JP4525448B2 - 電力均衡制御型車両用電源系 - Google Patents

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Description

本発明は、車両搭載の発電装置が発電した電力を車載の複数の電気負荷に最適配分する車両用負荷駆動制御装置に関する。
従来の電力均衡制御型車両用電源系統では、電源ラインの電圧を所定範囲に維持すべく発電を制御する制御方式(電圧フィードバック方式)が一般的である。つまり、この従来の制御方式は、電源ラインから電気負荷に放出される消費電力と電源系(発電装置又は蓄電装置)から電源ラインに供給される供給電力とのギャップの結果として生じた電源ラインの変動を待ち、この変動に応じて発電制御を行う。
このような制御は、負荷の要求電力の変動による電源ラインの電圧降下が生じてから発電制御を行うため、制御レスポンスが悪く、電源ラインの変動も大きいという問題点を有している。
これに対して、本出願人の出願になる下記の特許文献1、2は、算出乃至検出した電気負荷の消費電力合計を要求電力とし、この要求電力に対応発電機やバッテリから電力を供給するとともに、この供給電力制御において電源ラインの電圧範囲(バッテリの電圧範囲)が所定の許容電圧範囲から逸脱しないように制御することを提案している。つまり、この制御方式では、予め設定されている電源ラインの許容電圧範囲内にて発電機の供給電力と要求電力との差が所定範囲内にはいるように発電制御と負荷への配電制御を行っている。この制御(要求電力算出方式)によれば、電源ラインの電圧変動の原因である供給電力特に発電電力と電力消費との間のアンバランスが生じた時点又はその前にこのアンバランスを低減するための制御(電力均衡制御)を行うため、制御レスポンスの向上、電源ラインの変動減少といった効果が期待できる。
また、本出願人の出願になる下記の特許文献2は、電力コストを考慮して発電制御を行うことを提案している。
特開2004−249900号公報 特開2004−194495号公報 特開2004−260908号公報
しかしながら、本発明者らは、上記公報の車両用電源制御装置において、次の問題点が存在することを気がついた。電力均衡制御型車両用電源系は、電力供給系と電力消費系とに分別されることが。たとえば、電力供給系が回生発電手段を有する場合、電力供給系は、検出乃至算出された要求電力にマッチングする供給電力を電源ラインの許容電圧範囲内にて供給する方式では、要求電力が回生電力よりも小さいと、電力供給量が増加し、電源電圧が上昇するので、この電圧上昇を抑えるために回生電力を抑制する。この結果、車両の減速エネルギーを十分に回生することができず、減速エネルギーを摩擦熱として放散せざるを得ない。
なお、回生電力を電力供給系の蓄電手段(バッテリ)に蓄電することもできるが、鉛バッテリのように頻繁な充放電に適さないバッテリではバッテリ劣化の促進のためこのような回生電力の蓄電が得策でない場合がある。また、大電流の回生電力蓄電ではバッテリの内部抵抗により電源ラインの電圧が電源ラインの許容電圧範囲を超えて増大する現象が生じるため、蓄電可能な回生電力(又は回生電力量)が規制される。更に、バッテリの蓄電状態がハイレベルである場合にも、回生電力(又は回生電力量)が規制される。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、電気負荷の要求電力変動にレスポンスよく対応して発電制御するとともに更に、回生電力のごとき低コストの供給電力が利用可能な場合にその利用度を増大することにより平均的な電力コストを低減することをその目的としている。
上記課題を解決する本発明の電力均衡制御型車両用電源系は、電源ラインに接続される蓄電手段及び発電機を有して前記蓄電手段の充放電電力と前記発電機の供給電力とを前記電源ラインに供給する電力供給系と、前記電源ラインから供給される電力を消費する多数の電気負荷を有する電力消費系と、現在作動中の前記電気負荷に消費を許可する電力である要求電力と前記供給電力との差が所定の許容充放電電力範囲内となるように設定する電力均衡制御を行うことにより前記蓄電手段の電圧を所定の許容電圧範囲に維持する制御装置とを備える電力均衡制御型車両用電源系において、前記制御装置は、前記電力供給系が発生する供給電力の費用である電費に関する情報である電費情報を算出するとともに、前記供給電力の電費が所定値未満の場合に前記供給電力の電費が前記所定値以上である場合よりも前記要求電力を増大させることを特徴としている。
すなわち、本発明では、現在作動中の電気負荷に消費を許可する電力である要求電力又は発電電力を、充放電電力が所定の許容充放電電力範囲内、更に好適には、更に狭い好適充放電電力範囲から逸脱しないように調整する電力均衡制御を行う。この電力均衡制御について更に詳しく説明する。
電源ラインの電圧を所定の許容電圧範囲に保持することは、この電源ラインに接続された電気負荷及び蓄電手段の良好な作動のために必要である。蓄電手段特にバッテリの許容電圧範囲は充放電電流や充電状態(SOC)や劣化状態やバッテリ温度や分極状態などのバッテリ状態により変化するため、予め記憶するバッテリ状態とその許容電圧範囲との関係に検出乃至推定したバッテリ状態を代入して許容電圧範囲を求め、予め記憶する許容電圧範囲と許容充放電電力範囲との関係にこの許容電圧範囲を代入して許容充放電電力範囲を求めることができる。その他、予め記憶するバッテリ状態(たとえばSOCや推定開放電圧など)と許容充放電電力範囲との関係にバッテリ状態を代入して直接許容充放電電力範囲を求めてもよい。蓄電手段の充放電電力を許容充放電電力範囲に保持するには、発電電力と電気負荷の消費電力(要求電力に等しいとみなす)との差が蓄電手段の充放電電力に相当するため、発電電力と要求電力との差が許容充放電電力範囲となるように、発電電力又は要求電力を調整すればよい。つまり、蓄電手段の充放電電力は電源ラインの電圧レベルに依存するため、電源ラインの電圧レベルが所定の許容範囲となることに相当する許容充放電電力の範囲を推定し、この推定したバッテリの許容充放電電力範囲内にて、要求電力と発電電力(回生電力を含む)が算出される。発電装置としては発電機の他、燃料電池やその他の発電装置でもよい。この許容充放電電力範囲の範囲で発電電力及び要求電力(電気負荷の消費電力)を制御するという技術思想は、電源ライン電圧という中間パラメータを所定の許容電圧範囲に保持するために発電電力又は電気負荷の消費電力を制御するという通常の電力均衡制御型車両用電源系の制御と本質的に異なっている。
この発明では更に、回生電力が利用できる場合など電費が低い場合には特別に要求電力を増大させる制御動作を行う。これにより、低電費の電力を電気負荷に本来必要な値を超えて過剰に供給することができる。ただし、この過剰な給電も蓄電手段の許容充放電電力範囲内にて行われる。
上記した要求電力の増大に応じて供給電力の増大が生じるが、この増大した供給電力の実際の消費には次の二つの方法が考えられる。
一つの方法は、特定の電気負荷の要求電力を増大して算出することである。この方法によれば、電源ラインの電圧上昇を招くことなく、回生電力をたとえば上記熱機器などの過剰な作動により消費し、その後の要求電力の低減効果を実現するとことができる。ただし、特定の電気負荷の要求電力の算出増大は本質的にこの特定の電気負荷の駆動制御指令とは別であるため、特定の電気負荷の電力消費を実際に選択的に増大させるには、この特定の電気負荷に作動レベルのアップを指令することにより、その電力消費の増大を実現するのが好適である。
他の方法は、特定の電気負荷への選択的な作動量のアップを指令せず、要求電力のみを増大させる方法である。この場合、供給電力(たとえば回生電力の増大)により電源ラインの電圧上昇が生じ、電源電圧の上昇は通常は電気負荷の電力消費の増大と、蓄電手段の充電電力の増大又は放電電力の減少を生じさせるのが通常である。蓄電手段の充電電力の増大は蓄電手段の耐久性などの限界により所定値以下に制限されるべきであり、電源ラインの電圧変動は、特定の定電圧電気負荷が許容する電源電圧変動範囲に抑制されることが好適であるため、この要求電力のみを増大させる方法は上記制限された範囲にて実施されるべきである。特定の電気負荷の電力消費を選択的に増大させない上記方法は、量的限界はあるものの特定の電気負荷の作動状態をアップさせるための指令が不要であり、制御が簡単であるという利点がある。
電源電圧が上昇すると、たとえばヒータやコンプレッサなどの熱機器などにおいて過剰な熱(冷熱を含む)生産が生じるため、その直後は熱生産要求が低減され、この結果、要求電力が低下する。すなわち、回生電力は劣化を生じさせるバッテリへの蓄電を招くことなく、熱エネルギーの形で一時的に蓄積されるわけである。もちろん、長期にわたる過剰な熱生産は好ましくないが、減速による回生は短期であるためこのような問題は実質的に無視することができる。なお、上記した二つの電力消費形態を同時に採用することもできる。
好適な態様において、前記制御装置は、前記供給電力の電費が前記所定値未満の場合に前記電気負荷の作動状態を前記要求電力が増大する方向に変更させる指令を発することにより前記要求電力を増大させる。このようにすれば、低電費環境にて電気負荷の作動レベルのアップを指令するため、この作動レベル変更に応じた要求電力の増大を容易に推定することができる。
好適な態様において、前記制御装置は、前記供給電力の電費が前記所定値未満の場合に特定の前記電気負荷の要求電力を増大させる。これにより、低電費環境にてあらかじめ定められた特定の電気負荷の作動レベルのアップだけを指令するため、この作動レベル変更に伴う制御及びそれに伴う要求電力の増加量の算出を簡素化することができる。
好適な態様において、前記電気負荷は、入力電力を熱に変換する装置からなる。すなわち、この態様では、熱(冷熱を含む)発生用の電気機器の作動レベルを低電費条件にてアップする。これにより、上記したように低コストの熱生産が可能となる。
好適な態様において、前記制御装置は、前記電気負荷のうち重要度が高い電気負荷の運転に必要な値以上の範囲にて前記電費の増大とともに前記要求電力を段階的に低減するとともに、前記電気負荷のうち重要度が高くない電気負荷の電力消費を低減する指令を発する。これにより、稼動が必須である重要な電気負荷の運転を確実に確保しつつ。動作レベルの変更(停止を含む)が可能なその他の電気負荷の動作レベルをその重要度に応じてきめ細かく制御することにより、供給電力に応じた要求電力の増減が可能となる。
好適な態様において、前記制御装置は、前記電力供給系の単位電力量発生当たりの費用を電費情報として定期的に算出するとともに、直前の所定期間の前記電費情報の平均値を前記電費とする。これにより、制御のふらつきやハンチングを抑止することができる。
本発明の電力均衡制御型車両用電源系の好適な実施態様を以下に説明する。ただし、本発明は下記の実施態様に限定解釈されるべきではなく、本発明を公知の技術又はそれと同等の技術の組み合わせにより実現してもよいことは当然である。
(実施形態1)
本発明の車両用電源装置の管理方法を採用するハイブリッド車用電源装置の好適な実施態様を以下の実施例により詳細に説明する。
(全体装置構成)
この実施例の車両用電源装置を備えた車両の電気系を示すブロック図を図1に示す。
エンジン101は、ベルト107により発電機102に連結されている。発電機102は、電源線108を通じてバッテリ103および負荷制御手段110a〜110eに接続されている。負荷制御手段110aは負荷111a1〜111a3の給電制御を、負荷制御手段110bは負荷111b1〜111b3の給電制御を、負荷制御手段110eは負荷111e1〜111e3の給電制御を行う。これら負荷制御手段110a〜110eは、上記制御を行うのに必要な操作スイッチ(図示せず)やこの制御のための各種センサ(図示せず)を含んでおり、外部入力信号やこれらセンサの出力に応じて自己に属する負荷の出力制御又は断続を行う。
104はエンジン制御手段である。エンジン制御手段104は、エンジン101の制御を行うための制御装置であって、電源制御手段105と接続されており、エンジン101の種々の状態を検出するセンサ(図示せず)によって検出されたエンジン回転数等種々の情報を電源制御手段105に送信するとともに、電源制御手段105からの指令にしたがってエンジン101の出力を増減する。
105は電源制御手段である。電源制御手段105は、発電機102やバッテリ103や電源線(電源ライン)108などの状態を監視し、発電機102を制御する発電機制御手段112を通じて発電機102を制御する。電源制御手段105は、発電機制御手段112と接続されており、発電機102の発電電力は、電源制御手段105からの指令により制御される。
112は発電機制御手段である。発電機制御手段112は、発電機102の現在の発電電力や発電機102の回転数などの発電機情報を電源制御手段105に送信する。電源制御手段105にはバッテリ電流センサ107、負荷電流センサ109、バッテリ温度センサ113、バッテリ電圧センサ(図示せず)が接続されており、バッテリの入出力電流、負荷電流、バッテリ温度、バッテリ電圧を受け取る。電源制御手段105は、多重信号伝送線路106を通じて負荷制御手段110a〜110bに接続されており、これら負荷制御手段110a〜110bと多重通信により双方向に情報を授受する。また、発電機制御手段112は、図示しない車両コントローラから入力される車両制動情報を受け取り、車両制動情報により認識した車両制動量に相当する値に発電機102の発電電力を制御するため、発電機102の界磁電流を増加させて回生制動を行い、必要な車両制動量(回生制動量)を発生する。なお、上記車両コントローラは、たとえば図示しないブレーキ踏み量センサなどの制動操作手段の操作量に相当する車両制動量を演算し、この車両制動量から上記回生制動量を差し引いた制動量を発生させるべく、図示しない油圧ブレーキ装置の制御部に指令する。なお、発電機制御手段112は、回生制動における発電電力の増加量を、発電機102の最大発電可能電力の範囲内で決定し、かつ、バッテリの最大充電可能電力値(最大充電電力値)の範囲内にて設定する。すなわち、発電機制御手段112は、発電機102の発電を制御し、バッテリ103の充放電を制御し、各電気負荷の消費電力を制御する。
(電費情報を用いた電力管理の説明)
次に、電源制御手段105により実施される上記電気系の電力管理について図2に示す説明図を参照して説明する。この電力管理は、電力発生管理と、電力消費管理とからなる。電力発生管理は、電力供給を行う複数の供給元から実際の供給元およびその発生電力(供給電力)の大きさを決定(配分)し、それを電力を供給する供給元に指令する作業である。
供給元としては、エンジン101、回生制動装置、バッテリ103、他電源(図示せず)などを含むことができる。電力エネルギー供給先としての回生制動装置は、回生制動時における発電機102とそれを制御する発電機制御手段112とにより構成される。以下において、単位電力量当たりの費用を電力コスト又は電費とも称するものとする。
供給元としてのエンジンは、発電機102を通じて電源ライン108に電力を供給する。したがって、エンジン動力により発生する電力のコストであるエンジン電力コストは、単位電力量当たりの燃料増加量で定義され、エンジン動作点や発電機効率により変化する値である。更にいえば、発電によりエンジン動作点が移動しエンジン効率もそれに応じて変化する。エンジン効率が悪い時に発電すればエンジン自体の効率の悪さで発電コストも悪化するが、発電しないときよりエンジン効率が向上する分のメリットがある。逆にエンジン効率が良いときに更に発電すると、エンジン効率向上分のメリットはないが、エンジン効率自体が良いというメリットがある。この効果を考慮するため、発電に伴い移動するエンジン各動作点での燃料消費量に着目し、発電電力コストを算出する。
供給元としての上記回生制動装置は、その一部を構成する発電機102を通じて電源ライン108に接続される。回生制動装置が発生する回生電力のコスト(回生電力コスト)は、この実施例では簡単化のためにバッテリ消耗などの要素を無視してコスト0と算定される。
供給元としての図示しない他電源は、車載2バッテリ系など図1に示す電気系以外の電気系電気自動車の様に駐車時に接続される商用電源系などを意味する。たとえばハイブリッド車は通常、高電圧バッテリと低電圧バッテリとを有しており、高電圧バッテリが接続された図1の電気系にて電力供給が不足する場合に低電圧バッテリ系からDC−DCコンバータを通じて電力を供給することができる。他電源の電力コストは、これら低電圧バッテリの充電コストに充放電効率やDC−DCコンバータの効率を掛け合わせて求めることができる。
バッテリ103は、発電機102を通じてエンジン101から、また上記回生制動装置から、更に外部電源から供給(充電)された電力により電源ライン108を通じて充電される。したがって、バッテリ103が供給する電力のコストであるバッテリ電力コストは、時間的にエンジン電力コスト、買電コスト、回生電力コストの割合に依存している。そこで、この実施例では、バッテリ電力コストを、バッテリ103に現在まで充電されてきた電力エネルギーのコストをできるだけ忠実に反映するように、バッテリ103の充放電履歴に伴って変動する充電コストの移動平均とする。この充電コストの移動平均は移動平均電費又は平均電費とも呼ばれる。バッテリ103の充放電履歴に伴う充電コストの移動平均の具体的な算出方式としては種々の方法が考えられるが、この実施例にて採用する方法については後述するものとする。
電力消費管理は、電力消費(蓄積)を行う複数の供給先(消費先)のうち実際に電力(消費電力)を供給すべき供給先や電力(消費電力)の大きさの決定(配分)し、それを供給先に指令する作業である。
供給先としては、各電気負荷111a1〜111e3と、バッテリ103(充電)とがあげられ、その他、場合によっては図示しない低電圧バッテリもあげられる。なお、簡単にわかるように、バッテリ103は供給先(充電時)と供給元(放電時)とのどちらかとしても存在することができ、同時に両方の機能を果たすことはできない。また、上記電力管理において、系への供給電力の大きさと系の消費電力の大きさとは誤差や無視する損失を除いて常に一致している。
電源制御手段105は、バッテリ103の充電要求電力と各電気負荷111a1〜111e3の負荷要求電力との合計である系の全要求電力と、系が現在発生可能な電力である全発生可能電力とに基づいて、全発生可能電力が全要求電力以上の場合には全要求電力に相当する全発生可能電力を発生し、全発生可能電力が全要求電力より未満の場合には全発生可能電力に等しい全要求電力を発生するか、又は、全要求電力を全発生可能電力の最大値に見合うまで切り下げる。このような電力管理は、電力制御手段105中の配分指令部200による供給元や供給先への供給指令や消費指令により具体的になされる。すなわち、配分指令部200は、供給先(消費先)である各電気負荷111a1〜111e3の要求電力とバッテリへの充電電力からなる要求電力(消費電力)に対し、電力供給先であるエンジン発電、回生発電、バッテリ放電、他電源からの電力供給を指令する。
配分指令部200は、供給可能電力(供給可能量ともいう)とその電力コスト(供給電費)に関する情報を保持している。具体的には、エンジン発電の場合は、エンジンの現在回転数における最大供給可能電力量とそれを発電する時の燃費および推奨供給電力とそれを発電する時の燃費とを保持する。回生発電の場合は、回生制動装置から指令を受けた発電電力とその時の電費(=0)とを保持する。バッテリ放電の場合は、バッテリの放電可能電力(温度や残存容量、劣化状態で変わる)と過去の充電履歴に基く平均電費を保持し、他電源供給では他電源の供給可能電力と、その電費とを保持している。
電力管理すなわち電力配分管理の具体例を図3に示すフローチャートを参照して以下に説明する。以下、Sはステップ番号を示す。
まず、S1000にて、図2に示す各供給元の供給電力と電費とを既述の方法により検出乃至自己が所定の方法により決定する。次のS1002にて、次に各電気負荷111a1〜111e3の要求電力(負荷要求電力)を把握し、S1004にて負荷へ実際に供給する電力である負荷電力指令値を決定する。負荷電力指令値としては、負荷要求電力が供給可能電力合計よりも小さい場合は要求電力を負荷電力指令値に設定し、負荷要求電力が供給可能電力合計よりも大きい場合は供給可能電力量を負荷電力指令値に設定する。次のS1006では、負荷電力指令値に一致する供給電力を各供給元へ割り振る(配分する)。この配分において、電費が低い供給元への配分が優先され、これにより電力コストの低減が実現される。次のS1008では、バッテリ充電電力の入札条件を設定する。これは、前述の負荷への電力供給のために割り振った後の各供給元に残る充電可能電力に関する情報を求めることを意味する。次のS1010では、予め算出されたバッテリの電費と供給元の電費との差に応じてバッテリへの充電電力指令値(バッテリ充電要求)を決定する。つまり、供給元として考えた場合のバッテリの電費に比べて、バッテリ以外の供給元の電費が低い場合にはこの低電費の供給元からバッテリへ充電してそれを供給電力として用いるのが、供給元としてのバッテリの電費を改善するとともにトータルとしての電力コストを低減することができる。
図4は、バッテリの電費と他の供給元の電費との差と、その時の充電電力指令値(実現されるべき充電電力の大きさであり、充電量、バッテリ充電要求ともいう)との関係を示す特性図であり、上記関係は右下がりの各特性線にて示している。図4に示される電費差と充電電力指令値との関係を示す関数を表す上記各特性線において、Kは、バッテリ103の充電状態(SOC)やその変化率に関連する変数(指標、充電指標ともいう)であって、充電を強化したり、抑制したりするための上記関数における充電制御変数である。
K=0.5と記載された特性線はバッテリ103が好適な充電状態にある場合を示し、電費差がゼロで発電ゼロとなり、電費差(供給元の電費がバッテリ電費よりも良好)に従い、発電量が増加している。K=1.0と記載された特性線はバッテリが放電気味である場合を示しており、供給元の電費が多少悪い場合でも充電を実施する場合である。k=0.2と記載された特性線はバッテリが充電気味である場合を示しており、供給元の電費が相対的にかなりよくならないと充電しない場合である。変数kの決定方法を図5を参照して説明する。図5は、バッテリの充電状態(SOC)と、その変化率(dSOC/dt)と、充電指標Kとの関係を示す三次元マップである。変化率がプラスであるということは充電傾向であることを示し、変化率がマイナスであるということは放電傾向にあることを示している。充電気味の充電状態、かつ、充電傾向にある領域Aでは変数(指標)Kは小さく設定されている。放電気味の充電状態、かつ、放電傾向にある領域Bでは変数(指標)Kは大きく設定されている。その他の領域Cでは変数(指標)Kは標準値(図4に点線にて示す)近傍となっている。
次のS1012では、S1010で決定されたバッテリ充電電力指令値に相当する充電電力を各供給元に割り振る。この割り振りは、電費が低い供給元が優先される。次のS1014では、S1006で求めた各供給元への電力配分とS1012で求めた各供給元への電力配分とを集計して最終的な各供給元への配分を決定し、それを実現するための指令を行う。なお、エンジン発電を指令する場合は、発電機へ発電指令を出すと共にその動力供給元となるエンジンへも相当量の出力アップを指令することを併せて実施する。より具体的に言えば、エンジンへのトルク指令、あるいはスロットル開度指令などの変更によりエンジンへの出力アップ指令を行い、発電に必要な動力分を確保する。なお、バッテリはその放電時に供給元にもなるが、その充放電電力は直接制御するのでなく、前記フローチャート内で決定した他の供給元の電力量と負荷電力指令値によって間接的に決定される。また、供給元としてのエンジン発電電力の電費には好適エンジン運転条件におけるエンジン発電電費を用いるが、S1004において負荷要求電力が供給可能電力合計よりも大きい場合にはエンジントルクの増大により発電機の最大供給可能電力に対応する電費を用いる。すなわち、通常はエンジン燃費が良い範囲でエンジン発電量を決定することにより電費を改善し、電力が不足する場合は発電機の発電電力を最大供給可能電力まで引き上げることにより負荷の要求を満たす。更に、他電源から電力供給を受けることが可能な場合には、他電源の電費が良好な場合に他電源から給電を受けることができ、同じく、他電源に対して給電することもできる。
次に、実施例1で用いるバッテリ103の電費算出方式の好適例を図6を参照して以下に説明する。図6は、電源制御手段105に保持されているバッテリの電費(電力コスト)を演算するための説明図である。図6において、細長い長方形のブロックは、電池のSOCを、それぞれ等しい所定の電力量からなる所定個数の部分に分割した場合における一つの部分を示し、以下、単位エネルギユニット又はスタックとも呼ばれる。単位エネルギユニットは例えば10Whの電力量に相当する。なお、電圧を略一定とみなし、エネルギユニット単位を1Ahの様に変えて設定することも可能である。各単位エネルギユニットは連続的にあるいは充電の中断あるいは放電を挟んで時間順次にバッテリ103に積み上げられ、また失われる。一部の単位エネルギユニットは連続した充電により形成され、他の単位エネルギユニットは間に充電中断や放電を挟んで積み上げられる。放電により失われる単位エネルギユニットは時間的に最も過去に積み上げられた単位エネルギユニットであるとする。したがって、現在のSOCに相当する所定個数の単位エネルギユニットは、直前の所定期間に積み上げられたと仮定する。充電電源制御手段105は、各単位エネルギユニットごとに、それを充電するのに要した電力コストを時間順時に記録している。
図6は、現時点から所定時間後において、新規に1単位エネルギユニットが積み上げられ、2単位エネルギユニットが放電されたことを示す。供給元としてのバッテリ103の電力コスト(電費)は、単位電力量当たりの電力コストの単位として計算できるが、この実施例では、単位エネルギユニットあたりの電力コストであるユニットコストとして算出される。このユニットコストの単位としては、単位エネルギユニットを発電し、バッテリ103に蓄電し、それをバッテリ103から放電する場合の燃料消費量、あるいは、それの購入に要する燃料費を採用することができる。もちろん、単位エネルギユニットが回生電力により形成される場合のユニットコストはゼロとしてカウントされる。すなわち、この実施例では、電源制御手段105は、たとえば図2に示すようにSOCの現在値に相当する各単位エネルギユニットとそれらのユニットコストとのテーブルを記憶している。電源制御手段105は、このテーブルを記憶するために、電力量合計がSOC100%に相当する単位エネルギユニットの数のユニット情報記憶領域を持てばよく、各ユニット情報記憶領域は、ユニットナンバーとその電力コストとを記憶できればよいため、メモリ容量は非常に小さくても良い。
供給元としてのバッテリ103の現在の電費(ユニットコスト)は、このテーブルに記憶された各単位エネルギユニットの電費の平均値として算出される。最も簡単な算出処理としては、前回算出したユニットコストの合計値(ユニットコスト合計の前回値)から、前回の算出から今回の算出までの期間中に充電した新規積み上げユニットコストを加算し、前回の算出から今回の算出までの期間中における放電した放電済みユニットコストを減算して、今回算出したユニットコストの合計値(ユニットコスト合計の今回値)を求め、それを現在の単位エネルギユニット数で割ればよい。供給元としてのバッテリ103の現在の電費を単位電力量当たりで求める場合には、更に単位エネルギユニットを単位電力量に換算すればよい。上記方法は、一種の移動平均を求める手法であるが、単位エネルギユニット当たりの電費を上記の手法で更新するため、計算が簡単とすることができる。なお、自己放電する電力量も負荷で消費された場合と同様に扱うことができる。また、上記した供給元としてのバッテリ103の電費算出では、SOC中の不可避的に1単位エネルギユニットに満たない電力量の処理ができないという問題について次に説明する。
図7に示すフローチャートは、上記したバッテリ103の電費算出の具体例を示す。Sはステップ番号を示す。まず、S11000にて充放電電力量のうち単位エネルギユニット未満の値を充電電力量と放電電力量とに分けて別々に算出する。次に、S11002にて放電電力量が単位ユニットまで増加したか否かを判定し、増加した場合にのみ図6に示すテーブルから最も過去の単位エネルギユニットに関する情報を消去する(S11004)。次に、S11006にて充電電力量が単位エネルギユニットまで増加したか否かを判定し、増加した場合にのみ、その充電に要した平均電費であるこの単位エネルギユニットの電費を算出し(S11008)、この最新積み上げ単位エネルギユニットに関する情報を図6に示すテーブルに記憶する(S11010)。
(電圧変動の抑制管理の説明)
上記実施例では、各負荷制御手段110a〜110eが電源制御手段105へ要求電力を送信し、電源制御手段105が受信した要求電力と発電機102又はバッテリ103からの発電情報や発電機102やバッテリ103からの情報に基づいて各負荷制御手段110a〜110eに個々に分配する電力(許可電力又は負荷許可電力とも言う)を算出し、算出した各許可電力を各負荷制御手段110a〜110eに送信し、各負荷制御手段が受信した許可電力に基づいて各負荷に電力制御を行う制御を説明した。この制御において、バッテリ103及び電源ライン108の電圧変動を所定の好適範囲に収めるための制御について、以下に説明する。
まず、電源ライン電圧の目標制御範囲である好適電圧範囲が時間的に変動せず常に一定である場合において、この好適電圧範囲に対応する好適充放電電力範囲の算出例を以下に説明する。この場合における好適充放電電力範囲の決定は簡単であり、あらかじめ決定されている所定の好適電圧範囲の上限値に対応する好適充放電電力範囲の上限値(充電側)の値と、同下限値に対応する好適充放電電力範囲の下限値(放電側)とをあらかじめ記憶しておき、求めに応じて出力すればよい。ただし、バッテリ103の電圧はSOC、電池劣化、電池温度、メモリ効果(分極)などにより変動するため、予め記憶するこれらのパラメータと好適充放電電力範囲の上限値及び下限値との関係に、これらのパラメータを代入して好適充放電電力範囲の上限値及び下限値を補正することが好ましい。これにより、図1に示す車両用電源装置の電力制御において、バッテリ103の充放電電力がこの好適充放電電力範囲内にあるように発電制御や負荷消費電力制御を行えば、電源ライン電圧を検出してそれに基づいて発電制御や負荷消費電力制御を実施することなく、電源ライン電圧の変動を好適電圧範囲に維持することが可能となる。その結果、従来のように、電源ライン電圧を検出して発電制御や負荷消費電力制御を実施する結果、バッテリの充放電電力が過大となるという不具合がなく、またバッテリの充放電電力を所定の好適充放電電力範囲内に維持するように発電制御や負荷消費電力制御を実施する結果、電源ライン電圧の変動が大きくなるという不具合もない。
次に、電源ライン電圧の目標制御範囲である好適電圧範囲が変動する場合について説明する。そこで、まず外部から入力されるあるいは電源制御手段105が決定した電源ライン108の好適電圧範囲の上限値と下限値とを定期的に読み込みその低周波数成分を抽出する。次に、ステップ1000にて読み込まれた好適電圧範囲の上限値と下限値に対応する好適充放電電力範囲の上限値及び下限値とを予め記憶する充放電電力ー電圧特性マップから求める。なお、このマップはSOC、電池劣化、電池温度、メモリ効果(分極)などにより補正されるか、あるいはこれらのパラメータ変化に対応して多数のマップを用意して選択使用する。これにより、電力制御(発電制御や消費電力制御)を行うに際して、バッテリ103の充放電電力が好適充放電電力範囲内に維持されるように電力制御(発電制御や負荷消費電力制御)を行うことができるとともに、バッテリの充放電にもかかわらず電源ライン電圧変動をリーズナブルな基準電圧範囲内に押さえることができる。また、電源ライン電圧を検出してそれに基づいて発電制御や負荷消費電力制御を実施して電源ライン電圧変動を基準電圧範囲に維持するフィードバック制御を行わないので制御の遅れがない。
次に、上記の方法にて決定された好適充放電電力範囲を用いた電力制御を図8に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、上記方法で得られた好適充放電電力範囲を読み込む(2000)。次に、各電気負荷の要求電力の合計すなわち系要求電力を読み込む(2002)。これは、各電気負荷の動作要求に基く要求電力の合計であり、常時動作する負荷等はまとめて基本要求として予め記憶しておくことができる。次に、発電電力PGの必要上下限値を演算する(2004)。なお、発電電力PGの上限値をPG_maxとし、下限値をPG_minとする。その結果、発電電力PGと要求電力合計PLとの差がバッテリの充放電電力となる。次に、発電機の実現可能最大発電電力G_aを読み込む。この実現可能最大発電電力G_aは、現在の発電機の回転数や温度等により決まる実現可能な発電電力の上限値である(2006)。次に、発電必要下限値PG_minと実現可能最大発電電力PG_aとを比較する(2008)。発電必要下限値PG_minが実現可能最大発電電力PG_aよりも小さければ、発電すべき発電電力である発電指令値を、発電必要下限値PG_minと実現可能最大発電電力PG_aとの範囲内に決定し(2010)、負荷の要求電力合計PLを負荷への供給電力である負荷供給電力の指令値として決定し、これを電源制御手段105の電力制御機能部分に送信し(S2012)、ルーチンを終了する(2014)。
発電必要下限値PG_minが実現可能最大発電電力PG_a以上であれば、発電電力の指令値として実現可能最大発電電力PG_aを設定し(2016)、各電気負荷に実際に供給可能な電力である負荷供給可能電力を演算し、これを負荷供給電力の指令値として電源制御手段105の電力制御機能部分に送信し(S2018)、ルーチンを終了する(2014)。ここで言う負荷供給可能電力とは、バッテリが放電可能な電力の最大値である好適充放電電力範囲下限値(好適最大放電電力)と実現可能最大発電電力PG_aとの和として算出される。以上の制御により、電源ライン電圧の指令あるいは車両状態により決定する基準電圧範囲を満足するように、予め発電電力と負荷供給電力とを決定することができるので、制御の遅れによる電圧の急激な落ち込みや過剰を防止することが可能となる。なお、発電電力や負荷供給電力の誤差を検出してフィードバック補正するという制御を追加することにより、応答性を確保しつつ、精度向上を図ることも当然可能である。
(負荷制御手段と負荷との関係の説明)
次に、負荷制御手段110a〜110eと負荷111a1〜111e3との関係を負荷制御手段110aと負荷111a1との関係を例として更に詳しく説明する。
図9において、負荷111a1はシートヒータ装置であって、シートヒータ1002と、電源ライン108からシートヒータ1002への通電を制御するパワートランジスタからなるスイッチ1006と、シートヒータ1002の温度を検出する温度センサ1012と、スイッチ1006をPWM制御する負荷コントローラ1008とを有している。
負荷コントローラ1008は、負荷制御手段110aを通じて電源制御手段105から電費、許可電力を示す信号を受け取る。なお、電費は電源制御手段105から直接受信することもできる。また、負荷コントローラ1008は、負荷制御手段110aを通じてあるいは負荷制御手段110aを経由せずに外部の温度設定手段からシートヒータ温度設定信号及びシートヒータオンオフ信号を受け取る。また、負荷コントローラ1008は、要求電力、最小(必須)要求電力、優先度を示す信号を負荷制御手段110aへ出力する。
上記各信号について更に説明すると、電費は、電源制御手段105により算出された現在の単位電力量当たりの費用すなわち単位発電量当たりの燃料消費量増加分であり、この値が小さいほど少ない燃料で電力供給ができる。車両の減速回生時には従来捨てていたエネルギで発電するため電費ゼロとなる。
許可電力は、電源制御手段105又は負荷制御手段110aがシートヒータ装置である負荷制御手段110aに使用を許可する電力である。シートヒータ温度設定信号は、シートヒータ1002の目標温度を示す信号であり、シートヒータオンオフ信号はシートヒータ装置111a1の作動、停止を決定する信号である。シートヒータオンオフ信号がオフレベルである場合には、シートヒータ装置111a1への通電はなされず、その要求電力は0である。要求電力は、負荷コントローラ1008が負荷制御手段110aを通じて電源制御手段105に使用を要求する電力であり、最小(必須)要求電力はこの要求電力のうち作動に際して少なくとも受け取る必要がある電力である。優先度は、他の電気負荷に対するシートヒータ装置111a1の電力使用優先度を示す信号である。この優先度を用いた制御については上記した特許文献を参照されたい。
次に、負荷コントローラ1008によりなされるシートヒータ電力制御について説明する。負荷コントローラ1008は、まず要求電力を算出してそれを負荷制御手段110aに送信する。この要求電力算出動作について図10に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、シートヒータ1002の最低必要電力Pminを算出する(S3000)。この最低必要電力は、電費変化にかかわらずシートヒータ1002の加熱機能実現に最低必要な電力である予め記憶する演算式に必要な入力情報を代入して演算する。この実施例では、この下限値は、シートヒータ1002の設定温度より所定温度低いシートヒータ温度の下限値を実現するために必要な電力とする。なお、この最低必要電力は電気負荷の種類によっては一定値としてもよい。次に、現在の電費を読み込み(S3002)、更にシートヒータ1002の温度を読み込み、予め記憶する電費と要求電力との関係を示すマップにこの電費を代入して要求電力Pを算出する。マップの例を図11、図12に示す。図11は、ある電費範囲にて要求電力を可変制御する場合であり、図12は所定の電費しきい値の両側で要求電力を2段階に切り替える場合を示す。要求電力Pは最低必要電力Pminと追加分Paddとの合計となる(S3004)。ただし、このステップS3004では更に、シートヒータ1002の温度を読み込み、この温度が所定の上限値未満かどうかを判定し、達したら要求電力を0とする。なお、この実施例では、上記上限値は現在の設定温度より所定温度だけ高い値に設定される。たとえば設定温度を22℃とする場合、上限値は25℃、下限値は19℃とすることができる。次に、ステップS3004にて演算された要求電力は負荷コントローラ1008を通じて電源制御手段105に送信される(S3006)。電源制御手段105は各負荷制御手段110a〜110eからの要求電力と供給電力とからこのシートヒータ1002への通電を許可する許可電力を決定し、負荷制御手段110aを通じて負荷コントローラ1008に送信する。負荷コントローラ1008は受け取った許可電力に対応する電力をシートヒータ1002に与えるためにスイッチ1006をPWM制御する。
これにより、電費が安い場合には、負荷コントローラ1008が要求する要求電力の増大によりシートヒータ1002の温度は上限近くに張り付くことになる。これに対して電費が高い場合には要求電力が低減される。
(変形態様)
その他、負荷コントローラ1008が設定温度と検出温度との差に基づいて要求電力を決定し、電費が低い場合には強制的に設定温度を現在値よりも所定温度ΔTだけ増加するようにしてもよい。この場合、電費とこの所定温度との関係を示すマップを予め記憶しておき、このマップに電費を代入して設定温度を変更すればよい。この場合でも、所定の上限に達したら要求電力を0とすることが好ましい。
以上説明した方法は、過剰運転可能な電気負荷に低電費時に過剰な運転を行わせる実施例であり、これにより、その後、電費が高くなり、たとえば設定温度が低下すると、シートヒータ1002はこの設定温度付近まで低下するまでの間、電力消費を低減することができ、回生などの低電費電力を有効に活用することができる。
(実施形態2)
(全体装置構成)
この実施例の車両用電源系(車両用電源装置とも言う)を説明する。用いる回路は図1と同じである。
(電力均衡制御の説明)
電源制御手段105による車両用電源系の制御(電力均衡制御)を図2のフローチャートを参照して説明する。なお、各電気機器の電力は、電圧と電流との積として算出されるが、電流が不明な場合には予め与えられた一定値又は動作情報に応じてマップから電力を推定されるものとする。最初に全体の制御の流れを概略説明し、その後で各制御の詳細を個別に説明するものとする。
まず、ステップS100にて系要求電力Plすなわち、各電気負荷の駆動に必要な電力を決定する。この系要求電力は、各電気負荷の要求電力である負荷要求電力の総和である。次に、ステップS102にて好適充放電電力範囲Pfを決定する。次に、ステップS104にて上記した系要求電力Plと好適充放電電力範囲Pfとから発電電力を決定する。ここまでの制御は本質的に本出願人の出願になる特許文献1の電力均衡制御と同じである。
次に、ステップS106にて上記算出した発電電力から更に追加の発電を低電費で実施可能かどうかを判定し、低電費での追加発電が不可能であればステップS100にリターンし、可能と判断すればステップS108に進む。
ステップS108では、低電費での追加発電が可能な電力(追加可能発電電力)の最大値を決定する。なお、この実施例における低電費の追加発電可能電力とは、たとえば発電機102の回生発電動作や燃料不要発電装置(たとえば太陽電池など)などにより実質的に燃料を消費することなく系に追加供給可能な電力を言うものとする。ただし、低電費の追加発電可能電力を電費0の発電電力ではなく、わずかの燃料消費にて系に追加供給可能な発電電力としてもよい。この場合、電費とは単位発電電力量(所定の単位時間の発電電力)の追加に要する電力コストを意味する。電費算出については本質的に本出願人の出願になる特許文献3の電費算出方式と同じであるので、電費が所定値以下の場合に追加発電する場合にはこの電費算出方式を用いて電費を算出すればよい。
また、この実施例では、一定時間ごとに実施される図2の制御ルーチンの実行周期に上記単位時間を設定したが、それに限定されるものではない。次に、ステップS110にて各負荷111a1〜111e3が追加消費可能な電力である負荷追加消費電力である追加負荷要求電力を求め、更にその総和を算出して系追加要求電力とする。次に、ステップS112にて上記系追加要求電力及び低電費追加発電電力から追加発電電力及び追加要求電力を決定する。具体的には、系追加発電電力の範囲で系追加要求電力をなるべく大きく決定する。
また、この追加発電電力をステップS104にて求めた発電電力に加算して発電電力の最終値を算出して発電電力の最終値に相当する発電を発電機102に指令する。更に、ステップS100にて求めた各電気負荷の要求電力(負荷要求電力)に各負荷の追加要求電力を加算して各電気負荷ごとに要求電力(負荷要求電力)の最終値を決定する。この各負荷の要求電力の最終値は各負荷制御手段110a〜110eに送信され、各負荷制御手段110a〜110eは、受信した各負荷制御手段110a〜110eの要求電力の最終値に対応する動作を各負荷111a1〜111e3に指令する。なお、上記説明では、各電気負荷の追加負荷要求電力を求めたが、その代わりにたとえば熱機器など特定の負荷に関してのみ追加負荷要求電力を求めてもよい。熱機器としては、空調装置やヒータなどが採用可能である。
これにより、蓄電手段の充放電電力を好適な小範囲に保ちつつ系要求電力Plに対応する発電電力を発生させる電力均衡制御を行うとともに、更に低電費にて更なる追加発電が可能な状況下で安価な追加電力をたとえば熱機器などの電気負荷に消費させ、熱的あるいは機械的に電力消費(電力貯蔵)を行う。
なお、上記実施例では、バッテリ103などの蓄電手段による追加可能発電電力の吸収を行わなかったが、バッテリ103などの蓄電手段により追加可能発電電力を吸収させても良い。ただし、バッテリの種類によっては頻繁な充放電が好ましくない場合があるため、蓄電手段による低電費の追加発電電力の吸収はバッテリの種類に併せて決定するべきである。また、バッテリ103の充放電電力が好適な小範囲に保たれる範囲内にて、バッテリ103に追加の発電電力を吸収させるようにしてもよい。
次に、上記各制御サブルーチンを更に詳しく説明する。
(系要求電力決定サブルーチン)
ステップS100にて説明した系要求電力Plすなわち負荷要求電力の総和を決定する動作を更に詳しく説明する。このサブルーチンでは、まず各電気負荷の駆動に関する情報に基づいて各電気負荷の要求電力である負荷要求電力を決定する。この負荷要求電力は、電気負荷の正常な駆動に必要な電力である。負荷要求電力は、負荷制御手段110a〜110eからの負荷情報により決定される。負荷情報としては、その動作状態等が表す。各負荷制御手段110a〜110eの負荷要求電力を加算することにより、系要求電力Plが決定される。
(充放電電力範囲決定サブルーチン)
ステップS102にて説明した充放電電力範囲を決定する動作を更に詳しく説明する。バッテリ103の電圧と充放電電力とはたとえば図3に示す関係をもつ。図3において、Vcfはバッテリ電圧の好適最大値、Vdfはバッテリ電圧の好適最小値、Pcfは好適充放電電力範囲Pfの上限値(好適最大充電電力)、Pdfは好適充放電電力範囲Pfの下限値(好適最大放電電力)Pcfである。
ここで言う好適充放電電力範囲Pfとは、バッテリの充放電電力が小さく、それによるバッテリ電圧変動も小さく、バッテリの負担及び系の電源電圧変動も小さい充放電電力範囲を意味するものとする。バッテリ劣化等を考えた場合、バッテリの充放電電力はこの好適充放電電力範囲Pf内に設定することが好適である。すなわち、系要求電力と供給電力(発電電力+充放電電力)とをマッチングさせる制御を行うが、系要求電力と発電電力とのアンバランスをなるべくこの好適充放電電力範囲Pfの範囲内に維持するように制御することによりバッテリ103の充放電電流を所定範囲内に抑止する効果を奏する。また、算出した系要求電力と発電電力とに応じて制御を行った際に実際の発電電力と各負荷111a1〜111e3の消費電力総和との誤差が生じても、この誤差がバッテリ103の好適充放電電力範囲Pfから逸脱するのを抑止することができる。
この実施例では、バッテリ103の好適充放電電力範囲Pfは、バッテリ103の蓄電状態に応じて変更される。たとえば、バッテリ103が好適な蓄電レベルから充電過剰であれば、好適充放電電力範囲Pfの上限値(好適充電電力)Pcfは小さく、下限値(好適放電電力)Pdfは大きく設定される。逆に、バッテリ103が好適な蓄電レベルから放電過剰であれば、好適充放電電力範囲Pfの上限値(好適充電電力)Pcfは大きく、下限値(好適放電電力)Pdfは小さく設定される。好適充放電電力範囲Pfの上限値Pcf及び下限値Pdfを決定するには、図3に示すマップを予めバッテリ103の蓄電状態ごとに記憶しておき、現在の蓄電状態に対応するマップ又はテーブルにより好適充放電電力範囲Pfの上限値Pcf及び下限値Pdfを決定すればよい。バッテリ103の蓄電状態は、たとえば公知の方法で求めたバッテリ103のSOCや開放電圧に基づいて決定することができる。開放電圧によりバッテリの蓄電状態を決定する場合に、その劣化状態や分極状態を加味する補正を行っても良い。
このようにすれば、発電電力と各負荷111a1〜111e3の実際の電力消費のアンバランスがなるべくこの好適充放電電力範囲Pfの範囲内にとどまるように制御するため、バッテリ103や車両用電源系に好影響を与えることができる。
ただし、負荷111a1〜111e3のうち電力消費が大きい電気負荷や複数の電気負荷が突然断続したりすると、発電機102のレスポンス遅れや制御系の遅れにより、発電電力と各負荷111a1〜111e3の電力消費との差が一時的に上記好適充放電電力範囲Pfを逸脱する場合が生じる。ただ、この場合でも、バッテリ103の充放電電力が、図3に示す許容充放電電力範囲Paの上限値Pca及び下限値Pdaの範囲内に収まるように制御することが好適である。なお、この許容充放電電力範囲Paは、これ以上の充放電電力を発生させることが好ましくない充放電電力を意味する。図3において、Vcaはバッテリ電圧の許容最大値、Vdaはバッテリ電圧の許容最小値、Pcaは許容充放電電力範囲Paの上限値(許容最大充電電力)、Pdaは許容充放電電力範囲Paの下限値(許容最大放電電力)である。この実施例では、バッテリ電圧の許容最大値Vca、バッテリ電圧の許容最小値Vdaは予め定められた一定値に設定されるが、バッテリ103の蓄電状態に応じて変更しても良い。バッテリ103の充放電電力が許容充放電電力範囲Pa内に収まるように制御する簡単な方法は、許容最大値Vca、バッテリ電圧の許容最小値Vdaを一定値とする場合、電源ライン108の電圧がこれら許容最大値Vca、バッテリ電圧の許容最小値Vdaに接近したら、発電電力の増減や負荷要求電力の増減するのが簡単である。
(発電電力決定サブルーチン)
ステップS104にて説明した発電電力を決定する動作を更に詳しく説明する。このサブルーチンでは、ステップS102にて決定した好適充放電電力範囲Pfの上限値(好適充電電力の最大値)Pcf及び下限値(好適放電電力の最大値)Pdfの範囲内に充放電電力が維持されるように系要求電力Plに対応する発電電力Pgを決定する。発電電力Pgと系要求電力Plとの誤差である誤差電力がこの好適充放電電力範囲Pfから充電側にも放電側にも逸脱しないようにする良い方法は、発電電力を好適充放電電力範囲Pfの中間値と系要求電力との合計に等しく設定することである。バッテリ103が適正に充電された状態でかつ発電機102が系要求電力Plに等しい発電電力を問題なく発生できる条件では、発電電力Pgは系要求電力Plに等しく設定される。バッテリ103が放電気味である場合には好適充放電電力範囲Pfの下限値(好適放電電力の最大値)Pdfが小さく設定されることになるため、好適充放電電力範囲Pfの中間値は充電側にシフトし、この結果、発電電力は系要求電力Plよりもバッテリ103の充電電力だけ増加する。同様に、バッテリ103が充電気味である場合には好適充放電電力範囲Pfの上限値(好適充電電力の最大値)Pcfが小さく設定されることになるため、好適充放電電力範囲Pfの中間値は放電側にシフトし、この結果、発電電力は系要求電力Plよりもバッテリ103の放電電力だけ減少する。
ただし、発電電力Pgは現在発電可能な最大発電電力Pgmaxの範囲内に設定される必要があることは当然である。最大発電電力Pgmaxは、発電機制御手段112から受信した発電機102に関する情報により公知の方法により算出される。また、複数の大電力負荷から電力要求がある場合など、系要求電力Plが最大発電電力Pgmaxよりも大きい場合もある。この場合には、予め各負荷111a1〜111e3ごとに設定された優先度のうち、優先度が小さい負荷から順番に系要求電力Plが最大発電電力Pgmaxに一致するまで負荷の電力カットを決断し、電力カットを決断した各負荷の負荷要求電力の和だけ上記系要求電力Plから減算する。これにより、発電条件が悪い場合においても好適充放電電力範囲Pfを維持することができる。ただし、この負荷カットは、負荷ごとに100%カットとしてもよく、あるいは負荷により負荷要求電力の一部をカットしてもよい。ただし、予め定められた重要な負荷に関してはこのカットを行なわず、負荷カットにより車両の基本走行性能が低下するのを防止する。この場合には、発電電力又は供給電力が系要求電力Plより小さくなり、バッテリ103から電源ライン108に放電電力が持ち出されることになる。
(低電費追加発電電力決定サブルーチン)
ステップS108にて説明した低電費での追加発電可能電力の最大値を決定する動作を更に詳しく説明する。なお、既述したようにこの実施例で言う低電費の発電電力とは、電費が実質的に0の発電電力を意味し、たとえば回生発電電力や太陽電池などのように燃費を必要としない発電電力を言う。低電費での発電可能電力が発電機102の最大発電電力より大きい場合には、低電費での追加発電可能電力の最大値は、実質的に発電機102の最大発電電力からステップS104で決定した発電電力を差し引いて決定される。低電費の発電可能電力が発電機102の最大発電電力より小さい場合には、低電費での追加発電可能電力の最大値は、低電費の発電可能電力からステップS104で決定した発電電力を差し引いて決定される。
(系追加要求電力決定サブルーチン)
ステップS110にて説明した系追加要求電力を決定する動作を更に詳しく説明する。
この実施例では、冬季の各種ヒータや冷凍サイクル装置のヒートポンプ動作の強化、あるいは夏期の冷房サイクル装置の冷房動作の強化に要する電力を系追加要求電力とする。これら熱機器の運転に要する現在の電力(負荷要求電力)に加えて、これら熱機器を最大限に運転する場合に要する電力との差が、追加可能要求電力の最大値として算出される。各熱機器の追加可能な負荷要求電力の最大値を加算して追加可能な系要求電力とする。
次に、ステップS108にて決定した低電費での追加発電可能電力の最大値と、ステップS110にて決定した追加可能な系要求電力とを比較する。低電費での追加発電可能電力の最大値が追加可能な系要求電力より大きければ、追加可能な系要求電力を、今回要求電力に追加する系追加要求電力とする。反対に、低電費での追加発電可能電力の最大値が追加可能な系要求電力より小さければ、低電費での追加発電可能電力の最大値を、今回要求電力に追加する系追加要求電力とする。
(発電電力及び要求電力の最終決定サブルーチン)
ステップS112にて説明した発電電力及び要求電力の最終決定動作を更に詳しく説明する。ステップS110にて求めた追加要求電力をステップS100で求めた系要求電力Plと加算して系要求電力Plの最終値とする。同様に、ステップS110にて求めた追加要求電力をステップS1104で求めた発電電力に加算して発電電力の最終値とする。また、追加電力消費が行われる熱機器の負荷要求電力を、ステップS100で求めた要求電力とステップS110で求めたこの熱機器の追加要求電力を加算して求める。追加電力消費が行われない電気負荷についてはステップS100で決定した負荷要求電力がその最終値とされる。
このようにして求めた発電電力の最終値に等しい発電電力での発電を発電機制御手段112に指令し、同じく各負荷制御手段110a〜110eの要求電力の最終値に等しい電力消費が生じるように負荷制御手段110a〜110eに負荷111a1〜111e3への通電制御が指令される。また、発電機102の発電量に応じて、図示しないエンジン制御装置に発電機の負荷の大きさが指令され、エンジン制御装置は、回生制動時を除いて発電電力の最終値に応じたトルクを発生するべく燃費制御を行う。
このようにすることにより、供給電力と要求電力とのバランスを保つとともに、回生発電など低電費での発電が生じる場合に、バッテリ103ではなく、熱的又は機械的にエネルギー蓄積可能な機器の運転強化を行うため、バッテリ103の充放電負担を増大することなく、平均電費の低減を実現することができる。
(変形態様)
上記エネルギー蓄積可能な熱機器としては、車載冷凍サイクル装置や空調用ヒータの他、その他の各種ヒータ、車載冷蔵庫や冷凍庫、温蔵庫などが考えられる。これらの要求電力の増大は、たとえば、段階的又は連続的に変更することができる。
(変形態様)
上記実施例において、回生発電などの低電費の発電電力を熱機器などの特定の電気負荷に吸収させたが、繰り返し充放電性能が優れたバッテリ103を用いる場合には同時にバッテリ103に上記許容充放電電力範囲Pa内にて積極的に蓄積させてもよい。この場合、バッテリ103に追加的に充電された追加充電電力は、この追加充電電力に関して算出された電費よりも現在の電費が高い場合に各負荷111a1〜111e3に方質されることができる。
(変形態様)
上記熱機器などの追加電力消費の増加のために負荷制御手段110a〜110eにより該当電気負荷への通電量を直接制御する代わりに、負荷制御手段110a〜110eによる該当電気負荷への指令により、該当電気負荷の運転レベルを強化することも可能である。この場合、この該当電気負荷の運転レベルと消費電力(要求電力)の増加との関係を予め記憶しておき、この回の運転レベル増加に対応する要求電力の増加量を求めてよい。
(変形態様)
なお、電費は、発電機102や図示しない発電装置のの単位電力量発生当たりの費用として計算することができるが、この場合、電力の時間的変動などにより電費ばらつきを低減するために、電費計算のための入力変数の平均値を採用してもよい。
また、簡易的に回生発電が生じているかどうかを判定し、生じていれば電費0と決定することにより、電費計算を簡素化してもよい。
(変形態様)
電費がたとえばシートヒータの電力消費(負荷要求電力)の増加に応じて連続的に変化する場合に、このシートヒータの要求電力を段階的又は連続的に変更する態様について以下に説明する。あらかじめ発電電力と電費との関係を示すマップを準備しておき、現在の発電電力の電費が所定レベル以上低下したら、このシートヒータへの通電電力を段階的あるいは連続的に増加すればよい。
実施例1の車両用電源装置を備えた車両の電気系を示すブロック図である。 図1の電源制御手段により実施される上記電気系の電力管理を示す説明図である。 電力管理すなわち電力配分管理の具体例を示すフローチャートである。 バッテリの電費と他の供給元の電費との差とその時の充電電力指令値との関係を示す特性図である。 バッテリの充電状態(SOC)と、その変化率(dSOC/dt)と、充電指標Kとの関係を示す三次元マップである。 電源制御手段に保持されているバッテリの電費(電力コスト)を演算するための説明図である。 バッテリの電費算出の具体例を示すフローチャートである。 好適充放電電力範囲を用いた電力制御の一例を示すフローチャートである。 負荷制御例を示すブロック回路図である。 図9に示す負荷コントローラの電力制御動作を示すフローチャートである。 図10にて用いるマップの一例である。 図10にて用いるマップの一例である。 図1の車両用電源系の電力均衡制御動作を示すフローチャートである。 バッテリの好適充放電電力範囲を設定するための特性を示す特性図である。
符号の説明
101 エンジン
102 発電機
103 バッテリ
104 エンジン制御手段
105 電源制御手段
107 ベルト
108 電源ライン
109 負荷電流センサ
110a〜110e 負荷制御手段
111a1〜111e3 負荷(電気負荷)
112 発電機制御手段
113 バッテリ監視手段
Pgmax 最大発電電力
Pa 許容充放電電力範囲
Pf 好適充放電電力範囲
Pg 発電電力
Pl 系要求電力

Claims (6)

  1. 電源ラインに接続される蓄電手段及び発電機を有して前記蓄電手段の充放電電力と前記発電機の供給電力とを前記電源ラインに供給する電力供給系と、
    前記電源ラインから供給される電力を消費する多数の電気負荷を有する電力消費系と、
    現在作動中の前記電気負荷に消費を許可する電力である要求電力と前記供給電力との差が所定の許容充放電電力範囲内となるように設定する電力均衡制御を行うことにより前記蓄電手段の電圧を所定の許容電圧範囲に維持する制御装置と、
    を備える電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記制御装置は、
    前記電力供給系が発生する供給電力の費用である電費に関する情報である電費情報を算出するとともに、前記供給電力の電費が所定値未満の場合に前記供給電力の電費が前記所定値以上である場合よりも前記要求電力を増大させることを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
  2. 請求項1記載の電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記制御装置は、
    前記供給電力の電費が前記所定値未満の場合に前記電気負荷の作動状態を前記要求電力が増大する方向に変更させる指令を発することにより前記要求電力を増大させることを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
  3. 請求項1記載の電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記制御装置は、
    前記供給電力の電費が前記所定値未満の場合に特定の前記電気負荷の要求電力を増大させることを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
  4. 請求項3記載の電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記電気負荷は、入力電力を熱に変換する装置からなることを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
  5. 請求項1乃至4のいずれか記載の電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記制御装置は、
    前記電気負荷のうち重要度が高い電気負荷の運転に必要な値以上の範囲にて前記電費の増大とともに前記要求電力を段階的に低減するとともに、前記電気負荷のうち重要度が高くない電気負荷の電力消費を低減する指令を発することを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
  6. 請求項1乃至5のいずれか記載の電力均衡制御型車両用電源系において、
    前記制御装置は、前記電力供給系の単位電力量発生当たりの費用を電費情報として定期的に算出するとともに、直前の所定期間の前記電費情報の平均値を前記電費とすることを特徴とする電力均衡制御型車両用電源系。
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