JP4526106B2 - シートベルト巻取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の車両に装備されるシートベルト巻取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に装備されるシートベルト巻取装置は、乗員が着席してシートベルトを引き出し、タングをバックル装置に締結した際に、その余分な引き出し分を吸収する機能を有している。この機能を実現するために、従来のシートベルト巻取装置においては単一のリターンスプリングが使用されている。シートベルトの装着の際には、人間がこのリターンスプリングの付勢力に抗してシートベルトを引き出し、タングをバックルに係合させてから手を離すと、リターンスプリングの力により、余分に引き出された部分が、人間の体にフィットするまでシートベルト巻取装置に引き込まれる。
【0003】
【発明が解決使用とする課題】
以上説明したように、シートベルト巻取装置においては、
(1)余分に引き出されたシートベルトを、人間の体にフィットするまで確実に巻き取ること、また、人間が装着しない場合においては、引き出されたシートベルトを確実に収納部に収納するまで巻き取ること
(2)正常装着した状態で乗員の胸部等に不必要な圧追感を与えないようにすること
を同時に満足することが必要とされる。
【0004】
しかしながら、単一のリターンスプリングの付勢力を利用したシートベルト巻取装置においては、装着時における乗員の胸部への圧迫感を小さくするために付勢カの弱いスプリングを使用すると、ベルト巻取り時(収容時)の巻込み力が弱くなり、操作性、格納性が低下すると共に、装着時に弛み(スラッグ)が発生しやすくなる。反対に、巻取り時に充分な巻取り力を発揮するために付勢力の強いスプリングを使用すると、正常装着時における乗員の胸部への圧追感が大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
また、従来のシートベルト巻取装置では、単一のリターンスプリングが内蔵されているので、シートベルトの引き出し量が増すにつれてリターンスプリングが巻回されてその付勢力が増大し、シートベルトの引き出し量が増すにつれて、引き出しカも増大するという問題もあった。
【0006】
このような問題点を解決する1手段として、本出願人の出願に係る発明が、特開平3−552号公報に開示されている。これは、リターンスプリングとして、主スプリングと付加スプリングの2つのスプリングを使用し、シートベルトのタングとバックルが係合したことを検出器により検出し、タングとバックルが係合していない状態においては主スプリングと付加スプリングの両方の付勢力を、タングとバックルが係合している場合においては主スプリングのみの付勢力を、巻取機構に伝達することにより、ベルト巻取り時の巻き込み力を確保しながら、正常装着時における乗員の圧迫感を低減しようとするものである。
【0007】
しかしながら、この場合においても、シートベルトの引き出し量が増すにつれて引き出し力が増大するという問題は避けられず、かつ、シートベルトを外すときに、タングとバックルの係合を外したとたんに急激に巻取り力が強くなり、タングが窓ガラスやドアトリム等に激しくぶつかるという、別の問題点が発生していた。
【0008】
このような問題点を解消する方法として、スプリングを用いず、モータだけで巻取りを行う方式のものも提案されているが、シートベルトの弛みを確実に取り去り、かつ、乗員に圧迫感を与えないような巻取りを行うには、精密なセンサを複数必要とし、制御機構が複雑となるという問題点があった。
【0009】
本発明は、シートベルトが有しなければならない本質的な機能に注目することより、通常装着時においては乗員に圧迫感を与えず、緊急時には確実に乗員をシートに拘束することができるシートベルト巻取り装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、モータとスプリングによりシートベルトを巻き取る機能を有するシートベルト巻取り装置であって、前記モータの巻取力を前記スプリングを介さずにシートベルトに伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられ、前記モータと前記シートベルトとの間の機械的な動力伝達経路を切り離すクラッチ機構とを有し、通常装着時には、前記クラッチ機構で前記動力伝達経路を切り離すことで、前記モータを負荷とせずに、スプリングのみにより乗員に圧迫感を与えない弱い巻取り力でシートベルトの巻取りを行い、衝突等の危険が予知された段階で、前記クラッチ機構で前記動力伝達経路を接続し、モータにより、乗員を強力にシートベルトに拘束するまでシートベルトを巻き取る機能を有することを特徴とするシートベルト巻取り装置(請求項1)である。
【0011】
シートベルトの本質的な機能は、衝突等の緊急時において乗員をシートに拘束することであり、通常装着時においては、シートベルトに弛みがあっても差し支えない。本発明はこのような新しい着眼点に立ってなされたものである。すなわち、通常装着時にはスラッグを解消するための巻取りを行わない。これは、全く巻取りを行わないか、人間に圧迫感を与えないようなごく弱い張力又はモータトルクが検出されたときにモータの巻取りを停止することにより実現できる。
【0012】
このような場合には、衝突等の緊急時においては、存在するスラッグの分だけ余分に巻取りを行わなければならず、実際の緊急事態の発生を検出してから巻取りを行ったのでは間に合わない場合が発生する。よって、本手段においては、衝突等の危険が予測された時点で、モータにより、乗員を強力にシートベルトに拘束するまでシートベルトを巻き取るようにしている。
【0013】
衝突等の危険の予測は、乗員による急なブレーキ操作、車間距離センサの出力、車両間相対速度センサ、加速度センサ、スリップセンサ等の出力、又はこれらを組み合わせることにより行うことができる。
【0014】
本手段においては、実際に衝突等が発生した時点でなく、それらが予知された時点でシートベルトの巻取りを行っているので、スラッグがある場合でも遅滞無く乗員をシートベルトに拘束することができる。
【0016】
本手段においては、シートベルト装着時のスラッグをとるための巻取をスプリングにより行うが、このスプリングの力を従来のものより弱くしておき、乗員に圧迫感を与えないようなものとしておく。このような状態では、スラッグが取りきれない場合があるが、本手段においてはこれは問題とならない。
【0018】
前記課題を解決するための第の手段は、前記第1の手段であって、衝突等の危険の予知が解除された段階で、モータにより、シートベルトを所定量だけ巻き戻す機能を有することを特徴とするもの(請求項)である。
【0019】
本手段においては、実際に衝突等が発生せず、衝突等の危険の予知が解除された段階で、モータにより、シートベルトを所定量だけ巻き戻すようにしているので、この段階で乗員がシートに拘束される状態が解除され、その後通常の姿勢で運転を行うことができる。
【0020】
前記課題を解決するための第の手段は、前記第1の手段であって、前記クラッチ機構は、前記モータがシートベルトを巻き取る方向に駆動されていないときには、前記動力伝達経路を切り離すことを特徴とするもの(請求項)である。
【0021】
本手段においては、外力によりシートベルトが引き出される方向に駆動されたときには、クラッチ機構により、モータとシートベルトとの間の機械的な動力伝達経路が切り離される。よって、モーターが引き出し力の負荷とならないので、小さな力でシートベルトを引き出すことができる。また、モーターがシートベルトを巻き取る方向に駆動されていないときにも、クラッチ機構により、モータとシートベルトとの間の機械的な動力伝達経路が切り離される。よって、モーターがばね部材による巻取力の負荷とならないので、ばね部材の付勢力が小さくても、シートベルトの弛みを吸収することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例であるシートベルト巻取装置の分解斜視図、図2はその組立図である。図1、図2において、1はリテーナ、2はモータ、3はモータギア、4はLギア(特許請求の範囲の第1の回転部材に相当)、5はSギア(特許請求の範囲の第2の回転部材に相当)、5aはローラ保持部、6は保持部材、7はローラ、8はコネクトギア、9はブッシュギア、9aは摺動部、9bはスプライン部、10はリターンスプリング、11はスプリングカバー、12は回転方向検出スイッチ、12aはスイッチプレート、12bはスイッチスプリング、13はリミットスイッチ、14はカバーである。図2(a)はカバー14を外した状態でカバー14側から見た正面図、(b)は(a)における切断線A−A’に沿って切断した断面を示す。
【0023】
リテーナ1に取り付けられたモータ2の駆動力は、モータギア3からLギア4に伝達される。そして、後に述べるように、Sギア5、保持部材6、ローラ7で構成されるクラッチ機構を介してSギア5に伝達され、Sギア5からコネクトギア8を介してブッシュギア9に伝達される。図2に示されるように、ブッシュギア9の回転軸にはリターンスプリング10が結合されており、ブッシュギア9の回転を、シートベルトの巻取方向に付勢している。
【0024】
なお、実際のシートベルト巻取装置においては、ブッシュギア9のスプライン部9bに、シートベルトを巻き付けるスプールが結合されているが、図1、図2においてはこの部分の図示を省略している。なお、Lギア4、Sギア5、保持部材6はリテーナ1に設けられた回転軸に同軸状に保持され、コネクトギア8はリテーナ1に設けられた別の回転軸に保持されている。ブッシュギア9はカバー14に設けられた回転軸に保持されている。
【0025】
ブッシュギア9には摺動部9aが設けられ、その外周部に回転方向検出スイッチ12のスイッチスプリング12bが弾接している。そして、ブッシュギア9の回転方向に応じて、スイッチプレート12aが時計回り又は半時計周りに回動する。ブッシュギア9がシートベルトが引き出される方向に回転したとき、スイッチプレート12aのストライカ部がリミットスイッチ13の接点をオンとするように作動させるようになっている。このリミットスイッチプレート12aも、リテーナ1に保持されている。
【0026】
モータ2は1方向回転のモータであり、シートベルトを巻き取る方向、すなわち、リターンスプリング10の付勢方向と同一方向に駆動されるようになっている。
【0027】
図3にLギア4の構造図を示す。以下の図面においても、前出の図面に表された部位には同じ符号を付してその説明を省略する。Lギア4は外周にモータギア3と噛み合う歯車が切られたドーナツ型をしており、その内部に、Sギア5、保持部材6の一部とローラ7を収納するようになっている。さらに詳しく説明すると、内径部の断面は図に示すようにT字型をしており、両側の内径の大きい部分に、それぞれSギア5と保持部材6が嵌まり込み、中央部の径の小さい部分がローラ7と接する部分となっている。
【0028】
図4にSギア5の構造図を示す。図4において、5bはギア部、5cは拡径部である。Sギア5は、コネクトギア8と噛み合うギア部5bと、それに隣接しLギア4の内径よりわずかに小さい外径を有する拡径部5cを主要部としてなり、拡径部5cには、3個のローラ保持部5が設けられている。
【0029】
拡径部5bがLギア4の内径の大きな部分に内部に嵌まり込む。ローラ保持部5にはローラ7が嵌め込まれて、このローラ7は、Lギア4の内径の小さい部分と、後述する保持部材6の切り欠き部との間に収納されるようになっている。さらに、ローラ保持部5の先端は、後述する保持部材6に設けられた円弧状の長穴に嵌まり込むようになっている。
【0030】
図5に保持部材6の構造図を示す。図5において、6aは切り欠き部、6bは長穴、6cは突出部である。保持部材6の外径は、Lギア4の内径の大きな部分の内径よりわずかに小さくされており、Lギア4の内径の大きな部分中に嵌まり込むようになっている。さらにSギア5には、Lギア4の内径の小さい部分の内径よりわずかに小さい外径を有する、扇風機の羽根状の突出部6cが設けられている。そして、これにより、突出部6cが設けられていない部分には、3個の切り欠き部6aが形成されている。切り欠き部6aには、円弧状の長穴6bがそれぞれ形成されており、この長穴6bには、前述のようにSギアのローラ保持部5aが嵌まり込むようになっている。
【0031】
Sギア5のローラ保持部5aに保持されたローラ7は、Lギアの内径の小さい部分と切り欠き部6aの間に収納される。図5に示すように、切り欠き部6aの形状は、その1端(図では反時計回り側の端)では、Lギアの内径部と突出部6cで挟まれる切り欠き部6aの空間が、ローラ7の直径よりも小さくなり、他端(図では時計回り側の端)では、この空間がローラ7の直径よりも大きくなるようになっている。
【0032】
ローラ7は、Sギア5の回転に伴って、ローラ保持部5aに保持されて、保持部材6の軸(Lギア4とSギア5の軸でもある)を中心にして公転するが、この際、ローラ7の外周部がLギア4の内径の小さい部分に当接して自転又は滑動しながら、ローラ7が公転するように、ローラ保持部5aの位置が決定されている。
【0033】
このように構成されたSギア5、保持部材6、ローラ7がLギア4の内部に収納されてクラッチ機構を構成するが、その作動を図6を使用して説明する。図6においては、説明を分かりやすくするために、断面図を除いて、各部品が透明であると仮定してその主要部を表している。図6(a)は組立図を示すものである。Lギア4の内径の大きな部分に、右側からSギア5が、左側から保持部材6が嵌まり込み、ローラ保持部5aに回転自在に保持されたローラ7が、Lギア3の内径の小さい部分の内周に当接している。ローラ保持部5aは、保持部材6に設けられた長穴6bに嵌まり込んでいる。
【0034】
モータ2が駆動されず、かつシートベルトに引き出し力がかけられていない状態では、リターンスプリング10の付勢力が働いてシートベルトを巻き取る。このときの巻取力が、人間に圧迫感を与えないような弱い力に設定されている。この付勢力によりブッシュギア9が回転すると、その回転はSギアに伝達され、Sギアが反時計回りに回転する。
【0035】
すると、ローラ保持部5aに保持されたローラがLギア4の内周面とのフリクションにより自転しながら、Sギア5の軸を中心として公転して移動し、保持部材6の突出部6cにぶつかり、保持部材6に反時計回りの回転力を与える。保持部材6は、その軸に回転自在に保持されているため、ローラ7から回転力を与えられるとほとんど抵抗なく回転する。
【0036】
最終的には、ローラ7がLギア4の内周部と保持部材6の突出部6cとの間に挟まることになるが、保持部材6がほとんど抵抗なくSギア5と共に回転することになるので、ローラ7とLギア4の内周面とのフリクションは増加しない。従って、Sギア5が回転したとき、ローラ7はLギア4の内周面に沿って滑動又は回転し、Lギア4にはSギア5の回転力は伝達されない。逆にいえば、リターンスプリング10のみによってシートベルトの巻取が行われているときには、モータ2は、その負荷とならないことになる。よって、小さなトルクによって、シートベルトを巻き取ることが可能となる。
【0037】
図6(b)は、外力によりシートベルトの引出しが行われた場合の動作を示す図である。この場合、Sギア5は、矢印のように反時計回りに駆動される。すると、ローラ保持部5aに保持されたローラがLギア4の内周面とのフリクションにより自転しながら、Sギア5の軸を中心として公転して移動し、保持部材6の突出部6cにぶつかり、保持部材6に時計回りの回転力を与える。保持部材6は、その軸に回転自在に保持されているため、ローラ7から回転力を与えられるとほとんど抵抗なく回転する。
【0038】
この場合は、前記(a)で説明した場合と異なり、ローラ7は、Lギア6の内径部と突出部6cで挟まれる切り欠き部6aの空間が、ローラ7の直径よりも大きくされている側で突出部6cにぶつかる。よって、ローラ7がLギア6の内径部と突出部6cで挟まれることがないので、ローラ7のフリクションが増すことがない。従って、Sギア5が回転したとき、ローラ7はLギア4の内周面に沿って滑動又は回転し、Lギア4にはSギア5の回転力は伝達されない。逆にいえば、外力によってシートベルトの引き出しが行われているときには、モータ2は、その負荷とならないことになる。よって、人間がシートベルトを引き出す場合にも、モータ2がその負荷とならないので、小さな力で引出しが可能となる。また、上記の動作はモータ2の駆動中でも行われるので、モータ2の駆動中においても、容易にシートベルトを引き出すことができる。
【0039】
図6(c)は、外部からシートベルトの引き出しが行われていない状態で、モータ2による巻取駆動が行われている状態を示すものである。(a)で説明したように、初期状態においては、リターンスプリング10の付勢力により、ローラ7はLギア4の内周部と保持部材6の突出部6cとの間に、フリクションを増大させない状態で挟まっている。
【0040】
この状態において、Lギア4が矢印のように反時計方向に駆動されると、ローラ7をLギア4の内周部と保持部材6の突出部6cとの間にさらに挟み込むような力が作用する。この力はローラ7を介して突出部6cを押すことになるので、保持部材6がSギア5に対して相対的に反時計回りに回転し、ローラ7が挟み込まれる空間を広げようとする。しかしながら、Sギア5のローラ保持部5aが保持部材6の長穴6b中に嵌まり込んでいるため、Sギア5と保持部材6との相対的な回転量は長穴6bの寸法によって規制され、所定値以上にはならない。
【0041】
よって、この相対的な回転量が最大値に達した状態で、ローラ7がLギア4の内周部と保持部材6の突出部6cとの間に挟み込まれ、ローラ7とLギア4の内周面とのフリクションが大きくなる。よって、ローラ7は滑動も回転もできなくなり、Lギア4の回転力がローラ7とローラ保持部材5aを介してSギア5に伝達される。この回転力は最終的にはブッシュギア9に伝達され、シートベルトの巻取が行われる。モータ2のシートベルト巻取力は、リターンスプリング10のシートベルト巻取力より大きく設定されているので、モータ2を駆動したときは、大きな巻取力でシートベルトの巻取を行うことができる。
【0042】
以上の説明をまとめると、このクラッチ機構は、外力によりシートベルトが引き出される方向に駆動されたとき、又はモータがシートベルトを巻き取る方向に駆動されていないときには、モータとシートベルトとの間の機械的な動力伝達経路を切り離す機能を有しているものである。
【0043】
本発明においては、このような機構を設けることが好ましいが、必ずしも必要なものではなく、クラッチ機構を解さずモータギア3とブッシュギア9を直結したようなものも発明の範囲に含まれる。また、このような機械的なクラッチ機構でなく、通常用いられている電気的なクラッチ機構を用いてもよいことは言うまでも無い。さらに、本発明においては、リターンスプリング10を設けず、モータ2のみでシートベルトの巻取りを行うようにしてもよい。
【0044】
図1に示すような構造のシートベルト巻取り装置の制御方法を以下に説明する。まず、乗員がシートに着座し、シートベルトを装着してバックルとタングを係合させて手を離すと、リターンスプリング10の力により、シートベルトが巻き取られる。このとき、リターンスプリング10の巻取り力は、従来のものに比べて極弱くしておき、乗員に圧迫感を与えるまで巻取りを行わないようにしておく。このような弱い巻取り力ではスラッグが取りきれない場合があるが、本発明においてはそのような状態が発生しても差し支えない。
【0045】
車間距離センサの検出する車間距離と車速を比較して追突が予想されるような場合、車両間の相対速度と車間距離とを比較して追突が予想されるような場合、車体の走行加速度計が大きな減速状態を検出して、衝突が予想されるような場合、車輪駆動系に設けられたスリップセンサがスリップを検出して、衝突が予想されるような場合等、緊急事態が予想されると、その時点で、モータ2が巻取りを開始する。この巻取りは急速に、かつ、乗員をシートに拘束するのに十分な大きな巻取り力で行われる。
【0046】
よって、実際の緊急事態の発生前に巻取りが開始されるので、シートベルトにスラッグがある場合においても、そのスラッグを吸収しつつ乗員をシートベルトに拘束するだけの巻取りを行う余裕がある。よって、通常状態に置いては、従来のようにスラッグを吸収するだけの巻取りを行う必要が無く、乗員に圧迫感を与えるような力で巻取りを行う必要が無い。また、従来のように緊急事態が発生してからシートベルトを巻き取る方式とは異なっているので、火薬式プリテンショナを用いなくても、十分早いタイミングで乗員をシートベルトに拘束することができる。
【0047】
乗員がシートに拘束された状態で衝突が発生すると、乗員が前方に移動し、シートベルトに急激な巻戻し力がかかる。このとき、ウェブセンサが作動し、シートベルトが巻き付けられているスプールの軸の回転が止められる。その後は、トーションバーの回転により、エネルギーを吸収しながらスプールが所定回転数だけ回転する。その後、シートベルトが自由に引き出されるようになる。これらの機構については、従来周知のものであるので、その説明を省略する。
【0048】
リターンスプリング10を有せず、モータ2のみで巻取りをおこなうシートベルト巻取り装置の場合、乗員がバックルとタングを係合しても巻取りを行わず、シートベルトが弛んだままにしておいてもよいし、ごく弱いトルクで巻取りを行い、モータが停止した時点で巻取りを停止することにより、乗員に圧迫感を与えない程度の巻取りを行うようにしてもよい。この場合も、スラッグを吸収するような巻取りを行う必要は無い。緊急事態の発生が予測された場合の制御については、リターンスプリングを有する場合と同じである。
【0049】
緊急事態の発生が予測された場合でも、結果的に衝突等が回避され、危険の予知が解除されたときは、乗員の拘束を速やかに解くようにしてもよい。図1に示すような構造のシートベルト巻取り装置においては、モータ2の巻取り力がなくなると、モータ2の回転軸が動力伝達軸から切り離されるので、シートベルトを徐々に引き出すような力が加われば、自然に乗員の拘束が解除される。このようなクラッチ機構が無い場合には、モータ2を逆方向に一定量回転させて、乗員の拘束を解除してやるようにすればよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のうち請求項1に係る発明においては、スラッグがある場合でも遅滞無く乗員をシートベルトに拘束することができるので、無理をしてスラッグを解消する必要が無く、従って、定常状態において乗員に圧迫感をあたえるような巻取りを行う必要が無い。
【0051】
請求項に係る発明においては、衝突等の危険の予知が解除された段階で、乗員がシートに拘束される状態が解除され、その後通常の姿勢で運転を行うことができる。
【0052】
請求項に係る発明においては、モーターがばね部材による巻取力の負荷とならないので、ばね部材の付勢力が小さくても、シートベルトの弛みを吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例であるシートベルト巻取装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示したシートベルト巻取装置の組立図図である。
【図3】Lギアの構造図である。
【図4】Sギアの構造図である。
【図5】保持部材の構造図である。
【図6】クラッチ機構の動作を示す図である。
【符号の説明】
1…リテーナー、2…モーター、2a…モーター軸、3…モーターギア、4…Lギア、5…Sギア、5a…ローラー保持部、5b…ギア部、5c…拡径部、6…保持部材、6a…切り欠き部、6b…長穴、6c…突出部、7…ローラー、8…コネクトギア、9…ブッシュギア、9a…摺動部、9b…スプライン部、10…リターンスプリング、11…スプリングカバー、12…回転方向検出スイッチ、12a…スイッチプレート、12b…スイッチスプリング、13…リミットスイッチ、14…カバー

Claims (3)

  1. モータとスプリングによりシートベルトを巻き取る機能を有するシートベルト巻取り装置であって、
    前記モータの巻取力を前記スプリングを介さずにシートベルトに伝達する動力伝達機構と、
    前記動力伝達機構に設けられ、前記モータと前記シートベルトとの間の機械的な動力伝達経路を切り離すクラッチ機構とを有し、
    通常装着時には、前記クラッチ機構で前記動力伝達経路を切り離すことで、前記モータを負荷とせずに、スプリングのみにより乗員に圧迫感を与えない弱い巻取り力でシートベルトの巻取りを行い、
    衝突等の危険が予知された段階で、前記クラッチ機構で前記動力伝達経路を接続し、モータにより、乗員を強力にシートベルトに拘束するまでシートベルトを巻き取る機能を有する
    ことを特徴とするシートベルト巻取り装置。
  2. 請求項1に記載のシートベルト巻取装置であって、衝突等の危険の予知が解除された段階で、モータにより、シートベルトを所定量だけ巻き戻す機能を有することを特徴とするシートベルト巻取り装置。
  3. 請求項1に記載のシートベルト巻取り装置であって、前記クラッチ機構は、前記モータがシートベルトを巻き取る方向に駆動されていないときには、前記動力伝達経路を切り離すことを特徴とするシートベルト巻取装置。
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