JP4539891B2 - マルチアンテナを用いた無線通信方法、無線通信システムおよび無線通信装置 - Google Patents

マルチアンテナを用いた無線通信方法、無線通信システムおよび無線通信装置 Download PDF

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Description

本発明は、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を用いて、高スループットあるいは高信頼の無線通信を実現する、マルチアンテナを用いた無線通信方法、無線通信システムおよび無線通信装置に関し、特に、送受信を行う無線通信装置間で伝送路行列に関する情報を伝送することなしに大きなMIMO利得が得られる固有ビーム伝送を実現でき、かつ簡易な構成の移相器を少ない数の信号の送受信で最適化して、大きなMIMO利得を得ることができる、マルチアンテナを用いた無線通信方法、無線通信システムおよび無線通信装置に関する。
携帯電話システムは、音声通話サービスを提供する無線システムとして実用化されてきたが、最近では、音声通話サービスだけでなく、メールやインターネットアクセスなどの様々なデータサービスも利用できるようになってきている。ブロードバンド無線通信が普及すると、さらに高精細な動画情報の送受信も可能となり、新たなサービスが生み出されることも予測される。
無線通信技術が発達するにつれて、無線通信システムの大容量化と無線通信の高スループット化が進んできたが、ブロードバンド無線通信への移行にあたっては1つの大きな課題が存在する。それは、ブロードバンド無線通信システムによるブロードバンドサービスでは、従来の音声通話が主体の通信システムと較べサービスエリアが非常に狭いものになってしまうということである。
これは、主に、ブロードバンド無線通信システムを用いて音声情報を伝送する場合、高々数キロヘルツの帯域の音声情報を数十メガヘルツの帯域を用いて伝送するため、受信側において過剰な雑音成分が生じることに起因する。ベースバンド処理を用いれば、過剰な雑音成分を抑圧することは可能であるが、この場合には数十メガヘルツの帯域を使用して極めて低速の無線通信を行うことになり、非常に伝送効率の悪い無線通信システムになってしまう。
ブロードバンドサービスと音声通話のようなナローバンドサービスを合わせて提供できるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)技術もあるが、OFDMAにおいても、ブロードバンドサービスの通信エリアは非常に狭いものになってしまう。
現時点において実用化されている唯一のブロードバンド無線通信システムであるIEEE802.11準拠の無線LANを用いて、音声通話サービスとデータサービスの両方を提供することも既に行われているが、音声通話サービスにおけるサービスエリアが狭いことがネックとなり、あまり普及は進んでいない。
IEEE802.11準拠の無線LANのサービスエリアを拡大する技術としては、例えば、米国のジラス社(Xirrus, Inc.)により開発されたものが既に存在しており、この技術を搭載した無線基地局も既に製品化されている。
図35は、ジラス社の技術による無線基地局の構成を示すブロック図である。この無線基地局は、16個のアクセスポイント(AP)を備え、各アクセスポイントはそれぞれ、指向性アンテナを備えている。各アクセスポイントが備えた指向性アンテナは、互いに指向性が異なり、16個の指向性アンテナで全方位をカバーする。各アクセスポイントには互いに無線周波数の異なるチャネルが割り当てられる。コントローラは、16個のアクセスポイントと指向性アンテナを制御する。図35の構成によれば、オムニアンテナを使用する場合と比較して12dB程度のアンテナ利得を得ることができ、サービスエリアの半径を約2倍に拡大できることが報告されている。
無線LANのサービスエリアを拡大する技術の他の一例としては、米国のラッカス・ワイヤレス社(Ruckus Wireless Inc.)により開発されたものが存在し、この技術を搭載した無線基地局も既に製品化されている。この技術は、特許文献1に記載されている。
図36は、ラッカス・ワイヤレス社の技術による無線基地局の構成を示すブロック図である。この無線基地局は、16個の指向性アンテナを使用し、アンテナ利得によりサービスエリアを拡大する点ではジラス社の技術と同じであるが、アンテナごとにアクセスポイントを備えておらず、高周波スイッチによりアンテナの組み合わせを適応的に切り替えて使用する点が異なる。この構成では、無線基地局ごとに1台のアクセスポイントを備えればよいので、低コスト化および低消費電力化を図ることができる。
上述した無線LANのサービスエリア拡大技術を、ブロードバンド無線通信システムの無線基地局ないしはアクセスポイントに適用すれば、そのサービスエリア半径を数倍にまで拡大することは可能である。しかし、それでも音声通話サービスが主体の現行の無線通信システムと比較すると、そのサービスエリアは狭いものになってしまう。
具体例として、IEEE802.11a準拠の無線LAN(以下、IEEE802.11aシステムと称する。)のサービスエリアと、音声通話サービスが主体の現行の無線通信システム(PHSシステム)のサービスエリアについて説明する。
図37は、IEEE802.11aシステムおよびPHSシステムにおける無線基地局−無線端末間距離と受信信号電力の関係および各システムでの受信感度を示す。なお、ここでは、電波伝搬モデルとしてITU-R P.1238-2の屋内伝播モデルを使用し、各システム緒元として製品仕様における一般的な値を用いた。図37に示すように、無線基地局−無線端末間距離の増加に伴って受信信号電力は減少する。各システムのサービスエリア半径は、受信信号電力が当該システムの受信感度と一致する時の無線基地局−無線端末間距離として得られる。
上記電波伝播モデルで与えられる受信信号電力は、受信信号電力の平均値である。実際には、これにレイリーフェージングによる変動が重畳される。このため、サービスエリア半径を受信信号電力の平均値を用いて決定すると、サービスエリアの境界付近では、約1/2の確率で受信信号電力が受信感度を下回ってしまう。これを防ぐため、レイリーフェージングによる変動が重畳されるものとして受信信号電力の累積確率が1%となる電力値(以下では、1%値と称する。)を求め、これがシステムの受信感度と一致する時の無線基地局−無線端末間距離をサービスエリア半径とするのが好ましい。
図37では、受信信号電力の平均値を破線で示し、1%値を実線で表示している。実線(1%値)が各システムの受信感度を表す直線と交差するポイントでの無線基地局−無線端末間距離がサービスエリア半径となる。図37より、IEEE802.11aシステムおよびPHSシステムのサービスエリア半径はそれぞれ、18メートルおよび114メートルとなる。各システムにおいて、サービスエリアの内側で受信信号電力が受信感度を下回る確率は1%未満であり、そこでは良好な通話品質が得られる。
上述したことから明らかなように、IEEE802.11aシステムのサービスエリア半径は、PHSシステムと比較すると約1/6であり、面積比では約1/40となる。PHSシステムのサービスエリア境界(無線基地局−無線端末間距離が114メートルのポイント)におけるIEEE802.11aシステムの1%値は約-111dBmであり、IEEE802.11aシステムの受信感度である-87dBmを24dB下回っている。すなわち、IEEE802.11aシステムにおいて、現行のPHSシステムに匹敵するサイズのサービスエリアを実現するためには、24dBのダイナミックレンジの改善が必要となる。
無線基地局に上述したサービスエリア拡大技術を適用した場合に得られるダイナミックレンジの改善は、例えば、16個の指向性アンテナを使用した場合でも高々12dB(電力利得16に相当)である。図37から、12dBのダイナミックレンジの改善によりサービスエリア半径を42メートルに増大できることが分かる。このように、上述したサービスエリア拡大技術を適用すれば、サービスエリア半径を現行IEEE802.11aシステムの2倍以上に増大することが可能であるが、それでもPHSシステムと比較すると、サービスエリア半径は約1/3、面積比では約1/8であり、サービスエリアが狭いものであることに変わりはない。
PHSシステムに匹敵するサービスエリアを得るためには無線基地局に256個(利得24dBに相当)以上の指向性アンテナを備える必要がある。しかし、これは現実的でない。24dB程度の大きなダイナミックレンジの改善は、無線基地局および無線端末の両方に少なくとも16個(利得12dBに相当)の指向性アンテナを備えることでも可能であるが、12dB程度の高利得の指向性アンテナを形成するには空間的に大きなスペースが必要であり、それを16個も実装するためには、無線端末の容積も大きくならざるを得ない。
また、マルチパス環境下において様々な方向から電波が到来する場合、その全てを受信しようとすると、アンテナ利得が小さくなるという問題が生じる。すなわち、指向性アンテナを組み合わせて使用し、最適な指向性を実現するラッカス・ワイヤレス社の開発した技術では、電波の到来角度の確率分布が一様分布に近づくにつれてアンテナ利得が小さくなり、ダイナミックレンジの改善量が24dBよりも小さくなるという問題が生じる。一方、ジラス社の開発した技術では、上記の問題は生じないが、無線端末に、16個のアクセスポイントに対応して16個の無線送受信機を実装する必要があり、コストおよび消費電力が大きくなる問題がある。
以上のように、ブロードバンド無線通信システムにおいて、数十メガビット毎秒程度の非常に高いスループットの無線通信に加えて、音声通話サービスを現行の無線通信システムと同一のサービスエリアで提供するためには、24dB程度の非常に大きなダイナミックレンジの改善が必要となるが、これを可能とする技術は現時点では存在しない。
近年、ブロードバンド無線通信の分野では、伝送容量の増大や信頼性の向上を目的として、MIMO技術を導入したシステムが一般化しつつある。例えば、家庭やオフィスにおいて普及が進んでいるIEEE802.11規格に準拠した無線LANは、現状ではOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術をベースとしたIEEE802.11aあるいはIEEE802.11gに準拠したシステムが主流であるが、MIMO技術を導入した新しい標準であるIEEE802.11nの策定も進められている。最近では、IEEE802.11nのドラフトに準拠したMIMO技術を搭載した製品のリリースも始まっている。IEEE802.11nのドラフトは、非特許文献1に記載されている。
また、近々、サービスインが予定される2.5GHz帯広帯域移動アクセスシステムで採用予定のモバイルWiMAXあるいは次世代PHSなどの標準規格においても、MIMO技術の導入が考えられている。これについては非特許文献2に記載されている。
さらに、携帯電話システムにおいても、ブロードバンドサービス対応となるスーパー3G(NTTドコモの次世代携帯電話システムの名称)およびウルトラ3G(KDDIの次世代携帯電話システムの名称)以降では、MIMO技術が導入される見通しとなっている。このように、ブロードバンド無線通信が普及するにつれてMIMO技術が急速に広まることが予測される。
上述したように、ブロードバンド無線通信においては、今後はMIMO技術の適用が一般化していくと考えられる。MIMO技術を大きなアンテナ数で適用すれば、非常に大きなアンテナ利得とダイバーシチ利得が得られることが知られている。
MIMO技術を適用した場合の無線通信システムでは、通信相手の無線通信装置の複数本のアンテナから送信された信号を複数本のアンテナで受信し、各受信信号にダイバーシチ合成情報(複素ウエイト)を乗算した後、加算してダイバーシチ合成受信信号を生成する。各アンテナの信号に対する最適なダイバーシチ合成情報は、既知のトレーニング系列の受信信号などから推定した伝送路行列に基づいて算出される。ダイバーシチ合成受信信号は、(通信相手の無線通信装置のアンテナ数×自己の無線通信装置のアンテナ数)個の信号を合成したものである。通信相手の無線通信装置と自己の無線通信装置のアンテナ数を共にNとすると、ダイバーシチ合成において合成される信号の数は、N2に比例するので、Nを大きくすることにより大きなMIMO利得を得ることができる。
図38は、無線基地局と無線端末間の無線伝送路が見通し外伝播であり、受信信号電力がレイリー分布に従う場合におけるアンテナ数NとMIMO利得の関係を示す図である。同図において、横軸はN=1での受信信号電力の平均値で規格化した受信信号電力であり、縦軸は、受信信号の累積確率分布を表している。また、各アンテナからの送信信号電力の総和は、アンテナ数Nによらず一定であるものとしている。図38に示すように、アンテナ数Nが増大するにつれて累積確率分布のグラフは右側にシフトするだけではなく、その傾きも急峻となっている。このグラフの右側へのシフトは、主として送受信におけるアンテナ利得に起因し、グラフの傾きの変化は主にダイバーシチ利得に起因する。1%値でN=1の場合と比較すると、MIMO利得は、N=2の場合で18dB、N=4の場合で27dB、N=8の場合で32dBだけ向上する。このことから、レイリー環境においては、無線基地局および無線端末のアンテナ数を共に4本以上にすることにより、24dBを上回る大きなダイナミックレンジの改善が得られることが分かる。
以上のように、ブロードバンド無線通信システムにおいて、数十メガビット毎秒程度の高いスループットの無線通信に加えて、音声通話サービスを現行の無線通信システムと同一のサービスエリアで提供するためには、24dB以上の非常に大きなダイナミックレンジの改善が必要であり、この実現のためには、無線基地局および無線端末の両方に、アンテナを4本以上としたMIMO技術を適用する必要がある。
一方、MIMO技術では、各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報を最適に設定し、固有伝送路を形成する必要がある。この最適なダイバーシチ合成情報は、従来では、まず、伝送路行列の相関行列を計算し、次に、相関行列の最大固有値に対応した固有ベクトルを計算し、この固有ベクトルを各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報とするという手法で求められていた。
ここで、相関行列の計算における演算量は、アンテナ数の2乗に比例して増大し、固有ベクトルの計算における演算量はアンテナ数の3乗に比例して増大する。このように、最適なダイバーシチ合成情報を求めるための演算量は、アンテナ数の増大に伴って急激に増大するので、アンテナ数の増大には限度がある。
また、フェージングの最大周波数を50Hz(時速10キロメートルに相当)とすると、伝送路推定誤差を小さく抑えるには、伝送路行列推定から数ミリセカンド以内に伝送を行う必要があり、この数ミリセカンドの間に固有ベクトルまで計算する必要がある。アンテナ数が5以上の場合には固有ベクトルを解析的に計算して求めることができず、反復処理による解法が必要となるので、その演算時間が問題になる。
また、MIMOを用いて固有ビーム伝送を行うことにより非常に大きな利得が得られるが、固有ビーム伝送を行うためには伝送路行列の情報を送受信で共有しなければならないので、伝送路行列の情報を伝送する必要がある。アンテナ数が大きくなるにつれて伝送路行列の情報量も増大する。高速なフェージング環境においては伝送路行列の情報の頻繁な伝送が必要となり、システム全体の効率を大きく劣化させてしまう。
以上のような観点から、現状ではアンテナ数の上限は4程度となる。実際、現時点の最先端のMIMO技術を取り込んだ無線通信の標準規格のIEEE802.11nあるいはIEEE802.16においても、MIMO伝送における最大アンテナ数は4となっている。
また、従来のMIMO技術においては、ダイバーシチ合成をベースバンド処理で行っているため、送受信回路の入力信号はダイバーシチ合成前の受信信号となる。すなわち、送受信回路の入力信号においては、ダイバーシチ利得およびMIMO利得が得られない。固有ビーム形成前の初期捕捉の段階では、送信ビームフォーミングなしで、送受信回路において受信信号を検出する必要がある。このため、従来のMIMO技術においては、通信エリアは、初期捕捉により固有ビームが形成できるエリアに限定されている。
Circuit board having a peripheral antenna apparatus with selectable antenna elements(US Patent No.7,193,562)
IEEE802.11n Draft 5.0 IEEE802.16e-2005 Propagation data and prediction methods for the planning of indoor radio communication systems and radio local area networks in the frequency range 900MHz to 100GHz (ITU-R P.1238-2)
無線通信システムにおいては、音声通話だけでなく、メールやインターネットアクセスなどの様々なデータサービスも利用できるようになってきている。今後、ブロードバンド無線通信が普及すると、さらに高精細な動画情報の送受信も可能となり、新たなサービスが生み出されると考えられる。しかし、従来技術によるブロードバンドサービスでは、音声通話が主体の通信システムと較べてサービスエリアが非常に狭いものになってしまうという課題がある。すなわち、数十〜数百メガビット毎秒程度の非常に高いスループットの無線通信サービスでは、現行の音声通話サービスを提供する無線通信システムと同様の広いサービスエリアを提供することができないという課題がある。
現行無線システムに匹敵するサービスエリアを得るためには、大きなアンテナ数でのMIMO技術を無線基地局および無線端末の両方に適用し、大きなMIMO利得を得る必要がある。しかし、従来のMIMO技術は、伝送路行列の相関行列を計算し、次に、相関行列の最大固有値に対応した固有ベクトルを計算し、この固有ベクトルを各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報とするという手法であり、この手法では、アンテナ数を増大させると固有ベクトルの計算における処理量が膨大となるので、特に、高速のフェージング環境下へのMIMO技術の適用は困難であった。
また、従来のMIMO技術においては、通信エリアが、初期捕捉により固有ビームが形成できるエリアに限定されているという課題もある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、現行の無線システムに匹敵するサービスエリアを有するブロードバンド無線通信システムの構築を可能とする簡易な構成の、マルチアンテナを用いた無線通信方法、無線通信システムおよび無線通信装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法であって、送受信を行う無線通信装置間での双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、前記第1のステップは、複数回の双方向のトレーニング信号の伝送における各ダイバーシチ受信において、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第2のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法であって、送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1のステップは、前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報で当該アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第3のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法であって、送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1のステップは、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法であって、送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1のステップは、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ受信の合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第2のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記第1のステップは、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記第1のステップは、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記トレーニング信号が、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のフレームを含み、この2番目以降のフレームを、前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記トレーニング信号が、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のシンボルを含み、この2番目以降のシンボルを前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記第1のステップが、直前の双方向のトレーニング信号伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、一方の無線通信装置には直前の双方向のトレーニング信号伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されているが、もう一方の無線通信装置にはダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合において、次のトレーニング信号伝送をダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている方の無線通信装置から開始する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1のステップでは、常にランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値の決定を行い、基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置における前記第1のステップでは、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、前記第1のステップにより決定され、前記第2のステップにより設定されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームを各々送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1のステップでは、直前の双方向のトレーニング信号の伝送において決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置ごとに記憶しておき、これを初期値として、トレーニングサブ信号の受信における前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、これに対するダイバーシチ受信状態に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
さらに、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法は、前記第2のステップが、各ダイバーシチ合成情報の最適値をRF帯において前記無線通信装置に各々設定する点に特徴がある。
本発明の第1のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムであって、送受信を行う各無線通信装置は、送受信を行う無線通信装置との間での双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、前記第1の手段により決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2の手段と、前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段備え、前記第1の手段は、複数回の双方向のトレーニング信号の伝送における各ダイバーシチ受信において、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を示す情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第2のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムであって、送受信を行う各無線通信装置は、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1の手段は、前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第3のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムであって、送受信を行う各無線通信装置は、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1の手段は、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示す情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムであって、送受信を行う各無線通信装置は、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記第1の手段は、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示す情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ受信の合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第2のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記第1の手段は、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記第1の手段は、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記トレーニング信号が、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のフレームを含み、この2番目以降のフレームを前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、 前記トレーニング信号が、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のシンボルを含み、この2番目以降のシンボルを前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記第1の手段が、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、一方の無線通信装置には直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されているが、もう一方の無線通信装置にはダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合において、次のトレーニング信号の伝送をダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている方の無線通信装置から開始する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1の手段では、常にランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値の決定を行い、基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置における前記第1の手段では、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、前記第1の手段により決定され、前記第2の手段により設定されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレーム、もしくはマルチキャストフレームを各々送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1の手段では、直前の双方向のトレーニング信号の伝送において決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置ごとに記憶しておき、これを初期値として、トレーニングサブ信号の受信における前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、これに対するダイバーシチ受信状態に基づいて、ダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信システムは、前記第2の手段が、各ダイバーシチ合成情報の最適値をRF帯において前記無線通信装置に各々設定する点に特徴がある。
本発明の第1のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、上記第1のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々の信号に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、相手側無線通信装置との間での双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、複数回の双方向のトレーニング信号のダイバーシチ受信において、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成する点に特徴がある。
また、本発明の第2のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、上記第2のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいて各設定におけるダイバーシチ受信状態を判定する受信状態判定手段と、前記受信状態判定手段により判定されたダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成する点に特徴がある。
また、本発明の第3のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、上記第3のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報を保持するトレーニング受信情報保持手段と、前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応したトレーニング受信情報を前記トレーニング受信情報保持手段に格納し、前記トレーニング受信情報保持手段に保持された情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成する点に特徴がある。
また、本発明の第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、上記第4のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報を保持するトレーニング受信情報保持手段と、前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応したトレーニング受信情報を前記トレーニング受信情報保持手段に格納し、前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記トレーニング受信情報が、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方である点に特徴がある。
また、本発明の上記第2のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次位相反転して生成し、前記受信状態判定手段は、前記位相反転の前後での、前記トレーニング受信情報としての受信レベル情報を比較判定してダイバーシチ受信状態を判定し、前記ダイバーシチ合成情報最適値生成手段は、前記受信状態判定手段により判定されたダイバーシチ受信状態に基づいて当該アンテナにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次位相反転して生成し、前記トレーニング受信状態保持手段は、前記位相反転の前後の、前記トレーニング受信情報としてのベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方を保持し、前記ダイバーシチ合成情報最適値生成手段は、前記トレーニング受信情報保持手段により保持されたダイバーシチ受信状態に基づいて当該アンテナにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を生成する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、端末側の無線通信装置として機能するマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、基地局側の無線通信装置との間のデータ送受信においてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行うための直前の双方向のトレーニング信号伝送において、最初のトレーニングサブ信号の送信を行う点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、基地局側の無線通信装置として機能するマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記ダイバーシチ合成情報生成手段において、直前に双方向のトレーニング信号の伝送を行った場合においても、そうでない場合においても常にランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて取得されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレーム、もしくはマルチキャストフレームを各々送信する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて取得されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置毎に記憶するためのダイバーシチ合成情報最適値記憶手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報設定手段は、端末側の無線通信装置との間でのデータ送受信に先立ち、ダイバーシチ合成情報最適値記憶手段に保持された当該無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値を設定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記ダイバーシチ合成情報設定手段が、RF帯においてダイバーシチ合成情報を設定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第2のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記受信状態判定手段が、ダイバーシチ合成受信信号レベルあるいはAGCアンプの利得を指標としてダイバーシチ受信状態を判定する点に特徴がある。
また、本発明の上記第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記トレーニング信号が前記トレーニングサブ信号として複数のフレームまたはシンボルを含み、前記受信状態判定手段は、各フレームまたはシンボルのベースバンドIQ信号またはIF信号の振幅を指標としてダイバーシチ受信状態を判定する点に特徴がある。
さらに、本発明の上記第1、第2、第3、第4のマルチアンテナを用いた無線通信装置は、前記ダイバーシチ合成情報設定手段および前記信号分配合成手段が、RF帯で動作しており、1つの送受信系統だけを用いてマルチアンテナでのビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う点に特徴がある。
本発明では、送受信を行う無線通信装置間での双方向のトレーニング信号伝送を通じて各無線通信装置でのダイバーシチ合成情報の最適値を決定するので、無線通信装置のアンテナ数が大きい場合でも、ダイバーシチ合成情報の最適値を簡単に求めることができ、このダイバーシチ合成情報の最適値を用いてデータ伝送を行うことにより大きなMIMO利得を得ることができる。
本発明において、双方向のトレーニング信号伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値を決定する処理量は、アンテナ数に比例するので、演算処理量を低減できる。
また、ダイバーシチ合成を無線周波数帯で行うようにすれば、無線送受信回路および変復調回路をトレーニング信号とデータ送信用信号の送受信に兼用できるので、構成を簡易にし、かつコストおよび消費電力を低減できる。
また、ダイバーシチ合成を無線周波数帯で行うようにすれば、1つの送受信系統だけでマルチアンテナでのビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信が実現でき、後述するように、最大固有値に対する固有ビーム伝送が近似的に実現できる。従来技術では、この固有ビーム伝送をアンテナ数分の送受信系統を用いて行っているので、本発明により大幅な低コスト化かつ低消費電力化が可能となる。
送受信系統を増やすことなく固有ビーム伝送が実現できるので、大きなアンテナ数でのMIMOが可能であり、従来技術では実現困難であった大きなMIMO利得を実現できる。これにより、従来はブロードバンド通信のエリアは狭いという制約があったが、本発明によれば、従来の狭帯域通信と同等の広い通信エリアにおいてブロードアバンド通信が可能になるという非常に大きな利点がある。
さらに、ダイバーシチ合成を無線周波数帯で行うようにすれば、通信エリアが、初期捕捉により固有ビームが形成できるエリアに限定されないという利点もある。
図39は、従来のMIMO技術および本発明における初期捕捉段階における受信レベル分布の比較を示す。ここでは、無線伝送路はレイリーフェージング環境であるとし、各無線通信装置の送受信アンテナの数が4本であるとしている。また、参考としてSISOおよび最適ウエイトを使用した場合の受信レベル分布も合わせて示している。図39を参照すると、SISOと比較した場合の従来のMIMO技術での初期捕捉における受信レベルの改善は16dBであり、最適ウエイトでのMIMO利得より11dB劣化していることが分かる。これは、送信ビームが形成されておらず、また受信でのダイバーシチ合成も行われていないためであり、SISOよりも4ブランチ選択ダイバーシチの利得分だけ改善している。
一方、本発明におけるダイバーシチ合成情報の設定を無線周波数帯で行う場合には、初期捕捉段階においても、ほぼ最適ウエイトでのMIMO利得に近い利得を得ることができている。最適ウエイトでのMIMO利得からの劣化分は、複素ウエイトとして固有ベクトルを用いるのではなく移相器を用いて複素ウエイトを設定していることに起因する。
このように、従来のMIMO技術においては、MIMO利得が通信エリアの拡大に十分活かされていないが、本発明においてダイバーシチ合成情報の設定を無線周波数帯で行う場合には、MIMO利得により通信エリアを拡大することができる。
また、従来では、伝送路行列に関する情報を送信側と受信側で共有する必要があり、高速フェージング環境下への固有ビーム伝送の適用が困難であったが、本発明によれば、伝送路行列の共有は不要であり、高速フェージング環境下への固有ビーム伝送の適用が可能になるという利点もある。
本発明に係る無線通信システムの基本構成を示すブロック図である。 ウエイト処理部に1ビット移相器を用いた場合の動作を概念的に示す図である。 ウエイト処理部の具体的構成の一例を示すブロック図である。 トレーニング信号の例を示す図である。 第1実施形態における、ダイバーシチ合成情報の最適値決定処理を示すフローチャートである。 本発明に係る無線通信装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。 第1実施形態におけるビーム形成用ウエイト生成部の具体的構成を示すブロック図である。 図7のビーム形成用ウエイト生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。 第1実施形態におけるダイバーシチ合成受信信号生成の様子を示す図である。 トレーニング信号の他の例を示す図である。 トレーニング信号のさらに他の例を示す図である。 送信側からベースバンド送信IQ情報"1"を送信したときの受信側での受信情報を模式的に示す図である。 無線LANで使用されるバースト検出、AGC動作およびタイミング同期のためのプリアンブルにおけるベースバンドIQ信号を示す図である。 マルチパス波が存在しない場合の、相関演算の出力信号を示す 第2実施形態における、ダイバーシチ合成情報の最適値決定処理を示すフローチャートである。 本発明に係る無線通信装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。 第2実施形態におけるビーム形成用ウエイト生成部の具体的構成を示すブロック図である。 図17のビーム形成用ウエイト生成部の動作の一例を示すタイミングチャートである。 ブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの伝送を含めた場合の、本発明の無線通信システムの動作例を示す図である。 トレーニング開始フレームの再送の送信回数とACKフレームが送信される確率の関係(STA側で移相器の最適設定が既知の場合)を示す図である。 トレーニング開始フレームの再送の送信回数とACKフレームが送信される確率の関係(STA側で移相器の最適設定が未知の場合)を示す図である。 STA側で移相器設定が最適化されている場合の、AP側の移相器設定とその時の受信レベルとの関係を示す図である。 仮想AP技術を用いた場合の、本発明の無線通信システムの動作例を示す図である。 STAがパワーセーブ動作を行う場合の動作例を示す図である。 APからSTAへのマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームを伝送する場合の、本発明の無縁通信システムの動作例を示す図である。 マルチキャストフレームおよびブロードキャストフレームの送信を行う場合の、本発明の無線通信システムの動作例を示す図である。。 アンテナ間の伝達関数の一例を示す図である。 本発明におけるダイバーシチ合成情報(素波SAiBj)の更新の一例を示す説明図である。 本発明におけるダイバーシチ合成情報(受信信号R)の更新一例を示す説明図である。 ダイバーシチ合成情報の更新回数を変えた場合の受信信号の確率分布のシミュレーション結果を示す図である。 基地局側が最初のトレーニング信号伝送を行った場合のトレーニング信号伝送回数と受信レベル分布の改善を示す図である。 端末側が最初のトレーニング信号伝送を行った場合のトレーニング信号伝送回数と受信レベル分布の改善を示す図である。 受信信号の合成をベースバンド処理で行った場合とRF帯処理で受信信号の合成を行った場合のバースト検出での受信レベルの改善の比較を示す図である。 IEEE802.11nのアンテナ選択用のトレーニングシーケンスを示す図である。 従来技術による無線基地局の構成を示すブロック図である。 従来技術による無線基地局の他の構成を示すブロック図である。 IEEE802.11aシステムおよびPHSシステムにおける無線基地局−無線端末間距離と受信信号電力の関係および各システムでの受信感度を示す図である。 見通し外伝播であり、受信信号電力がレイリー分布に従う場合のアンテナ数NとMIMO利得の関係を示す図である。 従来のMIMO技術および本発明における初期捕捉段階における受信レベル分布の比較を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明に係る無線通信システムの基本構成を示すブロック図である。なお、本発明は、無線通信システムとしてだけでなく、無線通信方法としても実現でき、また、無線通信装置単体としても特徴がある。
本発明の基本構成の無線通信システムは、無線伝送路を介して双方向の無線通信を行う2つの無線通信装置A,Bを備える。無線通信装置A,Bは、2つの無線基地局、あるいは無線基地局と無線端末、あるいは2つの無線端末であってもよい。
無線通信装置Aは、M本(Mは2以上の整数)のアンテナA,A,・・・,A、ウエイト処理部11、RF信号分配・合成部12および送受信回路13を備える。無線通信装置Bは、N本(Nは2以上の整数)のアンテナB,B,・・・,B、ウエイト処理部21、RF信号分配・合成部22および送受信回路23を備える。ウエイト処理部11とRF信号分配・合成部12、ウエイト処理部21とRF信号分配・合成部22はそれぞれ、ダイバーシチ回路10,20を構成する。この例では、アンテナA,A,・・・,A、B,B,・・・,Bは、送受信兼用であるが、送信アンテナと受信アンテナは別々であってもよい。
また、RF信号分配・合成部12とウエイト処理部11の間、あるいはウエイト処理部11とアンテナA,A,・・・,Aの間に送信パワーアンプ、受信LNA(Low Noise Amplifier)あるいはその両方を挿入して、送信電力の増大あるいは受信感度の向上を図ることもできる。同様に、RF信号分配・合成部22とウエイト処理部21の間、あるいはウエイト処理部21とアンテナB,B,・・・,Bの間に送信パワーアンプ、受信LNA(Low Noise Amplifier)あるいはその両方を挿入して、送信電力の増大あるいは受信感度の向上を図ることもできる。
ウエイト処理部11,21は、複数の乗算器を有し、各乗算器は、各アンテナA,A,・・・,A、B,B,・・・,Bからの受信信号あるいはRF信号分配・合成部12,22からの送信信号に複素ウエイトWA1,WA2,・・・,WAM、WB1,WB2,・・・,WBNを乗算する。以下では、複素ウエイトをダイバーシチ合成情報と称する。各乗算器は、入力信号の振幅と位相をダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAM、WB1,WB2,・・・,WBNに応じて変化させて出力する。乗算器として1ビット移相器を用いることができる。この場合、ダイバーシチ合成情報は"0","1"の1ビットであり、入力信号は、例えば、ダイバーシチ合成情報"0","1"に応じて、そのまま、あるいは位相反転して出力される。
図2は、ウエイト処理部11に1ビット移相器を用いた場合の動作を概念的に示す図である。アンテナA,A,・・・,Aからの信号あるいはRF信号分配・合成器12からの信号は、ウエイト処理部11に入力される。ウエイト処理部11は、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMが"0"か"1"かにより、入力信号をそのまま、あるいは位相反転して出力する。図2は、ダイバーシチ合成情報が"0"の時、信号がそのまま出力され、ダイバーシチ合成情報が"1"の時、信号が位相反転されて出力される場合を示している。
図3は、ウエイト処理部11の具体的構成の一例を示すブロック図である。ウエイト処理部11の各乗算器は、2つの切替スイッチと180度遅延線で構成されている。2つの切替スイッチは、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMに従って同時に切り替えられる。各アンテナA,A,・・・,AあるいはRF信号合成・分配器12からの信号は、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMが"0"の場合、180度遅延線を通さずに出力側に送出され、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMが"1"の場合、180度遅延線を通して出力側に送出される。
図1に戻って、RF信号分配・合成部12は、送信時には、送受信回路13からの送信信号Sをエネルギー的にM分配してウエイト処理部11の各乗算器に出力し、受信時には、各乗算器からの出力信号を合成(ベクトル加算)し、ダイバーシチ合成受信信号Rとして送受信回路13に出力する。また、RF信号分配・合成部22は、送信時には、送受信回路23からの送信信号Sをエネルギー的にN分配してウエイト処理部21の各乗算器に出力し、受信時には、各乗算器からの出力信号を合成(ベクトル加算)し、ダイバーシチ合成受信信号Rとして送受信回路23に出力する。すなわち、RF信号分配・合成部12,22は、双方向のハイブリッド回路であり、送信時には分配器として動作し、受信時には合成器として動作する。具体的には、ウイルキンソン型分配合成回路をRF信号分配・合成部12,22として使用できる。
送受信回路13,23は、送信時には、送信データを入力とし、送信信号S,Sを信号分配・合成部12,13に出力し、受信時には、ダイバーシチ合成受信信号R,Rから受信データを生成する。
無線通信装置A,Bは、双方向のトレーニング信号伝送を通じて、ダイバーシチ合成情報の最適値を各々決定し、これにより決定されたダイバーシチ合成情報の最適値をウエイト処理部11,21の乗算器に設定して、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う。
トレーニング信号は、無線通信装置AおよびBにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を決定するために用いられる。1つのトレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号から構成される。各トレーニングサブ信号を、ウエイト処理部11,21に互いに異なるダイバーシチ合成情報を設定した状態で受信し、このときの受信レベル情報、ベースバンド受信IQ情報もしくはその両方を用いてダイバーシチ合成情報の最適値を決定する。トレーニング信号としては既知の信号に対する受信レベル情報、ベースバンド受信IQ情報が取得できるものであればよく、任意のフレーム、シンボル、サブキャリア、拡散信号等を使用することができる。トレーニング信号の具体例については、後で詳述する。
ウエイト処理部11,21は、乗算器を用いて等価的にダイバーシチ合成情報を乗算する。このダイバーシチ合成情報は、送信及び受信の両方で用いられる。すなわち、送信時にはこのダイバーシチ合成情報の乗算により送信ビームフォーミングが行われ、受信時にはこのダイバーシチ合成情報の乗算によりダイバーシチ合成が行われる。
図4は、無線通信装置間で1トレーニング期間内に送受信されるトレーニング信号の具体例を示す。同図は、受信側無線通信装置のアンテナ数を4とした場合に用いられるトレーニング信号の一例である。図4の例では、トレーニング信号は5つのトレーニングフレーム1,2-1〜2-4とACKフレーム(Acknowledgement Frame)の組み合わせからなる。トレーニングサブ信号は、1つのトレーニングフレームとこれに対するACKフレームの組み合わせからなる。ACKフレームは、トレーニングフレームの宛先の無線通信装置においてトレーニングフレームが誤りなしで受信された場合に、宛先の無線通信装置から送信される。宛先の無線通信装置でのトレーニングフレームの受信において伝送誤りが検出された場合にはACKフレームは送信されず、その時点でトレーニング信号は終了となる。また、トレーニングフレームの送信元である無線通信装置でのACKフレームの受信において伝送誤りが検出された場合には、その次のトレーニングフレームは送信されず、その時点で、トレーニング信号は終了となる。トレーニング信号は、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時の受信レベル情報および現状のダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時の受信レベル情報を得るために用いられる。各無線通信装置は、1トレーニング期間内のトレーニング信号を受信することにより、その時点での、ダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報の最適値を決定できる。
先頭のトレーニングフレーム1には送信元アドレス、送信先アドレスおよびフレーム種別などの情報を含ませることができる。このトレーニングフレーム1を用いて、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時の受信レベル情報を取得する。トレーニングフレーム2-1〜2-4は、ダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時のダイバーシチ受信状態を測定するためものであり、既定のプリアンブルパターンまたはその一部を用いて受信レベル情報を取得する。トレーニング信号は、相手側無線通信装置から送信される信号を所定のダイバーシチ合成情報を用いてダイバーシチ受信した時の受信レベル情報を取得するためのものであるので、図4に示される形式の信号に限られない。トレーニングフレーム1,2-1〜2-4は、トレーニングのために特別に用意したものでなくてもよく、例えば、データフレームのヘッダの中のプリアンブルに含ませた複数のシンボルをトレーニング信号とすることもできる。
図1において、例えば、無線通信装置Aにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を決定する場合、無線通信装置Aは、無線通信装置Bが送信するフレーム1,2-1〜2-4をダイバーシチ受信して各々ACKを返信する。フレーム1は、現状のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いてダイバーシチ受信され、フレーム2-1〜2-4は、現状のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを所定のアルゴリズムで変更したダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いてダイバーシチ受信される。この時のダイバーシチ受信状態に基づいてダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMの最適値が決定される。ACKフレームが返信されない場合、そこでトレーニングは終了となる。ACKフレームを用いないで、既定のアンテナ数M個分のフレーム2-1〜2-Mを常に送信してもよい。 ACKフレームを用いない例については後述する。
次に、図1の無線通信システムにおけるダイバーシチ合成情報の最適値決定動作を簡単に説明する。ここでは、図4に示す形式のトレーニング信号を用いて無線通信装置Aにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を決定する場合について説明する。また、ここでは、ウエイト処理部11に1ビット移相器を用いて等利得合成でダイバーシチ合成を行うものとする。ダイバーシチ合成には、さらに高精度の等利得合成や最大比合成などの任意の合成手法を使用することもできる。
まず、無線通信装置Bは、過去の直近のトレーニングで取得された、ほぼ最適のダイバーシチ合成情報を用いてトレーニング信号を各アンテナB,B,・・・,Bから送信する。この無線通信装置Bのダイバーシチ合成情報は、無線通信装置Aが、その時点でのダイバーシチ合成情報の最適値に更新する1トレーニング期間中で固定とする。なお、無線通信装置A,B間の通信が全くの初期状態からである場合、無線通信装置A,Bは、後述するように、トレーニング信号を互いに送受信してダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする。
無線通信装置Aは、まず、無線通信装置Bの各アンテナB,B,・・・,Bから送信された最初のトレーニングフレーム1をM本のアンテナA,A,・・・,Aで受信し、フレーム1に対するACKフレームを返信する。ウエイト処理部11の各乗算器は、各アンテナA,A,・・・,Aからの各受信信号にダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを乗算する。各乗算器は、ダイバーシチ合成情報が"0"であれば、入力信号をそのまま出力し、ダイバーシチ合成情報が"1"であれば、入力信号を位相反転して出力する。最初のトレーニングフレーム1を受信する時のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとしては、過去の直近のトレーニングで取得されたものを用いる。この、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、現状でも、ほぼ最適値となっていると考えられる。しかし、この時に用いるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、任意に設定することができる。このダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、後述するように、続く複数のトレーニングフレーム2-1〜2-4のダイバーシチ受信を通じてさらに最適値へと更新される。
RF信号分配・合成部12は、ウエイト処理部11によりダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMが乗算された受信信号を加算してダイバーシチ合成受信信号Rを生成する。
次に、1つのアンテナ、例えばアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1だけを先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1から反転(0⇔1)させる。この新しいダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、引き続くトレーニングフレーム2-1をダイバーシチ受信し、このときの受信状態が先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いた時より改善されたどうかを調べる。このときの受信状態が先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いた時より改善されていなければ、先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMをそのまま保持し、改善されていれば、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを今回のものに更新して保持する。以上によりアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA1を決定する。
受信状態が改善されたかどうかは、例えば、ダイバーシチ合成受信信号Rのレベル、送受信回路13の無線受信部が備えるAGCアンプの利得、あるいはそれをレベル情報に変換したレベル、などの受信レベル情報を指標として判定できる。なお、受信レベル情報は、必ずしも受信信号のレベルまたはその対数に比例する必要はないが、受信信号のレベルに対して単調増加または単調減少の関係を有する必要がある。
次に、トレーニングフレーム2-1に対するACKフレームを返信した後、決定されたアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1はそのままとし、アンテナA以外、例えばアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報WA2だけを先のダイバーシチ合成情報の最適値WA2から反転(0⇔1)させる。この新しいダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、引き続くトレーニングフレーム2-2をダイバーシチ受信し、この時の受信状態が先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いた時より改善されたどうかを調べる。この時の受信状態が先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いた時より改善されていなければ、先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMをそのまま保持し、改善されていれば、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを今回のものに更新して保持する。以上によりアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA2を決定する。
同様に、トレーニングフレーム2-3,2-4を順次受信し、この時の受信レベル情報を基にアンテナA,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA3,WA4を順次決定する。すなわち、無線通信装置Bの各アンテナB,B,・・・,Bから送信されるトレーニングフレーム2-3を受信し、この時の受信状態からアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA3を決定し、続いてトレーニングフレーム2-4を受信し、このときの受信状態からアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA4を決定する。
このように、トレーニングフレーム1,2-1〜2-Mを順次受信し、それに対するACKフレームを返信する度に、アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを1つずつ順次変更(反転)し、この時の受信状態を判定して各ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを順次決定する。これによれば、(アンテナ数M+1)回のフレームの受信で、全てのアンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定できる。以上により、無線通信装置Aにおいて、アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMが決定される。
その後、無線通信装置Aは、このダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、無線通信装置Bに対してトレーニングフレーム1,2-1〜2-Nを送信する。今度は、無線通信装置Bが、無線通信装置Aの各アンテナA,A,・・・,Aから送信されたトレーニングフレーム1,2-1〜2-Nを受信し、アンテナB,B,・・・,Bの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WB1,WB2,・・・,WBNを順次決定する。その動作は、無線通信装置Aの動作と同じであるので、説明を省略する。さらに、無線通信装置A,B間で双方向のトレーニング信号伝送を行って、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMおよびWB1,WB2,・・・,WBNをより最適化することができる。
無線通信装置A,Bは、データ送受信に際し、以上のようにして決定したダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAM、WB1,WB2,・・・,WBNを用いてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う。
図5は、無線通信装置Aにおけるダイバーシチ合成情報の最適値決定処理を示すフローチャートである。ここでは、アンテナ数をMとし、ウエイト処理部11の乗算器として1ビット移相器を用いた場合のフローを示している。
まず、ダイバーシチ合成情報の最適値W=(W,W,・・・,W)を用いて先頭のトレーニングフレーム1をダイバーシチ受信して受信レベル情報Pを取得し、Pを受信レベル情報の最大値PMAXとして保持する。また、変数iに1を代入(i←1)する(S1)。変数iは、以下のステップからなるループをアンテナ数M回だけ行わせることを規定する。なお、ここでのW=(W,W,・・・,W)はそれぞれ、ダイバーシチ合成情報の初期の最適値である。ここではウエイト処理部11の乗算器が1ビット移相器である場合を想定しているので、ダイバーシチ合成情報の各々W,W,・・・,Wは、1ビット("0"か"1")である。
次に、次のトレーニングフレームがあるか否かを判定する(S2)。S2で、次のトレーニングフレームがあると判定すれば、S3に進むが、ないと判定すれば、トレーニングを終了する。S3では、i番目のダイバーシチ合成情報Wを反転させたダイバーシチ合成情報Wでトレーニングフレームを受信し、そのときの受信レベル情報Pを取得する。
次に、受信レベル情報Pを、これまでの受信レベル情報の最大値PMAXと比較し(S4)、P>PMAXであれば、ダイバーシチ合成情報の最適値WをS3で新たに設定されたダイバーシチ合成情報Wに更新する。同時に、受信レベル情報の最大値PMAXをPに更新する(S5)。その後、S6に進む。S4での比較結果がP>PMAXでなければ、ダイバーシチ合成情報の最適値Wを更新せずに、S6に進む。S6では、変数iを1だけインクリメントする(i←i+1)。次に、変数iがアンテナ数M以下か否かを判定する(S7)。S7で、変数iがアンテナ数M以下と判定されれば、S2に戻って処理を繰り返し、変数iがアンテナ数M以下でないと判定されれば、変数iにi-Mを代入(i←i-M)、すなわち変数iを再び1とした後、S2に戻って処理を繰り返す。
以上のフローにより、各アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA2,WA3,・・・,WAMを、最初のトレーニングフレーム1に続くトレーニングフレームを受信する度に1つずつ最適化できる。したがって、アンテナ数がMの場合、合計(M+1)個のトレーニングフレームのダイバーシチ受信によりダイバーシチ合成情報W=(W,W,・・・,W)を最適化できる。
無線通信装置Bにおける各アンテナB,B,・・・,Bの信号に対するダイバーシチ合成情報WB1,WB2,・・・,WBNも同様のフローに従って合計(N+1)個のトレーニングフレームのダイバーシチ受信で最適化できる。
なお、トレーニングの途中でACKフレームが返信されない場合、そこでトレーニングは終了となるが、再びトレーニングを行う場合には、前回のトレーニング終了時点から引き続いてトレーニングを行えばよい。これは、前回のトレーニング終了時点での変数iを保持しておき、この変数iを次回のトレーニングの際に設定することで実現できる。
このように、本発明の無線通信システムでは、2つの無線通信装置間での双方向のトレーニング信号伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値を各々決定し、これにより決定されたダイバーシチ合成情報を用いて、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う。
なお、トレーニングにおける最初のトレーニングフレーム1は、ほぼ最適なダイバーシチ合成で受信できるが、それに続くトレーニングフレーム2-1以降の受信ではダイバーシチ合成情報をほぼ最適値から故意にずらしているので、受信レベルが低くなる可能性がある。特に、最適なダイバーシチ合成受信によりかろうじて通信可能となる通信エリアの周辺部においては、トレーニングフレーム2-1以降を大部分受信できない場合が生じる。この場合、図4に示すように、各トレーニングフレームに対してACKフレームを返信するものとすると、トレーニングは1トレーニングフレームすなわちトレーニングフレーム1のみで終了してしまう。
しかし、この場合でも、トレーニングフレーム2-1以降の最初のトレーニングフレーム2-1の受信で最適化するアンテナを1番目のアンテナに固定せず、前回にトレーニングしたアンテナの次のアンテナからトレーニングを開始するようにすれば、通信エリアの周辺部においてもトレーニングが可能となる。ただし、この場合、1回のトレーニングでダイバーシチ合成情報を最適化できず、少なくともアンテナ数以上のトレーニングフレームを含む複数回に渡るトレーニングが必要となる。ACKフレームを用いないで、トレーニングフレーム1に続けて既定のアンテナ数分のトレーニングフレームを常に送信する場合あるいはデータフレームのヘッダのプリアンブルに含ませたアンテナ数分のシンボルを使用する場合には、当然通信エリア周辺部においてもトレーニングが可能である。
送受信を行う無線通信装置についてのダイバーシチ合成情報は、それらの間での双方向のトレーニング信号伝送を通じて各々最適化されるので、データ送受信に際し、このダイバーシチ合成情報を用いてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行うことにより、2つの無線通信装置のアンテナ間の伝達関数からなる伝送路行列の最大固有値に対応した固有伝送路に全エネルギーを集中してデータを伝送することができ、大きなMIMO利得を得ることができる。したがって、通信のサービスエリアを拡大できるばかりでなく、通話のような双方向リアルタイム通信の品質を改善することもできる。なお、MIMO利得は、送信アンテナ利得、受信アンテナ利得およびダイバーシチ利得を含む。
本発明は、無線通信において、伝送路行列の最大固有値に対応した固有伝送路に全エネルギーを集中して伝送するという考え方では、従来のMIMO技術と共通する。しかし、本発明では、伝送路行列の相関行列や相関行列の最大固有値に対応した固有ベクトルを演算することなく、双方向のトレーニング信号伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値を各々決定するので、ダイバーシチ合成情報の最適値を決定するための演算量および演算時間、双方の無線通信装置においてチャネル情報を共有化するための情報伝送および消費電力の大きな送受信回路の数の増加なしにMIMOを実現できる。これにより、アンテナ数の制限が緩和され、MIMO利得を容易に増大させることができる。
図6は、本発明に係る無線通信装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。なお、図6において、図1と同一あるいは同等部分には同じ番号を付している。第1実施形態では、無線通信装置のウエイト処理部11の乗算器が1ビット移相器である。ウエイト処理部11の乗算器としてはn(nは2以上の自然数)ビット移相器を用いることができるが、その場合の実施形態については後述する。また、ここでは、無線通信装置Aを示しているが、無線通信装置Bも同様である。
本実施形態の無線通信装置Aは、M本(Mは2以上の整数)のアンテナA〜A、ダイバーシチ回路10および送受信回路13を備える。ダイバーシチ回路10は、ウエイト処理部11およびRF信号分配・合成部12を備える。ダイバーシチ回路10は、ダイバーシチ合成情報の最適値を用いてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行ってトレーニング信号やデータの送受信を行う。
送受信回路13は、ベースバンド変調部31、トレーニング信号生成部32、信号合成部33、無線送信部34、デュプレクサ35、無線受信部36、送受信制御部37、ビーム形成用ウエイト生成部38およびベースバンド復調部39を備える。上記の各部のうち、ウエイト処理部11およびビーム形成用ウエイト生成部38以外は、一般的な無線通信装置が備える構成要素である。ここでは、ダイバーシチ回路10をRF帯で動作させ、送受信回路13が1つだけで済むようにしている。すなわち、無線通信装置Aは、1つだけの送受信系統だけを用いてマルチアンテナでのビームフォーミングおよびダイバーシチ受信を行う。
ベースバンド変調部31は、送信データを入力とし、変調信号を出力する。変調信号は、ベースバンドIQ信号である。このベースバンドIQ信号は、信号合成部33を介して無線送信部34に入力される。
トレーニング信号生成部32は、トレーニングを実行させ、相手側無線通信装置がビームフォーミングするために必要なトレーニング信号を生成する。ここで生成されるトレーニング信号は、ベースバンドIQ信号であり、このベースバンドIQ信号も信号合成部33を介して無線送信部34に入力される。
ベースバンド変調部31は、送信データの変調用としてだけでなく、トレーニング信号の変調用としても利用でき、これにより構成を簡単にし、コストおよび消費電力を低減できる。
信号合成部33は、ベースバンド変調部31からのベースバンドIQ信号とトレーニング信号生成部32からのベースバンドIQ信号を時間的に合成して出力する。信号合成部33は、ベースバンド変調部31からベースバンドIQ信号が出力される場合には、この信号をベースバンド送信IQ信号として出力し、トレーニング信号生成部32からベースバンドIQ信号が出力される場合には、この信号を出力する。実際的には、トレーニング用送信データ生成部を具備させ、この出力信号と送信データを時間的に合成した信号をベースバンド変調部31に印加し、この出力信号を直接無線送信部34へ与えてよい。
無線送信部34は、信号合成部33を通して入力される信号をRF帯に周波数変換し、RF送信信号としてデュプレクサ35に入力する。すなわち、無線送信部34は、送信データおよびトレーニング信号をRF帯に周波数変換する。
デュプレクサ35は、TDD(Time Division Duplex)伝送におけるRF送信信号の送信とRF受信信号の受信を切り替える。例えば、送受信制御部37から送信期間に"1"となり、受信期間に"0"となる送受信制御情報を受け、送受信制御情報が"1"の場合には無線送信部34からのRF送信信号をRF信号分配・合成部12に出力し、送受信制御情報が"0" の場合にはRF信号分配・合成部12からのRF受信信号を無線受信部36に出力する。
無線受信部36は、デュプレクサ35からのRF受信信号を入力とし、これを周波数変換して出力する。また、無線受信部36は、RF受信信号の各トレーニングフレームについての受信レベル情報を出力する。すなわち、無線受信部36は、RF受信データをベースバンドIQ信号に復調し、また、トレーニング信号の各トレーニングフレームから受信レベル情報を取得する。トレーニング信号をベースバンドIQ信号に復調してから受信レベル情報を取得する場合には、RF受信データの復調およびRFトレーニング信号の復調を1つの復調器で行うことができる。
受信レベル情報は、ビーム形成用ウエイト生成部38に入力される。受信レベル情報は、ダイバーシチ合成受信信号の各トレーニングフレームについての受信レベルに関連する情報ならば如何なるものでもよく、例えば、RSSI(Received Signal Strength Information)情報、あるいはそれをレベルに変換した情報、無線受信部36が備えるAGCアンプの利得、あるいはそれをレベルに変換した情報などを用いることができる。これらの情報は、無線受信部36から得られる
送受信制御部37は、無線通信装置の必須の構成要素である無線アクセス制御部の一部であり、例えば、送信期間に"1"となり、受信期間に"0"となる送受信制御情報をデュプレクサ35およびビーム形成用ウエイト生成部38に出力する。
ビーム形成用ウエイト生成部38は、送受信制御部37から出力される送受信制御情報に基づき、トレーニング信号の各トレーニングフレームに対して異なるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを生成し、無線受信部36から出力される受信レベル情報に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定する。ここで生成されたダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMは、ウエイト処理部11の各乗算器に与えられる。ビーム形成用ウエイト生成部38の詳細は、後述する。ビーム形成用ウエイト生成部38は、"ダイバーシチ合成情報生成手段"として機能し、それには"初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"トレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"受信状態判定手段"および"ダイバーシチ合成情報最適値生成手段"が含まれている。
ベースバンド復調部39は、無線受信部36からのベースバンド(BB)受信IQ信号を復調し、受信データを送出する。ベースバンド復調部39は、受信データの復調用としてだけでなく、トレーニング信号の復調用としても利用でき、これにより構成を簡単にし、コストおよび消費電力を低減できる。
ウエイト処理部11は、ビーム形成用ウエイト生成部38から与えられるダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMに従って、RF受信信号およびRF送信信号にウエイト処理を施す。すなわち、ウエイト処理部11は、各アンテナA〜AのRF受信信号にウエイト処理を施してRF信号分配・合成部12に出力し、また、RF信号分配・合成部12からのRF送信信号にウエイト処理を施して各アンテナA〜Aに出力する。ウエイト処理部11におけるウエイト処理は、1ビット移相器による0度あるいは180度の移相処理で実現できる。ウエイト処理部11は、"ダイバーシチ合成情報設定手段"として機能する。
RF信号分配・合成部12は、RF送受信信号の分配および合成を行う。すなわち、ウエイト処理部からのM個のRF受信信号を入力とし、それらを合成した信号をデュプレクサ35に出力し、また、デュプレクサ35からのRF送信信号を入力とし、これをM分配してウエイト処理部11に出力する。RF信号分配・合成部12で合成されてデュプレクサ35に出力されるRF受信信号のレベルは、ウエイト処理部11でのインピーダンス変換で1/√Mになり、M分配されてウエイト処理部11に出力されるRF送信信号のレベルは、デュプレクサ35からのRF送信信号のレベルに対して1/√Mになる。RF信号分配・合成部12は、"信号分配合成手段"として機能する。
図7は、ビーム形成用ウエイト生成部38の具体的構成を示すブロック図である。ビーム形成用ウエイト生成部38は、受信レベル情報保持部40、移相器制御部50およびタイミング部60を備え、双方向のトレーニング信号伝送を通じて、ビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を決定する。
受信レベル情報保持部40は、"受信状態判定手段"として機能し、受信レベル情報比較部41および1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42を備える。
受信レベル情報比較部41は、トレーニング信号の各トレーニングフレームについての受信レベル情報を、1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42が保持している受信レベル情報と比較する。そして、新たに入力された受信レベル情報の方が大きければ、1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42が保持している受信レベル情報を該受信レベル情報に更新するとともに、最適ウエイト更新信号を移相器制御部50のトレーニング時ウエイト生成部52に出力する。なお、最大の受信レベル情報を求める際の初期値としては、トレーニング信号の先頭のトレーニングフレームの受信レベル情報を用いる。
1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42が保持する受信レベル情報は、大きい受信レベル情報へと順次更新され、トレーニングの終了時点では、最大の受信レベル情報となる。
移相器制御部50は、非ビーム形成時ウエイト生成部51、トレーニング時ウエイト生成部52およびウエイト選択部53を備える。非ビーム形成時ウエイト生成部51、トレーニング時ウエイト生成部52はそれぞれ、"初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"トレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段"として機能し、トレーニング時ウエイト生成部52は、受信レベル情報比較部41と組み合わされて"ダイバーシチ合成情報最適値生成手段"としても機能する。
全くの初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みには、まず、相手側無線通信装置から少なくとも(アンテナ数+1)個のトレーニングフレームを含むトレーニング信号を受信することが必要である。しかし、当初から、相手側無線通信装置が送信するトレーニング信号を受信できるとは限らない。そこで、全くの初期状態でも、自無線通信装置が送信する少なくとも1個のトレーニング信号((アンテナ数+1)個のトレーニングフレーム)を相手側無線通信装置が受信できるようにする。これは、異なるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて複数のトレーニング信号を送信し、相手側無線通信装置がいずれかのトレーニング信号を受信できるようにすることにより実現できる。非ビーム形成時ウエイト生成部51は、このような非ビーム形成時のダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を生成する。このトレーニング信号を送信する際のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、任意であるが、トレーニング信号の送信ごとに変化させることが望ましい。CSMA(Carrier Sense Multiple Access)システムにおいては、非ビーム形成時かつ非送受信時のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを時間的にランダムに変化させ、トレーニング信号の送信開始時点でのダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを当該トレーニング信号の送信で使用することができる。具体的には、アンテナ数がMの場合、Mビットカウンタを自走クロックで動作させ、そのM個のカウンタ値を各ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとして用いることができる。このランダム変化の時間間隔は、例えば1μs程度に設定すればよい。
相手側無線通信装置がいずれかのトレーニング信号を受信してダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、その最適値を設定してトレーニング信号をビームフォーミングして送信すれば、自無線通信装置は、そのトレーニング信号を受信できる。なお、相手側無線通信装置から同様にランダムに変化されたダイバーシチ合成情報を用いて送信されるいずれかのトレーニング信号を受信できれば、自無線通信装置でそのままダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みが行われる。
トレーニング時ウエイト生成部52は、トレーニングカウント部64からのトレーニングカウンタ情報に従ってダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の各々WAi(TR)をフレームごとに順次変更し、受信レベル情報比較部41から最適ウエイト更新信号が出力された時の各ダイバーシチ合成情報WAi(TR)を保持する。なお、ダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の初期の最適値は、過去の直近のトレーニングによって得られたものとするのが好ましい。そのダイバーシチ合成情報は、ほぼ最適なものとなっていると考えられるからである。
ウエイト選択部53は、非ビーム形成時ウエイト生成部51から出力されるダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)あるいはトレーニング時ウエイト生成部52から出力されるダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)をビーム形成有効フラグに基づいて選択し、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとして出力する。
ビーム形成有効フラグは、初期状態では"無効"(例えば"0")であるが、所定回数、例えば(アンテナ数+1)回のトレーニングフレームの受信で"有効"(例えば"1")となる。また、所定の期間、例えば100msの間にトレーニングフレームを十分に(例えば(アンテナ数+1)回以上)受信できなかった場合には、ビーム形成有効フラグを"無効"としてもよい。
この結果、ウエイト選択部53は、所定回数のトレーニングフレームが受信されるまではダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を選択し、それ以降では、ダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を選択する。
タイミング部60は、フレーム受信検出部61、フレーム終了検出部62、シーケンス終了検出部63、トレーニングカウント部64およびビーム形成有効フラグ生成部65を備える。
フレーム受信検出部61は、送受信制御情報および受信レベル情報を入力とし、フレーム受信検出信号を出力する。送受信制御情報は、例えば、無線送信部34がイネーブルとなる期間に"1"となり、無線受信部36がイネーブルとなる期間に"0"となる信号であり、受信レベル情報は、RSSI(Received Signal Strength Information)情報あるいは無線受信部36が備えるAGCアンプの利得などの情報である。フレーム受信検出部61は、無線受信部36のイネーブル期間における受信レベルの増加の検出に基づきフレーム受信検出信号を生成する。
フレーム受信検出信号は、1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42、シーケンス終了検出部63およびトレーニングカウンタ部64に与えられる。フレーム受信検出信号は、各トレーニングフレームの受信開始を示す信号であり、例えば、受信レベル情報の増大に基づいて検出された各トレーニングフレームの受信開始タイミングをトリガとして発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。
フレーム終了検出部62は、送受信制御情報および受信レベル情報を入力とし、フレーム終了検出信号をトレーニング時ウエイト生成部52へ出力する。フレーム終了検出信号は、各トレーニングフレームの受信終了を示す信号であり、例えば、受信レベル情報の減少に基づいて検出された各トレーニングフレームの受信終了タイミングをトリガとして発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。トレーニングシーケンスにおいてACKフレームを用いる場合には、ACKフレームの送信完了を送受信制御情報を用いて検出し、これをトリガとして前記所定幅のパルスを生成してもよい。
送受信制御情報は、送信状態、受信状態、パワーセーブ状態などの無線通信装置の状態を表す情報である。フレーム受信検出部61およびフレーム終了検出部62は、送受信制御情報が受信状態になっている場合の受信レベル情報を用いてトレーニングフレームの受信開始およびトレーニングフレームの受信終了を検出することができる。
シーケンス終了検出部63は、シーケンス終了検出信号をトレーニング時ウエイト生成部52へ出力する。シーケンス終了検出信号は、トレーニングの終了を示す信号であり、例えば、フレーム終了検出信号のパルスが発生してから一定期間(例えば、30μs)内にフレーム受信検出信号のパルスが発生しないことが検出された時点のタイミングで発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。トレーニングシーケンスにおいてACKフレームを用いる場合には、ACKフレームの送信完了を送受信制御情報を用いて検出し、これをトリガとして前記所定幅のパルスを生成することができる。
図4に示した例のように、各トレーニングフレームに対してACKフレームを返信するものとすると、受信したトレーニングフレームでエラーが発生し、これに対してACKフレームを返信しない場合、その時点でトレーニングは終了する。これに対応して、ACKフレームの返信タイミングになっても送受信制御情報が受信状態のままであり送信状態に遷移しない場合にもシーケンス終了検出信号のパルスを生成してもよい。
トレーニングカウント部64は、トレーニングカウンタ情報をトレーニング時ウエイト生成部52およびビーム形成フラグ生成部65へ出力する。トレーニングカウンタ情報は、トレーニング信号におけるフレーム数のカウント情報であり、例えば、フレーム終了検出信号によりカウンタのカウント値を1ずつインクリメントし、シーケンス終了検出信号により該カウンタのカウント値を"0"にクリアすることにより生成される。
ビーム形成有効フラグ生成部65は、所定回数のトレーニングフレームが受信されたことを示すビーム形成有効フラグをウエイト選択部53へ出力する。ビーム形成有効フラグは、トレーニングカウンタ部64からのトレーニングカウンタ情報に基づいて生成される。ウエイト選択部53は、ビーム形成有効フラグが無効の場合、非トレーニング時ウエイト生成部51からのダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を選択し、ビーム形成有効フラグが有効の場合、トレーニング時ウエイト生成部52からのダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を選択する。
移相器制御部50は、基本的には、トレーニングを通じて受信レベル情報が最大となるダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を見つけ出すように動作する。すなわち、受信側の無線通信装置では、トレーニングフレームごとにダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の各ダイバーシチ合成情報WAi(TR)を変更し、その過程で受信レベル情報が大きくなった時のダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を保持する。トレーニングが終了した時、受信レベル情報が最大となった時のダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)が保持されている。トレーニングに続くデータの双方向伝送では、保持されているダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を読み出してウエイト処理部に与える。
図8は、図7のビーム形成用ウエイト生成部38の動作の一例を示すタイミングチャートであり、図9は、各アンテナA,A,A,Aの信号A1,A2,A3,A4がダイバーシチ合成(ベクトル加算)されてダイバーシチ合成受信信号が生成される様子を示す図である。ここでは、無線通信装置のアンテナ数が4であり、各アンテナA,A,A,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4が1ビットである場合を想定している。また、受信レベルが大きいほど受信レベル情報の値が大きくなるとしている。この場合、ウエイト処理部は、アンテナ数分の1ビット移相器で構成され、各移相器は各1ビットのダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4に応じて、例えば、ダイバーシチ合成情報が"0"の場合には移相量0度、"1"の場合には移相量180度に制御される。
無線通信装置は、通信相手の無線通信装置からのトレーニングフレーム1を現状のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4を用いてダイバーシチ受信し、トレーニングフレーム2-1〜2-4を、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4の各ダイバーシチ合成情報WAiを変更しながら順次ダイバーシチ受信する。そして、そのときの受信レベル情報に基づいて最終的にダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4を決定する。これにより決定されたダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4をデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成に用いる。
トレーニングフレーム1は、実際にトレーニングが実行される先頭フレームであり、これを受信してからトレーニングが開始されると共に、そのときの受信レベル情報が測定される。トレーニングフレーム1には送信元アドレス、送信先アドレスおよびフレーム種別などの情報を含ませることができ、これを用いて現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時の受信レベル情報が取得される。後続するトレーニングフレーム2-1〜2-4は、ダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時の受信レベル情報を測定するために用いられる。
受信レベル情報は、無線受信部のAGCアンプにおいて利得調整が起動された場合、通常、比較的短時間(例えば、10μs)に変化する。AGCアンプの利得調整は、トレーニングフレームの受信開始または受信終了でも発生するが、それ以外にも、例えば、ノイズの影響により発生する場合もある。また、トレーニングフレームの受信開始でAGCアンプの利得調整が起動された後、フレームヘッダの受信に失敗した場合では、該フレーム受信期間においてAGCアンプの利得調整が複数回起動される場合もある。受信レベル情報の測定では、これらの点を考慮する。
まず、トレーニングカウンタ情報が"0"の時、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報0(W=1,W=0,W=1,W=1)を生成し、通信相手の無線通信装置からのトレーニングフレーム1をこのダイバーシチ合成情報0を用いてをダイバーシチ受信する。ダイバーシチ合成情報0は、例えば、過去の直近のトレーニングによって得られ、前のデータフレームの受信時に用いられたものが好ましい。過去においてビームフォーミングがなされている場合、その時のダイバーシチ合成情報は、今回でもほぼ最適となっていると考えられるからである。過去においてビームフォーミングがなされていない場合には、任意のダイバーシチ合成情報を用いることができる。このときの受信レベル情報(100)が1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される。図9(a)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成(ベクトル加算)を示している。なお、フレーム1を受信する前の受信レベル情報は"5"である。これは、熱雑音レベルに相当する。また、トレーニングフレーム1を受信してから次のトレーニングフレーム2-1を受信するまでの期間の受信レベル情報は"3"に低下する。これも熱雑音レベルに相当する。以下同様に、トレーニングフレームの受信間で熱雑音が発生する。
次に、トレーニングフレーム1のフレーム終了が検出され、トレーニングカウンタ情報が"1"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報1(W=0,W=0,W=1,W=1)を生成する。ダイバーシチ合成情報1は、ダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報1を用いてトレーニングフレーム2-1を受信した時の受信レベル情報(88)は、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下している。図9(b)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。この受信レベル情報の変化は、伝送路の変化によるものではなく、ダイバーシチ合成情報を変化させたことによるものである。ダイバーシチ合成情報1の時の受信レベル情報(88)は、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下しているので、ダイバーシチ合成情報Wを"1"に決定する。1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される受信レベル情報は、"100"のまま更新されない。
次に、トレーニングカウンタ情報が"2"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報2(W=1,W=1,W=1,W=1)を生成する。ダイバーシチ合成情報2は、ダイバーシチ合成情報0においてダイバーシチ合成情報W2だけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報2を用いてトレーニングフレーム2-2を受信した時の受信レベル情報(70)も、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下している。図9(c)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。ダイバーシチ合成情報2の時の受信レベル情報(70)も、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下しているので、ダイバーシチ合成情報Wを"0"に決定する。1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される受信レベル情報は、"100"のまま更新されない。
次に、トレーニングカウンタ情報が"3"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報3(W=1,W=0,W=0,W=1)を生成する。ダイバーシチ合成情報3は、ダイバーシチ合成情報0においてダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報3を用いてトレーニングフレーム2-3を受信した時の受信レベル情報(102)は、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より増大している。図9(d)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。ダイバーシチ合成情報3の時の受信レベル情報(102)は、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より増大しているので、ダイバーシチ合成情報Wを"0"に決定する。1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される受信レベル情報は、"102"に更新される。また、最適ウエイト更新信号は、トレーニングフレーム2-1以降のフレーム受信検出信号が出力された後、当該トレーニングフレームの受信レベル情報がそれまでの最大受信レベル情報を上回った時点で出力される。トレーニングフレーム2-3の受信中に、受信レベル情報比較部41から最適ウエイト更新信号が出力されるので、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報3(W=1,W=0,W=0,W=1)を記憶する。
次に、トレーニングカウンタ情報が"4"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報4(W=1,W=0,W=0,W=0)を生成する。ダイバーシチ合成情報4は、ダイバーシチ合成情報3においてダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報4を用いてトレーニングフレーム2-4を受信した時の受信レベル情報(90)は、ダイバーシチ合成情報3の時の受信レベル情報(102)より低下している。図9(e)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。ダイバーシチ合成情報4の時の受信レベル情報(90)は、ダイバーシチ合成情報3の時の受信レベル情報(102)より低下しているので、ダイバーシチ合成情報Wを"1"に決定する。1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される受信レベル情報は、"102"のまま更新されない。
トレーニングフレーム2-4に対するフレーム終了検出信号が出力された時、トレーニングカウンタ情報が"5"になり、次のトレーニングフレームの受信に備えて、ダイバーシチ合成情報3においてダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたダイバーシチ合成情報W=0,W=0,W=0,W=1に変更される。しかし、直後のトレーニングフレームはなく、シーケンス終了検出信号が出力されるので、次のデータフレームの送信および受信に備えてダイバーシチ合成情報は、W=1,W=0,W=0,W=1が最適値として設定される。
以上のトレーニングにより、ダイバーシチ合成情報3(W=1,W=0,W=0,W=1)が受信レベル情報を最大とすること、すなわち、ダイバーシチ合成情報3がダイバーシチ合成情報の最適値であることが分かる。このダイバーシチ合成情報の最適値3(W=1,W=0,W=0,W=1)をウエイト処理部へ出力し、ダイバーシチ合成情報の最適値3を用いて、続くデータフレーム送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う。
伝送路の状況は時間とともに変化するので、ダイバーシチ合成情報W,W,W,Wは常に最適化しつづける必要がある。トレーニングでは、以上のようにして、複数のトレーニングフレームを受信し、大きな受信レベル情報が得られるダイバーシチ合成情報が見つかれば、このダイバーシチ合成情報を最適なダイバーシチ合成情報として設定し直す。
このように、トレーニング中に各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、そのときの受信レベル情報を調べるというアルゴリズムに従って常にダイバーシチ合成情報の最適値を見つけ出し、これをデータ送受信時のダイバーシチ合成情報の最適値として用いる。これによれば、最短で、(アンテナ数+1)個のトレーニングフレームにより各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値を決定できる。
以上では、無線通信装置のウエイト処理部の乗算器が1ビット移相器であり、等利得合成でダイバーシチ合成を行う場合の、ダイバーシチ合成情報の最適値決定動作について説明した。
しかし、ウエイト処理部の乗算器は、1ビット移相器に限られるものではなく、n(nは2以上の自然数)ビット移相器でもよい。例えば、n=2の場合、ダイバーシチ合成情報は"00" ("0"),"01" ("1") ,"10" ("2"),"11" ("3")の2ビットであり、入力信号は、例えば、ダイバーシチ合成情報"00","01" ,"10","11"に応じて、そのまま、+90度回転、位相反転あるいは−90度回転して出力される。
n(nは2以上の自然数)ビット移相器を用いる場合でも、第1実施形態と同様に、ダイバーシチ合成情報を順次変更し、そのときの受信レベル情報を調べるというアルゴリズムに従って常にダイバーシチ合成情報の最適値を見つけ出し、これをデータ送受信時のダイバーシチ合成情報の最適値とすることができる。
以下に説明する第2実施形態では、ウエイト処理部11の乗算器にn(nは2以上の自然数)ビット移相器を用い、等利得合成でダイバーシチ合成を行う場合のダイバーシチ合成情報の最適値を決定する。
上述したように、ウエイト処理部11の乗算器にn(nは2以上の自然数)ビット移相器を用いる場合でも、ダイバーシチ合成情報を順次変更し、そのときの受信レベル情報を調べるというアルゴリズムに従って常にダイバーシチ合成情報の最適値を見つけ出すことができる。しかし、以下に説明する第2実施形態では、(アンテナ数+1)個のトレーニングサブ信号により各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値を決定できるようにしている。
ダイバーシチ合成情報の最適値決定動作はnの値にはよらないが、簡単のためn=2とし、図10に示すトレーニング信号を用いるものとする。トレーニング信号は、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方、および現状のダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を得るために用いられる。
ここで、ベースバンド受信IQ情報とは、ベースバンド送信IQ信号とベースバンド受信IQ信号の間における複素伝達関数となる情報であり、例えば、各トレーニングフレームに含まれるプリアンブルに対応したベースバンド受信IQ信号そのものである。後述するように、ベースバンド受信IQ信号に代えて、ベースバンド受信IQ信号と予め定められた特定情報系列の相関情報を用いることもできる。
各無線通信装置は、1トレーニング期間内のトレーニング信号を受信することにより、その時点での、ダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報の最適値を決定できる。
本例のトレーニング信号(図10)は、1トレーニング期間内に、複数のトレーニングフレーム1,2-1〜2-4を含む。この場合、トレーニングサブ信号は、各々のトレーニングフレームである。
このような信号の具体例としては、IEEE802.11n (Draft 5.0)におけるアンテナ選択信号があり、トレーニング信号としてこのような信号を用いることができる。本例のトレーニング信号では、ACKフレームは使用されず、常に(受信側の無線通信装置のアンテナ数+1)個のトレーニングフレームが断続的に送信される。
先頭のトレーニングフレーム1には送信元アドレス、送信先アドレスおよびフレーム種別などの情報を含ませることができる。このトレーニングフレーム1を用いて、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
トレーニングフレーム2-1〜2-4は、ダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得するためものである。
以下では、ベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得してダイバーシチ合成情報の最適値を決定する場合について説明する。
第2実施形態の無線通信システムの構成は図1と同じである。図1において、例えば、無線通信装置Aにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を決定する場合、無線通信装置Aは、無線通信装置Bが送信するトレーニングフレーム1,2-1〜2-4をダイバーシチ受信する。トレーニングフレーム1は、現状のダイバーシチ合成情報WA1, WA2,・・・, WAMを用いてダイバーシチ受信され、トレーニングフレーム2-1〜2-4は、現状のダイバーシチ合成情報WA1, WA2,・・・, WAMを所定のアルゴリズムで変更したダイバーシチ合成情報WA1, WA2,・・・, WAMを用いてダイバーシチ受信される。これらのダイバーシチ受信で得られるベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方に基づいてダイバーシチ合成情報WA1, WA2,・・・, WAMの最適値が決定される。
また、無線通信装置Bは、過去の直近のトレーニングで取得された、ほぼ最適のダイバーシチ合成情報を用いてトレーニング信号を各アンテナB, B,・・・, B から送信する。この無線通信装置Bのダイバーシチ合成情報は、無線通信装置Aが、その時点でのダイバーシチ合成情報の最適値に更新する1トレーニング期間中で固定とする。なお、無線通信装置A,B間の通信が全くの初期状態からである場合、無線通信装置A,Bは、後述するように、トレーニング信号を互いに送受信してダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする。
無線通信装置Aは、まず、無線通信装置Bの各アンテナB,B,・・・,Bから送信された最初のトレーニングフレーム1をM本のアンテナA,A,・・・,Aで受信する。ウエイト処理部11の各乗算器は、各アンテナA,A,・・・,Aからの各受信信号にダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを乗算する。
各乗算器は、ダイバーシチ合成情報が"00"であれば、入力信号をそのまま出力し、ダイバーシチ合成情報が"01"であれば、入力信号を+90度回転して出力する。また、ダイバーシチ合成情報が"10"あるいは"11"の場合には、各々、入力信号を位相反転、−90度回転して出力する。最初のトレーニングフレーム1を受信する時のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとしては、過去の直近のトレーニングで取得されたものを用いる。この、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、現状でも、ほぼ最適値となっていると考えられる。しかし、この時に用いるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、任意に設定することができる。このダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、後述するように、続く複数のトレーニングフレーム2-1〜2-4のダイバーシチ受信後にさらに最適値へと更新される。
RF信号分配・合成部12は、ウエイト処理部11によりダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMが乗算された受信信号を加算してダイバーシチ合成受信信号Rを生成する。
次に、1つのアンテナ、例えばアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1だけを先のダイバーシチ合成情報の最適値WA1から位相反転させる。この新しいダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、引き続くトレーニングフレーム2-1をダイバーシチ受信し、このときのベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
次に、アンテナA以外の1つのアンテナ、例えばアンテナAの信号に対するダイバーシチ合成情報WA2だけを先のダイバーシチ合成情報の最適値WA2から位相反転させる。この新しいダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、引き続くトレーニングフレーム2-2をダイバーシチ受信し、この時のベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
同様に、トレーニングフレーム2-3,2-4を順次受信し、この時のベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
このように、トレーニングフレーム1,2-1〜2-Mを順次受信し、その度に、アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを1つずつ順次変更(位相反転)し、この時のベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
以上では、トレーニング信号として複数のトレーニングフレームを用いる場合について説明した。ただし、トレーニング信号としては、それを用いてベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得できるものであればよく、任意のフレーム、シンボル、サブキャリア、拡散信号等を用いることができる。図11は、複数のトレーニングシンボルからなるトレーニング信号の例を示す。この場合、トレーニングサブ信号は、各々のトレーニングシンボルであり、それらのシンボルは受信側において既知である。この場合、トレーニングシンボル1を用いて、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。また、トレーニングシンボル2-1〜2-4を用い、ダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を取得する。
図12は、送信側からベースバンド送信IQ情報"1"を送信したときの受信側での受信情報を模式的に表したものである。ここでは、無線通信装置のアンテナ数を4本とし、各アンテナA,A,・・・,A4の受信情報をA1,A2,・・・,A4と表記している。これは、図9と同様である。
同図(a)は、トレーニングフレーム1に対する受信情報rA1の一例であり、同図(b)〜(e)は、トレーニングフレーム2-1〜2-4 の受信情報rA2-1, rA2-2,・・・, rA2-4の一例である。各トレーニングフレームに含まれるプリアンブル等の既知パターンに対するベースバンド受信IQ信号から受信情報rA1, rA2-1, rA2-2,・・・, rA2-4を求めることができる。また、各フレーム受信におけるAGC利得の情報等を用いて各フレームの受信レベル情報、すなわち、受信情報rA1, rA2-1, rA2-2,・・・, rA2-4の振幅の情報を得ることができる。
トレーニングフレーム1では、受信信号A1,A2,・・・,A4をベクトル加算したものが受信される。トレーニングフレーム2-1では受信信号-A1(A1の反転ベクトル),A2,・・・,A4をベクトル加算したものが受信される。トレーニングフレーム2-2では受信信号A1, -A2(A2の反転ベクトル),・・・,A4をベクトル加算したものが受信される。トレーニングフレーム2-3、2-4についても同様である。無線通信装置Aにおいて、トレーニング信号の各トレーニングフレームに対するベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を用いてアンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定する。その決定手法については後述する。
その後、無線通信装置Aは、このダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを用いて、無線通信装置Bに対してトレーニングフレーム1,2-1〜2-4を送信する。今度は、無線通信装置Bが、無線通信装置Aの各アンテナA,A,・・・,Aから送信されたトレーニングフレーム1,2-1〜2-4を受信し、アンテナB,B,・・・,Bの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WB1,WB2,・・・,WBNを決定する。その動作は、無線通信装置Aの動作と同じである。 さらに、無線通信装置A,B間で双方向のトレーニング信号伝送を行って、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMおよびWB1,WB2,・・・,WBNをより最適化することができる。
無線通信装置A,Bは、データ送受信に際し、以上のようにして決定したダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WA4およびWB1,WB2,・・・,WB4を用いて、ビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う。
さて、アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMは、以上のようにして得られたベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方を用いて、以下のようにして決定できる。
トレーニングフレーム1の受信におけるベースバンド受信IQ情報rA1は、式(1)で表される。
ここで、C1は、トレーニングフレーム1の受信における無線通信装置Aの受信系での利得である。C1による規格化により、ベースバンド受信IQ情報rA1は、受信レベルによらず、ほぼ一定の大きさとなる。
一方、トレーニングフレーム2-1〜2-4受信におけるベースバンド受信IQ情報rA2-1, rA2-2,・・・, rA2-4は、式(2)で表される。
ここで、C2-1,C2-2,・・・,C2-4は、トレーニングフレーム2-1〜2-4の受信における無線通信装置Aの受信系での利得である。C2-1,C2-2,・・・,C2-4による規格化により、ベースバンド受信IQ情報rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4は、受信レベルによらず、ほぼ一定の大きさとなる。
受信系での利得CX は、受信レベル情報PXから式(3)で求めることができる。
ここで、kは定数である。式(3)を式(1),(2)に代入することにより、式(4)が得られる。
式(4)より、式(5)が得られる。
ここで、A1,A2,・・・,A4は複素ベクトルであり、これらの位相をそれぞれθ1,θ2,・・・,θ4とする。
4つのベクトルA1,A2,・・・,A4の位相が同一となるように、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WA4を更新することにより、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WA4を最適化できる。
例えば、トレーニングフレーム1の受信情報rA1に、これらの4つのベクトルの向きを合わせることにより、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WA4を最適化できる。この場合、受信情報rA1の位相をθ0とすると、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WA4を式(6)により更新すればよい。
θ0,θ1, θ2,・・・, θ4は、式(7)で与えられる。ただし、実際には、θ0,θ1, θ2,・・・, θ4をnビットで量子化した位相がダイバーシチ合成情報として使用される。
以上では、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定するためにベースバンド受信IQ情報と受信レベル情報の両方を得ているが、受信レベル情報を用いなくてもダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定できる。例えば、図11のトレーニング信号を用いる場合、フレーム先頭のトレーニングフィールドの一部を用いて受信AGC動作は完了するので、トレーニングシンボル1,2-1〜2-4受信時の利得は同一(C1=C2-1=C2-2= C2-3=C2-4)となる。トレーニングシンボル1,2-1〜2-4受信におけるベースバンド受信IQ情報rA1,rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4は、式(8)で表され、ベースバンド受信IQ情報rA1,rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4のみから各アンテナの相対的な受信信号を求めることができる。
また、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定することもできる。
例えば、図10のトレーニング信号を用いる場合、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報と受信レベル情報の両方を用いてダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定することができる。
図13は、無線LANで使用されるバースト検出、AGC動作およびタイミング同期のためのプリアンブルにおけるベースバンドIQ信号を示す。ここでは、基本パターンの約4周期分を図示しているが、無線LANでは基本パターンの10周期分がプリアンブルとして送信される。受信側では、バースト検出後に、まず、AGC動作を行う。また、タイミング同期のために、ベースバンド受信IQ信号と、基本パターンの複素共役となる信号との相関演算を行う。図14は、マルチパス波が存在しない場合の、相関演算の出力信号を示す。
例えば、図10のトレーニング信号を用いる場合には、相関ピークのタイミングでの上記相関演算の出力信号を式(5)におけるベースバンド受信IQ情報rA1,rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4の代わりに用いることができる。
相関ピークのタイミングでの上記相関演算の出力信号をrA1,rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4とし、出力信号rA1の位相をθ0とすると、この場合でも、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WA4を式(6)により更新すればよい。
また、例えば、図11のトレーニング信号を用いる場合、フレーム先頭のトレーニングフィールドの一部を用いて受信AGC動作は完了するので、トレーニングシンボル1,2-1〜2-4受信時の利得は同一(C1=C2-1=C2-2= C2-3=C2-4)となる。したがって、トレーニングシンボル1,2-1〜2-4受信における、相関ピークのタイミングでの上記相関演算の出力信号rA1,rA2-1,rA2-2,・・・,rA2-4から各アンテナの相対的な受信信号を求めることができる。
相関ピークのタイミングでの上記相関演算の出力信号は、時間的に積分された情報であり、これを用いることにより、熱雑音あるいは干渉信号の影響を低減しつつ、ダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定することができる。
図15は、無線通信装置Aにおけるダイバーシチ合成情報の最適値決定処理を示すフローチャートである。ここでは、アンテナ数をMとし、ウエイト処理部11の乗算器としてn(nは2以上の自然数)ビット移相器を用いた場合のフローを示している。
先頭のトレーニングフレーム1が受信されると(S11)、まず、ダイバーシチ合成情報の最適値W=(W, W,・・・, W)を用いて先頭のトレーニングフレーム1をダイバーシチ受信してベースバンド受信IQ情報r1および受信レベル情報P1を取得する。また、変数iに1を代入(i←1)する(S12)。変数iは、以下のステップからなるループをアンテナ数M回だけ行わせることを規定する。なお、ここでのW=(W, W,・・・, W)はそれぞれ、ダイバーシチ合成情報の初期値である。ここではウエイト処理部11の乗算器がnビット移相器である場合を想定しているので、ダイバーシチ合成情報の各々W,W,・・・,Wは、nビット情報である。
次に、トレーニングフレーム2-i が受信されると(S13)、i番目のダイバーシチ合成情報Wを反転させたダイバーシチ合成情報Wでトレーニングフレーム2-iを受信してベースバンド受信IQ情報r2-iおよび受信レベル情報P2-iを取得する(S14)。また、S14では、さらに変数iを1だけインクリメントする(i←i+1)。次に、変数iがアンテナ数M以下か否かを判定する(S15)。S15で、変数iがアンテナ数M以下と判定されれば、S13に戻って処理を繰り返し、変数iがアンテナ数M以下でないと判定されれば、S12およびS14で取得したベースバンド受信IQ情報 r1,r2-1,r2-2,・・・,r2-4および受信レベル情報 P1,P2-1,Pr2-2,・・・,P2-4を用いてダイバーシチ合成情報WA2,WA3,・・・,WAMを更新する(S16)。トレーニングフレーム2-i が受信されなければ、ベースバンド受信IQ情報r2-iを0とし、受信レベル情報P2-iを1とし、また、変数iに1+1を代入(i←i+1)する(S17)
以上のフローにより、各アンテナA,A,・・・,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA2,WA3,・・・,WAMを最適化できる。したがって、アンテナ数がMの場合、n(nは2以上の自然数)ビット移相器を用いた場合においても、合計(M+1)個のフレームのダイバーシチ受信によりダイバーシチ合成情報W=(W,W,・・・,W)を最適化できる。
図16は、本発明に係る無線通信装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。なお、図16において、図6と同一あるいは同等部分には同じ符号を付してある。
第2実施形態の無線通信装置Aは、M本(Mは2以上の整数)のアンテナA〜A、ダイバーシチ回路10および送受信回路13を備える。ダイバーシチ回路10は、ウエイト処理部11およびRF信号分配・合成部12を備える。ダイバーシチ回路10は、ダイバーシチ合成情報の最適値を用いてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行ってトレーニング信号やデータの送受信を行う。
送受信回路13は、ベースバンド変調部31、トレーニング信号生成部32、信号合成部33、無線送信部34、デュプレクサ35、無線受信部36、送受信制御部37、ビーム形成用ウエイト生成部38およびベースバンド復調部39を備える。上記の各部のうち、ウエイト処理部11およびビーム形成用ウエイト生成部38以外は、一般的な無線通信装置が備える構成要素である。ここでは、ダイバーシチ回路10をRF帯で動作させ、送受信回路13が1つだけで済むようにしている。すなわち、無線通信装置Aは、1つだけの送受信系統だけを用いてマルチアンテナでのビームフォーミングおよびダイバーシチ受信を行う。
ベースバンド変調部31は、送信データを入力とし、変調信号を出力する。変調信号は、ベースバンドIQ信号である。このベースバンドIQ信号は、信号合成部33を介して無線送信部34に入力される。
トレーニング信号生成部32は、トレーニングを実行させ、相手側無線通信装置がビームフォーミングするために必要なトレーニング信号を生成する。ここで生成されるトレーニング信号は、ベースバンドIQ信号であり、このベースバンドIQ信号も信号合成部33を介して無線送信部34に入力される。
信号合成部33は、ベースバンド変調部31からのベースバンドIQ信号とトレーニング信号生成部32からのベースバンドIQ信号を時間的に合成して出力する。信号合成部33は、ベースバンド変調部31からベースバンドIQ信号が出力される場合には、この信号をベースバンド送信IQ信号として出力し、トレーニング信号生成部32からベースバンドIQ信号が出力される場合には、この信号を出力する。実際的には、トレーニング用送信データ生成部を具備させ、この出力信号と送信データを時間的に合成した信号をベースバンド変調部31に印加し、この出力を直接無線送信部34へ与えてよい。このようにすると、ベースバンド変調部31は、送信データの変調用としてだけでなく、トレーニング信号の変調用としても利用でき、これにより構成を簡単にし、コストおよび消費電力を低減できる。
無線送信部34は、信号合成部33を通して入力される信号をRF帯に周波数変換し、RF送信信号としてデュプレクサ35に入力する。すなわち、無線送信部34は、送信データおよびトレーニング信号をRF帯に周波数変換する。
デュプレクサ35は、TDD(Time Division Duplex)伝送におけるRF送信信号の送信とRF受信信号の受信を切り替える。例えば、送受信制御部37から送信期間に"1"となり、受信期間に"0"となる送受信制御情報を受け、送受信制御情報が"1"の場合には無線送信部34からのRF送信信号をRF信号分配・合成部12に出力し、送受信制御情報が"0" の場合にはRF信号分配・合成部12からのRF受信信号を無線受信部36に出力する。
無線受信部36は、デュプレクサ35からのRF受信信号を入力とし、これを周波数変換して出力する。また、無線受信部36は、RF受信信号の各トレーニングフレームについての受信レベル情報を出力する。すなわち、無線受信部36は、RF受信データをベースバンドIQ信号に復調し、また、トレーニング信号の各トレーニングフレームから受信レベル情報を取得する。トレーニング信号をベースバンドIQ信号に復調してから受信レベル情報を取得する場合には、RF受信データの復調およびRFトレーニング信号の復調を1つの復調器で行うことができる。このベースバンド受信IQ信号は、ベースバンド復調部39およびビーム形成用ウエイト生成部38の両方に入力される。
一方、受信レベル情報は、ビーム形成用ウエイト生成部38に入力される。受信レベル情報は、ダイバーシチ合成受信信号の各トレーニングフレームについての受信レベルに関連する情報ならば如何なるものでもよく、例えば、RSSI(Received Signal Strength Information)情報、あるいはそれをレベルに変換した情報、無線受信部36が備えるAGCアンプの利得、あるいはそれをレベルに変換した情報などを用いることができる。受信レベル情報としてRSSI情報を用いる場合は、受信レベル情報は無線受信部36から出力されるが、AGCアンプの利得、あるいはそれをレベルに変換した情報などを用いる場合は、受信レベル情報はベースバンド復調部39から出力される。図16は、受信レベル情報としてRSSI情報を用いる場合について示している。
送受信制御部37は、無線通信装置の必須の構成要素である無線アクセス制御部の一部であり、例えば、送信期間に"1"となり、受信期間に"0"となる送受信制御情報をデュプレクサ35およびビーム形成用ウエイト生成部38に出力する。
ビーム形成用ウエイト生成部38は、送受信制御部37から出力される送受信制御情報および受信レベル情報に基づき、トレーニング信号の各トレーニングフレームに対して異なるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを生成し、無線受信部36から出力される受信レベル情報に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMを決定する。ここで生成されたダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMは、ウエイト処理部11の各乗算器に与えられる。ビーム形成用ウエイト生成部38の詳細は、後述する。ビーム形成用ウエイト生成部38は、"ダイバーシチ合成情報生成手段"として機能し、それには"初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"トレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"トレーニング受信情報保持手段"および"ダイバーシチ合成情報最適値生成手段"が含まれている。
ベースバンド復調部39は、無線受信部36からのベースバンド(BB)受信IQ信号を復調し、受信データを送出する。ベースバンド復調部39は、受信データの復調用としてだけでなく、トレーニング信号の復調用としても利用でき、これにより構成を簡単にし、コストおよび消費電力を低減できる。
ウエイト処理部11は、ビーム形成用ウエイト生成部38から与えられるダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,・・・,WAMに従って、RF受信信号およびRF送信信号にウエイト処理を施す。すなわち、ウエイト処理部11は、各アンテナA〜AのRF受信信号にウエイト処理を施してRF信号分配・合成部12に出力し、また、RF信号分配・合成部12からのRF送信信号にウエイト処理を施して各アンテナA〜Aに出力する。ウエイト処理部11におけるウエイト処理は、nビット移相器による移相処理で実現できる。例えば、n=2の場合におけるウエイト処理は、0度、90度、180度あるいは270度の移相処理で実現できる。ウエイト処理部11は、"ダイバーシチ合成情報設定手段"として機能する。
RF信号分配・合成部12は、RF送受信信号の分配および合成を行う。すなわち、ウエイト処理部からのM個のRF受信信号を入力とし、それらを合成した信号をデュプレクサ35に出力し、また、デュプレクサ35からのRF送信信号を入力とし、これをM分配してウエイト処理部11に出力する。RF信号分配・合成部12で合成されてデュプレクサ35に出力されるRF受信信号のレベルは、ウエイト処理部11でのインピーダンス変換で1/√Mになり、M分配されてウエイト処理部11に出力されるRF送信信号のレベルは、デュプレクサ35からのRF送信信号のレベルに対して1/√Mになる。RF信号分配・合成部12は、"信号分配合成手段"として機能する。
図17は、図16のビーム形成用ウエイト生成部38の具体的構成を示すブロック図である。なお、図17において、図7と同一あるいは同等部分には同じ符号を付してある。
ビーム形成用ウエイト生成部38は、トレーニング受信情報保持部43、最適ウエイト決定部46、移相器制御部50およびタイミング部60を備え、双方向のトレーニング信号伝送を通じて、ビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を決定する。
トレーニング受信情報保持部43は、ベースバンド受信IQ信号保持部44および受信レベル情報保持部45を備える。トレーニング受信情報保持部43は、"受信情報保持判定手段"として機能する。
ベースバンド受信IQ信号保持部44は、トレーニングシーケンス受信に際して、各トレーニングフレームに含まれる既知パターンに対応したベースバンド受信信号であるベースバンド受信IQ信号を保持する。
具体的には、既知パターン"1"(複素数)に対応したベースバンド受信信号を保持するものとすると、ベースバンド受信IQ信号は、送信ベースバンド部と受信ベースバンド部の間における位相回転を表す複素伝達関数(ベクトル)となる。
既知パターンとして、例えば802.11nにおけるLTFを使用し、これに対応したベースバンド受信信号とLTFとの相関演算出力をベースバンド受信IQ信号とすることにより、複素伝達関数の推定における雑音の影響を軽減することができる。トレーニングシーケンスのすべてのトレーニングフレームに既知パターンが含まれていれば、それを用いて複素伝達関数の推定値となるベースバンド受信IQ信号を求めることができる。各トレーニングフレームに含まれる既知パターンは、すべて同一でもよいし、すべてが互いに異なっていてもよい。
これを実現するために、ベースバンド受信IQ信号保持部44には、ベースバンド受信信号およびタイミング部60からのフレーム受信検出信号が印加されている。例えば、フレーム受信に際して、ヘッダ部分に、当該フレームがトレーニングフレームであることを示す情報要素が含まれている場合にパルスを出力し、それ以外では"0"となる信号をフレーム受信検出信号として用いることができる。トレーニングフレームの判別には、ヘッダ部分の情報要素を用いることができる。あるいはフレーム受信検出信号の時間間隔が所定値以下の場合のフレームをトレーニングフレームと判別することもできる。
一方、受信レベル情報保持部45は、トレーニングシーケンスの受信に際して、各トレーニングフレームに含まれる既知パターンに対応した受信レベル情報を保持する。受信レベル情報としてRSSI値を用いる場合には、例えば既知パターンに対応したRSSI値を受信レベル情報として保持してもよい。あるいは、一般に先頭フレームは既知パターンであるので、これを受信した時の受信AGC利得を受信レベル情報として用いてもよい。
複素伝達関数の情報からは、受信AGCの働きにより振幅情報が失われている。受信レベル情報を用いることにより、この振幅情報を復元して、位相情報だけではない真の複素伝達関数の情報を得ることができる。
フレーム受信検出信号はトレーニングフレーム毎に出力され、各トレーニングフレームにおけるベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報がトレーニング受信情報保持部43において保持される。これらの情報は、最適ウエイト決定部46に印加される。最適ウエイト決定部46は、式(6)に基づいて最適なダイバーシチ合成情報WA1(B),WA2(B),・・・,WAM(B)を計算し、トレーニング時ウエイト生成部52に出力する。なお、最適ウエイト決定部46からの最適なダイバーシチ合成情報WA1(B),WA2(B),・・・,WAM(B)の出力は、タイミング部60からの最適ウエイト更新信号で示されたタイミングで行われる。トレーニングシーケンス受信が終了した直後にパルスを出力し、それ以外では"0"となる信号を最適ウエイト更新信号としてもよい。
移相器制御部50は、非ビーム形成時ウエイト生成部51、トレーニング時ウエイト生成部52およびウエイト選択部53を備える。非ビーム形成時ウエイト生成部51、トレーニング時ウエイト生成部52はそれぞれ、"初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段"、"トレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段"として機能し、トレーニング時ウエイト生成部52は、最適ウエイト決定部46と組み合わされて"ダイバーシチ合成情報最適値生成手段"としても機能する。
全くの初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みには、まず、相手側無線通信装置から少なくとも(アンテナ数+1)個のフレームを含むトレーニング信号を受信することが必要である。しかし、当初から、相手側無線通信装置が送信するトレーニング信号を受信できるとは限らない。そこで、全くの初期状態でも、自無線通信装置が送信する少なくとも1個のトレーニング信号((アンテナ数+1)個のフレーム)を相手側無線通信装置が受信できるようにする。これは、異なるダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを用いて複数のトレーニング信号を送信し、相手側無線通信装置がいずれかのトレーニング信号を受信できるようにすることにより実現できる。
非ビーム形成時ウエイト生成部51は、このような非ビーム形成時のダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を生成する。このトレーニング信号を送信する際のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMは、任意であるが、トレーニング信号の送信ごとに変化させることが望ましい。CSMA(Carrier Sense Multiple Access)システムにおいては、非ビーム形成時かつ非送受信時のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを時間的にランダムに変化させ、トレーニング信号の送信開始時点でのダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを当該トレーニング信号の送信で使用することができる。
具体的には、アンテナ数がMの場合、Mビットカウンタを自走クロックで動作させ、そのM個のカウンタ値を各ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとして用いることができる。このランダム変化の時間間隔は、例えば1μs程度に設定すればよい。
相手側無線通信装置がいずれかのトレーニング信号を受信してダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、その最適値を設定してトレーニング信号をビームフォーミングして送信すれば、自無線通信装置は、そのトレーニング信号を受信できる。なお、相手側無線通信装置から同様にランダムに変化されたダイバーシチ合成情を用いて送信されるいずれかのトレーニング信号を受信できれば、自無線通信装置でそのままダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みが行われる。
トレーニング時ウエイト生成部52は、トレーニングカウント部64からのトレーニングカウンタ情報に従ってダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の各々WAi(TR)をフレームごとに順次変更し、受信レベル情報比較部41から最適ウエイト更新信号が出力された時の各ダイバーシチ合成情報WAi(TR)を保持する。なお、ダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の初期の最適値は、過去の直近のトレーニングによって得られたものとするのが好ましい。そのダイバーシチ合成情報は、ほぼ最適なものとなっていると考えられるからである。
ウエイト選択部53は、非ビーム形成時ウエイト生成部51から出力されるダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)あるいはトレーニング時ウエイト生成部52から出力されるダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)をビーム形成有効フラグに基づいて選択し、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMとして出力する。
ビーム形成有効フラグは、初期状態では"無効"(例えば"0")であるが、所定回数、例えば(アンテナ数+1)回のフレームの受信で"有効"(例えば"1")となる。また、所定の期間、例えば100msの間にフレームを十分に(例えば(アンテナ数+1)回以上)受信できなかった場合には、ビーム形成有効フラグを"無効"としてもよい。
この結果、ウエイト選択部53は、所定回数のフレームが受信されるまではダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を選択し、それ以降では、ダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を選択する。
タイミング部60は、フレーム受信検出部61、フレーム終了検出部62、最適ウエイト更新信号生成部66、トレーニングカウント部64およびビーム形成有効フラグ生成部65を備える。
フレーム受信検出部61は、送受信制御情報、ベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報を入力とし、フレーム受信検出信号を出力する。送受信制御情報は、例えば、無線送信部34がイネーブルとなる期間に"1"となり、それ以外で"0"となる信号であり、受信レベル情報は、RSSI (Received Signal Strength Information) 情報あるいは無線受信部36が備えるAGCアンプの利得などの情報であり、フレーム受信検出部61は、無線受信部36がイネーブルとなる期間での受信レベル変化、またはベースバンド受信信号の振幅変化、あるいは既定のプリアンブルパターン、例えば802.11nにおけるLTFを検出し、かつヘッダ情報等により当該フレームがトレーニングフレームであると判定した場合に、フレーム受信検出信号を生成する。要するに、トレーニングシーケンス受信のみで、最適ウエイト更新を行い、それ以外の場合には最適ウエイト更新を行わなければよい。
例えば、フレーム受信検出信号はトレーニングフレーム以外でも生成するが、最適ウエイト更新信号は、当該フレームがトレーニングシーケンスであると判定した場合にのみ行うようにしてもよい。また、トレーニングフレーム2-M(Mは無線通信装置のアンテナ数)におけるダイバーシチ合成情報は一般には最適値ではないので、受信レベル変化、ベースバンド受信信号の振幅変化、既定のプリアンブルパターンのいずれもが検出できない可能性もある。このような場合に備えて、ヘッダ情報等により当該フレームがトレーニングフレームであると判定した場合には、受信レベル変化、ベースバンド受信信号の振幅変化、既定のプリアンブルパターンのいずれもが検出できない場合でも、所定のタイミングでパルスを生成してもよい。なお、このような場合の当該トレーニングフレームに対応した複素伝達関数を"0"としてもよい。
フレーム受信検出信号はベースバンド受信IQ信号保持部44および受信レベル情報保持部45に与えられる。フレーム受信検出信号は、各トレーニングフレームの受信開始を示す信号であり、例えば無線受信部36がイネーブルとなる期間での受信レベル変化、またはベースバンド受信信号の振幅変化、あるいは既定のプリアンブルパターン、例えば802.11nにおけるLTFを検出し、かつヘッダ情報に等により当該フレームがトレーニングフレームであると判定した場合に発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。
フレーム終了検出部62は、送受信制御情報、ベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報を入力とし、フレーム終了検出信号をトレーニングカウント部64へ出力する。フレーム終了検出信号は、各フレームの受信終了を示す信号であり、例えば、無線受信部36がイネーブルとなる期間での受信レベル変化あるいはベースバンド受信信号の振幅変化の検出に基づく各フレームの受信終了タイミングをトリガとして発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。また、トレーニングフレーム2-M(Mは無線通信装置のアンテナ数)におけるダイバーシチ合成情報は一般には最適値ではないので、受信レベル変化、ベースバンド受信信号の振幅変化、既定のプリアンブルパターンのいずれもが検出できない可能性もある。このような場合に備えて、ヘッダ情報等により当該フレームがトレーニングフレームであると判定した場合には、受信レベル変化、ベースバンド受信信号の振幅変化、既定のプリアンブルパターンのいずれもが検出できない場合でも、所定のタイミングでパルスを生成してもよい。
送受信制御情報は、送信状態、受信状態、パワーセーブ状態などの無線通信装置の状態を表す情報である。フレーム受信検出部61およびフレーム終了検出部62は、送受信制御情報が受信状態になっている場合の受信レベル情報を用いてフレームの受信開始およびフレームの受信終了を検出することができる。
最適ウエイト更新信号生成部66は、最適ウエイト更新信号をトレーニング時ウエイト生成部52へ出力する。最適ウエイト更新信号はトレーニングシーケンス受信完了後に、当該トレーニングシーケンス受信で新たに決定された最適ウエイトを設定するためのタイミング信号であり、例えば、当該トレーニングシーケンスの最終フレームのフレーム終了検出信号のパルスが発生してから一定期間(例えば、3μs)後に発生させた所定幅(例えば、1μs)のパルスである。
トレーニングカウント部64は、トレーニングカウンタ情報を、トレーニング時ウエイト生成部52、最適ウエイト更新信号生成部66およびビーム形成フラグ生成部65へ出力する。トレーニングカウンタ情報は、トレーニングシーケンスにおけるフレーム数のカウント情報であり、例えば、フレーム終了検出信号によりカウンタのカウント値を1ずつインクリメントし、最適ウエイト更新信号により該カウンタのカウント値を"0"にクリアすることにより生成される。
ビーム形成有効フラグ生成部65は、所定回数のフレームが受信されたことを示すビーム形成有効フラグをウエイト選択部53へ出力する。ビーム形成有効フラグは、トレーニングカウンタ部64からのトレーニングカウンタ情報に基づいて生成される。ウエイト選択部53は、ビーム形成有効フラグが無効の場合、非トレーニング時ウエイト生成部51からのダイバーシチ合成情報WA1(NB),WA2(NB),・・・,WAM(NB)を選択し、ビーム形成有効フラグが有効の場合、トレーニング時ウエイト生成部52からのダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を選択する。
移相器制御部50は、基本的には、トレーニングを通じて受信レベル情報が最大となるダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を見つけ出すように動作する。すなわち、受信側の無線通信装置では、フレームごとにダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)の各ダイバーシチ合成情報WAi(TR)を変更し、各各ダイバーシチ合成情報WAi(TR)でのベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報を保持する。これらの保持情報から、式(6)に基づいて最適なダイバーシチ合成情報WA1,WA2,・・・,WAMを求めて、最適ウエイトを更新する。
トレーニングに続くデータの双方向伝送では、保持されているダイバーシチ合成情報WA1(TR),WA2(TR),・・・,WAM(TR)を読み出してウエイト処理部に与える。
図18は、図17のビーム形成用ウエイト生成部38の動作の一例を示すタイミングチャートである。各アンテナA,A,A,Aの信号A1,A2,A3,A4がダイバーシチ合成(ベクトル加算)されてダイバーシチ合成受信信号が生成される様子は、図12で示される。ここでは、無線通信装置のアンテナ数が4であり、各アンテナA,A,A,Aの信号に対するダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4がnビット(nは2以上の自然数)である場合を想定している。また、受信レベルが大きいほど受信レベル情報の値が大きくなるとしている。この場合、ウエイト処理部は、アンテナ数分のnビット移相器で構成され、各移相器は各nビットのダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4に応じて制御される。n=2の場合、例えば、ダイバーシチ合成情報が"0"の場合には移相量0度、"1"の場合には移相量90度、"2"の場合には移相量180度、"3"の場合には移相量270度に、制御される。
無線通信装置は、通信相手の無線通信装置からのトレーニングフレーム1を現状のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4を用いてダイバーシチ受信し、複数のトレーニングフレーム2-1〜2-4を、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WA3,WA4の各ダイバーシチ合成情報WAiを変更しながら順次ダイバーシチ受信する。そして、得られた受信レベル情報およびベースバンド受信IQ信号を保持しておき、トレーニングシーケンス受信の終了後に、これらの保持された情報に基づいて最終的にダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4を決定する。これにより決定されたダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4をデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成に用いる。
トレーニングフレーム1は、実際にトレーニングが実行される先頭フレームであり、これを受信してからトレーニングが開始されると共に、そのときの受信レベル情報およびベースバンド受信IQ信号が測定される。例えば、IEEE802.11nのアンテナ選択シーケンスをトレーニングシーケンスとして使用する場合には、受信フレームのMACヘッダの解析を行い、当該受信フレームがアンテナ選択シーケンスである場合にトレーニングを開始してもよい。ベースバンド受信IQ信号としては、PLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダに含まれる既知パターンに対応したベースバンド受信IQを用いることができる。例えば、IEEE802.11nの場合には、PLCPヘッダに含まれるLTF(Long Training Field)のベースバンド受信IQをベースバンド受信IQ信号として用いることができる。この場合には、ベースバンド受信IQ信号は、送信側無線通信装置のベースバンド送信IQと受信側無線通信装置のベースバンド受信IQ間の伝達関数を表す。
トレーニングフレーム1には送信元アドレス、送信先アドレスおよびフレーム種別などの情報を含ませることができる。トレーニングフレーム1を用いて、現状のダイバーシチ合成情報でダイバーシチ受信した時の受信レベル情報が取得される。後続するトレーニングフレーム2-1〜2-4は、ダイバーシチ合成情報を所定のアルゴリズムで変更してダイバーシチ受信した時のベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報を測定するために用いられる。
受信レベル情報は、無線受信部のAGCアンプにおいて利得調整が起動された場合、通常、比較的短時間(例えば、10μs)に変化する。AGCアンプの利得調整は、トレーニングフレームの受信開始または受信終了でも発生するが、それ以外にも、例えば、ノイズの影響により発生する場合もある。また、トレーニングフレームの受信開始でAGCアンプの利得調整が起動された後、フレームヘッダの受信に失敗した場合では、該フレーム受信期間においてAGCアンプの利得調整が複数回起動される場合もある。受信レベル情報の測定では、これらの点を考慮する。
まず、トレーニングカウンタ情報が"0"の時、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報0(W="01",W="00",W="10",W="11")を生成し、通信相手の無線通信装置からのトレーニングフレーム1をこのダイバーシチ合成情報0を用いてをダイバーシチ受信する。ダイバーシチ合成情報0は、例えば、過去の直近のトレーニングによって得られ、前のデータフレームの受信時に用いられたものが好ましい。過去においてビームフォーミングがなされている場合、その時のダイバーシチ合成情報は、今回でもほぼ最適となっていると考えられるからである。過去においてビームフォーミングがなされていない場合には、任意のダイバーシチ合成情報を用いることができる。このときのベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報(100)が1トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部42で保持される。図12(a)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成(ベクトル加算)を示している。なお、トレーニングフレーム1を受信する前の受信レベル情報は"5"である。これは、熱雑音レベルに相当する。また、トレーニングフレーム1を受信してから次のトレーニングフレーム2-1を受信するまでの期間の受信レベル情報は"3"に低下する。これも熱雑音レベルに相当する。以下同様に、トレーニングフレームの受信間で熱雑音が発生する。
次に、トレーニングフレーム1のフレーム終了が検出され、トレーニングカウンタ情報が"1"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報1(W="11",W="00",W="10",W="11")を生成する。ダイバーシチ合成情報1は、ダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報1を用いてトレーニングフレーム2-1を受信した時の受信レベル情報(88)は、ダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下している。図12(b)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。この受信レベル情報の変化は、伝送路の変化によるものではなく、ダイバーシチ合成情報を変化させたことによるものである。
次に、トレーニングカウンタ情報が"2"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報2(W="01",W="10",W="10",W="11")を生成する。ダイバーシチ合成情報2は、ダイバーシチ合成情報0においてダイバーシチ合成情報W2だけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報2を用いてトレーニングフレーム2-2を受信した時のベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報(70)が取得され、保持される。なお、このときの受信レベルはダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下している。図12(c)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。
次に、トレーニングカウンタ情報が"3"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報3(W="01",W="00",W="00",W="11")を生成する。ダイバーシチ合成情報3は、ダイバーシチ合成情報0においてダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報3を用いてトレーニングフレーム2-3を受信した時のベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報(102) が取得され、保持される。なお、このときの受信レベルはダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より増大している。図12(d)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。
次に、トレーニングカウンタ情報が"4"になると、トレーニング時ウエイト生成部52は、ダイバーシチ合成情報4(W="01",W="00",W="10",W=" 00")を生成する。ダイバーシチ合成情報4は、ダイバーシチ合成情報0においてダイバーシチ合成情報Wだけが反転されたものである。ダイバーシチ合成情報4を用いてトレーニングフレーム2-4を受信した時のベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報(90) が取得され、保持される。なお、このときの受信レベルはダイバーシチ合成情報0の時の受信レベル情報(100)より低下している。図12(e)は、このときの各アンテナA,A,A,Aの受信信号のダイバーシチ合成を示している。
ダイバーシチ合成情報4を用いてトレーニングフレーム2-4を受信した時のベースバンド受信IQ信号および受信レベル情報(90) の取得し保持した後に、これらの保持された情報に基づいて最終的にダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4を決定する。
新しいダイバーシチ合成情報の最適値WA1,WA2,WA3,WA4は、式(6)に基づいて決定される。式(6)において、WA1,WA2,WA3,WA4はトレーニング信号受信前のダイバーシチ合成情報の最適値を表し、WA1 ,WA2 ,WA3 ,WA4 はトレーニング信号受信後の新しく決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を表す。
新しく決定されたダイバーシチ合成情報の最適値WA1 ,WA2 ,WA3 ,WA4 は、トレーニングフレーム2-4に対するフレーム終了検出信号が出力された後で、次のデータフレームの送信および受信に備えて設定される。
次に、ブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの伝送を含めた場合の、本発明の無線通信システムの動作について説明する。
図19は、この場合のAPおよび複数STA間でのトレーニングおよびデータ伝送時の動作例を示す図である。同図は、AP-STA間で伝送される無線フレームおよびそのときのAPおよびSTAの移相器の動作を示している。なお、ここでは、APおよびSTAが各4本のアンテナを具備し、それらのアンテナに各々1ビットの移相器が接続されるとしている。また、4本のアンテナに対する移相器設定の状態を0から15までの整数で表している。例えば、移相器設定が5の場合、これは2進数表示では"0101"であることから、アンテナ1およびアンテナ3に対する移相器設定が"0度"であり、アンテナ2およびアンテナ4に対する移相器設定が"180度"であることを表している。
APは、一定周期、例えば100msごとにビーコンを送信し、無線ネットワークの存在をその周辺に報知する。ビーコン送信時のAPにおける移相器設定は、0〜15の中からランダムに決定される。この場合、移相器設定は、ビーコンの送信ごとに互いに異なる確率が大きい。
CSMA/CAシステムにおいて、ランダムに移相器設定を決定する1つの方法として、無線機がアイドル状態、すなわち無線機が送信も受信も行っていない場合に、移相器設定を、例えば1usごとに変化させ、フレーム送信またはフレーム受信時に、送受信の開始時点での移相器設定とする方法がある。
APは、ビーコンの送信に引き続き、STA1宛てのトレーニング開始フレームを送信する。このトレーニング開始フレーム送信時のAPにおける移相器設定は、0〜15の中からランダムに決定される。このときの移相器設定は、最適であるとは限らないので、STA1がトレーニング開始フレームを正常に受信できる場合もあれば、そうでない場合もある。STA1がトレーニング開始フレームを正常に受信した場合、STA1からAPにACKフレームが送信される。STA1がトレーニング開始フレームを正常に受信しなかった場合、STA1からAPにACKフレームが送信されない。この場合、APは、先ほどとは異なる移相器設定を用いてSTA1宛てのトレーニング開始フレームを再送する。このトレーニング開始フレームの再送は、基本的にはSTA1からAPにACKフレームが送信されるまで繰り返される。
図20、図21は、再送を含めたトレーニング開始フレームの送信回数と、これに対するACKフレームが送信される確率の関係を示す。図20は、STA側で移相器の最適設定が既知の場合であり、図21は、STA側で移相器の最適設定が未知の場合である。図20を参照すると、再送を含めたトレーニング開始フレームの送信数の平均値は2.3であり、合計で最大10フレームまで送信するようにすれば99.9%以上の確率でトレーニング開始フレームに対するACKフレームが送信されることが分かる。また、図21を参照すると、再送を含めたトレーニング開始フレームの送信数の平均値は2.9であり、合計で最大20フレームまで送信するようにすれば、99.9%以上の確率でトレーニング開始フレームに対するACKフレームが送信されることが分かる。実際には、フェージングの状況に応じて、図20、図21あるいはその中間の状況が発生する。
APは、STA1へのトレーニング開始フレームに対するACKを受信すると、STA1に対する双方向のトレーニング信号伝送を開始する。図19の例では、まず、STA1側からトレーニング信号を送信してAP側の移相器設定を最適化する。その後、AP側からトレーニング信号を送信してSTA側の移相器設定を最適化する。AP側の移相器設定の最適化においては、トレーニング開始フレームに対するSTA1からのACKフレームを受信したときのAP側の移相器設定を初期値としてトレーニングを行う。
図19の例では、APは、1個目、2個目のトレーニング開始フレームに対するACKフレームを受信しない。このため、APは、移相器設定をランダム移相にする。次に、APは、3番目のトレーニング開始フレームに対するACKフレームを受信する。APは、3番目のトレーニング開始フレーム送信時の移相器設定14("1110")をトレーニング初期値とする。
本例では、APは、STA1に対してNull Data(ペイロードのデータ長0のフレーム)を送信し、これに対するSTA1からのACKフレームをトレーニング用の移相器設定で受信し、その時の受信レベルからAP側の最適な移相器設定を求める。
具体的には、図19に示すように、APは、まず、トレーニング開始フレームに対するACKフレームの受信レベルを、トレーニング初期設定14("1110")での受信レベルとして保持する。
次に、APは、移相器設定は14("1110")のままとしてSTA1に対してNull Dataを送信した後、移相器設定をトレーニング用に変更する。APは、例えば、アンテナ1に対する移相器設定を反転した6("0110")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。この場合、移相器設定が14("1110")の場合の方が受信レベルは高いので、APは、移相器設定を14("1110")に戻して、さらにNull Dataを送信する。その後、APは、アンテナ2に対する移相器設定を反転した10("1010")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。この場合も、移相器設定が14("1110")の場合の方が受信レベルは高いので、APは、移相器設定を14("1110")に戻して、さらにNull Dataを送信する。この後、APは、さらにアンテナ3に対する移相器設定を反転した12("1100")に変更してACKフレームを受信して、その受信レベルを調べる。この場合の受信レベルは移相器設定が14("1110")の場合よりも大きいので、移相器設定を12("1100")とし、この移相器設定で次のNull Dataを送信する。この後、APは、アンテナ4に対する移相器設定を反転した13("1101")に変更してACKフレームを受信して、その受信レベルを調べる。本例では、移相器設定が12("1100")のとき受信レベルが最大であるので、APは、移相器設定12("1100")を用いて、その後のトレーニング信号送信およびデータの送受信を行う。
AP側の4本のアンテナに対する移相器設定の最適化が完了すると、今度は、APは、最適化された移相器設定12("1100")を用いてトレーニング信号をSTA1に送信する。ここでは、トレーニング用No-AckのNull Dataフレームを使用している。STA1では、過去のトレーニングにおいて獲得した最適な移相器設定を保持しておき、この移相器設定を、直後のデータ伝送だけでなくその後のトレーニング伝送において使用する。フェージング等により最適な移相器設定は時々刻々と変化するが、この場合でも、以前に獲得した最適な移相器設定を初期値としてトレーニングを行うことにより、短時間で最適な移相設定を決定することができる。
図19において、STA1は、以前に獲得した最適な移相器設定2("0010")を保持しているが、さらにAP側からのトレーニング信号を受信し、移相器設定をさらに最適に更新する。STA1は、まず、以前の移相器設定2("0010")を用いて最初のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、移相器設定2("0010")での受信レベルを獲得する。STA1は、自端末宛のNo-AckのNull Dataフレームを受信することで、自端末のためのトレーニングが開始されたと判断し、引き続くNo-AckのNull Dataフレームを、トレーニング用に変更された移相器設定を用いて受信し、その受信レベルを調べる。
具体的には、STA1は、最初のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ1に対する移相器設定を反転した10("1010")に変更して、次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。次に、STA1は、2番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ2に対する移相器設定を反転した6("0110")に変更して、次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。次に、STA1は、3番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ3に対する移相器設定を反転した0("0000")に変更して、次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。さらに、STA1は、4番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ4に対する移相器設定を反転した3("0011")に変更して、次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。本例では、移相器設定2("0010")のとき受信レベルが最大であるので、STA1は、移相器設定2("0010")を用いて引き続くデータの送受信を行う。
なお、他のSTA(STA1以外のSTA)がトレーニング信号を受信してもトレーニング動作を行わないようにするため、自端末宛ではないフレームを受信してもトレーニング動作を行わないようにする。これは、STAは、MACアドレスが自端末宛ではないフレームを受信してもトレーニング動作を行わないようにする、あるいは、自端末宛のフレームに対してのみACKフレームを送信し、ACKフレーム送信後の一定期間のみでトレーニング動作を行うようにすることにより実現できる。
以上の動作により、AP側の移相器設定が12("1100")に最適化され、STA1側の移相器設定が2("0010")に最適された後、これらの移相器設定でAPとSTA1間での双方向のデータ伝送が行われる。
また、図19の例では、APは、STA1とのデータ伝送の終了後に、STA1に対する移相器設定12("1100")を用いてSTA2宛てのトレーニング開始フレームを送信する。このときのAP側の移相器設定は、STA2に対して最適であるとは限らないので、STA2は、トレーニング開始フレームを正しく受信できる場合もあればそうでない場合もある。STA2は、このトレーニング開始フレームを正しく受信した場合、APにACKフレームを送信する。STA2は、トレーニング開始フレームを正しく受信しない場合、STA2は、APにACKフレームを送信しない。この場合、APは、先ほどとは異なる移相器設定を用いてSTA2宛てのトレーニング開始フレームを再送する。このトレーニング開始フレームの再送は、STA2からAPにACKフレームが送信されるまで繰り返される。なお、このトレーニング開始フレームの再送では、ランダムな移相器設定を用いる。
本例では、STA2は、2番目のトレーニング開始フレームに対してACKフレームを送信する。ビーコン後におけるSTA2に対する最初の送信においてランダムな移相器設定とするために、例えば、AP側において、送信先のMACアドレスが変化した場合に、その次のフレームからランダムな移相器設定にするようにしてもよい。あるいは、ビーコン後での各STAへの送信の開始前に固有パターンの伝送を行い、この固有パターンを検出したときに、その次のフレームからランダムな移相器設定にするようにしてもよい。
本例では、APは、2番目のトレーニング開始フレームに対してACKフレームを受信する。そこで、2番目のトレーニング開始フレームの送信で用いた移相器設定5("0101")を、AP側の移相器設定のトレーニング初期値とする。APは、STA2に対してNull Data(ペイロードのデータ長0のフレーム)を送信し、これに対するSTA2からのACKフレームをトレーニング用の移相器設定にて受信し、その受信レベルを調べることにより、AP側の移相器設定を最適化する。
具体的には、APは、まず、トレーニング開始フレームに対するACKフレームの受信レベルを、トレーニング初期設定5("0101")での受信レベルとして保持する。次に、APは、STA2に対して、移相器設定を5("0101")としたままでNull Dataを送信し、その後、移相器設定をトレーニング用に変更する。
例えば、APは、アンテナ1に対する移相器設定を反転した13("1101")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。移相器設定が5("0101")の場合の方が受信レベルは高いので、APは、移相器設定を5("0101")に戻して、さらにNull Dataを送信する。この後、APは、アンテナ2に対する移相器設定を反転した1("0001")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。このときの受信レベルは移相器設定が5("0101")の場合よりも大きいので、移相器設定を1("0001")とし、次のNull Dataをこの移相器設定で送信する。この後、APは、アンテナ3に対する移相器設定を反転した3("0011")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。移相器設定が1("0001")の場合の方が受信レベルは高いので、移相器設定を1("0001")に戻して、さらにNull Dataを送信する。この後、APは、アンテナ4に対する移相器を反転した0("0000")に変更してACKフレームを受信し、その受信レベルを調べる。本例では、移相器設定が1("0001")のとき受信レベルが最大であるのでり、APは、移相器設定1("0001")を用いて引き続くトレーニング信号送信およびデータの送受信を行う。
AP側の4本のアンテナに対する移相器設定の最適化が完了すると、APは、その最適化された移相器設定1("0001")を用いてトレーニング信号をSTA2に送信する。ここでは、トレーニング信号として、No-AckのNull Dataフレームを使用している。STA2では、過去のトレーニングにおいて獲得した最適な移相器設定を保持しておき、この移相器設定を、直後のデータ伝送だけでなくその後のトレーニング伝送において使用する。フェージング等により最適な移相器設定は時々刻々と変化するが、この場合でも、以前に獲得した最適な移相器設定を初期値としてトレーニングを行うことにより、短時間で最適な移相器設定を決定することができる。
図19において、STA2は、以前に獲得した最適な移相器設定15("1111")を保持しているが、さらにAP側からのトレーニング信号を受信し、移相器設定をさらに最適化する。STA2は、まず、以前の移相器設定15("1111")を用いて最初のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、移相器設定15("1111")での受信レベルを獲得する。STA2は、自端末宛のNo-AckのNull Dataフレームを受信することで、自端末のためのトレーニングが開始されたと判断し、引き続くNo-AckのNull Dataフレームを、トレーニング用に変更された移相器設定を用いて受信し、その受信レベルを調べる。
具体的には、STA2は、最初のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ1に対する移相器設定を反転した7("0111")に変更して次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。次に、STA2は、2番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ2に対する移相器設定を反転した11("1011")に変更して次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。次に、STA2は、3番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ3に対する移相器設定を反転した13("1101")に変更して次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。さらに、STA2は、4番目のNo-AckのNull Dataフレームの受信後、アンテナ4に対する移相器設定を反転した14("1110")に変更して次のNo-AckのNull Dataフレームを受信し、その受信レベルを調べる。本例では、移相器設定が15("1111")のとき受信レベルが最大であるので、STA2は、移相器設定15("1111")を用いて引き続くデータを送受信は行う。
図19の例では、STA2とのデータ伝送が終了して無線機がアイドル状態へ移行してから一定時間が経過した時点で、AP側の各アンテナの移相器設定をランダム移相にしている。
なお、本例の場合、ビーコンの送信時、各STAの移相器設定は最適化されないが、ビーコンは、ビーコンごとにランダムな移相器設定を用いて送信されるので、各STAでは、少なくともビーコンフレームの一部を受信することができ、これにより無線ネットワークへの接続確認を行うことができる。
図22は、STA側で移相器設定が最適化されている場合の、AP側の移相器設定とその時の受信レベルとの関係を示す。同図を参照すると、最適化された移相器設定を用いた場合には約20dBのMIMO利得が得られること、移相器設定をランダムとした場合に20dBのMIMO利得が得られる確率は1/8であること、および移相器設定をランダムとした場合でも約50%の確率で15dB以上のMIMO利得が得られることが分かる。すなわち、20dBのMIMO利得を考慮してエリア設計を行った場合のエリア周辺部においても1/8以上の確率でビーコンを受信することができることが分かる。
実際には、受信レベルが低下するにつれてビーコンの受信確率は徐々に劣化する。この点を考慮すると、エリア周辺部におけるビーコンの受信確率は、1/8よりも大きな値になる。ビーコンフレームは、無線ネットワークへの接続確認のために使用されるので、必ずしもすべてのビーコンフレームを受信する必要はなく、ビーコンの受信確率は、この程度で問題ない。また、無線環境に応じて適用的に無線伝送速度を選択する無線通信システムにおいては、通信エリア内におけるスループットを高めるために、最低無線伝送速度ではなく、より高速の無線伝送速度を想定してエリア設計を行う場合もある。この場合には、エリア周辺部においても、より高い受信確率でビーコンフレームを受信できる。
上述のように、各STAに対して、まず、双方向のトレーニング伝送を行い、これに引き続いて、そのSTAとのデータ伝送を行うためには、集中制御での無線伝送のアクセス制御を行う必要がある。TDMA(Time Division Multiple Access)方式を採用した無線システムでは、TDMAシステムにおけるスケジューラの機能を用いてこれを実現することができる。一方、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/ Collision Avoidance)方式のような分散制御を採用する無線システムでは、例えば、PCF(Point Coordination Function)機能を用いることにより、上述の一連のシーケンスを実現することができる。図19は、CSMA/CA方式においてPCF機能を用いた場合の例であり、ビーコンフレームにおいて宣言されたCFP(Contention Free Period)期間において、各STAに対する双方向のトレーニング伝送およびデータ伝送を行う。
以上の説明では、ビーコンを送信した後に各STAとのトレーニング伝送およびデータ伝送をシーケンシャルに行う場合について説明したが、このようなトレーニング伝送およびデータ伝送は、仮想APと呼ばれる技術を用いて実現することもできる。仮想APとは、ハードウェア的には1台のAPが、複数の異なるネットワーク情報を含むビーコンを送信し、論理的には複数のAPが存在するかのように振舞うことにより、1台のAPを用いて複数のネットワークの収容を可能とする技術である。
以下では、仮想AP技術を用いた場合の、本発明の無線通信システムの動作について説明する。図23は、この場合のAPおよび複数STA間でのトレーニングおよびデータ伝送時の動作例を示す図である。
この場合の動作は、図19に示した動作とほぼ同様であるが、各STAに対して別個のビーコンを使用している点が異なる。すなわち、APは、STA1に対するトレーニング伝送およびデータ伝送の終了後、移相器設定をランダムにし、次のビーコンの送信後に、STA2に対するトレーニング伝送およびデータ伝送を行う。APは、STA2に対するトレーニング伝送およびデータ伝送の終了後、再び移相器設定をランダムにする。STAの数が3以上の場合、各STAのための3つ以上のビーコンを送信してもよい。また、マルチアンテナを具備しないSTA、すなわちシングルアンテナのSTAをシステム内に収容するために、シングルアンテナのSTAのためのビーコンを送信してもよい。図23において、1つ、または複数のSTAがパワーセーブ動作を行う場合には、STAごとのビーコンを用いてパワーセーブ動作を行わせることができる。
図24は、STA1およびSTA2の両方がパワーセーブ動作を行う場合の動作例を示す。パワーセーブ動作を行うSTAは、各ビーコンを受信あるいはビーコンをk個(Kは2以上の整数)間隔で受信し、それ以外の期間はスリープ状態となる。通常、ビーコンが送信される間隔は、ほぼ一定である。STAは、ビーコンを受信した後から次に受信を予定するビーコンの直前までスリープ状態となる。APは、その配下にパワーセーブ動作を行うSTAがある場合、当該STA宛てのトラフィック(フレーム)は、一旦、内部メモリに保持し、ビーコンに含まれるTIM(Traffic Indication Map)情報を用いて、当該STA宛てのトラフィックがあることを予め通知する。APは、当該STAからの応答を受けて、初めて当該STA宛てのフレームを無線伝送路上に送信する。
図24は、STA1は、ビーコンを受信するが、STA2は、スリープ状態にあってビーコンを受信しない場合の例である。この場合の動作は、トレーニング伝送の終了後、データ伝送の開始前に、APがSTA1に対してTIM情報を送信することを除けば、図23と同じである。
ビーコンフレームは、トレーニング伝送の前に送信されるため、この中に含まれるTIM情報は、STA側において受信されるとは限らない。このため、本例では、トレーニング伝送の終了後にTIM情報を再送している。なお、通常のビーコンは、すべてのSTAで受信できるように、最低の無線伝送速度で送信されるのが一般的であるが、このTIM情報の再送においては、必ずしも最低の無線伝送速度とする必要はなく、より高速の伝送速度を用いることができる。
図24において、STA2は、スリープ状態にあり、ビーコンを受信しない。この場合、STA2は、APからのトレーニング開始信号に対して応答しないので、トレーニングシーケンスは、ここで終了し、データ伝送も行われない。
図25は、APからSTAへのマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームを伝送する場合の、本発明の無縁通信システムの動作例を示す図である。同図に示すように、APからのマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームあるいはその両方は、ビーコンを送信した直後に、異なる移相器設定を用いて、複数回送信される。既に説明したように、STA側の移相器設定が最適化されている場合、APが異なる移相器設定を用いて10回程度の再送を行うことにより、99.9%程度の確率でマルチキャストフレームあるいはブロードキャストフレームを各STAに伝送することができる。
無線環境に応じて適用的に無線伝送速度を選択する無線通信システムにおいては、通信エリア内におけるスループットを高めるために、最低無線伝送速度ではなく、より高速の無線伝送速度を想定してエリア設計を行う場合もある。この場合には、マルチキャストフレームあるいはブロードキャストフレームの再送回数を少なくした場合でも、これらのフレームが各STAに正しく伝送される確率を十分に高くすることができる。
APからSTAへのマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームを伝送する方法としては、上述の方法以外にも、例えば、各STAに対してトレーニング信号を伝送した後で、かつデータを伝送する前に、トレーニングにおいて得られた最適の移相器設定を用いて、マルチキャストフレームおよびブロードキャストフレームの送信を各々行う方法がある。
図26は、この場合の、APからSTAへのマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームの伝送を示す。本例では、仮想AP技術を用い、各STAに対して個別のビーコンを使用している。また、各STAに対してトレーニング信号を伝送した後に、トレーニングにおいて得られた当該STAに対する最適の移相器の設定を用いて同一のマルチキャストフレーム、ブロードキャストフレームを、送信する。
次に、ダイバーシチ合成情報が最適となる状態について説明する。なお、以下の説明では、図1での符号を適宜引用する。
無線通信装置A,Bのアンテナ数が共に2本であり、アンテナA1,A2とアンテナB1,B2の間における伝達関数が各々HA1B1,HA1B2,HA2B1,HA2B2であり、無線通信装置Aと無線通信装置B間の無線伝送路がフラットフェージング環境であるとすると、伝達関数HA1B1,HA1B2,HA2B1,HA2B2は複素数となり、ベクトルで表現できる。図27は、伝達関数HA1B1,HA1B2,HA2B1,HA2B2の一例を示す。
各アンテナA1,A2,B1,B2に接続されている乗算器は、各アンテナA1,A2,B1,B2からの受信信号にそれぞれダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2を乗算する。送信時に送信信号に乗算するダイバーシチ合成情報は、受信時に受信信号に乗算するダイバーシチ合成情報と基本的には同じである。しかし、厳密には、双方向伝送における送信系統と受信系統が異なることに起因した補正が必要になる。
信号分配・合成部12,22は、送信時には、送信信号S,Sをエネルギー的に2分配した信号を2つの乗算器に出力し、受信時には、2つの乗算器からの出力信号を合成(ベクトル加算)した信号を受信信号R,Rとして出力する。
いま、無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送を考えると、無線通信装置AのアンテナA1,A2からそれぞれ、S・WA1/√2、S・WA2/√2 が送信される。これらの信号は、無線通信装置BのアンテナB1,B2で受信される。アンテナB1,B2の受信信号はそれぞれ、S・(WA1・HA1B1+WA2・HA2B1)/√2、S・(WA1・HA1B2+WA2・HA2B2)/√2 となる。これらの信号にダイバーシチ合成情報を乗算した後、加算することで受信信号Rが生成される。受信信号Rは、式(9)で示される。
次に、無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送を考える。無線通信装置BのアンテナB1,B2からそれぞれ、S・WB1/√2、S・WB2/√2 が送信される。これらの信号は、無線通信装置AのアンテナA1,A2で受信される。アンテナA1,A2の受信信号はそれぞれ、S・(WB1・HA1B1+WB2・HA1B2)/√2、S・(WB1・HA2B1+WB2・HA2B2)/√2 となる。これらの信号にダイバーシチ合成情報を乗算した後、加算することで受信信号Rが生成される。受信信号Rは、式(10)で示され、受信信号Rと同じである。
ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2が最適となる状態とは、受信信号R,Rのレベルが最大となり、MIMO利得が最大となる状態である。各ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2における振幅を各アンテナの受信信号の振幅に比例させると最大比合成となり、各ダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2における振幅を一定値、例えば1とすると等利得合成となる。
一般に、無線通信装置Aのアンテナ数をMとし、無線通信装置Bのアンテナ数をNとすると、受信信号R,Rは、(M×N)個のWAi・HAiBj・WBj成分を含む。以下では、この各成分を素波SAiBjと称する。各素波SAiBjは、送信アンテナAiと受信アンテナBj間の伝達関数HAiBj、送信アンテナAiに対応したダイバーシチ合成情報WAiおよび受信アンテナBjに対応したダイバーシチ合成情報WBjの3つの複素数の積で表現される。
各素波SAiBjは、ベクトル量であり、(M×N)個の素波SAiBjの向きを同一にすることにより、受信信号R,Rのレベルを最大化でき、その時のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2が最適となる。
図28および図29は、2つの無線通信装置A,B間での伝送を通じて素波SAiBj(i=1,2、j=1,2)の向きをI軸方向に揃えるものとした場合の動作の一例を示す説明図である。図28は、素波SAiBjの更新を示し、図29は、受信信号Rの更新を示す。図29では、各アンテナの受信信号R(k)の位相をθ(k)で示している。説明を簡単にするため、以下では、伝達関数HAiBjは常に一定であり、時間的変化がないものとする。
初期状態における素波SAiBjをSAiBj(0)とし、k回(kは1以上の整数)のダイバーシチ合成情報の更新後における素波SAiBjをSAiBj(k)とする。また、初期状態における受信信号RをR(0)とし、ダイバーシチ合成情報のk回(kは1以上の整数)更新後における受信信号RをR(k)とする。なお、ダイバーシチ合成情報の更新は、受信側のみで行われるが、素波SAiBjは、無線通信装置A,Bの両方のダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2を含むので、素波SAiBjは、伝送の向きによらず、伝送が行われる度に更新される。受信信号R,Rは、受信側の無線通信装置の2本のアンテナからの受信信号をダイバーシチ合成した信号であるが、素波SAiBjが更新される度に各アンテナA1,A2、B1,B2の受信信号RA1,RA2、RB1,RB2も更新される。
図28(a)は、初期状態における素波SAiBj(0)を示す。初期状態でのダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2は全て1としているため、素波SAiBj(0)は、図27の伝達関数HAiBjと一致する。
初期状態において、無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送が行われた時、無線通信装置Bのダイバーシチ合成情報が更新される。図12(a)は、初期状態において無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送が行われた時の、無線通信装置BのアンテナB1,B2による受信信号RB1(1),RB2(1)を示す。
アンテナB1による受信信号RB1(1)は、2つの素波SA1B1(0),SA2B1(0)の合成信号であり、アンテナB2による受信信号RB2(1)は、2つの素波SA1B2(0),SA2B2(0)の合成信号である。無線通信装置Bでは、2つの受信信号RB1(1),RB2(1)に対して、そのベクトルの向きをI軸に向けるような移相処理を行うことにより、ダイバーシチ合成を行う。すなわち、受信信号RB1(1)のベクトルを、-θB1(1)(θB1(1)は正)だけ回転させ、受信信号RB2(1)のベクトルを-θB2(1)(θB2(1)は負)だけ回転させてダイバーシチ合成を行う。この処理は、ダイバーシチ合成情報WB1,WB2をそれぞれ、exp{-jθB1(1)}、exp{-jθB2(1)}とすることに相当する。これにより、素波SA1B1(0),SA2B1(0)は-θB1(1)だけ回転し、素波SA1B2(0),SA2B2(0)は-θB2(1)だけ回転する。図28(b)は、この様子を示す。
無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送に引き続いて無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送が行われた時、無線通信装置Aのダイバーシチ合成情報が更新される。無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送によりダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2が更新された後では、素波SAiBjは、素波SAiBj(1)(図28(b))に更新されている。無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送は、素波SAiBj(1)を用いて行われる。図29(b)は、このときの無線通信装置Aの各アンテナA1,A2による受信信号RA1(1),RA2(1)を示す。アンテナA1による受信信号RA1(1)は、2つの素波素波SA1B1(1),SA1B2(1)の合成信号であり、アンテナA2による受信信号RA2(1)は、2つの素波SA2B1(1),SA2B2(1)の合成信号である。
無線通信装置Aでは、2つの受信信号RA1(1),RA2(1)に対して、そのベクトルの向きをI軸に向けるような移相処理を行うことにより、ダイバーシチ合成を行う。すなわち、受信信号RA1(1)のベクトルを-θA1(1)だけ回転させ、受信信号RA2(1)のベクトルを-θA2(1)だけ回転させてダイバーシチ合成を行う。この処理は、ダイバーシチ合成情報WA1,WA2をそれぞれ、exp{-jθA1(1)}、exp{-jθA2(1)}とすることに相当する。これにより、素波SA1B1(1),SA1B2(1)は-θA1(2)だけ回転し、素波SA2B1(1),SA2B2(1)は-θA2(2)だけ回転する。図21(c)は、この様子を示す。
図28(a)〜(c)を参照すると、双方向に1回ずつ伝送を行ってダイバーシチ合成情報WA1,WA2,WB1,WB2を更新することにより、各素波SAiBjはI軸に近い向きに揃ってくることが分かる。双方向の伝送を繰り返し行ってダイバーシチ合成情報を逐次更新すれば、各素波SAiBjの向きを、よりI軸に近づけることができる。ただし、(M×N)個の数の素波SAiBjに対して、制御可能な位相は(M+N)個しかないので、一般的には、すべての素波SAiBjをI軸の向きに完全に一致させることはできない。本発明では、結果的には、素波SAiBjの向きが同一あるいはそれに近い状態を双方向のトレーニングを通じて得ている。
受信信号R,Rのレベルを最大化するためには、伝送路行列の相関行列における固有値が最大の固有ベクトルをダイバーシチ合成情報とすればよいことが知られている。しかし、上述したように、アンテナ数が大きな場合に受信信号を最大化するダイバーシチ合成情報を計算上で求めるには、演算量が問題になる。そこで、本発明では、双方向のトレーニング信号伝送を通じて、結果的に、ダイバーシチ合成情報の最適値を見つけ出す。このときの指標として受信レベル情報を用いる。ただし、(M×N)個の素波SAiBjが存在するにもかかわらず、制御できる移相量の数は(M+N)個しかないので、実際には、全ベクトルの向きを同一化できるのは、伝送路行列が特定の条件を満足する特殊な場合に限定される。
以下では、無線通信装置A,B間の双方向伝送での受信レベル情報を指標としてダイバーシチ合成情報の最適値を各々見つけ出すことができることを数式を用いて説明する。なお、ここでは、一般化して、無線通信装置AがM本のアンテナ数を備え、無線通信装置BがN本のアンテナ数を備えるとする。
まず、無線通信装置A,B間の伝送での受信信号の電力(受信レベル情報)を数式上で求める。いま、無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送における伝送路行列HABは、式(11)で表現される。
ここで、hi,jは複素数であり、無線通信装置AのアンテナAjと無線通信装置BのアンテナBi間の伝達関数を表している。また、無線通信装置A,Bにおけるダイバーシチ合成情報W,Wはそれぞれ、式(12),(13)で表現される。なお、Xは、行列Xの転置行列を表す。
無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送が行われる時、無線通信装置Aの信号分配・合成部12に入力される送信信号をSABとし、無線通信装置Bの信号分配・合成部22から出力される受信信号をRABとすると、式(14)が成り立つ。なお、Nは無線通信装置Bの各アンテナB〜Bにおける熱雑音を表している。
このときの無線通信装置Bにおける平均受信信号電力Pは、式(15)で表される。なお、E[X]は、Xのアンサンブル平均を表している。
式(14)を式(15)へ代入すると、式(16)が得られる。なお、Xは、Xの複素共役転置を表している。
ここで、Pは、無線通信装置Aにおける平均送信信号電力であり、式(17)で表される。また、無線通信装置Bの各アンテナB〜Bにおける平均雑音電力は同一であると仮定し、これをPとしている。すなわち、式(18)が成り立つとしている。なお、IはN次元の単位行列を表している。
一方、無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送が行われる時、無線通信装置Bの信号分配・合成部22に入力される送信信号をSBA、無線通信装置Aの信号分配・合成部12から出力される受信信号をRBAとすると、式(19)が成り立つ。なお、Nは無線通信装置Aの各アンテナA〜Aにおける熱雑音を表している。
このときの無線通信装置Aにおける平均受信信号電力Pは、式(20)で表される。
ここで、無線通信装置Bにおける平均送信電力は、無線通信装置Aにおける平均送信電力Pと同一であると仮定している。また、無線通信装置Aの各アンテナA〜Aにおける平均雑音電力も、無線通信装置Bの各アンテナB〜Bにおける平均雑音電力Pと同一であると仮定している。
以上のように、無線通信装置A,Bにおける平均受信信号電力P,Pはそれぞれ、式(20),(16)で表される。
次に、受信信号R,Rの電力(式(20),(16))を最大化する条件を求める。ダイバーシチ合成情報W,Wの大きさを共に1としても一般性は失われないので、式(21)とおくと、式(16),(20)は、式(22)に集約できる。
式(22)のPを最大化する条件は、ラグランジュの未定乗数法を用いて求めることができる。すなわち、ダイバーシチ合成情報W,Wの大きさが共に1であるという条件下でλが最大となる条件は、ラグランジュの未定乗数法を用いて求めることができる。
いま、式(23)で関数U(W,W)を定義する。なお、Xは、Xの複素共役を表す。
このとき、λが最大となる条件は、式(24)で表される。
式(24)における後半の2つの条件は、ダイバーシチ合成情報W,Wの大きさが1であるための条件である。一方、式(24)における前半の2つの条件を整理すると、式(25),(26)が得られる。
式(25),(26)を式(21)に代入すると、式(27)が得られる。λとλは等しいので、以下ではλを共にλと表記する。
ところで、無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送において、送信信号SABが1の時の、無線通信装置BのN本のアンテナB〜Bによる受信信号のベクトルをRB0とすると、RB0は、式(28)で表される。
式(28)を式(26)に代入すると、式(29)が得られる。
式(29)は、無線通信装置Bにおいて、最大比合成ダイバーシチ動作を行う場合、すなわち、ダイバーシチ合成情報WがW=RB0 /√λとなる場合に成立する。
同様に、無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送において、送信信号SBAが1の時の、無線通信装置AのM本のアンテナA〜Aによる受信信号のベクトルをRA0とすると、RA0は、式(30)で表される。
式(30)を式(25)に代入すると、式(31)が得られる。
式(31)は、無線通信装置Aにおいて、最大比合成ダイバーシチ動作を行う場合、すなわち、ダイバーシチ合成情報WがW=RA0 /√λとなる場合に成立する。
以上のように、MIMO伝送において、平均受信信号電力が最大となるように送受信のダイバーシチ合成情報を設定した場合、W=RA0 /√λ,W=RB0 /√λが成り立つ。これは、平均受信信号電力が最大となる条件下におけるダイバーシチ合成情報が、最大比合成ダイバーシチのダイバーシチ合成情報と一致することを示している。すなわち、トレーニング信号の伝送におけるダイバーシチ受信の後に、当該ダイバーシチ受信の合成ウェイト情報でダイバーシチ合成情報を更新することにより、1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値、すなわち送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組を決定することができる。
無線通信装置A,B間での双方向伝送を通じてダイバーシチ合成情報が収束するアルゴリズムは、数式表現を用いると、式(32),(33)で表される。
式(32),(33)において、W(k)(XはAまたはB)は、無線通信装置Xにおける、ダイバーシチ合成情報の更新回数がk回の時のダイバーシチ合成情報を表している。式(32)は、無線通信装置Aから無線通信装置Bへの伝送における、無線通信装置Bでのダイバーシチ合成情報の更新動作を表しており、式(33)は、無線通信装置Bから無線通信装置Aへの伝送における、無線通信装置Aでのダイバーシチ合成情報の更新動作を表している。
式(32),(33)は、送信信号SAB,SBAが1であるフレームまたは拡張プリアンブルに含ませたシンボルなどがアンテナA〜A,B〜Bで受信されたときの受信信号に対して、受信側の無線通信装置において最大比合成となるようにダイバーシチ合成情報を逐次更新していく動作を表している。
ダイバーシチ合成情報の初期値としては、例えば、全ての要素の大きさが等しく、かつ全ての要素がI軸方向を向いた、式(34),(35)で表されるベクトルを使用することができる。
最後に、式(32),(33)で表されるアルゴリズムの適用により、式(25),(26)を満足するダイバーシチ合成情報を求めることができることについて説明する。
式(25)は、M次正方行列[HAB ・W・W ・HAB ]の固有ベクトルがW であることを表している。一方、式(26)は、N次正方行列[HAB・W・W ・HAB ]の固有ベクトルがW であることを表している。これらの固有ベクトルはそれぞれ、式(36),(37)で表現できる。
式(36),(37)を用いると、式(32),(33)のアルゴリズムは式(38),(39)で表現できる。
式(38),(39)より、ダイバーシチ合成情報W,Wに関する漸化式が得られる。この漸化式を式(40),(41)で示す。
式(40),(41)より、ダイバーシチ合成情報W,Wを求めるアルゴリズムは、式(42),(43)で表現される。
ところで、式(36),(37)より、式(44),(45)が成り立つ。
式(44),(45)より、ダイバーシチ合成情報W,Wはそれぞれ、相関行列[HAB ・HAB],[HAB ・HAB ]の固有ベクトルであることが分かる。さらに、ダイバーシチ合成情報W,Wは、式(24)の条件も満足するので、最大固有値に対する固有ベクトルであることが分かる。すなわち、式(44),(45)を満足する固有ベクトルの最大数は、各々M個およびN個であるが、式(42),(43)で表されるダイバーシチ合成情報W,Wは、最大固有値に対する固有ベクトルであり、[HAB ・HAB]・W(0),[HAB ・HAB ]・W(0)は、kが大きくなるにつれて、最大固有値に対する固有ベクトルに収束することが分かる。
したがって、平均受信電力が最大となるように受信側のダイバーシチ合成情報を決定する漸近アルゴリズムにより、最適なダイバーシチ合成情報W,Wを求めることができることが分かる。
図30は、ダイバーシチ合成情報の更新回数を変えた場合の受信信号の確率分布のシミュレーション結果の例を示す図である。同図(a),(b),(c)はそれぞれ、その更新回数を1回、2回、32回とした場合である。ここでは、各アンテナ間における電波伝搬は互いに独立なレイリーフェージングであると仮定している。図30から、わずか1回、2回程度の更新でも図38とほぼ同等のMIMO利得を得ることができることが分かる。すなわち、非常に簡単なトレーニングで最大固有値に対する固有ビーム伝送が近似的に実現できることが分かる。
ところで、一方の無線通信装置では最適なダイバーシチ合成情報が得られているが、もう一方の無線通信装置では最適なダイバーシチ合成情報が得られていない場合において、最初のトレーニングシーケンスをどちらの無線通信装置から送信するかにより、最適な固有ビームを形成するのに必要なトレーニング信号伝送の回数は異なる。
図31は、基地局(AP)側の無線通信装置では最適なダイバーシチ合成情報が得られていないが、端末(STA)側の無線通信装置では最適なダイバーシチ合成情報が得られている場合に、基地局(AP)側が最初のトレーニング信号伝送を行った場合のトレーニング信号伝送回数と受信レベル分布の改善を示す。トレーニング信号伝送回数が1回、すなわち1往復のトレーニング信号伝送では最適な固有ビーム伝送と比較して4dB程度の劣化が生じており、4回のトレーニング信号伝送を行うとほぼ最適な固有ビーム伝送が実現できることが分かる。
図32は、端末(STA)側が最初のトレーニング信号伝送を行った場合のトレーニング信号伝送回数と受信レベル分布の改善を示す。この場合には、1回、すなわち1往復のトレーニング信号伝送でほぼ最適な固有ビーム伝送が実現できることが分かる。
すなわち、本発明において、トレーニング信号伝送を最適なダイバーシチ合成情報が得られている無線通信装置、例えば端末(STA)側が最初のトレーニング信号伝送を行うようにすることにより、1往復のトレーニング信号伝送でほぼ最適な固有ビーム伝送が実現できる。このように、本発明によれば、ごく短時間のトレーニング信号伝送によりほぼ最適な固有ビーム伝送が実現できるので、高速フェージング環境においても通信エリアを大きく拡大することができる。
本発明では、伝送路行列の情報を求めることなしに、トレーニング信号伝送における複数のアンテナからの受信信号を合成した信号の受信状態の最適化処理だけで最大固有値に対応した固有ビーム伝送を実現しており、RF帯処理で実現できる。一方、通常の固有ビーム伝送においては、受信側ではアンテナ毎に受信機を備えており、受信信号の合成をベースバンド処理にて行っている。このため、各アンテナでの受信レベルは十分に大きくないため、通信エリアの周辺部では、バースト検出、すなわち、受信信号の到来を検出できない場合がある。
図33は、通常の固有ビーム伝送のように、受信信号の合成をベースバンド処理で行った場合とRF帯処理で受信信号の合成を行った場合のバースト検出での受信レベルの改善の比較を示す。
ベースバンド処理での固有ビーム伝送においては、バースト検出における受信レベルの改善は理想的なMIMO伝送と比較して12dB程度劣化している。一方、本発明をRF帯の処理で実現する場合には、理想的なMIMO伝送からの劣化量は2dB程度である。なお、この2dBの劣化の原因は、複素ウエイト処理を移相器で実現することに起因する。このように、従来のベースバンド処理での固有ビーム伝送を実現する方法あるいは装置では、バースト検出が可能なエリアにおいては大きなMIMO利得が得られ、これにより例えば多値QAMの使用による高速伝送が可能となる。しかし、通信エリアそのものは、バースト検出が可能なエリアに制限されるので、通信エリアにおける改善量はMIMO利得と比較すると、12dB程度小さくなってしまう。これに対して、本発明をRF帯の処理で実現する場合には、通信エリアにおける改善量はMIMO利得に等しい。すなわち、本発明によると、MIMO利得による通信エリアの大幅な改善を実現することができる。
以上、実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、種々に変形することができる。例えば、ウエイト処理部の乗算器は、1ビット移相器に限らず、ダイバーシチ合成に際しての重み付けを行うものであればよく、例えば、2ビット移相器を用いることもできる。2ビット移相器を用いる場合には、ダイバーシチ合成情報"00","01","10","11"により各アンテナの信号に対する移相あるいは複素ウエイトを4通りに変更して付与できるので、より細かいダイバーシチ制御ができる。
また、トレーニング信号は、受信レベル情報を測定するために用いられるものであり、ダイバーシチ受信したときの受信レベル情報を測定できるものであればどのようなものでもよい。例えば、データフレームのヘッダ中のプリアンブルのみ、拡張プリアンブルに含ませた複数のシンボルなどをトレーニング信号として利用することもでき、トレーニング用として特別に用意されたものでなくてもよい。ただし、トレーニング中の伝送路の状況はほぼ一定であるとみなしているので、その時間長は短い方がよい。なお、複数のシンボルをトレーニング信号として用いる場合、最短で、(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のシンボルで各アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報の最適値を決定できる。また、受信レベル情報は、RFトレーニング信号をIF信号に周波数変換し、その段階で取得することもできる。
図34は、IEEE802.11nのアンテナ選択用のトレーニングシーケンスである。このトレーニングシーケンスの時間長は、184μsである。高速移動時においても、フェージング周波数は高々100Hzであり、184μsの間で伝送路の状況はほぼ一定とみなすことができるので、本発明のトレーニングでは、このトレーニングシーケンスを用いることができる。もちろん、これに限られない。
また、M個のアンテナに対するM個のフレームは、単一のトレーニングシーケンス内にある必要はない。例えば、受信アンテナ数が4本の場合、1つのトレーニングシーケンス内で2本のアンテナを最適化し、次のトレーニングシーケンス内でさらに1本のアンテナを最適化し、その次のトレーニングシーケンス内で残り1本のアンテナの最適化するというようなことも可能である。
さらに、相手の無線通信装置から、トレーニング信号の各フレームに対するACKが返信される場合には、ACKを検出してトレーニングカウンタ情報を得ることもできる。
本発明は、例えば、車車間通信や車両歩行者間通信に利用することができる。しかし、それに限られるものではなく、その他、例えば、無線通信用の携帯端末などでも利用することもできる。また、本発明は、必ずしも移動通信にその適用範囲が限定されるものではなく、多元接続方式を採用する自律分散型の任意の無線通信システムに適用することができる。
10,20・・・ダイバーシチ回路、11,21・・・ウエイト処理部、12,22・・・RF信号分配・合成部、13,23・・・送受信回路、31・・・ベースバンド変調部、32・・・トレーニング信号生成部、33・・・信号合成部、34・・・無線送信部、35・・・デュプレクサ、36・・・無線受信部、37・・・送受信制御部、38・・・ビーム形成用ウエイト生成部、39・・・ベースバンド復調部、40,45・・・受信レベル情報保持部、41・・・受信レベル情報比較部、42・・・トレーニング期間内最大受信レベル情報保持部、43・・・トレーニング受信情報保持部、44・・・ベースバンド受信IQ信号保持部、46・・・最適ウエイト決定部、50・・・移相器制御部、51・・・非ビーム形成時ウエイト生成部、52・・・トレーニング時ウエイト生成部、53・・・ウエイト選択部、60・・・タイミング部、61・・・フレーム受信検出部、62・・・フレーム終了検出部、63・・・シーケンス終了検出部、64・・・トレーニングカウント部、65・・・ビーム形成有効フラグ生成部65、66・・・最適ウエイト更新信号生成部、A,B・・・無線通信装置、A,A,・・・,A、B,B,・・・,B・・・アンテナ

Claims (52)

  1. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法において、
    送受信を行う無線通信装置間での双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、
    前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、
    前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、
    前記第1のステップは、複数回の双方向のトレーニング信号の伝送における各ダイバーシチ受信において、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  2. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法において、
    送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、
    前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、
    前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1のステップは、前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報で当該アンテナの信号に対するダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  3. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法において、
    送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、
    前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、
    前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1のステップは、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  4. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信方法において、
    送受信を行う無線通信装置間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1のステップと、
    前記第1のステップにより決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2のステップと、
    前記第2のステップによりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3のステップを有し、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1のステップは、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ受信の合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  5. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  6. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  7. 前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記第1のステップは、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項2に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  8. 前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記第1のステップは、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項3または4に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  9. 前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のフレームを含み、この2番目以降のフレームを、前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  10. 前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のシンボルを含み、この2番目以降のシンボルを、前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  11. 前記第1のステップは、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  12. 一方の無線通信装置には直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されているが、もう一方の無線通信装置にはダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合において、次のトレーニング信号の伝送をダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている方の無線通信装置から開始することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  13. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1のステップでは、常にランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値の決定を行い、基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置における前記第1のステップでは、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  14. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  15. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、前記第1のステップにより決定され、前記第2のステップにより設定されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレーム、もしくはマルチキャストフレームを各々送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  16. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1のステップでは、直前の双方向のトレーニング信号の伝送において決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置ごとに記憶しておき、これを初期値として、トレーニングサブ信号の受信における前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、これに対するダイバーシチ受信状態に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  17. 前記第2のステップは、各ダイバーシチ合成情報の最適値をRF帯において前記無線通信装置に各々設定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法。
  18. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムにおいて、
    送受信を行う各無線通信装置は、
    送受信を行う無線通信装置との間での双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、各無線通信装置において、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、
    前記第1の手段により決定された各ダイバーシチ合成情報の最適値を前記無線通信装置に各々設定する第2の手段と、
    前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、各無線通信装置がデータ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段備え、
    前記第1の手段は、複数回の双方向のトレーニング信号の伝送における各ダイバーシチ受信において、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  19. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムにおいて、
    送受信を行う各無線通信装置は、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、
    前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、
    前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1の手段は、前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  20. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムにおいて、
    送受信を行う各無線通信装置は、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、
    前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、
    前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1の手段は、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  21. 送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用い、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術により無線通信を行う、マルチアンテナを用いた無線通信システムにおいて、
    送受信を行う各無線通信装置は、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、ダイバーシチ受信状態を最良化する前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報をそれらの最適値として各々決定する第1の手段と、
    前記第1の手段により決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を設定する第2の手段と、
    前記第2の手段によりダイバーシチ合成情報の最適値が設定された状態で、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行う第3の手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記第1の手段は、前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応した受信状態を示すトレーニング受信情報に基づき、ダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ受信の合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として決定することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  22. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項18、20、21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  23. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項18、20、21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  24. 前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記第1の手段は、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項19に記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  25. 前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記第1の手段は、相手側無線通信装置からの(自無線通信装置のアンテナ数+1)回のトレーニングサブ信号受信によりダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項20または21に記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  26. 前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号として少なくとも(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のフレームを含み、この2番目以降のフレームを前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信することを特徴とする請求項19ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  27. 前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号として(自無線通信装置のアンテナ数+1)個のシンボルを含み、この2番目以降のシンボルを前記複数のアンテナ各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して受信することを特徴とする請求項19ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  28. 前記第1の手段は、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  29. 一方の無線通信装置には直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されているが、もう一方の無線通信装置にはダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合において、次のトレーニング信号の伝送をダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている方の無線通信装置から開始することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  30. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1の手段では、常にランダムな初期値を用いてダイバーシチ合成情報の最適値の決定を行い、基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置における前記第1の手段では、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  31. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  32. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて、前記第1の手段により決定され、前記第2の手段により設定されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレーム、もしくはマルチキャストフレームを各々送信することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  33. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置における前記第1の手段では、直前の双方向のトレーニング信号の伝送において決定されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置ごとに記憶しておき、これを初期値として、各トレーニングサブ信号の受信における前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、これらに対するダイバーシチ受信状態に基づいてダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項19または21に記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  34. 前記第2の手段は、各ダイバーシチ合成情報の最適値をRF帯において前記無線通信装置に各々設定することを特徴とする請求項18ないし21のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信システム。
  35. 請求項1に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって
    前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、
    前記複数のアンテナの各々の信号に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    相手側無線通信装置との間での双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、
    数回の双方向のトレーニング信号のダイバーシチ受信において、前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を取得し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  36. 請求項2に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって
    前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、
    前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報に基づいて各設定におけるダイバーシチ受信状態を判定する受信状態判定手段と、
    前記受信状態判定手段により判定されたダイバーシチ受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記トレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダーバーシチ合成情報の1つを順次変更し、変更の前後でのダイバーシチ合成受信信号の受信状態が良好な方のダーバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  37. 請求項3に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって
    前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、
    前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報を保持するトレーニング受信情報保持手段と、
    前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応したトレーニング受信情報を前記トレーニング受信情報保持手段に格納し、前記トレーニング受信情報保持手段に保持された情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化するダイバーシチ合成情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該ダイバーシチ合成情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  38. 請求項4に記載のマルチアンテナを用いた無線通信方法を実行するために用いられるマルチアンテナを用いた無線通信装置であって
    前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を生成するダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成されたダイバーシチ合成情報に基づいて前記複数のアンテナの各々の信号の振幅および位相を制御するダイバーシチ合成情報設定手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報設定手段との組み合わせによりビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行う信号分配合成手段を備え、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、
    前記複数のアンテナの各々に対する初期捕捉用ダイバーシチ合成情報を生成し、初期状態からダイバーシチ合成情報の最適値への引き込みを可能にする初期捕捉用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    相手側無線通信装置との間での複数回の双方向のトレーニング信号の伝送でのダイバーシチ受信に際し、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更して生成するトレーニング用ダイバーシチ合成情報生成手段と、
    前記ダイバーシチ合成情報生成手段により生成された各ダイバーシチ合成情報が各々設定された状態でダイバーシチ受信されるトレーニング信号の受信状態を示すトレーニング受信情報を保持するトレーニング受信情報保持手段と、
    前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報をダイバーシチ合成情報の最適値として決定し、データ送受信時のビームフォーミングおよびダイバーシチ合成のためのダイバーシチ合成情報の最適値を生成するダイバーシチ合成情報最適値生成手段を備え、
    前記トレーニング信号は、複数のトレーニングサブ信号からなり、
    前記複数のトレーニングサブ信号のダイバーシチ受信に際し、無線通信装置に具備された複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次変更し、各ダイバーシチ合成情報に対応したトレーニング受信情報を前記トレーニング受信情報保持手段に格納し、前記トレーニング受信情報保持手段に保持されたトレーニング受信情報に基づいてダイバーシチ合成受信信号の受信状態を最良化する合成ウエイト情報を決定し、ダイバーシチ受信後に該合成ウエイト情報でダイバーシチ合成情報を更新し、該更新されたダイバーシチ合成情報を設定してトレーニング信号を送信することにより、送受信を行う1組の無線通信装置の間での伝送における伝送路行列の相関行列の最大固有値に対する固有ベクトルの組に漸近するベクトルの組を、該1組の無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値として生成することを特徴とするマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  39. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号のベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項35、37、38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  40. 前記トレーニング受信情報は、ダイバーシチ合成受信信号と予め定められた情報系列の相関情報もしくは該相関情報と受信レベル情報の両方であることを特徴とする請求項35、37、38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  41. 前記ダイバーシチ合成情報が1ビット情報であり、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次位相反転して生成し、前記受信状態判定手段は、前記位相反転の前後での、前記トレーニング受信情報としての受信レベル情報を比較してダイバーシチ受信状態を判定し、前記ダイバーシチ合成情報最適値生成手段は、前記受信状態判定手段により判定されたダイバーシチ受信状態に基づいて当該アンテナにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を生成することを特徴とする請求項36に記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  42. 前記ダイバーシチ合成情報がn(nは2以上の自然数)ビット情報であり、前記ダイバーシチ合成情報生成手段は、前記複数のアンテナの各々の信号に対するダイバーシチ合成情報を順次位相反転して生成し、前記トレーニング受信情報保持手段は、前記位相反転の前後の、前記受信状態を示す情報としてのベースバンド受信IQ情報もしくはベースバンド受信IQ情報および受信レベル情報の両方を保持し、前記ダイバーシチ合成情報最適値生成手段は、前記トレーニング受信情報保持手段により保持された情報に基づいて当該アンテナにおけるダイバーシチ合成情報の最適値を生成することを特徴とする請求項37または38に記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  43. 前記ダイバーシチ合成情報最適値生成手段は、直前の双方向のトレーニング信号の伝送を通じてダイバーシチ合成情報の最適値が設定されている場合には、このダイバーシチ合成情報の最適値を初期値として新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定し、ダイバーシチ合成情報の最適値が設定されていない場合にはランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  44. 端末側の無線通信装置として機能するマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、基地局側の無線通信装置との間のデータ送受信においてビームフォーミングおよびダイバーシチ合成を行うための直前の双方向のトレーニング信号の伝送において、最初のトレーニング信号の送信を行うことを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  45. 基地局側の無線通信装置として機能するマルチアンテナを用いた無線通信装置であって、前記ダイバーシチ合成情報生成手段において、直前に双方向のトレーニング信号の伝送を行った場合においても、そうでない場合においても常にランダムな初期値を用いて新たにダイバーシチ合成情報の最適値を決定することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  46. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、互いに異なる複数のダイバーシチ合成情報を用いて、同一フレームを複数回送信することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  47. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置からのブロードキャストフレームもしくはマルチキャストフレームの送信では、前記複数の無線通信装置の各々に対して、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて取得されたダイバーシチ合成情報の最適値を用いて、ブロードキャストフレーム、もしくはマルチキャストフレームを各々送信することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  48. 複数の無線通信装置と無線通信を行う基地局側の無線通信装置において、双方向のトレーニング信号の伝送を通じて取得されたダイバーシチ合成情報の最適値を、当該基地局と無線通信を行う端末側の無線通信装置毎に記憶するためのダイバーシチ合成情報最適値記憶手段を備え、前記ダイバーシチ合成情報設定手段は、端末側の無線通信装置との間でのデータ送受信に先立ち、前記ダイバーシチ合成情報最適値記憶手段に保持された当該無線通信装置に対するダイバーシチ合成情報の最適値を設定することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  49. 前記ダイバーシチ合成情報設定手段は、RF帯においてダイバーシチ合成情報を設定することを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  50. 前記受信状態判定手段は、ダイバーシチ合成受信信号レベルあるいはAGCアンプの利得を指標としてダイバーシチ受信状態を判定することを特徴とする請求項36に記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  51. 前記トレーニング信号が、前記トレーニングサブ信号として複数のフレームまたはシンボルを含み、前記受信状態判定手段は、各フレームまたはシンボルのベースバンドIQ信号またはIF信号の振幅を指標としてダイバーシチ受信状態を判定することを特徴とする請求項37または38に記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
  52. 前記ダイバーシチ合成情報設定手段および前記信号分配合成手段は、RF帯で動作しており、1つの送受信系統だけを用いてマルチアンテナでのビームフォーミング送信およびダイバーシチ受信を行うことを特徴とする請求項35ないし38のいずれかに記載のマルチアンテナを用いた無線通信装置。
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