JP4528049B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

本発明は、眼科装置に係り、特に、コンタクトレンズ装用により角膜前面の収差が補正されることを考慮して最適なコンタクトレンズの処方値を得るための眼科装置に関する。
従来、眼の矯正データを測定するための技術として、レフラクトメータによるS(球面度数)、C(乱視度数)、A(軸)の測定が行われている。また、最近は高次収差まで測定できる眼特性測定装置も開発され、レフラクトメータのような例えばφ3mmのリングなどのような線上のS、C、Aのみではなく、面上でのS、C、Aを低次収差から算出できるようになった。このような、眼特性測定装置は、特に屈折矯正手術後や病眼などにおいてはレフラクトメータより眼鏡・コンタクトレンズ等の処方値に近い値が算出されるようになった(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、光線追跡を行うソフトウェアが入手可能になっている(例えば、CodeV(http://www.opticalres.com/)、Zemax(http://www.zemax.com/)など)。
本発明者らは、眼の波面収差から瞳径を限定し、ストレール(Strehl)比、位相シフト(PTF)などの光学特性から最適な処方値を得る装置等について出願している(例えば、特願2003−25428号、特願2003−134829号等)。
特開2002−204785号公報 特開2002−209854号公報 特開2002−306416号公報 特開2002−306417号公報
しかし、従来の眼特性測定装置の他覚的算出結果と眼鏡・コンタクトレンズ等の処方値には、まだなお適正とされる値との差が生じる場合があり、S、C、Aの評価としては不十分な場合があった。また、従来、被検眼の瞳径は固定値を用いて測定しているため、被検眼の瞳径に応じた適正な処方値が得られない場合があった。
さらに、コンタクトレンズ(CL)を装用すると、角膜前面とコンタクトレンズ間の涙液層により角膜前面の収差が補正される。その一方で、コンタクトレンズ前面の収差が影響することになる。
本発明は以上の点に鑑み、コンタクトレンズ装用時における最適なコンタクトレンズ処方値を得るための眼科装置を提供することを目的とする。また、本発明は、コンタクトレンズ装用により角膜前面の収差が補正されることから、この補正量を考慮に入れて最適なコンタクトレンズの処方値(例えば、球面度数S、乱視度数C、乱視軸A)を得ることを目的とする。さらに、本発明は、涙液層を考慮して、コンタクトレンズと涙液層と被検眼とを含む光学系を想定し、コンタクトレンズの処方値を得ることを目的のひとつとする。
また、本発明は、高次収差まで測定できる眼特性測定装置で測定した結果において、高次収差を含む場合には、他覚的な完全矯正時にあたる低次収差を補正矯正データとせずに、例えばストレール比や位相ずれにより光学性能を評価し、ストレール比が大きく、及び/又は、位相ずれが少なくなるような低次収差量を算出し、そのときのS、C、A等の補正矯正データを求めることでより最適な眼鏡・コンタクト等の処方値に近い矯正データを得ることを目的とする。さらに、検眼用視標の見え具合のシミュレーションを行い、適正な矯正要素を求めることで、自覚値と近い矯正データを得ることを目的とする。
また、本発明は、被検眼の瞳径に応じた光学特性及び最適な処方値に近い矯正データを算出し、より正確な測定を行うことを目的とする。また、本発明は、被検者の環境にあった明るさ(例えば、白昼時や屋内)のもとでの瞳径を用いて、その環境下における最適な処方値に近い矯正データを得ることを目的とする。
本発明の第1の解決手段によると、
被検眼眼底に光束を照射し、被検眼眼底からの反射光を受光するための波面収差測定光学系と、
上記波面収差測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の低次収差及び高次収差を含む波面収差を求める波面収差演算部と、
被検眼角膜付近を所定のパターンで照明し、被検眼角膜付近からの反射光束を受光するための角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系と、
上記角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の角膜形状及び角膜収差を求める角膜・コンタクトレンズデータ演算部と、
上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜形状に応じたコンタクトレンズを含む矯正光学系の収差を求め、上記波面収差演算部により求められた被検眼の波面収差と、角膜収差と、矯正光学系の収差とに基づき、被検眼に該コンタクトレンズが装用された、被検眼とコンタクトレンズを含む矯正眼光学系の収差を求めて、求められた矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める矯正データ演算部と
を備えた眼科装置が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
コンタクトレンズを装用した被検眼眼底に光束を照射し、被検眼眼底からの反射光を受光するための波面収差測定光学系と、
上記波面収差測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の低次収差及び高次収差を含む波面収差を求める波面収差演算部と、
コンタクトレンズを装用した被検眼角膜付近を所定のパターンで照明し、被検眼角膜付近からの反射光束を受光するための角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系と、
上記角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼のコンタクトレンズ装用時のコンタクトレンズ前面形状及びコンタクトレンズ前面収差を求める角膜・コンタクトレンズデータ演算部と、
変更装用されるコンタクトレンズの球面度数を設定して、上記波面収差演算部により求められた波面収差に基づく球面度数と、設定されたコンタクトレンズの球面度数とのずれによる収差を求め、求められた該収差とコンタクトレンズ前面収差との差分を取り補正された収差を求め、上記波面収差演算部により求められた波面収差に補正された収差を足して被検眼とコンタクトレンズを含む矯正眼光学系の収差を求め、求められた矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める矯正データ演算部と
を備えた眼科装置が提供される。
本発明によると、コンタクトレンズ装用時における最適なコンタクトレンズ処方値を得るための眼科装置を提供することができる。また、本発明によると、コンタクトレンズ装用により角膜前面の収差が補正されることから、この補正量を考慮に入れて最適なコンタクトレンズの処方値(例えば、球面度数S、乱視度数C、乱視軸A)を得ることができる。さらに、本発明によると涙液層を考慮して、コンタクトレンズと涙液層と被検眼とを含む光学系を想定し、コンタクトレンズの処方値を得ることができる。
また、本発明によると、高次収差まで測定できる眼特性測定装置で測定した結果において、高次収差を含む場合には、他覚的な完全矯正時にあたる低次収差を補正矯正データとせずに、例えばストレール比や位相ずれにより光学性能を評価し、ストレール比が大きく、及び/又は、位相ずれが少なくなるような低次収差量を算出し、そのときのS、C、A等の補正矯正データを求めることでより最適な眼鏡・コンタクト等の処方値に近い矯正データを得ることができる。さらに、検眼用視標の見え具合のシミュレーションを行い、適正な矯正要素を求めることで、自覚値と近い矯正データを得ることができる。
また、本発明によると、被検眼の瞳径に応じた光学特性及び最適な処方値に近い矯正データを算出し、より正確な測定を行うことができる。また、本発明によると、被検者の環境にあった明るさ(例えば、白昼時や屋内)のもとでの瞳径を用いて、その環境下における最適な処方値に近い矯正データを得ることができる。
1. 眼科装置
図1は、眼科装置(眼光学特性測定装置)の光学系100の構成図である。
眼光学特性測定装置の光学系100は、対象物である被測定眼60の光学特性を測定する装置であって、第1照明光学系10と、第1受光光学系20と、第2受光光学系30と、共通光学系40と、調整用光学系50と、第2照明光学系70と、第2送光光学系80とを備える。なお、被測定眼(以下、被検眼と称することもある)60については、図中、網膜61、角膜62が示されている。なお、本実施の形態において、第1照明光学系10と第1受光光学系20とを含む光学系を波面収差測定光学系、第2受光光学系30と第2照明光学系70とを含む光学系を角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系とそれぞれ呼ぶことがある。
第1照明光学系10は、例えば、第1波長の光束を発するための第1光源部11と、集光レンズ12とを備え、第1光源部11からの光束で被測定眼60の網膜(眼底)61上の微小な領域を、その照明条件を適宜設定できるように照明するためのものである。なお、ここでは、一例として、第1光源部11から発せられる照明用の光束の第1波長は、赤外域の波長(例えば、780nm)である。
また、第1光源部11は、空間コヒーレンスが大きく、時間コヒーレンスが小さいものが望ましい。ここでは、第1光源部11は、例えば、スーパールミネッセンスダイオード(SLD)であって、輝度の高い点光源を得ることができる。なお、第1光源部11は、SLDに限られるものではなく、例えば、空間コヒーレンス、時間コヒーレンスが大きいレーザー等であっても、回転拡散板や偏角プリズム(Dプリズム)等を挿入し、適度に時間コヒーレンスを下げることで、利用することができる。さらに、空間コヒーレンス、時間コヒーレンスが小さいLEDであっても、光量さえ十分であれば、例えば、光路の光源の位置にピンホール等を挿入することで、利用することができる。
第1受光光学系20は、例えば、コリメートレンズ21と、被測定眼60の網膜61から反射して戻ってくる光束(第1光束)の一部を、少なくとも17本のビームに変換する変換部材であるハルトマン板22と、このハルトマン板22で変換された複数のビームを受光するための第1受光部23とを備え、第1光束を第1受光部23に導くためのものである。また、ここでは、第1受光部23は、リードアウトノイズの少ないCCDが採用されているが、CCDとしては、例えば、一般的な低ノイズタイプ、測定用の1000*1000素子の冷却CCD等、適宜のタイプのものを適用することができる。
第2照明光学系70は、第2光源72と、プラチドリング71を備える。なお、第2光源72を省略することもできる。プラチドリング(PLACIDO’S DISC)71は、複数の同心輪帯からなるパターンの指標を投影するためのものである。なお、複数の同心輪帯からなるパターンの指標は、所定のパターンの指標の一例であり、他の適宜のパターンを用いることができる。そして、後述するアライメント調整が完了した後、複数の同心輪帯からなるパターンの指標を投影することができる。
第2送光光学系80は、例えば、後述するアライメント調整及び座標原点、座標軸の測定・調整を主に行うものであって、第2送光光源部31と、集光レンズ32と、ビームスプリッター33を備える。
第2受光光学系30は、集光レンズ34、第2受光部35を備える。第2受光光学系30は、第2照明光学系70から照明されたプラチドリング71のパターンが、被測定眼60の前眼部又は角膜62から反射して戻ってくる光束(第2光束)を、第2受光部35に導く。また、第2送光光源部31から発せられ被測定眼60の角膜62から反射し、戻ってくる光束を第2受光部35に導くこともできる。なお、第2送光光源部31から発せられる光束の第2波長は、例えば、第1波長(ここでは、780nm)と異なると共に、長い波長を選択できる(例えば、940nm)。
共通光学系40は、第1照明光学系10から発せられる光束の光軸上に配され、第1及び第2照明光学系10及び70、第1及び第2受光光学系20及び30、第2送光光学系80等に共通に含まれ得るものであり、例えば、アフォーカルレンズ42と、ビームスプリッター43、45と、集光レンズ44とを備える。また、ビームスプリッター43は、第2送光光源部31の波長を被測定眼60に送光(反射)し、被測定眼60の網膜61から反射して戻ってくる第2光束を反射し、一方、第1光源部11の波長を透過するようなミラー(例えば、ダイクロイックミラー)で形成される。ビームスプリッター45は、第1光源部11の光束を被測定眼60に送光(反射)し、被測定眼60の網膜61から反射して戻ってくる第1光束を、透過するようなミラー(例えば、偏光ビームスプリッター)で形成される。このビームスプリッター43、45によって、第1及び2光束が、互いに他方の光学系に入りノイズとなることがない。
調整用光学系50は、例えば、後述する作動距離調整を主に行うものであって、第3光源部51と、第4光源部55と、集光レンズ52、53と、第3受光部54を備える。
第3照明光学系90は、例えば、被測定眼60の固視や雲霧をさせるための視標を投影する光路を含むものであって、第5光源部(例えば、ランプ)91、固視標92、リレーレンズ93を備える。第5光源部91からの光束で固視標92を眼底61に照射することができ、被検眼60にその像を観察させる。固視標92と眼底61とが第3照明光学系90によって、共役な関係にある。また、第5光源部91は、被測定眼60の前眼部を異なる明るさで照明する光源(前眼照明部)でもある。第5光源部91の光量を調整する事により、被測定眼60の照明状態を変化させて瞳孔の大きさを変化させることができる。なお、前眼照明部としては、第5光源部91以外にも第2光源72等、適宜の光源を用いても良い。
つぎに、アライメント調整について説明する。アライメント調整は、主に、第2受光光学系30及び第2送光光学系80により実施される。
まず、第2送光光源部31からの光束は、集光レンズ32、ビームスプリッター33、43、アフォーカルレンズ42を介して、対象物である被測定眼60を略平行な光束で照明する。被測定眼60の角膜62で反射した反射光束は、あたかも角膜62の曲率半径の1/2の点から射出したような発散光束として射出される。この発散光束は、アフォーカルレンズ42、ビームスプリッター43、33及び集光レンズ34を介して、第2受光部35にスポット像として受光される。
ここで、この第2受光部35上のスポット像が光軸上から外れている場合、眼光学特性測定装置本体を、上下左右に移動調整し、スポット像を光軸上と一致させる。このように、スポット像が光軸上と一致すると、アライメント調整は完了する。なお、アライメント調整は、被測定眼60の角膜62を第3光源部51により照明し、この照明により得られた被測定眼60の像が第2受光部35上に形成されるので、この像を利用して瞳中心が光軸と一致するようにしてもよい。
つぎに、作動距離調整について説明する。作動距離調整は、主に、調整用光学系50により実施される。
まず、作動距離調整は、例えば、第4光源部55から射出された光軸付近の平行な光束を、被測定眼60に向けて照射すると共に、この被測定眼60から反射された光を、集光レンズ52、53を介して第3受光部54で受光することにより行われる。また、被測定眼60が適正な作動距離にある場合、第3受光部54の光軸上に、第4光源部55からのスポット像が形成される。一方、被測定眼60が適正な作動距離から前後に外れた場合、第4光源部55からのスポット像は、第3受光部54の光軸より上又は下に形成される。なお、第3受光部54は、第4光源部55、光軸、第3受光部54を含む面内での光束位置の変化を検出できればいいので、例えば、この面内に配された1次元CCD、ポジションセンシングデバイス(PSD)等を適用できる。
つぎに、第1照明光学系10と第1受光光学系20との位置関係を説明する。
第1受光光学系20には、ビームスプリッター45が挿入されており、このビームスプリッター45によって、第1照明光学系10からの光は、被測定眼60に送光されると共に、被測定眼60からの反射光は、透過される。第1受光光学系20に含まれる第1受光部23は、変換部材であるハルトマン板22を通過した光を受光し、受光信号を生成する。
また、第1光源部11と被測定眼60の網膜61とは、共役な関係を形成している。被測定眼60の網膜61と第1受光部23とは、共役である。また、ハルトマン板22と被測定眼60の瞳孔とは、共役な関係を形成している。さらに、第1受光光学系20は、被測定眼60の前眼部である角膜62、及び瞳孔と、ハルトマン板22と略共役な関係を形成している。すなわち、アフォーカルレンズ42の前側焦点は、被測定眼60の前眼部である角膜62及び瞳孔と略一致している。
また、第1照明光学系10と第1受光光学系20は、第1光源部11からの光束が、集光する点で反射されたとして、第1受光部23での反射光による信号ピークが最大となるように、連動して移動する。具体的には、第1照明光学系10と第1受光光学系20は、第1受光部23での信号ピークが大きくなる方向に移動し、信号ピークが最大となる位置で停止する。これにより、第1光源部11からの光束は、被測定眼60上で集光する。
また、レンズ12は、光源11の拡散光を平行光に変換する。絞り14は、眼の瞳、あるいはハルトマン板22と光学的に共役の位置にある。絞り14は、径がハルトマン板22の有効範囲より小さく、いわゆるシングルパスの収差計測(受光側だけに目の収差が影響する方法)が成り立つ様になっている。レンズ13は、上記を満たすために、実光線の眼底共役点を前側焦点位置に、さらに、眼の瞳との共役関係を満たすために、後側焦点位置が絞り14と一致するように配置されている。
また、光線15は、光線24とビームスプリッター45で共通光路になった後は、近軸的には、光線24と同じ進み方をする。但し、シングルパス測定のときは、それぞれの光線の径は違い、光線15のビーム径は、光線24に比べ、かなり細く設定される。具体的には、光線15のビーム径は、例えば、眼の瞳位置で1mm程度、光線24のビーム径は、7mm程度になることもある(なお、図中、光線15のビームスプリッター45から眼底61までは省略している)。
つぎに、変換部材であるハルトマン板22について説明する。
第1受光光学系20に含まれるハルトマン板22は、反射光束を複数のビームに変換する波面変換部材である。ここでは、ハルトマン板22には、光軸と直交する面内に配された複数のマイクロフレネルレンズが適用されている。また、一般に、測定対象部(被測定眼60)について、被測定眼60の球面成分、3次の非点収差、その他の高次収差までも測定するには、被測定眼60を介した少なくとも17本のビームで測定する必要がある。
また、マイクロフレネルレンズは、光学素子であって、例えば、波長ごとの高さピッチの輪帯と、集光点と平行な出射に最適化されたブレーズとを備える。ここでのマイクロフレネルレンズは、例えば、半導体微細加工技術を応用した8レベルの光路長差を施したもので、高い集光率(例えば、98%)を達成している。
また、被測定眼60の網膜61からの反射光は、アフォーカルレンズ42、コリメートレンズ21を通過し、ハルトマン板22を介して、第1受光部23上に集光する。したがって、ハルトマン板22は、反射光束を少なくとも、17本以上のビームに変換する波面変換部材を備える。
図2は、眼光学特性測定装置の電気系200の構成図である。眼光学特性測定装置に関する電気系200は、例えば、演算部210と、制御部220と、表示部230と、メモリ240と、入力部270と、第1駆動部250及び第2駆動部260及び第3駆動部280とを備える。また、演算部210は、波面収差演算部211、角膜・コンタクトレンズデータ演算部212、矯正データ演算部213、シミュレーション部214及び瞳径測定部215を備えることができる。
演算部210は、第1受光部23から得られる受光信号(4)、第2受光部35から得られる受光信号(7)、第3受光部54から得られる受光信号(10)を入力すると共に、座標原点、座標軸、座標の移動、回転、瞳径、全波面収差、角膜波面収差、ゼルニケ係数、収差係数、ストレール比(Strehl比)、位相シフト(PTF、位相ずれ)、白色光MTF、ランドルト環パターン等を演算する。また、このような演算結果に応じた信号を、電気駆動系の全体の制御を行う制御部220と、表示部230と、メモリ240とにそれぞれ出力する。なお、演算210の詳細は後述する。
波面収差演算部211は、第1受光部23からの受光信号(4)に基づき、被検眼の低次及び高次収差を含む波面収差を求める。角膜・コンタクトレンズデータ演算部212は、第2受光部35からの受光信号(7)(又は前眼部像)に基づいて、被検眼の角膜形状、角膜収差等を含む角膜データ、または、被検眼がコンタクトレンズ装用時のコンタクトレンズ前面形状、コンタクトレンズ前面による収差等を含むコンタクトレンズ前面データを求める。角膜形状、コンタクトレンズ前面形状は、角膜、コンタクトレンズ頂点、もしくは瞳孔中心の座標を原点とし、各位置での高さ情報のデータ、もしくはゼルニケ係数のデータとして持つ。なお、角膜・コンタクトレンズデータ演算部212は、角膜又はコンタクトレンズのいずれかのデータを求めるように構成されてもよい。
また、矯正データ演算部213は、シミュレーション部214に与える矯正要素を演算又は設定する。矯正データ演算部213は、設定された矯正要素により矯正され、且つ、シミュレーション部214で形成された矯正視標画像データに基づき、適正な矯正要素が設定されているかどうかを判定する。また、矯正データ演算部213は、判定結果に基づき矯正要素を設定し、且つ、適正な矯正要素であると判定するまで、矯正要素を繰り返し変化させるように構成されている。矯正要素は、球面度数(S)、乱視度数(C)、乱視軸角度(A)のいずれか一つ又は複数の組合せである。
後述するテンプレートマッチングにおける矯正データ算出において、シミュレーション部214は、少なくとも被検眼の波面収差を示す測定データに基づき、屈折矯正のため矯正要素を考慮して、検眼用視標の見え具合のシミュレーションを行い視標網膜画像データを形成する。被検眼の波面収差には高次収差まで含まれる。瞳径測定部215は、前眼部像から瞳径データを形成する。例えば、瞳径測定部215は、第2受光部35から前眼部像を入力し、瞳孔のエッジ上の点、瞳孔が楕円形であるとした時の焦点、長径及び短径を算出し、瞳径を求める。
制御部220は、演算部210からの制御信号に基づいて、第1光源部11の点灯、消灯を制御したり、第1駆動部250及び第2駆動部260を制御するものであり、例えば、演算部210での演算結果に応じた信号に基づいて、第1光源部11に対して信号(1)を出力し、プラチドリング71に対して信号(5)を出力し、第2送光光源部31に対して信号(6)を出力し、第3光源部51に対して信号(8)を出力し、第4光源部55に対して信号(9)を出力し、第5光源部91に対して、信号(11)を出力し、さらに、第1駆動部250及び第2駆動部260及び第3駆動部280に対して信号を出力する。
第1駆動部250は、例えば、演算部210に入力された第1受光部23からの受光信号(4)に基づいて、第1照明光学系10全体を光軸方向に移動させるものであり、図示しない適宜のレンズ移動手段に対して信号(2)を出力すると共に、このレンズ移動手段を駆動する。これにより、第1駆動部250は、第1照明光学系10の移動、調節を行うことができる。
第2駆動部260は、例えば、演算部210に入力された第1受光部23からの受光信号(4)に基づいて、第1受光光学系20全体を光軸方向に移動させるものであり、図示しない適宜のレンズ移動手段に対して信号(3)を出力すると共に、このレンズ移動手段を駆動する。これにより、第2駆動部260は、第1受光光学系20の移動、調節を行うことができる。
第3駆動部280は、例えば、第3照明光学系90の固視標92を移動させるものであり、図示しない適宜の移動手段に対して信号(12)を出力すると共に、この移動手段を駆動する。これにより、第3駆動部280は、第3照明光学系90の固視標92の移動、調節を行うことができる。
図3は、メモリ240に予め記憶される前面形状テーブルの構成例である。前面形状テーブルは、コンタクトレンズID(メーカID、種類など)、矯正球面度数及び後面形状データに対応して、前面形状データ、曲率及び屈折率等を含む。また、コンタクトレンズID、矯正球面度数、及び、後面形状データに対応して、コンタクトレンズの厚さ、後面径をさらに含むことができる。
図4は、メモリ240に予め記憶される後面形状テーブルの構成例である。後面形状テーブルは、ケラト値又は角膜形状とコンタクトレンズIDとに対応して、後面形状データを含む。演算部210は、測定されたケラト値又は角膜形状、及び、設定されるコンタクトレンズIDに基づいて、CLの後面形状データを取得する。
2.ゼルニケ解析
つぎに、ゼルニケ解析について説明する。一般に知られているゼルニケ多項式からゼルニケ係数C 2j−iを算出する方法について説明する。ゼルニケ係数C 2j−iは、例えば、ハルトマン板22を介して第1受光部23で得られた光束の傾き角に基づいて被検眼60の光学特性を把握するための重要なパラメータである。
被検眼60の波面収差W(X,Y)は、ゼルニケ係数C 2j−i、ゼルニケ多項式Z 2j−iを用いて次式で表される。
Figure 0004528049
ただし、(X,Y)はハルトマン板22の縦横の座標である。
また、波面収差W(X,Y)は、第1受光部23の縦横の座標を(x、y)、ハルトマン板22と第1受光部23の距離をf、第1受光部23で受光される点像の移動距離を(△x、△y)とすると、次式の関係が成り立つ。
Figure 0004528049
Figure 0004528049
ここで、ゼルニケ多項式Z 2j−iは、以下の式(4)及び式(5)で表される(より具体的な式は、例えば特開2002−209854号公報参照)。
Figure 0004528049
Figure 0004528049
なお、ゼルニケ係数C 2j−iは、以下の式(6)で表される自乗誤差を最小にすることにより具体的な値を得ることができる。
Figure 0004528049
ただし、W(X、Y):波面収差、(X、Y):ハルトマン板座標、(△x、△y):第1受光部23で受光される点像の移動距離、f:ハルトマン板22と第1受光部23との距離。
演算部210は、ゼルニケ係数C 2j−iを算出し、これを用いて球面収差、コマ収差、非点収差等の眼光学特性を求める。
(瞳径の正規化)
ゼルニケ多項式は、常に半径1の円内での形を示しており、ある瞳径(瞳孔径)でゼルニケ解析するときは、その瞳半径で規格化する。例えば、瞳半径rの瞳孔の中心座標を(0,0)としたときに、瞳孔内の点P(X、Y)は、ゼルニケ解析するときはP(X/r、Y/r)とする。ハルトマン像のスポットの重心点がPのとき、この点と対応する参照格子点Pref(Xref、Yref)は、Pref(Xref/r、Yref/r)として点像の移動距離を求め、ゼルニケ係数を算出する。実際の波面(座標が規格化されていない波面)W(X,Y)は、次式で表される。
Figure 0004528049
ただし、(X、Y):規格化されていない座標、(x、y):規格化された座標である。
3.ランドルト環
図5に、ランドルト環の説明図を示す。
以下に、ランドルト環の輝度分布関数Land(x,y)のデータの作成について説明する。
ランドルト環は確認できる最小視角の逆数で表され、1分の視角を確認できる能力を、視力1.0という。例えば、確認できる最小視角が2分なら視力は1÷2で0.5、10分なら1÷10で0.1と定義されている。一般にランドルト環は、図に示すように外側のリングの大きさに対して1/5の大きさの隙間を空けたものを指標として用いる。
眼底に投影されるランドルト環の大きさdは、視力Vのときに
Figure 0004528049
(R: 瞳から像点(網膜)までの距離)
で計算できる。この式とランドルト環の定義をもとにランドルト環の黒い部分を0、白い部分を1としてランドルト環の輝度分布関数Land(x,y)を作成する。作成された輝度分布関数Land(x,y)のデータはメモリ240に記憶され、演算部210により読み出され、所定の視力に対応して設定される。
4.矯正データ測定方法
4−1 メインフロー
図6に、コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャートを示す。
まず、眼光学特性測定装置は、被測定眼60の瞳位置のX、Y、Z軸をアライメントする(S2101)。次に、測定装置は、可動部の原点移動を行う(S2103)。例えば、ハルトマン板22やプラチドリング71等をゼロディオプターに合わせる。演算部210は、測定された受光信号(4)、(7)及び/又は(10)に基づき、瞳径と、角膜形状及び角膜収差Wco等の角膜データと、全波面収差及びゼルニケ係数等の眼球光学系データ(例えば、眼球光学系収差Weye)を測定する(S2105)。なお、ステップS2105の詳細は後述する。
演算部210は、矯正眼光学系シミュレーションを行う(S2106)。例えば、演算部210は、ステップS2105で測定された眼球光学系の収差から角膜収差を除き、これにコンタクトレンズ等の矯正光学系の収差を加えて、例えばコンタクトレンズによる矯正後の矯正光学系収差を求める(矯正眼光学系シミュレーション−1)。又は、例えば、演算部210は、ステップS2105で測定された眼球光学系の収差Weyeから、その二次収差を除くことにより、例えば眼鏡による矯正後の矯正光学系収差Wcorrectを求めてもよい(矯正眼光学系シミュレーション−2)。
図32は、矯正眼光学系及び矯正光学系の説明図である。本実施の形態では、図32(a)は矯正眼光学系の概略を示す。矯正眼光学系は、例えば、コンタクトレンズ、涙液層、被測定眼を含む。コンタクトレンズを装用していない場合、空気・角膜間のように屈折率が大きく変化する箇所の収差(例えば、角膜収差)の影響が大きいが、コンタクトレンズを装用すると、角膜での収差よりも、空気と触れるコンタクトレンズの前面形状による収差の影響がおおきくなる。そこで、本実施の形態では、例えば、図32(a)に示すような光学系を想定することで、コンタクトレンズ装用における最適な処方値を得ることを可能にする。なお、涙液層を省略することもできる。
図32(b)は、矯正光学系の概略を示す。矯正光学系は、例えば、コンタクトレンズ、涙液層、角膜を含む。測定される被検眼の収差から角膜収差を差し引き、例えば図32(b)に示すような矯正光学系の収差を加えることにより、図32(a)の矯正眼光学系の収差を得ることができる。
図7は、ステップS2106の矯正眼光学系シミュレーション−1のサブフローチャートである。以下、矯正眼光学系シミュレーション−1の詳細な処理について説明する。
まず、演算部210(例えば、矯正データ演算部213、以下ステップ2205まで同様)は、ステップS2105で求められた眼球光学系収差Weyeから角膜収差Wcoを除いて、眼内収差Winterを求める(S2201)。
眼内収差Winter=眼球光学系収差Weye−角膜収差Wco
次に、演算部210は、コンタクトレンズ装用時におけるコンタクトレンズ及び角膜を含む収差WCLCOを算出する(S2203)。例えば、本実施の形態では、コンタクトレンズの前面形状に応じた収差を含めることができる。なお、コンタクトレンズ前面形状は、例えば矯正球面度数、コンタクトレンズ後面形状、メーカ、コンタクトレンズの種類によって変化する。演算部210は、空気の層、コンタクトレンズの層、涙液層、角膜らをそれぞれレンズ群として考え、これらを全体の光学系(矯正光学系)として全体の収差(以下、CL・角膜収差、又は矯正光学系収差と称す)WCLCOを求める。
例えば、矯正データ演算部213は、波面収差演算部211により求められた波面収差に基づいた又は予め定められた仮球面度数と、角膜・コンタクトレンズデータ演算部212により求められた角膜形状とに応じた、コンタクトレンズの厚さ、後面径、形状、曲率及び屈折率のいずれか又は複数を含む装用矯正データに基づいて、光線追跡によりコンタクトレンズを含む矯正光学系の収差を求める
なお、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズでは、レンズの前面形状の変化が異なるため、以下のようにハードレンズ、ソフトレンズに応じた処理を行うことができる。例えば、ハードコンタクトレンズであれば、コンタクト自体の形状は保たれ、及び、角膜の波面収差は打ち消されるので、コンタクトレンズの前面形状による球面収差が被測定眼に付加されるとして近似的にCL・角膜収差WCLCOを計算することもできる。一方、ソフトコンタクトレンズであれば角膜形状に完全に(又はほぼ完全に)沿うと仮定し、又は、それぞれのコンタクトの剛性等に基づき角膜形状に沿う度合いを計算して、シミュレーションすることができる。
なお、演算部210は、ハードコンタクトレンズか又はソフトコンタクトレンズかを、入力部270から入力していずれの処理を実行するか判断してもよいし、選択されたコンタクトレンズIDに基づいて、ハードコンタクトレンズか又はソフトコンタクトレンズかを判別し、いずれの処理を実行するか判断してもよい。
図33は、ハードコンタクトレンズの場合の処理フローを示す。
まず、ハードコンタクトレンズの場合の処理について説明する。まず演算部210は、例えば、メーカID、型番などのコンタクトレンズの種類を示す識別情報(以下、コンタクトレンズID)を選択する(S2231)。なお、コンタクトレンズIDは、メーカID等以外にも適宜の識別情報を用いることができる。演算部210は、例えば入力部270からコンタクトレンズIDを入力することができる。また、演算部210は、前面形状テーブル又は後面形状テーブルに記憶されているコンタクトレンズIDの一覧及びこの一覧の中からコンタクトレンズIDを選択する指示を表示部230に表示して、入力部270から選択されたコンタクトレンズIDを入力してもよい。
演算部210は、選択されたコンタクトレンズIDと、ステップS2105で求められた角膜形状又はケラト値とに基づき後面形状テーブルを参照して、対応する後面形状データを取得する(S2233)。次に、演算部210は、選択されたコンタクトレンズIDと、取得された後面形状データと、仮球面度数とに基づき前面形状テーブルを参照し、対応する前面形状データ、曲率、屈折率等を取得する(S2235)。なお、仮球面度数としては、例えば、レフ値、もしくは波面収差から算出した値などを用いてもよいし、予めメモリ240に記憶してある値や入力部270から入力された値を用いてもよい。
次に、演算部210は、測定された角膜形状、与えられたコンタクトレンズのデータ(前面及び後面の曲率、屈折率等)を利用して、CL・角膜収差WCLCOを光線追跡法などにより求める(S2237)。「光線追跡法」は、光学系を通過する光領の状態をいい、幾何学的に計算により求める方法であり、一般に用いられる手法を用いることができる。例えば市販されている適宜のソフトウェアを用いることができるが、これに限られない。演算部210は、例えば光学系として空気−コンタクトレンズ−角膜(屈折率1.3375)として、コンタクトレンズ装用時のCL・角膜収差をシミュレーションすることができる。また、このときの球面度数、乱視度数を算出することができる。シミュレーションとして、演算部210は、無限遠、もしくは第1照明光学系10と第1受光光学系20の移動量から求められた球面度数もしくは眼球光学系収差Weyeから求められた球面度数に応じた眼の焦点位置に光源があるとして行える。
また、涙液層を考慮して、コンタクトレンズ装用時のCL、涙液層、角膜前面を含む光学系による収差を光線追跡により算出することもできる。上述と同様に、ハードコンタクトレンズのときはコンタクトレンズの形状は保たれるとし、ソフトコンタクトレンズのときは角膜形状の影響を受けるとして解析を行う。涙液層の厚みは経験上例えば2μmとすることができるが、これに限らず所定の厚みとしてもよい。コンタクトレンズの素材(屈折率)、厚さ、装用前の前面形状、後面形状は、コンタクトレンズの種類(コンタクトレンズID)ごとに各データが前面形状テーブル及び/又は後面形状テーブルに記憶されている。
例えば、演算部210は、光学系として空気−コンタクトレンズ−涙液層(屈折率1.337)−角膜(屈折率1.3375)として、コンタクトレンズ装用時のCL・角膜収差をシミュレーションすることができ、このときの球面度数、乱視度数を算出することができる。涙液層は、角膜形状とコンタクトレンズの後面形状に基づき、所定の厚さを有するものとして想定できる。
また、演算部210は、光線追跡をする代わりに、CL・角膜の球面収差(C 、C 、・・・)だけ発生するとして、例えば、光線追跡のための形状、屈折率等の所定のデータに対応して、予め計算された球面収差が記憶されたテーブルを参照して、形状、屈折率等に対応する収差WCLCOを求めてもよい。
なお、ハードコンタクトレンズで乱視補正のものを使用する場合はこの限りではなく、非点収差なども考慮に入れて光線追跡により収差WCLCOを計算してもよい。もしくは、予め計算された非点収差等が記憶されたテーブルを有し、このテーブルを参照して収差WCLCOを求めてもよい。なお、球面収差、非点収差等を複数考慮して収差WCLCOを求めてもよい。また、上述の処理は、ハードコンタクトレンズに限らず、ソフトコンタクトレンズについても同様に実行してもよい。
図34は、ソフトコンタクトレンズの場合の処理フローである。
次に、ソフトコンタクトレンズの場合の処理について説明する。ソフトコンタクトレンズの場合、コンタクトレンズの形状は、角膜形状に沿って変形すると考えられ、ソフトコンタクトレンズの厚み分各位置での前面形状が変化することを考慮に入れて形状を算出することができる。
まず、演算部210は、コンタクトレンズIDを選択する(S2251)。演算部210は、例えば上述と同様に入力部270からコンタクトレンズIDを入力することができる。演算部210は、装用されるコンタクトレンズの後面形状が、求められた被検眼の角膜形状とフィット(又はほぼフィット)するとして、角膜形状に応じてコンタクトレンズの後面形状を求める(S2253)。また、例えば、コンタクトレンズに剛性があるものであれば、経験上角膜形状の何割程度を補正するかを予めデータとして記憶しておき、その割合に応じた分の形状を補正してもよい。
例えば、コンタクトレンズIDに対応して、角膜形状の何割程度を補正するかを示す経験値(%)が記憶された補正テーブルを有し、演算部210は、設定されたコンタクトレンズIDに基づき補正テーブルを参照して対応する経験値を読み出し、角膜形状と読み出された経験値に基づきコンタクトレンズの装用時の後面形状を求める。なお、このとき、球面収差は補正の対象としないが、これに限られない。なお、演算部210は、上述のハードコンタクトレンズの場合と同様に、選択されたコンタクトレンズIDと、ステップS2105で求められた角膜形状又はケラト値とに基づき、後面形状テーブルを参照して対応する後面形状データを取得してもよい。
次に、演算部210は、選択されたコンタクトレンズIDと、求められた後面形状と、仮球面度数とに基づき前面形状テーブルを参照し、コンタクトレンズの前面形状を求める(S2255)。なお、仮球面度数としては、例えば、レフ値、もしくは波面収差から算出した値などを用いてもよいし、予めメモリ240に記憶してある値や入力部270から入力された値を用いてもよい。演算部210は、例えば、コンタクトレンズの形状が測定された角膜形状にフィットするとして、前面形状を角膜形状に応じた形状に変化したコンタクトレンズ後面が元の形状から変化した分を前面形状に付加されるとすることができる。また、例えば、コンタクトレンズに剛性があるものであれば、経験上角膜形状の何割程度を補正するかを予めデータとして記憶しておき、その割合に応じた分の形状を補正してもよい。
例えば、コンタクトレンズIDに対応して、角膜形状の何割程度を補正するかを示す経験値(%)が記憶された補正テーブルを有し、演算部210は、設定されたコンタクトレンズIDに基づき補正テーブルを参照して対応する経験値を読み出し、角膜形状と読み出された経験値に基づきコンタクトレンズの装用時の前面形状を求める。なお、このとき、球面収差は補正の対象としないが、これに限られない。
次に、演算部210は、選択されたコンタクトレンズIDと、求められた後面形状と、求められた前面形状から、対応する曲率、屈折率等を取得する(S2257)。
なお、上述と同様に、演算部210は、例えば光学系として空気−コンタクトレンズ−角膜として、コンタクトレンズ装用時のCL・角膜収差をシミュレーションすることができる。また、演算部210は、光学系として空気−コンタクトレンズ−涙液層−角膜として、コンタクトレンズ装用時のCL・角膜収差をシミュレーションすることができる。
次に、演算部210は、取得された曲率及び屈折率等のデータ及び求められた前面形状等に従い、例えば光線追跡によりコンタクトレンズ及び角膜を含むCL・角膜収差WCLCOを求める(S2259)。光線追跡として、演算部210は、無限遠、もしくは第1照明光学系10と第1受光光学系20の移動量から求められた球面度数もしくは眼球光学系収差Weyeから求められた球面度数に応じた眼の焦点位置に光源があるとして行える。なお、光線追跡は、一般に入手可能なソフトウェアを使用することができる。光線追跡における入力データは、例えば、各面の曲率半径、屈折率、形状データ、面間隔等である。形状データは、例えば、ゼルニケ係数などで表すことが可能である。なお、球面収差(C 、C 、・・・)だけ発生するとして、予め計算された球面収差が曲率、屈折率、前面形状等に対応して記憶されたテーブルを有し、演算部210は、光線追跡をする代わりにこれを参照して収差を求めてもよい。
図7に戻り、次にステップS2205では、演算部210は、眼内収差WinterにCL・角膜収差WCLCOを加えて、矯正眼光学系収差Wcorrectを求める(S2205)。
矯正眼光学系収差Wcorrect=眼内収差Winter+CL・角膜収差WCLCO
ここで求められる矯正眼光学系収差Wcorrectは、コンタクトレンズ装用時の被検眼及びコンタクトレンズを含む光学系の収差を示す。
図6に戻り、次に、演算部210は、矯正画像シミュレーションを行う(S2107)。演算部210は、求められた矯正眼光学系の収差に基づき矯正画像シミュレーションを実行し、コンタクトレンズ装用時における最適な処方値を求める。例えば、演算部210は、ストレール比、PTF、MTF(Modulation Transfer Function)のいずれか又は複数を被測定眼60での見え具合の質を表す評価パラメータとして、適正な矯正データを求める。また、例えば、演算部210は、検眼用視標の見え具合をシミュレーションし、所定のテンプレートとの比較結果を評価パラメータとして適正な矯正データを求めても良い。なお、ステップS2107の詳細は後述する。
演算部210は、表示部230及びメモリ240に出力する(S2109)。なお、前の処理において既にデータ出力されている場合、ステップS2109の処理を省略しても良い。
4−2 瞳径、角膜データ、眼球光学系データ測定
図8は、ステップS2105の瞳径の算出、角膜データ及び眼球光学系データの測定についてのサブフローチャートである。また、図9は、瞳径算出の説明図である。なお、瞳径の算出を省略し、予め決められた径(例えばφ4mm)若しくは被測定眼60個々の白昼時の径などを用いることができる。
まず、演算部210は、第1受光部20及び第2受光部35からハルトマン像及び前眼部像を取得する(S601)。演算部210は、第5光源部91により、所望の環境条件における照明状態で被測定眼60を照明させ、第1受光部20及び第2受光部35からハルトマン像及び前眼部像を取得する。例えば、演算部210は、表示部230に矯正データを求める環境条件を選択する指示を表示し、選択された環境条件を入力部270から入力してもよい。環境条件としては、例えば、「昼間視」、「薄暮視」、「室内(蛍光灯下)」、「夜間視」、「通常の視力測定」等である。次に、演算部210は、例えば、予めメモリ240に記憶された環境条件と照明状態が対応したテーブルを参照し、入力した環境条件に対応する照明状態を取得する。各環境条件での照明状態としては、例えば、「通常の視力測定」の場合は50[lx]、「昼間視」は100000[lx]、「室内(蛍光灯下)」は2000[lx]等とすることができる。なお、これらの値は、その環境条件に応じた適宜の値を用いることができる。環境としては、通常より大型の固視標を用いることが望ましい。ここでは、第5光源部91により、所望の環境条件における照明状態で被測定眼60を照明させているが、被検眼の周囲の照明や、背景の照明を利用して、その照明状態を作り出すように構成しても差し支えない。
演算部210は、制御部220を介し、第5光源部91に対して取得した照明状態に応じた信号(11)を出力し、被測定眼60を照明させる。また、演算部210は、照明状態を暗い方から明るい方へ順次変化させ、複数の照明状態におけるハルトマン像及び前眼部像取得することができる。
なお、演算部210は、ステップS601を省略し、予め測定されメモリ240に記憶されているハルトマン像データと、前眼部像、瞳孔エッジ上の点などの瞳孔形状、瞳径のいずれかを含む瞳径データとを読み込んでもよい。また、例えば、演算部210は、瞳径データとして電子カルテ内にある、過去に撮影されメモリ240に記憶された写真データをメモリから読み込み、前眼部像を取得してもよい。
次に、演算部210(例えば、瞳径測定部215、以下のステップS607まで同様)は、取得した前眼部像に基づいて、瞳孔のエッジ上の点P(i=1〜n)を、例えば36点(n=36)検出する(S603)。演算部210は、画像処理の手法により、取得した前眼部像の光量の変化(画像上の濃淡)を検出し、瞳孔のエッジ上の点を求めることができる。図9において、検出点Pは+の印で表されている点である。
次に、演算部210は、検出した瞳孔のエッジ上の点に最もフィットする楕円フィッティングを行う(S605)。まず、演算部210は、楕円の焦点(図9における点F1、F2)を求める。例えば、演算部210は、焦点の初期値として予め設定されている2点の座標をメモリ240から読み出す。次に、演算部210は、検出点Pから読み出した2点までの距離をそれぞれ求め、距離の和をLとする。演算部210は、全ての検出点Pについて距離の和Lを求め、Lの平均値Aを求める。さらに、演算部210は、最小2乗近似等の手法を用いて、次式で表される距離の和Lと平均値Aの自乗誤差Seが最小となる2点を算出することにより、楕円の焦点を求めることができる。
Figure 0004528049
ただし、L:エッジ上の点Pから2点F1、F2までの距離の和、A:エッジ上の各点におけるLの平均値、n:検出したエッジ上の点数である。なお、これ以外にも適宜の方法により、楕円の焦点を求めてもよい。
次に、演算部210は、楕円上の1点から焦点(F1及びF2)までの距離の和Lを求める。なお、演算部210は、上述の平均値Aを楕円上の1点から焦点までの距離の和Lとしてもよい。次に、演算部210は、楕円の長軸の長さ(長径)及び短軸の長さ(短径)から、瞳径を算出する(S607)。長軸の長さ2a及び短軸の長さ2bは、次式で表すことができる。
Figure 0004528049
ただし、L:エッジ上の点から焦点までの距離の和、(x1、y1)、(x2、y2):楕円の焦点である。瞳径dは、例えば、長軸の長さ2a及び短軸の長さ2bの平均値とすると、次式で表される。
Figure 0004528049
なお、平均値を瞳径とする以外にも、短軸の長さ、長軸の長さ、短軸及び長軸の長さの中間値等、長軸の長さ2a、短軸の長さ2bに基づく適宜の値を用いてもよい。
また、演算部210は、白昼時における瞳径とする照明状態以外に、被検者の希望する環境(例えば、事務室、教室、夜間の運転時等)における瞳径とする照明状態になるように第5光源部91の明るさを調整してもよい。これにより、被検者の希望する環境での最適な処方値を解析することができる。なお、演算部210は、ステップS603〜S607の処理の代わりに、予めメモリ240に記憶された瞳径(例えば、φ4mm)を読み込んでも良い。
演算部210(例えば、角膜・コンタクトレンズデータ演算部212)は、角膜データを算出する(S608)。
図10は、角膜データ算出を示すフローチャートである。図10を参照して、上述のステップS608の処理について詳細に説明する。
まず、演算部210は、第2受光部35からの信号(取得された前眼部像)に基づき、角膜頂点を基準とし、プラチドリングの受光位置に応じて角膜形状の高さを示す角膜形状のマップ(height map)のデータを算出する(S301)。演算部210は、ステップS301で求めた角膜形状になるべくフィットする参照球面の形状を算出する(S302)。これにより、ゼルニケ係数の算出精度の向上が図れる。なお、測定範囲(例えば、φ3、φ7又は求められた瞳径)に応じて必要な個所を求めれば足りる。
次に、演算部210は、角膜形状の成分(height map、height data)から参照球面の成分を減算する(S303)。これにより、参照球面との相違のみの残差成分が求められる。演算部210は、参照球面の球面収差を算出する(S304)。演算部210は、ステップS303で求めた残差成分の波面収差を算出する(S305)。角膜形状の成分から波面収差を算出するときは角膜の換算屈折率(1.3375)もしくは何らかの方法で算出された角膜の屈折率を使用する。また、測定波面と参照球面の波面収差を合成したのちにゼルニケ係数を算出する第1測定モードと、ゼルニケ係数を測定波面と参照球面の波面収差のそれぞれの収差に対して求めて、ゼルニケ係数を合成する第2測定モードとの間で選択が行われる(S306)。ここで、第1測定モードの選択がされると(S306)ステップS307に進み、第2測定モードが選択されると(S306)ステップS309に進む。
第1測定モードでは、ステップS304で求められた参照球面の波面収差と、ステップS305で求められた残差成分の波面収差を加えた後、それらの波面収差を角膜波面収差WCOとして求める(S307)。さらに、ステップS307で求められた角膜波面収差のゼルニケ係数を算出する(S308)。なお、このゼルニケ係数は、角膜収差を示している。
一方、ステップS306において、第2測定モードが選択されると、参照球面の波面収差からゼルニケ係数を算出する(S309)。つぎに、ステップS305で求められた残差成分の波面収差からゼルニケ係数を算出する(S310)。ステップS309、S310で求められたゼルニケ係数を合成して、角膜収差を求める(S311)。
また、上述のステップS301〜S311を実行して角膜データを算出する以外にも、演算部210は、プラチドリングの受光位置に応じて角膜形状の高さを示す角膜形状のマップ(Height Map)を算出し、第1照明光学系10と第1受光光学系20の移動量から求められた球面度数もしくは眼球光学系収差Weyeから求められた球面度数に応じた眼の焦点位置に光源があるとし、その角膜形状のマップを持つ角膜に光束を入射させて光線追跡を行い角膜収差Wcoを算出することもできる。なお、光線追跡は、一般に入手可能なソフトウェアを使用することができる。光線追跡における入力データは、例えば、各面の曲率半径、屈折率、形状データ、面間隔等である。形状データは、例えば、ゼルニケ係数などで表すことが可能である。本実施の形態では、一例として角膜前面の形状をゼルニケ係数で算出したデータを使用する。また、Height Mapをゼルニケ多項式に解析して、解析されたデータを光線追跡のときに使用することも可能である。なお、演算部210は、適宜のタイミングで、ケラト値を求めてもよい。
図8に戻り、次に演算部210(例えば、波面収差演算部211)は、瞳径及びハルトマン像に基づき、眼球光学系データを算出する(S609)。ここで眼球光学系とは、被測定眼全体の光学系を示す。まず、演算部210は、ステップS601で取得したハルトマン像から各スポットの重心点を検出する。次に、演算部210は、検出した重心点座標を瞳半径rで規格化する。ここで、瞳半径r=瞳径d/2である。すなわち、演算部210は、瞳半径rの瞳孔の中心座標を(0、0)としたときに、瞳径の範囲内にある重心点P(X、Y)をP(X/r,Y/r)とし、ハルトマン像のスポットの重心点がPのとき、この点と対応する参照格子点Pref(Xref、Yref)を、Pref(xref/r、yref/r)とする。実際の波面(座標が規格化されていない波面)W(X、Y)は、次式で表される。
Figure 0004528049
ここで、(X、Y):規格化されていない座標、(x、y):規格化された座標である。
演算部210は、規格化した座標を用いて、ゼルニケ係数、全波面収差等の眼球光学系データを算出する。また、演算部210は、適宜のタイミングでデータをメモリ240に記憶する。
4−3 矯正画像シミュレーションの第1のフローチャート
図11に、上記ステップS2107の矯正画像シミュレーションのフローチャートを示す。
演算部210(例えば、矯正データ演算部213)は、最良画像条件を計算する(S201)。この詳細は後述するように、演算部210はストレール比が最大になるように、又は、位相シフトができる限りなくなるように、低次ゼルニケ係数を求め、補正矯正データを求める。補正矯正データとしては、例えば、デフォーカス(Defocus)にあたる係数、乱視成分、S、C、A、高次球面収差、高次非点収差、高次コマ収差、ストレール比等のうち適宜のデータが挙げられる。
演算部210(例えば、シミュレーション部214、以下ステップS215まで同様)は、S201で求められた最良画像条件時の波面収差W(x,y)に基づき、そのW(x,y)から瞳関数f(x,y)を次式により計算する(S203)。
Figure 0004528049
演算部210は、ランドルト環(又は任意の像)の輝度分布関数Land(x,y)をメモリ240を参照して計算する(S205)。演算部210は、Land(x,y)を2次元フーリエ変換して空間周波数分布FR(u,v)を求める(S207)。演算部210は、ランドルト環(又は任意の像)の空間周波数分布FR(u,v)と眼球の空間周波数分布OTF(u,v)を次式のように掛け合わせることで、眼の光学系通過後の周波数分布OR(u,v)を求める(S209)。
FR(u,v)×OTF(u,v)→OR(u,v)
つぎに、演算部210は、OR(u,v)を2次元逆フーリエ変換してランドルト環(又は、任意の像)の輝度分布画像LandImage(X、Y)を求める(S211)。演算部210は、LandImage(X、Y)、PSF(X,Y)を表示部230に、図、グラフィックデータ、グラフ及び/又は数値等の適宜の表示方法で表示し、そのデータを適宜メモリ240に記憶する(S213)。演算部210は、補正矯正データを、必要に応じてメモリ240から読み出し、表示部230に出力する(S215)。
(ストレール比に基づく矯正データ算出)
図12に、最良画像条件計算の第1例についてのフローチャートを示す。図12は、上述のステップS201についての詳細フローチャート(1)である。
まず、演算部210は、分岐条件として各収差量RMS 2j−iの閾値を設定する(S401)。例えば、この閾値は、収差の十分小さい値(例、0.1)とすることができる。演算部210は、求められた矯正眼光学系収差Wcorrectからゼルニケの係数C 2j−iを算出し、次式により収差量RMS 2j−iに変換する(S403)。
Figure 0004528049
演算部210は、RMS 2j−i(i>2)の値の少なくともひとつが閾値以上であるか否か判断する(S405)。ここでNoと判断された場合、ステップS419に進む。一方、ここでYesと判断されると次の処理を演算部210は実行する。
すなわち、演算部210は、収差量RMS(R 2j−i)の高次球面収差量R 、R ・・・の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S407)。ここでYesの場合、演算部210は、ストレール比が最大となるように収差のデフォーカスにあたる係数(C )を変化させ(S409)、一方、Noの場合は、ステップS411に進む。なお、球面度数に対応する係数C を変化させるためにコンタクトレンズ形状を変化させると他の収差も変化するため、近似的にこのときの係数C 、C の変化量を加えて対応させることができる。一方、最適な矯正値を求めるために、C を変化させるたびにCL・角膜収差WCLCOを算出し、及び矯正眼光学系収差Wcorrectを算出しなおすことにより、高い精度での矯正値を求めることもできる。矯正眼光学系収差Wcorrectの算出は、例えば、上述の図7に示す各ステップを実行することができる。
つぎに、演算部210は、非対称である高次コマ様収差成分RMS 2j−i(i:奇数)の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S411)。ここで、Yesの場合、演算部210は、ストレール比が最大となるように収差のデフォーカスにあたる係数(C )を変化させ(S413)、一方、Noの場合はステップS414に進む。なお、ここでも上述のステップS409と同様に、近似的にこのときのC 、C の変化量を加えて対応させることができ、また、最適な矯正値を求めるために、C を変化させるたびにCL・角膜収差WCLCOを算出し、及び矯正眼光学系収差Wcorrectを算出しなおすことにより、高い精度での矯正値を求めることもできる。
次に、演算部210は、乱視矯正を行うか判断する(S414)。例えば、乱視矯正を行うか否かが予め設定されていてもよいし、入力部から乱視矯正を行うか否かの指示を入力してもよい。演算部210は、乱視矯正を行うと判断した場合(S414)、ステップS415へ移り、一方乱視矯正を行わないと判断した場合(S414)、ステップS419へ移る。
ステップS415では、演算部210は、高次非点収差量RMS 2j−i(i:偶数、かつ2j−i≠0)の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S415)。ここで、Yesの場合、演算部210は、ストレール比が最大となるように収差に乱視成分(C −2、C )を加え(S417)、一方、Noの場合ステップS419に進む。
こうして、演算部210は、収差からOTF(u,v)、PSF(X,Y)を算出し、さらにゼルニケ係数から補正矯正データ(デフォーカスにあたる係数、乱視成分、S、C、A、高次球面収差、高次非点収差、高次コマ収差、ストレール比等の適宜のデータ)を算出し、メモリ240に蓄えておく(S419)。
なお、デフォーカス、乱視成分のうち所望の成分のみ補正するように、各ステップS407及びS409、S411及びS413,S415及びS417、の組のいずれかを省略してもよいし、また、これら以外の適宜の高次収差又はゼルニケ係数を補正するようにステップを追加してもよい。例えば、4次の球面収差が高次収差に主として含まれている場合に、低次収差に相当するデフォーカス量を増加させる方向に補正することで補正矯正データを得ることができる。
つぎに、ステップS409、S413、S417の詳細処理について説明する。各ステップにおいて、演算部210は、次のように処理を実行する。
演算部210は、より最適な像面を求めるためにフローで1つ前に注目した高次収差量(RMS 、RMS ・・・)の閾値から高次収差量と同程度の収差量分の今注目している各ステップにおける低次ゼルニケ係数C 2j−i(1≦i≦2)を波面収差W(x,y)に加える。例えば、ステップS409ではC ステップS413ではC 、ステップS417ではC −2、C である。
さらに瞳関数f(x,y)は、波面収差W(x、y)から以下のように求められる。
f(x,y)=eikW(x,y)
(i:虚数、k:波数ベクトル(2π/λ)、λ:波長)
ここで、W(x、y)は、矯正眼光学系収差Wcorrect又はそれをストレール比が最大となるように変化させた波面収差である。また、演算部210は、この瞳関数f(x,y)をフーリエ変換することにより点像の振幅分布U(u,v)を次式のように求める。
Figure 0004528049
(λ:波長
R:瞳から像点(網膜)までの距離
(u,v):像点Oを原点とし,光軸に直行する面内での座標値
(x,y):瞳面内の座標値)
演算部210は、U(u,v)とその複素共役を掛けて、次式により点像強度分布(PSF)であるI(u,v)を求める。
I(u,v)=U(u,v)U(u,v)
また、ストレール比は、無収差(W(X,Y)=0)のときのPSFの中心強度をI(0,0)とすると、
ストレール比=I(0,0)/I(0,0)
で定義されている。
第1の例では、演算部210は、ストレール比の値が最大になるような低次ゼルニケ係数C 2j−i(1≦i≦2)の値を再帰的、或いは解析的に求める。
(位相シフトに基づく矯正データ算出)
図13に、最良画像条件計算の第2の例についてのフローチャートを示す。
まず、演算部210は、分岐条件として各収差量RMS 2j−iの閾値を設定する(S501)。例えば、この閾値は、収差の十分小さい値(例、0.1)とする。
演算部210は、求められた矯正眼光学系収差Wcorrectからゼルニケの係数C 2j−iを算出し、第1例で示した式により収差量RMS 2j−iに変換する(S503)。演算部210は、RMS 2j−i(i>2)の値の少なくともひとつが閾値以上であるか否か判断する(S505)。ここで、Noと判断された場合、ステップS519に進む。一方、ここでYesと判断されると次の処理を演算部210は実行する。
すなわち、演算部210は、高次球面収差量R 、R ・・・の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S507)。ここで、Yesの場合、演算部210は、位相シフトができる限りなくなるように収差のデフォーカスにあたる係数(C )を変化させ(S509)、一方、Noの場合は、ステップS511に進む。
なお、球面度数に対応する係数C を変化させるためにコンタクトレンズ形状を変化させると他の収差も変化するため、近似的にこのときの係数C 、C の変化量を加えて対応させることができる。一方、最適な矯正値を求めるために、C を変化させるたびにCL・角膜収差WCLCOを算出し、及び矯正眼光学系収差Wcorrectを算出しなおすことにより、高い精度での矯正値を求めることもできる。矯正眼光学系収差Wcorrectの算出は、例えば、上述の図7に示す各ステップを実行することができる。
つぎに、演算部210は、高次コマ様収差成分R 2j−i(i:奇数)の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S511)。ここで、Yesの場合、演算部210は、位相シフトができる限りなくなるように収差にデフォーカスにあたる係数(C )を変化させ(S513)、一方、Noの場合はステップS515に進む。なお、ここでも上述のステップS509と同様に、近似的にこのときのC 、C の変化量を加えて対応させることができる。また、最適な矯正値を求めるために、C を変化させるたびにCL・角膜収差WCLCOを算出し、及び矯正眼光学系収差Wcorrectを算出しなおすことにより、高い精度での矯正値を求めることもできる。
次に、演算部210は、乱視矯正を行うか判断する(S514)。例えば、乱視矯正を行うか否かが予め設定されていてもよいし、入力部から乱視矯正を行うか否かの指示を入力してもよい。演算部210は、乱視矯正を行うと判断した場合(S514)、ステップS515へ移り、一方乱視矯正を行わないと判断した場合(S514)、ステップS519へ移る。
ステップS515では、演算部210は、高次非点収差量R 2j−i(i:偶数、かつ2j−i≠0)の少なくともひとつが閾値以上であるか判断する(S515)。ここで、Yesの場合、演算部210は、位相シフトができる限りなくなるように収差に乱視成分(C −2、C )を加え(S517)、一方Noの場合ステップS519に進む。
こうして、演算部210は、収差からOTF(u,v)、PSF(X,Y)を算出し、さらにゼルニケ係数から補正矯正データ(デフォーカスにあたる係数、乱視成分、S、C、A、高次球面収差、高次非点収差、高次コマ収差、PTF等の適宜のデータ)を算出し、メモリ240に蓄えておく(S519)。
なお、デフォーカス、乱視成分のうち所望の成分のみ補正するように、各ステップS507及びS509、S511及びS513,S515及びS517、の組のいずれかを省略してもよいし、また、これら以外の適宜の高次収差又はゼルニケ係数を補正するようにステップを追加してもよい。
つぎに、ステップS509、S513、S517の詳細処理について説明する。演算部210は、次のように処理を実行する。
まず、ステップS409、S413、S417の詳細処理で説明したように、演算部210はゼルニケ係数から算出される他覚的な完全矯正時の波面の式から、点像強度分布(PSF)を求める。つぎに、演算部210は、次式のように、PSFをフーリエ変換(又は自己相関)して規格化することによりOTFを求める。
Figure 0004528049
一般に空間周波数領域の振幅と位相の分布R(r,s)は複素数になり、実数部A(r,s)、虚数部B(r,s)とすれば、
R(r,s)=A(r,s)+iB(r,s)
となり、位相のずれ(位相シフト、PTF)は、
Figure 0004528049
で計算できる。第2の例では、演算部210は、このR(r,s)が極値を持つ値をできる限り高周波に持っていくような即ち、位相シフトができる限りなくなるような低次ゼルニケ係数C 2j−iの値を再帰的、或いは解析的に求める。
なお、上述した最良画像条件計算の第1例及び第2例は、両方の処理を実行するようにしてストレール比が大きく且つ位相ずれが少ない条件を求めるようにしてもよい。
5.測定フローの変形例
(矯正眼光学系シミュレーション−2)
図14は、ステップS2106における矯正眼光学系シミュレーション−2のサブフローチャートである。図14に示す処理は、例えば、眼鏡による矯正の場合に用いられることができる。演算部210は、例えば、ステップS2105で測定された眼球光学系の収差Weyeから、その二次収差を除くことにより、矯正後の矯正光学系収差Wcorrectを求める。求められた矯正光学系収差Wcorrectは、例えば眼鏡による矯正後の収差を表す。このとき、眼鏡の高次収差Wglassが既知ならば、それを足して、さらに実際の眼鏡装用時の収差を精密に計算したWcorrectを算出してもよい。
(メインフローの変形例(1))
図15は、コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャートの変形例(1)を示す。図15に示すフローは、矯正眼光学系シミュレーションとして、上述のコンタクトレンズ用の矯正眼光学系シミュレーション−1と、上述の眼鏡用の矯正眼光学系シミュレーション−2とをそれぞれ実行し、コンタクトレンズと眼鏡のそれぞれについて、矯正画像シミュレーションを実行するものである。これにより、例えば、コンタクトレンズによる矯正と眼鏡による矯正の双方を表示することができ、両矯正を比較することが可能になる。なお、図6に示す処理と同様の処理については、図6と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、演算部210は、ステップS2101〜S2105の処理を実行する。次に、演算部210は、矯正眼光学系シミュレーション−1と矯正眼光学系シミュレーション−2をそれぞれ実行する(S2406)。ここで、演算部210は、例えば、図7に示す矯正眼光学系シミュレーション−1を実行して得られた矯正眼光学系収差Wcorrect(第1の矯正眼光学系収差)と、図14に示す矯正眼光学系シミュレーション−2を実行して得られた矯正眼光学系収差Wcorrect(第2の矯正眼光学系収差)とを、それぞれ記憶部に記憶する。
次に、演算部210は、矯正画像シミュレーションを行う(S2407)。例えば、演算部210は、記憶部に記憶された第1の矯正眼光学系収差に基づき、上述のステップS2107と同様にして矯正画像シミュレーションを実行してコンタクトレンズ矯正による矯正データ及び/又は見え具合を求め、さらに、記憶部に記憶された第2の矯正眼光学系収差に基づき、上述のステップS2107と同様にして矯正画像シミュレーションを実行して眼鏡矯正による矯正データ及び/又は見え具合を求める。
演算部210は、ステップS2407により得られたコンタクトレンズ矯正及び眼鏡矯正の矯正データ及び/又は見え具合を表示部にそれぞれ表示し、又は、出力部に出力する(S2409)。
(メインフローの変形例(2))
図16は、コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャートの変形例(2)を示す。検討したい種類のCLを装用して眼球光学系、角膜収差(コンタクトレンズ前面収差)WCLの測定を行い、そこから球面度数をずらしたことにより発生する収差(例えば、球面収差等)を付加してWcorrectを算出しなおし、上記と同様の処理を行う。なお、図6に示す処理と同様の処理については、図6と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、演算部210は、ステップS2101〜S2105の処理を実行する。ステップS2105では、角膜収差(コンタクトレンズ前面収差)を算出するときに角膜の屈折率を使用せず、装用しているコンタクトレンズの屈折率を使用して算出する。なお、ステップS2105における角膜形状は、本変形例におけるコンタクトレンズ前面形状に対応し、ステップS2105における角膜収差は、本変形例におけるコンタクトレンズの収差(例えば、前面収差)に対応する。次に、演算部210は、矯正眼光学系シミュレーション−3、又は、矯正眼光学系シミュレーション−4を実行する(S2106)。処理の詳細は、後述する。次に、演算部210は、ステップS2107及びS2109の処理を実行する。
(矯正眼光学系シミュレーション−3)
図17は、矯正眼光学系シミュレーション−3のサブフローチャートである。図17は、CLの度数を変化させたときに、高次収差も変化するとした場合におけるフローチャートである。
まず、演算部210(例えば、矯正データ演算部213、以下ステップS2507まで同じ)は、変更後のコンタクトレンズの球面度数を設定する(S2502)。例えば、演算部210は、入力部から球面度数を入力してもよいし、測定された収差等に基づく球面度数に対して増加又は減少させる指示を入力部から入力し、入力された指示に応じた球面度数を設定してもよい。
演算部210は、変更後のコンタクトレンズ前面の球面度数をずらしたことにより発生する収差WCL NEWを求める(S2503)。変更後のコンタクトレンズ前面形状は、コンタクトレンズID、設定された球面度数、及び、後面形状データに基づき前面形状テーブルを参照することにより既知であることから、コンタクトレンズ前面形状の高さを示すコンタクトレンズ前面形状のマップ(height map)のデータを算出し、ステップS2105でのコンタクトレンズ前面収差を算出したときと同様の方法で算出できる。または、形状、屈折率がわかっていることから光線追跡法により算出することもできる。演算部210は、設定された球面度数と装用しているコンタクトレンズの球面度数との差を求め、その差に応じた収差を求めてもよい。次に、演算部210は、求められたWCL NEWと装用しているCLの収差WCLの差を取り、補正されたWCL correctを求める(S2505)。
CL correct=WCL New−WCL
演算部210は、S2105で求められた眼球光学系収差Weyeに、求められたWCL correctを足し、矯正眼光学系収差Wcorrectを求める(S2507)。
矯正眼光学系収差Wcorrect=Weye+WCL correct
(矯正眼光学系シミュレーション−4)
図18は、矯正眼光学系シミュレーション−4のサブフローチャートである。図18は、CLの度数を変化させたときに、高次収差は変化しないとした場合におけるフローチャートである。
演算部210(例えば、矯正データ演算部213、以下ステップS2517まで同じ)は、装用されるコンタクトレンズの球面度数を設定する(S2512)。演算部210は、波面収差演算部211により求められた波面収差に基づく球面度数と、設定されたコンタクトレンズの球面度数とのずれ量を求め、求められた球面度数のずれ量に基づいて、該ずれにより発生する収差WCL NEWを求める(S2513)。
演算部210は、求められた収差WCL NEWと、求められた矯正光学系の収差WCLの差を取り補正された収差WCL correctを求める(S2515)。
演算部210は、S2105で求められた眼球光学系収差Weyeと、求められたWCL correctの二次収差を足し、矯正眼光学系収差Wcorrectを求める(S2517)。
矯正眼光学系収差Wcorrect=Weye+WCL correct(二次収差)
なお、矯正光学系の収差WCL、ずれにより発生する収差WCL NEW、補正された収差WCL correctのいずれか又は複数については、二次収差を求めるようにしてもよい。
6.矯正画像シミュレーションの変形例
6−1.矯正画像シミュレーションの第2のフローチャート(テンプレートマッチングにおける球面度数算出)
図19に、矯正画像シミュレーションの第2のフローチャートを示す。図19は、網膜像シミュレーションを行い、ランドルト環が判別できるように矯正球面度数を求めるフローチャートである。なお、以下の各フローチャートで同符号のステップは同様の処理が実行される。
まず、演算部210は、仮球面度数Srを算出する(S1401)。仮球面度数Srとしては、例えば、レフ値、もしくは波面収差(例えば、矯正眼光学系の波面収差)から算出した値などを用いてもよいし、予めメモリ240に記憶してある値や入力部270から入力された値を用いてもよい。
次に、演算部210は、シミュレーション用球面度数Ssの設定を行う(S1451)。Ssは、通常は、Srに対し、弱矯正に設定(例えばSs=Sr+5D)する。演算部210は、予め定められた視力Vs(例えば、Vs=0.1)のランドルト環の設定を行う(S1453)。
演算部210のシミュレーション部214は、ランドルト環網膜像シミュレーションを行い、視標画像データを得る(S1405)。ここで、シミュレーション部214は、まず予め定められたある方向(例えば上、下、右、左の方向にリングの隙間が空いたもの)のランドルト環に対して行う。すなわち、シミュレーション部214は、求められた矯正眼光学系収差Wcorrectに従い、ランドルト環がどのような見え具合であるかを示す視標画像データをシミュレーションにより求める。このシミュレーションの具体的処理は後述する。
つぎに、演算部210の矯正データ演算部213は、ランドルト環テンプレートマッチングを行う(S1407)。矯正データ演算部213は、シミュレーションで得られた視標画像データとある方向のランドルト環とのテンプレートマッチングを行い、そのときの方向と一致度を示す点数nをメモリ240に記憶しておく。この具体的処理は後述する。
矯正データ演算部213は、すべての方向でテンプレートマッチングしたか判断する(S1409)。ここで、Noの場合は、ステップS1407に進み、すべての方向でテンプレートマッチングするまで処理を繰返す。一方、ステップS1409でYesの場合、矯正データ演算部213は、点数nが一番大きい点数nhがステップS1405でシミュレーションした視標画像データのランドルト環の方向と一致するか判断する(S1411)。ここで、Yesの場合、矯正データ演算部213は、点数nhがメモリ240等に予め定められた闘値より高いか判断する(S1413)。
ステップS1411又はS1413でNoの場合、矯正データ演算部213は、Ssが予め定められた許容値(例えば、Sr−5D)を超えたか判断する(S1415)。ここでNoの場合、矯正データ演算部213はSsの矯正要素を若干強く設定し(例えば、Ss−0.25D)(S1417)、シミュレーション部214はこの矯正要素に基づきランドルト環網膜像シミュレーションを行う。なお、矯正データ演算部213は、最適な矯正値を求めるために、Ssを変化させるたびにCL・角膜収差WCLCOを算出し、及び矯正眼光学系収差Wcorrectを算出しなおすことにより、高い精度での矯正値を求めることもできる。
演算部210は、このシミュレーションにより得られた視標画像データについてステップS1407以降の処理を実行する。一方、ステップS1415でYesの場合、矯正データ演算部213は、ランドルト環判別不能と判断し(S1419)、このときの方向と、この方向が不可能であったことをメモリ240に記憶しておく。
ステップS1419の後又はステップS1413でYesの場合、矯正データ演算部213は、ランドルト環の全ての方向でシミュレーションしたか判断する(S1421)。ここで、Noの場合、ステップS1405に戻り、演算部210は全ての方向で上述の処理を繰返す。一方、ステップS1421で、Yesの場合、矯正データ演算部213は、さらに設定方向数の半分以上判別できたか判断する(S1455)。
ステップS1455でYesの場合、矯正データ演算部213は、S=Ss、V=Vsと設定し、また、視力Vs=Vs+0.1のランドルト環の設定を行う(S1457)。その後、ステップS1405に進み、シミュレーション部214は、設定された矯正要素及びランドルト環に基づき網膜像シミュレーションを行い視標画像データを求め、ステップS1407以降の処理を実行する。一方、ステップS1455でNoの場合、演算部210は、データ出力を行う(S1423)。すなわち、演算部210は、例えば、このときの球面度数S=Ss、判別できたランドルト環の方向、シミュレーション結果を表示部230に表示し、メモリ240に記憶する。
図20に、上記ステップS1405の網膜像シミュレーションのフローチャートを示す。まず、演算部210は、図6のステップS106で求められた矯正眼光学系収差Wcorrect及び設定された矯正要素に基づき瞳関数f(x,y)を計算する(S204)。ステップS205〜S211の処理の詳細は、図11の同符号のステップと同様であるので省略する。
図21に、上述ステップS1407のテンプレートマッチングの説明図を示す。
図示のようにランドルト環原画像(上図)に対応して、テンプレート画像(下図)を設定し、メモリ240にランドルト環の大きさを示す識別子に対応してこのようなテンプレート画像を記憶する。テンプレート画像は、この例では、b=1.5a、ランドルト環部の画素数をN1、画素値を1とし、ランドルト環の周囲のぼやかした点像部の画素数をN2、画素値を−N1/N2としているが、これに限らず適宜設定することができる。
図22に、上記ステップS1407のランドルト環テンプレートマッチングのフローチャートを示す。
演算部210は、設定されたランドルト環の大きさに従いテンプレート画像をメモリ240から読み取り、その空間周波数分布Temp(x,y)を求める(S1301)。つぎに、演算部210は、Temp(x,y)の2次元フーリエ変換FT(u,v)を求める(S1303)。演算部210は、網膜像のシミュレーションによる視標画像データの空間周波数分布の2次元フーリエ変換OR(u,v)を求め、OR(u,v)とテンプレートの空間周波数分布FT(u,v)とを次式のように掛け合わせ、OTmp(u,v)を求める(S1305)。
OR(u,v)×FT(u,v)→OTmp(u,v)
演算部210は、OTmp(u,v)を二次元逆フーリエ変換を行い、TmpIm(X,Y)(4a×4aの複素数行列)を求める(S1307)。演算部210は、TmpIm(X,Y)の絶対値の最大値を取得して点数nとする(S1309)。
このような相関をとることにより、シミュレーション視標画像が原画像に近ければ点数が高く、ぼやけた場合はそれに応じて点数が低くなる。
6−2.矯正画像シミュレーションの第3のフローチャート(乱視−1)
図23、図24に、矯正画像シミュレーションの第3のフローチャート(1)及び(2)を示す。図23、図24は、網膜像シミュレーションを行い、ランドルト環が判別できるように乱視軸A、乱視度数Cを求めるフローチャートである。
演算部210(例えば、矯正データ演算部213)は、上述のステップS1401と同様に、仮球面度数Srを算出する(S1401)。つぎに、演算部210は、シミュレーション用乱視度数Csの設定を行う(S1501)。例えば、Csはレフ値、もしくは波面収差(例えば、矯正眼光学系の波面収差)から算出した乱視度数Cなどを用いたり、予めS又はC等の矯正要素やゼルニケ係数と対応してCsを記憶した対応表をメモリ240に記憶しておき、それを参照して求めてもよい。つぎに、演算部210は、視力Vs(例えばVs=0.1)のランドルト環設定を行う(S1453)。
ステップS1405〜S1413では、上述と同様に、演算部210は、ランドルト環網膜像シミュレーション、ランドルト環テンプレートマッチング等の処理を行う。矯正データ演算部213は、ステップS1411又はS413でNoの場合、ランドルト環判別不能と判断し、このときの方向と、この方向が不可能であったことをメモリ240に記憶しておく(S1419)。ステップS1419の後、又はステップS1413でYesの場合、演算部210は、上述と同様に、ステップS1421及びS1455の処理を実行する。
ステップS1455で設定方向数の半分以上判別できたと判断した場合、演算部210は、設定されている矯正要素をメモリ240に記憶する(S1503)。つぎに、矯正データ演算部213は、V=Vsと設定し、また、視力Vs=Vs+0.1のランドルト環を設定する(S1505)。その後、S1405に進み、シミュレーション部214は、設定された矯正要素及びランドルト環に基づき網膜像シミュレーションを行い指標画像データを求め、ステップS1407以降の処理を実行する。
一方、ステップS1455でNoの場合、矯正データ演算部213は、全ての乱視軸角度方向(0〜180)でシミュレーションしたか判断する(S1507)。ここでNoの場合、矯正データ演算部213は乱視軸角度Asを回転する(例えば、As=As+5)(S1509)。その後、ステップS1453に進み、ステップS1453以降の処理を繰返し実行する。
つぎに、図24を参照し、矯正データ演算部213がステップS1507でYesと判断した場合、演算部210の矯正データ演算部213は、乱視軸角度Aとして視力Vがもっとも大きかったときのAsを代入する(S1511)。なお、乱視軸角度Aは、もっとも大きい時のAsが複数あるときは、視力Vで判別できたランドルト環の数が最も大きいものを設定し、さらにそのAsも複数あるときは視力Vでの判別できた方向のnhの和が最大となるものを設定する。これにより、乱視軸角度Aが決定された。
ステップS1453、S1405〜S1413では、上述の実施の形態で説明したように、設定されたSr、Cs、Aに基づき、演算部210は、ランドルト環網膜像シミュレーション、ランドルト環テンプレートマッチング等の各処理を実行する。
矯正データ演算部213は、ステップS1411又はS1413でNoの場合、Csが予め定められた許容値(例えば、Cs−10D)を超えたか判断する(S1515)。ここでNoの場合、矯正データ演算部213はCsの矯正要素を若干強く設定し(例えば、Cs−0.25D)(S1517)、シミュレーション部214は、この矯正要素に基づきランドルト環網膜像シミュレーションを行う(S1405)。演算部210は、このシミュレーションにより得られた視標画像データについてステップS1407以降の処理を繰返し実行する。一方、矯正データ演算部213は、ステップS1415でYesの場合、ランドルト環判別不能と判断し(S1419)、このときの方向と、この方向が不可能であったことをメモリ240に記憶しておく。
ステップS1419の後、又は、ステップS1413でYesの場合、上述と同様に、演算部210は、ステップS1421及びS1455の処理を実行する。ステップS1455でYesの場合、演算部210は、ステップS1503及びS1505の処理を実行する。各ステップの処理については上述と同様である。その後、ステップS1405に進み、シミュレーション部214は、設定された矯正要素及びランドルト環に基づき網膜像シミュレーションを行い指標画像データを求め、ステップS1407以降の処理を実行する。
一方、ステップS1455でNoの場合、演算部210はデータ出力を行う(S1423)。すなわち、演算部210は、このときの球面度数S=Ss、判別できた方向、シミュレーション結果等を表示部230に表示し、メモリ240に記憶する。
6−3.矯正画像シミュレーションの第4のフローチャート(乱視−2)
図25に、矯正画像シミュレーションの第4のフローチャートを示す。
ステップS1401では、上述のように演算部210(例えば、矯正データ測定部213)は、仮球面度数Srを算出する。次に、演算部210は、乱視成分である乱視度数Cs及び乱視軸角度As、比較用数値Mhを初期設定する(S1571)。これらの値は、メモリ240に予め記憶しておいたデータを用いてもよいし、入力部270により入力してもよい。演算部210は、例えば、Cs=0、As=0、Mh=0に初期設定する。
演算部210は、既に求めた波面収差(例えば、矯正眼光学系の波面収差)に基づき、MTFを算出する(S1573)。MTFの具体的計算方法は後述する。演算部210は、設定された乱視軸角度AsでのMTF断面から比較用数値Mを算出する(S1575)。比較用数値Mとしては、MTF断面積等を用いることができる。演算部210は、現在設定されているAsと、例えば、MTFの総和、MTF断面積、もしくは3、6、12、18cpdの和などをメモリ240に記憶しておく。
演算部210は、M≧Mhか判断する(S1577)。ここでNoの場合、ステップS1581に進み、一方、Yesの場合、演算部210の矯正データ演算部213は、Mh=M、A=Asとする(S1579)。つぎに、矯正データ演算部213は、Asが180以上か判断する(S1581)。ここでNoの場合、矯正データ演算部213は、乱視軸角度Asを回転する(例えばAs=As+5)(S1509)。その後、演算部210は、ステップS1575に戻って処理を繰り返すことで、0〜180度の軸角度でMが最大となる方向が乱視軸角度(弱主経線又は強主経線)であり、そのときのMの値とAsの値を求める。
ステップS1581でYesの場合、即ち、乱視軸角度Aが求まると、演算部210は、乱視成分Cs、As=Aに基づき、MTFを算出する(S1585)。演算部210は、さらに、0〜180度(例えば5度間隔)での各MTF断面から比較用数値Mを算出する(S1587)。
矯正データ演算部213は、算出されたMが各角度で全てほぼ同じか判断する(S1589)。例えば、これは、各Mの差が予め定められた闘値tよりすべて小さくなっているかどうかで判断することができる。ステップS1589でNoの場合、演算部210は、乱視度数Csを若干(例えばCs=Cs−0.25)変化させ(S1591)、ステップS1585以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1589でYesの場合、演算部210は、C=Csとする(S1593)。
演算部210は、求められた乱視度数C、乱視軸角度Aをメモリ240に記憶し、必要に応じて、表示部230に表示する(S1595)。
(MTF算出)
つぎに、MTFの算出について説明する。
まず、MTFは、空間周波数の伝達特性を示す指標であって、光学系の性能を表現するために広く使われている。このMTFは、例えば、1度当たり、0〜100本の正弦波状の濃淡格子に対しての伝達特性を求めることで見え方を予測することが可能である。本実施の形態では、以下に説明するように、単色MTFを用いてもよいし、白色MTFを用いてもよい。
まず、単色MTFを波面収差W(x,y)から算出する。なお、W(x,y)は、入力値(測定値)であって、角膜収差に関しては、角膜形状から求めた角膜波面収差を用いることもできる。図12のステップS409等の詳細処理の場合と同様に波面収差から瞳関数、点像の振幅分布、点像の強度分布(PSF)を求める。次に、図13のステップS509等の詳細処理の説明における式(16)を用いてOTFを求める。また、OTFの大きさがMTFであるため、
MTF(r,s)=|OTF(u,v)|
が成り立つ。
つぎに、上述のように求められた単色MTFに基づいて、白色光MTFを算出する。白色光MTFを求めるには、まず、各波長でのMTFに重み付けをし、足し合わせる。ここで、上述のMTFは、波長ごとに値が異なるため、波長λでのMTFをMTFλと表すと、
Figure 0004528049
ここでは、可視光に多く重み付けをし、計算を行う。
具体的には、色の3原色(RGB)である赤、緑、青が、例えば、656.27nm:1、587.56nm:2、及び486.13nm:1であるとすると、
MTF(r,s)=(1×MTF656.27+2×MTF587.56+1
×MTF486.13)/(1+2+1)
となる。
また、白色光MTFは、一波長(840nm)のみで測定されるので、この測定結果に基づいて他の波長について校正を行い、白色に補正することにより求めてもよい。具体的には、各波長でのMTFは、眼の収差の場合、眼光学特性測定装置での測定波長が、例えば、840nmであるとき、模型眼により各波長840nmでの波面収差W840(x,y)からのずれ量に相当する色収差WΔ(x,y)を測定し、この色収差WΔ(x,y)にW840(x,y)を足し合わせ、この波面収差によりMTFを算出することにより求められる。すなわち、
λ(x,y)=W840(x,y)+WΔ(x,y)
となる。
なお、上述した第1、第2、第3、第4のフローチャートを組み合わせて使用し、球面度数、乱視度数、乱視軸の矯正値を求めるようにしてもよい。
7.表示例
図26は、補正前と補正後の比較についての表示例を示す図である。この図では、補正前後の矯正視力、波面収差、ランドルト環の見え方と、瞳径が表示される。図示のように、補正矯正後は波面収差を比較的均一に近づけ、ランドルト環も比較的良く見えることが示される。また、補正矯正後の被検者の環境における矯正視力が示される。
図27に、眼鏡、コンタクト用の処方データ例の説明図を示す。これら各データは、演算部210よりメモリ240に記憶され、及び/又は、表示部230に表示される。この例は、SCAのみを補正矯正データとする屈折矯正手術を行う場合のデータでは、補正矯正データ中Sの値を強くして、Cの値を弱くAの軸方向を若干変化させる矯正することにより、矯正視力が良くなることが示される。
図28に、コンタクトごとの最適処方データ例の説明図を示す。これら各データは、演算部210よりメモリ240に記憶され、及び/又は、表示部230に表示される。例えば、複数の種類のコンタクトレンズ及び/又は眼鏡に対して、SCAの値、矯正視力、ランドルト環(例えば、0.5)の見え具合が示される。また、測定に用いられた瞳径が示される。
眼鏡による補正(単にS、C、Aの補正)での光学特性(PSF、MTF、ランドルト環シミュレーション等)とコンタクト装用時の光学特性からより最適な方を自動、もしくはマニュアルで選択することができる。
図29に、環境条件が変化した時の眼鏡、コンタクト用処方データ例の説明図を示す。例えば、各環境条件に応じた照明状態で被測定眼60の瞳径を測定し、各瞳径における矯正データ及び矯正視力を表示している。瞳径により、補正矯正データが若干異なることが示される。すなわち、被検者の環境により最適な処方値が異なることが示される。また、例えば、医師等が被検者の環境を考慮し、処方値を選択することも可能である。なお、表示する環境条件は、適宜変更することができる。
なお、図29に示す例では、各環境条件に応じた矯正データを求め、その環境条件における視力を表示しているが、他の環境条件下での視力を推測・表示することもできる。例えば、白昼時の補正矯正データにより矯正した場合において、白昼時、蛍光灯下、昼間室内での視力をそれぞれ推測し表示することもできる。
図30に、環境条件が変化した時の瞳孔データ例の説明図を示す。例えば、各環境条件に応じた照明状態で被測定眼60の瞳径を測定し、各瞳径における瞳中心のリンバス中心からのずれ量(x方向、y方向)及び矯正視力を示している。環境条件の変化により、瞳中心がずれることが示され、解析時の中心(原点)がずれることが示される。
図31に、眼鏡、コンタクト用処方データの一定瞳径による測定との比較図を示す。例えば、従来の測定と同様に、瞳径が4mm、6mmとした場合と、瞳径を測定した場合(例えば、50lxで照明)の矯正データ及び矯正視力が表示されている。瞳径を固定した場合と、測定した場合では、矯正データ及び矯正視力が若干異なる、なお、図30には、一例として50lxで照明した時の瞳径を用いたデータを示しているが、照明条件を適宜変えることにより、被検者の適宜の環境での視力を推測することが可能である。
なお、上述の図では、視力を少数視力で表しているが、logMAR視力で表示してもよい。また、表示する条件は、適宜変更することができる。
8.付記
本発明の眼科装置に係る装置・システムは、その各手順をコンピュータに実行させるための矯正データ測定プログラム、矯正データ測定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、矯正データ測定プログラムを含みコンピュータの内部メモリにロード可能なプログラム製品、そのプログラムを含むサーバ等のコンピュータ、等により提供されることができる。
被測定眼の屈折力分布を示す測定データは、図1で示す光学系100により求めているがこれに限定されるものでなく、他のアベロメータ等により構成することができる。例えば、波面センサーの測定結果にこだわらず、眼の収差(アベロメータ等)と角膜形状(トポグラフィー等)が得られていればその結果を用いることができる。
本発明は、眼科装置及びその応用装置、眼科手術装置等に適用可能である。また、コンタクトレンズの処方、検査のための装置等にも適用可能である。
眼科装置(眼光学特性測定装置)の光学系の構成図。 眼光学特性測定装置の電気系200の構成図。 メモリ240に予め記憶される前面形状テーブルの構成例。 メモリ240に予め記憶される後面形状テーブルの構成例。 ランドルト環の説明図。 コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャート。 ステップS2106の矯正眼光学系シミュレーション−1のサブフローチャート。 ステップS2105の瞳径の算出、角膜データ及び眼球光学系データの測定についてのサブフローチャート。 瞳径算出の説明図。 角膜データ算出を示すフローチャート。 ステップS2107の矯正画像シミュレーションのフローチャート。 最良画像条件計算の第1例についてのフローチャート。 最良画像条件計算の第2の例についてのフローチャート。 ステップS2106における矯正眼光学系シミュレーション−2のサブフローチャート。 コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャートの変形例(1)。 コンタクトレンズ装用の矯正データ測定のフローチャートの変形例(2)。 矯正眼光学系シミュレーション−3のサブフローチャート。 矯正眼光学系シミュレーション−4のサブフローチャート。 矯正画像シミュレーションの第2のフローチャート。 ステップS1405の網膜像シミュレーションのフローチャート。 ステップS1407のテンプレートマッチングの説明図。 ステップS1407のランドルト環テンプレートマッチングのフローチャート。 矯正画像シミュレーションの第3のフローチャート(1)。 矯正画像シミュレーションの第3のフローチャート(2)。 矯正画像シミュレーションの第4のフローチャート。 補正前と補正後の比較についての表示例を示す図。 眼鏡、コンタクト用の処方データ例の説明図。 コンタクトごとの最適処方データ例の説明図。 環境条件が変化した時の眼鏡、コンタクト用処方データ例の説明図。 環境条件が変化した時の瞳孔データ例の説明図。 眼鏡、コンタクト用処方データの一定瞳径による測定との比較図。 矯正眼光学系及び矯正光学系の説明図。 ハードコンタクトレンズの場合の処理フロー。 ソフトコンタクトレンズの場合の処理フロー。
符号の説明
10 第1照明光学系
11 第1光源部
12、32、34、44、52、53 集光レンズ
20 第1受光光学系
21 コリメートレンズ
22 ハルトマン板
23、35、54 第1〜3受光部
30 第2受光光学系
33、43、45 ビームスプリッター
40 共通光学系
42 アフォーカルレンズ
50 調整用光学系
60 被測定眼
70 第2照明光学系
71 プラチドリング
72 第2光源
80 第2送光光学系
90 第3照明光学系
91 第5光源部
92 固視標
100 矯正データ測定装置の光学系
200 電気系
210 演算部
211 波面収差演算部
212 角膜・コンタクトレンズデータ演算部
213 矯正データ演算部
214 シミュレーション部
215 瞳径測定部
220 制御部
230 表示部
240 メモリ
250 第1駆動部
260 第2駆動部
280 第3駆動部
270 入力部

Claims (13)

  1. 被検眼眼底に光束を照射し、被検眼眼底からの反射光を受光するための波面収差測定光学系と、
    上記波面収差測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の低次収差及び高次収差を含む波面収差を求める波面収差演算部と、
    被検眼角膜付近を所定のパターンで照明し、被検眼角膜付近からの反射光束を受光するための角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系と、
    上記角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の角膜形状及び角膜収差を求める角膜・コンタクトレンズデータ演算部と、
    上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜形状に応じたコンタクトレンズを含む矯正光学系の収差を求め、上記波面収差演算部により求められた被検眼の波面収差と、角膜収差と、矯正光学系の収差とに基づき、被検眼に該コンタクトレンズが装用された、被検眼とコンタクトレンズを含む矯正眼光学系の収差を求めて、求められた矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める矯正データ演算部と
    を備えた眼科装置。
  2. 上記矯正データ演算部は、
    上記波面収差演算部により求められた波面収差に基づいた又は予め定められた仮球面度数と、上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜形状とに応じた、コンタクトレンズの厚さ、後面径、形状、曲率及び屈折率のいずれか又は複数を含む装用矯正データに基づいて、光線追跡によりコンタクトレンズを含む矯正光学系の収差を求める請求項1に記載の眼科装置。
  3. 上記矯正データ演算部は、
    上記波面収差演算部により求められた波面収差から、上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜収差を差し引いて眼内収差を求め、
    上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜形状に応じた形状のコンタクトレンズ及び/又は涙液層を含む矯正光学系の収差を求め、
    求められた眼内収差と、矯正光学系の収差とを加えて矯正眼光学系の収差を求める請求項1に記載の眼科装置。
  4. 求められた矯正データに基づき、被検眼による予め定められた検眼用視標の見え具合をシミュレートし、見え具合を表示又は出力するシミュレーション部
    をさらに備えた請求項1に記載の眼科装置。
  5. コンタクトレンズ識別子及び角膜形状に対応して、該コンタクトレンズの後面形状データが記憶された後面形状テーブル
    をさらに備え、
    上記矯正データ演算部は、
    コンタクトレンズ識別子を入力し、
    入力されたコンタクトレンズ識別子と、求められた角膜形状とに基づき上記後面形状テーブルを参照して、対応する後面形状データを取得し、
    被検眼の角膜形状、及び、取得されたコンタクトレンズの後面形状に応じた形状の涙液層と、コンタクトレンズとを含む矯正眼光学系の収差を求める請求項1に記載の眼科装置。
  6. コンタクトレンズ識別子と矯正球面度数と後面形状データとに対応して、前面形状データ、曲率及び屈折率が記憶された前面形状テーブル
    をさらに備え、
    上記矯正データ演算部は、
    入力されたコンタクトレンズ識別子と、上記波面収差演算部により求められた波面収差に応じた又は予め定められた矯正球面度数と、取得された後面形状データとに基づき、上記前面形状テーブルを参照して、対応する前面形状データ、曲率及び屈折率を取得し、
    取得された前面形状データ、曲率及び屈折率に基づいて、光線追跡により矯正光学系の収差を求める請求項5に記載の眼科装置。
  7. 上記矯正データ演算部は、
    コンタクトレンズの形状が、上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部で求められた被検眼の角膜形状とフィット又はほぼフィットするとして、角膜形状に応じてコンタクトレンズの後面形状及び前面形状を求め、
    求められた後面形状及び前面形状を有するコンタクトレンズ及び/又は涙液層とを含む矯正光学系の収差を求める請求項1に記載の眼科装置。
  8. 上記角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の瞳径を求める瞳径測定部
    をさらに備え、
    上記波面収差演算部は、上記瞳径測定部で求められた瞳径と、上記波面収差測定光学系により受光された信号とに基づき、被検眼の低次収差及び/又は高次収差を求めるように構成された請求項1に記載の眼科装置。
  9. 上記矯正データ演算部は、
    求められた矯正眼光学系の収差に基づき、ストレール比、位相シフト、及び、矯正後の被検眼の伝達特性を示すMTF(Modulation Transfer Function)のいずれかひとつを求め、
    ストレール比が大きくなるように、又は、位相シフトが小さくなるように、又は、MTFが大きく及び均一になるように、収差量、又は、球面度数、乱視度数、乱視軸のいずれか若しくは複数を含む矯正値を変化させて、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める請求項1に記載の眼科装置。
  10. 求められた矯正眼光学系の収差に基づき、矯正後の被検眼における予め定められた検眼用視標の見え具合をシミュレートして視標画像データを求めるシミュレーション部
    をさらに備え、
    上記矯正データ演算部は、
    上記シミュレーション部で求められた該視標画像データと該検眼用視標のパターンデータとについて、パターンマッチングによるマッチングの度合いを求め、
    マッチング度合いが高くなるように球面度数、乱視度数、乱視軸のいずれか若しくは複数を含む矯正値、又は、収差量を変化させて、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める請求項1に記載の眼科装置。
  11. 上記矯正データ演算部は、
    上記波面収差演算部により求められた波面収差から、上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜収差を差し引いて眼内収差を求め、
    上記角膜・コンタクトレンズデータ演算部により求められた角膜形状に応じた形状のコンタクトレンズ及び/又は涙液層を含む矯正光学系の収差を求め、
    求められた眼内収差と、矯正光学系の収差とを加えて第1の矯正眼光学系の収差を求め、
    求められた第1の矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の第1の矯正データを求め、
    上記波面収差演算部により求められた波面収差から、その二次収差を差し引いて第2の矯正眼光学系の収差を求め、
    求められた第2の矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となる眼鏡装用の第2の矯正データを求め、
    求められた第1及び第2の矯正データ、及び/又は、該矯正による見え具合をそれぞれ表示又は出力する請求項1に記載の眼科装置。
  12. コンタクトレンズを装用した被検眼眼底に光束を照射し、被検眼眼底からの反射光を受光するための波面収差測定光学系と、
    上記波面収差測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼の低次収差及び高次収差を含む波面収差を求める波面収差演算部と、
    コンタクトレンズを装用した被検眼角膜付近を所定のパターンで照明し、被検眼角膜付近からの反射光束を受光するための角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系と、
    上記角膜・コンタクトレンズデータ測定光学系により受光された信号に基づき、被検眼のコンタクトレンズ装用時のコンタクトレンズ前面形状及びコンタクトレンズ前面収差を求める角膜・コンタクトレンズデータ演算部と、
    変更装用されるコンタクトレンズの球面度数を設定して、上記波面収差演算部により求められた波面収差に基づく球面度数と、設定されたコンタクトレンズの球面度数とのずれによる収差を求め、求められた該収差とコンタクトレンズ前面収差との差分を取り補正された収差を求め、上記波面収差演算部により求められた波面収差に補正された収差を足して被検眼とコンタクトレンズを含む矯正眼光学系の収差を求め、求められた矯正眼光学系の収差に従い、被検眼に相応しい矯正となるコンタクトレンズ装用の矯正データを求める矯正データ演算部と
    を備えた眼科装置。
  13. 上記矯正データ演算部は、
    上記波面収差演算部により求められた波面収差に、補正された収差の二次収差を足して、矯正眼光学系の収差を求める請求項12に記載の眼科装置。
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