JP4540971B2 - 中性酸化チタンゾルおよびその製造方法 - Google Patents

中性酸化チタンゾルおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、中性域のpHで分散安定なアナタース型結晶構造を有する酸化チタンゾルおよびその製造方法に関する。
酸化チタンは、白色顔料のほかに種々の性質を活かした機能性材料として用いられている。例えば、紫外線を吸収し遮蔽する性質を有することから、化粧料の紫外線吸収剤やプラスチック包装材等の充填剤などとして用いられている。また、高表面積を有することから、触媒、吸着剤等として有用であり、一方、紫外光を照射すると励起する性質を利用して、光触媒、光半導体等としても有用である。具体的に光触媒として用いる場合には、酸化チタン微粒子のバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると、酸化チタンが励起しその表面に正孔と電子が発生する。発生した正孔は非常に強力な酸化力を有していることなどから、有毒物質、悪臭物質、刺激性物質、環境汚染物質、菌、黴、藻類、細菌などの有害物を除去できる。さらに、酸化チタンを基材の表面に固定させることによって、前記の有害物除去機能のほか、この光触媒機能によって、基材の表面に付着する汚れを防止したり、基材の表面を親水性にし、曇りを防止することができる。
前記のような機能性材料として用いる酸化チタンとしては、微粒子状であればそれらの活性が高まり好ましい。さらに、基材に付着して用いる場合、酸化チタンが微粒子状であれば、可視光を透過し透明になるため、基材自体の意匠性を損ない難いという利点がある。このような酸化チタン微粒子は、通常、溶媒に分散したゾルの状態で用いられており、そのような酸化チタンゾルには酸性域のpHで安定な酸性酸化チタンゾル、中性域のpHで安定な中性酸化チタンゾル、アルカリ性域のpHで安定なアルカリ性酸化チタンゾルにわけられる。この内、酸性域あるいはアルカリ性域のpHで安定なものを用いる場合には、光触媒反応等を行う反応系のpHを同じように酸性域あるいはアルカリ性域に保持する必要があること、さらに、基材に付着して用いる場合には、酸化チタンゾルに配合された酸あるいはアルカリによって、基材が腐食される場合があり、問題となる。他方、中性域のpHで安定な酸化チタンゾルでは、光触媒反応等を行う反応系のpHの問題がなく、腐食の問題もないため好ましいものである。しかしながら、酸化チタンを中性域のpHで分散安定化させるためには、従来、酸化チタンの粒子表面に10〜25重量%の好ましい範囲の多量のシリカをできる限り緻密に被覆させる必要があった(特許文献1参照)。
特開平10−158015号公報
前記の特許文献1に記載の方法では、中性域のpHで分散安定な酸化チタンゾルが得られるものの、光触媒等の機能を有さない多量のシリカが緻密に被覆されているため、有害物等と酸化チタン微粒子との接触が阻害され、酸化チタンの優れた機能が発現しにくいという問題がある。
本発明者らは、中性域のpHで分散性が安定であり、しかも、酸化チタンの機能が発現しやすい酸化チタンゾルを得るべく鋭意検討した。その結果、アナタース型結晶構造を有する酸化チタン微粒子の表面に多孔質シリカを被着させると、シリカの空孔を通じて有害物等が酸化チタン表面に接触し、その機能によって吸着、分解、除去などが起こること、しかも、多孔質シリカが酸化チタンの等電点を中性域からずらすことができ、中性域での分散性に優れた酸化チタンゾルが得られることなどの知見を得、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
(1)アナタース型結晶構造を含み、その表面に多孔質シリカを5〜10重量%被着した酸化チタン微粒子を分散してなる、中性域のpHで安定な光触媒用酸化チタンゾル、
(2)酸性酸化チタンゾルに、そのゾルのpHを酸性に維持しながらアルカリ金属珪酸塩を混合して、酸化チタン微粒子の表面に多孔質シリカを5〜10重量%被着し、次いで、中性域のpHに調整することを特徴とする中性域のpHで安定な光触媒用酸化チタンゾルの製造方法、である。

本発明の酸化チタンゾルは、アナタース型結晶構造を有する酸化チタン微粒子の表面に多孔質シリカを被着することによって、酸化チタンの等電点を調整することができ、pHが5〜9程度の中性域で酸化チタン微粒子の分散性が安定となる。また、シリカを多孔質の状態で被着することによってシリカによる阻害を少なくすることができるため、酸化チタン微粒子の機能が発現しやすくなる効果があり、しかも、酸化チタン微粒子を固定する基材との接触を緩和し、光触媒機能の発現によって基材をも分解する弊害を防止する効果もある。したがって、本発明の酸化チタンゾルは、使用場面での制限が少なく、酸化チタン微粒子をあらゆる物質、組成物に配合したり、あらゆる基材に固定することが可能であり、また、多孔質シリカの空孔を通してアナタース型結晶構造を有する酸化チタン微粒子の機能を利用し、例えば、光触媒、光半導体、触媒、吸着剤、紫外線吸収剤、充填剤などの種々の用途に用いることができる。
本発明の酸化チタンゾルは、水溶媒や水と有機溶媒の混合溶媒に酸化チタン微粒子を分散させたものであり、pHが5〜9程度の中性域で酸化チタン微粒子の分散性が安定である。分散配合した酸化チタン微粒子は、アナタース型結晶構造を含み、その表面に多孔質シリカを被着することが重要である。酸化チタン微粒子は、アナタース型結晶構造を少なくとも含むものであり、X線回折によってアナタース型結晶構造と同定できるものが少なくとも50重量%以上含むものが好ましく、より好ましくは80重量%以上含む。アナタース型結晶構造のほかには非晶質の構造のものが含まれていてもよく、また、ルチル型、ブルッカイト型のそのほかの結晶構造が一部分含まれていてもよい。酸化チタンには、通常の酸化チタンのほかに含水酸化チタン、水和酸化チタン、オルトチタン酸、メタチタン酸、水酸化チタンと称されるものを含む。酸化チタン微粒子の一次粒子径は、1〜100nmの範囲が好ましく、1〜10nmの範囲がより好ましい。一次粒子径が100nmより大きくても、あるいは、1nmより小さくても分散安定性が低下しやすいため好ましくなく、少なくとも1〜100nmの範囲であれば分散安定性がよい。一方、光触媒、触媒、吸着剤などの用途には微細なものが好ましく、一次粒子径が10nm以下のものがより好ましく、1〜10nmのものがさらに好ましい。酸化チタン微粒子の一次粒子径は、透過電子顕微鏡写真によって測定する。また、光触媒性等の機能を向上させるために、予め酸化チタン微粒子の表面に白金、金、銀、銅、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの金属、酸化ルテニウムなどの金属酸化物を被着しておいてもよい。酸化チタンゾルに含まれる酸化チタン微粒子の含有量は適宜設定でき、例えば1〜40重量%程度のものとすることができる。
この酸化チタン微粒子の表面、通常、個々の酸化チタン微粒子の一次粒子表面には、凝集シリカを被着しており、そのシリカの被着は多孔質(ポーラス)の構造となる。多孔質シリカは、酸化チタン微粒子に被着させる際に、通常酸性域からシリカを析出させると生成したシリカ粒子が凝集して形成することができ、その状態は後述の実施例でのポリビニルアルコール分解活性試験、あるいは二酸化チタン顔料に同様に被着した際の熱濃硫酸溶解試験で確認することができる。反対に、アルカリ性域からシリカを析出させると、特に溶液温度を70℃以上に維持しながら行うと、多孔質でない緻密なシリカが形成されやすく、酸化チタン微粒子の機能低下を起こすため好ましくない。シリカには酸化珪素のほかに、水和酸化珪素、酸化珪素の含水物、水酸化珪素と称されるものを含む。シリカの被着量は分散安定性の程度や使用する用途に応じて適宜設定することができ、酸化チタン微粒子のTiO基準に対して、SiO換算で1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。被着量が少なくとも前記範囲であればゾルの分散安定性、酸化チタン微粒子の機能の発現について両方が十分備わるため好ましく、前記範囲より著しく少ないと、中性域における酸化チタンの分散性が十分なものとならなかったり、また、被着量が前記範囲より著しく多いと、酸化チタン微粒子の機能の発現が阻害されやすくなるため好ましくない。被着したシリカには、酸、アルカリなどの不純物を含んでいてもよく、また、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化鉛などの無機酸化物を含ませてもよい。
本発明の酸化チタンゾルには、基材との親和性を改善するために、アルコールを配合してもよい。配合するアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテルアルコール類、エチレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール類など水に可溶なアルコールの中から一種類以上を用いることができる。アルコールの配合量は適宜設定することができる。また、酸化チタンゾルには、充填剤、顔料、吸着剤、粘度調整剤、乾燥促進剤などを添加してもよい。
本発明の酸化チタンゾルの使用に関して、酸化チタンゾルに基材を浸漬したり、酸化チタンゾルを基材に塗布し、または、吹き付けし、溶媒を除去して、酸化チタン微粒子を基材に固定して、種々の用途に用いることができる。酸化チタンゾルには、酸化チタン微粒子の固定を強固にするために、例えば、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサン、アルキルシリケート、アルキルシリケートの部分加水分解生成物などのケイ素化合物、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、セメント、石灰、セッコウ、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、プラスターなどの無機系バインダ、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーなどの有機系バインダなどのバインダの一種または二種以上を配合してもよい。基材に酸化チタンゾルを塗布したりあるいは吹き付けたりするには、例えば、含浸法、ディップコーティング法、スピナーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、リバースロールコーティング法などの通常の方法で塗布したり、あるいは、スプレーコーティング法などの通常の方法で吹き付けたりして、基材の少なくとも一部に酸化チタン微粒子を配置させることができる。このようにして塗布あるいは吹き付けた後、乾燥または焼成して溶媒を除去する。乾燥または焼成の温度は、800℃より低い温度が好ましく、100〜400℃の温度で行うのがより好ましい。バインダを用いた場合には、そのバインダが固化する方法、例えば紫外線照射などの方法を用いてもよい。基材としては、セラミックス、ガラスなどの無機材質の物品、プラスチック、ゴム、木、紙などの有機材質の物品、アルミニウムなどの金属、綱などの合金などの金属材質の物品を用いることができる。基材の大きさや形には特に制限されない。基材に酸化チタンゾルを塗布したりあるいは吹き付けたりする前に、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂などの有機系結着剤やシリカなどの無機系結着剤を基材に塗布しあるいは吹き付けたりしてもよい。
光触媒用途に用いる場合、本発明の酸化チタンゾルあるいは前記のように酸化チタンゾルにアルコールやバインダなどを配合した液状組成物を特に光触媒液状組成物と称し、その光触媒液状組成物を用いて基材に酸化チタン微粒子を固定したものを光触媒体と称する。光触媒液状組成物あるいは光触媒体に配合した酸化チタン微粒子のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光を照射させることにより、その回りに存在する有毒物質、悪臭物質、刺激性物質、環境汚染物質、菌、黴、藻類、細菌などの有害物を除去できるほか、基材の表面に付着する汚れを防止したり、基材の表面を親水性にし、曇りを防止することができる。照射する光としては、紫外線を含有した光などが挙げられ、例えば、太陽光や蛍光灯、ブラックライト、ハロゲンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀灯などの光を用いることができる。特に、300〜400nmの近紫外線を含有した光が好ましい。光の照射量や照射時間などは処理する物質の量などによって適宜設定できる。
本発明の酸化チタンゾルを種々の用途に使用するには、酸化チタンゾルの状態で使用したり基材に固定して用いることができるほかに、酸化チタンゾルから固形分を分離し、乾燥または焼成して酸化チタン粉体としても使用することができる。乾燥または焼成の温度は、800℃より低い温度が好ましく、100〜400℃の温度で行うのがより好ましい。
本発明の酸化チタンゾルは、酸性酸化チタンゾルに、そのゾルのpHを酸性に維持しながら珪素化合物を混合して、酸化チタン微粒子の表面に多孔質シリカを被着し、次いで、中性域のpHに調整して得られる。本発明の酸化チタンゾルの製造方法を以下の(A)、(B)の工程にわけて詳述する。
(A)酸性の酸化チタンゾルの調製
含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸またはその塩で解膠処理して酸性の酸化チタンゾルを得る。含水酸化チタンとしては、メタチタン酸、オルトチタン酸などの無定形のもの、ルチル型またはアナタース型の結晶を一部有するもの、あるいはこれらの混合物などが挙げられるが、光触媒活性等の高いアナタース型の結晶を少なくとも一部有するものが望ましい。含水酸化チタンは、例えば硫酸チタン、硫酸チタニル、四塩化チタン等の水溶性無機チタン化合物などのチタン化合物を加熱加水分解したり、該チタン化合物水溶液にアルカリを添加し、中和したりして得ることができる。加熱加水分解して得られる含水酸化チタンは、普通このものをアルカリで中和し、固液分離、洗浄、脱水して、内部に残存している硫酸根をできるだけ除去した後この脱水物に塩酸、硝酸、酢酸、塩素酸、クロル酢酸などの一塩基酸を加えて解膠処理する。解膠処理によって得られる酸性酸化チタンゾルは、一塩基酸を安定剤として含有しており、通常pH3以下の酸性を示す。酸化チタン微粒子の粒径は、加熱加水分解を行ったり、中和温度を下げたり、中和反応を遅くしたりすることによって、より微細なものとすることができる。なお、本発明製造方法の各工程で使用されるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水などが挙げられる。
(B)酸化チタン微粒子への多孔質シリカ被着処理
酸性酸化チタンゾルにそのゾルのpHを酸性に維持しながら珪素化合物を混合すると、珪素化合物が加水分解し、生成したシリカ粒子が凝集して、分散した酸化チタン微粒子の一次粒子表面に析出する。珪素化合物としては珪酸ナトリウム等のアルカリ金属珪酸塩などを用いることができ、酸性域で析出させるために、塩酸、硝酸、酢酸、塩素酸、クロル酢酸、硫酸などの酸を添加しながら、珪素化合物を混合するのが好ましく、pHを3以下にしながら混合するのがさらに好ましい。珪素化合物を混合した後、必要に応じて熟成し、次に、混合液にアルカリを添加し、pHが5〜9程度の範囲に調整する。その後、必要に応じて固液分離し、洗浄し、再分散してもよい。固液分離には限外濾過法等を用いることができ、この固液分離や次の洗浄によって不純物を除去することができる。洗浄の程度は、通常酸化チタンゾルの導電率が5mS/cm以下、好ましくは2mS/cm以下、最も好ましくは1mS/cm以下になるように行うのがよい。また、再分散の際には超音波処理などの物理的方法によって酸化チタン微粒子の分散性を高めてもよい。このようにして、中性域のpHで安定した酸化チタンゾルが得られる。
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1
(A)酸性酸化チタンゾルの調製
チタン鉱石を硫酸と反応させ、得られた硫酸チタン溶液を加熱加水分解して生成させた凝集メタチタン酸をTiO換算30重量%の水性スラリーとし、このスラリーをアンモニア水でpH7に中和し、その後濾過洗浄して硫酸根を除去した。得られた脱水ケーキに硝酸を加えて解膠処理して、アナタース型結晶構造を含む酸化チタン微粒子(一次粒子径7nm)からなるpH1.5の酸性酸化チタンゾルを得た。
(B)シリカ被着処理
前記(A)の工程で得られた酸性酸化チタンゾルを純水で希釈して、TiO換算200g/lの酸化チタンゾル600mlとした後、70℃に昇温し、次いで、SiO換算濃度432g/lのケイ酸ナトリウム水溶液20.8mlを20%硫酸と同時に添加し、その後、30分間熟成した。次いで、10%水酸化ナトリウム水溶液でpHを8に調整した後、2%硫酸水溶液でpHを6に調整し、濾過・洗浄を行い、湿ケーキを得た。この湿ケーキを純水中にリパルプした後、超音波分散して、中性域で安定な酸化チタンゾル(固形分濃度20重量%。pH=7.5)(試料A)を得た。
この試料Aには、酸化チタン微粒子の表面に凝集シリカが多孔質の状態で被着しており、その含有量は、TiO100重量部に対してSiO換算で6.27重量部であった。
比較例1
実施例1の前記(A)の工程で得られた酸性酸化チタンゾル3リットルと5%水酸化ナトリウム水溶液とを、系のpHが5〜9に維持されるように水中に添加した。その後、系のpHを7に調整後、濾過し、濾液の導電率が100μS/cmとなるまで洗浄を行い、酸化チタン湿ケーキを得た。この酸化チタン湿ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液を添加後、リパルプし、さらに超音波分散機で3時間分散して、pH10.5のアルカリ性酸化チタンゾルを得た。このアルカリ性酸化チタンゾルを純水で希釈して、TiO換算200g/lの酸化チタンゾル600mlとした後、70℃に昇温し、SiO換算濃度432g/lのケイ酸ナトリウム水溶液20.8mlを添加し、その後、90℃に昇温し、1時間熟成後、10%硫酸を添加してpHを6に調整し、濾過・洗浄を行い、湿ケーキを得た。この湿ケーキを純水中にリパルプした後、超音波分散して、中性域で安定な酸化チタンゾル(固形分濃度20重量%。pH=7.9)(試料B)を得た。
この試料Bには、酸化チタン微粒子の表面に緻密なシリカが被着しており、その含有量は、TiO100重量部に対してSiO換算で6.62重量部であった。
実施例1、比較例1で得られた酸化チタンゾルの透過率を以下に示す方法により評価した。それぞれの酸化チタンゾルを固形分濃度0.015重量%となるように純水で希釈して調製し、10mmの石英セルに入れ、分光光度計(U-3300:日立製) を用いて正透過でのスペクトル(波長300〜750nm)を測定した。得られた結果を表1に示した。表1の結果より、実施例1で得られた中性酸化チタンゾルは、比較例1の酸化チタンゾルと同程度の可視域での透過性を有し、分散性およびその安定性も同等程度であることがわかった。
Figure 0004540971
光触媒活性の評価1
実施例1および比較例1で得られた得られた酸化チタンゾルのポリビニルアルコール分解活性を以下の方法により評価した。試料A、Bを各々固形分濃度6重量%となるように、純水で希釈した酸化チタンゾル2.5mlと6重量%の濃度のポリビニルアルコール2.5mlとを混合し、10mm厚の石英セルに封入し、ブラックライトを用いて2mW/cmの強度の紫外線を2時間照射した。紫外線照射前後の明度および色度を色彩色差計(938:X-Rite社製)を用いて各々測定し、紫外線照射前後での色差(ΔE)を算出した。得られた結果を表2に示した。一般に、光触媒活性が高いほど色差は大きくなることから、本発明の酸化チタンゾルは光触媒活性が高いことがわかる。
Figure 0004540971
実施例2
実施例1で得られた酸化チタンゾルを固形分濃度5重量%に調整した後、スライドガラス上にスピンコーター(1H-360S:ミカサ製)で1000rpm×10秒の条件で塗布し、110℃で3時間乾燥させて、光触媒体(試料C)を得た。
比較例2
比較例1で得られた酸化チタンゾルを固形分濃度5重量%に調整した後、実施例2と同じ方法で、光触媒体(試料D)とした。
光触媒活性の評価2
実施例2および比較例2で得られた光触媒体の光触媒活性を以下に示す方法により評価した。まず、それぞれの試料に4mW/cmのブラックライトの光を12時間プレ照射して、予め試料中に含まれる不純物を除去した。次いで、それぞれの試料を閉鎖循環式装置(内容積2.8リットルのガラス製容器)にセットし、アセトアルデヒドを濃度が約50ppm程度になるように注入した。次いで、暗状態で30分間放置した後反応容器上部に設置した4Wブラックライトを点灯し、反応容器内のアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフで測定した。なお、310〜400nmの紫外光の照射強度は試料の表面で約0.5mW/cmであった。アセトアルデヒドの残量の経時変化から、分解速度定数を算出した結果を表3に示す。この結果から、本発明の酸化チタンゾルを用いた光触媒体は、比較例のものに比べて、アセトアルデヒドの分解速度が速いことがわかる。
Figure 0004540971
本発明の酸化チタンゾルは、アナタース型結晶構造を有する酸化チタン微粒子の機能を付与するためなどに用いることができる。例えば、酸化チタンゾルに配合した酸化チタン微粒子を種々の物質、組成物に配合したり、基材に固定して、光触媒、光半導体、触媒、吸着剤、紫外線吸収剤、充填剤などの用途に用いる際の材料として利用することができる。

Claims (2)

  1. アナタース型結晶構造を含み、その表面に多孔質シリカを5〜10重量%被着した酸化チタン微粒子を分散してなる、中性域のpHで安定な光触媒用酸化チタンゾル。
  2. 酸性酸化チタンゾルに、そのゾルのpHを酸性に維持しながらアルカリ金属珪酸塩を混合して、酸化チタン微粒子の表面に多孔質シリカを5〜10重量%被着し、次いで、中性域のpHに調整することを特徴とする中性域のpHで安定な光触媒用酸化チタンゾルの製造方法。
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