JP4526182B2 - 磁気センサユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気検出方式のセンサユニットに関し、より詳細には、マグネット上に配設される磁性体の移動による磁気センサ部の磁界の変化を検出することで位置検出を行う磁気センサユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は、従来の360゜の平面全方向検知可能な磁気検出式センサユニットのブロック図で、検出部1は直交座標におけるX軸及びY軸に沿って二個ずつ対称に配置された4個の磁気センサ(例えば、ホール素子)11からなり、このホール素子11上方に配置されたマグネットの移動によるX軸方向とY軸方向の各ホール素子11の出力をそれぞれ差動アンプ2が差動的に増幅し、その出力(アナログ値)を検出制御部3がX座標値及びY座標値に変換して方向検知をおこなうように構成されている。
【0003】
前述のマグネットを移動可能にする支持機構の具体例としては、例えば、図2に示すように、コイルスプリング34の一端にマグネット32を支持し、コイルスプリング34を設置する基板に配設された磁気センサ31により、マグネット32の移動を磁気センサ31で検出するように構成されている。
【0004】
その他のマグネットの支持機構としては、例えば、図3に示すように、マグネット42を収納したマグネットケース45の一端にコイルスプリングホルダー46を介してコイルスプリング44を取り付け、そのコイルスプリング44をマグネット操作部47により支持するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの支持機構にも共通することとしては、単にマグネットを配設するだけではなく、コイルスプリングやマグネットケースなど様々な部品を必要とすることである。特に、コイルスプリングを用いているために、マグネットの原点決めなど、組立性に問題が生じていた。また、マグネット単体の大きさより、支持機構がかなり大きくなってしまい、磁気センサユニットの小型化を進める上で問題になっていた。その他にも、ほとんどの場合マグネットと磁気センサ部が別筐体になっているので、組み付け時の調整が必要になるなどの問題が生じている。
【0006】
上述した従来の技術において、上方にマグネットを配置するためには複雑なマグネット支持機構が必要となり、組立性が悪く、また小型化が難しく、さらには組み付け時の調整が必要等の問題が生じている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、組立性が向上し、かつ小型化が可能であり、さらに組み付け時の調整が不要な磁気センサユニットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、磁力を発生する一個のマグネットと、該マグネットの磁力に起因する吸引力により前記マグネットに対して最も磁束密度の高い部位で隣接状態を維持しつつ該部位に原点復帰する移動自在な一個の磁性体と、該磁性体の位置の変化によって生じる周囲の磁束密度変化を検出する磁気センサとを備え、該磁気センサが、前記マグネットと同一基板上に前記部位に対して対称的に設けられていることを特徴とする磁性***置検出用の磁気センサユニットである。
【0009】
ここで、本発明でいう隣接状態とは、マグネットと磁性体が接触している状態と、接触していないが近傍にある状態の2状態を意味する。前者は、特にマグネットの磁気が強い場合であり、マグネットと磁性体は常に接触している。また、マグネットの磁気が弱い場合は重力などの影響を受け、マグネットと磁性体がいつも接触しているとは限らない。つまり、後者は、磁性体の紛失防止の目的で、磁性体カバーを磁性体の近傍に設け、マグネットと磁性体を隣接状態に保つようになされている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記磁性体の形状が、少なくとも一面の球面もしくは楕円面を有することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記マグネットの形状が、少なくとも一面の球面もしくは楕円面を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、前記磁気センサを少なくとも3つ以上有することを特徴とするものである。磁気センサを3つ以上設けることにより、360゜全方向検知が可能になる。
【0013】
なお、ここで磁気センサとしては、ホール素子、ホールIC、磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ICなど様々な磁気センサが適用可能であり、360゜の全方向を検知しようとする場合(例えば、ポインティングデバイスや加速度センサなど)は、アナログ出力型の磁気センサが望ましい。それとは別に、原点から移動したかどうかだけを検知したい場合(例えば、感震センサなど)は、デジタル出力型の磁気センサが望ましい。
【0014】
また、マグネットについても、特に種類の限定はないが、通常、量産されているフェライト系、サマリウム−コバルト系、ネオジ系など様々なマグネットが適用可能である。磁気センサユニットを使うアプリケーションにより、弱磁場を発生するマグネットの方が好ましい場合もあり、強磁場を発生する方が好ましい場合もある。前者としては、傾斜センサや加速度センサへの適用が一例として考えられ、後者としてはポインティングデバイスへの適用が一例として考えられる。各アプリケーションにより、適当な磁場を発生するマグネットを用いる必要がある。
【0015】
また、磁性体についても、マグネット同様に、特に種類の限定はないが、透磁率が高く、安価に入手でき、加工性の良い磁性体が好ましい。鉄や鉄系の合金(例えば、炭素綱やシリコン−鉄系、ニッケル−鉄系、コバルト−鉄系、クロム−鉄系など)など様々な磁性体が適用可能である。
【0016】
上述した構成をとることにより、組立性が向上し、また小型化も可能であり、さらに組み付け時の調整も不要になるので、多様なアプリケーションに対して好都合に対応することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態を示す回路ブロック図である。本発明は、特にマグネット支持機構に関するものであり、実施形態は従来例と同様である。つまり、検出部1は、4個の磁気センサ(例えば、ホール素子)11からなり、このホール素子11は、X軸及びY軸に沿って2個ずつ対称に配置されている。X軸及びY軸上に対称に配設された4個のホール素子11の中央付近にマグネットが配置されており、マグネットの磁力により隣接する移動自在な磁性体(例えば、球状磁性体)とを備えている。この球状磁性体の移動による磁界の変化によりホール素子11の出力電圧が変化する。差動アンプ2は、X軸方向とY軸方向の各ホール素子11の出力をそれぞれ差動的に増幅する。Z軸方向の磁界が原点Oについて対称、すなわち球状磁性体が原点O上の位置にあるとき、出力が0になるようにしてあり、球状磁性体が原点Oを離れて移動すると、これに応じて差動アンプ2に出力が発生するように構成されている。
【0019】
図4(a)、(b)は、マグネットと磁性体(この実施形態では球状磁性体)の機構の一例を示す図で、図4(a)は側面図、図4(b)は上面図である。図中符号11は磁気センサ、12はマグネット、13は球状磁性体である。磁気センサ11は、前述したようにX軸及びY軸に沿って2個ずつ対称に配置されている。マグネット12は鉛直方向にNSの着磁がされている。NSの方向については特に制限されない。球状磁性体13は、マグネット12の磁力に起因する吸引力のみでマグネット12の最も磁束密度の高い部分である中心部付近に隣接している。その吸引力により、球状磁性体13に外力を加えない状態では常に、球状磁性体13は座標原点上に位置している。外力を加えると球状磁性体13は容易に移動するが、その外力を除くと直ちに座標原点上に復帰する。
【0020】
これは、従来のマグネット機構ではコイルスプリングを用いて行っていた動作である。しかし、コイルスプリングを用いた場合、長時間使用すると復帰点(原点)の経時変化がおき、原点ズレの問題になる。本発明の方式では、マグネットの最も磁束密度の高い部位に復帰することを考えると、経時的な原点ズレの問題は起こり得ない点でも有効である。
【0021】
また、磁性体形状としては、この実施例では球状磁性体を用いているが、図5(a)に示すような、楕円面状磁性体14や、図5(b)に示すような、円柱の上下に楕円半面を設けた磁性体15なども可能である。その他にも様々な形状で磁気センサユニットの機能を満足することができる。
【0022】
本発明は以上の例に限定されることなく、更に種々変形して実施することができる。
【0023】
【実施例1】
本発明の試作例を以下に説明する。
【0024】
磁気センサとしては、旭化成電子(株)製のホール素子、HW−101A(商品名)を4つ用いた。対角に配設されたホール素子11の中心間の距離は約8.0mmである。また、中央のマグネット12の構成は以下の通りである。マグネット12は、4.0mm角の大きさで、厚み2.1mmのフェライト系のものを用いた。マグネット12の着磁は、鉛直上向きにN極、下向きにS極の2極構成になっている。マグネット12の上部に隣接する磁性体(この試作例では球状磁性体)は、直径4.75mmの球であり、材質は鉄である。
【0025】
つまり、全体の大きさとしては、約10mm角で、厚さ約7mmの大きさの磁気センサユニットが実現できたことになる。マグネットサイズ、磁気センサ11の配置距離など変更すれば、約5mm角で厚さが数mm程度の磁気センサユニットでも製作可能と思われる。実際に球状磁性体13を移動させたときの、それぞれのホール素子の出力電圧を測定した。原点位置での各ホール素子11の出力はそれぞれ約75mVであり、球状磁性体13をホール素子11の方向に移動させると最大で125mV程度まで出力電圧が変化する。
【0026】
つまり、出力電圧の変化量は約50mVである。差動アンプなどを用いて磁気センサ11の出力を信号処理するので、外付けでICなどを用いることを前提に考えれば、磁気センサユニットとして必要な出力電圧を、このマグネット12の支持機構で充分に満足していることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁力を発生する一個のマグネットと、マグネットの磁力に起因する吸引力によりマグネットに対して最も磁束密度の高い部位で隣接状態を維持しつつ部位に原点復帰する移動自在な一個の磁性体と、磁性体の位置の変化によって生じる周囲の磁束密度変化を検出する磁気センサとを備え、磁気センサが、マグネットと同一基板上に部位に対して対称的に設けられているので、磁性***置検出用の磁気センサユニットにおいて、従来マグネット支持機構に必要であったコイルスプリング、マグネットケースなどの多くの部品点数を減らすことができるうえ、例えば、マグネットと球状磁性体だけのような簡単な組み合わせでマグネット支持機構を構築できるので、組立性及び寿命が向上し、設置時の位置調整の不要な、かつ小型化の可能になった多様なアプリケーションに対して好都合に対応することが可能な磁気センサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気センサユニットに係る従来例、及び本発明における磁気センサユニットの一例を示す回路ブロック図である。
【図2】従来の磁気センサユニットで使用されているマグネット支持機構の一例を示す図である。
【図3】従来の磁気センサユニットで使用されているマグネット支持機構の他の一例を示す図である。
【図4】(a),(b)は、本発明における磁気センサユニットのマグネット支持機構の一例を示す図で、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図5】(a),(b)は、本発明における磁気センサユニットで用いられる磁性体形状の一例を示す図で、(a)は楕円面状磁性体の側面図、(b)は円柱+楕円半面状磁性体の側面図である。
【符号の説明】
1 検出部
2 差動アンプ
3 検出制御部
4 出力制御部
11 磁気センサ
12 マグネット
13 球状磁性体
14 楕円面状磁性体
15 円柱の上下に楕円半面を設けた磁性体
31 磁気センサ
32,42 マグネット
34,44 コイルスプリング
45 マグネットケース
46 コイルスプリングホルダー
47 マグネット操作部
Claims (4)
- 磁力を発生する一個のマグネットと、該マグネットの磁力に起因する吸引力により前記マグネットに対して最も磁束密度の高い部位で隣接状態を維持しつつ該部位に原点復帰する移動自在な一個の磁性体と、該磁性体の位置の変化によって生じる周囲の磁束密度変化を検出する磁気センサとを備え、該磁気センサが、前記マグネットと同一基板上に前記部位に対して対称的に設けられていることを特徴とする磁性***置検出用の磁気センサユニット。
- 前記磁性体の形状が、少なくとも一面の球面もしくは楕円面を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性***置検出用の磁気センサユニット。
- 前記マグネットの形状が、少なくとも一面の球面もしくは楕円面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性***置検出用の磁気センサユニット。
- 前記磁気センサを少なくとも3つ以上備えることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の磁性***置検出用の磁気センサユニット。
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