JP4531801B2 - 加熱調理用殺菌加工液全卵及びこれを用いた加熱調理卵製品 - Google Patents

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Description

本発明は、蛋白質含有量を調整して低蛋白とした殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品に関し、より詳しくは、蛋白質含有量を調整してあるにも拘らず、調理適性に優れ、良好な食味の卵製品が得られる殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品に関する。
腎臓病患者は、蛋白質の老廃物である窒素化合物を***する際に腎臓に負担がかかるため、蛋白質の摂取を制限する必要がある。このような腎臓病患者等の蛋白質制限食は、蛋白質を含む食材の使用量に制約を受けるため、通常の食事と同じ献立とすることが難しい。そこで、米等の一部の食材については、蛋白質含有量を低く調整した製品が市販されている。この蛋白調整米は蛋白質含有量が低く調整されていることから、通常の米の代わりに用いるだけで、通常の食事と同じ献立の蛋白質制限食が得られる。
ところで、卵を食材として用いたオムレツや丼等の卵料理は、手軽に料理できて美味しいことから人気のある料理であるが、卵は蛋白質含有量が多いことから上述の蛋白質制限食には少量しか用いることができず、卵料理を充分に味わえる食事とすることができない。そのため、上述した蛋白調整米のような、蛋白質含有量が低く調整された蛋白調整液全卵が製品化されることが望まれる。
しかしながら、卵は含まれる蛋白質成分に由来する適度な粘性と加熱により凝固する性質を有し、卵料理は、その粘性や凝固する性質を利用して調理される。したがって、蛋白質含有量を低く調整した液全卵の加工品を作ろうとして、例えば、単に液全卵を清水で希釈しても、その液卵希釈液は加熱しても凝固し難いものとなる問題だけでなく、希釈による粘性の低下によりオムレツが成形し難くなったり、調味液中の鶏肉を卵でとじる際に卵液が調味液中に散ってしまったりする問題も生じる。
従来、栄養成分を調整した卵製品としては、例えば、特開2001−157560号公報(特許文献1)に、低コレステロール乾燥卵黄を用いた卵製品の製造方法が提案されている。しかし、このような卵製品では、低蛋白とされていないことから上述した腎臓病患者用等の食事には適していない。
特開2001−157560号公報
そこで、本発明の目的は、蛋白質含有量を調整して低蛋白としてあるにも拘らず、調理適性に優れ、良好な食味の卵製品が得られる殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品を提供するものである。
本発明者等は、まず、低蛋白に調整するために液全卵に清水を加えて希釈とした上で、この液卵希釈液に加熱凝固性の多糖類であるカードランを配合して、卵蛋白質の含有量が低下したことによる加熱調理時の凝固力の低下を補うことを試みた。
その結果、カードランにより加熱調理時の凝固力の低下を補うことができたものの、カードランは水溶液中で50℃程度に加熱されると増粘する性質を有していることから、前記カードランを配合した液卵希釈液を常法により60℃程度で殺菌処理すると、殺菌処理後の粘度が過度に高くなりオムレツが成形し難い等の調理適性が悪くなる問題が生じた。更に、カードランの配合量が多くなると卵風味がマスキングされるためか得られる卵料理の卵風味が弱くなる問題も生じた。一方、カードランの配合量を減らすと加熱凝固力が不十分となった。このため、液全卵を清水で希釈した上でカードランのみを配合したとしても、殺菌による粘度上昇や卵風味の低下を引き起こさない範囲内で、加熱調理時の凝固力の低下を充分に補うことは困難であった。
そこで本発明者等は、更に鋭意研究を重ねた結果、液卵希釈液に少なくともカードランと食用油脂を配合するならば、意外にも、殺菌による粘度の過度の上昇や卵風味の大幅な低下を引き起こすことなく、加熱調理時の凝固力の低下を充分に補うことができ、その結果、はじめて調理適性に優れ、しかも、良好な食味の卵製品が得られる蛋白調整加工液全卵が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
つまり、本発明は、
(1)粘度が10〜800mPa・sであり、液全卵を33〜73%、カードランを0.01〜1.5%、食用油脂を3〜10%、及び清水を10〜60%配合してあることを特徴とする加熱調理用殺菌加工液全卵、
(2)前記加熱調理用殺菌加工液全卵100gあたりの蛋白質含有量が4〜9gである請求項1記載の加熱調理用殺菌加工液全卵、
(3)加熱凝固物の破断応力が50g以上である請求項1又は2記載の加熱調理用殺菌加工液全卵、
(4)請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱調理用殺菌加工液全卵を配合し加熱調理してある加熱調理卵製品、
である。
本発明によれば、蛋白質含有量を調整して低蛋白としてあるにも拘らず、調理適性に優れ、良好な食味の卵製品が得られる殺菌加工液全卵を提供できる。したがって、例えば、家庭、あるいは、病院等の事業所給食において本発明の殺菌加工液全卵を用いることで、蛋白質の摂取が制限されている腎臓病患者用の食事等に提供するのに好適なオムレツや丼等の卵料理を簡便に製造することができ、これらの食事をバリエーションに富んだ豊かな食事とすることができる。
以下、本発明の殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
することができる。
本発明の殺菌加工液全卵は、液全卵に、カードラン、食用油脂及び清水を加えた液卵混合液であって、殺菌処理によりサルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満としたものである。
本発明において、前記液全卵とは、常法により鶏卵を割卵して、卵殻を取り除いて得られた卵黄と卵白の混合液をいう。卵黄と卵白の混合比率としては、鶏卵の卵黄と卵白の比率に近い限り、若干異なってもよく、具体的には、卵黄と卵白の混合比率は、生換算で卵黄100部に対して卵白が好ましくは150〜300部である。このような本発明の液全卵としては、鶏卵を割卵して溶きほぐして調製した液全卵、鶏卵を割卵して卵黄と卵白を分離してこれらをそれぞれ溶きほぐして調製した液卵黄及び液卵白の混合液等が挙げられる。これら液全卵としては、冷凍卵とした後に解凍したもの、乾燥卵とした後に乾燥前の液卵の水分含量となるように水戻ししたもの、さらには、加熱凝固等の卵の一般的性質を備えている限り、例えば、コレステロール、リゾーチーム、グルコース等の成分の一部を除去したもの等であってもよい。
前記本発明で用いるカードランとは、β−1,3グルコシド結合を主体とした加熱凝固性多糖類の総称であり、例えば、Alcaligenes faecalis var.myxogenes菌類によって生産される多糖類が挙げられる。カードランは、市販されているので市販品を用いればよい。
また、前記本発明で用いる食用油脂としては、菜種油、コーン油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、米油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ゴマ油、これらを精製したサラダ油等の植物性油脂、並びに魚油等の動物性油脂、更に、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等が挙げられる。これらの食用油脂は、液全卵と混合させ易いことから、室温(20℃)で液状のものが好ましい。
更に、前記清水としては、食品に用いることができるものであれば特に制限は無く、例えば、水道水やミネラルウォータ等が挙げられる。
殺菌処理は、常法により、例えば、バッチ式殺菌タンク、プレート式熱交換機、ジュール加熱装置などの殺菌処理設備を用いて行い、その殺菌条件としては、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満とすればよい。このような殺菌処理は、常法によればよく、例えば、バッチ式殺菌タンク、プレート式熱交換機、ジュール加熱装置などの殺菌処理設備を用い、連続式により加熱殺菌する場合は60℃×3.5分相当の加熱を、バッチ式により加熱殺菌する場合は58℃×10分相当の加熱をする等して、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満とすればよい。本発明における殺菌処理はこれらに限定されるものではなく、これらと同様の殺菌効果を有すれば、別の方法であってもよい。
本発明の殺菌加工液全卵は、上述の液全卵が清水等により希釈状態とされていることにより低蛋白に調整してある。希釈の程度は必要とされる蛋白質含有量となるように適宜調整すればよい。ここで、未希釈の液全卵100gあたりの蛋白質含有量は12.3g程度であることから、例えば、腎臓病患者用の食事に用いる低蛋白の殺菌加工液全卵とする場合には、製品100gあたりの蛋白質含有量が好ましくは9g以下、より好ましくは8.5g以下、更に好ましくは8g以下とすればよい。一方、あまり蛋白質含有量が少なすぎると卵の風味が得られ難くなる傾向があることから、製品100gあたりの蛋白質含有量は、好ましくは4g以上、より好ましくは5g以上、更に好ましくは5.5g以上である。なお、製品の蛋白質含量は、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生省告示第176号)別表第2の第3欄記載の方法に準じて測定することができる。
前記蛋白質含有量とするには、具体的には、蛋白質含有量が12.3gの液全卵を用いた場合、製品に対する液全卵配合量の上限を生換算で好ましくは73%以下、より好ましくは69%以下、更に好ましくは65%以下とすればよく、配合量の下限を、生換算で製品に対して好ましくは33%以上、より好ましくは41%以上、更に好ましくは45%以上とすればよい。
低蛋白に調整するために、単に液全卵を清水等により希釈状態とするだけでは、加熱による凝固力が低下し、また、粘性の低下により調理適性が悪くなる。そこで、本発明の殺菌加工液全卵は、上述のように加熱凝固性の多糖類であるカードラン及び食用油脂を配合してある。
後述の試験例に示すように、低蛋白に調整するために液全卵を清水で希釈しただけでは、粘度が低すぎる上に加熱しても充分な凝固力が得られない。一方、液全卵を清水で希釈した上でカードランのみを配合した場合は、加熱凝固力が補われて適度な食感の卵料理が得られるものの、この場合、殺菌処理時の加熱により粘度が高くなりすぎて調理適性が悪くなる。これは、カードランが水溶液中で70℃以上程度に加熱すると凝固する性質を有する一方、一般的な液全卵の殺菌温度(60℃程度)の加熱により増粘する性質も有するためである。また、カードランの配合量が多くなると卵風味がマスキングされるためか得られる卵料理の卵風味が弱くなる。このため、液全卵を清水で希釈した上でカードランのみを配合したとしても、殺菌による粘度上昇や卵風味の低下を引き起こさない範囲内で、加熱調理時の凝固力の低下を充分に補うことは困難である。
これに対し、本願発明においては、液全卵を清水で希釈した上で少なくともカードラン及び食用油脂を配合するものであり、この場合、食用油脂がゲル構造に影響を与えるためかカードランのみを配合した場合に比べて、少量のカードランで加熱凝固力を充分に補うことができる。つまり、カードランと食用油脂を併用して用いることにより、殺菌による粘度の過度の上昇や卵風味の大幅な低下を引き起こすことなく、加熱調理時の凝固力の低下を充分に補うことができ、その結果、はじめて調理適性に優れ、しかも、良好な食味の卵製品が得られる蛋白調整加工液全卵が得ることができる。
前記カードランの配合量としては、液全卵や食用油脂の配合量等にもよるが、適度な粘性や加熱凝固力を得る点から、製品に対して好ましくは0.01〜1.5%、より好ましくは0.1〜1.2%である。カードランの配合量が前記範囲より少ないと、加熱調理時に充分な凝固力が得られ難い。一方、前記範囲より多いと、殺菌処理時に過度に増粘して調理適性が悪くなり易く、また、卵風味が損なわれ易い。
また、前記食用油脂の配合量は、液全卵やカードランの配合量等にもよるが、食味を損なわずにカードランと併用して殺菌加工液全卵の加熱凝固力を高める点から、3〜15%、好ましくは5〜10%である。食用油脂の配合量が前記範囲より少ないと、カードランと併用して殺菌加工液全卵の加熱凝固力を高める効果が得られ難く、一方、前記範囲より多いと、油っぽい食味となる傾向がある。
なお、清水の配合量は、上述した液全卵、カードラン及び食用油脂、更に、後述するその他の原料の合計配合量の残余として決定されるが、具体的には10〜60%程度となる。
上述のように、本発明の殺菌加工液全卵は、液全卵が清水等により希釈状態とされているにも拘らず、未希釈の液全卵と同様の適度な粘性を有して調理適性に優れているものであるが、その粘度としては、具体的には、好ましくは10〜800mPa・s、より好ましくは15〜500mPa・sである。前記範囲より低いと適度な粘性に欠けたものとなり、例えばオムレツが成形し難くなったり、調味液中の鶏肉を卵でとじる際に卵液が調味液中に散ってしまったりする問題が生じ易い。一方、前記範囲より粘度が高すぎても、調理適性が悪くなる傾向がある。
前記粘度は、品温を20℃に調整し、BH型粘度計((株)東京計器製)で、回転数20rpmの条件で、400mPa・s未満のときローターNo.1、400mPa・s以上のときローターNo.2を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。なお、前記BH型粘度計の測定値が100mPa・s未満の場合については、低粘度計(リオン(株)製、VT−03)で、ローターNo.4を使用し、測定開始後ローターが3回転した時の示度により求めた値である。
また、本発明の殺菌加工液全卵の加熱凝固力としては、具体的には、殺菌加工液全卵の加熱凝固物の破断応力の測定値として、好ましくは50g以上、より好ましくは60g以上である。前記範囲より低いと適度な加熱凝固力に欠けたものとなり、良好な食感の卵料理が得られない。なお、加熱凝固力はあまり高すぎてもかえって不自然な食感となる場合があることから、好ましくは500g以下、より好ましくは300g以下である。
前記加熱凝固物の破断応力は以下の以下の手順(a)〜(e)で測定された値であり、その数値が高い程、硬いことを示す。
(a)殺菌加工液全卵を、折径60mmのナイロン製のケーシングに充填して80℃で40分間加熱して加熱凝固物を製する。
(b)加熱凝固物を5℃で24時間保存する。
(c)保存後の加熱凝固物を室温(20℃)に3時間放置して品温20℃にする。
(d)加熱凝固物をケーシングから取り出して、長さ方向に対して直角に厚さ3cmにカットする。
(e)加熱凝固物のカット品の破断応力をFUDOH RHEO METER NRM−2010J−CW((株)レオテック製)で測定する。ゲル強度は、加熱凝固物のカット品をカットした面のいずれか片方が底面となるように測定テーブルに置き、球形Φ8mmプランジャーを使用し、テーブル上昇速度6cm/分の条件でを測定した値である。
なお、本発明の殺菌加工液全卵は、液全卵が希釈状態とされていることから、得られる卵料理の風味がややコクのないように感じられる場合がある。また、得られる卵料理の黄色い色調がやや薄く感じられる場合もある。したがって、本発明の殺菌加工液全卵には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した原料の他に、風味や色調の改善、あるいは品質保持等の点から、例えば、食塩、動植物エキス類等の調味料、クチナシ色素等の着色料、ソルビトール、シュクロース、トレハロース、デキストリン、還元デキストリン等の糖類、クエン酸、クエン酸塩等のpH調整材、保存料等の原料を適宜選択して用いてもよい。また、風味の改善等を目的として乳製品等の蛋白質原料も製品の蛋白質含有量が過度に高くならない範囲で配合してもよい。しかしながら、これらの原料は、あまり多く配合しすぎても卵風味が損なわれたり、製品の蛋白質含有量に影響を与えたりする場合があることから、液全卵、カードラン及び清水以外のこれら原料の合計配合量は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下に留めることが好ましい。
以上のように本発明の殺菌加工液全卵は、低蛋白に調整されているにも拘らず、適度な粘性と加熱凝固力を有し、卵風味も損なわれていないものである。したがって、本発明の殺菌加工液全卵を液全卵の代わりに用いることで、低蛋白に調整された種々の卵製品を得ることができる。卵製品としては、卵を主原料として用いる卵製品であれば特に制限はないが、具体的には、卵の加熱凝固性能を利用して加熱調理して製する卵製品であるオムレツ、卵焼き、スクランブルエッグ、プリン、丼等が挙げられる。本発明の殺菌加工液全卵を用いた本発明の卵製品は低蛋白に調整されていることから蛋白質の摂取が制限されている腎臓病患者用の食事等に用いるのに好適である。
上述した本発明の殺菌加工液全卵は、液全卵にカードラン、食用油脂、清水及び必要に応じてその他の原料を配合する他は、従来の一般的な殺菌液全卵の製造方法に準じて製造することができる。具体的には、例えば、鶏卵を割卵して、卵殻を取り除いて得られた卵黄や卵白をミキサーで攪拌混合した後、ろ過して液全卵を得る。次に、得られた液全卵に、カードラン、食用油脂、清水、更に、その他の原料を添加して、ミキサー等で食用油脂が混合液表層に分離しないように撹拌混合し、液卵混合液を得る。この際、本発明においては、原料の容易な混合を実現するために、食用油脂を予めその0.1〜10質量倍程度の液全卵とミキサーやホモゲナイザー等で混合乳化しておいてもよい。
続いて、得られた液卵混合液を殺菌処理する。前記殺菌処理は、常法によればよく、例えば、バッチ式殺菌タンク、プレート式熱交換機、ジュール加熱装置などの殺菌処理設備を用い、50〜65℃程度の殺菌温度で、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性及び大腸菌群数が10個/g未満となるように殺菌処理すればよい。
以上のようにして得られた本発明の殺菌加工液全卵は、必要に応じてパウチ等に容器詰めして0〜15℃で保存するチルド品として、あるいは、パウチ等に容器詰めした後に凍結処理して冷凍品として流通させることができる。
以下、本発明の殺菌加工液全卵及びこれを用いた卵製品について、実施例、比較例及び試験例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[実施例1](蛋白質含有量6.2gの殺菌加工液全卵)
原料として、生液全卵(鶏卵を割卵して混合タンクで攪拌混合した後、30メッシュのストレーナーでろ過したもの)50部、食用油脂(菜種油)8部、カードラン1.3部及び清水40.7部を用意した。次に、前記原料を撹拌タンクに投入し、全体が略均一になるまで撹拌混合することにより液卵混合液を調製した。この液卵混合液の粘度を上述の実施形態に記載した方法で測定したところ4mPa・sであった。続いて、バッチ式の殺菌機で58℃で10分間の殺菌条件で加熱殺菌した後、冷却機で品温10℃まで冷却して実施例1の殺菌加工液全卵を製した。なお、得られた殺菌加工液全卵の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であった。また、得られた殺菌加工液全卵の蛋白質含有量は、製品100gあたり6.2gであった。
[実施例2](蛋白質含有量6.2gの殺菌加工液全卵)
実施例1においてカードランの配合量を1.0部とし、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様の方法で実施例2の殺菌加工液全卵を製した。なお、殺菌前の液卵混合液の粘度は4mPa・sであった。また、得られた殺菌加工液全卵の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性であり、大腸菌群数は10個/g未満であり、蛋白質含有量は、製品100gあたり6.2gであった。
[実施例3](蛋白質含有量7.4gの殺菌加工液全卵)
原料として、生液全卵(鶏卵を割卵して混合タンクで攪拌混合した後、30メッシュのストレーナーでろ過したもの)60部、食用油脂(菜種油)4部、カードラン0.5部及び清水35.5部を用意した。原料として前記原料を用いた他は実施例1と同様にして実施例3の殺菌加工液全卵を製した。なお、殺菌前の液卵混合液の粘度は4mPa・sであった。また、得られた殺菌加工液全卵の細菌数は、サルモネラ属菌がサンプル25g当たり陰性、大腸菌群数は10個/g未満であり、蛋白質含有量は、製品100gあたり7.4gであった。
[比較例1]
実施例1において、カードラン及び食用油脂を配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様の方法で比較例1の殺菌加工液全卵を製した。なお、殺菌前の液卵混合液の粘度は3mPa・sであった。
[比較例2]
実施例1において、食用油脂を配合せず、カードランの配合量を1.8部に増やし、これらの減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様の方法で比較例2の殺菌加工液全卵を製した。なお、殺菌前の液卵混合液の粘度は3mPa・sであった。
[試験例1]
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた殺菌加工液全卵の粘度と加熱凝固物の破断応力をそれぞれ上述の実施形態に記載した方法で測定した。次に、実施例1〜3及び比較例1、2で得られた殺菌加工液全卵を用いて以下のようにしてオムレツを製し、調理適性の評価及び得られたオムレツの食味の評価を行った。更に、これらの評価結果から以下の評価基準により総合評価をもとめた。以上の結果を表1に示す。
<オムレツの製造方法>
殺菌加工液全卵100gに、食塩0.5g及びコショウ0.01gを加えて調味し、これを油をひいたフライパンに流し込んで、常法により、はしで撹拌しながら焼成して成形し、オムレツを製造した。
<調理適性の評価の記号>
A:大変成形し易い。
B:成形し易い。
C:粘度が高すぎて成形し難い。
D:粘度が低すぎて成形し難い。
<食感の評価の記号>
A:適度な硬さである。
B:やや柔らかいが問題のない程度である。
C:やや柔らかい。
D:柔らかい。
<卵風味の評価の記号>
A:良好な卵風味を有する。
B:卵風味がやや弱いが問題のない程度である。
C:やや卵風味が弱い。
D:卵風味が弱い。
<総合評価の評価の記号>
◎:調理適性、食感及び卵風味のすべての評価記号がAである。
○:調理適性、食感及び卵風味のすべての評価記号がA又はBである。
△:◎、○及び×以外。
×:調理適性、食感及び卵風味の評価記号のいずれかにC又はDを含む。
Figure 0004531801
表1より、低蛋白に調整するために液全卵を清水で希釈しただけの比較例1の比較品は、粘度が低すぎる上に加熱しても充分な凝固力が得られなかった。一方、液全卵を清水で希釈した上で適度な凝固力が得られるようにカードランのみを配合した比較例2の比較品は、殺菌処理時の加熱により増粘を引き起こすカードランの性質により粘度が高くなりすぎて調理適性が悪く、また、得られたオムレツの卵風味も弱くなって好ましくなかった。これに対し、液卵を清水で希釈した上でカードラン及び食用油脂を配合した実施例1〜3の本発明品は、カードランのみを配合した場合(比較例2)に比べて、少量のカードランの配合で適度な食感のオムレツが得られた。そのため、殺菌処理時の加熱により増粘を引き起こすカードランの性質により性質により粘度が過度に高くなりすぎることもなく、また、得られたオムレツの卵風味も良好となり好ましかった。
なお、殺菌加工液全卵の粘度に関し、粘度が好ましくは10〜800mPa・s、より好ましくは15〜500mPa・sであると調理適性がよく好ましかった。また、殺菌加工液全卵の加熱凝固物の破断応力に関し、殺菌加工液全卵の加熱凝固物の破断応力が、好ましくは50g以上、より好ましくは60g以上であると適度な食感のオムレツが得られ好ましかった。
[試験例2]
実施例1〜3及び比較例1及び2で得られた殺菌加工液全卵を用い、以下のようにして親子丼を製した。つまり、親子丼用の鍋に、玉ねぎ30g、鶏肉50g、かつおだし100gを入れて加熱し、鶏肉が煮えたら、殺菌加工液全卵60gを流し入れて凝固させて親子丼を製し、これらの調理適性及び得られた親子丼の卵部分の食味を比較した。
その結果、実施例1〜3の殺菌加工液全卵はいずれも適度な粘性を有していることから、殺菌加工液全卵が調味液中でふんわりとした大きなかたまりに凝固し調理適性に優れていた。しかも、得られた凝固物はいずれも適度な硬さと良好な卵風味を有していて大変好ましいものであった。これに対し、比較例1の殺菌加工液全卵は、粘性が低く殺菌加工液全卵が調味液中に散らばってしまい大きなかたまりの凝固物が得られなかった。一方、比較例2の殺菌加工液全卵は、粘性が高すぎて調味液中に沈んで団子状に凝固してしまいふんわりとした大きなかたまりが得られなかった。更に、その凝固物は卵風味が弱く好ましくなかった。

Claims (4)

  1. 粘度が10〜800mPa・sであり、液全卵を33〜73%、カードランを0.01〜1.5%、食用油脂を3〜10%、及び清水を10〜60%配合してあることを特徴とする加熱調理用殺菌加工液全卵。
  2. 前記加熱調理用殺菌加工液全卵100gあたりの蛋白質含有量が4〜9gである請求項1記載の加熱調理用殺菌加工液全卵。
  3. 加熱凝固物の破断応力が50g以上である請求項1又は2記載の加熱調理用殺菌加工液全卵。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱調理用殺菌加工液全卵を配合し加熱調理してあることを特徴とする加熱調理卵製品。
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