JP4542767B2 - 振動絶縁手段を具える電動工具 - Google Patents

Description

本発明は，少なくとも部分的に衝撃モードで作動する電動工具に関し，特に，手持式のハウジングと，該ハウジングに対して衝撃軸線方向に可動とされ，かつ，振動絶縁状態で結合された衝撃機構ユニットと，該衝撃機構ユニットを電源に接続するための複数の導線とを具える電動工具に関するものである。

衝撃型の手持式電動工具においては，通常はモータで駆動される空圧式衝撃機構の作動下で被加工材料と衝撃機構との相互作用により１Hz〜１００Hzの振動が発生する。このような振動は，ハウジングを介して使用者に伝達されるため，可能な限り完全に抑制する必要がある。衝撃機構は，ハウジングに対して振動絶縁されたユニットを構成するものであるが，異なる圧縮附勢力を生じさせるために衝撃軸線に沿って約１０ｃｍの範囲内で変位可能とし，その中点を中心として数ｍｍ程度の振幅で振動するものである。

英国特許第２１５４４７９号明細書（特許文献１）は，衝撃機構がハウジングに対して振動絶縁された手持式電動工具を記載している。この場合，ハウジングに固定されたモータが，衝撃軸線に沿って可動とされた接続部により衝撃機構ユニットに接続されている。
英国特許第２１５４４７９号明細書

ドイツ特許第１０００８６７１号明細書（特許文献２）は，自由に垂下する長い導線を介してモータをハウジングに接続した手持式電動工具を記載している。このような導線は，そのスポット状の断面形状により曲げ剛性が低く，曲げ振動モードに関して共振周波数が低いために振動に際して共振を誘発し，早期の材料疲労につながりかねない。
ドイツ特許第１０００８６７１号明細書

ヨーロッパ特許第０２７６３１３号明細書（特許文献３）は，ロボットにおける相対変位可能な可動部分の相互間に配置された帯状のワイヤハーネスを，剛性を有する可動の帯状支持部材上に固定することを記載している。さらに，米国特許第５０５４９４４号明細書（特許文献４）は，プレスヘッドに曲げ変形可能な帯状のワイヤハーネスを設け，このワイヤハーネスをプラスチック製の可撓導体プレートとして構成し，運動方向に延在させることを記載している。
ヨーロッパ特許第０２７６３１３号明細書 米国特許第５０５４９４４号明細書

本発明の課題は，早期の材料疲労を伴わずに衝撃機構ユニットを電源に対して振動絶縁下で接続可能とした電動工具を提案することである。

この課題を解決するため，本発明は，請求項１記載の事項を特徴とするものである。また，本発明の好適な実施形態は，従属請求項に記載したとおりである。

すなわち，本発明は，手持式のハウジングと，該ハウジングに対して衝撃軸線方向に可動とされ，かつ，振動絶縁状態で結合された衝撃機構ユニットと，該衝撃機構ユニットを電源に接続するための複数の導線とを具え，少なくとも部分的に衝撃モードで作動する電動工具において，該導線が，衝撃機構ユニットの衝撃軸線と交差してハウジング及び衝撃機構ユニットの間に延在する可撓性導線ブリッヂに，導線及び導線ブリッヂの間で相対的な振動を生じないように固定されていることを特徴とする。

本発明によれば，衝撃軸線と交差してハウジング及び衝撃機構ユニットの間に延在する可撓性導線ブリッヂに各導線を固定するため，全体として振動の影響を受けにくい構造ユニットを構成し，その曲げ剛性が各導線のそれよりも高く，より高い曲げ振動モードを有するために周波数領域内で共振周波数から十分に離れており，不所望の共振を十分に抑制することが可能である。

導線ブリッヂは，導線をその外面から挟持しつつ案内するための，長手方向に離間した複数のガイド手段と，該ガイド手段により案内された導線を導線ブリッヂに固定するための，好適にはクリップ状の固定手段とを具える構成とするのが有利である。この場合には，導線を導線ブリッヂに対し，長手方向に離間した複数の位置で簡単に固定することが可能である。

導線ブリッヂは，その長手方向と，衝撃機構ユニットの衝撃軸線の両者と直交する曲げ軸線を中心として屈曲可能とし，好適には帯状の形状とするのが有利である。この場合には，横振動を十分に抑制することが可能である。

導線ブリッヂをプラスチック製，好適には非強化ポリイミド製とするのが有利である。この場合，材料疲労を伴わずに振動を十分に減衰させることが可能である。

導線ブリッヂの端部に差込接続部を配置し，該差込接続部を，導線ブリッジに沿って該導線ブリッヂの長手方向に変位可能とするのが有利である。この場合，導線ブリッヂに関して附勢力の作用しない状態での組立てが可能である。

導線ブリッヂと差込接続部との間に，差込接続部を導線ブリッヂに摩擦結合するための圧縮附勢可能なリップを配置するのが有利である。この場合，差込接続部を止めねじで調整変位可能に固定することが可能である。

導線ブリッヂは，その一端で電動工具の電子回路ユニットに接着等により結合するのが有利である。この場合，導線ブリッヂは電子回路ユニットのサブアッセンブリを構成する。

以下，本発明を図示の好適な実施形態に基づいて更に詳述する。

図１に示す実施形態において，本発明に係る回転・衝撃型電動工具１は，グリップ２において使用者が把持可能としたハウジング３と，ハウジング３に対して振動絶縁され，衝撃軸線Ａに沿って可動とされた振動機構ユニット４とを具えている。この電動工具１は，可撓性を有する複数の導線５により，ハウジング３と，モータ６を含む振動機構ユニット４とを相互に導電接続したものである。導線５は，振動機構ユニット４の振動軸線Ａと交差する導線ブリッヂ７に対して一体的に振動可能に固定されている。導線ブリッヂ７は，一端で電動工具の電子回路ユニット１２に接着により固く結合されている。参照数字１３は，電子回路ユニット１２における導線ブリッヂ７の接着部を表す。導線ブリッヂ７の他端には差込接続部１０が配置され，この接続部１０により電子回路ユニット１２をモータ６に電気接続するものである。

図２に示すように，振動機構ユニット４の衝撃軸線Ａと交差する導線ブリッヂ７は，非強化型のポリアミド製であり，衝撃軸線Ａと，導線ブリッジ７の長手方向の両者と交差する曲げ軸線Ｂを中心として屈曲可能とされている。導線５は，そのような導線ブリッヂ７に，両者間で相対的な振動を生じないように固定されている。その際，導線ブリッヂ７の肉厚を適切に設計することにより導線ブリッヂ７の曲げ剛性を，導線ブリッヂ７の曲げ軸線Ｂ周りでの一次固有曲げ振動が２００Ｈｚ以上となるように設定する。導線ブリッヂ７は，長手方向で互いに離間して配置されて各導線５をその外面から挟持しつつガイドする複数のガイド手段８と，これらガイド手段８によりガイドされた導線５を導線ブリッヂ７に固定するためのクリップ状固定手段９とを有している。導線ブリッヂ７の端部に配置された差込接続部１０は，領域Ｘ内で導線ブリッヂ７に沿って，導電ブリッジ７の長手方向に変位可能であり，２個のリップ１１を介して差込接続部１０に摩擦結合されている。差込接続部１０は，ねじ１４によりモータ６に固定され，リップ１１を圧縮附勢するものである。

本発明に係る電動工具の一実施形態を一部破断して示す側面図である。 図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う導線ブリッヂの断面図である。

１ 電動工具
２ グリップ
３ ハウジング
４ 振動機構ユニット
５ 導線
６ モータ
７ 導線ブリッヂ
８ ガイド手段
９ 固定手段
１０ 差込接続部
１１ リップ
１２ 電子回路ユニット
１３ 接着部
１４ ねじ
Ａ 衝撃軸線
Ｂ 曲げ軸線

Claims (7)

1. 少なくとも部分的に衝撃モードで作動する電動工具であって，手持式のハウジング（３）と，該ハウジング（３）に対して衝撃軸線（Ａ）方向に可動とされ，かつ，振動絶縁状態で結合された衝撃機構ユニット（４）と，該衝撃機構ユニット（４）を電源に接続するための複数の導線（５）とを具える電動工具において，該導線（５）が，衝撃機構ユニット（４）の衝撃軸線（Ａ）と交差してハウジング（３）及び衝撃機構ユニット（４）の間に延在する可撓性導線ブリッヂ（７）に，導線（５）及び導線ブリッヂ（７）の間で相対的な振動を生じないように固定されていることを特徴とする電動工具。
2. 請求項１記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）が，導線（５）をその外面から挟持しつつ案内するための，長手方向に離間した複数のガイド手段（８）と，該ガイド手段（８）により案内された導線（５）を導線ブリッヂ（７）に固定するための固定手段（９）とを具えることを特徴とする電動工具。
3. 請求項１又は２に記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）が，該導電ブリッジ（７）の長手方向と，衝撃機構ユニット（４）の衝撃軸線（Ａ）の両者と直交する曲げ軸線（Ｂ）を中心として屈曲可能であることを特徴とする電動工具。
4. 請求項１〜３の何れか一項に記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）がプラスチック製であることを特徴とする電動工具。
5. 請求項１〜４の何れか一項に記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）の端部に差込接続部（１０）を有し，該差込接続部（１０）が，前記導線ブリッジ（７）に沿って該導線ブリッヂの長手方向に変位可能であることを特徴とする電動工具。
6. 請求項５記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）と差込接続部（１０）との間に，前記差込接続部（１０）を導線ブリッヂ（７）に摩擦結合するための圧縮附勢可能なリップ（１１）が配置されていることを特徴とする電動工具。
7. 請求項１〜６の何れか一項に記載の電動工具であって，前記導線ブリッヂ（７）がその一端で電動工具の電子回路ユニット（１２）に固定されていることを特徴とする電動工具。

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