JP4539251B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型内の溶鋼に移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造においては、鋳型内の溶鋼流動状態、特に溶鋼湯面近傍の流動は、モールドパウダーの巻き込みやノロカミの発生と関係しており、鋳片品質に多大な影響を及ぼすことが知られている。欠陥のない鋳片を製造するためには鋳型内の溶鋼流動を制御する技術が重要であり、そのため、鋳型内の溶鋼に磁場を印加して溶鋼湯面近傍における溶鋼流動を適正化する方法が従来から行われている。
この磁場の印加方法の1つとして静磁場を印加する方法がある。例えば特許文献1には、鋳型長辺背面の溶鋼湯面近傍に相当する高さ位置に、鋳型幅全体に亘る静磁場を印加するための磁極を配置し、鋳造速度、浸漬ノズルの吐出角度、吐出孔面積、浸漬ノズルの浸漬深さ、鋳型幅に応じて印加する磁場強度を変更し、溶鋼湯面の流速を制御する方法が提案されている。一方、静磁場に代わって移動磁場を印加する方法も提案されている。例えば特許文献2には、鋳型長辺背面の鋳型幅方向に2分割以上に区分された移動磁場発生装置を配置し、溶鋼湯面に水平方向の旋回攪拌流を形成するように前記移動磁場発生装置から移動磁場を印加させ、溶鋼湯面の流速を0.1〜0.6m/秒に制御する方法が提案されている。
特許文献2は、移動磁場によって鋳型内の溶鋼湯面の流速を直接制御する方法であるが、移動磁場を溶鋼の吐出流の方向とは反対側の方向に移動させることで、浸漬ノズルから吐出される溶鋼の吐出流に制動力を作用させ、溶鋼の吐出流速を減速させることによって溶鋼湯面の流速を制御する方法も提案されている。例えば特許文献3には、鋳型長辺背面に配置した移動磁場発生装置により、鋳型短辺から鋳型中央の浸漬ノズルに向かって移動する移動磁場を印加し、溶鋼の吐出流速を減速させる方法が提案されている。この場合、移動磁場の周波数の下限は、吐出孔からの溶鋼の吐出流が磁場作用域を通過する間に、少なくとも移動磁場の作用を1周期以上受けるように設定し、一方、周波数の上限は、磁場の減衰(表皮効果)を考慮し、鋳型内部の溶鋼にも充分磁場の影響が届くように設定するとしている。また、特許文献4は、特許文献3を発展させ、移動磁場の強度の2乗と周波数との積が一定の条件下で、磁場の強度と周波数とを鋳造中に変更させることで溶鋼の流動を適正化する方法が提案されている。更に、特許文献5には、特許文献3及び特許文献4による鋳型内溶鋼の流動制御方法における溶鋼湯面の最適な流速パターンを具体的な数値として提案している。即ち、鋳型内湯面の溶鋼流速を鋳型短辺から浸漬ノズルに向いた流れを正で表し、逆方向の流れを負で表したときに、浸漬ノズルから鋳型短辺側に鋳型幅の1/4だけ離れた位置の溶鋼表面流速を−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持することを提案している。
特開平7−314100号公報 特開平6−606号公報 特許第2611594号公報 特許第3240927号公報 特許第3125664号公報
しかしながら、上記従来技術にはそれぞれ以下のような問題点がある。即ち、特許文献1のような静磁場を印加する方法では、磁場は常に溶鋼流に対して制動力として働くので、溶鋼流の停滞領域に対しては溶鋼流を活性化することができないという問題がある。一方、移動磁場を用いた特許文献2の方法では、磁場の移動方向に電磁力が働くので、制御の柔軟性を期待できるが、鋳造速度を増した場合には、浸漬ノズルから吐出される溶鋼流速自体が増加し、鋳型内の溶鋼湯面位置における溶鋼流速も速くなるため、この状態で旋回攪拌流を形成するように移動磁場を印加すると、鋳型内溶鋼湯面における溶鋼流速が更に増大し、モールドパウダーの巻込みを発生させるという問題がある。また、設定パラメータが多く、制御が複雑になるといった難しさもある。
移動磁場による制動力を利用した特許文献3〜5の方法は、広範な鋳造速度に対応することが可能であり、有効な方法といえるものの、最適な溶鋼流速を得るための移動磁場の周波数に関して、特許文献3は下限値及び上限値を規定しているとはいうもののその範囲は広くて最適範囲が明確でなく、また、特許文献4及び特許文献5では周波数に関しては最適な範囲が提案されておらず、従って、最適な溶鋼流動を得る上で、移動磁場の周波数に関しては未だ改善する余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、浸漬ノズルから吐出される溶鋼の吐出流に移動磁場による電磁力を作用させて鋳型内の溶鋼流動を制御しながら連続鋳造するに際し、磁場強度を適正化することのみならず、移動磁場の周波数を鋳造条件に応じて適性化させることで溶鋼流動の制御を適性に行なうことのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、磁場の移動方向が鋳型幅方向である移動磁場発生装置を用い、長辺及び短辺を有する矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから吐出される溶鋼に、鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう移動磁場を印加して、鋳型短辺から鋳型幅の1/4だけ離れた位置における溶鋼湯面の表面流速が絶対値で0.05m/秒以下になるように鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記移動磁場は、移動磁場の周波数の下限値が、浸漬ノズルの吐出孔からの吐出流が磁場作用域を通過する間に少なくとも移動磁場の作用を1周期以上受ける周波数であり、且つ、移動磁場の周波数の上限値が、浸漬ノズルの吐出孔からの吐出流が吐出孔から鋳型長辺幅×1/2の1/3の距離の位置まで鋳型短辺方向に広がるまでに移動磁場の作用を1周期以上受けない範囲内であって、下記の(1)式を満たす範囲内の周波数であることを特徴とするものである。
但し、(1)式において、fは移動磁場の周波数(Hz)、uは浸漬ノズルからの溶鋼吐出流の代表流速(m/秒)、Lは鋳型中心から鋳型短辺までの距離(m)である。
本発明によれば、浸漬ノズルからの吐出流に移動磁場の電磁力を作用させて鋳型内の溶鋼流動を制御する際に、印加する移動磁場の周波数を溶鋼の吐出流速及び鋳片幅に応じて設定するので、吐出流に過度の電磁力が作用せず、鋳型内の溶鋼流動を適切に制御することが可能となり、鋳型内湯面変動を適正化すると同時に溶鋼湯面の流速を所定の範囲に制御することができ、モールドパウダーの巻き込みのない、清浄で高品質の鋳片を安定して製造することが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略図であり、図1は概略斜視図、図2は概略正面図である。
図1〜図2において、相対する鋳型長辺4と、この鋳型長辺4の内側に内装された相対する鋳型短辺5とから、水平断面が矩形状の鋳型1が構成されており、鋳型長辺4と鋳型短辺5とに囲まれて形成される鋳型1の内面空間の所定位置には、鋳型1の上方所定位置に配置されるタンディッシュ(図示せず)の底部に取り付けられた浸漬ノズル2が挿入されている。浸漬ノズル2の下部には、溶鋼7を鋳型短辺5の方向に向かって吐出するための一対の吐出孔6が備えられている。
鋳型長辺4の背面には、浸漬ノズル2を境として鋳型長辺4の幅方向左右で2つに分割された合計4基の移動磁場発生装置3が、その鋳造方向の中心位置を吐出孔6の直下位置として、鋳型長辺4を挟んで対向して配置されている。それぞれの移動磁場発生装置3は電源(図示せず)と結線され、又、電源は、磁場の移動方向、周波数及び磁場強度を制御する制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置から入力される磁場移動方向、周波数及び磁場強度に基づいて電源から供給される電力により、移動磁場発生装置3から印加される磁場強度、周波数及び磁場移動方向がそれぞれ個別に制御されるようになっている。
この移動磁場発生装置3により印加される磁場は移動磁場であり、浸漬ノズル2からの溶鋼7の吐出流8に制動力を与える場合には、移動磁場の移動方向を鋳型短辺5の側から浸漬ノズル2の側とし、一方、浸漬ノズル2からの吐出流8に加速力を与える場合には、移動磁場の移動方向を浸漬ノズル2の側から鋳型短辺5の側とする。図1では、磁場が鋳型短辺5から鋳型1の中央部の浸漬ノズル2に向かって移動する状態を示しており、図1において、FX は溶鋼7の吐出流8に作用する電磁力を表し、VX は移動磁場の移動速度を表し、BY は移動磁場の磁束密度を表している。
移動磁場発生装置3には、図1に示すように複数の電磁コイル(但し図2では図示せず)が幅方向に並んで設置されており、隣り合う電磁コイルに流す電流の位相をずらすことにより、所謂リニアタイプの移動磁場を発生させている。その磁場の移動速度VX は、電磁コイルのポールピッチτと周波数fとから、下記の(2)式によって表される。電磁コイルのポールピッチとは、S極からN極までの距離である。
ローレンツの法則より、発生する誘導電流JZ は下記の(3)で表される。但し、(3)式において、σは溶鋼の電気伝導度、VX は移動磁場の移動速度、BY は移動磁場の磁束密度である。
電磁力FX は下記の(4)式で表され、主に磁場の移動方向と同じ向きに電磁力FX が作用する。
鋳造速度が速く、鋳型1における溶鋼流動を抑制したい場合には、磁場を両方の鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させ、電磁力FX によって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を減速させる。逆に、鋳造速度が遅く、鋳型1における溶鋼流動を促進させたい場合には、磁場を浸漬ノズル2から鋳型短辺5の方向に移動させ、電磁力FX によって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を加速させる。
本発明者等は、磁場を鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させて鋳型内の溶鋼流動を制御する場合に、鋳型内における溶鋼湯面9の近傍の鋳型幅方向水平流速(以下、「表面流速」と呼ぶ)を適性に且つ効率良く制御することを目的として、印加する磁場の周波数の適正値を選択する方法について検討した。以下、検討結果について説明する。
連続鋳造中、溶鋼湯面9の上に添加したモールドパウダー11の巻き込みを防止すると同時に、鋳型内の湯面変動を防止するためには、溶鋼湯面9の近傍の表面流速を低位に安定させることが必要である。例えば、前述した特許文献5では、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における表面流速を−0.07m/秒から0.05m/秒のゼロに近い範囲内に維持するのがよいと規定している。ここでは鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向いた流れの方向を正としている。
電磁力FX は、鋳型内の流動を平均的に分散させるために用いられるが、吐出流8の大きな運動量と電磁力FX とが直接対抗すると反って溶鋼7の流動を乱す場合があり、鋳型内の表面流速を制御することが難しくなる場合もあることが分かった。鋳型内の表面流速を十分に制御できない場合の鋳型内溶鋼の流動パターンの代表例の2つを、図3及び図4に示す。尚、図3及び図4は、鋳型1の向かって右側半分における鋳型内溶鋼の流速を電磁流体シミュレーションによって求めた結果を示す図であり、矢印が溶鋼7の流れの方向を表している。また、図中左側の上部部分が浸漬ノズル2で、図中右側端部が鋳型短辺5の内壁面位置に相当する。
図3は、過剰に大きい電磁力FX が吐出流8に作用し、吐出流8が鋳型短辺5の方向に広がる前に下方に押し曲げられてしまった例であり、また図4は、電磁力FX が吐出流8に激しく衝突し、吐出流8が鋳型短辺5の方向に広がる前に上方に押し上げられてしまった例である。何れの場合も、吐出流8が鋳型短辺5の方向に広がる前に電磁力FX が過度に作用したことが原因である。
これらの結果から、電磁力FX を作用させる際の周波数の適正範囲は、吐出流8が吐出孔6から1/2×鋳型幅(=鋳型中心から鋳型短辺までの距離)の1/3の距離の位置まで鋳型短辺方向に広がるまでに大きな電磁力(即ち、移動磁場の作用を1周期以上)を受けない範囲が好適であることが分かった。この条件は下記の(5)式で表される。但し、この場合、電磁力の作用は磁場の極の向きには依らないので一周期は2τではなくτを用いた。また、(5)式において、fは移動磁場の周波数(Hz)、uは浸漬ノズル2からの吐出流8の代表流速(m/秒)、Lは鋳型中心から鋳型短辺までの距離(m)である。
この(5)式を整理することで、前述した(1)式を得ることができる。即ち、鋳型内の溶鋼流動を適正に制御するためには、印加する磁場の周波数は(1)式を満たすことが必要であることが分かった。
ここで、吐出流8の代表流速uを定めるに当たり、吐出流8の流速を実測することは困難であるので、浸漬ノズル2の内孔の径(D)と溶鋼7の鋳造量とから算出される、浸漬ノズル2の内孔での溶鋼流速値を代表流速uとして用いてもよい。通常、浸漬ノズル2においては、浸漬ノズル2の内孔の断面積よりも2つの吐出孔6の断面積を合計した値の方が大きく、溶鋼7は、浸漬ノズル2の内孔における速度を保ったまま吐出孔6から吐出していると考えても問題ないからである。また、代表流速uの精度を高めるためには、予め水モデル実験などによって吐出流速を実測し、溶鋼流速に換算することもできる。
また、鋳造に当たり、磁場の移動方向を鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向いた方向とするか、或いはこの逆向きの方向にするかの目安としては、鋳型短辺5の近傍の表面流速が0.2m/秒以下の場合には、吐出流8を加速させるべく浸漬ノズル2から鋳型短辺5に向いた方向とし、鋳型短辺5の近傍の表面流速が0.3m/秒以上の場合には、吐出流8を減速させるべく鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向いた方向とする。鋳型短辺5の近傍の表面流速は、鋳造条件毎に実測する或いは電磁流体シミュレーションを用いて算出するなどして予め求めておくことができる。但し、現在の高生産性を目的とした連続鋳造操業では、鋳型短辺5の近傍の表面流速はほとんどの場合に0.3m/秒以上となるので、通常は磁場の移動方向を鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向いた方向とすればよい。
この場合、鋳型内における表面流速の適正値は前述した特許文献5に記載されている通りであり、従って、鋳型短辺5から鋳型幅の1/4だけ離れた位置における表面流速が絶対値で0.05m/秒以下になるように、磁場強度を調整することが好ましい。また、移動磁場の周波数の下限値は、前述した特許文献3に記載されている通りであり、吐出孔6からの吐出流8が磁場作用域を通過する間に、少なくとも移動磁場の作用を1周期以上受けるように設定することが好ましい。
このように、印加する移動磁場の周波数を、鋳造条件に応じて(1)式を満足する範囲内とすることで、鋳型内の溶鋼流動を適切に制御することが可能となり、鋳型内湯面変動を抑えると同時に溶鋼湯面9の流速を所定の範囲に制御することができ、凝固シェル10へのモールドパウダー11の巻き込みのない、清浄で高品質の鋳片を安定して製造することが可能となる。
本発明の効果を確認するために、図1に示すスラブ連続鋳造機を用い、印加する移動磁場の周波数を変化させたアルミキルド鋼の鋳造試験を実施した。試験では、鋳片のサイズを、厚みが220mm、幅が1600mmの一定とし、定常鋳造時の溶鋼の鋳造量を約5.7トン/分として鋳造した。用いた浸漬ノズルは、内孔の底部が凹状形状である所謂「プール付き」の2孔ノズルで、吐出角度が下向き25度、内孔の直径(D)が90mmの浸漬ノズルである。この浸漬ノズルの内孔にアルミナ付着防止のために9Nl/分のアルゴンガスを吹き込んで鋳造した。移動磁場発生装置は、3相交流のリニア移動磁場型であり、電磁コイルのポールピッチτは0.72mであり、電磁コイルの中心位置が溶鋼湯面から380mm離れた位置になるように設置した。
試験は、印加する移動磁場の周波数を1Hz、2Hz,3Hz、4Hzの4水準で実施し、鋳型内溶鋼が適正な流動(溶鋼湯面近傍の流速が平均的に抑制されている状態)で且つ鋳型の1/4幅位置における表面流速がゼロ近傍(絶対値で0.05m/秒以下)になるように磁場強度を調整した。
この場合、鋳型の1/4幅位置における表面流速を測定する方法として、図5に示す方法を用いた。即ち、図5に示すように、鋳型短辺5から鋳型幅の1/4だけ離れた位置に、長さ410mm、直径20mmのモリブデン-ジルコニア系サーメット製の浸漬棒12を、その下端部が鋳型内の溶鋼中に浸漬され、その上端部付近が支点となって鋳型の幅方向に回転可能となるように取り付けた。浸漬棒12の溶鋼中における浸漬深さは約100mmとした。このようにして鋳型内の溶鋼7に浸漬棒12を浸漬すると、浸漬棒12の浸漬部分は、溶鋼湯面9の直下の溶鋼流によって、その上端部付近の支点を中心として回転し、浸漬棒12に働く重力と溶鋼湯面直下の溶鋼流による力が釣合った位置で停止する。停止した位置における鉛直線となす角度θから表面流速を求めることができる。本実施例では表面流速がゼロ近傍になるように調整するので、浸漬棒12がほぼ鉛直になるように磁場強度を調整した。尚、図5に示す連続鋳造機では浸漬棒12以外の構成は図2に示す連続鋳造機と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
磁場強度の調整の結果、磁束密度は、移動磁場の周波数が1Hzのときには0.1235テスラ、2Hzのときには0.1010テスラとなり、溶鋼の流動は非常に安定な状態で、且つ鋳型の1/4幅位置における表面流速をゼロ近傍に調整することができた。移動磁場の周波数が3Hzのときには、磁束密度は0.0882テスラとなり、溶鋼流の揺らぎがやや大きかったものの、概ね鋳型の1/4幅位置における表面流速をゼロ近傍に調整することができた。しかしながら、移動磁場の周波数が4Hzの場合には、溶鋼流動が安定せず、目的とする表面流速に安定して調整することができなかった。
これらの結果を前述した(1)式により検証した。但し、(1)式を検証する際に、溶鋼吐出流の代表流速(u)は、浸漬ノズルの内孔での溶鋼流速として2.1m/秒(5700/(7000×60×π×0.0452 )=2.1)を採用した。この場合、溶鋼の密度を7000kg/m3 として計算している。鋳型中心から鋳型短辺までの距離(L)は0.8mである。
u=2.1m/秒及びL=0.8mを(1)式に代入すると、f<3.9が導かれる。移動磁場の周波数が4Hzの場合には、鋳型内の溶鋼流動を十分に制御することができなかったことから、上記試験結果は(1)式と良く一致することが分かった。即ち、浸漬ノズルからの吐出流に移動磁場の電磁力を作用させて鋳型内の溶鋼流動を制御するには、印加する移動磁場の周波数は(1)式を満足する必要のあることが分かった。
本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略斜視図である。 本発明を実施する際に用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略正面図である。 鋳型内の溶鋼流動を十分に制御できない場合の鋳型内溶鋼の流動パターンの1例を示す図である。 鋳型内の溶鋼流動を十分に制御できない場合の鋳型内溶鋼の流動パターンの他の例を示す図である。 実施例1で用いたスラブ連続鋳造機の鋳型部位の概略正面図である。
符号の説明
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 移動磁場発生装置
4 鋳型長辺
5 鋳型短辺
6 吐出孔
7 溶鋼
8 吐出流
9 溶鋼湯面
10 凝固シェル
11 モールドパウダー
12 浸漬棒
X 電磁力
X 移動磁場の移動速度
Y 移動磁場の磁束密度

Claims (1)

  1. 磁場の移動方向が鋳型幅方向である移動磁場発生装置を用い、長辺及び短辺を有する矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから吐出される溶鋼に、鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう移動磁場を印加して、鋳型短辺から鋳型幅の1/4だけ離れた位置における溶鋼湯面の表面流速が絶対値で0.05m/秒以下になるように鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記移動磁場は、移動磁場の周波数の下限値が、浸漬ノズルの吐出孔からの吐出流が磁場作用域を通過する間に少なくとも移動磁場の作用を1周期以上受ける周波数であり、且つ、移動磁場の周波数の上限値が、浸漬ノズルの吐出孔からの吐出流が吐出孔から鋳型長辺幅×1/2の1/3の距離の位置まで鋳型短辺方向に広がるまでに移動磁場の作用を1周期以上受けない範囲内であって、下記の(1)式を満たす範囲内の周波数であることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
    f<(3u)/(2L) …(1)
    但し、(1)式において、fは移動磁場の周波数(Hz)、uは浸漬ノズルからの溶鋼吐出流の代表流速(m/秒)、Lは鋳型中心から鋳型短辺までの距離(m)である。
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