JP4538917B2 - 継目無鋼管製造用素管の圧延方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管製造用素管の圧延方法に係わり、特に、継目無鋼管製造の最初の工程において、ピアサーなる傾斜圧延機で丸鋼鋳片に穿孔して、その後の工程へ送る素管を製造するに際し、製造した素管の周方向での肉厚分布を均一にする技術である。
【0002】
【従来の技術】
継目無鋼管を製造する工程の一例(プラグ・ミル・プロセスと呼ばれている)を図8に示す。そこでは、素材1である中実の丸鋼鋳片(通称、丸ビレット)に砲弾状外観をしたプラグ13を押し当て穿孔し、素管とするピアサー・ミル2、穿孔された素管3を拡管するエロンゲータ4等のロール面が傾斜したロールを備えた所謂「傾斜圧延機」が配置されている。これら傾斜圧延機は、傾斜圧延ロール(以下、単にロール8という)の形成する圧延領域から圧延中に素材1あるいは素管3が飛び出すのを防止したり、それらの圧延による変形を制御するため、該圧延領域を囲むように、ガイド・シューなる素材1あるいは素管3の案内部材が設けられている。従来、このガイド・シューには、固定シューと呼ばれる板状の治具が一般に用いられていたが、この固定シューは、被圧延材と全面的に「すべり接触」するので、多大な熱応力、摩擦力を受ける。現在では、この問題を解決するため、小中径管製造工程の傾斜圧延機の多くは、「ころがり摩擦」を主体にした回転する円盤状部材からなるロータリー・ディスク・シューとかローラ・シューを採用するようになっている。そして、これらの傾斜圧延機で圧延された一応の管体は、その後プラグ・ミル5で長手方向への延伸、前記同様の傾斜圧延機であるリーラ6で磨管、サイジング・ミル7で内外径を一定に調整されて、品質の優れた継目無鋼管となる。
【0003】
ところで、本出願人が前記ピアサー・ミル2のガイド・シューにローラ・シューを新しく採用して、丸鋼鋳片を穿孔圧延したところ、図7(b)に示すように、該ミルから抜け出した素管に著しい偏肉(素管の周方向で肉厚が不均一になる現象)が生じた。ここで、偏肉及び真円の程度は、通常、下記式で定義する偏肉率及び真円度で評価されている。また、図7(b)の横軸は、ロールバイト(圧延領域)内における素管の長手方向位置を示すが、その0の値は、対向する上下ロールの間隔が最も小さいゴージと称する位置に対応する。
偏肉率(%)=(周方向での最大肉厚−最小肉厚)/全周の平均肉厚×100
真円度(%)=(周方向での最大外径−最小外径)/全周の平均外径×100
しかしながら、図7(b)に示したような偏肉あるいは真円度の素管では、以降の下流工程で拡管、延伸等の圧延が正常に行なわれても、固定シューを用いた図7(a)に示すような形状の良い継目無鋼管の製造が難しい。この対策として、本出願人は、先に特願平11−183182号にてローラ形状とミル配置の最適化を図り、製品鋼管の偏肉を改善して、固定シューを使用した場合とほぼ同等な寸法精度を実現している。しかしながら、最近、より高寸法精度への需要家の要求が高まっており、偏肉率や真円度の一層の改善が切望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、ローラ・シューを備えたピアサー・ミルを用いても、固定シューを備えていた時と同等以上の肉厚分布を有する素管が得られる継目無鋼管製造用素管の圧延方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究し、その成果を本発明に具現化した。
【0006】
すなわち、本発明は、ピアサー・ミルにおいて、上下で一対の傾斜圧延ロール間を水平に走行する丸鋼鋳片の先端面にプラグを押し当てると共に、左右で一対のローラ・シューで該丸鋼鋳片を囲み、圧延、穿孔して管状にするに際し、
前記左右で一対のローラ・シューにかかる荷重の比が0.9〜1.1の範囲になるよう、前記傾斜圧延ロールの周速を上下で異ならせることを特徴とする継目無鋼管製造用素管の圧延方法である。
【0007】
本発明によれば、ローラー・シューを備えたピアサー・ミルにて丸鋼鋳片に穿孔し、継目無鋼管製造用素管を製造しても、該丸鋼鋳片に押し当てるプラグの左右ブレが解消され、該ミル出側で認められていた素管の偏肉が抑制される。その結果、従来より形状に優れた継目無鋼管が製造できるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯を交えて、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
まず、発明者は、上下一対のロールとローラ・シューと、後端のみを支持した、つまり片持ちしたバーに取り付けられ、被圧延材の先端に押し当てる砲弾状外観のプラグとからなるピアサー・ミルで、多数の圧延実験を行い、製造された素管に偏肉が生じる原因を追求した。そして、下記二つの現象が偏肉と関連すると推定した。
1)ピアサー・ミルに従来の固定シューを設けた場合と、ローラ・シューを設けた場合とで、穿孔、圧延中の素管の断面形状をロール出側まで200mmの位置で比較し、図6に示す。図6によれば、ローラ・シュー10を使用して穿孔すると、ローラ・シュー10と素管3とが接触している部分の長さが、固定シュー11を使用した場合より短く、ローラ・シュー10が素管3を拘束する力が小さい。なおかつ、素管3は、ロール及びローラ・シュー間にはみ出し、バルジング(膨れ)する。
2)ロール出側での素管外径と設定されていたシュー間隔(圧延ロールのゴージ位置での上下ローラ・シューの間隔のことで、詳しくは図5参照)との関係を図4に示すが、ローラ・シュー10を使用すると、固定シュー11を使用した場合と同一の設定間隔でも、ロール出側での素管3の外径が大きくなっている。これは、ローラ・シュー10を使用すると、圧延中にある素管3の周長は、固定シュー11を使用した場合よりも長くなっていることを示唆している。これは、図6に示すように、ロール、ローラ・シュー間のバルジングに起因すると思われる。このような状態では、素管内径とプラグ管の隙間(クリアランス)が大きくなるため、図3に示すように、圧延中にプラグ13の位置が不安定で、左右に変位し、上下ロール8とプラグ13との間の隙間が変動する。
【0010】
そこで、発明者は、ローラ・シュー10を採用した場合、素管3に発生する偏肉を低減するには、プラグ位置を安定化することが有効と考え、引き続き、これらを実現するための具体的な手段を検討した。
【0011】
その結果、被圧延材の左右に配設するローラ・シュー10にかかる荷重を、図1に示すようにバランスさせることが有効とわかったので、そのバランスを上下ロールに周速差を与えることで行なうことにした。つまり、次式で定義する周速比と、左右のローラ・シュー10にかかる荷重比との間には、図2に示す関係が認められたので、この関係を用いて上下ロールの周速をそれぞれ独立させて変更させることを本発明の要件としたのである。ここで、図1に示したように、シュー荷重比の上限は1.1、下限は0.9とする。1.1超え、又は0.9未満では、荷重比がバランスしていると見なせないからである。
【0012】
Δn=(VT−VB)/VB×100
ここで、Δn:上下ロールの周速比、
VT:上ロールの周速、
VB:下ロールの周速
【0013】
【実施例】
オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304からなる丸鋼鋳片(丸ビレット)を素材1に、図8に示したプラグ・ミル・プロセスを用いて継目無鋼管を製造した。まず、ピアサ・ミル2で素材1の穿孔圧延を行ない素管3とし、引き続いて該素管3をエロンゲータ4で拡管し、一応の管体(ホローという)にした。その穿孔圧延に際して、本発明に係る素管の圧延方法を採用し、その結果を従来の固定シューを用いた場合と比較し、図9に示す。なお、丸鋼鋳片は、外径300mmφで、ピアサ・ミルの出側での素管は、外径315mmφ、目標肉厚24.0mmである。ピアサー・ミルの穿孔、圧延条件は、ローラ・シューがΔn=1.0,固定シューが従来通りΔn=0である。
【0014】
図9より、ローラ・シューを備えたピアサー・ミルでも、本発明によれば、ロール8から抜け出た素管の偏肉率を、固定シューを用いた従来の場合と同等以上にできることが明らかである。そして、この偏肉率が達成されたことによって、従来の固定シューを採用していた時の問題点を解消した状態で円滑な操業ができた。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、ローラー・シューを備えたピアサー・ミルにて丸鋼鋳片に穿孔し、継目無鋼管製造用素管を製造しても、該丸鋼鋳片に押し当てるプラグの左右ブレが解消され、該ミル出側で認められていた素管の偏肉が抑制される。その結果、従来より形状に優れた継目無鋼管が製造できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧延方法の基礎とした左右ローラ・シューの荷重比と素管の偏肉率との関係を示す図である。
【図2】所望の上記荷重比を達成するために利用する上下ロールの周速比とローラ・シューの荷重比との関係を示す図である。
【図3】圧延中にプラグの中心が左右に変動する状況を示す図である。
【図4】ローラ・シュー間隔とローラ出側での素管外径との関係を示す図である。
【図5】プラグの変位が素管の偏肉に及ぼす影響を説明する図である。
【図6】圧延中の素管の周長さを示す図であり、(a)は固定シューを用いた場合、(b)はローラ・シューを用いた場合である。
【図7】従来のローラ・シューを用いた場合の素管偏肉率(b)と、固定シューを用いた場合の偏肉率(a)とを比較した図である。
【図8】継目無鋼管を製造するプラグ・ミル・プロセスを示すフロー図である。
【図9】本発明の実施で得た素管の偏肉率(b)と固定シューを用いた場合の偏肉率(a)とを比較した図である。
【符号の説明】
1 素材(鋼鋳片、ビレット)
2 ピアサー・ミル
3 素管
4 エロンゲータ
5 プラグ・ミル
6 リーラ
7 サイジング・ミル
8 ロール
9 管体(ホロー)
10 ローラ・シュー
11 固定シュー
12 ガイド
13 プラグ
14 加熱炉
Claims (1)
- ピアサー・ミルにおいて、上下で一対の傾斜圧延ロール間を水平に走行する丸鋼鋳片の先端面にプラグを押し当てると共に、左右で一対のローラ・シューで該丸鋼鋳片を囲み、圧延、穿孔して管状にするに際し、
前記左右で一対のローラ・シューにかかる荷重の比が0.9〜1.1の範囲になるよう、前記傾斜圧延ロールの周速を上下で異ならせることを特徴とする継目無鋼管製造用素管の圧延方法。
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