているトナーの色と同じ色のトナーを用いて現像する現像装置２に対して放出口からトナーを補給する構造となっている。以下、トナーカートリッジ６０の構造について詳細に説明する。

〔トナーカートリッジの構成〕
図３は、本実施形態のトナーカートリッジ６０の斜視図である。図４は、本実施形態のトナーカートリッジ６０の内部を示した模式図である。図５は、現像装置２の上部に装着された状態のトナーカートリッジ６０を示した模式図である。なお、図３では、説明の便宜上、図４に示される駆動ギア６９を省略している。

図３に示すように、トナーカートリッジ６０は、直方体状の筐体６１と、筐体６１と連通している円筒管６２と、筐体６１の外壁においてＡ方向に突出するように形成されている突起部材８０・８１とを有している。これら突起部材８０・８１が画像形成装置５０に形成されている位置決め穴（不図示）に嵌めこまれることによって、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されるようになっている。

そして、図４に示すように、トナーカートリッジ６０は、トナー収容室６３と放出口６４と搬送スクリュー６５と撹拌棒６６とシャッター６７とを有している構成である。

トナー収容室６３は、筐体６１の内部空間であるトナー収容区域６３ａと円筒管６２の内部空間であるトナー搬送区域６３ｂとからなるスペースである。なお、Ａ方向に沿ってトナー収容区域６３ａとトナー搬送区域６３ｂとが並ぶように配されており、トナー収容区域６３ａとトナー搬送区域６３ｂとは連通している。

放出口６４は、図４、図６、図７に示すように、円筒管６２の壁を貫通するようにトナー搬送区域６３ｂに形成されている貫通穴であって、トナー搬送区域６３ｂのトナーをトナーカートリッジ６０の外部の現像装置２に落下（放出）させるための開口である（図５参照）。なお、図６は、円筒管６２および搬送スクリュー６５を示した斜視図であり、図７は、図４に示すＤ方向に向けてトナーカートリッジ６０を写した場合の図である。なお、図７では、説明の便宜上、シャッター６７を省略している。

搬送スクリュー（搬送部材）６５は、図４に示すように、トナー収容区域６３ａからトナー搬送区域６３ｂに渡って配置され、Ａ方向が回転軸方向となるように且つ一定方向に回転するスクリュー部材である。搬送スクリュー６５が回転するとトナー収容区域６３ａのトナーは撹拌され、搬送スクリュー６５に撹拌されたトナーはＡ方向に向けて搬送されるようになっている。なお、搬送スクリュー６５には、図４に示すように、後述するＤカット軸６８を挿入するＤカット穴６５ａと、前記回転軸方向と一致する方向を軸とした円柱形状の遮断壁６５ｂとが形成されている。また、図６に示されるように、遮断壁６５ｂの外周部には凸部（案内受部）６５ｃが形成されている。

撹拌棒６６は、トナー収容区域６３ａに配置され且つＡ方向が回転軸方向となるように回転する撹拌棒である。撹拌棒６６が回転するとトナー収容区域６３ａのトナーは撹拌され、撹拌棒６６に撹拌されたトナーは搬送スクリュー６５の周囲に送り込まれるようになっている。

シャッター６７は、円筒管６２の外壁にてスライドすることによって、図１２（ａ）に示されるように円筒管６２の外壁側から放出口６４を覆う閉状態と、図１２（ｂ）に示されるように円筒管６２の外壁側にて放出口６４を露出させる開状態とを切り替える部材である。なお、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前（新品状態）においては前記閉状態になっており、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると前記閉状態から前記開状態に自動的に切り替えられる。

また、本実施形態のトナーカートリッジ６０は、画像形成装置５０に装着されると、トナー収容区域６３ａおよびトナー搬送区域６３ｂにて搬送スクリュー６５がＡ方向に所定距離だけ移動するように設定されている。図８（ａ）は画像形成装置５０に装着される前のトナーカートリッジ６０の内部構成を示した図であり、図８（ｂ）は、画像形成装置５０に装着され且つ搬送スクリュー６５が移動している途中のトナーカートリッジ６０の内部構成を示した図であり、図８（ｃ）は、画像形成装置５０に装着され且つ搬送スクリュー６５の移動が終了した後のトナーカートリッジ６０の内部構成を示した図である。

図８（ａ）に示されるように、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前の状態では（新品状態では）、トナー搬送区域６３ｂの第１所定位置に遮断壁６５ｂが配されるように搬送スクリュー６５が位置決めされている。そして、図８（ａ）〜図８（ｃ）に示されるように、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、搬送スクリュー６５がＡ方向へ移動し始め、これに伴い遮断壁６５ｂもＡ方向へ移動し、遮断壁６５ｂが放出口６４の上部を通過して第２所定位置へ到達すると、搬送スクリュー６５は停止するようになっている。

なお、図８（ａ）〜図８（ｃ）に示されるように、第２所定位置はトナー搬送区域６３ｂに配されており第１所定位置よりもＡ方向側に配される位置である。また、トナーカートリッジ６０においては、放出口６４が第１所定位置と第２所定位置との間に配されるように、放出口６４、第１所定位置、第２所定位置の各々が位置決めされている。

さらに、トナーカートリッジ６０が新品状態である時（つまり画像形成装置５０への装着前）、トナーカートリッジ６０のトナーはトナー収容区域６３ａにのみ収容され、図８（ａ）に示されるように遮断壁６５ｂによってトナー収容区域６３ａと放出口６４との間は遮断されている。それゆえ、トナーカートリッジ６０が新品状態である時、トナー収容区域６３ａのトナーが放出口６４にまで至ることはない。

そして、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、図８（ｃ）に示されるように、遮断壁６５ｂは第２所定位置に移される。これにより、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間は開放されることになる。そして、トナー収容区域６３ａのトナーは、搬送スクリュー６５に撹拌されることによって、第１所定位置よりもＡ方向側にある放出口６４まで搬送され、放出口６４を介して現像装置２に落下するようになっている。

つぎに、搬送スクリュー６５をＡ方向へ移動させるための駆動機構について詳細に説明する。トナーカートリッジ６０は、図４、図６、図８に示されるように、Ｄカット軸６８と駆動ギア６９と螺旋溝７０とを有している。また、図９に示されるように、トナー搬送区域６３ｂの第２所定位置において円周溝７１が形成されている。そして、Ｄカット軸６８と駆動ギア６９と螺旋溝７０と円周溝７１とが、搬送スクリュー６５をＡ方向へ移動させるための駆動機構に相当する。なお、図９は、トナー搬送区域６３ｂおよび遮断壁６５ｂの側面を模式的に示した図である。

Ｄカット軸（シャフト）６８は、その外周部にＤカットが施され、搬送スクリュー６５と同じ回転方向に回転するシャフトである。また、図８に示されるように、Ｄカット軸６８はＡ方向が回転軸方向となるようにトナー搬送区域６３ｂに配置される。さらに、図８に示されるように、Ｄカット軸６８は搬送スクリュー６５に形成されているＤカット穴６５ａ（図６参照）に挿入されている。つまり、図８に示すように、搬送スクリュー６５はＤカット軸６８に嵌められていることになる。そして、Ｄカット軸６８と搬送スクリュー６５とが共に回転するように、且つ、搬送スクリュー６５がＤカット軸６８上をＡ方向にスライド可能なように（移動可能なように）、Ｄカット軸６８およびＤカット穴６５ａの形状が設定されている。

駆動ギア（ギア部材）６９は、図４および図８に示すように、トナーカートリッジ６０においてＡ方向側の外壁に設けられており、Ｄカット軸６８と連結しているギアである。駆動ギア６９は、画像形成装置５０の駆動源（例えばモータ，不図示）から伝達される動力によってトルクを発生し、このトルクによってＤカット軸６８を回転させるものである。

螺旋溝（案内部）７０は、図６に示されるように、円筒管６２の内壁部（つまりトナー搬送区域６３ｂの壁面）に形成され、且つ、第１所定位置が始点であって第２所定位置が終点となるように螺旋状に形成されている溝である。また、図６に示されるように、螺旋溝７０は遮断壁６５ｂの外周部に形成されている凸部６５ｃと嵌合する。つまり、凸部６５ｃを有している搬送スクリュー６５は螺旋溝７０に嵌めこまれることになる。

なお、凸部６５ｃと螺旋溝７０とが嵌合している状態において搬送スクリュー６５が回転すると、搬送スクリュー６５が螺旋溝７０によって第１所定位置から第２所定位置へ向かう方向（Ａ方向）に案内されることになる。

円周溝（第２溝部）７１は、図９に示されるように、トナー搬送区域６３ｂの第２所定位置において、円筒管６２の中心軸を回転軸として円筒管６２の内壁部（つまりトナー搬送区域６３ｂの壁面）を一周するように形成されている溝である。また、円周溝７１は、第１所定位置から第２所定位置へ移動してきた遮断壁６５ｂと嵌合するように設定されている。そして、遮断壁６５ｂが一旦円周溝７１に嵌められると、遮断壁６５ｂは、Ａ方向を回転軸方向とした回転は可能であるものの、Ａ方向およびＢ方向への移動が円周溝７１によって妨げられるようになっている。

つぎに、Ｄカット軸６８と駆動ギア６９と螺旋溝７０と円周溝７１とからなる駆動機構の動作について説明する。まず、図８（ａ）に示されるように、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前においては、遮断壁６５ｂは第１所定位置に配されており、且つ、凸部６５ｃは螺旋溝７０に嵌めこまれている状態である。つぎに、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、駆動ギア６９がＤカット軸６８を回転させ、これにより搬送スクリュー６５も回転する。そして、搬送スクリュー６５が回転すると、遮断壁６５ｂの外周部の凸部６５ｃが螺旋溝７０と嵌合しながらスライドする（図６参照）。これにより、図６および図８に示されるように、搬送スクリュー６５はＡ方向へ案内され、遮断壁６５ｂが第１所定位置から第２所定位置へ移動する。さらに、遮断壁６５ｂが第２所定位置へ到達すると、凸部６５ｃが螺旋溝７０からはずれ、且つ、遮断壁６５ｂが円周溝７１に嵌めこまれるようになっている（図９参照）。これにより、遮断壁６５ｂと遮断壁６５ｂを有する搬送スクリュー６５とは回転可能であるがＡ方向またはＢ方向への移動が禁じられることになる。それゆえ、図８（ｃ）に示されるように、遮断壁６５ｂが第２所定位置に移動した後は、遮断壁６５ｂは第２所定位置に固定され、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間を開放させ続けることができ、トナー収容区域６３ａのトナーをトナーカートリッジ６０外部の現像装置２へ連続的に供給し続けることができる。

以上説明したように、本実施形態のトナーカートリッジ６０は、トナー収容室６３と、放出口６４と、搬送スクリュー６５と、遮断壁６５ｂと、搬送スクリュー６５をＡ方向に動かす駆動機構とを有する構成である。トナー収容室６３はトナーを収容するものである。放出口６４は、トナー収容室６３からトナーカートリッジ６０の外部に貫通している開口であり、トナー収容室６３に収容されているトナーを前記外部へ放出させるためのものである。搬送スクリュー６５は、トナー収容室６３に備えられ且つトナー収容室６３に収容されているトナーをＡ方向に搬送するものである。遮断壁６５ｂは搬送スクリュー６５に形成されている。また、遮断壁６５ｂは、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前、トナー収容室６３においてトナーの存在する区域であるトナー収容区域６３ａと放出口６４との間に位置することによってトナー収容区域６３ａと放出口６４との間を遮断状態にする。そして、前記駆動機構は、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、画像形成装置５０から伝達される動力を用いて搬送スクリュー６５をＡ方向に動かす（駆動する）ことによって前記遮断状態を解除している。

このようなトナーカートリッジ６０によれば、画像形成装置５０に装着される前は、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間が遮断壁６５ｂによって遮断されていることになり、トナー収容区域６３ａに収容されているトナーが放出口６４にまで至ることはなく、放出口６４からトナーが漏れることはない。そして、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、画像形成装置５０から伝達される動力を用いて搬送スクリュー６５および遮断壁６５ｂをＡ方向へ移動させることによって、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間を開放できる（前記遮断状態を解除する）。それゆえ、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着された後はトナー収容区域６３ａのトナーを放出口６４に至らせることが可能になり、放出口６４からトナーカートリッジ外部へトナーを放出することが可能になる。

すなわち、以上示したトナーカートリッジ６０によれば、従来のトナーカートリッジにおいて必要であったヒートシール（図１の参照符１０６）を備えることなく、画像形成装置５０に装着される前において放出口６４からのトナー漏れを防止しつつ、画像形成装置５０に装着された後において放出口６４からトナーを放出させることができる。それゆえ、以上のトナーカートリッジ６０によれば、前記ヒートシールを用いることに起因して生じていた汚れ（ヒートシールを引き抜く際に飛散するトナーによってユーザの手や周囲に生じる汚れ）を抑制することができる。

また、本実施形態において、前記第１所定位置は前記遮断状態において遮断壁６５ｂが配されている位置に相当し、前記第２所定位置は前記遮断状態が解除された状態において遮断壁６５ｂが配されている位置に相当し、放出口６４は前記第１所定位置と前記第２所定位置との間に配されていることになる。そして、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると、前記駆動機構は、遮断壁６５ｂが前記第１所定位置から前記第２所定位置まで移動するように搬送スクリュー６５をＡ方向へ動かすようになっている。したがって、遮断壁６５ｂが第２所定位置へ移動した後、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間には遮断壁６５ｂが存在しなくなり、トナー収容区域６３ａから放出口６４の間において遮断壁６５ｂがトナーの通行を阻害してしまうといった事態を防止できる。

さらに、本実施形態において、搬送スクリュー６５をＡ方向へ動かすための前記駆動機構は、Ｄカット軸６８と螺旋溝７０と駆動ギア６９とを有するものである。Ｄカット軸６８は、搬送スクリュー６５がＡ方向へ移動可能に嵌められており、且つ、Ａ方向が回転軸方向となるように搬送スクリュー６５と共に回転するシャフトである。螺旋溝７０は、第１所定位置から第２所定位置に至るように形成されている。また、螺旋溝７０は、遮断壁６５ｂの凸部６５ｃと嵌合することによって搬送スクリュー６５を嵌めこみ、搬送スクリュー６５が回転すると搬送スクリュー６５をＡ方向に案内するように螺旋状に形成されている溝である。駆動ギア６９は、画像形成装置５０から伝達される動力によってＤカット軸６８を回転させるギア部材である。

このような駆動機構によれば、搬送スクリュー６５を回転させながらＡ方向（第１所定位置から第２所定位置に向かう方向）へ移動させることができると共に、搬送スクリュー６５に形成されている遮断壁６５ｂを第１所定位置から第２所定位置へ移動させることが可能になる。

また、図９に示されるように、トナー搬送区域６３ｂの第２所定位置には、搬送スクリュー６５のＡ方向およびＢ方向への移動が妨げられるように遮断壁６５ｂを嵌め込む円周溝７１が形成されている。それゆえ、遮断壁６５ｂは、第２所定位置に至ると円周溝７１に嵌めこまれる。これにより、遮断壁６５ｂが第２所定位置に至った後は、搬送スクリュー６５を回転させつつ、搬送スクリュー６５および遮断壁６５ｂの移動を妨げることが可能になるため、遮断壁６５ｂが第１所定位置へ戻ってしまうことはなく、トナー収容区域６３ａと放出口６４との間が開放している状態を維持することができる。

さらに、本実施形態のトナーカートリッジ６０においては、遮断壁６５ｂが第１所定位置に配置されている場合においてトナー収容室６３（トナー搬送区域６３ｂ）の壁面と遮断壁６５ｂの外周部との隙間が完全に塞がれるように、遮断壁６５ｂの外周部にＯリング（シール部材）７２を嵌めこむことが好ましい（図８，図９参照）。これにより、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前において、トナー収容区域６３ａのトナーが遮断壁６５ｂから漏れて放出口６４に至ってしまうという事態の発生を高精度に抑制できる。

また、Ｏリング７２はシリコンゴムからなるものであることが好ましい。この理由を以下説明する。シリコンゴムは圧縮復元性が高く且つ耐熱性があるため、シリコンゴムからなるＯリング７２を用いると、Ｏリング７２に対して作用する摩擦抵抗やストレスを低減することができる。それゆえ、Ｏリング７２が破損してしまうという弊害や、トナー収容室６３の壁面と遮断壁６５ｂとの隙間の密閉性が損なわれるといった弊害を抑制できる。

また、遮断壁６５ｂの外周部にＯリング７２を嵌めるのではなく、図１０（ａ）〜図１０（ｃ）に示すように、遮断壁６５ｂの外周部にシリコンゴム（シール部材）７３をコーティングし、遮断壁６５ｂが第１所定位置に配置されている場合においてトナー収容室６３の壁面と遮断壁６５ｂとの隙間を当該シリコンゴム７３によって塞ぐようにしてもよい。さらに、図１１（ａ）〜図１１（ｃ）に示すように、トナー収容室６３の壁面にシリコンゴム（シール部材）７４をコーティングし、遮断壁６５ｂが第１所定位置に配置されている場合においてトナー収容室６３の壁面と遮断壁６５ｂとの隙間を当該シリコンゴム７４によって塞ぐようにしてもよい。図１０や図１１の構成の場合、Ｏリング７２が不要になるため、部品点数を削減でき、トナーカートリッジ６０組み立ての際の工程を簡素化することが可能になる。

さらに、図１２に示されるように、本実施形態のトナーカートリッジ６０にはシャッター６７が備えられているが、さらに、シャッター６７のＡ方向側端部にギアロック（回転妨害部材）７６を設けてもよい。以下、ギアロック７６について詳細に説明する。

本実施形態において、シャッター６７は、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されるとＡ方向とは逆方向（Ｂ方向）にスライドし、前記装着の前後で配置を異ならせている。それゆえ、シャッター６７に設けられているギアロック７６も前記装着の前後で配置を異ならせることになる。

より具体的に説明すると、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前、ギアロック７６は、図１２（ａ）に示されるように駆動ギア６９の回転軌道上において駆動ギア６９と当接する位置に配される。これにより、駆動ギア６９に回転力が作用しても、駆動ギア６９の回転を妨げるようにギアロック７６が駆動ギア６９に当接するため、駆動ギア６９が回転することはない。これに対し、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着された後、ギアロック７６は、図１２（ｂ）に示されるように駆動ギア６９の回転軌道から退き、駆動ギア６９と離間する位置に配される。これにより、ギアロック７６が駆動ギア６９に当接することはなく、駆動ギア６９に回転力が作用すると、駆動ギア６９は回転する。

つまり、ギアロック７６は、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前は駆動ギア６９に当接することによって駆動ギア６９の回転を妨げる回転妨害状態を維持し、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着されると駆動ギア６９から離間することによって前記回転妨害状態を解除していることになる。それゆえ、トナーカートリッジ６０が画像形成装置５０に装着される前において、利用者の手などが駆動ギア６９に触れてしまうことにより駆動ギア６９が回転して搬送スクリュー６５および遮断壁６５ｂが動いてしまってトナー収容区域６３ａと放出口６４との間が開放されてしまうという誤作動が起こることを抑制できる。

また、図６に示されるように、遮断壁６５ｂを第１所定位置から第２所定位置まで移動させるために必要な駆動ギア６９の回転量は１回転以下に設定されていることが好ましい。このようにすれば、駆動ギア６９を少なくとも１回転させればトナー収容区域６３ａと放出口６４との間を遮断状態から開放状態へ移行させることができるため、トナーカートリッジ６０を画像形成装置５０に装着した後、僅かな時間で放出口６４からのトナー放出が可能になる。

さらに、以上示したトナーカートリッジ６０においては、図６に示すように、遮断壁６５ｂの外周部に凸部６５ｃを形成し、円筒管６２の内壁（トナー搬送区域６３ｂの壁面）に凸部６５ｃと嵌合する螺旋溝７０を形成することによって、搬送スクリュー６５をＡ方向に案内している。しかし、遮断壁６５ｂの外周部に凸部６５ｃの代わりに溝（第１溝部，案内受部）を形成し、円筒管６２の内壁において螺旋状に形成され且つ前記溝（第１溝部）と嵌合する凸状のレール（案内部）を形成することによって、搬送スクリュー６５をＡ方向に案内してもよい。

また、以上の実施形態では、画像形成装置５０はレーザプリンタであるが、電子写真方式の画像形成装置であればレーザプリンタに限定されるものではなく、ＬＥＤアレイによって感光体ドラムを露光する方式のプリンタであってもよい。また、画像形成装置５０は、プリンタ専用機である必要はなく、複写機、複合機、ファクシミリ装置であってもよい。また、画像形成装置５０は、カラー画像形成装置に限定されず、モノクロ画像形成装置であってもよい。

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態において開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

本発明のトナーカートリッジは、電子写真方式のプリンタ、複写機、複合機、ファクシミリ装置に好適である。

従来のトナーカートリッジを示した模式図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部を示した模式図である。 本発明の一実施形態に係るトナーカートリッジの斜視図である。 図３に示したトナーカートリッジの内部を示した模式図である。 図２の画像形成装置に含まれている現像装置の上部に配置された状態のトナーカートリッジを示した模式図である。 図３に示したトナーカートリッジに含まれる円筒管および搬送スクリューを示した斜視図である。 図４に示されるＤ方向に向けてトナーカートリッジ６０を写した場合の図である。 （ａ）は、画像形成装置に装着される前における本実施形態のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｂ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューが移動している途中のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｃ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューの移動が終了した後のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。 本実施形態のトナーカートリッジにおけるトナー搬送区域および遮断壁の側面を模式的に示した図である。 （ａ）は、遮断壁にシリコンゴムをコーティングしたトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｂ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューが移動している途中のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｃ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューの移動が終了した後のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。 （ａ）は、トナー収容室の壁にシリコンゴムをコーティングしたトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｂ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューが移動している途中のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。（ｃ）は、（ａ）のトナーカートリッジであって、画像形成装置に装着され且つ搬送スクリューの移動が終了した後のトナーカートリッジの内部構成を示した図である。 （ａ）は、シャッターによって放出口６４が覆われているトナーカートリッジを示した図であり、（ｂ）は、放出口が露出した状態のトナーカートリッジを示した図である。

符号の説明

５０ 画像形成装置
６０ トナーカートリッジ
６３ トナー収容室
６３ａ トナー収容区域
６３ｂ トナー搬送区域
６４ 放出口
６５ 搬送スクリュー（搬送部材）
６５ａ Ｄカット穴
６５ｂ 遮断壁
６５ｃ 凸部（案内受部）
６６ 撹拌棒
６７ シャッター
６８ Ｄカット軸（シャフト，駆動機構）
６９ 駆動ギア（ギア部材，駆動機構）
７０ 螺旋溝（案内部，駆動機構）
７１ 円周溝（第２溝部）
７２ Ｏリング（シール部材）
７３ シリコンゴム（シール部材）
７４ シリコンゴム（シール部材）
７６ ギアロック（回転妨害部材）

Claims (9)

1. 電子写真方式の画像形成装置に装着されるトナーカートリッジにおいて、
   トナー収容室と、
   前記トナー収容室からトナーカートリッジの外部に貫通し、前記トナー収容室に収容されているトナーを前記外部へ放出させるための放出口と、
   前記トナー収容室に備えられており、前記トナー収容室に収容されているトナーを搬送する搬送スクリューと、
   前記搬送スクリューに形成されており、前記トナー収容室においてトナーの存在する区域であるトナー区域と前記放出口との間に位置することによって前記トナー区域と前記放出口との間を遮断状態にする遮断壁と、
   前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着されると、前記画像形成装置から伝達される動力によって、前記遮断状態が解除されるように前記搬送スクリューを駆動する駆動機構とを有し、
   前記駆動機構は、前記遮断状態において前記遮断壁が配されている位置を第１所定位置とし、前記遮断状態が解除された状態において前記遮断壁が配されている位置を第２所定位置とする場合、前記遮断壁が前記第１所定位置から前記第２所定位置まで移動するように前記搬送スクリューを移動させる機構であり、
   前記トナー放出口は、前記第１所定位置と前記第２所定位置との間に配されており、
   前記搬送スクリューは、前記遮断壁の外周部に形成されている第１溝部もしくは凸部である案内受部を有し、
   前記駆動機構は、
   前記搬送スクリューが第１所定位置から第２所定位置に向かう移動方向に移動可能に嵌められており、且つ、前記移動方向が回転軸方向となるように前記搬送スクリューと共に回転するシャフトと、
   前記第１所定位置から第２所定位置に至るように形成されており、前記案内受部と嵌合することによって前記搬送スクリューを嵌めこみ、前記搬送スクリューが回転すると前記搬送スクリューが前記移動方向に案内されるように螺旋状に形成されている案内部と、
   前記画像形成装置から伝達される動力によって前記シャフトを回転させるギア部材とを有することを特徴とするトナーカートリッジ。
2. 前記第２所定位置に形成され、前記遮断状態が解除された状態において前記移動方向および前記移動方向とは逆方向への前記搬送スクリューの移動が妨げられるように前記遮断壁を嵌め込む第２溝部を有していることを特徴とする請求項１に記載のトナーカートリッジ。
3. 前記トナー収容室の壁面と前記遮断壁との隙間を塞ぐシール部材が備えられていることを特徴とする請求項１または２に記載のトナーカートリッジ。
4. 前記シール部材はシリコンゴムからなることを特徴とする請求項３に記載のトナーカートリッジ。
5. 前記シール部材は前記遮断壁の外周部に嵌められているＯリングであることを特徴とする請求項３または４に記載のトナーカートリッジ。
6. 前記シール部材は前記遮断壁の外周部または前記トナー収容室の壁面にコーティングされていることを特徴とする請求項３または４に記載のトナーカートリッジ。
7. 前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着される前は前記ギア部材に当接することによって前記ギア部材の回転を妨げる回転妨害状態を維持し、前記トナーカートリッジが前記画像形成装置に装着されると前記ギア部材から離間することによって前記回転妨害状態を解除する回転妨害部材を有することを特徴とする請求項１から６のいずれか１項に記載のトナーカートリッジ。
8. 前記第１所定位置から第２所定位置まで前記遮断壁を移動させるために必要な前記ギア部材の回転量を１回転以下に設定することを特徴とする請求項１から７のいずれか１項に記載のトナーカートリッジ。
9. 請求項１から８のいずれか１項に記載のトナーカートリッジが装着されている画像形成装置。
   
   
   

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